ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
周りも想像以上の激戦になってきている。
既に停止から解除された三大勢力の護衛部隊が、召喚されていた自動兵器と戦闘を開始している。
ヴァーリはイッセーが食い下がっている。カテレアはアザゼルが吹っ飛ばした。謎の女も木場達が何とか抑え込んでいる。
なら、俺も俺の役目を果たそう。
「・・・面倒な真似をしてくれんじゃねえよ。どこまでいけるか試さなけりゃいけないじゃねえか」
フィフスは自身の能力を使い、無人兵器を大量に転送し始める。
どうやら、まだ戦闘を続行する意思はあるようだ。
「・・・アーチャー。まずは雑魚を殲滅してくれ。俺は何とか奴を食い止める」
「分かったわ。せいぜい頑張って見せなさい、坊や」
アーチャーは魔力弾を全方位にぶっぱなし、瞬く間に無人兵器を殲滅していく。
俺はそれを横目で見てから、静かにフィフスに対して構えをとる。
その隣に、ナツミと小雪が並び立った。
「手伝うよ、ご主人」
「それやめろって言ってるだろ。後で説教だ」
「じゃ、ちゃんと生きてないとね」
ああ、分かってるよ、ナツミ。
いい加減時間もたってるし、さっさと終わらせてゆっくり休もう。
「ファックな騒ぎに巻き込んで悪かったな。ファックな元同僚が迷惑かけた」
「身内が不祥事起こして大変だったな。・・・ま、組織的にはこっちも同じなんだが」
「あーそうだな。とっとと片づけるぞ」
ああ、そうだな小雪。
お互い平和に過ごしたいんだ。こんなバカ騒ぎとっとと終わらせて、和平をさっさと成立させよう。
「・・・まあいいさ。とっとと片づけるだけだこれが!」
フィフスはそういうと、ショットガンを投げ捨てて突撃する。
遠距離戦を捨て、接近戦で片付けるつもりか!!
「させるかよ!!」
小雪が両手に対戦車ライフルを構えてカウンターを叩きこむ。
上手く引き付けたいいタイミングだ。これなら避けられない!!
「なめんじゃねえ! 俺にも切り札の一つぐらいはある!!」
フィフスは槍を呼び出し、カウンターの光力攻撃を真正面から受け止める。
間違いなく最高の一撃だったはずなのに、奴はそれを力技で弾き飛ばした。
何だあの槍は!? 魔王退治に使用した奴と同じ奴か? ・・・ってことは奴の切り札か!
「魔槍ガ・ボルグ! まだ連続使用はできないが・・・」
そのまま減速すると、奴は勢いよく槍を振りかぶる。
その呪いが奴自身の腕を傷つけながらも、莫大な破壊力が発生していることを俺に教えてくれた。
あれ、マズくないか?
「単発使用なら十分いけるんだよこれがぁ!!!」
ヤバい!
あれ、今まで見た中で一番破壊力がある一撃だぞ!!
「任せて!」
ナツミが、その瞬間に前に出た。
「サタンソウル・・・マルショキアス!!」
その姿が一瞬で魔人のそれへと変わり、同時にフィフスが槍を投げつける。
ナツミとガ・ボルグは一瞬でぶつかり合い、その直後大爆発と共にお互い弾き飛ばされた!!
「ナツミ!?」
「行ってよ・・・兵夜!!」
・・・この、バカ・・・・・・っ!
「う・・・ぉおおおおおおおおおお!!!」
強化を全開にし、俺はフィフスへと突進する。
奴は全力投擲と呪いの余波、さらに衝撃によって完全に態勢が崩れている。
近接戦闘能力が非常に高いと言われている以上、このチャンスを突かなければ俺が負ける!!
「
全身から光力をみなぎらせ、一気に接近して光の槍を振りかぶる。
届くか・・・この一撃?
「な・・・めるなぁああああ!!!」
体制が崩れたままのフィフスの判断は一瞬だった。
体中から針金が伸びると、そのまま槍の射線上でひと塊りになる。
あっという間に増殖する針金の塊に、光の槍が激突する。
光の槍は針金をぶち抜くが、しかし時間を稼がれ威力を減衰される。
「これならいけるんだよ、これがぁ!!」
態勢を立て直したフィフスが、光の槍を生みだして俺の槍を相殺する。
「く・・・まだまだぁ!!」
ここであきらめてたまるかよ!
右手に光の槍を生みだし、正面から切りかかる。
奴はそれを籠手を活かして一瞬でいなし、さらに俺に拳を連続で浴びせてくる。
通じない・・・のか!?
「フィフスゥウウウウ!!」
横に回り込んだ小雪の一斉射撃で動きが止まるが、フィフスにダメージは入らない。
「舐めるなよこれが! 俺はともかく、俺の100年かけた根源への願望を・・・なめるな!!」
全部裁き切ったフィフスは吠える。
ターゲットは完璧に俺だ。
まずは三流魔術使いの俺をしとめようって腹か!
・・・負けられるか。
イッセーは言ってくれたんだ。
俺のことを親友だと、むしろ自分が親友でいいのか不安だと、言ってくれたんだ。
むしろ俺が言いたくなるほどのことを、同じように考えてくれたんだ。それだけ、俺のことを立派な親友だと思っていてくれたんだ。
それが、そこまで言わさせるようなこの俺が・・・!
「ここで・・・終われるかぁ!!」
こんなところで、無様を晒せるか・・・っ!!
祐斗SIDE
宮白くん。きみは一体、何を作り上げたんだ?
ムラマサとの戦いはいったん中断されていた。
目の前で、驚愕する事態は起こっているからだ。
イッセーくんの宿敵であり、裏切り者であるヴァーリ・ルシファー。
いま、彼は血を吐いてうずくまっていた。
「ヴぁ、ヴァーリ? 無事なんか・・・無事なんか!?」
顔面蒼白のムラマサの声に、ヴァーリは後押しされたのか何とか立ちあがる。
「は、はは・・・。やはり俺の予想は当たっていた。あの転生者、本当に恐ろしい・・・!」
血を出し過ぎたのか顔を青くしているヴァーリは、ふるえながらも笑みを浮かべている。
「ああ、謝罪しよう兵藤一誠。きみは確かに弱い赤龍帝だが、友人と組めば十分に面白い! 力を譲渡する赤龍帝なら、仲間と共に行動するぐらいでちょうどいい!!」
そういうと、ヴァーリは鎧を修復させて完全に立ちなおった。
あれだけ喰らってまだ戦えるのか! 史上最強の白龍皇の名はだてではないということなのか!
「ちっくしょう! もうそのまま倒れてろ・・・よ?」
毒づくイッセーくんの視線が、地面に転がっている白龍皇の鎧の破片に注がれる。
宝玉すら堕ちるほどの損傷だったが、それでも白龍皇は鎧を修復させてしまった。
全身鎧型の禁手は再生能力も恐ろしいということだ。完全に戦闘不能にしなくては、ほとんど砕け散ったとしてもすぐに再生してしまう。
だが、イッセーくんはそれとは別のことを考えているのか、小さな声でブツブツとつぶやいている。
「・・・、いけ・・・よし!」
イッセーくんは頷くと、宝玉の一つを手に持った。
「何のつもりだ?」
ヴァーリが怪訝そうにする中、イッセーくんはその宝玉を握りつぶす。
同時に、赤龍帝の鎧が無茶苦茶に発光した。
「う・・・ぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」
激痛に襲われているのか、イッセーくんは絶叫を上げて天を仰ぐ。
なんだ? なにが起こっているんだ!?
「ヴァーリぃいいいいい! てめえの力、俺がもらったぁあああああああああああ!!!」
そう言い放つイッセーくんの右腕が、赤から白へと変化していく。
そして絶叫を終えたころには、その腕はまるで白龍皇の鎧のように変化していた。
「まさか、俺の半減の力を奪ったというのか!?」
『正気か!? 我々の力は相反する存在、死んでもおかしくない・・・死ぬのが普通だぞ!?』
「マジか・・・? マジでヴァーリの力奪い取ったんか?」
ヴァーリたちはその事実に信じられないものを見るかのように戦慄する。
それについては同感だ。僕も本気で驚いている。
赤龍帝と白龍皇は長い年月を対立し続けていた磁石の対極のような存在だ。
その力を・・・取り込んだというのか!
「あーなるほどー。前例があるもんねー」
「聖魔剣のようなイレギュラーが自分にも起こせると思ったのですか。実質無謀ですが可能性は確かにありましたね」
桜花さんとベルが僕の方を向いてそう言ってくるが、発想はあったとしても実行に移すようなまねは僕にはできないだろう。
さすがはイッセーくんだ。彼といると、まるで僕まで不可能なことがないかのように思えてしまう。
いるだけでこうも心強くなる存在がいるとは、僕たちは本当に助かっている!
「ホンマありえへんわ。・・・フィフスはんの方は優勢にやりおうとるっちゅうに、ホンマこっちはとんでもないことばっかおこっとるなぁ」
その言葉に、僕たちは引き締まる。
宮白くんの方は劣勢なのか・・・!
「まあ、ウチらはウチらでそろそろ仕切りなおそか。・・・ウチも楽しみたいし、減らさへんで?」
救援には行けそうにもないな・・・。
宮白くん、無事でいてくれ・・・!
SIDE OUT
目の前に迫った一撃を受け止めたのは、魔力障壁だった。
何だ一体・・・? まさか・・・!
「手がかかる坊やね、ホント」
無人兵器と魔術師たち相手に無双しながら、アーチャーが俺を守ってくれていた。
しかもその手の中には、ガ・ボルグの一撃を相殺して吹っ飛ばされたナツミが抱えられている。
この乱戦状態でそこまでやってのける余裕があるとは、俺のサーヴァントはすさまじい。
「・・・そんな奴の味方をするぐらいなら、俺の味方をした方が得だと思うぜ、これが」
フィフスは障壁の様子を確かめるように軽く小突きながら、アーチャーに向かってそう言い放つ。
「確かに根源到達のためにサーヴァントは皆犠牲になってもらう必要はあるが、それなりに優雅な生活は保障してやる。・・・三流魔術師に使われて、みじめに負けるよりかはいい生活だと思うがねぇこれが」
「くだらないわね」
フィフスの口説き文句を、アーチャーは一蹴した。
さすがに絶句はしてないフィフスだったが、その真横から光の弾丸が再び襲いかかり、フィフスはそれの迎撃に意識をとられる。
それを横目にしながら、アーチャーは言い放った。
「私は魔術の心得がある英霊だけれども、だからこそわかるわ。・・・この坊やは、少なくともマスターとして及第点よ」
既に自分の近くの無人兵器をほぼ壊滅させ、戦闘中の護衛部隊の支援にすらはいっているアーチャーは、その自分の砲撃を見ながら微笑すら浮かべる。
「ここまで乱射しても戦闘続行可能な魔力量。たかが分身であるサーヴァントに遠慮することができる人間性。・・・しかも、周りには面白い人たちが多くて飽きさせない」
放たれた攻撃をどこからともなく取り出した剣ではじき、さらに続ける。
「それだけの人達に期待されるだけのことはあるわ。少なくとも、人のことを使い潰す気しかないあなたなんかよりはよっぽど信頼できる」
光の弾丸をさばき続けるフィフスに指を突きつけ、アーチャーは断言した。
「この私の援護まで受けているマスターが、あなた風情に負けるわけがないでしょう!! 行きなさいマスター! あなたは、あなたを信頼する全ての期待にこたえる義務があります!!」
・・・!!
ハッ。やる気にさせることを言ってくれるじゃねぇか。
そうだ。そうだな。そうだよな。
ここで、こいつごときに躓いている余裕はない。
俺はこれから、根源到達のために手段を選ばぬ魔術師全てを戦わなければならないんだ。
たかが錬金術師一人に、てこずっている場合じゃない・・・!!
右腕の手甲が光り輝く。
ああ、そうだ。
お前もそう思うか。負けたくないと、そう思ってくれるか。
なら大丈夫だ。俺たちは―
「決めるぜ、ここで・・・っ!」
どこまでも高みを目指せる―
「
「な、ん、だとぉ!?」
度肝抜かれてんじゃねえよ、フィフス・エリクシル。
それはここからだぜ!!
爆発的に光が強くなり、それが消えるころには手甲は消えていた。
不安はない。それは、より俺の力となったことの証明なんだから。
「
さあ、第三ラウンドだ!!
ついに兵夜に禁手をゲットさせました!
効果については次回