ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
・・・あれは嘘だ。すでにここで半分終わる。
死神連中は何とか追い返せたか。
「大将、追い返す程度ですますとか穏便だな」
「改善が見えたやつには相応の恩恵があってしかるべきだ。そうじゃなければもっと良くしようなんて考えないからな」
とりあえず、生まれてもいないガキどもを狙うよりかは数段ましな展開だ。じっさい聖書の教えが他の教えを侵略してきたのは事実だからな。そこは文句を言ってもいいだろう。
だから少し手を抜いておいた。これでさらに改善して、もっとピンポイントで下手人を狙うようになってくれればいいんだが。
「あと俺に仕掛けるのはやめてほしいんだけどな。そもそも、俺は落とし前をつけるついでに同類にミセシメしただけだぞ?」
「最後がなければやってくれるかもな」
ふむ、もうちょっと残虐な方面でやるべきだったか。両腕をもぎ取ってダルマにする方面にすればよかったか?
「さて、そして残念なことにここからが本番だ。・・・いやホント残念だ」
「まったくだぜ大将。これいろいろと最悪すぎやしねえか?」
心底いやそうな顔を浮かべてみれば、そこには堕天とかしたさっきまで天使だった者たちがゴロゴロと。
いい加減四桁に届きそうなんだが、これマジでやばくね?
そしてそんな原因は・・・。
「は、鼻血が止まらない・・・っ!?」
「ま、またが痛い・・・!?」
「な、なんだこれは・・・心臓がどきどきする・・・っ!!」
「う、うわぁああああ!! もう我慢できぐふぅお!?」
「「危なかったぁ・・・」」
最後の一人を当身で気絶させて、俺達はため息をつく。
具体的にいうと、全員発情していた。
全員発情していた。
全員が発情して興奮して盛っているんだよこの野郎!!
「ふざけるなぁあああああ!!! これもう一人しかいないじゃねえか!!」
「完璧にエルトリアだな。あいつ天界を色欲で染めるとか言ってたけど、マジでやりやがった」
「止めとけよ馬鹿野郎!!」
おい冗談抜きでやばいぞこれ!!
普通に襲撃されてた方がはるかにましだ。色欲にのまれ切った天使とか、天界が滅ぶぞ別の意味で!!
クソが! 早く奴を見つけてこの発情現象を止めないと、天界が聖なる世界ではなく性なる世界になる!!
急がなくてはぁあああああああ!!
と、急いで踏み出した瞬間にバナナの皮を踏んで俺はすっころんだ。
そしてそのまま滑って1kmぐらいすっ飛んだ。
「ふぶぅうううぉおおおおおおおおおおお!?」
「大将ぅ!?」
「かまうな敵だ!! 先に行って雑兵を始末してこい!!」
俺はグランソードにそう命じながら、素早く体勢を立て直す。
立て直すが、しかしそのまま滑るのがなかなか止まらない。
このギャグマンガでしかありえない展開は! 間違いないぞ、これは!!
「スクンサ・ナインテイル!!」
「その通りさ!!」
声に反応して上を見ると同時に、俺は即座にガスマスクを装備した。
なぜかって? 奴が空を飛んでいたからさ?
なんでそれだけでって? 奴があるものを食べていたからさ。
何を食べていたかって? サツマイモさ。
そう、奴の能力はギャグマンガの展開を現実に展開する能力。そしてさつまいもとくれば一つの下ネタ。
おならで空を飛ぶ。
「あらゆる意味でくそがぁああああああ!!! まじめにやれやこらぁ!!」
ええい、俺はマジで苦労しそうだ。
「ふははははは!! そんなあなたにプレゼント!!」
そういいながら奴が落とすのは、なんと火のついたライター。
ハッ!? ギャグマンガでおならに火とくれば―
「着火♪」
次の瞬間、大爆発が起こった。
祐斗Side
何とかこの場は片付いたけど、それだけで済むわけがないか。
「祐斗。朱乃から連絡がきたわ。・・・小雪の勝ちよ」
部長の言葉に、僕たちはいっせいに安堵した。
青野さんが一人で消えた時点で、ぼくたちは彼女が決着をつけに行ったことを理解した。
彼女の過去はある程度は把握していたし、だからこそうかつな介入はできなかった。
それができるとするならば、今の大事な人である宮白くんか朱乃さんだけで、しかし宮白君は別件でいなくなっている。
だが、同時に皮肉込のお土産を残していったので、それをもって朱乃さんが介入しに行ったのだ。
それがどれだけ功を奏したのかはわからないけど、僕たちにとってはいい結果になったようで何よりだ。
「これなら大丈夫そうですね。ですが・・・」
「ええ、ぼくたちも急がないといけません」
そう、ぼくたちにとってはここからが本番だ。
なにせ敵襲はいまだに続いている。天界の危機は全く持って現在進行形で続いているのだから。
どうも死神が手引きしたらしいが、もしやハーデスはこれを見越してあえて死神たちの離反を止めなかったのか?
宮白君に徹底的に蹂躙されたことで、当分はおとなしくなると思っていたのが甘かった。彼の三大勢力に対する敵意ははるかに大きい。それを甘く見たツケがこれだ。
「イリナとイッセーも八重垣正臣を倒してこちらに向かっている。急ごう!!」
ゼノヴィアがさらに朗報を告げながらも僕たちをせかす。
ああ、敬虔な信徒である彼女にとって、天界の危機は見過ごせるものではないしね。当然の反応だ。
そして僕たちは急いでいこうとして―
「―やっほー! 何とか追い付いてきたよぉん♪」
―そこに、化け物が出てきたことを察知した。
「リゼヴィム!!」
部長が即座に消滅の魔力を飛ばしながら声を飛ばす。
リゼヴィムは難なくそれを魔力で打ち消すと、なぜかすごく疲れた表情でため息をついた。
「まぁったくもう! エルトリアちゃんが勝手に行っちゃったせいで、俺様ちゃんは全然暴れられないぜ!! これでもハチャメチャ騒ぎの空気は読めるんだぜぃ?」
相変わらずふざけた男だが、どうやら事態はそれ以上にふざけているらしい。
あのイッセー君や歴代二天龍が足下に及ばないレベルの色欲をもつ、魔王末裔エルトリア・レヴィアタンが、今回の事件の原因か。
確かに、すべてを色欲に包むとか言っていた彼女なら、色欲からとても遠いところにいる天界に行けると知ったなら、エロを振りまきに襲来しかねない。
なんてことだ!! まじめに決着をつけたと思ったら今度はこんなばからしい戦いになるだなんて!!
見れば全員頭を抱えている。ですよね!!
「おじさんもばか騒ぎは大好きだけどさ? 枯れちゃってるからこういうタイプはどうにも苦手なんだよね? 空気変えたいんだけど、付き合ってよ」
心底疲れた表情を浮かべながらも、しかしリゼヴィムは邪龍たちを呼び出しながら質の悪い笑みを浮かべる。
邪龍たちの中にはグレンデルやラードゥンに近い姿を持つ者たちまでいる。聖杯の力で量産型を作り上げたのか?
「さぁて、天界を地獄に変えちまおうぜ、諸君?」
・・・くっ! 周りがあれ過ぎるせいで、全然集中できない!!
オカルト研究部史上、最も頭の痛くなる戦闘が始まろうとしていた!!
Side Out
はい、ギャグとエロが襲来してきました。
リゼヴィムが一番シリアスってひどいね!