ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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お久しぶりです。

ちょっと難産で遅れてしまいました。


親友、カッコイイです!

 激しい戦闘は終わり、今は事後処理に動きまわっている人たちがいまくっていた。

 

 前魔王の血筋がテロを行い、しかも時間停止で警護は全員ろくに動けなかった。

 

 しかも、異世界からの技術を利用した無人兵器が量産されて利用されたというびっくり情報もちだ。これはどう考えても重大な問題になるだろうな。

 

 俺はいろいろとやってられなくなり、酒を転送して飲みながらそれを見つめていた。

 

 今は増援部隊などが校舎を修復したり、残骸や死体を片付けたりと動いていたが、かなり初期から戦闘をしていた俺たちは休息を与えられていた。

 

 ちなみに、無人兵器は戦闘終了と共に急速に錆びつき粉々に崩れてしまい、データの回収は不可能だろうということだ。

 

 情報が渡らないように念を入れられている。これは将来的に見ても苦戦しそうだ。

 

 全く、忙しい会談だった。

 

 同じ世界の転生者がテロを引き起こし、さらにはサーヴァントすら呼び出したんだから驚きだ。

 

「―お前も大変だったな。ま、これが終わったらゆっくり休め」

 

 俺は隣に立って学校を眺めているアーチャーにそう声をかける。

 

 おかげでいろいろと助かった。彼女がいなければ被害者が出たかもしれないと思うと、本当に助かったと言わざるを得ない。

 

「そうね。これが終わったらゆっくりと休ませてもらおうかしら。それぐらいはしてくれるのでしょう?」

 

「ああ。まだ金は残ってるし、上手い飯と美味い酒を用意してやる。この際だ、温泉の素買ってきてやるから風呂にでも浸かって優雅なひと時を味わいな」

 

「英霊には食事なんて必要ないのにね。・・・本当に面白いわ。あなたといると飽きなさそう」

 

 アーチャーはそう言って笑うが、そこまで変なことを言っただろうか。

 

 味わう舌も飲み干すのどもあるのが英霊だ。なら、それを堪能してもらうのは当然だろう。

 

 しかしそれだと金がかかる。この騒ぎで賭けは失敗しただろうし、出費が大変だな。

 

 部長に頼んでバイトの時間をもらえないか本気で相談しよう。うん、それぐらいしないと大変だ。

 

 と、その視線が片隅に移った。

 

 ・・・小雪が駆けつけた神の子を見張る者の増援を指揮している。

 

 よし、行くか。

 

「お疲れさん。・・・ホレ」

 

 俺は声をかけてから、ビールを呼び出してほおり投げる。

 

 小雪は振り返りながらそれを受け取るが、ビールであることを分かってから顔をしかめた。

 

「オイコラ。てめーは休憩中だからいいけどな、こっちは仕事してんだぞファック」

 

「ビール一缶ぐらいで固いこというなよ。あんだけ大仕事したんだし、それぐらいしてもバチは当たらねえだろ」

 

 ある意味こいつが一番の被害者だ。

 

 仕事のチームメイトが二人揃ってテロリストに鞍替えし、その後始末のために全力を出したわけだからな。

 

 もう休んでも罰は当たらないだろう。実際、自分から言い出して今の戦後処理をしてるらしいしな。

 

「こっちはもういいからお前もう休んでろ」

 

「そうですよ小雪さん。ここは俺たちに任せてください」

 

「アンタ仕事しすぎですって。俺らハーフとはいえ堕天使なんだから、肩の力ぬいたほうがいいっスよ」

 

 連続で放たれる同僚達の言葉に、小雪は少しむっつりしたが、やがてためいきをつくとビールを一気に飲み干した。

 

「・・・っつぁー! ぬりーけど美味い!」

 

「大仕事の後の一杯だからな。そりゃ美味いだろ?」

 

 そういうと、俺は小雪の肩に手をおいた。

 

「いろいろ大変だとは思うが、ま、俺も奴とは因縁ができたからな」

 

 俺なんかが言えることはほとんどないだろうが、これは言える。

 

「俺も頑張る。だから、あんまり気ぃ張りすぎんな」

 

 なんか、自然に笑顔になれた。

 

 そんな俺を見て、小雪はなぜか顔を赤く染めてきた。

 

「う、うっせーよバカ! こ・・・の・・・ファックファックファック!!」

 

「うおっ!? 危なぁ!?」

 

 こ、こいつ銃で撃ってきやがった!!

 

 悪魔の天敵である光の弾丸とかひどくね!? マジでひどくね!?

 

「はっはっは。今回の功労者たちは元気になってくれたようだ」

 

 と、最近になって聞きなれた声が聞こえ、俺たちは振り向いた。

 

 そこにはグレイフィアさんを伴ったサーゼクスさまが歩いて来ていた。

 

 いまだ、ガスの影響か顔色は悪い。だが、動く分には問題がないように見える。

 

「ご無事でしたかサーゼクスさま! ・・・あ、こ、これは!?」

 

 ヤバい! 俺たち酒持ったままだ!?

 

 今気付いたが堂々と未成年飲酒はさすがにまずいか!?

 

「気にしなくていい。グレイフィアはうるさく言うかもしれないが、きみたちが来てくれなければ我々の中に犠牲者が出ていたことは明確だ。・・・礼を言わせてくれ」

 

 そういうと、サーゼクスさまは俺たちに頭を下げる。

 

 ・・・うん。この人、やっぱり部長のお兄さんだ。

 

「頭をあげてください。一悪魔として当然のことをしただけです。な、なあ小雪?」

 

「まあ、身内の不祥事を身内で阻止しただけだ。気にすんじゃねーよ」

 

 そういう小雪だが顔が再び真っ赤になっている。

 

 こいつ、褒められるのに慣れてないのか? 意外と可愛いところとかがあるな。

 

「我々全員がああもやられるなど本当に一大事ですからね。・・・私からも感謝します」

 

「レヴィアたんなんて真っ先に狙われたもの。ありがとう、兵夜ちゃん☆」

 

 大天使ミカエルにセラフォルーさままで来ちゃったよ! 

 

 な、なんか俺ってものすごいことになってきたかもしれん・・・。

 

「ま、マジで俺のツレが迷惑かけたな。そこはマジで悪かった」

 

 片腕を失ったアザゼルが、そう言って俺達の方にやってきた。

 

 そばにはアーシアちゃんが付き添って腕に回復をかけている。

 

 さすがに堕天使総督が片腕を無くす事態は驚きなのだろう。サーゼクスさま達の目が丸くなる。

 

「・・・その腕はどうした? まさか、カテレアが―」

 

「ちょっと自爆されそうになってな。ま、フィフスが提出予定のガス使っておおごと起こしかけたわけでもあるし、気にすんな」

 

「・・・彼も、転生者だったそうだな」

 

「まさか俺に隠し通すとはねぇ。それでいてあそこまで研究を進め、さらには聖杯戦争だなんておおごと引き起こすんだ。・・・ヴァーリの件も含めて、ちょっと身内の引き締めを真剣にやらねえとな」

 

 確かに、ちょっと洒落にならない事態だな。

 

 魔王の血を引く者たちが指揮を取り、堕天使内部の裏切り者の手によってここまで事態は深刻になった。

 

 奴がうかつな一言を漏らしていなければ、誰か一人は犠牲になっていたかもしれない・・・。

 

 そんなことを考えているうちに、大天使ミカエルがサーゼクスさまとアザゼルの間に入る。

 

「私はこれから天界に戻ります。和平の件はもちろんですが、禍の団(カオス・ブリゲート)についても対策を練らねばなりませんからね」

 

「申し訳なかった。会談の場をセッティングしたものとして、今回の件は責任を感じている」

 

「レヴィアたんからも謝るわ。本当にごめんなさい」

 

「サーゼクスもセラフォルーも気になさらないでください。結果的に会談は成功したのですから。少なくとも、禍の団に対しては一致団結して対処することができます」

 

 そうだな。それは不幸中の幸いだ。

 

 各種勢力の危険分子が集まってできたテロ組織。

 

 そんなヤバい連中と相手にするにもかかわらず、連携が取れないのは致命的だ。

 

 最大勢力を誇る三大勢力の神話体系が協調してことに当たる。それだけで難易度は大きく変わっていくだろう。

 

「ま、確かに俺達の間で和平は成立できたってことだ。よかったな、小雪」

 

 アザゼルが再び小雪の頭を撫で始める。

 

 小雪も顔を真っ赤にしながら、しかし抵抗はしなかった。

 

「ま、アザゼルも頑張ったんじゃねえの? ほめてやるよこのファック野郎」

 

「おう! 腕一本なくしたかいはあったかもな!」

 

 ・・・なんか、ほほえましいな。

 

「ミカエルさぁああああん!!」

 

 校庭の端から、イッセーがあわててこっちに駆け寄ってきた。

 

 おいおい。この戦闘で体力消耗しすぎて休んでたんじゃなかったのか?

 

「て、天界に戻る前に・・・お願いが、あるんですけど・・・いいですか?」

 

「私に可能なことであれば」

 

 おお、太っ腹だ!

 

「神に祈りをささげた悪魔がダメージを受けるのって、ちょっと前に言ってたシステムって奴のせいですよね?」

 

 そういえばそんなことを言ってたな。

 

 敬虔な信者だったアーシアちゃんとゼノヴィアは、未だに祈りをささげて頭痛にさいなまれている。

 

 こういうのって長年続いているからその分抜けないんだよな。見ていてなんだが大変だとは思うぞ俺も。

 

「はい。アレは神が残したシステムの基本部分ですので、主がおられなくても当然機能します。それがどうしましたか?」

 

「アーシアとゼノヴィアが祈る分だけでも、ダメージ無しにできませんか?」

 

 ―っ

 

 イッセー・・・。こいつ、本当に・・・っ!

 

 まさかそんなことを言い出すとは思わなかったのだろう、ゼノヴィアとアーシアちゃんも目を丸くして驚いていた。

 

 大天使ミカエルも予想外だったのか、少しの間言葉を失っていた。

 

 まったく、イッセーってば本当に意外性あふれる奴だよ。

 

「・・・私からもお願いします」

 

 俺の後ろから、懇願する声が聞こえてきた。

 

「い、イリナ!?」

 

 ゼノヴィアの声が同時に、振り返った俺に紫藤イリナの姿が映る。

 

「・・・ごめんなさいゼノヴィア、アーシアさん。事情も知らずにいろいろと酷いこと言っちゃって・・・悪いことをしたわ」

 

 両手を合わせて謝る紫藤イリナ。

 

 ・・・いい奴が多いな、この会談。

 

 その光景を見ていた大天使ミカエルが、小さく笑うとうんうんと頷いた。

 

「・・・いいでしょう。二人ぐらいなら、教会に近づくこともなければシステムをごまかせるかもしれません。アーシア、ゼノヴィア、問います。神は不在ですが、それでも祈りを捧げますか?」

 

「「はい」」

 

 二人は即答した。

 

「分かりました。・・・ふふふ、神に祈りをささげる悪魔が、二人ぐらいいても問題はないでしょう」

 

 おお! 前代未聞の悪魔が二人も誕生したぞ!

 

 いろいろとすごいことになってきたなグレモリー眷属! ま、これぐらいなら可愛い方か!!

 

「「「ああ、主よ!!」」」

 

 感極まったのか、三人は両手を組むと即座にお祈りをした。

 

「「・・・あう!?」」

 

 ・・・うん、アーシアちゃんにゼノヴィア。

 

 まだ、システムはいじられてないよ?

 

「ふふふ。すぐに戻ってシステムを調整しないといけませんね」

 

 本当にいろいろとあったが、最後はいい感じにまとまったかな?

 

 ・・・ふと上を見れば、満点の星空に悪魔と天使と堕天使が飛びまわっていた。

 

 うん。・・・いい光景だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「俺は、とんでもないことをしでかしてしまった」

 

 オカ研に行くために旧校舎へ向かいながら、俺は頭を抱えていた。

 

 ああ、なんというミラクルをやらかしたんだ俺は! いや、いろいろとツッコミどころが多すぎるぞ!!

 

「いったい何やらかしたんだよ、宮白」

 

「そうだぞ宮白。どうしたんだ?」

 

 イッセーとゼノヴィアにそう言われて、俺は我に返った。

 

 ああ、オカ研行く前にちょっとノートパソコン開いたら驚愕に震えて我を忘れてしまった。

 

「・・・イッセーは知ってるよな? 俺が、賭け事サイトで今回の会談の結果を200万ほどかけたこと」

 

「ああ。確か会談が平和に和平がむすばれるだったよな? ・・・酷い結果だな、200万もはずすなんて」

 

 ああ。それはそれで本当にひどいことなんだが、問題はそこじゃない。

 

「・・・ちがえてた」

 

「・・・へ?」

 

 イッセーが首をかしげるが、俺は視線を横にそらさずにはできなかった

 

「睡眠不足だったのがたたって、全く別の奴選択してたんだよ!!」

 

 恥ずかしい!

 

 まさか二度にわたってギャンブルでアホな失敗するとは思わなかった!!

 

 いや、尋常じゃない大儲けだったんだけどね!! むしろそれが怖い!

 

「そ、それでどんな選択肢を選んでたんですか?」

 

「・・・テロが勃発するが会談そのものは成功。倍率は200倍だ。ちなみにドンピシャ」

 

「大当たりじゃねえか!?」

 

 アーシアちゃんの質問に答える俺の言葉に、イッセーが度肝を抜かれた。

 

 ああ、ものすごいミラクルを引き当ててしまったよ、マジで。

 

「いや、ちょっと待て! 宮白お前、200万賭けたって―」

 

「おかげで4億円だ。・・・まあ、一万年近い悪魔の寿命だと年4万円だけどな」

 

 そう考えるとちっぽけな気もするが、さすがに大金持ちになりすぎてる気がするんだが。

 

「そんな大金持ったら、俺だと調子乗って一気に使い切りそうだな・・・。大丈夫かよお前」

 

「ああ、これもきっと主のお導きです。主よ、宮白さんにこのようなご加護を下さって感謝します」

 

 心配するイッセーと祈り始めるアーシアちゃん。

 

 ・・・もう頭痛にさいなまれることはないってわけか。よかったな、アーシアちゃん。

 

 そんなこんなで会話は大金をどう使うかにシフトし始めた。

 

 とりあえず、研究費用が大量に手に入ったのは幸運だろう。

 

 悪魔の魔力も宝石に込めれることが判明したし、これからは宝石魔術を研究し尽くして戦力増強を図らないとな。

 

 フィフスは魔術を利用するつもりだ。しかも、パラケラススと言えば錬金術師で有名。間違いなく、様々な方面で禍の団は強化されるだろう。

 

 俺も頑張って貢献しなければ大打撃を受けるはずだ。

 

 とりあえずは、アーチャーに協力してもらって治癒魔術の礼装を悪魔で使用可能にするところから始めるとするか。アーチャーは確かオカ研に向かっているはずだし、力になってもらわないとな。

 

「・・・宮白、済まないが話がある」

 

 俺の思考をゼノヴィアの言葉が中断させる。

 

 やけに神妙とした顔つきだな。何があった?

 

「何だよ。ま、まさか子作りうんぬんの話をここでするつもりか?」

 

「いや、その件なんだが・・・。プールの時での話、なかったことにしてほしい」

 

 ・・・意外なことを言ってきたな。

 

 ん? そういえば昨夜イッセーが男見せたし、もしかしてそういうことか?

 

「ああ、イッセーに本格的に惚れたか」

 

「あ、ああ。実はそうなんだ。・・・始めてをあげるのも子供の親と成るのも、イッセーに絞りたいと思う」

 

 おお、こいつが顔を真っ赤にするなんて珍しいな。

 

 ま、気持ちはわかるけどな。

 

 イッセーは昨日、いろいろな意味で男を上げた。アレは俺にはまねできそうにない。

 

「あいつはアレで上物だ。・・・親友の俺が保障するから、全力で惚れておけ」

 

「ああ、言われずともそうするよ」

 

 ・・・いい笑顔、するじゃねえか。




たぐいまれなる主人公補正。

兵夜、億万長者!!

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