ポケットでモンスターな世界にて   作:生姜

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1996/冬 本戦2回戦

 

 

 バトルを終えてすぐさま、オレは別の会場へとひた走る。ゴウとナツホのバトルが開始されているためだ。

 しかしそんなオレの心配はどうやら、1回戦に関して言えば杞憂であったらしい。

 

 

「―― ゆくぞっ、レアコイル(テツゾウ)!」

 

「ビビビビ」 

 

 

 ジムリーダークラスの人を相手に、鋼タイプのレアコイルを前面に押し出した入れ替え戦の末、ゴウが勝利。

 

 

「わんたっ、やっちゃいなさいっ」

 

「わふぅっ!!」

 

 

 手持ちの相性が良く、なんとナツホもジムリクラスの人を相手に勝利。と、2人とも1回戦を突破することが出来ていた。

 本戦に勝ち進んだ32人のうち、ジムリクラスの人員は19名。つまりエリトレクラスの人たちも13人が勝ち進んでいる計算になる。元もとの比率がおおよそエリトレ100対ジムリ30だったのだから、見事な逆転現象である。恐ろしい。

 逆に言えば、オレの1回戦の様に、本戦でもエリトレクラスの人と当たる可能性は十分という事でもある。とはいえ勿論、勝ち進んでいるエリトレクラスの人たちも油断できない奴らばっかりだったりするんだけどさ。

 

 

「さて。これでオレらは3人とも、初戦を突破した事になる訳だけど」

 

「2回戦は明日。組み合わせを観に行くべきだろう」

 

「そうよね。ふふんっ、でも今のアタシなら誰が相手でも楽勝よっ」

 

 

 ナツホが明らかに増長しているけれど、ツンデレという特性ならばこの増長も力に出来るに違いない……と、信じたい。オレはそんなナツホにそーだなーとか適当に相槌をうちながら、闘技場の入口に向けて歩いて行く。

 移動している目的は、とりあえず1つ。ゴウの言う「組み合わせ」を見に行く事だ。

 本戦2回戦からは16人ずつの「山」の中で対戦相手がシャッフルされる。そのため、1回戦全てが終了した時点で次の対戦相手が発表される。

 組み合わせが決まった時点でトレーナーツールに連絡は来るにしろ、やっぱり見られるなら直接みたいよな。という事で、こうして闘技場の入口にまで戻ってきたのである。

 

 ……が。

 2階の通路から、オレら3人がひょいと顔を出すと。

 抱き合っていた(様に見える)2人がびくっと。

 

 

「っ……」バッ

 

「……あー」

 

「……」ギュッ

 

 

 握っていた胸元を離し、背中へと隠れ、裾を握りなおすカトレアお嬢。そして、隠れられたショウ。

 微妙な沈黙。気まずい感じ。

 

 

「……修羅場、か」

 

 

 ゴウがぼそりと発した声が、いやに響く。

 ……さて。そうだよな。見なかった事にして、と。

 

 

「いや、待て。本気で待ってくれ、シュンもナツホもゴウも。それは勘違いだ」

 

「……」

 

「勘違いではないだろ。今の場面を見られたら修羅場るのは確かだしさ」

 

 

 とか言いつつ、オレらは脚を止める。

 オレの指摘にショウは「いやー、だいじょぶだと思う……だいじょぶだよな?」と自信なさげな様子。

 ……ふぅ。冗談はここまでにしておいてやりますか。一応、思い当たる節もあるしな?

 

 

「カトレア、負けちゃったのね」

 

「……」ギュッ

 

「まぁ、そゆこと」

 

 

 空気を(ある意味)読んで、ナツホが確認。頬をかきながらも、ショウはその場を離れようとはしていない。後で涙の後を残しているらしいカトレアお嬢を、その身体を衝立代わりに隠したままだ。

 泣いているカトレアお嬢に、その師匠たるショウ。

 つまり、カトレアお嬢様は本戦1回戦で敗北を喫してしまったのだろう。

 

 

「あー、相手がいきなりのマツバさんだったからな。タイプ相性もトレーナー技術も、今はまだマツバさんのが上回ってる。カトレアにしてみれば、良い経験にはなっただろ」

 

「……ですが」ムゥ

 

「はいはい。確かにオレとミィは、マルチトーナメントの1回戦は勝ち抜けたけどな。ルールも相手のレベルも段違いだって。だから不貞腐れるなよ、カトレア」

 

 

 どうやら、同時進行して行われたショウとミィの「マルチバトル」の試合は見事に勝利したらしい。それこそ先日言ったように、タマムシスクールで相手になるのはあの双子くらいのものなのだろう。其方はある意味予想の通り。

 置いといて。

 マツバさんの専任タイプはゴースト。カトレアのエスパーポケモン達は、マツバさんのエースであるゲンガーには相性が良いとは言え、その他の手持ちも考えると土台からして不利な戦いだったのは間違いない。

 ショウの言う通り、相手が悪かった。それでも負けたのは悔しいだろうな。とはいえ同情して喜ぶようなカトレアお嬢様でもないので、そこはショウに任せて触れずにいておいて。

 

 

「それより組み合わせの発表はそろそろだ。掲示板 ―― ん、出た出た」

 

 

 ショウが指差す先に、オレも視線を向ける。

 2階通路から見下ろす……いや、2階通路からも尚見上げる必要のある、巨大な電光掲示板。

 その電光掲示板をばばんと覆う一面のやぐらが、一斉に色を変え始めていた。

 敗退した選手にバツ印。

 勝ち進んだ選手の名前がやぐらの中心に近付き。

 名前は動きを止め、一斉に入れ替わる(シャッフル)

 

 吹き抜けのロビーに歓声が沸いた。

 

 1階にも2階にも3階にも、出場選手たるトレーナー達が集まっていたからこその、歓声。

 それは歓喜であり、恐慌であり、単なる驚きでもあり。オレ的には多分、歓喜……で良いと思われる。

 やぐらで向かい合ったのは、見覚えのある名前。

 

 

「オレの2回戦の相手。ハヤトいいんちょ、だな!」

 

 

 こうしてオレことシュンの2回戦の相手は、決定したのである。

 

 

 

 

 ΘΘΘΘ

 

 

 

 

 明けて翌日。

 色々と準備を済ませ、オレらは再び闘技場へ。控え室でゴウやナツホと別れ、出番を待つ。

 

「(それにしても、相手はいいんちょか)」

 

 いいんちょこと、ハヤト。

 同郷キキョウシティ出身。このタマムシスクール上級科エリトレクラスで「主席」たる、エリート中のエリート男子生徒である。

 この場合の主席とは主に座学による判定であるため、バトルの腕前と直結しているわけではないけれど。アンズちゃんが「次席」であったように、要するに席次とは「次の段階へ進むための箔」なのである。

 うん。アンズちゃんにしろいいんちょにしろ、ジムリーダークラスに進む気満々だからなぁ。父親がジムリーダーという所も、ファザコンという所も共通しているし。……2人の相性が良いのか悪いのかは、不明だけどさ。どちらかと言えば言い合いになりそうではある。

 そんな風にまとめつつ、昨晩かけて描いた作戦を脳内で確認していると、選手入場の時間となっていた。

 名前が呼ばれ、コロッセオ的な入り口が重い音を立てて左右に開閉。溢れる歓声。

 

 よし。行こう。いよいよ2回戦!!

 

 闘技場の観戦席は、あいも変わらずというか、寧ろ先日よりも人が多いくらいだった。

 タマムシシティだけではなく、カントー全域。隣のジョウト地方。加えてそれらだけには留まらず、なんとヴイアイピーと書いてビップと読むお人たちも観戦に訪れているらしいとはショウの談。

 ……いやさ、暇なのだろうか? VIPの方々。決して掲示板の事ではなくて。

 何分、たかがカントーの学生によるポケモンバトルトーナメントなのである。娯楽としてはそこそこだとしても、将来性としてはまぁまぁだとしても、だからといって直接見に来るほどの事なのでしょうかと。

 などなど。

 意味も無く考えを回しているのは緊張からなのだろうか。それはさておき、先ずは挨拶からだな。

 目の前、バトルフィールドの中央へ。

 

 

「今日は宜しくな、いいんちょ」

 

「おれの方こそ、宜しく頼む。良いバトルにしよう」

 

 

 爽やかな笑顔と共に手を差し出すいいんちょと握手を交わす。

 さて、準備までの時間はもう少しあるみたいだけど……。うん。いいんちょと会話をするのは(何故か)かなり久しぶりな感じもするので、積もる話もあるだろう。ハヤトが口を開く。

 

 

「こうしてバトルをするのは久しぶりだな、シュン。もしかするとキキョウシティでのポケモンスクール以来か?」

 

「そうかもなぁ。それに、真剣なバトルとなると初めてだし」

 

 

 こっちに来てからも、バトル自体は結構やってたけどな。スクールのポケモン達でさ。

 なんとはなく昔を思い返しながらそう返すと、いいんちょが目を大きく見開く。ついで、笑った。

 

 

「そうか。そうだな。真剣なバトルとなると初めて、か。……おれ達もそのつもりでかかる事にするよ」

 

 

 いつになく真剣な笑みで、ハヤトいいんちょはそう話してくれるものの。

 ……なんか藪蛇だったか? このハヤトに勝たなければならないとは、中々の難題であるのは間違いないな。まぁ油断しているハヤトに勝っても嬉しくはないし、意味もない。そもそも知己だからといって油断するようないいんちょでもないので、うん。気にしない方向で置いとこう。

 

 

「そろそろ準備の時間だ。それじゃあ、シュン」

 

「ああ。それじゃあ、いいんちょ」

 

 

 互いに背を向けて、トレーナーズスクエアへと戻ることにする。

 

 さては、本格的に2回戦の始まりである。

 オレはポケモン達に支給の「アイテムバッグ」を装着しながら、アイテムを選別してゆく。

 「アイテムバッグ」はポケモンの手持ち道具を隠すために唯一バトルフィールドへの持ち込みが許されている道具だ。例えば「きあいのタスキ」なんかは、身体にかけていては相手にバレバレになってしまう。道具を隠し持てるポケモンであれば良いけど、そうでないポケモンも、当然多く存在する。

 そういった部分で公平さを保つためのカバンがアイテムバッグ、という訳だ。因みに中には1個しか入れられず、しかも木の実なども中に入れているだけで発動させられるらしい。マダツボミみたいに隠し持てる部分(この場合は主に捕虫器の中)があるのなら、バッグを使わず持ち込みも許されるんだけどさ。

 尚、バッグに入れた場合には効果発動のタイミングが選べない。アンズさんの時みたいにタイミングを選びたい場合には、はじめっから口の中に入れておくとか工夫をする必要があったりする。アカネは尻尾のもふもふの中に隠し持ってたので。

 

 いいんちょ相手、対策は事前にたてられた。

 あとはバトルの流れ次第だな。と。

 

 

『それではではではっ! 本戦2回戦、そろそろ開始しますよぅ!』

 

 

 これまでアナウンスを使用して来場者への説明を行っていたクルミちゃんの音声が、闘技場内部へと戻ってくる。

 来るなり。

 

 

『和風イケメン VS 業界注目度高しシュン選手っ! さて、オッズはどうなっていますでしょうか!?』

 

『賭けてませんからねー。ええ。不穏当な事をいうのはこの口ですか、クルミちゃん』

 

『いひゃいいひゃい……いひゃいいひゃいいひゃいッッ!?』

 

『縦縦横横とはまた渋い選択を。後半が痛いんですよね』

 

 

 確かにそれは不穏当でしょうに。クルミちゃん、芸人肌だなぁと。

 

 

『いひゃい……』

 

『わたしがお仕置きしておいたので許してくださいね、お上の方々と選手方々。では、仕切り直させていただきまして! お二方の準備も宜しい様で……本戦2回戦、キキョウシティ出身トレーナー対決! ハヤト選手 VS シュン選手!』

 

 

 会場の弛緩した空気をちょっとだけ引き締めるため、長めに間を取るアオイちゃん。

 その間に、オレとハヤトの視線が改めて交錯し。

 

 

『バトルッ……始めっ!!』

 

 

 ブザーに重なったバトル開始の掛け声に合わせて、モンスターボールを投げ合った。

 初手、

 

 

  ()()()()()()() ()

 

「―― ピジョォッ!」

 

「―― ッグ!」

 

 

 ピジョンが空に浮かび、クラブ(ベニ)が地上に降り立つ。

 ハヤトの中で上手く回したい相手は、やはりエアームド。鋼という防御力に長けたタイプに加えて、空を飛ぶことが出来る飛行タイプでもある。弱点は明白だけれど、それだけに対面が良い場合は無類の強さを発揮する。

 オレとしてもエアームドには炎タイプであるアカネを当てていきたい。

 ハヤトにしてみれば、物理攻撃力が高いオレらメンバーへの対策としてエアームドを温存しておきたい。

 つまり先鋒の対面がこう……ピジョンとクラブになった理由は、オレもハヤトも「様子見」をしておきたかったという事なのだろう。

 

 

『さあ、ハヤト選手のピジョンとシュン選手のクラブとの対面となりました初手! 互いの指示はっ』

 

「ピジョン、『舞う』んだ!!」

 

「ベニ、距離を詰めてって中央!」

 

 

 オレの指示に従い、ベニが「丘陵」フィールドの中央部へと駆けて行く。対するピジョンはというと、空に留まってバサバサと羽を動かし出した。

 それにしても「舞う」……『フェザーダンス』か。

 確かにこれは、ピジョンを上手く生かす形だ。『フェザーダンス』によって物理攻撃力を下げられたベニは、ピジョンに対する有効打を失っている。『はねやすめ』によって回復できるHP分が、ダメージを上回っているのである。

 警戒しているのは物理攻撃ながらに間接攻撃が可能な『しぜんのめぐみ』だろう。とりあえず今は届かないので、物理攻撃を当てられるタイミングを見計らう「てい」で居るけど。

 

「(いいんちょ、オレのベニを流す(・・)つもりか)」

 

 先ほどにも挙げたとおり、この「勝負全体」の分岐点は、アカネに誰が相対するかという部分にあると思う。オレのメンバーの炎技は、起点にしろ直接にしろ、全てアカネに集約されているからさ。

 だとすればベニを「流す」……後退を余儀なくさせ、続いて繰り出されたアカネにアドバンテージをとるという流れは、十分な意味がある。ミドリに関しては飛行を扱うハヤトのポケモン達とはタイプ的な相性が悪いし、後出し(先行でポケモンを交替し、攻撃を1度食らう形)するには分が悪い。交換するとすればアカネだというのは、理論としては間違いもない。

 

 

「ベニっ、そのまま『あわ』!」

 

「ブクククッ!!」

 

 

 オレは相手の『フェザーダンス』に合わせて後出しから間接技を指示。届かないけど仕方なく、という部分を強調しておく。

 勿論オレも、闇雲に指示しているわけじゃない。考えが絞れているなら、それを崩すのがトレーナーとしての役目(みせどころ)なのである。

 ピジョンが空を飛んでいる間は、残念ながらベニお得意の物理攻撃も届かない。狙いは必ず挟んでくるであろう飛行タイプの回復技『はねやすめ』の、初回だ。

 慎重に相手を観察。ハヤトの回復指示のタイミングは絶妙である。こちらの攻撃では倒れず、それでも十分に回復量を維持できるタイミングで、必ず繰り出してくる。

 ……でも、だからこそ「読める」。

 ピジョンが地面に降り立つという事は、ベニお得意の接近戦が挑める距離になるという事でもあるのだから。

 今は攻撃力を殺されている……と、安全だとハヤトが考えている内に。

 初めての回復。訝しまれる、その前に!

 

 

「再び舞うんだ!」

 

「ピジョジョッ!」

 

 《バサササッ》

 

 

 届かない空の上、ベニの『あわ』を物ともせずピジョンが2度目の『フェザーダンス』。

 とはいえ2度も攻撃を受ければ回復を挟みたくなってくるはず。重ねての使用により、次に使う『はねやすめ』の回復量は相対的に増大 ―― ハヤトがピジョンと、数瞬、視線を交わし。

 

 

「ピジョン、『休め』!」

 

 

 そんなオレの脳内を知らずして、ハヤトは素早く腕を振り下ろす。

 

 

「ピジョッ」バササッ

 

 

 指差した……フィールドの端に降り立ち、ピジョンが翼をたたむ。

 先手がピジョンなだけに、狙いはつけやすい。ベニに合図を送る。脚を素早く動かし、中央から接近。よし。十分に届く距離!

 

 

「ベニッ、よく狙う(・・・・)ぞ! 『かわらわり』ッ!!」

 

「ブククク。……グっ」

 

 

 脚を曲げ、ベニが跳ぶ。ピジョンの上からハサミを振りかぶる。

 『はねやすめ』は特殊な回復技で、使用している間「ひこう」のタイプを失う。つまり今のピジョン……ノーマル単タイプには、格闘タイプの『かわらわり』が効果抜群だ。

 

 

「―― っググゥ!!」

 

「ピジョッ!?」

 

 《ベコォンッ!!》

 

 

 慌てて飛び立とうとしたピジョンごと、逃げ場である上方を取ったベニがハサミを振り切った。地面に大きくクレーター。

 効果抜群だとはいえ、ハヤトとピジョンの側としては倒れるつもりはないのだろう。攻撃力の低下というのは、それ位には重要な効果を持っている。

 

 

「狙われたか……しかし、反撃だっ、ピジョン!」

 

 

 声高に叫ぶハヤト。

 ……でもさ、いいんちょ。信用ならないのはオレとしても重々わかるけどさ。本意ではないらしいけど、あれだってショウ達が頑張った研究成果の1つなんだ。

 しっかりくっきり底をついたHPを、さっきから一生懸命に表示してくれている電光掲示板。見てあげてもいいんじゃないかなと!!

 反応が無い事に気付いたいいんちょは、視線を下ろして見えてきた光景に目を見開いた。

 

 

「ピジョン! ……まさか!?」

 

『ピジョン、戦闘不能! シュンのクラブの勝利です!』

 

 

 驚くハヤトの前で、目を回したピジョンの様子を確かめ、審判員が戦闘不能を告げる。

 よし、突破!

 

 

『クラブちゃんのトンデモ威力の「かわらわり」が炸裂ぅぅっ!! ハヤト選手のピジョン、派手にのされてしまいましたよぅっ』

 

『威力もさることながら錬度の高い精密な攻撃です。正中の良い所……急所に当たりましたでしょう。ただでさえHPが減っていましたし、いくら「はねやすめ」の直後といえど、あれではひとたまりもありません』

 

『ほうほう。急所ですか。そう言えば確か、クラブが固有とする「クラブハンマー」のように、急所を狙いやすい技というのもあるんですよね』

 

『でもでもぉ、今のは「かわらわり」でしたよ? 特に狙いやすい訳ではないはずですぅ。それでも狙っていたんですかね?』

 

『ううん……確かな事は言えませんが、例えば、練習を重ねている。そういう道具を持っている。あるいはそういう効果を持つ木の実が発動しているなど。状況が揃っていれば、混戦の中で狙って当てることも不可能ではないでしょうね』

 

 

 ハヤトが「ひんし」になったピジョンの状態を確認している間を埋めるべく、解説間でのやり取りが続く。

 カレンさんが鋭すぎるけど……そう。オレのベニは今「ピントレンズ」という道具をアイテムバッグの中に入れている。「ピントレンズ」の効果はその通り。「急所を狙いやすくなる」というアイテムなのである。

 訳あって、今のベニは「技の追加効果を発動させられない」。だからこそ道具にも頼った。急所に当ててしまえば、技による能力低下は無視できる。格闘タイプの技で威力を重視するならもう1つあるけれど、熟練度を考えると『かわらわり』を選択したかった……という流れである。まぁ、まだバトル中だからいいんちょにも解説さんにもリアクションはみせないでおくけど!

 反対側のトレーナーズスクエア。ハヤトはこちらに一瞥をくれ、笑っておきながら、次のポケモンが入ったボールを投げた。

 

 

「押し切るぞっ……エアームド!!」

 

 《ボウンッ!》

 

「ェァームドッ!!」

 

 

 堂々名乗り上げておいて、金属質な翼が空に羽ばたく。

 重そうな外見のその癖、飛行タイプ。随一の防御力を持つポケモン ―― エアームド!

 

 

「『当てる』ぞ、エアームド!!」

 

「『あわ』で迎え撃つぞ、ベニ!!」

 

 

 同時に指示がとんだ。

 ……けど、これは予想の範囲内!!

 

 

「ムドォッ」

 

「ブクククっ!」

 

 

 エアームドは、ベニとの距離を保ちながら周囲を旋回。時折星形の光線……『スピードスター』を撃ち放ってくる。

 対するベニはというと、『あわ』。ぶくぶく噴出した泡は宙に浮かび、空中を飛び回るエアームドに当たってはぱちぱちと、軽い感じにはじけて消える。

 ……ええと、さっきからの不出来に関して言い訳をしておくと、時間は限られていたから習得する技の取捨選択は大事だったんだよ。遠距離特殊技は、ベニも苦手がっていたしさ。

 

 

 《バシュシュシュシュシュンッ!》

 

 《ブクククク、ブククッ!》

 

 

『物理攻撃の届かない空から、ひたすら「スピードスター」! これは一方的な展開かっ!?』

 

『反撃はしていますけれどね。ですが、この対面は決まりでしょう』

 

 

 解説に従い、段々と歓声が増してくる。見た目派手な遠距離戦に観客も熱気を高めている様子だ。

 攻防が都合3回。降り注ぐ星形の光線に埋もれ。

 エアームドがハヤトの前に立ち戻り、勝どきとばかりに翼を広げた。

 

 

「―― ァーッムドォォ!!」

 

「……ブッククク……」

 

 

 ハサミの重さもあって前のめりに、ベニは倒れてしまう。

 うん。審判員に言われずとも、オレが重々判ってる。

 

 

「クラブ、戦闘不能!」

 

  ()()()()()()()()()()()()() ()

 

「……ありがとな。よく頑張ってくれた」

 

 

 文字通り泡を噴くベニは早々にモンスターボールへ戻し、彼の大会におけるアタッカーとしての奮戦ぶりには感謝もしつつ。

 ここで相手はエアームド。次のポケモンを出す権利 ―― 対面の選択権はこちらにある。ハヤトもさぞや展開に苦しんでいる事だろう。なら、次だ。ご期待には応えたい。

 オレはボールを握り、素早く前へ。

 ……それじゃあお待たせ。ベニのためにも勝とう、この試合!

 

 

 《ボウンッ!》

 

「いよいよ出番だ……頑張ろう、アカネ!!」

 

「―― ブゥィッ」スタッ

 

 

 ショウに曰く「ブイズ」なる系統(どうやらイーブイの進化系統を括った総称であるらしい)に連なるブースター。進化したアカネが、バトルスクエア正面に降り立った。

 燃える様なふわふわの毛並みに、紅蓮と黄色の炎タイプらしい体色。やや所在なさげではあるものの、相手のエアームドをしっかりと見据えてくれている。

 

 

『さあこれは、いよいよましましブースタァァァァーッ!! お~で~ま~し~~ィィィッ!』

 

『クルミちゃんのテンションが異様に高いですが、いつもの事ですのでどうか皆様お気になさらずー』

 

 

 戦況の中心、炎ポケモンの登場に解説(というかクルミちゃん)が沸き立つ。

 さあ行くぞ。初手 ――

 

 

「アカネッ、『にほんばれ』!」

 

「……一旦退く、エアームドッ!!」

 

 

 アカネが指示に従い『にほんばれ』。寒空を切り裂いて、陽射しが強くなってくる。

 それにしても、退いたか。確かにアカネの攻撃ならば、残る1匹は後出しされても十分に耐えうるだろう。

 

 

『おおっと、ブースターが天候変化技を使用している間にハヤト選手はエアームドを交代!! となると、残るポケモンは……』

 

『オオスバメ、ですね』

 

 ――《ボウンッ》

 

「その通り! 覆すぞ、オオスバメッ!」

 

「スバ、スバッ!」

 

 

 ハヤトの中では最も素早く、攻撃力も十分なオオスバメ。

 この局面で「覆す」という言葉は正しいな。「攻撃力」と「素早さ」が揃っているポケモンというのは、相手を伸してゆく……戦況を一変させる力を持っているからさ。そういう意味で、オオスバメは正しく「覆す」ためのポケモンだ。残りのメンバーから考えても、アカネよりも、ミドリよりもオオスバメは速い。

 

 

「オオスバメ、『なげうて(ブレイブバード)』!!」

 

 

 交替して間もなくバトルは再開されている。『ブレイブバード』。低レベル帯では習得の難しい、飛行タイプの大技だ。流石はいいんちょと言った所!

 

 

「スバッ!」

 

 

 オオスバメは旋回すると低空飛行、一直線にアカネへ。

 先手は取られる。反撃も難しい。

 ……けど、『こらえる』!!

 

 

「―― スバッ!」

 

「ブゥ、イッ……!」

 

 

  ()()()()()()()()() ()

 

 ――《ゴロンゴロンッ》

 

 

「……ブィッ」フルルッ

 

 

『ブースター、転がった先で何とか立ち上がります!』

 

『ぎりぎり踏みとどまりましたよぅっ!?』

 

『ですが、相手の攻撃により場外。シュン選手のブースターはリングアウトで交替になりますね』

 

 

 よしっ、なんとかなった!!

 電光掲示板上のHPもかなり際どいが、立てている。アカネには何とか耐えて欲しかったから、この結果は上々に過ぎる。本当によく耐えてくれたぞ、アカネ。

 

「(戦局上は問題ないんだけど、ここで生き残ってくれないと色々と足りなくなってきそうだしさ)」

 

 考えつつも手元でボールを入れ替える。

 正面で「やってくれたな」という顔をしているいいんちょに向けて、さあ、試合を決める1匹を繰り出そう。

 

 

「決めるぞっ ―― ミドリ(・・・)ッ」

 

「―― ヘナァッ!!」

 

 

 ベタン。

 ボールから出たミドリが着地する、鈍い音。

 根ではなく、身体でもって降りた音だ。

 

 

  ()() ()()() ()()()()()()()()()()()()()()()()() ()

 

 

 そんな音もかき消される程、周囲から一層の歓声。……にしても凄い音量だな。

 しかし客席が盛り上がるには当然、理由がある。説明は解説席に任せるとして。

 

 

『キタキタキタキターッ!! 来ましたよぅっ、シュン選手のウツドン(・・・・)ちゃんッ!!』

 

『それにしても、シュン選手はどんどんポケモンを進化させてきますね。対戦相手からしてみれば作戦が読みづらい事この上ないでしょう』

 

『ですね。作戦が立て辛いというのは、シュン選手にとっても同様でしょうけれど……おっと、2匹が動きます!』

 

 

 歓声が落ち着くのを待たず。

 いよいよ進化レベルに達し、間日に進化したウツドン(ミドリ)が蔦を伸ばして素早く跳ねる。

 空中で切り返したオオスバメが、切れ味鋭く飛び込んでくる。

 

 

「へナァッ!!」

 

「スバッ!!」

 

 

 ポケモン同士の視線が交わる。オレとハヤトの指示が出揃う。

 ミドリとオオスバメの、素早さ対決っ!!

 

 

 《ズバチィッッッ!!》

 

 

 ――《ド、ザ、ザザザザァッ》

 

 

 雷鳴が弾けて、空から落ちて、地面にこすれる。

 ハヤトの手持ち全てに通る電気タイプの『しぜんのめぐみ』……ミドリが、見事に先手を取って見せていた。

 

 

『オオスバメ、戦闘不能っ! 勝者、ウツドン!』

 

 《 ワーーーーァァァァァ……! 》

 

 

 悔しそうな顔を浮べるハヤトとは裏腹に、観客席が大盛り上がりだ。

 そしてそれは解説席も例外ではない。

 

 

『素早いっ! 素早いですよぅ、ウツドォンッ!! ドォォンッ! ドドンガドォォォンッ!!』

 

『ウツドン、随分としゃっきりした動きでした!』

 

『素早さで勝っている分を利用して、カウンター気味に「しぜんのめぐみ」を当てる指示だったんでしょう。完遂しましたね』

 

『達人ドォォォンッ! 始まるドォォォーンッ! ゲームを選ぶドォォォーンッ!! ザウルスを守備表示で召喚だドォォンッ!?』

 

『うるさいですよクルミちゃん……』

 

『いひゃいいひゃいいひゃいいひゃい』

 

 

 流石は女3人揃ってるだけあって姦しい。いやさ、実際に姦しいのは主に1人だけど。

 さて置き。

 これで残るはエアームド1匹。とはいえ天候晴れによって「ようりょくそ」を発動している今のウツドンに先手を取れるポケモンは殆ど居ない。それは残る1匹も例外ではないはずだ。

 

 

『さあハヤト選手、残り1匹を繰り出します!』

 

「……行くぞ、エアームド!」

 

 

 目前、ハヤトがエアームドを再び繰り出した。

 と、同時に叫ぶ。

 

 

「ミドリ、『ウェザーボール』!」

 

「エアームド、その場から『切り刻め』!」

 

 

 エアームドが羽ばたき、ミドリが頭上にエネルギーを集中させる。

 恐らくは『エアカッター』。此方の『ウェザーボール』は折りこみ済み。ただでさえ遠距離。うち返すには遠距離技と決めていたのだろう。

 しかしエアームドはどちらかと言えば直接打撃の方が得意な種族。『エアカッター』は特殊技だ。加えてウツドンの弱点を突くとは言え、先手を取れなければダメージも無い。

 互いに技を放つ。

 炎の玉と風の刃が、すれ違い。

 

 

 《ボォォォォンッ!!》

 

「ムドッ! ……ムドォォ……」

 

 

 倒れこんだのは、エアームド。

 炎によって赤熱した鋼の翼を地面にぶつけ、そのまま目を回してしまう。

 審判が駆け寄り、腕を交差。そして大音量が闘技場を包んだ。

 

 

 《ド、》

 

『エアームド、戦闘不能。ウツドンの勝利です。これにてハヤト選手のポケモンが全て戦闘不能となりました。よって勝者、キキョウシティのシュン選手!!』

 

 《―― ッッ、ワーーーァァァァァッッッッッ!!》

 

 

 なんだなんだ、本戦も2回戦。注目度が上がっているとは思っていたが……こんな数の観客は居ただろうか? ちょっと耳が痛くなりそうなくらいの歓声である。

 そんなオレの困惑を他所に、通常進行、向こう側からはいいんちょが此方へと歩み寄ってきていた。

 ……その辺りは後に回しておこう。ということで、オレも中央へ歩いていって手を差し出す。握手。

 

 

「勝負、ありがとう」

 

「此方こそ、いいんちょ」

 

「……ちょっとそこまで、良いか?」

 

 

 握手を交わした後、いいんちょの小声に小さく頷く。

 クルミちゃんらのバトル後解説が始まる中、2人で選手入口から揃って出た場所……誰も居ない場所になってから、再びいいんちょが口を開く。

 

 

「1つ、バトルの展開について聞きたい事があるんだ。シュンは奇妙な指示を出していたな。ブースターがオオスバメの攻撃を耐えた時に。あれはどんな意味が?」

 

「……うーん、HPを残す事それ自体に意味があったっていう返答じゃ駄目かな」

 

 

 答えられるけど、イマイチ掴み難い答えになると思う。オレとしてもはっきり効果があるとは言い切れないからさ。

 そう考えたオレの返答に、ハヤトは少し考え込みつつ。

 

 

「だとしても、オオスバメの攻撃を耐えられる事が前提だった訳だろ」

 

「ああ。アカネには『こらえる』があるし、オオスバメが物理技で来るのは判っていたからさ。物理技、得意だろ?」

 

「……それはまぁ、そうだが」

 

「だったらちょっと欲張って、リングアウトを狙うのも悪く無いんじゃないかなと」

 

 

 ハヤトのオオスバメがという訳じゃなく、オオスバメという種族としての話しだ。物理技が得意というのは、一般的な感覚ともいえるだろう。

 ……けど、いいんちょの視線は吃驚している感じのまま固定されている。何かしたかな、オレ。

 微妙に困惑したままでいると、暫くしてハヤトも素に戻る。笑い、オレの肩を叩いた。

 

 

「シュンは凄いな。……うん。おれとしても今日のバトル、収穫があって良かったかなと思うよ」

 

「収穫、と言うと?」

 

 

 負けて得るものは確かに多い。けれども、ハヤトの言う「収穫」というのはちょっとニュアンスが違っている。

 尋ね返したオレに、再び笑いかけ。

 

 

「今のシュンは、あの頃とは見違えた。スクールでの鬼気迫る様子とは、な。どうやらこっちにきたのは正解だったみたいだ。バトルで負けたのは勿論悔しいが、そういう意味では満足もできた。それはおれにとって十分な収穫だ、という事さ」

 

 

 どうやら心配をかけていたらしい。面倒見が良いというか、物好きというか。ファザコンではないこれら部分がいいんちょのモテ要素なのだろう。

 そんな風に困った様子のオレを見て、いいんちょは満足そうに笑うと、背を向ける。

 

 

「そんなシュンが得た『凄さ』はきっと、この先にあるものなんだろうな……。……よし。決めたよ。おれはここに残って、来年ジムリーダークラスに進級する。そのための『主席』だからな。……だからこの大会勝ってくれ、シュン。優勝者に負けたって言えるなら、おれとしても誇らしいよ!」

 

 

 そう、最後にプレッシャーを好き放題かけられておいて。

 いいんちょとの2回戦は無事勝利で、幕を閉じたのであった。

 

 





 遅ればせながら。
 ポケモン20周年、おめでとうございますっっ!!
 祝、ミュウ配布っっ!!


 ……という事で、VC赤版をプレイしていて遅くなってしまいました土下埋まり。
 いえ。いるんですけれどね、映画配布のミュウと1000匹預けて貰ったミュウと。厳選していない奴が。でも何と言うか、やっぱり手放せないというか。
 プレイ時間9時間ほど。いつもの通り御三家は早々にボックスにしまっちゃおうねーの後、削りラッタ&七色ニド夫婦&うたうピクシー&友達なくす拘束アーボック&秘伝要因(げんきのかけら係)で何とか突破をばいたしました。
 慣れきっているもので、オツキミ山を突破した時点で既にニドクイン。歌っては『メガトンパンチ』ぶっこむ武闘派ピクシー。ハナダシティで遭遇したグリーンは、対面した(蹂躙された)時に何を思っていたのでしょうね……(ぅぉぃ
 新作も楽しみですね。リメイクされたらゴールデンサン&シルバームーンになることは明らかでしょう……! ついでに更に「石」にぶっこんだ話になっていきそうで、こういうお話をやっている身としては大変にありがたい。


 それはさておき。
 拙作については、2転3転してこんな感じに。やはりハヤトを掘り下げるためにはエピソードが欲しかった気持ちもアリアリですが、それだと対戦相手たちの描写を年末トーナメントまで極力ガマンしていた意味が薄くなってしまうというジレンマ。
 それでも書くべきものは書いた……はず! たぶん! そのはず!! 相変わらずのポカが有りそうで怖い!!
 ……だとしても字数はどうにかならないものか……。思わず分割したくなりましたが、展開のテンポはこれでいい気もしないでもなかったり。

 以下、長ぁい言い訳。



>>ハヤト
 何を今更ですが、金銀およびHGSSにおいてキキョウシティでジムリーダーを務めていたお方。どうでも良いですがいいんちょと呼ばせる自分に歴史を感じる今日この頃。でも好き。
 金銀では「どろかけ」。HGSSでは「はねやすめ」の技を得意としており、低レベル進化したピジョンが目玉です(ぉぃ。
 鳥ポケ構成ならば、やはりエアームドを入れたくなるのは世の常というもの。だからこそシュンに逆襲される余地を残してしまったわけなのですが、勝率という意味で考えれば絶対的に間違いではないでしょうと断言できますね。対策を怠らなかったシュンに花丸をあげてください。
 あ、あとハヤトもファザコンです。この辺はポケスペらにも一貫した設定というか、逆輸入というか。


>>アイテムバッグ
 アイテムバッグの説明は予選1回戦でやろうとして(端折ったので)書きどころを忘れていた設定でした。その為に説明回を作っているくせに、本戦も2回戦で説明とかどうなの……(駄作者私。あとで整理するかもしれません。


>>ピジョン
 その耐久力で流そうというのか(ぉぃ
 いえ。ピジョンをディスっているわけでは有りません。むしろ愛しています。それはここまでを(辛抱強く)読んでくださっている皆様ならば判ってくれるはず……(必死。
 とはいえ拙作中の鳥ポケは何より「飛べます」ので、防御力以上のメリットをお持ちです。対面が直接打撃に偏っているクラブという部分も鑑みて、急所が無ければ十分完遂できたお仕事でした。シュンが「交換せずに粘った理由」にまで辿りつけていれば、察する事も出来たやも知れません。


>>最も素早いのがオオスバメ
 オオスバメは実際に速いですが、やっぱり、飛行タイプって総じてそんなに速くはないですよね……(ぉぃ。
 ハヤトのメンバーに限ったことではないというか、イメージ先行というか。「すばやさ」がという意味では虫や電気やエスパーのがタイプとしては高いですよね。タブン。前から言ってますけれども。
 作中で幕間主人公が「エアームドにアカネを当てられるかが分岐点」的なことを言っていますが、個人的には「オオスバメが誰からも先手を取れると、ハヤトが信じていた」部分こそが分かれ目だと思います。
 次の一手を持っていたシュンと、対面に拘ったハヤト。作戦という意味では明らかに、シュンのが上手を取っていた訳ですね。


>>相手の攻撃を受けて「リングアウト」
 前のお話(本戦1回戦)にちょっとだけ展開の追記をしております。多分恐らく、もうちょっと追記します。
 これについてはかなり有用そうなゲーム外特典ですが、そこは私の事、なかなかそうも上手い話は有りません。

・防御系の技でないと狙えない
・1撃必ず受ける事を前提とするので(攻撃するとすれば)手順が後攻になる
・下手すると遠距離技でなぶられる

 等々、リスクが大きいです。
 とはいえこのルールがないと『ふきとばす』や『ほえる』、その他交換技の類が無力と化してしまいます(謎パワーでボールへ戻る! でも良いですけれど、その場合は野生ポケモンで困るかと)。それもご無体という訳で何卒のご容赦を。


>>素早いウツドンどどんがどん
 実はウツドンの段階ではそんなに早くなかったり。
 だからといって最終進化しても抜群に早くなるわけではないのですが、肝はやはり『めざぱ(氷、岩、地面)』『しぜんのめぐみ(同様)』『自前の両刀草』『晴れ下ウェザボ炎』といった「各種4倍弱点を突ける両刀」という部分にあるのかと思いますね。毒でフェアリーに素で強いですし、アンコで縛るといった器用なことも出来たりします。
 ……ですのでピンポイントで『しぜんのめぐみ(氷)』をドヤ顔で使ったときに限ってタスキを纏うのはやめてくださいガブリアスさん。こっちは木の実をもったせいでタスキがないんですよ(泣。返す刃で撃沈となると悲しい事この上なく。


>>ザウルスを守備表示で召喚だドォォン!?
 何故この流れでこの語尾ネタを使ったし。
 そして何故守備表示にしたし。


>>ハヤトのメンバーの道具
 こんな感じでした。

・ピジョン「ノーマルジュエル」
・エアームド「たべのこし」
・オオスバメ「ラムの実」

 オオスバメに「ラムの実」を持たせている辺りがなんとも一般的というか……活かしきれていないというか。一応の麻痺対策という。
 とはいえ「火傷」からの例の戦法は、現在作中では主流ではありませんという言い訳をしておきまして。そもそも火傷するための道具が無いというか、手に入り辛いというか、需要がニッチで開発が敬遠されているというか。
 ピジョンは最大威力『おんがえし』用のジュエル、エアームドはよくある感じ。どちらも機能しきれず退場と相成りました。そうさせたのは幕間主人公の気転ですけれどもね。


>>アカネ
 やっと出せました(ぉぃ
 それは兎も角、原作シュンのメンバーに1歩前進です。
 ウツドンと合わせて2歩前進。
 ……あと1歩進んだら2歩下がるのでしょうか(退化スプレー。

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