ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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冥界、やってきました!

 

 

 ・・・・・・いかん、記憶が飛んでる。

 

 今、俺は電車の中でゆられていた。

 

 隣の席ではナツミが眠っている。

 

「えっとちょっと待て。たしか俺は明け方までかけて舎弟達に釘を刺してだなぁ」

 

 思いだした。その後駅に集合して冥界まで移動することになったんだ。

 

 まさか駅に冥界移動用の仕掛けまでしているとは思わなかった。どこまで街に食い込んでんだ冥界は。俺、一つたりとも聞いてないぞ?

 

 まあ、眠すぎて全然聞いてなかった俺にも問題はあるが、その後の記憶が完全に飛んでいる。マジで疲れてるな。

 

「おはよう宮白くん。よく眠れたかい?」

 

「疲れているようだしもう少し寝てもいいだろう。どうせ冥界はいくらでも見れるんだから、今見なくても問題はない」

 

 木場とゼノヴィアが起きた俺に声をかける。

 

「いや、気を使わなくてもいいさ。もうだいぶ目が覚めたしな」

 

 そういいながら外を見るが、窓の外は真っ暗だ。

 

 どうやらまだトンネルを進んでいるらしいな。

 

「つか、あと何時間ぐらいだ? その辺全然聞いてなかったからな」

 

「あと一時間もねーよ」

 

 後ろから小雪の声が聞こえてきた。どうやら一緒に乗っているらしい。

 

「実質レアな経験ができてラッキーですね。・・・あとでリアス・グレモリーに礼をいておくべきでしょうか?」

 

 ベルまで乗ってるよ。部長、手当たり次第に連れてきてないか?

 

「今後の特訓の練習相手を兼ねて連れてこられたのですわ。・・・小雪も、悪魔側の冥界は始めただし、ゆっくりして行ったら?」

 

「・・・おーよ。そうする」

 

 いささか固いな。

 

 まだ朱乃さんと小雪の間は堅いな。

 

 まあ長年患ってきた問題だから仕方がないか。数年ぐらいはじっくりかけないと治せそうにないな。

 

「しかしこれはある意味でいいタイミングなのかしらね。・・・冥界から帰るころには堕天使側に要請していた駒王町の調整も終わるでしょう」

 

 エールを飲みながら、アーチャーが手元の資料を読みながら少し微笑む。

 

 ああ、それは確かにそうだろう。

 

 それが終わればキャスターのクラスでも単独ではできないような超防衛設備が駒王町を守るようになる。

 

 潜入してきた敵は精神的ダメージが大きすぎてろくに動けないことになりかねないし、むしろ呼吸困難を起こす可能性も十分にあり得る。

 

 そんな素敵な防御設備が完成すれば、聖杯戦争もある程度の余裕ができるわけだ。

 

「冥界にいる間はボディガードの一人ぐらい付けてほしいもんだ。実際忙しいだろうからな」

 

「他の転生者の魔術師と掛け合って、その技術を見返りに冥界での立場を約束させるとか行っていたわね」

 

 その通りだ。

 

 既に部長を通じてグレモリー当主には相談して許可を得ている。

 

 レイヴンの存在は非常に役に立った。

 

 いくら奴が根源と部分的に繋がることができるにしても、違う世界の死を見ることはできないはずだ。

 

 つまり、この世界にも根源に相当する存在があり、奴はそれに繋がっていることになる。

 

 さらに魔術そのものの本質がずれたことは好都合。上手くいけば社会に認知された一つの敬称として魔術師の名を刻むこともできる。

 

 それを利用すれば魔術師の暴走を押させることも不可能じゃない。俺としてはそれは好都合だ。

 

 現世に存在する魔術師たちによる共同組織に開発。それも独占することでいの一番に到達するのではなく、共同することで全員の到達可能性を向上させる。神秘は秘匿するという大原則が無効化された以上、その方向でいくことも決して不可能ではない。

 

 もちろん、フィフスが絶望するほどの事態を一代で到達することなどできるわけがない。

 

 だがそこは転生悪魔の制度がある。治癒魔術という利点を皆が習得し、それを売りとして悪魔業界に殴り込みをかければそれだけで一万年近いチャンスが手に入る。

 

 ・・・全員が全員のっかってくれるわけでもないだろうが。そうなってくれれば研究も進みやすくなって万々歳なんだがなぁ。

 

 そんなことを思っていると、いつの間にかイッセーのいたところに朱乃さんがいるように見えた。

 

 え? これどういうこと?

 

「み、宮白さん助けてください! イッセーさんが朱乃さんのせいで変態さんになってしまいますぅ!」

 

「いや既に変態だろ!? なに言ってるのアーシアちゃん!!」

 

「あらあら。イッセーくんは変態なほうがかっこいいですわよ?」

 

 どういう状況だよ! は! 朱乃さんが何かやらかしたのか!?

 

「いや宮白! 俺が変態で確定なのはどうよ!!」

 

 ゴメンイッセー!

 

 そこはフォローできない。お前はまごうことなき変態だ。

 

 なんでもヴァーリを圧倒した理由が、ヴァーリの本気攻撃の説明をアザゼルが「乳が半分になる」と言ったことによってブチギレて圧倒ってどうよ?

 

 フォローの余地がない。

 

 しかしこのトラブルも意外と面倒だな。朱乃さんのエロエロ攻撃はエロに寛容な俺でも顔を赤くしそうなレベルだ。

 

 人前ですよ朱乃さん。自重してください。

 

 それに小猫ちゃんはどうしたんだよ。いつもならこの辺りで痛烈な突っ込みを入れてるだろう?

 

 視線をさまよわせて確認すれば、小猫ちゃんは自分の席で窓から外を見ているだけだった。

 

 どうしたんだ一体? ギャスパーもどう扱ったらいいのかわからずに困ってるし、あそこだけ微妙な空気になってるぞ?

 

 などと思っていたら朱乃さんのエロエロ攻勢はさらに激しさを増して言っているしどうしたもんかね。

 

「・・・止めなくていーのか? なんか朱乃がはっちゃけてんだけどよ」

 

「お前が止めろ小雪。幼馴染が暴走してんぞ?」

 

「実質押しつけ合わないでください。それにもうストッパーが来ました」

 

「ベルの言うとおりにするのも癪だけどその通りよ。下僕のスキンシップが主の仕事。朱乃の出る幕はないわよ」

 

 オーラを纏わせながら部長が搭乗してくれました。

 

「主が下僕とスキンシップするのに何の問題もない。・・・ええ、下僕同士で乳繰り合うよりはないと思わないかしら?」

 

 すごい怒ってらっしゃる。

 

 しかしあえて主発言するのはどうか。

 

 イッセーの性格だとマジで主だからあんなことするとか考える可能性は非常にでかい。そうなると惚れているという事実を認識する可能性は余計に減る。下手をすると重度の女性恐怖症を発生しかねないほどのトラウマができているにもかかわらずだ。

 

 いろいろな意味で部長の恋路は遠いなこりゃ。

 

 ちなみに俺は積極的にアドバイスする気はない。

 

 本当にトラウマになっているなら荒療治は極力避けるべきだろう。悪魔になったことで長大な時間だって手に入ってるんだ。可能ならば数年ぐらい時間をかけてじんわりと治してやりたいぐらいだ。

 

 なんでも一万年近い寿命を持っているとかいうんだし、ゆっくり行こうぜ諸君。

 

「ほっほっほ。姫のこんな姿を見ることができるとは、長生きはするものですな」

 

 などとトラブルを見ていたら、新たな登場人物が現れた。

 

 見るからに車掌さんって感じだな。・・・この列車の担当者か?

 

「あ、ごめんなさい。・・・彼はレイナルドといって、このグレモリー専用列車の車掌をしているのよ」

 

 やはり車掌だったか。

 

 専用列車の車掌とか金持ちすぎだろグレモリー。悪魔業界恐るべしだな。

 

「以後よろしくお願いします。わざわざ挨拶に来てくださるとは思いませんでした」

 

 俺は立ち上がって握手をする。

 

「いえいえ。こちらも眷属悪魔の確認などもありますので。そこまで言われると恐縮ですな」

 

 ほほう。意外と警備も厳重なようだ。

 

 うっかり誤作動とかで偽物扱いされないだろうか心配だ。

 

「あなたたちはちゃんと転生した時に登録されているから大丈夫。本物だもの、安心しなさい」

 

 部長がにっこり笑って太鼓判をおすなか、機械が測定を開始する。

 

 ・・・よし、大丈夫そうだ。

 

「これで終了です。この列車にはお食事を取れるところもありますので、目的地までご利用くださいませ」

 

 そりゃすばらしい。

 

 こんな機会はそうそうこないだろうし、たっぷり楽しむとしますか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイナルドさんが照会に来られてから数十分後。寝台列車について聞いてから仮眠しにいっていた宮白くんが、大量の食事を持ってきて戻ってきた。

 

「お待たせ。ついでに軽食を用意してもらったから皆食べな」

 

「わぁい! お腹減ってたんだぁ。いっただきまぁっす!!」

 

「お、待ってました! あ、ナツミちゃんずるい! ちょっと待てって!!」

 

 目の色を変えてナツミちゃんとイッセーくんが飛び付き、僕たちも思い思いに手を伸ばす。

 

 宮白くんは気がきく人だ。僕も王を補佐する騎士として参考にしなくては。

 

「悪魔の食事も人間の食事とあまり変わらないんですね。実質おいしいです」

 

「そう言われると嬉しいわね。いくらでも食べなさい、ベル・アームストロング」

 

「んじゃ、爆睡しているファックの分まで食いつくすとすっか」

 

 称賛するベルに誇らしげな部長、悪戯っ子のような笑顔を浮かべる青野さんたちも手を伸ばし、しばし美食に舌鼓をうつ時間がやってくる。

 

 しかし冥界に行くのは久しぶりだ。

 

 もしライザー・フェニックスとの戦いに敗れていたとしたら、眷属悪魔として部長の結婚式に出席する形で言っていただろうが、そこは辛勝したことで何とか逃れることができた。

 

 あの時は本当にイッセーくんと宮白くんに感謝しないといけない。

 

 彼らがいなければ久しぶりの冥界来訪をこんないい気分迎えることはできなかっただろうからね。

 

 そう、この冥界旅行はいい気分だ。

 

 なにせ、久しぶりに師匠にあうことができる。

 

 ここ最近、僕は本当に実力不足を痛感したよ。

 

 堕天使との小競り合いでは、宮白くんを犠牲にする形になったにも関わらず、結局アーシアさんは一度死んでしまった。

 

 レーティングゲームではイッセーくんとの協力して多くの敵を撃破したが、不意打ちを受けて主の危機に駆けつけることができなかった。あの二人の活躍がなければ負けは確実だっただろう。

 

 エクスカリバーのときは禁手にいたったとはいえ、一番重要なコカビエルとの戦いで活躍したのはやはり二人だった。

 

 三大勢力の協定のときだってそうだ。ギャスパーくんを助け出し、圧倒的に上の立場にいた白龍皇を一時は圧倒したイッセーくん。宮白くんが警戒していなければ、魔王さまのどちらかの、下手したら両方の首が切り落とされていただろう。

 

 なにがリアス・グレモリーの騎士だ。あまりに情けない。

 

 彼らより長く悪魔として活動してきた身として、気を引き締めなければならない。

 

 彼らより先に禁手にいたったものとして、彼らが胸を張れる立場にいなければならない。

 

 アザゼル総督のおかげで禁手の制御もめどがついた。後は剣の腕の方だ。

 

 師匠に頼んで一から鍛え直そう。徹底的に基礎から作り直さなければ、あのムラマサを相手にすることはできない。

 

 彼女は結局禁手を使わずに僕らを抑え込んだ。・・・二度も無様を晒すつもりはない。

 

『もうすぐ次元の壁を突破します。もうすぐ次元の壁を突破します』

 

 レイナルドさんの声が聞こえる。

 

 もうそんな時間か。

 

「外を見ていて御覧なさい。きっと驚くわよ」

 

 部長がイッセーくん達を促す。

 

 たしかに、僕も始めて来た時は驚いたものだ。

 

 窓の外が光に包まれ、冥界の世界がイッセーくんたちを出迎える。

 

「すっげぇえええ!! 空が紫だ! あ、家も木もある!!」

 

「うっわぁあああああ!! なにこれ! コレが冥界!? すっごい!!」

 

「さっすが転生悪魔が初冥界入りする時につかう列車! 冥界の様子がよくわかるぜ!!」

 

 イッセーくんやナツミちゃんはもちろん、宮白くんのテンションも上がっている。

 

 この光景は人間界じゃお目にかかれないからね。

 

 真昼でありながら紫の空なんて、地球上には多分存在しない。

 

「すごいすごいです!」

 

「ああ、これが冥界か! こんな機会が巡ってくるとは、主に感謝しよう、アーシア!!」

 

「はい!」

 

 アーシアさんとゼノヴィアさんもはしゃぎ、両手を組んでお祈りを始める。

 

「「ああ、主よ!!」」

 

「さ、さすがに、実質それは祈らなくてもいいのでは・・・? いや、すごいですけど」

 

「気にするだけファックってもんだろ。つーかアンタも落ち着けよ」

 

 戸惑っているベル・アームストロングも若干興奮しているようで、唯一冥界慣れしている青野さんがなだめている

 

 ・・・ああ、いい感じだ。

 

 冥界合宿はいい滑り出しだね。

 

 この調子で、僕たちはもっと強くなる!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out


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