ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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ついに戦闘パート突入です!


でも、今回は短め


大規模模擬戦 第一ラウンド

 

 Other Side

 

 教会と悪魔の間で行われる大規模模擬戦。

 

 これまでの歴史においても非常に大規模な模擬戦ということ。加えて一人の若き転生悪魔が主導となってこの模擬戦を企画したこと。そしてその若手悪魔こそ、将来の最上級悪魔は確定とされる、神喰いの神魔(フローズヴィトニル・ダビデ)である事から高い注目度を持っていた。

 

 もともと、この各種神話勢力の和平という流れに不満を持っているものは数多い。それは三大勢力内部においても同様である。

 

 聖書の教えに従う天使側にとって、その筆頭はかつての戦争を経験していない悪魔祓い達である。

 

 その不満は吸血鬼との和平すら実現した現段階において頂点へと達しており、クーデターが起きるのも時間の問題だった。エルトリアによる天界襲撃とその甚大な被害がなければ、クーデターが起きていたと確実視されている。

 

 そんなギリギリのタイミングでのこの模擬戦は、いわばガス抜きのための殴り合いである。

 

 堕天使が提供した冥界の広大な土地を利用した、三日間にわたる模擬戦。

 

 地形を把握するために二日間の準備期間を持ってから、三日間の時間制限をもってして行われる壮大な喧嘩。

 

 悪魔側もこの機を逃さんと不満を抱いていた者たちが、大義名分を持って堂々と憎たらしい悪魔祓いを殴り飛ばせるとして意気揚々と参加する者達が数多い。

 

 あまりの熱意に、監視役として天使が数名派遣されるほど。悪魔祓い側も、和平を決断した天使に対する不満からそれを承諾し、混沌とした様相を見せていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 

 

 

 

 

 

 

 

 まあ、俺たちはそんなにすることがないんだが。

 

「ほらお前ら手を動かせ。早くしないと昼になるぞ?」

 

「・・・参加するって糧食班!?」

 

 木場が絶叫するが、誰が俺たちが前線だといった?

 

「何を言っている。戦場での食事は戦う兵士たちの数少ない娯楽。士気を維持する重要な役職だぞ?」

 

「そういうことを言っているのではないのだが!? っていうか、私たちが戦わなくてどうするというのだ!!」

 

 ゼノヴィアまで文句を言ってくるが、そもそもの目的を忘れていないかこいつら?

 

「あのなあ、これは和平に不満を持っている連中のガス抜きだ。不満を持ってない俺たちが大暴れして奴らのやることを減らしてどうするのだ馬鹿どもが」

 

 まったく。どうも頭に血が上っているようだ。

 

 最強クラスのエクスカリバー使い及びデュランダル使いが出るとあって、どうもテンションが変なことになっているようだ。

 

 少しは考えろ。和平に納得いかない連中にしてみれば、和平の立役者である俺たちにだって不満の矛先が出かねないんだ。

 

 そんな奴らがガス抜きの機会ですら幅を利かせたら、面倒ごとになるのは当然だろう。

 

「まあ仕方ないって。ここはほかの人たちに譲ろうぜ、木場きゅん」

 

「い、いえジョーカー。だからって僕たちが糧食班というのは納得が・・・」

 

「まあ、ゼノヴィアは問題あるが、俺たちは大丈夫だろう。・・・料理上手いなジョーカー」

 

 監視役もかねて派遣されたデュリオの意外な特技に驚くが、しかし手を止めている暇はない。

 

 今日の昼飯は肉じゃがだ。意外と日本食に造詣が深い悪魔が多いので作ることになったが、しかしこの数は俺も手が足りん。

 

「しかし関係者で集めるとは、上の連中もいやみっつーかなんつーかなあ? ほれ、スパロちゃん手を動かして」

 

「ははははい!! あ、意外と簡単ででです」

 

 うん、ちょっと待とうか。

 

「スパロはまあサイラオーグ・バアルの名代だからいいとして、なんでお前がここにいる、ムラマサ」

 

「ええやんええやん。雑務募集しとったから応募したんや。ヴァーリたちはその辺が分かっとらんなぁ」

 

 そんなことしてたの冥界?

 

「兵夜くんー。お米取ってきたよー!」

 

 と、久遠も戻ってきたので本格的に作業続行。

 

「そういえば、宮白君は泥仕合の末に悪魔側が敗北が理想だって言ったけど・・・」

 

「ああ、今回の最大の目的は悪魔祓い側のガス抜きだからな。あっちが勝った方がいいだろうが・・・」

 

「ぼろ負けやと悪魔側にうっぷんがたまりそうやからなぁ。そのあたり考えんといかんか」

 

 ムラマサの言うとおりだ。

 

 そのあたりのラインの見極めが非常に重要なんだがなぁ。

 

 絶対上手くいかない。物には限度があるというか、そううまくいくなら誰も苦労はしないというか。

 

 それに・・・。

 

「不利なのは悪魔祓いの側だからなぁ」

 

 その理由は極めて単純。

 

「まあ、空飛べるっちゅうんはそれだけで有利やからな」

 

 ムラマサが言った通り、これは非常に有利不利を分けれるだろう。

 

 なにせ飛べない奴には近づかれない。必要に応じて距離をとって仕切り直しにできるのは大きなメリットだ。

 

「あ、あああ悪魔は基本遠距離主体ですしししし」

 

「確かにね。悪魔祓いの主武装は光の剣と拳銃だけど、拳銃の火力はたかが知れている」

 

 スパロと木場がより会話を煮詰めるが、しかし二人とも作業は続行しているあたりすごい。

 

 っていうかスパロ意外と料理上手いな。

 

 そういう意味では圧倒的に悪魔側が有利なんだが、ふとデュリオが意味深な笑みを浮かべた。

 

「いやぁ、それはどうかな?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Other Side

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハッ! 久しぶりに人間どもを蹂躙できると思うと腕が鳴るぜ!!」

 

 一人の上級悪魔が下僕や同胞を連れて空から敵陣を目指していた。

 

 先陣を切っている理由は、一番槍の名誉を得る為だけではない。

 

 彼は、基本的に悪魔至上主義であり他種族を見下している。人間と契約するときも、契約の裏をかいて自分に有利な条件にすることを好んでいる。

 

 それが、和平締結のせいで自由に動けなくなった。

 

 わざと悪魔祓いの姿を見せるようにして動かさせ、それを返り討ちにして悔しがるところを見るのが何より楽しかったのに、それもできなくなった。

 

 もとから現魔王派は穏健派路線かつ良識派で鬱陶しいことこの上ない。いっそリゼヴィムに与することも考えたが、しかしそれもリスクが高かった。

 

 うっぷん晴らしとしてはちょうどいいこの機会。見逃すことなく真っ先に志願したのだ。

 

「お前たち! これはレーティングゲームのシステムを利用している。どれだけズタボロにしようが問題ないぞ!!」

 

 部下の血の気を増やすべくそうあおりながら、上級悪魔は勝利を確信していた。

 

 なにせこちらは空を飛ぶことができる。

 

 はるか上空から遠距離攻撃をすれば、こちらは自由自在に蹂躙することができるのだ。

 

 そして彼はレーティングゲームにおいても空中戦を得意とする。この場においては独壇場を言っても過言ではなかった。

 

 さあ、敵が陣地を張っている小さな山が見えてきた。

 

 久しぶりの蹂躙の機会に血が高ぶるのを感じた次の瞬間―

 

「―さて、それでは幻術をとくとしよう」

 

 そんな言葉を耳にしながら、その男は爆発の直撃を受けて最初の脱落者になった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Side Out

 




はい、初手から悪魔払いは本気です。そりゃもう本気をぶつけに行ってますから。

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