ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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展開速いのがD×Dのいつものこと。

本作も展開速いですよ~!


拳の女王と魔導の僧侶

 

 一斉に放たれる砲撃の中、古城たちは唖然となりながら周りを見渡していた。

 

 一斉に、一斉に、それはもう一斉に、彼らは現れた。

 

 そして古城達を庇うように展開しながら、一気にアップ達に攻撃を加えたのだ。

 

「おっし! 間に合ったな!」

 

「それにしたってどうすんのよ、これ流石に怒られない?」

 

「いいだろ別に! 髪の色違うし、偽物だろ偽物」

 

「フィフス辺りならできそうだしなぁ。ま、違ったら後で謝ればいいか」

 

「そうそう。俺達はリアス・グレモリーの眷属でもなければ兵藤一誠の眷属でもないしよ。宮白兵夜の眷属であるグランソードの兄貴の舎弟だぜ?」

 

 そう言い合いながら、彼らは古城達をカバーする。

 

 人間そっくりの者もいれば、獣人もいる。

 

 中には鬼にしか見えないものもいるが、しかし共通しているのは同じ服を着ているということだ。

 

 おそらく制服。そして、その衣装にはうっすらと見覚えがあった。

 

「宮白やシルシさんが着てたのと・・・似てる?」

 

「そりゃまあ、あの二人が着てるのは士官服風だからな」

 

 と、リーダー格らしき男が一歩こちらに回ってきた。

 

「待たせちまって悪かったな。次元探査艦タワークロック所属、特別戦闘小隊第一分隊だ!」

 

 そういうと、その男達は近くにいた雪菜の頭を撫でる。

 

「え、あの・・・」

 

「・・・よく頑張った。大将はうっかりさんだから胃が痛かったろ?」

 

 そう、慈愛にあふれる表情で告げると、そのままにかりと笑顔を浮かべる。

 

「俺らが来たからには少しは安心していいぜ? これでも、全員上級悪魔クラスだからよ!」

 

 そういうが早いか、攻撃を仕掛けようとしたパルミラとフィーニクスに即座に砲撃を放つ。

 

「さんざん好き勝手してくれやがったようだな! こっちも仕返しのし甲斐があるってもんだぜ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・うわぁ、ウザイ」

 

 そう顔をしかめながら、アップは肩についた傷に触れる。

 

 その手にべっとりとついた血をなめとってから、アップは不機嫌そのものの視線を彼らに向ける。

 

「あなたは、あなた達は、誰ですか?」

 

「君が、近平須澄くんだね? 兵夜様からは特に念を入れて助けておくように言付かっている」

 

 そう言いながらその堕天使は、光の槍を向けると突き付ける。

 

 同じ行動をとっているものは片手じゃきかないほどの数が参加しており、そしてその誰もが隙を窺うのが困難なほどの戦い慣れをしていることを感じさせた。

 

「次元探査艦タワークロック、特別戦闘小隊第二分隊だ。これ以上の戦闘は我々も参加させてもらうが?」

 

「え? なにこれっ! 増援っ?」

 

 突然の援護にトマリも少し混乱しているが、しかしすぐに我に返ると視線をアップに向ける。

 

 アップの戦闘能力は十分高い。もしかしたら、このまま戦闘を続行する可能性も少なからずあった。

 

 だが、アップは肩をすくめると剣を下す。

 

「・・・やめた。なんか冷めたわ」

 

 そう息を吐くと、アップは魔力を全身へと行き渡らせる。

 

「ソニックムーブ」

 

 そう言葉を漏らしたその次の瞬間には、アップはすぐに空の離れた所へと飛び去っていた。

 

「・・・逃げたか。まあ、このまま戦ってもこちらも被害は少なくないから仕方がないか」

 

 そう隊長各が息を吐く中、トマリは静かに視線を須澄に向けていた。

 

 須澄は残念そうに肩を落としながら、しかし目だけは強い意志を示していた。

 

「・・・大丈夫、大丈夫だよ。次は、必ず終わらせて見せる」

 

「須澄くん・・・」

 

 それは、悲しいほどに決意が込められていた。

 

 そう、嘆き悲しんでしまうほどに。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・流石に潮時だな、ガーブ」

 

 フォンフはそう告げ、リアス似の従僕に視線を向ける。

 

「そのようね。これ以上はこの戦力だと苦戦は免れない。・・・エイエヌ様は従僕の消耗はお気に召さないもの。私達は赤龍帝との戦いのために消耗されるべきだわ」

 

 そう白い髪の美女は返し、即座に撤退を開始する。

 

 そしてそれを見送りながら、特務戦闘小隊第三分隊は戸惑っていた。

 

「あれは、リアス・グレモリーか?」

 

「だが、何故フィフス・エリクシルと一緒にいる?」

 

「あの二人が組むということはあり得ない。あれは、精神攻撃を目論んだ合成獣の類ではないか?」

 

「だったら実に悪趣味だな、オイ」

 

「貴様ら! 無駄口をたたくな!」

 

 それを分隊長は一喝し、そして兵夜に向き直った。

 

「失礼いたしました、兵夜さま!」

 

「いや、いい。当然の疑問だからな、攻撃をしのいだ後なら口にも出るだろう」

 

 そう寛大な態度を見せつつ、兵夜は全身の激痛に耐えながら更に頭痛にも耐えるという器用な真似をしていた。

 

 全身が痛いのはドーピングの副作用だが、しかし頭が痛いのは別の要因だ。

 

 リアスそっくりの従僕とやらは、こちらに対して消滅の魔力を放ってきた。

 

 流石にリアス当人に比べれば若干劣るが、しかし今の兵夜にとって脅威というに値する強大な魔力だった。

 

 しかも、その手には魔剣すら握られている。

 

 魔剣は確かティルヴィング・・・だったか。とにかく強大な部類であることは間違いない。

 

「考えるだけで頭が痛くなってくる事態だ。・・・で? お前達が来ているということは時空管理局と連絡は繋がったのか?」

 

「ハッ! それだけではなく、付近を探査中だった堕天使及び教会側とも連絡が付きました。現在はアザゼル艦長が指揮を執り、その補佐をエヴァルド艦長がとっております」

 

「また運がいいのか悪いのか。で、グランソードと雪侶は?」

 

 特務戦闘小隊は、有事の際に兵夜が指揮することを前提としている小隊だ。

 

 最低でも上級悪魔クラスの戦闘能力を保有していることが最低条件の、兵夜が動かせる中では間違いなく最精鋭の部隊。それゆえに指揮官として兵夜もしくはその眷属が随行することが条件で動いている。

 

「兄貴と雪侶さまは、現在お二人で行動しています。戦闘が四分割だったのでこれが一番均一に分散されていると判断されました」

 

「まあ、妥当な判断か。・・・シルシに通信を繋ぐ。早めに合流する必要がありそうだからな」

 

 増援に少し気が楽になりながら、しかし兵夜はどうしたものかと考えていた。

 

 ・・・従僕の戦闘能力はオリジナルより少し下といったぐらい。だがそれを魔剣で補っている。

 

 もし敵にも従僕がいれば、話は変わってくる。

 

 何より龍神の肉体を持つザイードがいた場合、その戦闘は困難となるだろう。

 

「あいつらなら大丈夫だろうが・・・さてどうしたものか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 兵夜の心配をよそに、グランソードと雪侶はザイードを圧倒していた。

 

「そらそらそらそらそらそらそらそら!!」

 

「雪侶特性曲射魔法、フルコースをお食べなさいな!!」

 

「ぬ・・・うぅ・・・っ!!」

 

 残像すら見えるほどの高速連撃を叩き込んでくるグランソードに、その隙間を的確に縫うように放たれる雪侶の魔力射撃。

 

 見事な連携攻撃は全てにおいて高水準。お互いの実力が高く、かつ戦闘スタイルを把握していなければできないような連撃を前に、ザイードは防戦に追い込まれていた。

 

 戦闘経験はあり、そしてそれも高水準とはいえ、あくまでザイードは暗殺者である。真の意味での戦闘者とは違うのだ。

 

 それに対し、グランソードは生粋の戦闘者。闘争に高揚する精神を持ち、加えてそれらを中心として、自分の全てを使ってどこまでのし上がれるかを試した男。当然、その技量は戦闘方面が中心となる。

 

 頭として傘下についたオーフィスのために組織を裏切ったことで半ば捕虜に近い扱いとなりその夢は立たれた。・・・というより断つのが筋だと考えている。厳密にいうと悪魔側の各派閥は程度はともかくグランソードを相当の地位につけようとしているのでむしろ上手く行きそうだが、個人的にグランソードはそれは避けたいと思っている。

 

 その性質が現政権のリベラルさに頭を抱えたくなる保守派寄りの兵夜にとっては癒しなのだが、しかしまあそれは置いておくとして、彼は戦闘が非常に得意なのだ。

 

 若手悪魔でありながら、一派閥クラスの組織の長となったのは伊達ではない。異形業界では、戦闘能力がなければ組織の長などやってられないのだ。

 

 そして、彼の同期はどいつもこいつも若手の次元を超えた化け物の領域に到達している。

 

 空前絶後。最強の白龍皇になると断言されているヴァーリ・ルシファー。

 

 全てはエロスの名の元に。天界をエロに染め上げかけたエルトリア・レヴィアタン。

 

 堅物難物糞真面目。魔王達の遺志を宿す魔王剣ルレアベに選ばれたザムジオ・アスモデウス。

 

 その三人と同期に名を連ねるグランソードが、弱いなどということは全くない。

 

「確かにスペックは高いな。だが、その程度じゃ俺は押し切れねえぞ!!」

 

 反撃の拳を素早く流し、そのまま肘を叩き込む。

 

 彼の本質は近接格闘。それも、魔力による身体能力強化を踏まえての格闘だ。止めに、素の身体能力そのものもサイラオーグに匹敵している。

 

 あのサイラオーグですら、文字通りの全力を出したグランソードを倒すのならば獅子の鎧を使う必要に迫られるだろう程の実力を、彼は宿している。

 

 駒王戦役と呼ばれる一連の戦いでは目立たなかったが、しかし彼もまた真なる魔王ベルゼブブの末裔として、何ら恥ずかしくない実力を保有している真の実力者なのだ。

 

 ・・・ゆえに、この場において最も評価されるべきは彼でなければザイードでもない。ついでに言えば幼児ながらザイードから生き延びたヴィヴィオでもアインハルトでもない。

 

「グランソード? 少しペース落としてくれないといい加減誤射しそうですわ」

 

 そう文句を言いながら、雪侶はしっかりグランソードの連撃を縫うような援護射撃を絶え間なく続けている。

 

 威力そのものはそこまで高いわけではないが、このあまりにもかわしにくい曲射砲撃がザイードをスペックだよりのごり押しに持ち込ませない最大の要因だ。

 

 なにせ、この一撃はかなり危険だ。

 

「滅龍魔法を応用した魔法砲撃とは・・・! よもやここまでできるか!!」

 

「と、いうより滅龍魔法のデッドコピーとお思いください。あれ、なかなか高性能で完全な模倣ができませんのよ」

 

 そう言いながら雪侶は氷をバリボリと食べ、そして砲撃もまた色濃くなった。

 

 見事、としか言いようがない。

 

 狭い空間で下手したらビルの崩落もある中、雪侶はこの激戦に対して常に援護射撃を成立させていた。

 

「・・・一人では勝てんか。ここはいったん引かせてもらおう」

 

 ザイードは目の前の二人の脅威に対して勝ち目が薄いと判断すると、すぐに後退した。

 

 いかに龍神の肉体といえど、龍神そのものでは無いのだ。

 

 そこを考えればこれ以上の戦闘は不可能だった。

 

「ふむ、これは実に悔しいものだ。ゆえに、この報復は必ずさせてもらおうぞ」

 

「・・・グランソード! 追いますの?」

 

「いや、仕切り直されたらこっちが不利だ。・・・ここは見逃すしかねえだろ」

 

 追いかける気満々の雪侶を押しとどめながら、グランソードは後ろを振り返った。

 

 そこにいるのは動きに感激すらしているヴィヴィオと、どこかうつむいているアインハルトだった。

 

「なんかでっかくなってるが、お前ら、ヴィヴィオとアインハルトだな? ・・・ま、生きてて何よりだ」

 

「骨とか折れてるなら言ってくださいまし。フェニックスの涙を持ち込んでおりますのよ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 戦闘は何とか終了した。

 

 だが、フォンフはいまだ真の意味での全力を出してなく、そしてコカビエルも動きを見せていない。

 

 そんな脅威に耐えねばならない状況の中、兵夜達の聖杯戦争は三日目の夜を乗り越えようとしていた。

 




と、いうわけでグランソードと雪侶どころかかなりの人数が増援に。ちなみに第一次舞台なのでもっと出てきます。





グランソードも雪侶もかなり強い方です。特にほら、グランソードはヴァーリとかエルトリアとかザムジオとかと肩並べなければいけませんから。

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