ポケットでモンスターな世界にて   作:生姜

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θ8-8 タマムシ空港(とか)にて

 

 

 

 そんなこんなで日々を過ごしつつ、来たる『決戦』に向けて準備を整える俺。

 土地の許可取り(権利はあやふやだったので国の方に取りに言った)と荷物の搬送を輸送(カーゴ)屋さんにお願い。自身の装備品を買い揃えて、メンバーを選抜。

 ……選抜、していたんだがなぁ。

 

 

「―― では、班長はショウということで。満場一致じゃな」

 

「おー」「りょーかいぃ」

「888888」「ないすぅ」「ハンチョー!」

 

 

 小さくて暗くてじめじめした、天下のタマムシ大学研究室の一画。

 おー、という数人の歓声と共に拍手があがる。困惑する俺。満面の笑み、携帯獣学の権威オーキド博士。

 なんと、件の決戦……遠征におけるチームリーダーが、俺に決定してしまったのだそうだ。

 

 

「いやいや、なんで筆頭研究者とかいう名目まで俺が被るんですか。色々と問題ありません?」

 

「肉体的にはな。ただ、それ以外において……知識とポケモン繰りについて、お前以外に適任はおらんじゃろ」

 

 

 オーキド博士は呆れたようにそう言うものの……まぁ、教授戦ではないし。班長になるくらいは問題ない、のか?

 実質、この遠征の立ち上げは俺みたいなものだからな。オーキド博士の新種調査に端を発しているとは言え、『あちらの研究班』に便乗してみせたのも俺自身。その指揮を執らされるくらいは、許容すべきなのだろう。

 

 

「というか俺がトップで良いのか我が班員」

 

「いいですよー。むしろ研究もポケモンバトルもこなせる人材なんて、ショウさん以外にはあり得ないですよぅ。私も向こうの地方には縁がありまして、すこしばかり立ち回りは援護できますから、楽しみにしていて下さいねっ!」

 

 

 ぐっと親指を(上に)立ててみせる我が班員。そういや生まれがあっちだものな、この人。

 実働部隊の人らから、信頼を勝ち得ていること自体はありがたいけどなぁ。

 

 

「不安なんですって。だって海外ですよ?」

 

「理解はできる。ワシもこの規模での遠征は初めての試みでな。あちらにはあちらで大きな研究機関や大学があって、そちらで同様の研究を立ち上げては居るが……土地的にはその国の南側ではある。研究領域的な問題は起こるまい。駄目ならワシの名前でも出しておけば良い」

 

「ありがたいんでそうします。そうならないようにはしますけどねー」

 

 

 まぁ後から起こりうる軋轢(あつれき)やらは、結構俺個人としてはどうでもいいんだけどな。肩書き借りられるのはありがたいんで。

 単純になー。野生ポケモンのレベルが不安っていうなー。

 

 

「調べた限りでは、ポケモンの分布的にはだいじょうぶだと思いますけどねー」

 

「マッギョに注意しましょう、マッギョに……。泥中のあいつらは怖いっす」

 

 

 我が班員達がちょっとだけ補足はしてくれる。

 肉体強度や技練度といった、野生ポケモンのレベルの直接的な(サンプリング)調査は未だされていない地域だ。ただ、「野生ポケモンが進化している割合」を見るとおおよそ割り出せたりする。それをみるに、奥地までは十分に行けそうなんだよな。野生ポケモンとのバトルは道具をフル活用して避ける方針だし。

 調査対象がそもそも、そういう場所を好んで住んでる……ってのも理由としてはあったりするからな。

 

 とかとか、思わせぶりな駄弁りを重ねているとだ。

 

 

「―― あ、お迎え(・・・)ですよぅ、ハンチョー!」

 

 

 扉近くに居た班員が声を上げた。

 片手でそちらを指さし、その口元にはなんかこう形容しづらい茶化す系統の笑みを浮かべつつ。

 ……あー、お迎えってことはだ。

 

 

「お迎えにあがりました。ショウさんはいらっしゃいますでしょうか?」

 

 

 着物をお召しになられて、しずっと。直近にご縁のありまくりな、エリカお嬢様のご登場である……!

 俺は頭をかきつつ壁時計を見やる。残念、電池切れだ。世の中PC頼り。腕時計もない有様で、トレーナーツールと一緒にしたものを作る(・・)つもりなのである。残念年齢一桁社会人!

 

 

「あー、もうそんな時間だっけか」

 

「えぇ。フライト(・・・・)に間に合わせるなら、余裕はあまりありませんわね」

 

「我ながら時間管理が酷い……。……んじゃあ、後は特に詰めるところもなさそうだしまた明日って事で」

 

「うむ。それじゃあの」

 

 

 博士らに見送られながら、雑紙とモンスターボールの入ったリュックバッグを手に持って、ささっと研究室を後にする。

 エリカお嬢様が待つ側、黒塗りの高級車の扉の中へすいっと飛び乗った。

 

 

「では、出発して下さい」

 

 

 隣にエリカお嬢様が座って、運転手さんが扉を閉めて、車が動き出す。

 タマムシシティの外縁部を通って公道へ。目指す先は公営の空港だ。

 

 

「研究の準備の方は順調でしょうか?」

 

「まぁおそらくは。権利関係は大丈夫そうなので、あとはやってやれな気分になってきました」

 

「ふふ。なら大丈夫ですね、ショウさんなら」

 

「いや、何を根拠に……」

 

「先日のわたくしとの協働を根拠に。ショウさんの知識を下地にしたアドリブ力は、十分に見せていただきましたから」

 

「あー……あー。そですね、はい」

 

 

 ぐぅの根も出ない反論である。そういや俺の研鑽の成果はエリカお嬢様には見せてたものな。お手上げしておこう。

 

 

「まぁアレを見て『俺に知識がある』って判断出来たエリカお嬢様も相当だと思うんだよなぁ。……エリトレコースってそんな雑多な知識が必要なんで? いっちゃあ何だが、トレーナー資格だけならほぼ義務教育みたいなレベルの試験だよな。運転免許というか、文語力の問題というか」

 

「そうですわね。ただ、ポケモンに関する知識は追々詰め込む形になるので……どちらかと言えば制度関連が多いですね。試験内容にも、バトルの実技などはありませんから」

 

「ほえー」

 

「国が認可した公的な資格で、その活動による収入を許されるというのは大きなものですからね。ただでさえ最近はポケモンバトルの興行化が各国で進められておりますし……」

 

 

 ここ数週間。毎日のように送り迎えをされているうちに、すっかり慣れた(慣れてしまった)間柄だ。

 大学の敷地内から中央付近に向けては、公的な交通機関が少ない。そこをまんまとエリカお嬢様に付け込まれた形だったりする。ラッシュ時間帯以外での送り迎えは……ありがたいです、はい。

 そもそも飛行機の国際便が発着しているタマムシ-ヤマブキ付近では飛行ポケモンによる交通が制限されているってのが大きいんだよな。その代わりにこうして車が走るための道路が整備されているっていう面もある。

 

 

「っとっと。そういえばこの間のサンプルだけど、水質については変わりなしって認められた。源流域の再調査は必要なしって言われたよ。いやほんとありがたい。エリカお嬢様も、ありがとな」

 

「ふふ。お力になることが出来たのならば幸いです」

 

「これで懸念はつぶせたし、図鑑はおよそ目途は立ってきたかな……草タイプについてはリストを送っておくんで、ジムの方で目を通しておいてくれるとありがたい」

 

「判りました」

 

 

 適当な会話をしている内にも窓の外の景色は流れ、どんどんと移り変わってゆく。

 ……んでは、そろそろかね?

 

 

「そいじゃあちょっと踏み込んで聞いておきますが。ご両親との進捗はどんなもんでしょ」

 

「良好です、と言ってしまえるでしょうね」

 

 

 エリカお嬢様は窓の外から振り返り、俺の目に向けてがっつり視線をぶつけながらの返答をくださった。

 そうかぁ。まぁ、(世の中に存在する噂好きな人々の琴線には触れることなく)センセーショナルな事件にもならなかったみたいだし。いい感じには運べたんかね。

 

 

「家出については父が。ゲームコーナーについては、特に母が話を聞いて下さりました。あんなに話したのは久しぶりでしたわ」

 

 

 ほぐれた感じの笑みで、エリカお嬢様は続けてくれる。

 ゲーム的にもあそこはロケット団としては総本山みたいなもんなんで、監視とまではいかなくとも、注視していてくれると助かるんだよな。ほんとに。

 ……シルフカンパニー? あそこは本質的には普通の企業だからな。R団の色が強くて売り上げ伸びるはずはないし。

 ……トキワジム? あっちはリーダーとしての側面が強い普通の場所だと思ってる(遠いし怖いので近づいていない)。

 

 

「まぁ、家族仲がこじれなかったんなら俺としても万々歳です。工夫した甲斐がありましたね」

 

「えぇ。……ちなみにですが」

 

 

 何にちなむのかは知らんけど……エリカお嬢様がふと笑みを和らげる。

 

 

「ポケモンジム自体、研究畑の人との繋がりはあまりなかったようで……そういう意味でも喜んでくれてはいるようです。父も母も、ショウさんとお会いしたいと仰っていましたわ」

 

 

 にっこり。気のせいか、運転手さんからもバックミラー越しの視線を感じた。

 いや両親紹介とかRTAじゃないんだから……う゛ぅん。俺の方はもう挨拶されてたわ。観念するべし。抗うなかれ。

 

 

「時間があれば、是非に」

 

「ありがとうございます。ではわたくしの方で、予定を組ませてもらいますわね!」

 

 

 実に楽し気な調子で言われるとなぁ。なんとも拒否はし辛いのである……!

 むしろ声を震わせることなく返答した俺を褒めて欲しいくらいだよっと。

 

 

「……ふぁあ」

 

「おっと、眠いのか?」

 

「えぇ。失礼ながら、少しばかり」

 

 

 エリカお嬢様があくびをしていた。

 今現在は真昼間とは言え、眠気というのはどうにもし難い。体を壊すとかしないでくれればいいんだけどなー、とか自分の激務ぶりを棚に上げながら思いつつ。

 

 

「なら空港に着くまで寝てたらどうだ?」

 

「……よろしいので?」

 

「そらもちろん」

 

 

 なんかこう礼儀とかに気を使うならマイナスなのかも知れないけどな。

 俺とエリカお嬢様だとそんな仲でもない。いや、ビジネス的な感じではないというだけで深い意味はないけれども。

 

 

「……そうですわね。ショウさんが許してくださるなら。……では、失礼して」

 

 

 言葉からしばらく置かず、エリカお嬢様はすやっと寝息を立て始めた。

 寝姿を見続けているのもなんなので、俺は膝の上でノートPCを起動して向こう方への機材確認メールを作成。

 作成していると、だ。

 

 

「すぅ……すぅ」

 

 

 肩にとすっとした重み。

 ……状況をおさらいしよう!

 高級車両のシート上、隣にはエリカお嬢様のみ、彼女は眠っていていや自分でオッケー出したので起こし辛い!

 いやさ。間違いようもなくエリカお嬢様が俺の肩に頭を乗せてるんだろうけどさ。視界の隅にさらっさらの黒髪が見えてるけどさ。指摘できんでしょ、これ……。

 

 どうしようもなさに正面を見る。

 バックミラー越しに運転手さんからの視線。

 起こすなよ。あるいは、覚悟をきめろ。

 そんなお言葉を眼力伝いにもらった気がした。

 

 そうなー(諦め。

 目的地であるタマムシ空港に着くまでは、快適な枕になることを目指して、まぁちょっと頑張りますかね。色々と!

 

 

 

 

 

 

 ――

 ――――

 

 

 

 

 そうしてようやくと到着したタマムシ空港のロビーにて。

 多数行き交う人の中でも、しっかりとわかる。

 少しだけ曲がった腰と胴着。ひょうきんな中に、意図的(・・・)に隠したオーラ。

 

 

「―― おっ。来てくれたのね、ショウちん!」

 

 

 お目当てのお人、マスタードさんがそこに居た。

 そう。本日はこの国を津々浦々巡っていたマスタードさんとダクマ(と奥さん)が、別の国へと旅立つ日なのだ。

 どうやらカントーだけでなくジョウト、それどころかシンオウもアルミアも、ホウエンまでも回ったらしい。なんとも健脚なおじいちゃんである。まぁ、あの人の肉体年齢を考えると当然に出来るんだろーなとも思うんだけどさ。

 俺は小走りで駆け寄りながら、頭を下げる。

 

 

「待たせてすいません」

 

「あら、ぜんっぜん遅れてないけどねぃ。というかショウちん、いいの? 女の子を待たせて」

 

 

 俺のずぅっと後ろ。空港の入り口付近で運転手と共に待っていてくれているエリカお嬢様を指して、マスタードさんは言う。

 ……いやこれに関しては完全に俺の都合で車動かしてもらってるんで、待たせるのは確かによくないんだが。挙句「別れの挨拶はおふたりで」とか言って、空港の入り口で待っているんだものなぁ。

 

 

「彼女がこないだ言ってた研究の出資者のひとりで。いや、俺の都合なんですけど、って一度断ってるんですけどね。送らせろとの要望が……」

 

「ほーん。……素質があるみたいだね~」

 

 

 ヒモじゃないんだがっ、という反論はしたいけど説得力がないので取り下げておく。代わりに苦笑。

 

 

「それはそれとして。ダクマは元気でしょーか。姿が見当たりませんけど……」

 

「そうね。……おっ、来た来た」

 

「―― グマッ!」

 

 

 頭上 ―― 2階のロビーからダクマがすちゃっと降り立った。

 軽快なアクション。ダクマと俺で、拳を合わせて挨拶。ついでに空港の警備員さんとガーディに叱られるまでがワンセットな。

 

 

「空港の端まで来まして、と。……少しはお役に立てたんですかね? 俺にはあまり実感がなかったんですが」

 

「もちろん! ダクマ、いろいろと学べたみたいよん」

 

 

 発着場の方向へ歩きながら、マスタードさんは軽妙に笑う。ダクマもグマッ、と力こぶしを作って見せた。

 

 

「にしても、実感できてないのね。うーん。まぁ、ショーちんの研究者としての(サガ)なのかもねぇ。これはお礼替わりに、具体的に言っちゃうけど……」

 

 

 マスタードさんは、ダクマのやんちゃな様子を目端に留め置きながら指折り数える。

 

 

「ワシちゃんの所属してたガラルリーグでは、1対1じゃない戦闘ってのはスタンダードじゃないのよん。そこでしか得られない強さもあれば、でも、そこでは得られない強さもある」

 

 

 そうな。ガラルは特にポケモンリーグの興行化という意味では先進地方だ。

 そして……うん。シングルの「見せ合い6-3」どころか、「見せ合い」という概念すらも希薄なのが今現在のポケモンバトルだ。

 公認リーグで禁止されていない。だからこそ成り立つ技術も沢山ある。俺のサイン指示とか、大きな視点で見た場合のナツメの念交信(テレパス)指示なんかもこれにあたるだろう。

 

 

「で。リーグという基盤が合って、ポケモンが……1対1で対面することが基準とされてしまう以上。非常に面倒な問題がひとつ、浮かび上がってしまうのよね」

 

「あー、……ですねー……」

 

「ショウちんは理解しているね。そう。ことポケモンバトルという分野において、ポケモンという種族には、『強いポケモン』と『弱いポケモン』がいるのよん」

 

 

 まぁマスタードさんほどバトルに造詣が深ければ、行き着くのも当然か。

 そうだ。この世界では能力の数値化がされていない。つまりは……『未だ強い弱いの概念が薄い』ということでもあるのだ。

 

 

「生まれた種族が、強かったり弱かったり。残酷だって、考える? そういう人も居るのかもねぃ。でも、そうじゃあないとワシちゃんは思う。ポケモンバトルという分野があって、それが発展進展を遂げる以上、ポケモンの種族別の強さというのには絶対に行き着く。ひとつの知識の到達点にして、壁でもあると思うのよ」

 

「そうですね」

 

 

 だからこそ俺は率先してその分野に「先に足を踏み入れさせてもらっている」んだからな。

 マスタードさんは続ける。

 

 

「それは種族もだし、もっと細かく広げてゆけば、タイプの話にもなるかもね。弱点の多い少ない。有効技の多い少ない。……ただこれは、ワシちゃんがガラルリーグでしのぎを削った相手がフェアリーな相手だから、特にそう思うのかも知れないけれど」

 

「……あのお方はまぁ、何でもありって感じですよね」

 

「あっははは! ショウちん、お気に入りみたいね。今度ワシちゃんから紹介しといてあげよっか?」

 

「それは是非。俺の研究の第二ラインはその辺り……『カントーに存在しない新タイプ』なので、繋がりはあるとありがたいですね」

 

 

 なら後でメールしとくね、とか軽い調子で連絡先を俺に渡してくるマスタードさん。なるほど、用意周到だ。

 ダクマがびっくりして立ち止まってしまったので、先に合った動く通路をわざと避けて。

 

 

「強いポケモン。強い種族。強いタイプ。そういうのが凝り固まると、リーグっていう組織そのものにも悪影響が出るよね。だって、見てて楽しいバトルからは遠ざかっていくのだもの。モチロン、闘っているポケモンとトレーナーはまた別だけどね? だって皆で頑張って、勝ったら嬉しいでしょ!」

 

「それはもちろん。そういう所から突き詰めていくと、っていう話題ですからねこれは」

 

「わかってるーぅ!」

 

 

 ここまで話が広がると、俺としても理解はできた。……この人は。

 

 

「だからワシちゃんはね、もっと『ポケモンバトルで出来ること』を広げようって思って旅をしているのよ。今回のショウちんから『対多数の戦闘を学んだ』ダクマも、そのひとつ。より自然でゲリラな……ワイルド(・・・・)な戦闘ってのは、価値のある(・・・・・)ものなのよん」

 

 

 今回の調査におけるバトルは、俺としては初となる、悪の組織との対面。つまりは『負けられない戦い』だった。

 そういうバトルの上手さっていうのは、少なくともリーグでは必要とされない。しかしもっと大きな盤面で要される可能性のある、欠かす可能性はあれども重要性の高い力なのだ。

 んー、そこまで見据えられてるとな。うん。理解はできた。マスタードさんは「俺と視点が同じ」なのだ。

 ……なんか最近、そういう人とばっかり合うのな! エリカお嬢様にしかず!!

 

 

「その点について、きっとショウちんは有効な答えを出してくれそうだからねぃ。ワシちゃん、安心しちゃった!」

 

「俺としてもお役に立てたってのが判ったんで安心しました。……いや、普通にダクマを戦力として護衛してもらってましたからねー、調査の時は」

 

「グッマ」

 

 

 チャームポイントの眉毛をひそめて、気にすんなよ、だろうか。

 人と過ごしているのが長いだけあって、このダクマは非常にコミュニケーションが取りやすい、判り易いんだよな。

 

 

「こういう旅を続けていれば、こういう答えに出会える偶然がある。だから楽しいのよねぇ。お嫁さんに付き合ってもらってるのだけは、ちょっと不安かけてないかが心配だけども……」

 

 

 言葉を続けていたマスタードさんが、立ち止まってニカっと笑う。

 理由は単純。飛行機につながるゲートの手前に、「いきいきと待ち構える」女性の影が見えたからだ。たぶん、奥さんだろーと。

 

 

「それもまた、いつか笑って話せるエピソードになってくれると思うからねぃ! だからね、ショウちん。いつかワシちゃんがガラルに戻って腰を落ち着ける日が来たのなら、一緒にお相手して頂戴ねっ!」

 

「グッマァ!!」

 

 

 そういう楽し気な様子を残して、マスタードさんは再び諸外国へと旅立ったのであった。

 うーん。あのバイタリティは見習わないとな。そんでは俺も、遠征に向けて本腰入れるとしますかね!!

 

 







 14日に書いていたので実質バレンタインディ(戒め
 エリカ編、ほんとの最終決戦。



 こういう内容を書いている最中にアルセウスが出てるので、びっくりした気分も無きにしも非ず。
 アルセウスよりも先にやってるので……(戒め。なんなら投球フォームでボール投げるのも剣盾より先で、BW時代に書き始めたこの書き物でリメイク次元とかやっているので……(戒めの戒め

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