ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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最後の部分は「銀魂 アイアムショック」をようつべで検索してBGMにしてください。


エイエヌ、連絡します!

 

 そのタブレットは、聖杯戦争参加者に配られる物だった。

 

 それは、聖杯戦争を円滑に進める為のアイテム。

 

 その画面には、開催地区での地図機能がついている。これは二十四時間ごとに参加者の位置情報が送られ、これを参考に参加者は戦争を行っていく。

 

 そして、参加者名簿なども書かれている優れものだった。

 

 そして、そのタブレットに特別映像が添付された。

 

「・・・はい、聖杯戦争の参加者はこんにちわ。特別連絡の説明をする、プロモーターのエイエヌだ」

 

 そこに立っているのは仮面の人物。

 

 男か女か区別の付け辛い仮面の人物は、口元に笑みを浮かべて画面の向こう側で言葉を告げる。

 

「前日連絡した特別サプライズは面白かったかな? と言っても、参加者の一人の陣地ともいえるところに集まってたから、結局彼が保護しちゃったみたいだね。残念残念」

 

 と、特に残念がっているようにも見えない調子で告げてから、彼は本題に入った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 さて、今回説明するのは、そのサプライズがきっかけになったっぽいイレギュラーだ。

 

 サプライズで時空管理局のメイン世界であるミッドチルダから適当に、後こちらが独自に掴んでいた世界からなんか大きな反応をしていたところを一つピックアップして転移現象を俺が起こしたわけだ。

 

 が、それがきっかけで厄介な連中がやってきた。

 

 今回聖杯戦争に俺が直々に呼んだ方々の世界。そこにいる、政府側の連中が理由が分からないけどこの世界に来ていたらしい。

 

 今、ギブアップした人に説明を聞いているが、どうにもこうにも異世界交流計画を立てているとかなんとか。聞かなかった俺が悪いけど、そういうのは言ってほしかったね。

 

 で、この政府の連中は聖杯戦争を禁止するつもりだそうだ。

 

 ま、今の世界を混乱状態にしかねないものを政府側が望むわけがない。基本的にそっからの参加者はテロリストだから仕方ないね?

 

 しかも、そいつがとんでもない化け物だ。

 

 名前は宮白兵夜。ここまで言えば、その世界の出身は解るよな?

 

 大規模国際テロ組織の首魁四人のうち三人をボコったことのある、グレモリー眷属の若きエースの一人だ。

 

 しかも、最後の首魁にとどめを刺した男だそうだよ? 怖いねぇ。

 

 他にも神様を二人も半殺しにして「神喰の神魔(フローズヴィトニル・ダビデ)」とか、政府のトップを生中継中に正座説教させて「魔王の首輪」とか、戦乱で体の半分近くを入れ替えて「合成悪魔(デビル・オブ・キマイラ)」とか、とんでもない異名をいくつも手に入れている、凄い奴だ。

 

 しかも神様だっていうから驚きだね? うん、俺もいろんな意味で驚いてるよ。

 

 いや、マジであり得ないだろ何がどうなればそんな事になるんだよ。

 

 おかしいよね? 人間が悪魔になるだけでも普通に凄い事なのに、どうやったらそのうえで神になれんの?

 

 あ~くそ! それなら俺だって確実になれるじゃねえか。なりて・・・いや、神殺しに弱くなるからアウトか?

 

 ・・・おっと、つい愚痴ちまったね。うっかり屋さんなのが俺の欠点だ。テヘペロっ♪

 

 まあそういうわけで、今回特別ルールを発布するよ。

 

 ルールは簡単。その宮白兵夜と、彼と組んだチームである前回優勝者の須澄くんチームを倒した者には、報酬として十億提供しよう。

 

 金はあればあるほど嬉しいものだ。例え聖杯戦争に勝利できなくても、これはそこそこラッキーな報酬になるんじゃないかい?

 

 と、いうわけで早い者勝ちで殺してくれ。面倒だから殺してくれ。

 

 須澄くんを殺すのは心が痛いけど、これも運命だと思って諦めてくれ! 流石にこれは見逃せないよっ!

 

 と、いうわけで早い者勝ち一人勝ち! すぐにでも殺しに行かないと、十億は手に入らないぜ諸君!

 

 さあ、レッツゴー!

 

 ・・・ああ、それと宮白兵夜。

 

 俺はあんたをなめてかからない。何をしてくるか分からないし、アンタが優勝する可能性もちゃんと考慮する。

 

 そういうわけで、こっちもエージェントを何人か送るから気をつけろよ?

 

 タブレットがある限り、あんたらの位置は筒抜けなんだからな?

 

 あ、タブレットの機能はちゃんと残しておくよ。それを使えば聖杯戦争も楽に戦えるはずだね。

 

 ・・・さあ、そんなもったいない状態でそれを壊せるかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「須澄くん、タブレットを封印するからそれを渡してくれ」

 

「・・・すごい、すごいもったいないけど、いいの?」

 

 と、一応渡しながら須澄は最後の確認をとる。

 

「確かにそうですね。こちらの位置情報が筒抜けなのは危険ですが、参加者の位置情報を把握できるのは必要ではないですか?」

 

 と、雪菜も一応言ってみるが、兵夜は静かに首を振った。

 

「いや、バトルロイヤルは敵を全部倒す必要はない。まだ参加者がゴロゴロいる状況下なら、こっちの位置情報がばれない方が重要だ」

 

「そうなのか? てっきり全員捕まえるつもりだと思ったんだが」

 

 古城も首をかしげるが、しかし兵夜は冷静に告げる。

 

「そこについては気にしなくていい。今の状況で全部するのは不可能だ。まずは聖杯を俺達が確保すること。これが重要だ」

 

 そう、全てを行おうとするのは失敗を招く元だ。

 

 戦力は少数。増援がいつ来るかも分からない。

 

 そんな状況下で最優先するべきは生き残る事。こと、聖杯戦争は最後に生き残った者が総取りできるバトルロイヤルだ。

 

 ならば、敵の位置が把握できなくても自分の位置が把握できない方がいい。

 

 敵同士で位置が把握できているのならば、勝手に潰し合って自滅してくれるからだ。

 

「そもそも聖杯戦争は数週間に亘る長期戦。序盤から積極的に動く必要はないさ」

 

 むしろ余裕すら見せて兵夜は告げる。

 

 それは、聖杯戦争という概念を把握している御三家の余裕だった。

 

 ましてや、彼は聖杯戦争の優勝者。その優勝こそ棚から牡丹餅の要素があったとはいえ、経験豊富で知識も豊富なのだ。そういう意味では圧倒的に有利ともいえる。

 

 それが、的確に余裕を産んでいる。

 

「よしんば発見されて襲撃されたとしても、それが複数なら同士討ちを狙える。・・・この勝負、当分は俺達はしのぎやすいな」

 

「お、おお。考えてんな」

 

 古城に感心されて、兵夜は得意げになる。

 

「これでも実戦経験はそこそこあるんでな。所属チームでは参謀役をやっていた事もあった。・・・と、いうわけで」

 

 そこで区切ってから、兵夜は通信機とシルシに視線を向ける。

 

「俺も常に成長している事をお見せしよう。・・・今の作戦でどこに穴があるか分かるか?」

 

「穴があるのかよ!?」

 

 古城は心の底からツッコミを入れた。今までの感心を返せと、心の底からツッコミを入れた。

 

 が、通信映像越しの雪侶は仕方がないとでも言わんばかりに首を振る。

 

『仕方がありませんの。兄上は魂レベルに遺伝されたうっかり癖を保有しているという欠点を保有しています。その所為で死にかけた事もありますのよ?』

 

 グランソードもそれに頷く。

 

 その辺に関しては、兵夜の仲間達から徹底的に教わっているので慣れてもいる。

 

『体の半分近く入れ替えたっつってたろ? うっかりが原因で内臓の殆ど駄目になって、入れ替えてんだよこの馬鹿大将。・・・心肺機能と脳だけだったか、無事だったの?』

 

「肺も取り換えてる。あれは俺の人生でも最大級のうっかりだった。トップは悪魔に転生した時だが」

 

 うんうんこいつら分かってるなぁといわんばかりの兵夜の二人に対する対応に、この場にいる六人は凄い不安に駆られそうになった。

 

 この人、大丈夫なんだろうか?

 

「あ、あの・・・。悪魔に転生できる辺りは聞きましたけど、何がうっかり何ですか?」

 

「それはね、何も知らない私でも簡単に想像できるわ」

 

 ヴィヴィオの質問に、シルシはすぐに答えてくれた。

 

「悪魔の転生は、死にたてなら蘇生手段にも転用できるの。・・・死亡したので蘇生手段として使ったのね、リアス様は」

 

「ああ、あの時は俺も命がけの戦いに慣れてなくてな。残敵確認を忘れていた結果、後ろから肝臓をグサリと」

 

「心配に、心配になってきたんだけど大丈夫なんだよね!? 本当に味方にして大丈夫なんだよね!?」

 

 心の底から不安になった須澄が叫ぶが、それに関して眷属三人は心底頷いた。

 

 そもそもこの男も既にうっかりである。人のことは全く言えない。

 

oll light(大丈夫)!悪魔に転生する前から裏社会で辣腕をふるい、悪魔に転生してからは一年足らずで上級へと昇格した能力は本物ですのよ?』

 

 そう、雪侶が告げる通り、その資質は本物だ。

 

「そうなんですか? 確かにそれは凄いですが・・・」

 

『安心しな、嬢ちゃん。転生悪魔の昇格は、年に数百人もいれば多い方な狭き門だ。それを一年足らずで二段階も突破した大将は間違いなく凄い奴だぜ?』

 

「ええ、私が嫁入りを狙っている相手が、素質がないわけないでしょう? これでも貴族の中でも上位の娘なのよ?」

 

 念を押すように聞いてきた雪菜を安心させるように、グランソードとシルシも太鼓判を押す。

 

 そう、確かにこの男はうっかり屋さんだ。

 

 だが、その多くで最低限以上に盛り返し、そして最後に勝利を掴んできた男が彼なのだ。

 

 神喰の神魔(フローズヴィトニル・ダビデ)の異名を持つのは伊達ではないのだ。

 

『まあ、それはそれとしてうっかりしてるんだがな』

 

 それはそれとして欠点も大きいのだが。

 

「うっかりしてんのかよ!?」

 

 グランソードのバッサリ切った発言に、古城は心の底から大声を上げた。

 

 特に致命的な失点をしていたとは思えないが、しかし大きなミスがあるらしい。

 

 戦闘経験がろくにない古城にはさっぱりである。そして、それは雪侶とシルシも同意見だった。

 

『グランソード? 確かに兄上はうっかり屋さんですが、バトルロイヤルとしては間違った事はしてませんわよ? 基本に忠実というか、増援待ちなのは事実でしょう?』

 

「正直戦闘経験が少ないから分からないけど、そんなに大きなミスをしてたかしら?」

 

 首を捻りながら考え込んでいるが、特に大きな失態をしているとは思えない。

 

「そんなに、そんなに大きな失敗してる? むしろ感心できると思うけど?」

 

「うんうん。目から鱗って感じで上手な作戦だよね」

 

 と、聖杯戦争経験者の須澄とトマリも感心していたが、グランソードは静かに首を振る。

 

『確かにバトルロイヤルとしちゃぁ堅実な作戦だが、大将は一番大事なことを忘れてるぜ?』

 

「なんだ? 俺がうっかりをするのは仕方がないが、そこまで大事なところってのは?」

 

 兵夜は素直にそれを聞いた。

 

 自分がうっかりをするのは残念だが当然のレベルだ。最早自分を治そうと頑張るのは諦めている。魂レベルだから泥沼になりそうだ。

 

 だから、次善の策として人に聞く事にしている。作戦そのものを人に話して穴を聞けば、自分で考えるより遥かに上手く問題点を発見する事ができるはずだ。

 

 だから、禍の団の幹部という実戦経験を積んでいるグランソードは貴重な意見だ。そういう意味でも眷属悪魔にしてよかったと思っている。

 

 というわけで、砂に耳を傾けようとしたその時だ。

 

「ひゃっはぁああああ!」

 

 エンジン音と共に、損な規制が響いて全員が顔を声のする方へと向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ひゃっはぁあああああ! 宮白兵夜だぁ!」

 

 そこにいたのは、いわゆる世紀末ファッションとでもいうべき酔狂な格好をした集団だった。

 

 棘の付いた衣服をき、髪型はモヒカンなどが多数存在する明らかに危険な集団。

 

 そんな集団が、バギーやバイクに乗って兵夜達へと接近をしていた。

 

「見つけたぜ宮白兵夜ぁ!」

 

「お前をぶち殺したくて、俺達は堪らなかったぜ?」

 

「禍の団特別攻撃部隊、ナントの団がお前を殺してやるぜぇえええええ!!!」

 

 ナイフや釘バットを構えながら、血走った目で彼らは兵夜達を狙う。

 

 そして、そんな彼らと共にいるのはナントの団だけではない。

 

「見つけたぞ、隊長の仇!」

 

 彼らと並ぶのは、なんと徒歩による疾走で追走する集団。

 

 がっちりとした筋肉は、たゆまぬ鍛錬を積んできたことの証明。

 

 そして、何よりも彼らの正体を把握するものがあった。

 

「我ら、UMAふんどし隊が貴様を倒す! 隊長に敗北を刻んだ恨みはとらせてもらうぞ!!」

 

「それと、その人と融合する猫と頬ずりさせてくれ!」

 

「俺は魔王級の雷撃を放ったライオンをぺろぺろしたいぞ!」

 

「あ、貴様ずるいぞ! 俺が先だ!!」

 

「いや、俺はあの浮かんでいる兎と添い寝したいね!」

 

 UMAを愛するふんどしに鍛えられたものが、このチャンスを逃さず兵夜を倒そうと駆け出していく。

 

 そして、更にもう一団が並び立つ。

 

「世界をエロスに包む為、今ここに我々がやってきた!」

 

「我ら、エロの具現者。そして、エロの敗北者!」

 

「エルトリア様を捕縛した貴様を許しはしない! 快楽堕ちさせて女どもから寝取ってあげるわ!!」

 

 世紀末、ふんどし、そして変態。

 

 彼らはそれぞれが聖杯戦争の参加者だ。

 

 だが、今彼らの心は一つになった。

 

「いぃいいいくずぇええええ! 宮白兵夜をぶちのめすぞおおおおお!!!」

 

 モヒカンが声を上げ、そして彼らはそれに頷く。

 

 そう、彼らの心は一つ。

 

 宮白兵夜に報いあれ!

 

「うぉおおおおおおおおお!!!」

 




なぜか兵夜を顔すら合わせずに非常に警戒するエイエヌ。これにはある秘密が。

因みに想定している方もいますが、偽名です。これの意味が分かれば、この作品の前提も込みで正体がほぼ特定できます。偽名と呼ぶのもはばかるレベルのシンプルさです。




そして恒例の兵夜のうっかり。最早自力で対応することはあきらめた模様。




因みに、この作品は当分の間三人称で行きます。兵夜視点の一人称だと、すごいネタバレを隠せないと判断しました。

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