ポケットでモンスターな世界にて   作:生姜

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1995/春 ある学生のよくある朝

 

 Θ―― タマムシシティ/市内

 

 

 少年の朝は早くから始まる。

 AM5:00。ショウの日課に付き合ったオレは、朝のタマムシシティに出ていた。

 空は一面、夕焼けよりも澄んだ赤……既にピンクと呼んでも差し支えはないであろう……に染まっている。壮大で美しい光景だな。眠いけど。

 

 

「ブイブイブイブイーッ!」

 

「ブイブイ言わせてんなぁ、イーブイ。……物足りないのかも知れないけど、俺はもうちょっと遅いのが好みだぞーっと」

 

「横歩きなのに早いんだな、お前(ベニ)。なんだか意外だ」

 

「グッ、グッ?」シャカシャカ

 

 

 そう。オレとショウは、互いのポケモンを出しながらの早朝ランニング中なのである。走っているのは、市内の端に作られた国立公園だ。自然と人工物が程よく組み合わされたこの公園は、スクールと同じ敷地の確保的な問題のせいなのか、男子寮からかなり近いところに建設されている。タマムシらしく景観良く設計されたこの公園は、地元民からしてみれば若干近づきづらい場所でもあったみたいだが、トレーナーになってみれば別だ。バトルも出来るし、こうして個人での利用もできる。立場が変わると視点も変わる、とは、タマムシ在住のクラスメイト談。

 ……それにしても。

 こんな朝早くから走るとか……なんて思っていたんだが、周囲にはオレらと同じ様にポケモンとランニングやら体操やら、散歩やらをする人々が見て取れる。利用者は存外に多いらしいな。

 春の朝は未だ肌寒い。ショウもオレも、学校指定の長袖ジャージを上下に着込んでいた。朝の湿った空気が頬を撫で付ける中を、早すぎず遅すぎずの速度で走り続ける。

 

 

「―― うっし、着いたっ!」

 

「ブイブーイッ♪」

 

 

 そのまま15分ほど走り続けた後。公園の中程、時計付きモニュメントの下に到着した所でショウが足を止めて伸びをした。彼らの場合は毎日だから見慣れているのだろう。イーブイも、着くなり芝生の上で寝転がって行く。あのとんでもない勢いのダッシュ前転を寝転がる、と表現して良いのかは微妙であるが。

 ショウはイーブイの葉っぱだらけになった身体をはたきつつ、腰のボールに手をかける。

 

 

「ブーィ、ブィーッ♪」

 

「だから、飛び込み前転をすると汚れると言ってるだろうに。汚れを払うの、俺なんだから……ほーらプリン、出てきていいぞー」

 

「―― プリュリーッ!」

 

「っておい、ちょっと、待てってば!」

 

 

 言いながら、自らの元々の手持ちであるプリンをボールから出した。お手製らしい緑のリボンを頭上に飾り、ポンポンと地面を跳ねている。……そうだな。オレもショウを見習う事にしよう。

 

 

「グッ、グッ。ブクブクブク」

 

「よし。……それっ」

 

 《《ボボゥンッ》》

 

「ヘナッ!」「……ブィ」

 

 

 お呼びですか! なんて聞こえてきそうなきりっとした態度のマダツボミ(ミドリ)。若干眠そうなイーブイ(アカネ)。公園を気に入ったのか、嬉しそうに深呼吸をするミドリとは対照的に、アカネはボールから出るなり辺りをキョロキョロと見回し、所在なさげに縮こまった。

 ……仕方が無いか。

 オレはアカネを抱き上げ、そのまま地面に胡坐をかくことにする。

 

 

「……ブ、ィ」

 

「気長にやろう。オレも、お前もな」

 

 

 抱きかかえたまま、特に何をするでもなく。そのまま朝の公園の光景を目に焼き付けておく。

 跳ね回るプリンを追いかけていたショウ……と、その足元をぐるぐる駆け回っていたイーブイ。泡を吹かして遊んでいるベニと、朝日で日光浴をしているミドリ。

 非常に日常的な光景と……あ、ショウがプリンを捕まえた。ダイビングキャッチで。

 プリンを腕中に収めたショウは、草を払いながら立ち上がり、やれやれなんて言いつつも満更ではない顔でこちらへと歩いてくる。捕まえられた筈のプリンもどこか満足気だ。

 

 

「―― だから、飛び回りながら歌うなってば。それ、朝のこの時間帯にやると睡眠テロになりかねないんだって」

 

「プリュッ♪」「ブイーッ♪」

 

「ははっ! 判って無いだろ、それ」

 

「気楽に言ってくれるな、シュンよ。……ほれ。ストレッチ始めるぞー」

 

 

 ショウはオレの目の前にある芝生へ腰を下ろすとプリンを手放し、ストレッチを始めた。イーブイもそれを習い、身体を伸ばしたり曲げたりしている。プリンのはストレッチというか変形というか……ぐにゃぐにゃした何かである。流石は風船ポケモン。

 オレの目の前で5分ほどの体操を終えたショウは最後に伸びをしてから、こちらへと視線を向けた。

 

 

「それにしても、シュン。急に俺の日課に付き合うなんて、どういう風の吹き回しだ?」

 

 

 ああ、まぁ、確かに。今までこの時間は寝てたからな。同室とはいえ、ショウの日課である早朝訓練に付き合ったことは一度もなかったのだ。疑問に思われても仕方があるまい。

 ……正直に話しておくか。ショウもルリとは知り合いらしいし、問題は無いだろう。

 

 

「うーん、ちょっとポケモンとの触れ合い方を考えてる所でさ。丁度いいと思って。……それに、今日は土曜日だろう? 明日にもう一日休みがあると思えば、この位はね」

 

「あー……もしかして、アレか。ルリからの宿題とかだったり?」

 

「ああ。そんなとこ」

 

 

 そう。先日のルリからの課題 ――「夏の講義までの期間、必ず、ポケモンを1体はボールから出して連れ歩く事」。オレは今、それを実行しているのだ。

 一応オレなりにその課題の持つ意味合いを考えてもみたのだが、結局はポケモンとのコミュニケーションをとって欲しいのだろうという結論に落ち着いた。それならこうして朝から今までやっていなかった事をやってみるのも悪くは無い、という訳だ。

 ……というか、ショウなんかはナチュラルにボールからポケモン出してるからなぁ。先日のマサキさんの研究室でもそうだったなー、なんて思い返しながら。

 

 

「ショウの場合はレンジャー組の講義も取ってるから、そういうのには詳しいんだろうなーと思ってさ」

 

「……うーん、どうだろう。オレは資格を取る為にレンジャーのを選択してるんじゃあないし……ご期待に沿えるかは判らんな」

 

 

 そこでショウは、既に準備運動に飽きて原っぱでミドリやベニやプリンと遊ぶ自分のイーブイと……オレの腕の中にいるアカネを見比べて。

 

 

「でも、こうやって色々とやってみるのは悪い事じゃあないと思う。現にアカネは、お前の腕の中で眠ってるだろ? 慣れてきた証拠だよ」

 

 

 ショウの指すまま腕の中を見ると、眠そうだったアカネは本当に寝入っていた。……最初は、人に近づく事すら忌避していたアカネだからな。進歩である事には違いない。

 ……この体勢だと、オレがここから動けなくなるという事実はさて置いて。

 

 

「どうやらオレはここまでらしい。ショウ、オレは気にせず先に行け」

 

「いや、ここ、目的地だからな? 先に行くも何も、ここで暫くトレーニングするつもりだったし。……けど、相手にするつもりだったシュンが駄目となると……うぅん」

 

 

 朝焼けた空の下、公園のシンボルたる時計塔のもっと下で、ショウは顎に手を当てて考え出した。ショウの今の手持ちは、エリトレクラスで使用するイーブイと、元からの自分の手持ちであるプリンの2体のみ。ショウのプリンはどうやら研究の手伝いをしている個体らしく、1対1の戦闘においてはあまり実力を発揮できないとの話を聞いた覚えがある。その分、プリンはコンテストサークルやらで鬱憤を晴らしているらしいが……兎も角。オレが動けないとなると、バトルの相手が居ないという事なのだろう。

 

 

「と、いうか。それは考えた所で答えの出る問題なのだろうかと」

 

「まぁ、それは確かにな。機を待つのみ、ってのはあまり好きじゃあないんだが……仕方ない。プリンとイーブイでやっとくか。プリンにしても、いつまでも他力本願なバトルは嫌がるだろうし。丁度良い機会になるだろ」

 

 

 そう言いながら、ショウはプリンとイーブイを集めようと空に腕を掲げた。ショウの扱うサイン指示の中で統制用として使用されている「集合」のサインだ。

 サインをその大きな瞳の内に留めたプリンは、熟練した反応により「素早く転がって」ショウの足元へ……ぼよんとぶつかる。数瞬遅れ、暫し目を瞬かせていたイーブイは、あっと思い出したようにショウの元へと駆けて来た。これはまだ手持ちになって日の浅いイーブイと、随分前から一緒に居るというプリンの差が出た結果であろう。

 ショウは足元に集まった2匹へと視線を合わせ、

 

 

「よぉし。そんじゃあ今日h」

 

「見つけたわ、ショウ!!」

「ね、姉さん……声が大きくない?」

 

「―― 今日はもう、帰ろうかなぁ。帰りたい」

 

 

 しかし突然飛び込んできた青髪の少女が、2名。その顔を目に止めるなり、ショウのやる気が大きく目減りした。肩を落として、大きく溜息をついている。

 その2名をよくよく見ると、青髪でツインドリルの少女……姉さんと呼ばれているから、こちらが姉であろう……と青のセミロング髪を持つ妹たる少女は、顔がそっくりだ。双子なのだろうか。違いを挙げるとすれば、妹の髪の青さは緑っ気が混じっている。髪形も違うため見分けは幾分か以上に容易ではあるのだが……ここで、思考を戻したい。

 ツインドリル(青)を装備した姉は、妹の忠告を気にせず、指定のジャージを着込んだままでがっくりと肩を落としたショウを指差した。

 

 

「このコトノ、勝負を挑んで勝てぬままに敗走などというのは性に合いません! 確かにショウ、貴方はポケモン達と響き合っています! けれど、コトノも負ける訳には行かないの! たとえそれが、世界の終末であろうとも!!」

 

「あのー、姉さん。それは『貴方が負けるまで勝負を挑む』と脅迫していると思うんだけど……」

 

 

 胸を張る姉の横から、若干テンションの差を感じる妹の合いの手。というか、姉の言い回しは聞き取り辛いというか……本当にこの国の言葉ですか、それは。謎言語が過ぎるだろう。どこからどう繋がって、世界の終末なんて単語が捻り出されたのだろうか。そして妹は何故に理解できているの……ああ、双子の妹だからか。理解納得。

 この『迷』文句を受け、仕方が無いと言った感じで頭をガリガリと掻き、ショウが顔を上げる。

 

 

「……残念姉とその妹。人を散々追い回しておいて、遂には早朝までストーカーですかそうですか」

 

「まぁわたしも悔しいのは確かですけど、上には上が居るーってので納得でしたんですけどね? 姉さんはそれだけじゃあすまなかったみたいでして。……ええと、お疲れですか」

 

「勿論。人の話を聞かないからな、お前の姉」

 

「さあ、ショウ! お聴きなさい! コトノが最愛のポケモン達と奏でるアンサンブルを!」

 

「でもまぁ、バトルを挑む事自体にはわたしも賛成なので、姉さんを後押しします。準備は万端ですか、ショウさん。体力には気をつけてくださいね?」

 

「その気配りを何ゆえ、俺にバトルを挑まないという形で『遣う』事が出来ないのかねぇ……はぁ。結局はコトミも変人だってことだよな」

 

 

 変人に絡まれてる時点で俺も変人の仲間入りだし、とショウは続ける。いや。ショウは元から変人達の中心人物だと思っていたのだが、どうやら違ったらしい。傍目に見ている分には、同じ様なものなんだけどなぁ。

 と。これら会話や、エリトレの制服を着用している事から察するに、この双子はどうやらショウが一方的に絡まれた相手らしい。何かと目立つショウの事だし、多分ポケモンバトルを挑まれたとかそんな感じなのだろう。そこでショウに負けて、執念なのか乙女心なのか判断付かない何かを燃やしていると。そういえばガイダンスの時に前列に座って質問しているのを見た気もするなぁ、この双子。

 何だかんだ言いながらも付き合い(というには分を超えているとも思うが)の良いショウは、モンスターボールに手をかけた双子を目の前に、溜息をつき呆れて……イーブイとプリンへ視線を向けた。問いかけているのだろう。

 

 

「ブイィッ!」「プーリュリッ♪」

 

「……はぁ。まぁ、お前等がやってくれるってんなら問題は無い、か? 丁度相手もいなかったし」

 

 

 ショウも、双子へと視線を戻す。どうやらバトルをする決心が付いたようだな。よし。

 

 

「それじゃあ、オレが審判をやるよ。この通り、おねむ(・・・)のお方を乗せてるから移動が出来ない。ここを中心ラインにして、両サイドへ広がってくれるかな」

 

「了解」「はーい」

 

「悪いな、シュン。頼んだ」

 

 

 オレの言葉によって、ショウと双子が距離をとって対面する。辺りを散歩していた数少ない人達が、よくよくみるポケモンバトルの体勢に足を止め、ギャラリーが出来ていた。

 双子がボールに手をかける。ショウは屈んで、辺りを確認しながら、足元の2匹へと何やら耳打ち。ギャラリーの皆様もある程度位置が固まった。……さーて、頃合か。そう考え、オレは審判としての勤めを果たすべく口を開く。

 

 

「2対2のダブルバトルな。ショウの手持ちが固定だから、」

 

「―― いや。そっちの双子は各2体ずつポケモン持ってるし、俺のプリンはレベル15だから、4対2のハンデ戦にしよう」

 

「……はぁ。いいのか?」

 

「屈辱ですが、致し方ないかと」

「あはは。わたしもコトノ姉さんも、前回はこっぴどくやられてますからね。わたし達のポケモンはレベル一桁ですし、仕方が無いでしょう」

 

 

 意外にも、双子からの反論はなかった。プリンのレベルの事もあるが、前回ショウに負けたのが苦い経験となっているらしい。

 確かに、オレの手持ち達もレベルは一桁。ベニはレベル5、ミドリはレベル4、アカネに至ってはレベル1との判定だ。双子の手持ちが鍛えられていると仮定しても、プリンの15というのは大きな差であるに違いない。ただしそれすら、カントー全域やポケモンリーグと比べれば天と地ほどの開きがあるのだが。

 と。仕切りなおして。

 

 

「そんじゃあ『双子4』対『ショウ2』のハンデ戦だ。交換なしのトレーナー道具使用なし。手持ち道具はどうする?」

 

「んー……無しにしとかないか? 結局、俺のプリン以外は道具の使用にも慣れてはいないだろうし」

 

 

 ショウの呼びかけに双子が息を合わせて頷く。異存はない、か。よし。

 

 

「じゃあそれで。―― いくぞ」

 

 

 事前の呼びかけに朝の空気は引き締まり、ギャラリーが息を呑む。ぴしり、と時計の針が動きを止めた。

 では今度こそ。……ポケモン勝負、

 

 

「……スタート!!」

 

「奏でてっ、コアルヒー!」

「準備万端だよ、ヒメグマ!」

 

 《ボウンッ!》

 

「ガァガァ!」

「クママー!」

 

「頼んだ!」

「―― ブイッ!」

「―― プー、プルー♪」

 

 

 互いのポケモンが出会い、間もなく交錯する。ボールから出たばかりのヒメグマと、見慣れない水色の小型鳥ポケモンへと向かって ―― イーブイが前に。

 

 

「コアルヒー、イーブイに『みずでっぽう』!」

「ヒメグマ、前に! 『ひっかく』!」

 

 

 双子は急襲するイーブイを目の前に、比較的焦らずに指示を出した。以前のバトルも同じ様な展開に持ち込まれていたに違いない。

 スタートダッシュのまま一直線。イーブイは銀色の閃光となり、横一列の……コアルヒーというポケモンへと仕掛けた。多分、『でんこうせっか』。

 

 

「ブー、イッ!!」

 

 《バシンッ!》

 

「ガァッ!? ……ガァガ!」

 

「クママァ!」

 

 《バシュッ!》《バシャーッ!》

 

「ブイ! ブイーィ!?」

 

 

 『でんこうせっか』の後の間を利用し、ヒメグマが『ひっかく』でイーブイを攻撃。重ねて体勢を直したコアルヒーの『みずでっぽう』を浴びたイーブイは、水圧とダメージによる後退を余儀なくされた。イーブイは初期位置から動いていないプリンと並び、しかし、双子がその期を逃すハズも……

 ……ん?

 目の端。オレの視界が僅かにショウの動作(しじ)を捉えることが出来た。挙げていた手を下ろす動作、その余韻。という事はイーブイはショウの指示を受けて動いた訳で。

 待て。これはショウの罠だ。ショウだからこそと言って良いだろう。この男がタダでこんな展開を許すはずが無かったのだ。甘い話には、裏が。

 だがセオリー上、この隙を逃す道理も無い。双子はここぞとばかりに追撃の指示を出そうとして。

 

 

「そこを追撃よ! コアルヒー、」

「追って、ヒメグマ! 『ひっか」

 

 

「プ ―― ルゥッ!♪!」

 

 《《 ズ ド ム ッ!! 》》

 

 

「「……えっ」」

 

 

 双子の声が双子らしく揃った。その原因はヒメグマと ―― 今まで動いていなかった、プリンだ。

 そう。双子はどうやら努力家であるらしい。オレ達はまだ、ポケモンを貰ってからひと月も経っていない。だのに双子は揃って、自らのポケモンとはバトルに差支えが無い、どころかそれ以上の連携が出来ていて……そんな努力の賜物であろうか。双子妹(コトミ)から追撃の指示が出るであろうことを予測したヒメグマは、指示を受ける以前からイーブイを追って前に出ていたのだ。

 で。前に出て。

 

 感嘆符と音符がまさかの同居を果たした気合の掛け声と共に、集中力を解き放つ。

 プリンのピンクでふわふわの拳が凄まじい闘気を纏い、近づいていたヒメグマの腹部に直撃。

 その結果、ヒメグマの身体は宙に在りながらくの字(・・・)に折れた。

 

 つまり先程の深く重い「ずどむ」とかいう擬音は、プリンのパンチ一閃(スマッシュ)により発生したのだった。これがレベル制によるステータス上昇の不条理さなのか(錯乱)。

 ええと、うん。とりあえず、ヒメグマは地面に伏して動かない。大丈夫だろうか……じゃなくて。

 

 

「ヒ、ヒメグマ、戦闘不能。……交換するのか?」

 

「え、ええ。……戻ってください、ヒメグマ」

 

 

 オレは何とか審判としての役目を取り戻し、双子妹(コトミ)へと交換を促す。ヒメグマは目を回したまま、緑色のモンスターボールへと吸い込まれていった。

 ショウの足元で、ピンクの悪魔が跳ねている。イーブイも無邪気に喜んでいる。

 

 

「残念ながら、俺のプリンとお前等のポケモンとじゃ年季が違うからなー。……ところでヒメグマ、大丈夫だったか?」

 

「プルリュー?」

 

「え、あ、はい。……準備は万端でしたから」

 

 

 準備が万端だとパンチでくの字に折れるのか。分からない。

 さて、なんとか落ち着きたい。あの威力と動作。そしてヒメグマのリアクションから察するに、さっきのはノーマルタイプに効果抜群な格闘タイプの技だろう。動かなかった……『溜め』が必要だった事からして、威力の高い技でもあるに違いない。

 ……というか。さっきのイーブイへ向けた『引く』タイミングの指示といい、ショウの扱う技術はルリのそれと比べてもなんら遜色なく見えた。これなら教えたというのも頷ける。

 そして、成る程。指示というのは技に限らず、動作や位置取りやタイミングなんかも含むものなのか。それら全てをポケモンに仕込むとなると……どれ程の努力が必要になるのだろう。これは確かに、信頼関係が不可欠だ。

 

 

「続けるの。コトミ、次を」

「はい、姉さん。えっと……お願い、コリンク!」

 

「コリュゥ!!」

 

 

 妹・コトミが出したポケモンはまたも見慣れない個体だった。4足歩行で、青と藍を基調とした身体。出るなり辺りを威嚇し、ばちばちと雷をはじけさせている。とりあえず、見た目的にも雷タイプである事は間違いないだろうと思うけれど。

 ショウはそのポケモンを目にとめ、

 

 

「へぇ、コリンクか! まぁた地方外のポケモンを。あー、もしかしてシンオウ地方出身だったりするのか?」

 

「あ、いいえ。わたしも姉さんも、生まれはイッシュ地方ですが……」

 

「成る程、だからコトノは主にイッシュに分布してるポケモンを使ってると。となれば、苦労してないか? コトミ」

 

「えーと……確かに先日配られたポケモンで、イッシュ地方のものは少なかったので、わたしは入手できませんでしたが……それでもここタマムシなら他の地方の事とはいえ、ポケモンに関する書物は沢山ありますから、調べれば意外となんとかなりますよ。これも良い経験だと思っています」

 

「ふーん、そか。努力家だな」

 

「―― ショウ、コトノはバトルを続けても良いの?」

 

「ん? あー、いやスマン。だいじょぶだ。中断無駄話して悪かった、コトノ」

 

 

 怒気を孕んだ姉の言葉に、話し込んでいた妹とショウが仕切り直した。怒気の所以は兎も角、オレがこなすべき役目を代わってくれて、なにより。

 

 

「良いんだな。それじゃ、再開!」

 

 

 試合再開だ。オレが腕を下ろすと同時、再びショウのイーブイがダッシュする。狙いはコアルヒーだ。

 

 

「後退よ!」

 

「グワ!!」

 

 

 狙われたコアルヒーは、コトノの指示に従って後ろへ飛び退く。コトミのコリンクは、イーブイの動線から逃れようと距離をとった。コリンクはイーブイの相手を避けたと考えれば……題目。

 コアルヒー VS イーブイ!

 

 

「コアルヒー、『みずでっぽう』!」

 

「―― グワワッ!」

 

「! ブイィ……!!」

 

 

 コアルヒーが後退しながら吐き出した『みずでっぽう』を出来る限り避けようと、弧を描きながらも確実に距離を詰めるイーブイ。先制できなかった所を見るに、今度のイーブイは『でんこうせっか』では無いらしいが……?

 もう一方。コリンクは直線ライン上で腕を振り上げているプリンに若干ビビリながらも突撃し、

 

 

「しょうがないね。練習中なんだけど、最大威力が必要だから……コリンクッ、『スパーク』!!」

 

「コリゥ!」バチバチッ

 

「転調ですの、コアルヒー! ……『みずのはどう』!!」

 

「ガァ!」

 

 

 双子は勝負をかけるらしい。コリンクは突撃の最中で電撃を纏い、コアルヒーは近寄ってくるイーブイを迎撃するため、後退と『みずでっぽう』を中断した。

 だが未だ攻撃をしていない分、イーブイの方が早い。後ろ脚で大きく地面を蹴り、

 

 

「ブイーィッ!!」

 

「―― グワ、グワワッ!?」

 

 《バシバシ》――《《ズバシンッ!!》》

 

 

 コアルヒーの側面から突撃。突撃と同時に身体を捻り、両手足と尻尾による目にも止まらぬ連撃を繰り出した。何の技なのかは知らないが、乾坤一擲。とっておきの攻撃だ。

 その勢いたるや凄まじいもの。似たような体格のコアルヒーを、ノーバウンドで10m程吹っ飛ばして見せた。飛ばされた先で転がり、コアルヒーは動かない。戦闘不能だ。

 

 

「うく、コアルヒーっ!?」

 

「まだまだだよ! コリンク!」

 

 

 姉が慌ててコアルヒーの状態を確認しに走るが、バトルは中断されていない。コリンクはそのままプリンに突撃し……青白い光が勢いを増した。それはコリンクの全身を覆い、火花を散らす。

 だが。

 

 

 《バチバチィッ!》

 

「コルゥッ!!」

 

「―― プールゥ!!」

 

 

 コリンクの『スパーク』がプリンにあたるのとほぼ同時……僅かに後攻。

 ―― 突き出されたプリンの右手が、コリンクの左頬を捉えていた。

 相手の勢いを利用した反撃技だ。この技自体がかなり高レベルの習熟度を必要とするだろうし、技の性質からして出し所も難しい。だが、ショウとプリンはそれを綺麗に決めて見せた。連携にしろ読みにしろ展開にしろ、見事という他無い。

 腕が離れ、コリンクは地面に倒れる。プリンは若干後ろへ飛ばされたものの、倒れたコリンクを見、元気で華麗にターンして喜びを表した。

 

 

「プールリュリーッ♪」

 

「ブイッ♪」

 

「うっし! 良くやってくれたぞ、プリン! イーブイ!」

 

「戻ってください、コアルヒー。ふ……降参です。コトノにはまだバチュルが残っているけど、ショウ相手に2対1では勝ち目が無いわ」

 

「ありがとうコリンク。ふぅぁ、プリンの『カウンター』かぁ。コリンクじゃあ耐えられないのも道理だね」

 

「おう、流石は双子だな。良い練習になった。……プリンのこの戦法は初めてだし、俺のプリンはバリエーション豊富だからなぁ。対応できなくても仕様が無いと思うぞ? そもそも今のバトルだけで言えば、技威力の差が出ただけだし」

 

「けど、プリンだけではなくイーブイにもしてやられたわ。ショウのイーブイはコトノ達と同時期に貰ったものよね? ならやっぱり、トレーナーとしての質が現れているのだと解釈したいの。そもそもトレーナー人数だってこちらの方が多いのだし。……そう言えば、先のイーブイの技はどういったものなの? 正直、ドン引くくらいの凄い威力だったわ」

 

「褒められたのは嬉しく思う。んで質問にあったイーブイの技だが、コアルヒーを吹っ飛ばしたのは『とっておき』だ。俺のイーブイは今『でんこうせっか』と『とっておき』しか覚えていないんでな」

 

「『とっておき』……と、はい。メモも完了しました、姉さん」

 

「有難う、コトミ。あとで図書館で調べましょう」

 

「あー、いや……どうかな。『とっておき』も『たいあたり』とか『じたばた』と判別が付き辛くて、書物には載ってなさそうだ。その内に解説しとく」

 

「はい、楽しみにしています! あ、それじゃあわたしから質問なんですが ――」

 

 

 双子がショウに幾つかアドバイスを求め、イーブイとプリンを抱いたショウがそれに答える。妹はその間、ずっとメモを取っていた。

 暫くその問答を繰り返し、最後に、姉が腕を差し出す。

 

 

「有難うございました、ショウ」

 

「いーや。今日はこちらこそ、だ。バトル相手になってくれてありがとな」

 

「ハイ。でもそれだけではなく ―― コトノは、コトノ達姉妹が憧れた強い貴方のままで居てくれた事が嬉しいの。とてもとても……本当に」

 

 

 姉は腰に手を当て、多分に格好つけて目を閉じながら。お礼の内容から察するに、恐らく、この2名とショウはスクール以前にも何処かで会った事があるんだろうなぁ。オレは知らないが……その内にでも聞いてみる事にしよう。と、予定を1つ追加しておいて。

 素直なような素直で無いような。非常に微妙な態度のこのお礼を、ショウと妹は苦笑しながら眺めていた。姉が、むくれる。

 

 

「……人のお礼を苦笑い?」

 

「だとさ、妹」

 

「ですの、コトミ」

 

「うわ、えぇっ、わたしですか? いやいやショウさんだよね、今の流れ!?」

 

 

 からかいの矛先が妹に向いた。というか、仲良いんじゃないか。最初の態度はなんだったんだ……ああ、成る程。バトル以外の内容で絡まれる事もあるのか。そもそも早朝に名指しバトルを仕掛けられる時点で面倒ではあるし。今回は偶然にもバトル相手を探していた、というタイミングが良かったのだろう。

 

 

「って事で、暫くはおとなしくしていてくれよ。俺としてもお前等の成長を見れるのは嬉しいけど、程ほどにしてくれ。試したい事が出来た時とか、最後に使おうとしてた『スパーク』やら『みずのはどう』を仕上げた時とかな。……流石に3日で10戦は、疲れるんだ」

 

 

 いやゴメン、バトルでも面倒だった。3日で10戦とか半端なく迷惑な双子だな、おい。今日が3日目だとすると昨日と一昨日で9回挑まれた計算だよ。

 

 

「……仕方が無いわね。なら、今度からは事前に都合を窺うことにしますの。連絡先を教えていただける? ショウ」

 

「あー、まぁ、いいけど」

 

 

 

 そして自然な成り行きで連絡先を聞かれたなぁ、ショウ。とても自然、自然だ。姉が後ろ手にガッツポーズをしてさえいなければ。

 ショウが何やら名刺を手渡し、姉と妹がそれぞれ受け取ってジャージのポケットに閉まった。てか自然に妹も貰ったぞ、今。自然に。

 

 

「自然ってなんなんだろうな?」

 

「人間社会を取り巻くものだろ。……えふん。それよりイーブイ、プリンも。疲れてないか?」

 

「プルーゥ!」「ブイブイッ」

 

「元気はあるみたいだなぁ。HPは、と。……うーん、イーブイは堪え気味だな。公園の自販機でも捜しに行きますかね」

 

 

 ショウは右腕に銀色の機械を開きながらそう呟いていた。どうやらポケモンの状態を確認できるらしい。便利そうだな、それ。

 

 

「あー、これは図鑑の携帯運用試作品だ。ポケモンのステータスを簡易的に表示できる機能とポケモン判別機能が主だったもので、他にも……っと、話が逸れたな。俺はとりあえず公園の自販機行って『おいしいみず』でも買って来たいんだが……シュンはここから動けないとして。双子はこれからどうするつもりだ? まだ朝の5時台だろ」

 

「何を言っているの。コトノもコトミも、ポケモンを回復させなければなりませんから、学内のポケモンセンターに向かいます」

 

「なる。それもそうだな」

 

「あ、それじゃあここでサヨナラですね」

 

「おう。じゃな、双子!」

 

「次こそは負けないわ」

 

「もう。姉さんはそればかりですね。でも、わたしだって次は負けませんよ!」

 

 

 妹は手を振り、姉は一瞬こちらに視線を向けてからスクールのある方向へと走って行った。負けず嫌いな双子だったな。スクールで暮らしている以上は、また会う機会もあるだろうか。

 姉妹を見送り、その姿が公園の外へと消えた所で……オレも聞きたいことがあったのだ。アカネの背を撫でつつ、ショウを呼び止めようと口を開く。

 

 

「……なぁショウ。さっきの技……『でんこうせっか』と、えーと」

 

「おう、『とっておき』か?」

 

「そうそれ。もしかしたらだけど、アカネも覚えられたりするのか? 『教え技』なんだろう?」

 

 

 先日の講義で覚えた単語を使いながら、予測を述べてみる。ショウは若干びっくりした顔を見せ、

 

 

「流石はシュン、鋭いな。正確には『でんこうせっか』はレベル技でもあるんだが……まぁ、その辺はややこしいんだ」

 

 

 ショウが「ややこしい」というからには、実際にややこしいのだろう。面倒だとも言う。

 

 

「その内、アカネにも教えてやってくれ」

 

「あー、アカネ自身も望むならな。結構練習するし。でも、教えるならシュンがやってやれ。俺はあくまで『教え方を教える』から」

 

「……良いのか?」

 

「勿論だ」

 

 

 などと、事もなさげにそう言ってはいるものの。

 

 

「オレ、そういうの教えた事ないしさ。初心者でも出来るもんなのか? 難易度とか」

 

「あー、そうだな。ポケモンの個体差とか性格による習熟し易さはあれども、基本的には習得できるだろうなぁ。俺のもシュンのも、イーブイって種族なのは確かだし。ただし、アカネの場合はその性格自体を何とかしなくちゃあならんかと。それに、俺のイーブイがこの技選択をしているのには幾つか理由がある」

 

「理由?」

 

「そうそ。『特性』がな。……アカネの特性『にげあし』よりか、俺のイーブイの特性はバトル向きなんだ。『てきおうりょく』ってやつ」

 

「……また聞いた事の無いもんが出てきたよ。オレ、これでも結構予習復習は欠かさない方だと思ってるんだけどさ」

 

「ははは! まぁ、こんな無駄知識があるからこそ、俺は学者なんてやってるんだろうけどな!」

 

 

 ショウが快活に笑う。

 でも、いや、そうか。ショウは下地になる知識が豊富なのだから、予習がどうこうとかじゃあないのだろう。これだから努力をする天才というやつは質が悪い。

 

 

「とにかく。特性なんかは、アカネさえその気になれば俺がどうにかしてやれる(・・・・・・・・・)。だからこそ、まずはコミュニケーション部分で注力するのが最善だと思うんだ」

 

「わかった。ならオレなりに、判ってもらう努力と判る努力をする事にするよ」

 

「おう。お前がピンと来て選んだんだから、きっと出来るさ。……多分な!」

 

 

 あ、最後に多分をつけたなこの野郎。

 

 なんていつも通りの会話をしつつ、通常通りの休日も始まりを迎え、何とはない1日は過ぎてゆくのだった。

 






 プリンが作中ヒメグマへと使用したのは、『きあいパンチ』です。
 技名がばれないという利点により、プリンが「ただ動いていないだけ」なのか「溜めているのか」が分かり辛くなる、という次第だったりします。

 それにしても、駄作者はまだ増やしますか。双子とか(ぉぃ

 『とっておき』について。
 前回の体力の話題で、「なら技を2つしか覚えていない場合とかは?」と思った方もいるかと思います。『ねこだまし』→『とっておき』のコンボなどで使用しますね、はい。
 それらも変わらず、結局は「2つ分のPP」=「総体力」となります次第。前の話は、技を4つ以上覚えている場合が前提なのでした。
 となれば、技を忘れる=総体力が減る? という謎の図式が出来上がってしまいますのですが……まぁ、その場合には「技が少ない場合、残った技の威力は乱数中の高値で安定する」というゲーム外特典をつけまして、「ダメージが出る分疲労度が増す」という辺りで何とか落とせるかと思います。言い訳としては幾分以上に苦しいですが。
 ……となれば、今までの習熟度のお話と合わせて、
 技を覚えさせすぎるというのは本当に有用な行為なのか?
 ダメージ値が低レベルで安定してしまうのでは? 
 と不安に思っていただければこれ幸い(ぅぉぃ
 いずれにせよ技を忘れるという行為自体あまりポピュラーではありません、とかとか。こんな所で、平にご容赦を。

 ……この世界のヌケニンさんに、救いの光はあるのでしょうか……?


 以下、拙いですが人物紹介です。


▼エリートトレーナーの「コトノ」
◎出典:ポケットモンスターBW2/23番道路
 実に勇壮なBGMが印象的な23番道路、そのバッジチェックゲートエリアに移動する手前の階段を登りきった先で主人公を待ち構えるモブトレーナー。トレーナー種は「エリートトレーナー」。
 手持ちはスワンナ、デンチュラ。
 とても印象的な台詞が素敵なツインドリル。戦闘上において特に苦戦する要素は無いが、何より台詞がロマンチックなので、採用いたしました。むしろ1週して中二ですか(BWのトレーナーはこういうのが多いのです)。
 本作独自の設定としては、コトミの双子の姉。理由は名前が似ているから(酷い)。あと、ゲーム中では「ですの」とは言ってません。あしからず。

BW2
「生まれた時からポケモンと一緒だった。ずっと勝負してきた。そして一緒に世界の終末を迎えたいわ」


▼エリートトレーナーの「コトミ」
◎出典:ポケットモンスターFRLG、RSE、DPPt
 FRLG、RSEのチャンピオンロードと、シンオウではハードマウンテンに居るモブトレーナー。トレーナー種は一貫して「エリートトレーナー」。
 FRLGではマダツボミ、ウツドン、ウツボット、パラセクト、パラス。
 RSEではエアームド、ヤミラミ。
 DPPtではレントラー、グライオン、リングマ。
 髪色はシンオウエリトレを重視してイメージ中。3作通して出ているというのは希少なので、採用いたしました。むしろ出演時のレベルやらポケモンの数やら、設定上の姉より大分優秀なのですが。
 本作独自の設定としては、コトノの双子の妹。理由は同上(酷過ぎる)。準備万端とか体力に注意してねとかいう台詞具合から、過保護気味な性格をしております設定です。

LG
「上には上がいるって教えてあげます!」
RSE
「このチャンピオンロードもポケモンリーグも長丁場! 体力には注意してね!」
Pt
「準備万端! 後は勝負するだけね!」


※台詞はコピーに当たるため、意図的に変換・割愛しております。

 ……ですが、はい。つまり本拙作において、

【同じ名前で同じ職種のトレーナーは、同一人物として扱います】

 という次第。
 逃している部分もあるかとは思いますが、出来る限り調べてから挑んでおります。逃しがあった場合、どうかご容赦やら御報告をばいただければ。

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