ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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ラストバトル! 今回は結構巻いていきます!!


決着、決着、大苦戦!

 

 

 

 

 

 作戦はすぐに決まった。

 

 ミッドチルダ系統の古くない魔法を使うヴィヴィ達が、フリードの相手をすることはほぼ確定。むしろそれ以外に選択肢がない。

 

 なにせ神々や古き神秘の天敵が今のフリードだ。俺も須澄も暁も赤龍帝も、圧倒的に不利なのは間違いない。

 

 学園都市技術を保有しているグランソードも、もとをただせば古き血族魔王の末裔。比較的ましなだけでダメージが大きいことに変わりはない。

 

 雪侶も魔法体系は神話の時代から代々続いている。滅龍魔法は疑似再現である以上効果は薄いだろうが、それでも苦戦は必須だろう。

 

 姫柊ちゃんもだめだ。雪霞狼は対異能に特化しているわけで物理的な破壊力は低い。それでは一軍匹敵の超能力は突破できない。

 

 ゆえに、物理ダメージではなく魔力ダメージによる無力化ができる時空管理局の魔法体系が必要不可欠。

 

 しかしそれにしたってリスクは高い。なにせヴィヴィ達の戦闘能力は言っては悪いがこのメンツでは低めの方だからだ。

 

 しかも天下布武を受けないためには、トマリのエンチャントも使えない。

 

 ゆえに、できる限り早めにケリをつけるべきだ。

 

 ああ、だからこそ―

 

「そういうわけで、お前の相手は俺がする。覚悟しろザイード」

 

 

 俺は即座にザイードを補足すると、シルシとともに戦闘を開始する。

 

 千里眼は全力でザイードの位置把握に発動。これで絶対逃さない。

 

 なにせザイードは暗殺者。認識から逃れた場合が一番危険だ。

 

 そのくせ龍神の肉体を持っている以上、その一撃は半端な宝具を上回る。まともに戦うならこちらも相応の切り札を切る必要がある。

 

 ゆえに代行の赤龍帝と、冥府へ誘う死の一撃。そして神格化のフル運用だ。

 

 ついでに言うと消去法でもある。

 

 なにせ、残りがきつい。神秘殺しのフリード。滅龍魔法の使い手のフォンフ。そして聖槍持ちのエイエヌ。

 

 コカビエルがいたら別だったんだが、しかしそれでもザイードは安全性が高いのだ。

 

「短時間で決着をつけるぞ、シルシ!」

 

『ええ! 長期戦になったらこちらが不利だしね!!』

 

 全身から再生の炎をまき散らしながら、俺はザイードに突貫する。

 

「笑止! 天敵でないなら倒せるとでも思ったか!!」

 

 いやまさか。

 

 龍神の血肉で作られた体を腐ってもサーヴァントが動かしている。楽な相手だとは欠片も思っていない。

 

 ああ、だが個人的に―

 

「仮にもイッセーの体が悪用されてるのを、黙ってみていられるほど俺は寛容じゃないんだよ!!」

 

 ―ダダンダンダダン♪ ダダンダンダダン♪

 

 いつものブチギレテーマソングを流しながら、俺は一気に接近する。

 

 そして放つのは各種属性の攻撃フルバースト!

 

 それをザイードは踊るように回避する。

 

「他愛なし! 他愛なし! 他愛なし!!」

 

 ええい何度も連呼するなマジむかつく!!

 

『落ち着きなさい兵夜さん。すでに戦線は決着しているわ』

 

 ああ、わかってるさ。もう詰んだ。

 

 そして俺はとどめを放つべく一気に接近する。

 

 悪いアーチャー、我慢してくれ!!

 

「決着を焦りすぎだな! その程度でどうするつもりだ!?」

 

「んなもんこうするにきまってんだろ」

 

 いうが早いが、俺はサマエルの毒を開放した。

 

 ああ、忘れてもらっては困る。

 

 お前は(ドラゴン)だろう?

 

 瞬間、前もって血清を打っていたとはいえ俺の体に激痛が走る。

 

 なにせ、これは死ななければいいという発想で作られた安全版。死にはしないが悪影響はもろに出て、動けなくなる質の悪い劣化品だ。

 

 だが、死ななければ安い。

 

 そして、龍神とはいえ所詮はイッセーの体として作られた劣化版のザイード。特にお前は血清を使用していないだろう?

 

「ぐ、がっぁあああああ!?」

 

 ああ、だからそうなる。

 

「これで終わりだ」

 

 あとは覚悟と血清で動ける俺がこうすればいい。

 

冥府へ誘う(ハーイデース)―」

 

「馬鹿な、貴様正気―」

 

『何を言っているのかしら?』

 

 ほんの一瞬で勝負を決められたザイードの声を遮り、シルシが告げる。

 

『この人、気狂いでしょう?』

 

「―死の一撃(ストライク)!!!」

 

 その言葉を手向けとして、俺は一撃で奴の頭部を蹴り砕いた。

 

 そして、そのままもんどりうって斃れる。

 

 即座に護衛用にゴーレムを大量展開し、俺は激しく息をついた。

 

 くそ。後遺症を避けるためとはいえ、それゆえに性能の低い安全版じゃあ、すぐには動けそうにないか。

 

 とはいえ、この混戦状態で暗殺者なんてのさばらせておくわけにはいかない。なんとしても短期決戦で倒す必要があった。

 

 ……ざまあさらせ、暗殺者。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ザイードがやられた!? っていうかあの野郎正気かこれが!!」

 

 あまりの展開に、フォンフは驚愕する。

 

 今、フォンフは暁古城と姫柊雪菜、そしてグランソードと雪侶の四人を同時に相手していた。

 

 宮白兵夜はできる限り短時間で強敵をしとめる戦法を構築していた。

 

 それゆえに、できる限り戦力を集中させてフォンフを倒す戦法をとっていた。

 

 何より―

 

「物量で押してきたフィフスの後継を倒すのに、これほど嫌味なやり方もありませんわね!!」

 

「よっぽど腹に据えかねてたんだなぁ、大将の奴」

 

 そういいながらグランソードと雪侶はフォンフを攻め立てる。

 

 その猛攻を難なくさばきながらもフォンフはなかなか戦闘ができなかった。

 

 理由は単純。

 

「雪霞狼!!」

 

 滅龍魔法も魔法である以上、雪霞狼の前には打ち消されるからだ。

 

 そしてヒット&アウェイで戦闘をおこなう三人が離れれば―

 

獅子の黄金(レグルス・アウルム)!!」

 

 莫大な出力の雷撃が放たれる。

 

 フォンフはそれを捌きながら、しかし確実に追い詰められていた。

 

 桁違いの破壊力の眷獣に、魔力を無効化する槍。

 

 そしてその連携の邪魔をさせないグランソードと雪侶の連携。

 

「……ふむ、ここまでか」

 

 フォンフは理解した。

 

 自分は、確実に勝てない。

 

「やけにあきらめが早いな。それでもフィフスの後継か?」

 

 その光景に真っ先にいぶかしむグランソードの判断は正しい。

 

 続行の起源をもつフィフスは、あきらめない男だ。そしてそれは起源の存在をよく理解できなくとも、近くで見てきたグランソードはよくわかっている。

 

 だが、フォンフはそれはそれとして不敵に笑う。

 

「仕方がない。俺はあくまでフィフスの残影。フィフスより弱いしこの状況はしのげない」

 

 まるですべてをあきらめたような口調だが、しかしあまりにもおかしすぎる。

 

 彼らはみな、フォンフの驚異的な憎悪を魅せつけられていた。

 

 それなのに、こんな簡単に敗れることを許容できるのか?

 

 あまりの不穏な雰囲気に攻めあぐねるなか、フォンフはにやりと笑みを浮かべる。

 

「仕方がないので後続機(残り)に任せよう」

 

 その言葉に、グランソードは目を見開く。

 

「……しまった! フィフスの基本は人海戦術!!」

 

「量産されてますの、フォンフは!?」

 

 雪侶もまた驚愕する中、フォンフな何を言っているのかといわんばかりに口角を吊り上げる。

 

「当然! 兵器ってのは量産できるかどうかが重要なんだぜ、これが!!」

 

 いうが早いか、フォンフは自らの心臓に拳を叩き込む。

 

 とたん、魔力が暴走し周囲に放たれる。

 

「……やべえ、こいつ自爆する気―」

 

「もう遅い! これで死んだらラッキーだなこれが!!」

 

 次の瞬間、大出力の魔力が全方位にわたって放たれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その爆発は強大だが、須澄も赤龍帝もそれに意識を向けている余裕はなかった。

 

「そらそらそらそら!! どうした赤龍帝に須澄くん! この程度だなんて言わせるなよ!!」

 

 あまりに多種多様な種類の攻撃をつるべ打ちで放ち、エイエヌは猛攻を叩き込む。

 

 そして、従僕たちもまた一斉に攻撃を加えていた。

 

「あらあらイッセー? あなたはこの程度じゃないでしょう?」

 

「その通りだぞイッセー。我がデュランダルでも倒せるかわからないのがお前という男じゃないか」

 

「そうですわイッセーさま。もっとあなたの力を見せてくださいませ」

 

 従僕たちはその材料となった者たちと同じ口調で、赤龍帝を励ますように声をかける。

 

 その口調はまさにかつての過去と同じものであり、それゆえに赤龍帝は精神をすり減らしていた。

 

「こ・の・野郎……っ!」

 

「悪趣味だね、悪趣味すぎるよ糞兄貴!!」

 

 歯を砕かんばかりにかみしめてそれを押させる二人をフォローするように、アップもトマリも戦闘をおこなっているがそれでも焼け石に水だった。

 

「数が多すぎるよっ! アップちゃん、こんなにいるって知ってたっ?」

 

「ごめん知らなかった! さすがにこれは多すぎでしょう!?」

 

 前衛戦闘をおこなっている者の数だけでも、下手をすれば万を超える。

 

 地球と時空管理局を相手に戦争を起こすという言葉に嘘はかけらもなかった。それだけの戦力がここに集まっている。

 

 このままでは勝てない。少なくとも、兵夜の策がはまらなければ勝ち目がない。

 

 そして、それが成功する確率はどんどん下がっていっていた。

 

「でもエイエヌさまの攻撃が激しすぎる! このままだと近づけない!」

 

「須澄くん……っ」

 

 すでに乱戦となり、アップもトマリも須澄達から離れていく。

 

 これでは、すぐには駆けつけることができそうになかった。

 

「兄貴、クソ兄貴ぃ! ここまでやってるとは思ってなかったよ!!」

 

「そりゃあ、50万は従僕に変えたからな! それぐらいしないと地球相手に戦争なんてできないだろう!!」

 

 聖槍同士がぶつかり合いながら、須澄とエイエヌはぶつかり合う。

 

 だが、霊魂を取り込むという特性に特化している禁手では出力は上昇しない。それはすなわちあらゆる性能差がそのまま残っていることの証左である。

 

 そして赤龍帝は従僕につかまって近づくことができないでいた。

 

 これでは、兵夜の作戦を遂行することなど不可能だ。

 

「クソ! 部長、ゼノヴィア、レイヴェル……っ!」

 

 赤龍帝は魔剣と魔力による波状攻撃をかいくぐりながら、歯噛みする。

 

 大好きな少女たちがエイエヌに作り替えられて、そして追い込まれている。

 

 その光景に涙が出る。だが、それで視界をにじませれば今度こそ自分が死ぬ。

 

 それだけはダメだ。絶対にダメだ。

 

 エイエヌは自分たちの地球だけでなく、平行世界の地球すら滅ぼしかねない所業をおこなおうとしている。そして、その被害を受けるのはこの世界の自分やリアスたちだ。

 

 それだけは、そんなことだけは認められない。

 

「やられて、たまるかよぉおおおおおお!!!」

 

 

 

 




ザイード・短期決戦。

乱戦の中に暗殺者を解き放たれたらという実戦的な意味でも、イッセーの体を使われているという精神的な意味でも、兵夜が奴を黙ってみている理由などありませんでした。ほかに相性のましな空いていないしね!!

そして危険度が高いのいいことに躊躇なく猛毒を使用。いったん戦線離脱ですが、気合と根性ですぐに復活します!



それはそれとして量産されていたフォンフ。正式に言えばフォンフ・プロト。

まあ、数にモノを言わせる傾向の強いフィフスが、いったいだけにするわけがないというか。……そんなレベルで乳が恐ろしかったということです(汗




そしてラスボスのエイエヌはそんな瞬間決着はさせません。

奴はあの場にいる中では間違いなく最強。狂気に物を言わせた大量武装は伊達ではありません。そして徹底的に赤龍帝に精神攻撃。性格悪い。

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