今回のお話で彼女がある種チートになる(最強とは言ってない)
「ミニステル・マギ、ですか?」
とある日の夜、私は師匠であるエヴァにある提案を受けました。
私がエヴァの弟子となり早数ヶ月がたち、”前回”の経験も合わさり並みの魔法使いよりは強くなり、今は格上との実戦形式の戦いを主にしています。
数ヶ月とはいえ実際はエヴァの持つマジックアイテムのひとつで外の一時間が中の一日になる特別な空間になっている別荘(名前を"EVANGELINE'S RESORT"という物)を使っているので実際はもう一年近くはたっています。
「そうだ。お前の能力ですでに知っているだろうが、一種の主従契約という奴だ。”前回”のお前は契約はしていなかっただろう?」
その日もいつも通りに実戦訓練を終えて反省点を”視”ながら考えているとエヴァにそう話を持ちかけられました。
「急にどうしたんです?」
「なに、ただ気になっただけだ。貴様が契約したときに手に入れるアーティファクトがな」
不敵に笑いながら話すエヴァの姿は幼い姿ながらも長い年月を生きた所為なのかどこか神秘的な雰囲気を纏っています。ただ……
(そろそろ私の弟子になって一年経つし何かプレゼントをあげないとな。でもそこらのマジックアイテムでは一周年のプレゼントにしては印象が薄いしなぁ。何かこうあいつの記憶に一生記憶に残るような物がいい……そうだ、ミニステル・マギだ!!私を主人としてあいつを配下に契約をしよう。これなら一周年の記念にもなるし、私とあいつ確固とした繋がりも出来るし。)
と、見た目は悪の魔法使いといった表情なのだが中身はなんと言うかかわいらしい考え方をしているのが私の師匠であるエヴァの姿である。
私が微笑ましい視線をしているのに気が付いたエヴァはカッと顔を赤らめさせる。かわいい。
「……フン、どうせ”視て”いるんだろう。ならさっさと来い。もう準備はしてある」
駆けるように移動してしまったエヴァに私は笑いながら後を追いかける。
そうして私はエヴァと契約を結びミニステル・マギとなり、パクティオーカードとアーティファクトを手に入れた。
カードには目を閉じた私の背後に無数の老若男女の仮面を被った悪魔と、三神の女神が書かれたカードで悪魔の方がソロモン72柱の悪魔、あらゆる秘密や、過去と未来の事柄が記されている本を持つというダンダリアンであり、女神の方が北欧神話にて過去・現在・未来を司る、ウルド、ヴェルダンディー、スクルドの三神でした。
エヴァ曰く「カードに描かれる絵は本人の本質を表す」と言われましたが、どういう事なんでしょうか?
そして、このカードによって手に入れた私のアーティファクトは「文官の隻眼」と言うモノクル型のアーティファクトでエヴァ曰く「一部の職業には人気だが基本ハズレだ」と言われるものでした。
その効果は『モノクル越しに見た物に文章を書く、ないしは書きかえれる』と言う、確かに文章を書く文官や事務職の人達には人気そうですがそれ以外ではハズレといわれる性能でした。
ですが、このアーティファクトは私にとってはチートアイテムだったのです。
このアーティファクトを装備した状態でエヴァと模擬戦をした所、初めてエヴァに完封勝利をすることができました。
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某月某日。
麻帆良学園の駅に一人少年が降り立った。
「ここが麻帆良学園かぁ……」
年は10歳程なのだがスーツ姿に”身の丈を越す杖”を持っているのだが、周りの生徒たちは
「ここで最終課題をこなして、僕も
ぐっと両手を握り締めて気合を入れる姿は容姿と相まって周りから微笑ましい表情で見られているが本人は気が付いていない。
「……あれ?」
気合を入れている中、少年はふと顔を動かしまわりを見渡す。
「誰かが僕の事見ていたような……」
周りをきょろきょろと見渡すも、周りにいるのは登校中の学生だけである。
「まあ、気のせいかな?【僕を知っている人なんていないはずだし】……ん?何で知っている人がいないんだっけ……」
自分自身が考えた事に疑問を感じたその時、少年を呼ぶ声が聞こえその後の騒動によって少年は自信が感じた疑問の事を忘れてしまった。
「……」
そんな少年を見つめる少女がいた。
少女の目は濁り、暗く、澱んでいた。
「あれが、”この世界”のネギ・スプリングフィールド……」
少年が起こす騒動を見ながら、呟く。
「「引き金を止めれなかった英雄の子」か……”今回”がどうなるかは分からない。でも私は生き残る。そして”視”てあげる。貴方の事を……」
これが後に始まる世界と世界の大戦争「魔法異界戦争」と呼ばれる戦争の切欠の日であり、少年と少女の奇妙な繋がりの始まりの日であった。