ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
イッセーSide
とは言われたけどこれはやっぱりキツイ!!
グレンデルもラードゥンも強敵な上に、そこにヴァルプルガがいて邪龍もたくさんだ。
そいつらの相手もしなければならないから仲間達だってそう簡単には動けない。
そしてリアスも動けない。
今からリアスが使う技は、チャージ時間が非常に長い。宮白の蒼穹剣も時間がかかるけど、解析そのものは自動で行ってくれるが、これは武装の機能だからだ。技であるリアスのはそうもいかない。
つまり、今からリアス抜きで戦闘をするってことなんだよな。
先読みでだいぶ助かってたけど、持つか、コレ?
『噂の蒼穹剣ってのも喰らってみたいけどよ、やっぱりまずはお前の方が先だよなぁ、ドライグ!!』
グレンデルがその巨体に見合わぬスピードでこっちに向かって殴りかかってくる。
くそ、できればみんなで協力して戦いたいけど、量産型の邪龍もいるからそんな暇はない!
「宮白! グレンデルは俺たちで相手するぞ!!」
「わかってるけど酷使すんな! 俺はとどめも担当するんだぞ!」
グレンデルを相手にしながら、俺と宮白はなんとか時間を稼ごうとする。
しかしグレンデルもやっぱり強い。俺たちでも反応しきれないほどの動きでこっちを翻弄してきやがる。
「おいイッセー。攻撃防御はこっちでやるから、お前は機動力重視でヒット&アウェイに徹しろ」
「え!? でもアイツ攻撃力も高いけどいいのかよ?」
「はっはっは。俺の新兵器、
『面白ぇ! だったらその楯ぶちこわせりゃ俺の勝ちだなぁ!!』
グレンデルの奴も乗り気になりやがった! しっかし宮白も自信満々だな。
「舐めるなチンピラ! こちとら史上最強の白龍皇の覇龍を想定してる楯なんだぞ? 龍王クラスの本気も受け止められないようで天龍を相手できるか!!」
真正面から来たのをいいことに、宮白は勢いよくしっかりと受け止めた。
おお、あれも止めるのかよやるじゃねえか!
だったら俺も、本気で頑張らないとやってられないよな!!
祐斗Side
僕達は部長の攻撃までの時間を稼ぐべく、ラードゥンの足止めを行っていた。
だが、こちらの攻撃はほぼ通じず、しかも一人一人球状の結界で包まれて無力化されていく。
『どうですか? グレモリー眷属は攻撃力特化と聞いていますが、私は私で防御力特化ですからいい勝負だと思いませんか?』
ラードゥンはかなり余裕を持って行動している。攻撃そのものは邪龍に任せているが、非常に高い結界の固さと、グレンデルに次ぐ耐久力で攻撃がほとんど通らない。
ここはやはりグラムを解放するしかないということか・・・!
そう思いグラムを取り出そうとしたとき、後ろから肩に手が置かれた。
「はいはい木場君また余計なことを考えてるー。今はリアス先輩の必殺技の出番まちなんだから無茶しちゃだめだよー」
桜花さんのその言葉でふと我に返る。
そうだった。今回の奥の手は部長のあの技だ。今僕たちがやるべきことはあくまで時間稼ぎ。
そういう意味では攻撃そのものはほとんどしてこないラードゥンは楽な部類ではある。
とはいえ結界で動きを止めてくる上に、邪龍たちを差し向けてくるのは確かに厄介だ。
「どうやら戦闘は私たちでやった方がよさそうだねー。ほかのメンバーだと結界に取り込まれて動きが止められるしさー」
「そうだね。少し焦っていたようだ」
邪龍たちの戦闘も行わなければならない以上、戦力をあまり割くわけにはいかない。
ここは足止めに徹して時間を稼ぎきる!
だが、その時ラードゥンが嗤った。
なんだ? いったい何を狙っている?
『いいでしょう! ならばこれはどうでしょうか?』
空間がゆがみ、中から巨大な影が出てこようとしている。
馬鹿な、あれは・・・。
「豪獣鬼ー!? いや、回収されたのってそんなに多くないはずだよー!?」
「以前ルーマニアに出たのと同じタイプ!? 豪獣鬼は一体一体が別々の存在のはずだ!!」
どういうことだ!?
『それについては私は聞いていないので何も言えません。ですが、戦闘能力は同等と考えてくださって結構ですよ?』
く! このタイミングで豪獣鬼の存在は危険だ! 戦局が一気に傾く可能性すらある!!
何よりこの巨体で暴れられたら学校が持たない! 少し暴れただけで全損する可能性だってある。
引き離そうと牽制の攻撃を放つが、豪獣鬼は突撃することだけを命じられているのか意にも介さない。
部長の技も間に合いそうにない。ここはやはりグラムを使うしか・・・!
「だから木場君ー! 何かあったらすぐグラムに頼ろうとするのは悪い癖だよー!!」
桜花さんが後ろから制止の声をあげるが、しかしこの状況下ではほかに手段が思いつかない!
『それではこれで物量に押しつぶされるといいでしょう。さて、あの学園というものはどれぐらい丈夫なのでしょうか?』
マズイ! このままだと数に押し切られる・・・!
皆連戦で疲れていることもあって、このままだと持ちこたえられない!
「させるかぁあああああ!!!」
その時、業獣鬼の体中に黒い縄が絡みついた。
匙君が、ラインで魔獣の動きを止めようとしている。
だが駄目だ、いくらなんでも体格が違いすぎて意味をなさない。
「匙! 無茶はやめなさい!!」
会長も顔を青くして止めようとするが、しかし匙君は止まらない。
「やめませんよ会長。もうこの学園は、会長だけの夢じゃない」
信じられないことに、匙君は魔獣の動きを少しだけとはいえ遅くしている。
それだけの想いの強さが、今の彼には宿っていた。
「この学園は会長だけじゃない。子供たちの夢でもあり、そして何より俺の夢だ!」
体格差からくる力で血が流れながらも、匙君は決してあきらめない。
「その夢を、遊び半分で邪魔しようなんて奴らを、好きにさせるわけねえだろうが!!」
全身から血を流しながら、彼はしかし止まらない。
そして―
「何より」
ほんの一瞬、ほんの一瞬。
「惚れた女の眼の前で、その女の大事なもの壊させてたまるかこの野郎がぁああああ!!!」
・・・魔獣の動きが、止まった。
『驚きました。さすがは我らと同格の存在を宿すもの。たかが下級悪魔と侮っては行けなかった。』
その光景を見て、ラードゥンが唸る。
ああ、そうだろう。
竜王の1人、匙元士郎。あのレーティングゲームで、まだ竜王の一部分しか持っていなかった彼は、禁手に至ることなく禁手に至った赤龍帝を共倒れにまで追い込んだ。
そんな彼を、舐めてかかることなどあってはいけなかったんだ・・・。
『・・・ほう、少し見ない間に化けたじゃないか』
そして、その彼の隣にヴリトラが姿を現した。
「ああ、いろいろ心配かけたな。でももう大丈夫だ」
『そうか、ならもう大丈夫だろう。そろそろ行こうか』
何がとは言わない。ああ、これは本当に大丈夫だ。
「行くぜヴリトラ! 今日が本当の意味での竜王ヴリトラの復活の日だ」
『ああ、ちょうどいい生贄もいることだし、久しぶりに本当の意味で暴れるとしよう!!』
次の瞬間、匙君から強大な力があふれ出す。
ああ、この感覚はよくわかる。なにせ自分でも経験があるからね。
だけど竜王を宿して発動するとここまでの力を発揮するのか。つくづく彼も天運に恵まれた悪魔だと思うよ。
『「
そこにいたのは、黒い炎を見にまとう全身を鎧で包み込んだ匙君の姿。
彼はついに、禁手に到達したのだ。
次の瞬間、魔獣は急激に体をふらつかせる。
禁手に至ったことで力のコントロールが増大したのだろう。一気に力を吸い取られて急激に弱ったのだ。
『これは面白い! 私の結界で封印できるかどうか、ぜひ今すぐ試したいところで―』
「あら、そんな暇はあなたにはないわよ?」
そして、この覚醒は良い目くらましになってくれた。
振り返れば、そこにはまがまがしい魔力が込められた球体が映っていた。
「仮にも魔王の妹として、それなりの力は欲しかったのよ。だからとりあえず作ってみたの、必殺技をね」
部長が自慢げな笑顔を浮かべ、ラードゥンを見下ろしていた。
そしてラードゥンも絶句している。ああ、そうだろう。
あれは彼でも耐えられない。それだけの力がこもっている。
「ではD×Dの1人として成果の一つでもあげましょうか。ああ、言い忘れてたけどあなたが逃げようとしているのは見えているから―」
「すでに先手を打たせていただきました」
ラードゥンが動くより早くその周りを魔法陣が囲む。
これは完璧な転移封じだ。これでは逃げようがない。
「ありがとうロスヴァイセ。お披露目が失敗したら恥ずかしかったもの」
「いえ、リアスさんの眷属悪魔として当然のことをしただけです」
『な、な、な―』
悪いねラードゥン。大切なことを言ってなかった。
部長は装備も実力もどちらもかなり強化してるから、イッセー君が相手でも勝算が結構あるよ?
Side Out
今回はちょっと短め。
最近ちょっとスランプ気味ですね。