ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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ここから数話の間、推奨BGM「魔星狂乱」

・・・youtubeで検索したら出ます。


魔性の狂乱、前編

 

イッセーSide

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 レイナーレはマジで危険だ。

 

 何が危険って、滅の属性を持ってるところだ。

 

 とりあえず系列として宮白が滅系魔法と名付けたそれは、対象の特性を取り込むことで対象の敵となる魔法らしい。

 そのため属性関係の攻撃に対しては、むしろ餌にしかならず攻撃は基本的に逆効果になるというやばい能力を持ってる。

 

 で、レイナーレは大気を母胎とする天の属性なんだけど―。

 

「あははははははは! 慌ててるわね、慌ててるわね!?」

 

「慌てるにきまってんだろうがぁああああ!!」

 

 だって、だって、だって―

 

「滅龍魔法まで習得するなんて、聞いてねえぞおおおおおお!」

 

 こいつどんだけ俺のこと殺したいんだよ! メタすぎるだろう!!

 

 乳語翻訳(パイリンガル)で胸の内を聴いても心を読まれてお相子。洋服崩壊(ドレス・ブレイク)で破った服は元に戻る。挙句の果てに龍の鎧を削りきれる武器を持ていて、対龍能力まで装備とか―。

 

「チートだ! チートすぎる!!」

 

「あら、それぐらいしないとあなたには勝てないんだし当然じゃない?」

 

 そこまでかよ! 女が俺に勝つには、それぐらいの魔改造が必要不可欠だというのか!

 

 ・・・まあ、ドーピングしたジャンヌを一瞬で倒したことあるからね。それぐらい警戒されても仕方がないかも。

 

 くそ! 何度も攻撃を喰らったせいで完璧に追い込まれてる。

 

 このままじゃあ俺がやられるのも時間の問題だ。

 

「喰らいなさい、天龍の翼激!」

 

 風を纏ったレイナーレの攻撃が、俺を容赦なく打ちのめす。

 

 くそ、あばらにひびが入った。

 

 そして向こうに一発入れることができても、回復されてしまってすぐに動きが入る。

 

 あいつを倒すには一撃必殺の火力で押し切るしかないけど、心が読まれてる相手がそんなものを喰らってくれるはずがない。

 

 ・・・あ、ヤバイ。完全に詰んだ。

 

「ふふふ。ようやく、ようやくだわ」

 

 レイナーレはなんていうかもう、エロい笑顔を浮かべていた。

 

 これが戦闘中でなければ相手がレイナーレだろうと俺も興奮するんだろう。それぐらいエロ本でも出てきそうな表情で、エロゲーで出たらエロシーン確定だ。

 

 だけど、戦闘のど真ん中で浮かべられたら恐怖しか感じない。

 

「・・・あの時は本当に絶望だった」

 

 レイナーレは攻撃を入れながら語る。

 

「つまらない仕事を終えたうえで、至高の堕天使として栄光を手にした直後にすべてが台無しになった。・・・ええ、今にも夢に見て飛び起きる」

 

 攻撃は激しく言葉だけは静かに、レイナーレは告げる。

 

「今でもそう。これだけ圧倒的な力を手に入れてイッセーくんを追い込んでるのに、それでも夢は悪夢なのよ」

 

 よく見ると目が血走っていて、明らかに狂気しか感じない。

 

 その狂気にとりつかれ、レイナーレはついに叫ぶ。

 

「だから、あなたを殺して悪夢を捨てる! そのうえで今度こそ至高の堕天使として堕天使の頂点に立つのよ、私は!!」

 

 神龍を滅ぼす風の一撃が、一斉に俺に襲い掛かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 セイバーの戦闘能力は確かに脅威的だった。

 

 彼を剣士が上回る方法は大きく分けて二つ。剣の性能を完全以上に引き出すこと。もしくはそれとは別に、剣士として人を切る技量を鍛え上げること。

 

 特に後者は盲点だった。なまじ強力な剣を持っているせいで、とにかく剣の性能を引き上げることしか考えていなかったからね。

 

 そして、だからこそ僕たちは一対一で勝負を挑みはしない。

 

 できることなら勝負したかった。だけど、今はそれにこだわっている場合じゃない。

 

 二対一での戦いに、セイバーもさすがに苦戦していた。

 

「ほう。さすがにセイバーでも二人がかりじゃ苦戦するか。・・・さすがはグレモリー眷属」

 

 レイヴンは、その状況下になぜか冷静だった。

 

 聖杯戦争の参加者として、サーヴァントが失われる事態はとても危険な気がするのだが・・・。

 

「勘違いをしないでくれ。こちらとしては聖杯戦争にはそこまで興味があるわけじゃない」

 

 と、レイヴンは僕らの疑問を受け取ったのか言葉を告げる。

 

「ただ、魔術師として優れていたから選ばれた。・・・確かに根源到達は魔術師の極点だが、悪いがプライドがあるんだ」

 

 どうせ到達するなら、自分の技術を使って根源に到達したい。

 

 つまりはそういうことなのだろう。彼は、着けるかどうかわからなくても、聖杯という手段で根源に到達することを否定した。

 

「だが、聖杯戦争を阻止しようとする者たちとの戦いは多数の死体を確保することができる。それも、異世界の能力を持っているものを確保することができれば最高だろう」

 

 それが、彼が禍の団に協力している理由なのか。

 

「・・・だから、こんなものもつくってみた」

 

 そう指を鳴らすと、レイヴンは後ろに飛ぶ。

 

 そして、後ろから巨大な狼が走ってきた。

 

 ・・・あれは、フェンリルの子供!?

 

「研究で生産したフェンリルのクローンの死体。それぞれを一番優れていた部分だけ取り出して生み出したもう一体のフェンリル。・・・フローズヴィトニルと名付けたよ」

 

 宮白くんに対する嫌味か何かのつもりか!

 

 だが、まずい。

 

 フローズヴィトニルを見るだけでわかる。

 

 あれは、スコルとハティより性能が―

 

 次の瞬間、僕たちはガードこそ間に合ったが近くの壁にたたきつけられた。

 

 そのまま壁を粉砕し、僕たちは外へと吹き飛ばされる。

 

 まずい、ダメージが大きすぎて動けない・・・!

 

「さあセイバー。・・・とどめだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 小雪とエデンの戦闘は熾烈を極めていた。

 

 最初はほんの短時間だった。

 

 エデンが用意した疑似能力者。彼らを相手にしただけだ。

 

 時間にすれば一分とかかっていないが、それで十分エデンは対応できた。

 

 その直後、巨大な兵器が起き上がる。

 

 全長は約10メートル。四つ足の下半身と人型の上半身をもち、両腕は突撃槍を思わせる

 

『これが、我々の開発した機械鎧(パーワードアーマー)。ペットネームはケイローンだぁん』

 

「学園都市の叡智を持つアンタ専用ってか? 意外とロマンあるんだな」

 

 小雪は挑発しながら銃撃を開始するが、それ以上にケイローンは動きが速かった。

 

 四本足で警戒に移動しながら、四方八方にはねて攻撃を開始すする。

 

 ここまで機敏な動きを行うというのなら、これはもはや―。

 

「肉体と有機的に接続してやがるな? あんたいつの間にサイボーグになった」

 

機械鎧(パワードスーツ)機械人(サイボーグ)も、本質と方向性は一緒だよ。このように極めれば同様の存在になり果てるぅん!』

 

 学園都市らしく、木原らしい。

 

 小雪はそう考えながらも攻撃を行う。

 

 木原はその技術力を最大限に生かすことで化け物じみた戦闘能力を発揮する。

 

 だから油断はできないわけだが、しかしそれでも小雪は冷静だった。

 

 付き合いが長いからこそ、まともにやり合えば自分が勝てるという自信がある。

 

 不意打ちに対抗するために、大気の鎧を形成して戦闘を行っているからある程度の余裕もある。

 

 あとは光の銃撃で確実に削っていけば・・・。

 

「ああ、そういえばこんな技術はどうだぁん?」

 

 その言葉とともに、甲高い音が響き渡った。

 

 そのとたん、小雪は頭痛を感じてたたらを踏む。

 

「・・・あ・・・ぐ・・・っ!?」

 

 能力が発動できない。そもそも意識の集中すら妨害される。

 

 それでも何とか激激しようと銃を向けて、しかし敵の右腕でつかまれた。

 

『念のために、意図的にいくつかの技術は覚えないように調整させておいて正解だぁん。まさか生まれ変わってから必要になるとは思わなかったぞぉん』

 

「・・・・んの、野郎・・・っ」

 

 対能力者装備。

 

 冷静に考えれば学園都市なら当然作られているはずの装備だ。

 

 それに思い至らなかったことに気が付いて、小雪も自分が手を施されていることを理解して納得した。

 

 そもそも能力者開発が人体改造の一環なのだ。脳に何らかの細工を施すことなど、学園都市の技術なら容易。そして木原の人格でそれをためらうことなど皆無。

 

 致命的だった。

 

 今の今まで伏せておいた伏せ札が、最終決戦という事態において有効に働く。

 

「神器によって疑似的に到達した超能力者(レベル5)ぅん。・・・うん、絶対に検体だなぁん」

 

 そういいながら、ケイローンの腕から様々な機械がつながったサブアームが展開される。

 

 戦場のど真ん中で、解剖が始まろうとしていた。

 

 

 

 




レイナーレはヤンデレ気味に見えますが、その本質はトラウマです。

だって考えてみてください。間違いなく重宝されるレアな能力を確保して、よっしゃこれで大活躍や!! と思った次の瞬間に、雑魚だと思っていた男にボコられてすべて台無しで殺されるところ・・・通り越して死んだと思った。

普通にトラウマです。








 レイヴンは、型月世界観を出すなら直死の魔眼を出そうと思って作ったキャラでした。もちろんそれだけだと弱いし理由も必要なので、転生するという死がきっかけになることにしました。その補正もかねて、死に触れ続けてきた死霊魔術師というポジションを選んだのです。

 早めに退場する敵役の一人にするつもりでしたが、意外としぶとく最終決戦までもつれ込みました。結果的にトライヘキサの件でオリジナル要素を出す際にすごい使いやすかったのでむちゃくちゃ助かりましたね(^^♪





エデンは、変化球の転生者を出そうという形で出したキャラクターでした。

小雪はいろいろ過去のトラウマが多いので、敵転生者も因縁のあるキャラにするつもりだったのですが、当時の同僚にするか上の立場の奴にするかで少し悩みました。

が、木原という科学者にした方がSF要素を押し出して独自路線ができると思い決定。その際のキャラづくりとして少しでも都合がいいようにした結果、万能系の木原というある種の異端キャラになりました。

他に候補としては、裏の生活を心から楽しむサイコパスの同僚を出そうかと思ったのですが、エデンの方が出しやすかったので没に。番外編とかで書く計画もあったのですが、結局なしの咆哮になっていしまいました。

じつは小雪の過去の清算、外伝作ってまとめてやる方向で考えてたのです。朱乃さんヒロインで兵夜とイッセーをサブポジションにして、禍の団が関与した島国のクーデターを舞台に王子様をかばって大暴れ・・・と。

結局没になりましたが、その理由は「あと三人のヒロインの番外編をどうしても書けそうになかった」からであります。

やっぱヒロインはそこそこ平等にしないとね?

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