ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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切りどころが悪くて、すごいアップダウンが激しい展開に……



ぶっちゃけ後半ギャグ変です。


憎悪の爆発。聖槍と五の残影

 

 近平須澄は、立ち上がった。

 

 神器は、思いの力によって駆動する。

 

 ゆえに、強い想いを持っているのならば出力を向上させることは不可能ではない。

 

「ふざけるなよ馬鹿兄貴。さっきから黙って聞いていれば、お前の都合なんて知ったことか」

 

 奥歯を強く噛み締めて、須澄は怒りに染まった目でエイエヌを睨みつける。

 

「お前の、お前らの自業自得の結末の不満に、なんでアップを巻き込んだ!!」

 

 その糾弾に、エイエヌは少し言い難そうにしたが、視線を僅かに逸らしながら言い切った。

 

「……禁手の実験を兼ねた愉悦」

 

「そう。だったらここで死ね」

 

 その瞬間、正真正銘須澄はエイエヌの呪縛を振り切った。

 

 そして、そのまま()()し切りかかった。

 

「お前が! お前がお前がお前がお前がお前が!! お前さえ、いなければ!!」

 

「ああいいだろう。俺を憎め! 俺を恨め! 俺を殺しに来るがいい! その方が躊躇なく殺せて俺も気兼ねがしない!!」

 

 聖槍同士のぶつかり合いというあり得ない光景を繰り広げながら、エイエヌと須澄はそのまま離れていく。

 

「できれば君とは殺し合いたくなかったが、しかし自業自得なので我慢しよう! さあ、殺せるものなら殺して見せろ!!」

 

「だったら殺してやるよぉおおおおおおお!!!」

 

 聖槍のオーラが爆発的に上昇し、そして一気にぶつかり合う。

 

 だが、その戦闘は明らかに須澄が不利だった。

 

 一つは単純な技量の問題。

 

 輝き(オーフィス)に出会う前から鍛錬を重ねてきた勤勉なエイエヌと、聖槍を手にしてから聖槍だよりで戦ってきた須澄との間には大きな隔絶が存在している。

 

 一つは手数の問題。

 

 エイエヌは、聖槍以外にも様々な神器を保有している。また、神滅具だけでも確認されるだけで二つ別途に保有している。それだけで化け物といわざるを得ない圧倒的な力の持ち主だということがわかるだろう。更に三つすべてを禁手に到達させている。

 

 それに比べて須澄は聖槍一本。しかも禁手に至っていない。これでは性能不足は見るまでもない。

 

 そして最後に出力の問題。

 

 誰が見ても分かるぐらい、エイエヌの方が聖槍のオーラを放出させていた。

 

 以上三点すべてにおいて、エイエヌは須澄を圧倒的に凌駕している。

 

 この場の誰もが、エイエヌの勝利を疑ってはいなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「須澄!!」

 

 まずい! ちょっとこの流れは想定していなかった!!

 

 ええいあほか俺は!! このうっかりが!!

 

 俺も大概頭に血が上ってたな。思わず図星を突きすぎた!

 

「グランソード! フリードを押さえろ!!」

 

 少なくともグランソードならフリード相手には比較的相性がいいはずだ。

 

「舐めんな魔王さんよ! お前さん神秘の塊じゃーん!」

 

 そう言い放つフリードの発言は確かに正しいが、しかし誤算が一つある。

 

「カッカッカ! 甘いぜ?」

 

 振り抜かれる刃を、グランソードは素手で受け止める。

 

 グランソードの能力による防御だが、しかしフリードは驚愕する。

 

「なんでだ!? 魔王様のような神秘の塊なら、俺の能力ガチはまりするはず―」

 

「だから甘いぜ兄ちゃん。この能力は―」

 

 グランソードはそのまま刃を握り締めると、拳を握って振りかぶる。

 

「信長公より未来の科学だぜ、クソガキ!!」

 

「へぶぁ!?」

 

 そう、グランソードの進行凍結(オールストッパー)は最先端の科学技術。

 

 ならフリードの能力の範疇外だと思ったが、ドンピシャでよかった。

 

 あとそれを理解してのっかってくれてマジ助かった!

 

「お前が俺の女王(クイーン)でよかったぜ、グランソード!!」

 

「おう! 行ってこい!!」

 

 俺はすぐに須澄の元へと向かう。

 

 聖槍は俺の天敵だが、もうそんなこと知ったものか。

 

 そもそも魔獣以外は全員俺の天敵じゃねえか! はっはっはっは笑うしかねえな此畜生!!

 

 こうなったらやけだ! 意地でも助けてやるから待ってろよ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ、ちょっと待て宮白兵夜! エイエヌの相手は俺が―」

 

「諦めろ赤龍帝」

 

 獅子を再び纏って追撃をしようとする赤龍帝に、アルサムはその肩を掴みながら止める。

 

「今のお前ではエイエヌは倒せん。せめて透過が使えれば話は別だがな」

 

「ふざけんな! あの野郎は俺がこの手でぶち殺さないと気がすまない! っていうか透過ってなんだよ!?」

 

『俺が封印される前に持っていた能力だ。確かにあの力が使えればエイエヌの禁手も突破できるが、そもそもあれば聖書の神に封印されたときに消されたと思っていたのだがな』

 

 ドライグが半ば唖然としながら答えるが、アルサムは静かに首を振る。

 

 その間も魔獣が襲い掛かってくるが、二人にとっては話のついでに倒せばいい程度の雑魚でしかなかった。

 

「否、理由はわからんが聖書の神はそれを残していた。特にお前は白龍皇の力すら取り込んで反射も使っていたぞ」

 

『白龍皇の力を取り込むだと? まさか、そんなことができるのか?』

 

 ドライグが興味深そうに言葉を続ける中、しかし戦闘はとどまらない。

 

「まあ待てよ赤龍帝。ついでにルレアベ使いも」

 

 薄ら笑いを浮かべながら、フォンフが両手に炎を纏って一歩一歩近づいていく。

 

「逃がしはしないぜ赤龍帝。我がオリジナルの怨念を、ここで晴らさせてもらう」

 

「フォンフとかいうやつか! ええいフィフス・エリクシルも余計なものを!!」

 

 毒づきながらアルサムは切りかかるが、フォンフはそれを真正面から受け止める。

 

 魔力が周囲を破壊しながらまき散らされ、そして二人はいったん離れる。

 

「ふふ、ふふふ、フハハハハ! 殺してやるぜ兵藤一誠! フィフスの怨念のままに、俺は貴様を滅ぼしつくす! 平行世界がどうだのと知ったことか!!」

 

「おい! 平行世界の俺は一体何やったんだよ!?」

 

フィフス()の野望を食い止めた! つまりはそういうことだ!!」

 

 それに対してフォンフは髪の毛を振り乱しながら戦意を高ぶらせる。

 

 ああ、ようやく怨念を清算するときが来た。

 

 そして、ただ殺すだけでは飽き足らない。

 

「貴様を殺すだけでは怨念は清算されない。俺はエイエヌの協力の元新たな聖杯を作り、そして願う! 俺の怨念の清算を!!」

 

 そう、そしてフォンフはその対象を睨みつけた。

 

 戦闘形態をとっているがゆえに成長したヴィヴィオとアインハルトの―

 

「そう、あまねく胸を平坦に!! 全人類を貧乳へと変えるのだ!!」

 

 

 ―おっぱいを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………いや、マジで。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 魔獣達すら硬直した。

 

 古城の呼び出した眷獣が、放った雷光ごと固まった。

 

「……………ちょっと待って?」

 

「待たないぜ赤龍帝!!」

 

 フォンフは滅龍の力を完全に放出しながら、固まったアルサムをかいくぐって真剣な表情で困っている赤龍帝に殴りかかる。

 

「巨乳死すべし! 巨乳消えるべし! 巨乳滅ぶべし!! 乳こそ我が憎悪! おっぱいこそ我が怨敵!! そう、俺はフィフス・エリクシルの乳に対する恐怖と怒りと恨みを分けられて生み出された存在! ゆえに赤龍帝(貴様)と一緒に乳をも滅ぼすのさ、我々は!!」

 

「いやちょっと待ってくんない!? なんでそこでおっぱい!?」

 

 赤龍帝は心からツッコミを入れた。

 

 それはもう、渾身からのツッコミだった。

 

 真剣に憎悪を向けられるのはまだいい。まだいいがなぜこうなった。

 

 なんで、自分と同じぐらいというかワンセットでおっぱいが恨まれている!?

 

 貧乳帝国の出身か何かなのかと思いながら、赤龍帝はとりあえず言葉を告げる。

 

「おっぱいが何でおれとワンセットなんだよ!?」

 

「ふざけるな乳乳帝(ちちにゅうてい)!」

 

「『ちちにゅうてい!?』」

 

 あまりに頭のおかしい名称に、中のドライグと一緒に悲鳴じみた声が上がる。

 

 だがフォンフは聞いていない。聞く耳持たない。

 

「今まであまねく我らが野望を、どれだけ乳の力で台無しにしてきたと思っている!! 冗談抜きでトラウマになるわこれが!!」

 

「い、いやいやいやいや! あり得ないだろ!?」

 

 赤龍帝はとにかくこの空気を何とかしたくなった。

 

 なんというか、真面目な戦闘のはずなのにシリアスが息してない。これは流石に嫌だ。

 

 第一、常識的に考えてみろ。

 

「乳をもんだりすったりして強くなったとでも!? んなことあるわけねえだろうが!!」

 

 非常に常識からくる心からの叫びだったが、その言葉にフォンフは動きを止めた。

 

 ああ、わかってくれたかと思ったが、次の瞬間、フォンフはすごい真顔になった。

 

「そんな調子だからエイエヌに仲間殺されて従僕にされるんだ、お前」

 

「………貴様ぁああああああああああっ!!!」

 

 とたん、我に返ったアルサムが、全力の一撃をもってしてフォンフに切りかかる。

 

 その一撃は返されるが、しかしすぐに連撃が放たれた。

 

「許さん! 許さんぞフォンフ!!」

 

「それはこっちのセリフだこれが! 俺が、俺がどれだけおっぱいで苦しめられてきたと思っている!?」

 

 全力のフォンフのカウンターを、しかしアルサムは魔力障壁で受け止める。

 

 魔王剣に選ばれるだけの能力を見せながら、アルサムは怒りに燃えて怒声を浴びせる!

 

「限りなく真実に近い推論とはいえ、世の中にはいっていい真実と悪い真実があるのだぞ!! どれだけ赤龍帝が苦しんできたか考えろ!!」

 

『『『『『『『『『『真実!?』』』』』』』』』』

 

 全体の九割以上が驚愕の叫びをあげるなか、フォンフはしかし赤龍帝を見るとあざけわらう。

 

「馬鹿め! 乳こそお前の力の根源だろうに! それを捨てて強くなろうなどと馬鹿じゃねえの!? ……いや、ホント馬鹿じゃねえの?」

 

「マジで答えるな! いや、ちょっと待ってオイホント勘弁してくれよ!?」

 

 あまりにあれな事態に、赤龍帝は泣きそうになった。

 

 いや、ちょっと待ってくれ。

 

 大好きな女や大事仲間たちが死んだのが、俺がおっぱいを吸ったりつついたり揉んだりしなかったせい?

 

 いやいやいやいや。あり得ない。

 

「……赤龍帝! 時間を稼ぐ、すぐに仲間たちの乳をつつくのだ!!」

 

 だが現実はあまりに無情。アルサムはフォンフを抑え込みながら、赤龍帝に早く乳をつつけとせかす。

 

「つつけば確実にこれまで以上の力を得ることができる! この状況を打開するには、それしかない!!」

 

「その通りですのよ赤龍帝!」

 

 アルサム渾身の叫びに、雪侶もまた同意する。

 

「お乳を愛する心こそ、いつだってイッセーにぃが困難を打開してきた力! さあ、早くつつくのです赤龍帝! そしてE×Eより乳神を呼ぶのです!!」

 

「乳神!?」

 

 なんだその素敵な神様は!?

 

 そんな思いを嘆き悲しみながら浮かべるが、しかしそれで平静でいられないのがフォンフだった。

 

「……させるものかぁあああああああああああああ!!!」

 

 絶叫とともに全身から炎をまき散らし、フォンフはアルサムを弾き飛ばして赤龍帝の懐へと入り込む。

 

「火龍の、翼撃!!」

 

「ぐああああああ!?」

 

 そして赤龍帝を宙へと弾き飛ばし、すぐに連撃を叩き込む。

 

「乳によりヴァーリに並び、乳により禁手に至り、乳により覇龍を制御し、乳により神を呼び、乳により禁手を超え、乳により覇を乗り越え、乳を生贄に物理法則すら超越し、あまねく乳の力を借りてトライヘキサすら抑え込んだ乳乳帝!! そんなことなど、させる物かよ!!」

 

「えぶ! ちょぐふ! まってば!!」

 

 絶叫とともに放たれるフォンフの攻撃を、赤龍帝は防ぐことができない。

 

 そしてその恐慌具合が、彼の言っていることが真実であるということの証明でありいろいろと泣きたくなる。

 

 さっきから言われている内容がいろいろとすごすぎる。向こうの俺一体何してるの!?

 

 そう思いながら、しかし赤龍帝はなすすべなく殴り飛ばされる。

 

「ええいさせるかぁ!!」

 

 アルサムが強引に割って入り助け出すころには、赤龍帝はもはや心身ともにズタボロになっていた。

 

「な、なあ……」

 

「なんだ赤龍帝! 傷は浅いぞしっかりしろ!!」

 

 アルサムは警戒しながらしかし赤龍帝に声をかける。

 

「………お前の知ってる俺と、俺、どっちが強い?」

 

「これまでに出した最高レベルなら比べるまでもなくあちらだな」

 

 特に何の裏も無くすぐに答えられては信じるほかない。

 

 赤龍帝は、あまりのショックに意識を喪失した。

 




フィフス「おっぱいこわいおっぱいこわいおっぱいこわいetc」

フォンフはマジでそのために開発された存在です。相当レベルでおっぱいにトラウマを感じています。

だって常識で考えてくださいよ。クソ真面目にメタすらはって対策断ててるのにもかかわらず、おっぱい一つでひっくり返される。……寝込むレベルのトラウマでしょう。









それはそれとしてなかなか出番がなかったフリード。

実はフリードの幻想兵装として織田信長はかなり前から考えてました。っていうかヴァルキリー編のボスにする予定もありました。

それがなかなか出すことができず、こんなところまで引っ張られる。

……作品を核のは難しいです。

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