ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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大規模模擬戦、第六ラウンド!! ・・・またの名を犬も食わないアレもどき

 

 なんだ、このシャボン玉?

 

 魔法か神器かそれとも異世界能力か。何が何やら見当もつかない。

 

 どうもそれに触れた者たちが涙を流して戦意を喪失しているが、いったいどうしてこうなった?

 

「実質どういうことでしょう? 何が何やらわからないのですが・・・」

 

「・・・え? みみ皆さんは平気なんですか? 私、サイラオーグさまに出会った時のことを思い出してすごく涙が・・・」

 

 スパロがそんなことを言いながら号泣しているが、しかし俺はどうといったこともないのだが。

 

「なるほど。触れた相手の大事な思い出を思い起こさせる能力か。優しい能力に目覚めたな、デュリオよ」

 

 と、ストラーダ猊下がうんうんとうなづきながら納得する。

 

 え? でも俺何ともないよ? ベルもだよ?

 

「おそらく、君たちは常に一番大事な思い出を忘れてないからだろう。強い愛をもった者たちだな」

 

 ああなるほど。

 

 輝き(イッセー)との思い出は、俺にとって一番大事なものだからな。忘れるわけがない。

 

 そりゃきかないな。ベルもそうだろう。

 

「ああ、そうだ。そうだった」

 

 おっと、テンションに任せて忘れていたことがあった。

 

「ベル。聞いてほしいことがあるんだ」

 

「え? な、なんですか?」

 

 突然俺にそんなことを言われて、ベルは顔を真っ赤にしながら訪ね返した。

 

「・・・ゲン・コーメイのことをどう思っている?」

 

「・・・・・・え?」

 

 ものすごくけげんな表情を浮かべられた。

 

「なあ、俺の勘違いならそれでいいんだ。だが、最近お前はゲンと一緒にいすぎてる気がするんだ」

 

「え? え? ・・・な、なにが一体?」

 

「戦士ベルよ。周りから見たらおろかかもしれないが、それでも真剣な悩みなのだ。最後まで聞いてやってほしい」

 

「宮白。まさかいまだにその心配をしていたのか・・・」

 

「ど、どどどどういうことですか?」

 

 外野がうるさいがとりあえず無視だ。

 

「俺は、自分が恋愛において致命的な欠点を持っていることを自覚している。だから心変わりされたとしても仕方がないし、愛する女が幸せになったのなら祝福すべきだって理屈も分かっているんだ」

 

「な、なんだなんだ?」

 

「ふ、神喰いの神魔(フローズヴィトニル・ダビデ)は何を言ってるんだ?」

 

「たしかゲン・コーメイってうちのメンバーだよな?」

 

「え? なに、修羅場?」

 

 シャボン玉をみて涙を流してた悪魔や悪魔祓い達も慌てだしている。おい、そんなに緊急事態か。

 

 糞! こうなったらいうべきことをはっきりといってやる。

 

「・・・ベル、お前ゲン・コーメイに心変わりしたのならそういってく―」

 

「―この馬鹿(あるじ)!!」

 

 顔面にいいのが入った。

 

 そして思いっきり吹っ飛んだ。

 

「ちょ、こっちくんなぁあああああ!?」

 

「え、俺関係ないよぼぉ!?」

 

 何人か巻き添えにしてるけどマジでいたい!?

 

「ま、待ってくれ! 勘違いなら悪かった! でも最近ホントべったりだしー」

 

「―うわぁあああああああん!?」

 

 ぎゃああああマウントポジション!?

 

 すいませんすいませんすいません! でもすいませんけどあなた勘違いしても仕方ないと思いませんか!?

 

 心配だったんです怖かったんです! だってフラれたらどうしようかって!!

 

「すごい勝手だとは思ったんだよ!? でもやっぱり我慢できないから怖くって!!」

 

「バカバカバカバカバカばかばかばかばかばか!! 兵夜さまのお馬鹿!!」

 

 ぐおあぁああああサバおりぃいいいいいい!?

 

「私は実質! ミカエル様と兵夜様のお役に立つために一生懸命努力してきました!!」

 

 え、あ、はい! それはわかってるよ毎日修行してたもんね!

 

「それでも全然伸びなくて、でもようやく超能力の伸ばし方がわかってきたんです!!」

 

 そうだよね、専門知識あるもんね。ソリャ教えられたら伸びるもんね!!

 

「だからこの機会に一生懸命伸ばそうと! 無理を言って毎日毎日教えてもらってたのに! もらってたのに!!」

 

 いや、えっと、あの、その・・・

 

「その努力を心変わりと勘違いなされるとは! 酷くありませんか兵夜様!!」

 

 あの、その、えっと・・・。

 

「ベルは兵夜様を実質お慕いしております!! その思いに嘘偽りは実質ないのに・・・ないのに・・・うわぁあああああああああんっ!!」

 

 う、うわぁぁああああああ!!

 

「え、ちょ、ちょっと待って! え、え、えええええええっとぉおおおおお」

 

 え、えっとこれどうしよう!?

 

 助けを求めて周りを見れば、涙を流すことすら忘れて、周りからは非難の視線が。

 

「なにあれサイテー」

 

「勘違いで不倫疑った挙句、大泣きさせてるよ」

 

「まあ、自分と会わずにほかの男とべったりだったら勘違いするだろ」

 

「だが、あのベル・アームストロングに限って不倫なんて器用なまねできるわけないだろ?」

 

「ハーレム作ってる割に意外と小心者っていうか・・・」

 

 うぉおおおおおおおお!! が、外野が評論まで始めてるぞおおおおおおお!!

 

 あ、でも・・・うん。

 

「う・・・ぐす・・・ひっぐぅ・・・」

 

 しゃくりあげるベルを見てると、その、うん。

 

「・・・ごめん」

 

 なんていうかすっごく悪いことしてしまった。

 

「その、俺もなれてなくて・・・その・・・うぅ・・・」

 

 あ、ヤバイ。

 

「・・・うぅ・・・ぐすっ」

 

 これもう耐えれそうにない。

 

「・・・怖かったんだよぉおおおおおおおっ!!」

 

「「「「「「「「「「こっちも泣いたぁあああああああ!?」」」」」」」」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 スパロ・ヴァプアルはこの光景に対してどうしたものかと思った。

 

 男の方が心変わりを疑って、それに切れた女が殴りながら泣き始めて、そして男の方も何かが枷が外れたのか大泣きし始めた。

 

「ど、どどどどうしましょう!?」

 

「そ、そんなことを私に言われても困るぞ!? な、なんだこれはどういうことだ!?」

 

「それは仕方がないことだ戦士たちよ」

 

 ヴァスコ・ストラーダがまるで幼子を見るような目でそんな泣きはらす二人を見る。

 

「彼らは二人ともまだ子供なのだ。・・・転生という規格外の衝撃に、大人になるためのピースが零れ落ちてしまったのだろう」

 

「お、大人の・・・?」

 

「ピース?」

 

 思わぬ言葉に、二人は首をかしげてしまう。

 

 時折無邪気な子供のような素顔を浮かべるベルはともかく、常に頭を回転させる宮白兵夜に、精神年齢が低いという言い回しは感じても子供という言い回しは感じなかった。

 

 だが、ヴァスコ・ストラーダは静かに首を振る。

 

「子供だよ。聞けば、彼が転生した時の年齢は16ではないか。そんな子供の心を持ったまま、ある種の極限状態に置かれれば、成長するのにもどこかゆがみが出るだろう」

 

 思えばそれは当然だった。

 

 記憶の回帰が異常な形のナツミはもちろんそうだった。そして小雪も久遠もどこか大人と言い切れない側面を合わせ持っている。

 

「そう、彼らは年齢不相応の精神を持つと同時に年齢相応の心を持っているのだ。それを忘れてはいけないのだよ」

 

「あ、ああなるほど。私これでも前世は結構生きてたのでわわわかりませんでした」

 

「そ、そうなのか」

 

 そう思えば、この状況下は当然なのかもしれない。

 

 そもそもあの二人も恋愛経験はろくにないのだ。それがすれ違ってしまったら混乱もするだろう。

 

 大人ですらそういう話はよくあるのだ。子供だというならなおさらだ。

 

「だからこそ、ここはそっとしておこうではないか」

 

 そういつくしみながら告げると、ストラーダはデュランダルのレプリカを構える。

 

「さあ戦士ゼノヴィアよ。彼らはそっとしておこう。我々の決着をつけようではないか」

 

「・・・ハイ、猊下!!」

 

 その言葉に、ゼノヴィアはデュランダルを構えて応じる。

 

 ・・・最後の戦いは、より白熱して行われようとしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




前にもいったと思いますが、味方側の転生者は基本メンタル弱めです。

支えがあるから強いのであって、そうでなければ頑張れないし折れかねない。そういう人物です。

そんな人物は一生もののトラウマレベルを受ければ、そりゃ当然心の成長に大きな悪影響を受けるでしょう。

・・・そこを見抜いたストラーダはマジ聖人。創作業界でも有数の人物やでぇ

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