ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
イッセーSide
「うぉわあああああああああ!?」
俺は禁手の発動時間がくるまでの間、ものすごい勢いで逃げ回っていた。
何からって?
・・・ミサイルだよ!?
「ちょちょちょちょちょっと待てぇえええええ!!」
「待たんなこれが! 死ねやぁああああ!!」
高笑いするフィフスの声を聞くように、エドワードンとかいうのからミサイルが発射されてこっちに向かってやってくる。
っていうか、さっきからこいつ、俺しか狙ってねえ!?
「イッセーくん!? 下がってください!!」
朱乃さんの雷光が放たれ、ミサイルがすべて空中で撃破される。
だがその爆風が俺を吹っ飛ばした。
宙に舞うこの感触はあれだ。夏休みにタンニーンのおっさんとの訓練で吹っ飛ばされたのと同じ感覚だ。
うわぁ、この状態って体勢整えられないんだよなぁ。この状態を襲われたら本当に。
「もらったくたばれ!!」
ってフィフスがこっち来たぁ!?
その手には槍が握られており、完璧に刺し貫く気満々だよ!?
死ぬかと思ったそんな俺の目の前に、黒いものが横ぎった。
「兵藤つかまれ!!」
「助かったぜ匙!!」
匙が出した蛇をつかむ、そのまま匙は由良さんと一緒に引っ張って俺を手繰り寄せる。
「っとぉ逃がすかこれが!!」
槍の射程から逃れたと思ったらフィフスは針金の腕に握られたショットガンを一斉に放つ。
それを由良さんの瞬動で一気に交わすと、俺たちはそのまま仲間たちに合流するため走り出した。
「さすがにこれはきつい! 会長、増援の到着はあとどれぐらいですか!」
「どうやら向こうも足止めを食らっているようです。この調子だと短くても30分ほどかと思われますね」
由良さんの声にこたえる会長の答えは正直やばい。
あいつどれだけ用意してんだよ。
「ふはははははは!! 実験のために用意した耐用年数の短い戦力を処分も兼ねて投入したからな。総勢一万の敵を相手にそうやすやすとは合流させないぜこれが!!」
嘲笑うフィフスの隣から、パワードスーツが飛び出して襲い掛かる。
その斧が振り下ろされたが、割って入ったゼノヴィアがデュランダルで弾き飛ばす。
即座にパワードスーツは復帰して切りかかり、すごい速度で切り合いが発生した。
「ええいできる! イッセー、早く禁手に!!」
「お、おう!! そろそろ行くぜ!!」
ようやくチャージ時間も終了だ! さあ反撃行くぜ!!
「赤龍帝の鎧参上!! さあ反撃だこの野郎!!」
俺は全力を込めてドラゴンショットをぶっ放す。
これで一直線の敵はまとめて吹っ飛ばせるぜ!!
だが、その射線上にウィン・バートリが割って入る
「甘いって感じ! 波動!!」
ウィン・バートリが両腕を振るうと、なんというか透明なものがはなたれ、一瞬でドラゴンショットを掻き消した!?
そんなモン喰らうわけにはいかねえ! 慌てて回避しながら、俺は叫ぶ!!
「ぶ、部長!? 何やら妙な連中が!?」
「面倒ね! 朱乃、まとめて畳みかけるわよ!!」
「わかったわ、リアス!!」
部長の消滅の魔力と、朱乃さんの雷光がまとめてバートリに襲い掛かる。
だがバートリはつまらなさそうに笑うと、その手に持っている指輪を光らせた。
「
指輪から光が放たれると、その光を浴びた消滅と雷光が一斉に炎へと変換される。
それをまたさっきの攻撃で掻き消しながら、バートリが吠える。
「私の波動はありとあらゆる魔法を掻き消すって感じ! 魔法も魔力も効かないって!!」
なんだそのチート能力!?
「なら物理的に攻めるのみです。・・・桜花、切り裂きなさい!!」
「かしこまりましたー!!」
感卦法状態の桜花さんが、目にもとまらぬ速度で切りかかる。
百メートルぐらい離れていたはずなのに、もうバートリの目の前に!?
「斬岩剣!!」
「おぉっと甘いぜ!!」
だが、その眼前に装甲版が何枚も現れるとその斬撃に相対する。
装甲版そのものは切り裂けたが、それでかかった一瞬の時間が、バートリが下がるための時間稼ぎになって攻撃を逸らしてしまった。
さらに高速で突撃したフィフスが、その槍を桜花さんに振り下ろす。迎撃のために振られた野太刀とぶつかり合う。
「なかなかやるが、勘が取り戻せていない今のお前に俺が倒せるかな?」
「ちょっと苦労しそうだけど舐めないでほしいねー。この程度じゃ負けないよー?」
二人の両腕と獲物が見えなくなり、豪雨でも振ってるかのような激突音の群れが連続した!
そして俺も手伝うぜ、ちょっと卑怯だけど後ろから殴りかかろうとする。
が、真上から飛び上がって降下してきたエドワードンがそのでかい脚で蹴りかかってきたせいで思いっきり邪魔された。
「くっそ! 邪魔だこの野郎!!」
全力で殴り飛ばすが、この化け物の蹴りも強力で敗れない。
むしろ筋力では向こうが上なのか、力押しで弾き飛ばされる。
さらに両腕みたいなユニットから、砲撃が連続して放たれる。
一発一発がどでかいクレーターを作る攻撃をかわしながら、俺は慌てて距離をとった。
くっそう! 想像以上にこいつできる!
さっきからドラゴンショットもぶつけているけど、全然効いてねえ!!
「イッセーくん! くそ、こいつら手ごわい・・・っ!!」
「鎧が邪魔で気が通せません・・・っ!」
木場と小猫ちゃんがこっちに来ようとするが、パワードスーツの連中が邪魔をして接近を阻む。
やっべえ、フィフスのやつ本気で俺たちを倒す気だ。
ドラム缶の攻撃も地味にうざいし、この調子だと本当にやばいぞ!?
そのフィフスも、桜花さんとの切り合いをいったん中断して距離をとると、こっちのほうも見て溜息をついた。
「やれやれ、情愛の深いグレモリー連中なら、アーシア・アルジェントにディオドラが仕出かしたことを考えればブチギレるのは当然だが、こりゃ確かに面倒くさいな」
・・・待て、今何を言った?
「・・・待ちなさい、フィフス・エリクシル。ディオドラがアーシアに何をしたですって?」
その言い回しが気になったのか、ドラム缶を吹き飛ばしまくっていた部長がフィフスに問いただす。
その様子をみて、フィフスは不思議そうな表情になった・
「・・・なんだ? もしかして気づいてなかったのか?」
「・・・桜花! 今すぐフィフス・エリクシルを倒しなさい!!」
急に会長が慌て始める。
お、おいおい。いったい何なんだよ。
不思議に思った俺たちだが、それを見てフィフスが突然笑い始める。
「・・・あっはははははははははは!! そうか! お前ら知らなかったのか!? それで宮白兵夜は1人気づいて黙って終わらせようってわけかよ! 仲間想いな奴だなぁオイ!」
腹を抱えてフィフスは笑い転げる。
とっさに桜花さんが切りかかるが、フィフスはそれを器用にかわすと、笑いをこらえながらエドワードンに飛び移る。
「知らないのも可哀想だし、だったら教えてやるのも情けかもなぁ!? ああ、教えてやるよ!!」
さも憐みの表情を浮かべながら、フィフスは俺たちを見下ろした。
「アーシア・アルジェントが教会から追放された件だがな? あれ、ディオドラの仕込みだ」
・・・なん、だって?
Other Side
これは、レーティングゲームが始まる数日前の話。
駒王町にあるパブの一つに、宮白兵夜はアザゼルとソーナを呼び出していた。
呼び出したときにはすでにウイスキーを飲んでいた兵夜は、アザゼルたちを席に座らせて注文を取らせると。一口飲んで喉を濡らしてからこう話を切り出した。
「アザゼル。ディオドラの件、裏は取れたか?」
「いきなり何を言い出してるんだお前は」
唐突にそんなことを言われたアザゼルはそう返すが、兵夜は軽くため息をつくと呆れた風に首を振った。
「禍の団の蛇について知っている奴なら、勘がよければすぐ気づくだろうが」
「なるほど確かに。禍の団が使っているオーフィスの蛇の能力と、ディオドラの能力の上昇は類似してますね」
紅茶とアップルパイをたしなみながら、ソーナもそれに同意した。
現実問題、ディオドラ・アスタロトの戦闘能力上昇は明らかに違和感が付きまとう。
とくに禍の団の蛇による強化をある程度確認している兵夜にしてみれば、むしろ繋げて考えるのが当然であった。
それはアザゼルもわかっていたので、降参したように両手を挙げると息を吐いた。
「・・・参った参った。ああ、大体想像通りだよ。ディオドラは十中八九黒。グラシャラボラス次期頭首の死にも関わっているとみて間違いない」
「タイミングが良すぎるとは思いましたが、やはり彼らが関わってましたか」
その可能性は考慮していたのか、ソーナはむしろ納得している。
・・・禍の団の現主流派は旧魔王派。ゆえに彼らの目的を最優先に遂行しようとするのが道理であり、そのため最優先のターゲットは現魔王たち悪魔業界なのは自明の理である。
そしてディオドラ・アスタロトとリアス・グレモリーが行う予定のレーティングゲームには、各種業界の重要人物が観戦に訪れる予定となっている。
自分たちの目的を遂行するだけでなく、さらに他の勢力の目的となるターゲットにも強襲を仕掛けるタイミングを、やすやす見逃すだろうか?
答えは否だ。
となればディオドラもある程度関与するだろう。
ゆえに兵夜は動く。それだけの理由がある。
「・・・アザゼル。ディオドラの始末は任せてほしい」
「却下だ馬鹿が」
そしてアザゼルは素早くそれを切り捨てる
「なんで将来あるガキどもをこんなところで余計な危機に巻き込まなきゃならない? ディオドラが動いたら避難できる場所は用意してやるから、お前はリアスたちを連れてそこに避難してろ」
「それもありだとは思うがしかしするわけにはいかん。あの腐れ外道にはウチのサーヴァントがお冠なんだ」
そういいながら、兵夜は鞄から紙の束を取り出すと、アザゼルとソーナの二人に差し出す。
「ディオドラの眷属と、奴が家に囲っている女たちの詳細データだ」
「それがどうしたっていうんだよ・・・ん?」
「これは・・・っ」
資料を読み進めていた二人の表情が変わる。
そこに書かれているのはディオドラの女性眷属および、家にかこっている女たちの数々。
別に女性を囲っていることに関しては問題ない。
一夫多妻は冥界では常識の範疇である。自分の眷属を自分の女で固め、ハーレムとしているのもライザーのように普通にいるだろう。さらに人間を誑かして家に囲っている悪魔だって、別に普通にいる。
だが、その構成が問題だった。
「どいつもこいつもやれシスターだやれ聖女? ・・・いくらなんでも徹底的じゃねえか?」
「信仰心深い少女たちを誑かしすことが趣味ということですか。・・・悪趣味ですね」
信心深いものたちを悪魔の道へと誑かし、己の欲望のはけ口にする。実に悪魔というイメージに相応しい悪辣な在り方である。
悪趣味なその嗜好に二人は眉を顰め、そして兵夜の言いたいことが何かということに行き当たった。
ディオドラ・アスタロトは重症を負って、それをアーシア・アルジェントに治療された。
だが、そもそも癒しの力を持つという規格外の聖女が住む教会となれば相応に重要な地点である。
そんなところに傷が残るほどの重症を負った悪魔が入り込むなど、普通に考えてあり得るのだろうか?
しかも、ディオドラは聖女を誑かすことを趣向としている悪魔である。
治療が必要なほどの重傷を負った悪魔が入り込んだ教会に、悪魔をも治療できる少女がたまたまいる。
いくらなんでも、話がうますぎる。
全ての辻褄が合ったのか、ソーナの額に一筋の汗が流れる。
「・・・まさか、意図的に?」
「問題はアーシアちゃんが治療したというだけで追放されるのかということですが、ディオドラが何らかの方法でアーシアちゃんの神器に当たりをつけていたとすれば辻褄は合うでしょう、会長?」
「確かに、しかしだとすればなぜ堕天使に・・・」
タイミング的に微妙に不自然な展開が一つだけ残されるが、状況証拠はあまりにも揃いすぎている。
そしてその不自然なタイミングも、人生経験豊富な堕天使総督は完璧に読んでいた。
「・・・同じく目をつけていて先に取られたか、もしくアーシアがあいつらに神器を抜かれてから助けると決めていたかだな。人助けが原因で不幸のどん底に落とされた聖女が、助けた人の手で救われて・・・だなんて、少女漫画とかでよくありそうな展開じゃねえか?」
「「ああ、なるほど」」
アザゼルの推測に、二人は同時に納得していた。
ありきたりだが分かりやすい展開ではある。
「まあそういうことだアザゼル。・・・アホな理由でアーチャーを呼び出した身としては、アーチャーの鬱憤は可能な限り晴らす義務がある。・・・勝算はあるから協力してくれや」
そういったさらに出した紙に書かれた内容を見て、二人は思わず表情をこわばらせた。
自分の確保したメリットを最大限に生かしてかき集めた、上級悪魔数名の名簿が書かれていた。
さらにディオドラ眷属に対する仕込みのトラップと、偽・外装の聖剣の強化武装もえげつない。
「・・・普通、サーヴァントのほうがリスク背負うもんじゃねえのか? おまえどれだけサーヴァントの安全策考えてんだよ」
「それ以前にコレ、了承が下りるんですか?」
「だからその辺の協力を二人にはお願いしようかなって。アザゼルはどうせ作戦立案に関わってかるだろうし、会長はほら、セラフォルーさまに頼み事できる立場だから。・・・あと作戦に抜けがないかどうか確認してほしくて」
最後に視線を逸らしながら兵夜の本音に、2人は納得した。
確かに兵夜は何事もそつなくこなしているし、グレモリー眷属では作戦参謀として最も優秀である。
が、いかんせんなぜかどこか抜けていることが多い。実際レーティングゲームも戦力判断に致命的なミスがあったせいであそこまで苦戦したと考えるべきだ。
だとすれば、指揮官として優秀なソーナの判断を仰ぐのは妥当だろう。
「・・・はあ、で、アーチャーは今何してんだよ?」
「え? この呪詛礼装の開発に全力注いでるぞ? 決定打にならなくてもいいけど確実に効果は発揮してほしいから、とにかく勘づかれずに飲ませれるように隠匿性重視で強化してもらってる」
サーヴァントも非常に本気なようだ。
アザゼルは少しの間思考する。
若手であるリアスたちを、この禍の団の戦闘に巻き込むのは本意ではない。避けられるのなら避ける手段を取るべきだ。
だが、この作戦を成功させるためにはギリギリまでディオドラを泳がせておく必要がある。少なくともレーティングゲームをスタートさせなければ旧魔王派は動かない。その前にディオドラをとっ掴まえれば、間違いなく奴らは逃げ出すだろう。
それに裏切りを知ったリアスたちが黙ってディオドラを見逃すかと言われるとそれも怪しい。正義感の強く誇り高い上級悪魔であるから、己の手で愚か者に制裁を加えたがる可能性は十分にある。
そんな状況下で兵夜を一緒にいる状況下で兵夜が普通に動いたら、果たしてどうなることか。
「・・・一応言っておくが、このことリアスたちには?」
「言ってる訳ないだろう。アーシアちゃんにこんなことを知られる訳にはいかないし、イッセーやゼノヴィアが知れば、ブチギレたあまり勢い余ってディオドラを殺しかねん。・・・あいつには知っている情報をすべて吐いてもらわないとな」
「お前、敵には本当に容赦ないよな」
あくまで実利を基においており、情けで一切動いてない兵夜の姿に、ディオドラに僅かながらに同情してしまう。
とはいえ完全に自業自得なのでフォローするつもりも毛頭ないが。
「第一・・・」
そして兵夜は、さらにその表情に酷薄な冷たさを浮かべる。
それは、歴戦のアザゼルですら背筋に冷たいものが走るほどの冷たさだった。
「戦闘データ的に、俺が一番、心身ともに完膚なきまで叩きのめせる。勢い余って殺すこともないし、奴に地獄を見せるのは俺が適任だ」
・・・結局、この後作戦をさらに詰め合わせて、兵夜の作戦そのモノは実行することになった。
帰り際に、ディオドラに対して二人が僅かながらに憐憫の情を抱いたのは、2人が心優しい善人だからということにしておいたほうがいいのだろう。
イッセーSide
・・・なん、だって?
「そ・・・んな」
アーシアが、力なく崩れ落ちる。
だってそうだろう・・・だってそうだろう!
なんだよそれ!? アーシアは心からあいつのこと心配して助けようとしたんだぞ!?
それが狙いだった!?
「ディオドラ・・・っ」
部長も心の底からディオドラに怒りを向け、歯を食いしばる。
「聖女やらシスターやら堕としまくったディオドラにとっても、かなり手の込んだ作戦だったようだぜ? レイナーレの奴も物語に必要な愚かな悪役として利用してたみたいだし、まあ本当に哀れだなこれが」
全然全くこれっぽっちも同情してない表情で、フィフスが俺たちを見下ろす。
「まあ恨むならシャルバ・ベルゼブブも恨むんだな。ディオドラにアーシア・アルジェントの能力を教えたのはあの男だ。いやぁ、新旧魔王ベルゼブブ血族なだけあって繋がりがあったみたいだな」
旧魔王派幹部か。テロまで起こしただけでも許せないってのに、さらにアーシアになんてことを!
「ってわけでタイミングいいし出てきたらどうだ? シャルバ?」
フィフスが唐突に後ろに呼びかけ、そして一人の男が姿を現す。
見るからに偉そうな男が、見るからに傲慢そうな表情でこちらを見下ろしていた。
「一応名乗っておこう、薄汚い偽りの魔王の血族よ。我が名は真なる魔王の後継者、シャルバ・ベルゼブブだ」
敵の幹部のご登場ってわけか! やってくれるじゃねえか!
「偽りの魔王の血族はみなすべからく滅ぶべし。まずは貴様たち二人からだ。死んでくれ、速やかに死んでくれ」
そして殺す気満々か!
「卑怯ね、直接魔王さまに手を出さず、先に私たちから狙うだなんて」
「正攻法から勝ち目がない以上、先に関係者を殺して精神的に攻めるのは合理的でしょう。あまり馬鹿にしてはいけませんよ、リアス」
マジギレ状態でにらむ部長と、冷静に嫌味を返す会長だったが、その顔には冷や汗が流れている。
た、たしかレヴィアタンのほうはアザゼル先生が奥の手使う必要になるほど苦戦したんだよな?
それがこの状況で参戦って・・・やばい!?
「一応言っとくが増援はまだ足止め中だこれが。・・・終わりだな、オイ」
勝ちを確信したのか、フィフスが嘲笑いながら槍を突きつける。
くっそ・・・こんなところで!!
しかも見れば、シャルバの後ろの空間からどんどん魔方陣が展開されている。
なんかちっこいのが集まってるみたいだけどアレなんだ?
「では、これで終わり―ッ!?」
突然、シャルバが魔法陣をすべて別の方向に向けて砲撃を放つ。
あまりにもぶっといビームが大量に発射され、しかしそれは同じぐらいの数と威力のビームとぶつかって大爆発を起こした。
「・・・増援だと!? いったいどこから!?」
シャルバが吠える中、そいつは現れた。
・・・青い装甲に身を包んだ、ブレードで出来たような全身鎧。
それはロボットアニメの主人公機みたいなカッコよさの、俺の親友の専用武装。
しかもそいつは、今までにない武装に乗っかっていた。
鎧とワイヤーのようなものでつながっているその武装は、まるで機械仕掛けのエイのような、空を飛ぶ武装だった。
「
「兵夜くんー!!」
フィフスが驚き、桜花さんが歓喜する。
俺だって嬉しいよほんと!
この野郎! どこまでもおいしいタイミングで出てきやがって!!
「・・・人が知られないように一生懸命隠していたことをあっさりバラし、俺の仲間と女と親友に手を出すとはいい度胸だなお前ら」
本気で怒りを表しながら、宮白がシャルバとフィフスを見下ろしている。
鎧越しでもわかる鋭い視線が、2人を射抜いていた。
「・・・アサシンを呼べ。さあ、聖杯戦争を始めよう」
Side Out