ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

301 / 361
本格的に戦闘スタート! 


悪魔も、参戦です!?

 さっぱり状況はわからないが、とりあえず考えることは一つだけだ。

 

 なにせ、今の状況では戦力が足りない。

 

「・・・あてにしていいんだな!?」

 

「かまいません。覇王を継ぐものとして、この程度に引けはとりませんから」

 

「あ、一応ママから戦闘訓練はしっかり積んでますから、自分の身ぐらいは守って見せます!」

 

 と、素早く魔獣を殴り飛ばしながら、二人の幼女は告げる。

 

 えっと、ハイディとヴィヴィオだっけ? まあとにかく戦力として考えることにしておこう。

 

「そいつらはある特殊なマジックアイテムで作られたゴーレムみたいなものだ。ぶち壊しても問題ないから遠慮なく殴り壊せ!」

 

 そう告げながら、俺はメイスを転送して殴りかかる。

 

 幼女の情操教育に悪いから、殺しはしない。

 

 ただし骨の一本や二本は覚悟してもらう!

 

「腕一本もらい!!」

 

「甘いぜ神様!」

 

 その一撃を、フリードはあろうことか素手で受け止めた。

 

 な、なんだこの頑丈さは!

 

「覚えてるかい? 第三次世界大戦の幕開け、クージョー連盟はある能力を他人に貸すことでアメリカの艦隊を白兵戦で占領することに成功したって?」

 

 そう得意げにフリードが語る。

 

 ああ、小雪の調べたことによれば、脳波をチューニングすることで能力を劣化再現したとか。

 

 ってまて、それはつまり―

 

「俺様がそのオリジナル! 肉体の頑強さを底上げする、超能力(レベル5)の硬質肉体《アーマードスキン》さ! 俺様の体に傷をつけられると思うなよぉ!!」

 

 フリードは、攻撃をすべて受け止めながら豪快かつ繊細に俺に切りかかる。

 

 こ、この野郎が学園都市式の超能力者だと!? なんて悪夢だ!

 

「フィフスの野郎に徹底的に体いじくられて、ストレス一杯堪ってんのよぉ。君殺すことで発散させてくんなぁい?」

 

「誰が受け入れるか!」

 

 こいつ、ここまでできるとは聞いてないぞ!?

 

 くそ、弱体化している俺では分が悪い―

 

「オイ」

 

「あん? ・・・うお!?」

 

 そ、そこで今まで翻弄されていた少年がフリードを一発殴り飛ばした。

 

 頑丈になっているとはいえ体重は変わらない。相当の筋力で殴り飛ばされたことで、フリードは引きはがされた。

 

「・・・さっきから黙って聞いてりゃ、聖杯戦争だか訳の分からないことを言いたい放題言いやがって。今、俺の住んでる街が滅びるかどうかの瀬戸際なんだよ」

 

 うわぁ、こっちもこっちで訳ありみたいだ。

 

「えっと・・・マジ?」

 

「ああ、悪いのは絃神市を作った奴なんだが、だからって何も知らない俺たちが滅びていいってわけじゃない。・・・胴体ぶった切られた借りも含めて、決着付けようって時に訳の分からない理由でこんなところに飛ばされたんだ」

 

 本当に訳ありっていうか、ああ、ハーデスに絡まれた俺たちと近い境遇のようだ。

 

 そして、雰囲気は違うがイッセーや俺と似た何かを感じる。

 

 具体的には―

 

「覚悟した方がいい。お前はこれから一月も経たない周期で、世界ランカー級の悪党に絡まれる日々が続くはずだ。これは俺の経験則だ」

 

「ちょっと待て! なんだその恐ろしすぎる推測は!」

 

 あまりに酷過ぎる予言に、彼は絶叫するが、しかし首を振って我に返るとフリードを睨み付けた。

 

「とにかく、そのプロモーターとかいうのに会わせろ! 俺たちを巻き込んだ礼はたっぷりさせてもらう!」

 

「あ~、俺らもあんまり会えないっていうか、たぶん無理だよ? だって俺に殺されるしね!!」

 

 そう吐き捨てながら切りかかるフリードの攻撃を、その少年は結構素早くかわす。

 

 特に武術を習っているような動きじゃないが、反応が早い。スペック頼りとも思えないし、瞬発力重視のスポーツか何かか?

 

「だったらあんたをぶっ飛ばして、その後そのプロモータを探させてもらう! ここから先は―」

 

 と、その少年の腕から雷撃がほとばしる。

 

 ・・・なんだあれは、手加減しているのが見え見えなのに、すでに下手な神器の禁手クラスだぞ!?

 

「俺の戦争(ケンカ)だ!!」

 

 そして光の剣とぶつかり合い、力任せに粉砕しやがった。

 

「うっひょお素敵な強さだねぇ! ならこれならどうだい?」

 

 フリードは飛び退りながら拳銃をぶっ放すが、それが少年に届くことはない。

 

 俺が割って入るよりも早く動いた黒髪の少女姫柊ちゃんが、それをすべて槍で弾き飛ばしたからだ。

 

「いいえ先輩、私達の聖戦(ケンカ)です!」

 

 おお、なんか決め台詞になりそうなセリフだな。

 

 だが―

 

「いやいや、もとをただせばこっちの不適際だ。・・・これは俺たちの聖杯戦争(ケンカ)だよ」

 

 俺としても、このまま見ているわけにはいかないな。

 

「さあ、聖杯戦争を始めよう。・・・フリード、話を聞かせてもらうからな?」

 

 ああ、これ以上余計なもめ事を続けるわけにはいかないんでな!

 

「ほう? なら我々も喧嘩に混ぜてもらおうか」

 

 その時、後ろから声が響いた。

 

 その声と共に放たれた殺気を感じた瞬間、俺は目の前の二人の服を掴むとそのまま飛び退る。

 

 その直後、巨体の一撃が森の一角を粉砕した。

 

「今度はなんだ!?」

 

「先輩、お礼を言うのが先です!」

 

「そういうのは後でいいから! オイそこの元幼女たち、新手が来たから警戒しろ!!」

 

 ええい、やはり乱戦になりそうな予感じゃねえか!

 

 そして、そこに現れたのは二メートル以上の巨漢の悪魔。

 

 サイラオーグ・バアルの眷属と似通っているな。ということは―

 

「バラム家の悪魔か! 何のつもりだ!」

 

「知れたこと、我もまた聖杯戦争に参加しているのだよ」

 

 そういう男の顔は、冷静に考えるとどこかで見たような気がする。

 

 ああ、確か現政権の悪魔だったな。なんでここに?

 

「現政権の悪魔がなぜ聖杯戦争に参加する! 政府は聖杯戦争は禁止の方向で動いているぞ!」

 

 そう、聖杯戦争はこれから禁止の方向に各勢力の合議で決定している。

 

 理由は単純明快。世界の覇権に興味のある連中が聖杯を持てば、どんな混乱が起こるか目に見えているからだ。

 

 もともと聖杯戦争は、基本的に求道に向いており探究者の魔術師(メイガス)の争いであったから世界に対する影響は少なかった。万が一に備えての裁定者(ルーラー)のサーヴァントも存在していたからだ。

 

 だが、よりにもよってテロリストである禍の団に聖杯戦争の存在を知られたのは致命的だ。

 

 フィフス無き今、願望機としての性能はそこまで大きなものにはならないだろう。サーヴァントだって七騎も用意できるわけがない。想定して呪いに換算しても一地方を一定期間呪うのが限界のはずだ。

 

 だが、其れでも一勢力を地獄に塗り替える程度ならやりようによっては十分できる。

 

 だから、当然国際法で禁止条約を盛り込む予定だし、聖杯の波長を察知するためのシステムも開発中だ。

 

 それを現政権が使うとは、いったい何を考えている?

 

 そして、それをバラムは激高しながら説明する!

 

「ふざけるなよまがい物風情が! 欲望を節制する天界との和平など、断じて認めん!」

 

 そういって豪快に腕を振るって周囲をなぎ倒しながら、バラムは吠える。

 

「最後に勝利を掴む為の苦渋の停戦を、あの腑抜けの魔王共は台無しにしおって! その上、王の駒という切り札すら生産を停止するなど、もう愛想が尽きたわ!!」

 

 ちぃ! 王の駒の件は禍根が多かったが、こいつもその口か!

 

 現政権にも戦争肯定派はいることぐらいわかっていたが、ここでやり合う羽目になるとはな!

 

「だから、聖杯によって同士の数だけの王の駒を作り出すのだ! それをもって天使と堕天使を力で支配してくれる! 今の混沌状態なら不可能ではないだろうよ!!」

 

 そのままタックルをぶちかましてくるのを交わしながら、俺は心底腹を立てた。

 

 世界が滅びる危険性すら莫大な状況下に、もう面倒な真似を!

 

 やりたいやつだけで集まって勝手に殺し合ってくれないかねえ!

 

「なんかこっちの側が本当にごめん! たぶんプロモーターもこっちの世界の出身者だろうし、始末できなくて本当にごめん!」

 

「だ、大丈夫ですか!? それに、たぶんあなたのせいじゃないと思いますよ?」

 

 ヴィヴィオちゃんだっけ? 優しいなぁ、君は。

 

 幼女じゃなければ惚れてしまいそうだ。俺、ロリもカバーしてるけど。

 

 と、ハイディちゃんが奴の攻撃をかいくぐって一撃を叩き込む。

 

 火力は足りないが、先に一撃を喰らったことでバラムが動揺する。

 

 そこに、続けざまに連続攻撃が叩き込まれた。

 

「ちぃっ! 人間風情がバラム家の我によくも!」

 

 反撃を叩き込もうとするが、ハイディは素早く回避した。

 

「危ないことするなぁハイディちゃん。そいつ馬鹿力が特色の家系だから接近戦は避けた方がいいぞ?」

 

「そういうわけにはいきません。覇王流の継承者として、接近戦で逃げるわけにはいきませんので」

 

 なかなか決意のこもった子だけど、この子まだ幼女っぽいぞ?

 

 何やら大変なことになっているようで、大変だな?

 

「そうです! それに、戦争を起こすなんて絶対ダメです」

 

 そして続けざまに、ヴィヴィオちゃんが接近する。

 

 これまた豪快に振るわれる攻撃をかわして、的確にカウンターを叩き込んだ。

 

 威力が足りないので決定打にはならないが、あの子カウンターが上手いな。

 

 っと、そんなことを言っている場合じゃない。

 

「幼女に前衛張らせるわけにもいかないなっと!!」

 

 素早く斧二刀流に切り替えると、俺も接近戦に介入する。

 

 とはいえ、これは流石にきついな。

 

 怪力無双のバラム家。それも大戦経験者なだけあって決定打だけは避けている。

 

 何とか隙を見せればいいんだが・・・。

 

「埒が明かん! ならば英霊の力で決着をつけよう!」

 

 と、先に業を煮やしたのはバラムの方だ。

 

 色が黒くなり、金色の紋様が体に浮かぶ。同時に両手にまたすごいデザインの斧を持った。

 

「これが、私が憑依させる英霊、ダレイオス三世! この力を前に粉砕されるがいい!!」

 

 そして、動きが大きく変わる。

 

 英霊の力を憑依させたのか、身体能力が大幅に向上したようだ。

 

「二人とも下がれ! さっきとは次元が違うぞ!!」

 

 俺は素早く二人を下がらせると、イーヴィルバレトを展開して牽制の射撃を放つ。

 

 が、糞頑丈なので決定打にならない。

 

「甘い! 我には眷属も宝具も残っているぞ!!」

 

 そういうなり、空から悪魔の軍勢が現れ、さらに地には骸骨の兵士たちが発生する。

 

 さらには骸骨たちは集まっていき、巨大な戦象に変化した。

 

「叩き潰せ、不死の一万騎兵(アタトナイ・テン・サウザンド)! そして行け、我が眷属よ!」

 

 うぉおおおおおお! 弱体化した俺じゃあ、さすがに一眷属フルメンバーは荷が重いな。しかも敵のリーダーはサーヴァントの憑依させているだなんてさらに難易度が高い。

 

 これは、覚悟した方がいいか?

 

「・・・おい、オッサン」

 

 だが、俺も翻弄されていてよく分かっていなかった。

 

 今この場における最強は、後ろにいる男だってことを。

 

「子供相手に暴れて、いい気になってんじゃねえぞ・・・」

 

 ・・・なんつー魔力だ。これ、最上級悪魔どころか魔王クラスはあるぞ。

 

焔光の夜伯(カレイド・ブラッド)の血脈を継し者、暁古城が汝の枷を解き放つ・・・」

 

 そりゃもう、全員が思わず止まって息をのむほどの雷光が、そして物理的に形を成して具現化する。

 

「来やがれ、五番目の眷獣! 獅子の黄金(レグルス・アウルム)

 

 そこに現れたのは、骨の戦象に匹敵する魔力の密度を持った雷の獅子。

 

 そのまま骸骨兵をなぎ倒して象と正面からぶつかり合う!!

 

 おお、互角だ!!

 

「なんと! A+ランクの対軍宝具と渡り合うか!?」

 

 バラムもこの状況には驚いているようだ。

 

 ああ、俺も心底驚いているよ。

 

 この出力、冗談抜きでシャレにならない。

 

「えっと、暁古城とか名乗ってたっけ? あれ、何?」

 

 それに答えたのは、姫柊ちゃんだった。

 

「私たちの世界では、吸血鬼という魔族が最強とされています。特に神々の呪いを受けて不死となった真祖は、一人で一国の軍隊に匹敵するとまで言われるほどです」

 

 油断なく槍を構えながら、その少女は割とすごい事実を告げる。

 

「暁先輩は、その真祖の一人である第四真祖。そして、あれこそが吸血鬼を最強の魔族とする最大の要因、眷獣です」

 

 な、なんつー存在だ。

 

 例えていうなら独立具現型の禁手といったところだが、出力は神滅具クラスだぞ!?

 

「因みに、第四真祖は12の眷獣を従えると聞いています。・・・先輩はまだ獅子の黄金しか使えていませんが」

 

 いや、何かがおかしい。

 

 だが、悪魔たちも戦いを潜り抜けてきた存在。すぐに冷静さを取り戻すと、魔力砲撃を放とうとする。

 

「ヤベ、全員気をつけろ! 砲撃来るぞ!!」

 

「大丈夫です。それは私が何とかします!」

 

 そういうなり、少女は槍を構えて前に飛び出す。

 

「獅子の神子たる高神の剣巫が願い奉る」

 

 即座に解析してみれば、その槍はシャレにならない神秘を秘めていた。

 

「破魔の曙光、雪霞の神狼、鋼の神威を持ちて我に悪神百鬼を討たせ給え!」

 

 サーヴァントの宝具にも匹敵する神秘だ、アレ!

 

 そして、その槍は悪魔たちの魔力をいとも簡単にかき消した。

 

 おいおい、上級悪魔クラスも割といるのに、あっさりとかき消したな。宝具クラスとはいえ、こりゃまたすごい。

 

「・・・なんだこいつらは! ええい、もう一度撃て!!」

 

「「「「「は、はい!!」」」」」

 

 なおも反撃を試みようとする悪魔だったが、その時、すごい勢いでプラズマが放出されて薙ぎ払った。

 

「・・・今度はなんだ!?」

 

 絶叫するバラムの視線の先、そこには一人の少女の姿があった。

 

 藍色の髪を伸ばした少女。彼女の後ろには、八首の蛇がそこにいた。

 

「はいはーい! 悪いけどそこまでだからねっ! 須澄くんお願いっ」

 

「わかってる、わかってるけど、いきなりひどいねこれは!」

 

 そういいながら駆け出すのは、金髪の小さな少年。

 

 あの髪、染めてるな。いや、そんなことは問題ではない。

 

 問題なのは、持っている槍だ。

 

 な、な、なんで―。

 

「なんで、こんなところに黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)が!?」

 

 間違いない。あれは黄昏の聖槍! 曹操が持っていた神滅具!

 

 おかしい。確かあれは曹操に返却されたはずだ! 曹操の奴をあの少年が殺したってのか!?

 

 いや、そもそもあの少年は!? 須澄!?

 

「貫け、貫き通せ聖槍!」

 

 俺の驚愕をよそに、聖槍は戦象を真正面から貫いた。

 

「そ、そんな馬鹿な!? 不死の一万騎兵を倒したのはともかく、なぜここに黄昏の聖槍があるのだ!? あの曹操が倒されたなど、ここ一年間一度も聞いてないぞ!?」

 

 かなり狼狽しているバラムだが、この隙を逃すわけにはいかない。

 

 俺も結構動揺しているが、これは間違いなく最大のチャンスだ。

 

 下手に長引かせるつもりもない、速攻でカタをつける!

 

「・・・冥府へ誘う(ハーイデース)―」

 

 懐にもぐりこみ、躊躇することなく―

 

「ッ!? しま―」

 

「―死の一撃(ストライク)!」

 

 大技を一気に叩き込む!!

 

 何かが砕ける音がすると同時に、バラムの姿が元に戻り、そして、そのまま空高くにふっとばされる。

 

 よし! とりあえずこれで第一関門突破!

 




ヴィヴィオたちはDSAA参加前、古城たちは聖者の右腕編のラストバトルの最中に転移してきています。そのため戦闘能力はまだまだ。相手がそこそこ程度だから何とかなりました。

フリードも魔改造されて強くなってますが、禍の団は幹部連中は軒並み死亡or捕縛です。今回出てきたバラル家の悪魔も、英霊抜きなら平均的な上級悪魔相当です

ぶっちゃけいえば本編最終決戦よりデフレしてます。兵夜も偽聖剣がないわ後遺症で弱ってるは大きく弱体化してますし。









そんな中、オリジナルキャラクターが聖槍を保有するという異例の事態。

これにはもちろん種があります。ですがまだまだ驚きの事態は連続しますよ?

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。