ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
次の日の京都は、九重がやってきて観光ガイドの真似事をすることになって結構楽しかった。
意外といったことのない京都もあることに今更ながらに気づいて、結構新鮮に楽しめたもんだ。
「・・・本当にどこから見ても見られてる感じになりますね。実質こんな細工が魔術も超能力もなしだとは信じられません」
別もこんな感じで結構楽しんでるみたいで、俺としては結構安心する。
で、今は豆腐を食べながらだべっている真っ最中だ。
「・・・なんというか、今まで食べていた豆腐とは何かが違う気がしますね」
なんというかなれたのか、食べるものにいろいろと目の色が変わっている気がする。
「よし、次は冷奴試してみようか」
「まて宮白!! ここは俺が注文した湯葉を食わすのが先だ!!」
「抜け駆けすんな元浜!! それより先に俺が注文した揚げだし豆腐を・・・っ!!」
約二名暴走しているが、まあそれもこの班の特色だと考えれば腹も立たん。
「まあ、肩の力が抜けてるようでちょっと安心したよ」
「・・・っ!? な、なんというか恥ずかしいところを見せてしまったような気がします」
ものすごい顔を真っ赤にしているが、しかしまあ、別に恥ずかしがることでもないだろう。
「別にそこまで恥じ入ることはないだろ。俺だってイッセーのこと以外に俺自身で楽しんでるときはある」
「そ、そうなんですか?」
そんなに意外なことか?
「うまい飯にうまい酒。女も十分堪能しているし、これでイッセーのこと以外していないだなんて言ったらバチが当たる」
童貞卒業に未成年飲酒。前世じゃできなかったことを前もってやっているし、なにもイッセーのためにすべての娯楽を捨て去ってるわけではない。
優先順位がぶっちぎりで高いってだけで、何も自分を捨て去ってるわけじゃない。
「少しは人生楽しめよ。そっちの方が余裕ができて、何より大事なもののために本領も発揮できるしさ」
余裕がないのはだめだ。アレは視野が狭くなって失敗しやすい。
人生油断のあるのはマズイが、余裕はある程度あったほうが力になるもんだ。
「・・・あんた露骨にホモ一歩手前の発言してるって自覚したほうがいいわよ? 前はもうちょっと自制してたと思ってたけど、オカ研に入ったあたりから暴発してない?」
うるさいよ桐生!
いいんだよ、好きなものは好きなんだから。
「み、宮白!! ちょっと急いで食べたほうがいい!!」
なにやらイッセーがあわて始めた、一体どうした?
「ああやっぱりおしゃけはおいしいれすね。おーでぃんのくそじじいのおもりをしているときは油断できないからじぇんじぇんにょめなかったんれすけど、こうなったりゃいっぱいにょんりゃいますからねぇ。てんいんさ~ん。あとじゅっぽんついかれ~」
何やらロスヴィセさんが暴走しておられる!?
「なんだ!? なにがあった!?」
「あ、後で教えるからとりあえず今は外に出るぞ!!」
あわてて腹に詰め込んで脱出するが、なにやらロスヴァイセさんが暴走したままだった。
よほどストレスがたまっていたんだろうか? あとアザゼルがやけにげんなりしていたが、あいつまさか面白半分で酒飲ませたんじゃないだろうな?
あとでしっかりと確認して、しかるべき制裁を加えておこう。
そして俺たちは渡月橋を渡る。
途中、桐生が変なジンクスを語ってアーシアちゃんをおびえさせているが、まあ修学旅行のおふざけだと思って見逃そう。
「・・・本当に、今日は楽しいです」
ぽつりと、ベルはそうつぶやいた。
「今まで満足したりうれしかったことはありますが、こんな楽しいと思ったのは、実質生まれて初めてです」
そうか。
「じゃあもっと楽しもうか。夜になったらアーチャーの強力をしなけりゃいけないけど、だからこそしっかりと今は遊んで―」
英気を養おう。
そういおうと思った俺の言葉は止まった。
全身をぬるりとした感触が多い、視界が急に黒い霧に包まれたからだ。
次の瞬間、俺たちは京都であって京都でない空間に送り込まれていた。
例えるならレーティングゲームのフィールドといったところか。
そこにいたのは、俺たちオカルト研究部関係者に、九重とベルのみだ。
「・・・誘い込まれたってところか」
「黒い霧による転移。・・・上位神滅具の一つ、絶霧ですね」
お互いに背中をかばいながら、俺とベルは警戒し合う。
イッセーたちも警戒態勢を整えていたし、アザゼルもこっちに来ていた。
・・・マジで戦闘要員全員御招待か。なめてやがるな。
とにかく、今から警戒して行動を考えないと。
「―宮白!!」
あわてて振り向いたゼノヴィアの声が聞こえた瞬間、俺は腕をつかまれていつの間にか橋から100メートルぐらい離れていた。
「・・・へ?」
「実質過激に反応してしまいましたね。少々慌ててしまいました。申し訳ありません」
微妙に申し訳なさそうな顔で、ベルが視線をそらしていた。
ああ、こいつ瞬間移動能力を持っていたな。
と、俺がもといた位置を見ていたら、そこに一人の男が硬化してきていた。
「ふっははははははははははははははははははは!! なかなかやるようじゃぁないか!!」
日本の大鎧に身を包んだ、何やらテンション高そうな男がそこにいた。
「ならこれならどうだ! いくぜえええええええええ!!」
男は全身全霊で思いっきり突進する。
俺はとりあえず眼前に隔壁を十枚ぐらい展開した。
そのまま正面衝突すればいいと思い、とりあえず倒れたらやばいのでベルを引っ張って後ろに下がる。
瞬間、槍が障壁を貫通した。
ええ。それはもうプリンにフォークを刺すような感じに貫きました。
「・・・ちっ! 刺さんなかったか」
あっさりと引き抜いた鎧武者は、障壁を飛び越えてこっちをにらむと、槍を再びこちらに向ける。
「この人間無骨をもってすりゃあ、そんな鉄板紙みてえなもんだ。あきらめて殺されて血を飲ませろよ。俺もこいつものどが渇いてんだよ」
「人間無骨。・・・森長可か!?」
戦国DQN四天王の1人がなぜこんなところに!?
「どうでもいいぜ!! 俺はサーヴァントのランサー、それでいいだろうがぁ!!!」
ランサーは刃渡りが60センチはあるその槍を振り回しながらこっちに突撃する。
俺たちはそれを飛びのいてかわすが、ランサーのサーヴァント名だけありあっさりと追いついた。
「うざい太陽がなくて気分いいんだよ!! 血を寄越せぇえええええええええ!!!」
あのすいません! 目が血走ってるんですが!?
「まさかサーヴァントとは、面倒ですね!!」
連続攻撃をさばきながら、ベルはそう嘆息する。
確かにリーチが長いうえに動きが速いからなかなか接近できない。
技量そのものはセイバーに比べて格段に劣るが、スピードとリーチでそれを補ってやがる。
「とはいえ―」
「ええ、実質―」
「ぶつぶつつぶやいてんじゃねえぞおおおお!!!」
大声でわめき散らしながら、ランサーは足を止めた俺に槍を突き出す。
そして槍は偽聖剣をあっさりと貫通し―
「―ぬるい」
「ですよね」
俺は真後ろからランサーをぶった切った。
鮮血を挙げて動きを止めるランサーは、持ち直そうとするが動けない。
ベルの念動力で固定されたのだ。
「な、この、くそ!」
「どうやら英雄派ははずれサーヴァントを引いたみたいだな」
いくら偽聖剣が対サーヴァント用の武装だからって、こうも簡単に倒せるとは思わなかった。
森長可といえば、やれ単騎突撃で30人近くぶった切るは、二倍の数の敵を相手に、数千二なで斬りにするはの豪勇で有名なのだが、意外と弱いな。
日本なら知名度補正も高いだろうに、これはちょっといただけない。
「このアマ! 離しやがれ! 血ぃ吸い殺すぞ!!!」
なんか小物臭もひどいし、日本人としてはアレな気分になるな。
「そのまま抑えてろ、ベル。首をはねる」
面倒だしとっとと片づけることにしよう。楽な相手だった。
「・・・おぉっと、そうはいかねえなぁ」
「もう、ランサーくんったら突っ走りすぎよ」
殺気!?
振り返った瞬間に移った拳は、念のため展開していた幻影のおかげでからぶった。
が、その拳が地面に当たった瞬間爆発して、俺は爆風にあおられて飛ばされる。
「兵夜!?」
「あら、お姉さんの相手は私なのよ?」
ベルが振り返るのにカウンターを合わせて、大量の剣が降り注ぐ。
あれ全部聖剣だぞ!? どっから調達した!!
「舐めないでいただきます!!」
ベルは念動力で思いっきり薙ぎ払うが、それをかいくぐった女が一人、聖剣を片手に切りかかる。
光力をまとったベルの拳と聖剣が衝突。しかし、その光力はあっという間に吸収される。
「対光力の聖剣ですか!?」
かろうじて切り飛ばされる前に腕を振り払ったベルが、鮮血を振りまきながら瞬間移動で俺のところに飛ぶ。
と、そこにお久しぶりのドラム缶が来訪、大挙して押し寄せてきた。
「うっさいは雑魚ども!!」
すかさずイーヴィルバレトで無双開始。
と、ただでさせ暗い視界がやけに暗くなった。
まるで影が差したかのような光景に視線を上にあげると、そこにはドラゴンがいた。
「ボディプレス??」
「「な!?」」
どこから現れたと思いながら、俺とベルはあわてて走って距離を取る。
と、その方向には大男が。
「おら行くぜぇ!!」
なんか全身から突起が生えてる!?
っていうか発射された!?
まて、あの男の攻撃は爆発したよな。
あれがあの男の禁手だったら・・・。
「ベル!? 飛ばせ!!」
「は、はい!!」
あわてたベルが急いで超能力を発動させる。
そして俺たちは浮き上がり―って
「念動力《そっち》じゃない!! 瞬間移動《テレポート》!!」
「え? あ、ああ!?」
あわてて気づいたがもう遅い。
目の前にはミサイルが大量に―。
「ほなこんな感じでどうや?」
俺たちの目の前に、剣の壁が沸き立った。
それらはミサイルに砕かれながらも爆風を防ぎ、俺たちを守り切る。
この関西弁は―
「実質、村正といいましたか」
「しばらくぶりやなぁ。助けに来たでぇ」
なんか軽そうな調子で、八つ橋を食いながらムラマサが俺たちに並び立った。
そして、ランサーを中心に集まった敵とにらみ合う。
「不干渉ちゅうたんに監視役なんぞおくりおってからに。けじめつけに来させてもろたわ」
「チッ! 面倒なのが来やがったな」
日本刀を向けるムラマサの姿に、大男がすごく嫌そうな顔をする。
女のほうも面倒そうな表情をするが、ランサーは何やら興奮していた。
「いい女がいっぱいじゃねえか!! いいねえ、それなら殺して血ぃ飲んでもいいってことか!!」
明らかにキチガイじみた事をほざくランサーに、2人も白い眼を向ける。
そっちも苦労してるんだな。ご苦労さん。
と、微妙な感じでにらみ合っていたら黒い霧が立ち込めてくる。
「お二人さん。ここは見張っとくからはよ橋もどり? 現実世界に戻されるで?」
村正の言葉に俺たちはあわてた。
い、いきなりこんなところに現れたら変な目で見られる!?
「た、たすかる! 行くぞ、ベル!!」
「ありがとうございました!!」
急いで走って端まで戻ると、イッセーたちの方も戦闘終了状態だった。
そして、気づいた時には現実の世界に戻っていた。
「・・・桐生」
俺は平静を装いながら、地図を見ていた桐生に呼びかける。
「なによ?」
「ちょっと調子が悪くなった。すまないが座れるところがないか調べてくれないか」
さすがに今の段階ですぐ観光再開とはいかないだろう。
気分をリフレッシュさせるのが必要だ。
みれば、アザゼルに至っては怒り心頭だった。
どうやら、ことは一気に動き出したみたいだ。
「・・・はあ」
溜息もつきたくなるってもんだ。
まったく、本当に忙しい修学旅行だよ。
ベルの攻略法がどうもしっくりこなかったので、兵夜の攻略法を利用した兵夜の判断ミスを生かすことにして、伏線を張りました。
ランサーは小物の多い禍の団にふさわしいキャラで、全体的に見ても弱小サーヴァントです。
こちらもこれまでの法則と同じです。ヒントはセリフとライダー。あとアーチャーとアヴェンジャー