この作品における一誠はISSEI化してます。そしてオープンスケベではありません。
表の世界と裏の世界。二つの世界で異端とも異常とも言われている日本。
そこは信仰と神秘を失わずに現代まで保った神々が住む異端の地である。他勢力がその力を少しずつ、少しずつ無くしていく中、日本の神々は逆に力を高めていった。
それは信仰の有無とその質によるからである。
人類の文明が発展していくにつれて日本以外の他勢力を信仰していく人は少なくなっていった。人は弱い生き物である。かつては信じていた神々の仕業とされた地震や噴火も、科学が進歩するにつれて神々とは関係の無い物とされれば、かつての信仰よりも、目先の事実を信じてしまうからである。
日本人はそんな事はなかったが。
そして信仰している者たちも、力のあるものや宗教の上位陣以外は神々やその配下を見たことすらない。見たこともないものを信仰し続けることは難しいもので信者数が世界最大と言われるキリスト教でさえ、神々が本当にいると知っているのは全体の0.1%にも満たない。
信仰してくれる信者はいるがそれの99.9%が心から信じているわけではないのである。数自体は多いがそれらから齎される信仰の力はかつてに比べれば比較できないほどに質が低かった。
日本人の信仰力は日々高まっているので関係はない。
さて、ここでこの世界の主人公である兵藤一誠の話をしよう。
原作での兵藤一誠はオープンスケベでありおっぱいのためならば例え火の中水の中と、突き進んでいく男の子であった。そんな彼はある日、彼の中に眠る神器を狙われ、堕天使に殺されてしまう。だがその死に際、彼が住む町を支配する悪魔の1人に見つかり、「悪魔の駒」と言われる道具で人から悪魔に転生してしまう。
そして其処から彼の波乱万丈の人生、いや悪魔生が始まった。
彼の主の婚約者を殴り飛ばしたり(初めて生おっぱいを見たり)、三大勢力が激突していた時代から生きる堕天使の幹部と戦ったり(女性の服だけを破くワザを開発したり)、戦争を望むテロリスト達と戦ったり(おっぱいをつついて新しい力に目覚めたり)、死に掛けながらも足掻きもがきながらも仲間や新しい力を手に入れながら新しい時代を切り開いていった。
そして何時しか彼はこう呼ばれていった。
「おっぱいドラゴン」と
「……ハッ!?」
ベットから跳ね起きる1人の青年。寝起きだというのに全裸の体に脂汗を滲ませていた。
(どうした、相棒?)
そんな青年の頭に響く重低音の声。一誠の体に宿る神器「赤龍帝の篭手」に宿る赤き龍ドライグの声だ。
(ドライグ、か……。いや酷い夢を見ただけだよ)
(酷い夢だと?)
(ああ。俺がおっぱいおっぱいと叫ぶ変態になって、あの“残念姫”の眷属になっていた)
(それは、酷い夢だな)
(本当に酷い夢だったよ。終いには「おっぱいドラゴン」なんて言われてたし。しかも禁手化したのが“残念姫”の胸をつついてなってたからな)
(うわぁ……)
ゲンナリとした表情を浮かべながらため息を吐く青年。名前を「兵藤一誠」と言った。
「うにゃぁぁ……一誠?」
そんな一誠の右側から聞こえる女性の声。その女性の方に顔を向けて声をかける一誠。
「おはよう、黒歌」
「おはようにゃ、一誠」
ベットから起き上がる黒歌。起き上がった黒歌は服を着ていなかった。あらわになる巨乳に一瞬目を奪われるも極々自然に黒歌とキスを交わす一誠。
「……にゃぁぁ」
触れあうような軽いキスを交わした後一誠の胸に抱きつく黒歌。その黒歌を軽く抱きしめる一誠。
「んにぃぁぁ……一兄さん?」
そんな2人の声に気がついたのか一誠の左から目を擦りながら起きる少女。黒歌には劣るものの十分に発育した胸をあらわにして起きた少女はそのまま一誠に抱きついた。
「んん……一兄さぁん」
猫が頭をこすり付けるように頭を擦り付ける少女を見て苦笑する2人。
「ほら、おきなさい白音」
「……姉さん?おはようございまふ」
まだちゃんと頭がおきていない白音を微笑ましい表情で見ながら笑う黒歌。
「おはようにゃ、白音。じゃあ皆起きた事だし朝ご飯にするにゃ」
「そうだな。2人はシャワーを浴びてきなよ。俺が用意するから」
「そうさせてもらうにゃ。ほら白音いくよ」
「ふぁい……」
黒歌につれられて風呂場に向かう白音。そんな2人を見てから自分の頬をぴしゃりと叩き目を覚ます一誠。
「よし、と。今日も一日がんばろう」
これがこの世界における兵藤一誠の一日の始まりである。
ではこの本来の歴史からずれたこの世界の兵藤一誠のことを話していこう。
この世界の兵藤一誠は5歳の時にとある出来事が原因で神器に目覚めている。その出来事とは現在一誠と同棲している黒歌と白音の2人とであったことである。
5歳の頃、一誠が公園で遊んでいる時草むらの中に傷ついた黒と白の猫を見つけた事が全ての始まりであった。傷ついた二匹の猫を見つけた一誠はその二匹を自分の家に持っていき手厚く看病をした。傷ついた猫たちも最初は警戒するも邪気のない純粋な子供の看病に警戒を解いて子供にされるがままに看病をされていた。
この二匹がただの猫であったならば一誠の家に飼われるか、また野良に戻るかしただろう。だがこの二匹の猫は普通の猫ではなかった。この二匹の猫は猫又と呼ばれる妖怪の一種であり、しかもその猫又の種類の中で希少とされている猫魈と呼ばれる種類であった。
そんな希少種である二匹が何の理由もなく、表裏共に異端異常と言われる日本に来たのは訳があった。
この二匹はとある山奥で静かに暮らしていた。慎ましくも穏やかな日常を過ごしていたのだが、其処にある悪魔の軍勢がやってきたのだ。その悪魔達は自分の眷属に優秀な種族を求めていて、山奥にひっそりと暮らす二匹を見つけ己が眷属にしようとやってきたのであった。
二匹に接触した悪魔達は最初こそ穏やかに勧誘していたが二匹が乗り気ではない事に怒り、無理やり眷属にしようとしてきたのであった。
姉である黒歌がすぐさま仙術で悪魔達の気を逸らし二匹は住み慣れた山奥から逃げ出したのだ。
其処から数ヶ月の間執拗に襲ってくる悪魔達から逃げる二匹。黒歌だけならば逃げ切れたかもしれないがまだ幼い白音をつれたままでは逃げ切る事はできなかった。少しずつ追い詰められていく二匹。そんな逃避行の中で二匹は裏世界の日本の事を知った。
裏世界の日本。そこは裏の世界で唯一中立を宣言し、それを保っている国であった。三大勢力と言われる天使、堕天使、悪魔やそれ以外の神話体系に屈せず中立を保っている唯一の国であり、他の国や勢力で迫害された者たちの唯一の避難場所として知られているその場所に逃げ込む事を決めた二匹。だが、追って来た悪魔達も日本に二匹を逃がすものかと執拗に追いかけてきた。
激しくなる襲撃を何とか振り切り大怪我を追いながらも黒歌は白音と一緒に日本に逃げ込んだ。そして逃げ込んだ先にいたのが、幼い頃の一誠であった。
この出会いだが、実はあと少し一誠が見つけるのが遅かったらこの出会いはなかったのだ。なぜならば逃げ込んだ二匹だが、日本に侵入した時点で日本神話の神々に見つかっていた。で周囲を最上位悪魔と同等以上の力を持った妖怪達とそれ以上の力を持った神々に包囲されていたのだ。仙術使いとして高い力を持っている黒歌であっても信仰を得ている神々の術式を見破れるわけがなく周囲を囲まれているとは気がつけれなかった。
で、包囲した神々がいざ二匹を連れて行こうとした時、
日本人とは言え軽々しくも人の前に現れる事を良しとしない神々はひとまず監視をしながら一誠と二匹を見守った。
神々に監視されているとは知らない一誠と黒歌と白音。一誠は二匹をただの傷ついた猫だと思い両親に手伝われながらも甲斐甲斐しく世話をして、二匹を家族のように可愛がった。
黒歌と白音もそんな一誠に感謝していた。少なくともこの家にいれば恐ろしい悪魔達も襲ってこず、空腹で眠れない日々を過ごす事もなくお腹いっぱいにご飯を食べる事ができた。
だが、そんな日々は終りを告げる。一誠が二匹を家に連れて行ってから1週間後の深夜。一誠と両親が寝ている所を見て監視していた神が二匹の前に現れた。
二匹が寄り添って寝ている一誠手作りの寝床の元に
「其処の二匹よ」
「!?」
黒歌は直前まで感じられなかったその気配にすぐさま警戒し、白音も黒歌の邪魔にならないように黒歌の後ろに下がった。
「そう慌てるでない。われらは日本神話勢「高天原」が所属の八咫烏である」
「ファ!?」
日本では力のある神々が多くすむとは聞いていたがまさか自分達のような弱い存在に神が、しかも名のある神が合いに来るなど思ってもいなかった黒歌の口から変な声が漏れてしまうのも仕方がなかった。
「まずはそなた達に謝罪をしなければならん。迎えに来るのが遅くなってすまなかった」
名のある神が合いに来た事に驚いているのにその神が自分に頭を下げるという自体に黒歌と白音は頭が真っ白になる。
「本来であれば日ノ本に来た時点でそなた等を迎えに行かねばならなかったのだが、少し厄介事が起きてしまってな。遅くなってしまった」
「い、いえいえいえ!!とんでもないにゃ!!むしろ私たちから貴方様方に会いに行かなかったのが悪いだけですので、貴方様に謝られる事なんてないですにゃ」
「そ、そうです。悪いのは私達の方です」
頭を下げる神に慌てて自分達も土下座の如く頭を下げる黒歌と白音。
「そうか。そう言ってもらえると助かる……。では、本題に入ろうか」
穏やかな雰囲気を出していた八咫烏からまさしく神々しい気配が流れ出る。その気配に圧倒される黒歌と白音。
「そなた達は我が日ノ本が裏の世界でどの様な存在か分かっているな?」
「ッ……は、はい」
「本来であれば三箇所ある裏世界専用の入り口以外からの日ノ本への侵入は重罪であり、それを犯したものはいかなる者であろうと罰せられる」
「……」
「故にそなた達を我は罰せなければならない。そして罰は死罪となる」
「そんな!?」
黒歌と白音に課せられた罰は死刑。必死に逃げてきた末に一誠と言う自分達を家族として扱ってくれ保護してくれた存在に会えた結果が死刑である。反論しようと顔を上げるも神としての気配を放つその瞳に睨まれて息を詰まらせる黒歌と白音。
「あ、あぁぁ」
「悪く思わんでくれ。これも我らが決まりなのでな」
そう言ってゆっくりと三本の足を使い近づく八咫烏。神の気配によって身が竦み動けない黒歌と白音。その二匹は迫り来る死の気配に自らの死期を悟りながらもある事を考えていた。それは黒歌と白音を家族として扱ってくれた一誠の事だ。
(一誠、ごめんにゃ)
(一誠さん、ごめんなさい)
(私達を拾ってくれてありがとうにゃ)
(温かいご飯を与えてくれてありがとうございます)
後一歩のところまで八咫烏が近づいてきた。死を目の前にして最後に思ったことは、一誠に対しての感謝だった。
((私達を家族としてくれてありがとう))
そして神の采配が下ろされようとした時、目に映ってきたのは
「二匹から離れろ!!化けカラス!!」
子供用バットを手に八咫烏に殴り掛かった一誠の姿だった。
この世界でのISSEI=サンのヒロインは黒歌と白音です。
リアス?そんな名前の人は知りません。
八咫烏さんが黒歌と白音を殺そうとしてますが、ちゃんとした理由があります。てか問答無用で殺してたら殺伐な国になってしまう。