ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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信頼してます、どこまでも

 

 結論から言って、アザゼルのアドバイスは非常に役に立った。

 

 匙の神器をギャスパーにひっつけたところ、莫大すぎる停止範囲がかなり狭まったみたいだ。

 

 とはいえ、それで完全にコントロールできるようになったかと言えばそうではなく、停止させれるかどうかはかなりランダム要素が強かったが。

 

「ほら、ギャスパー!」

 

「は、はいぃいいいいい!!」

 

 今もイッセーが放り投げたボールを停止させようとしているが、なかなか狙って停止できないでいた。

 

 まあ、今まで一切制御できていなかったものが何割かでも制御できるようになったというのは非常に大きな意味があるだろう。

 

「・・・おっと」

 

 と、腕が妙な違和感に襲われる。

 

 どうやら、視界に入った俺の腕が停止してしまったらしい。

 

 空間に固定されたのか一切動けない。

 

「ご、ごめんなさいぃいいいいいいい―」

 

「ほらストップ!!」

 

 逃げ出そうとするギャスパーを呼び出したボーラという狩猟用の武器で捕縛。

 

 ギャスパーは間違えて俺達を停止させるとこうしてすぐに逃げ出そうとする。

 

 よほど、停止させた者たちにいろいろと酷い目にあわされてきたのだろう。もはや深層心理レベルでトラウマになっているとしか思えなかった。

 

 まあ、そんなわけで俺が捕縛役になって止めるのが仕事になっている。

 

 かつて、不良と喧嘩になった時、確実に逃がさずとっ捕まえるためにいろいろと考えていたのがここにきて役に立った。

 

 ちなみに片腕は止まったままだ。

 

 一度停止するとどうも数分間は止まりっぱなしになってしまうらしい。

 

 距離が近いと長時間止められるが範囲は狭く、逆に距離が遠いと範囲が広いが短時間しか止められないらしい。

 

 どうにもギャスパーの逃走癖を直さないと話が進みそうにないな。

 

 せっかく解放されたのだし、再封印とかいう流れはマジで勘弁なんだが・・・。

 

「どう? 進んでいるかしら」

 

 等と考えていたら、部長がバスケット片手に様子を見に来てくれた。

 

 どうやら中身はサンドイッチらしい。わざわざ俺達のために作ってきてくれたのか。

 

 相も変わらず良いご主人だ。こりゃ本気でお仕えしないといけないな。

 

「うめえ! これホントに美味いです部長!!」

 

「ああ、これほどおいしい食事をつくって来てくれるとは、部長には本当に感謝しなければならないな」

 

 イッセーとゼノヴィアが絶賛する通り、これで商売しても十分なぐらいにおいしかった。匙たちも絶賛している。

 

「ごちそうさまですー。これリアス先輩が作ったんですか、おいしいですねー」

 

「そんなに褒めないで。これでも材料が足りなかったからできてない方なのよ」

 

 それでこれほどとは思わなかった。

 

 木場と朱乃さんはまだ帰ってきていないらしい。

 

 とりあえず、俺たちはアザゼルについて報告もしておいた。やはり部長も驚いているようだ。

 

「アザゼルは神器に造詣が深いと聞くけど、私達に教えるほど余裕があるということかしら・・・」

 

「だとすると本気で厄介ですね。・・・まあ、向こうが正しい情報を流してくれているのならせいぜい利用すれば良いですけど」

 

 俺としてはそんな感じで総括するが、これは裏を返せば神器研究で悪魔は堕天使の足元にも及んでいないということだ。

 

 自分の能力ぐらいは把握した方がいいな。いや、神器に頼らず他の方法で力を得るというのも方法論の一つではあると思うが。

 

「それじゃあ、私達もお仕事に戻りますねー。いこ、元ちゃんー」

 

「分かった。それじゃあリアス先輩、俺たちはこのへんで」

 

「ええ、ありがとう二人とも」

 

 二人はそう言ってはなれていく。

 

 しっかし久遠はなんというか、ああいう状況下に対して場慣れしてるな。

 

 匙も神器の新たな可能性に触れることができたみたいだし、こりゃあいつらまだまだすごいところが見れるかもしれない。

 

「それじゃあギャスパーも休めたわね? 匙くんに力を吸われたおかげでいい感じに調整されたでしょうし、私も手伝うから頑張りましょう?」

 

「は、はいぃいいいい! 頑張りますぅうううう!!」

 

 ギャスパーが半ば悲鳴な声をあげて、練習は続行された。

 

 ・・・正直な話、もう少しアドバイスを引き出せていたらよかったのにと思ったりしたのは内緒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 基本的に、悪魔の仕事が終わったら魔法陣から転移して戻るのが基本ではある。

 

 例外は俺が知る限り二つ。

 

 一つはイッセー。肝心の魔力がないという状況下では、転移したくても出来ないので戻れるわけがない。あいつは自転車で契約相手のところまで行って、そして自転車で俺達のところまで戻っていくのだ。

 

 もう一つは俺のパターンだ。

 

 これはさらに細かく分けて二つある。

 

 一つはアフターサービスだ。

 

 俺の仕事は基本的に不良にからまれた被害者の救済がメインとなっている。

 

 その大半は不良を制裁して謝罪させたりして、なおかつ今後の干渉を禁じさせるというものだ。これは当然だが、報復の可能性に対して注意する必要がある。

 

 そのための保険として、ちゃんと後をつけて念を押す。基本的には住所氏名電話番号などが間違っていないか再確認する。必要なら、追加で後ろからこっそり脅しをかけ直すと言ったこともやっている。

 

 その場合、普通に転移して帰ったりすると手間が増えるので、最初から自分で移動したりするのは当然だろう。

 

 そしてもう一つは・・・。

 

「・・・ふう。やっぱり深夜に食うラーメンはなんというか独特の趣があるよなぁ」

 

 単純により道である。

 

 夜風に当たっていたり、単純に自分の日常活動のために念のための見回りをしたりなど理由は様々だ。中には単純に気分が乗らないから徒歩で帰る場合もある。

 

 とりあえず気を使って30分で帰れる場合にしている。ちなみにより道の理由は全部まとめてついでに日常活動を補強したいということで納得してもらっている。

 

 ちょっとした気分転換も立派な日常生活なので嘘はついてない。

 

 そして今日は、たまたま美味いラーメン屋が近くにあったから夜食の許可をもらってきたのである。

 

 ちなみに、ちゃっかり持ちかえりで夜食にギョーザなどを買ってくるように言われてしまった。部長も抜け目がない。

 

 最近はいろいろと気が張ってたからこういう息抜きは本気で大切だ。

 

 制服でビールを飲むのはさすがにどうかと思ったのでシラフだが、俺は結構機嫌が良かった。

 

 そんなこともあるし、何より買った持ちかえり品が覚めても面倒だ。自然と、俺の脚は賭け足になって走り出す。

 

 ・・・その視界に、妙なものが映った。

 

 異様に目立つかの白龍皇、ヴァーリが、誰かと話している?

 

 やけに胸部の露出度が高いゴシックロリータの女の子だ。年齢は中学生・・・下手すると小学生か?

 

 まさか彼女ってことはないだろうが、もしかすると妹か何かだろうか?

 

「・・・まあいいか」

 

 いくらなんでも家族関係にまで口を出すような関係でもない。

 

 あいつの関係者なら不審者の一人や二人一瞬でせん滅するだろうし、気にするほどでもないか。

 

 そう思い、俺はそのまま駆け抜けた。

 

 ・・・後に彼女の正体を知って、この事実を部長か誰かに相談していたら、のちの面倒は大きく軽減していたかもしれないと思ったのを付け加えておく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ギャスパーが引きこもった。

 

 引きこもり克服のためにギャスパーをイッセーの悪魔家業に連れて行ったのが原因だ。具体的には契約相手が男の娘萌えで暴走したため、ギャスパーの神器も暴走していろいろと勃発したらしい。

 

 ・・・俺も大概だが、イッセーの契約相手もまた個性的な人が多いからなぁ。

 

 こりゃかなり精神的にダメージが入ってるだろう。

 

「・・・まあ、こういうときにイッセーはむいているっちゃぁ向いているとは思うけどな」

 

「宮白くんは、本当にイッセーくんを信頼してるね」

 

 木場はそう感心した。

 

 とりあえず、今現在俺たちは手が空いている状態なので一緒に行動している。

 

 ちなみに俺は夜食の準備だ。木場にも手伝ってもらっているが、こいつ本当に料理うまいな。俺が手伝いに回った方が良かったんじゃないか?

 

「夜食まで用意するってことは、イッセーくんがそれだけ粘るって確信してるってことじゃないか。それだけ理解してるのは羨ましいよ」

 

「ガキの頃から付き合いあるからな。そうそう負けてもいられねえよ」

 

 とりあえず作るのはおにぎりだが、それなり具もこだわってみる。

 

 わざとでかい具にして中身が握りから飛び出すようにしたり、混ぜご飯にしたりなどだ。

 

 飲み物代わりにみそ汁も用意。具はシンプルにワカメと豆腐にしておこうか。

 

「・・・おいしそう! ね! ね! 味見してもいい?」

 

 我ながら会心の出来栄えなため、様子を見ていたナツミがよだれを垂らしてこっちを見てくる。

 

「もうすぐ持ってくからそれまで待てよ。どうせなら一緒に食べながらダベろうぜ?」

 

「う~! 早く作って作って!!」

 

 うん。ナツミが我慢できずにせかすのがわかるぐらいいいにおいだ。

 

 金にものを言わせて普段より高い代物で作った買いがあった。

 

「・・・木場、味噌汁はOKか?」

 

「ああ、できたよ。それじゃあいこうか」

 

「やたっ! 早く持ってこ!」

 

 三人で手分けして持ってギャスパーのところへと向かう。

 

 もう暗くなっているし、丁度いいタイミングだろう。

 

「でもさ? 兵夜ってホントイッセー好きだよね?」

 

「まあな。自分で言うのもなんだが、依存している節はある」

 

 ナツミのいうことはマジで本当だ。

 

 自分でも引かれるとは思うが、これは事実中の事実にして俺の根幹をなしていると言ってもいい・・・どころか確定だ。

 

 ベルが大天使ミカエルに仕えているように。

 

 久遠が会長に忠誠を誓っているように。

 

 そして青野小雪も、おそらく奴のことをなんだかんだで信じているはずで

 

 俺はイッセーを心から信頼し、信用し、信じている。

 

「だからなんとなく分かるんだよ。あいつはきっとギャスパーの支えになれるってな」

 

 支えられたからこそ断言できる。

 

 兵藤一誠という男は、個人を色眼鏡で見たりすることが極めて難しいと言ってもいいほど、その本質で相手を判断することができる。

 

 時間を止める能力? ハーフヴァンパイア?

 

 常人ならそれを聞いただけでビビる奴も出るだろう。俺も、まあ何一つ警戒してないと言えばうそになる。

 

 だがあいつには関係ない。

 

「ギャスパー・ウラディがどれだけ恐れられて迫害されたのかは知らないが、兵藤一誠はそんなことはしない。それは俺の中で絶対だ」

 

「・・・本当に、イッセーくんを信頼しきってるんだね」

 

 木場が、ものすごいものを見たような眼を向けてきた。

 

 ・・・さすがにドン引いたか?

 

「まあな。せいぜい、時間停止が自分にあったらエロいことし放題だからうらやましい・・・とか考えてるんじゃないか?」

 

 間違いなく考えているな。

 

 そんなことを話していると、ナツミが俺の袖を軽くつかんできた。

 

「・・・わかるなぁ。イッセーを信じる気持ち、ホントにわかるよ」

 

 ・・・なんかほんのり顔が赤いな。

 

 まさか、こいつもイッセーに惚れた口か?

 

「自分を認めてくれる人が、ホントにいい人だったらサイコーに嬉しいよね。それ、ホントわかる」

 

 あいつがほめられるのを聞くのは俺としても本当に嬉しい。

 

 笑顔になるのが止まらない。

 

「そりゃそうだ。スケベが致命的だけど、それさえなけりゃぁ本当に最高な奴だ。俺が女だったら惚れてたね。どう思うよ?」

 

「その気持ちわかる。ま、ボクはイッセーはちょっとアウトかな」

 

 あれ? そうじゃないのか?

 

 てっきりイッセーを認めてグッっときたのかとも思ったんだが・・・。

 

「宮白くんも、本当にいい人だってことかな?」

 

 木場が何やら気になることを言ってきた。

 

 ・・・なんだろう。なんだか、とんでもないことに気がついてないような気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「宮白、木場! ギャスパーが止めて俺が脱がす間に、魔術と禁手(バランス・ブレイカー)で俺を守るんだ! これは完璧な陣形だと思わないか! グレモリー男子眷属最強のコンボだよマジで!!」

 

「・・・ナツミ、俺が取り押さえている隙にフルパワーで頼む」

 

「オッケー。マルショキアスだすよー」

 

 ・・・いろいろと台無しにしてんじゃねえよコラ

 

「え・・・ちょ、ま、まって・・・ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!!!!!」

 


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