自分にとっての「人生」というのは、一体なんだったのか?
今となっては、とうといものなのかもしれない――
信じられないが、これが「現実」なんだと……改めて思い知った瞬間だった。
「……ひいらぎ、り……おん……。俺の、名前が……なんで……」
いや、それよりまず、なんでこの
「っ……。第一、今報道された人物が俺とは限らせれねえ。俺は生きてる。ここにいる。何で死んことにならなきゃなんねえんだよ」
占い師とか、そんな類のこと口に出した瞬間こいつをここでぶちのめす。第一、俺はそういうのを信じちゃいない。
「信じられなくても、事実は事実として『認識』すべき。これはあなたが知らなきゃいけない
「ふっざけんなっ! じゃあ今ここにいる俺は何だ!? 俺が見ているこれはなんだ!? それらすべてが『嘘』であり、本当の俺は死んだとでも言うのか? それこそ、ありえねぇだろ!」
「……嘘じゃない」
……っこの、クソ尼が……――
「じゃあ、一体なんだって言うんだよっ! テメェは一体、なんなんだよ!」
色素のない、白色……いや、どちらかというと、銀色に近い髪をなびかせる少女はこう言った。
「――
「……はぁあ? なんじゃそりゃ?」
「これをみても、まだそんなことが言える?」
少女はどこから取り出したかもわからない物を、それを俺に見せたのだ。
「――っ!?」
しかし、それを見た俺は驚愕した。
少女が俺に見せた物、それは――かつては本当に人間にあったものなのかと疑うほどに、黄色化した人の人骨だったのだ。しかし……、自分が驚いたのはそれだけじゃない。
「……なんだよそれ、なにかのギャグ用にでも使う道具か……な、なにかか?」
ギラリと光る刃――円をつくるかのように大きく曲がる刃は、どう考えても“
「証拠」
「あぁ?」
「あなたが言った『証拠』そのもの提示した。ただ、それだけ」
「………………やっぱ……おか、しい……だろ……」
こんな、街中に近い場所なのに、なんの躊躇も見せずに出すとか……もう、殺人者の領域を超えてる。いや、それくらいなら、手馴れた殺人者でもできるだろう。
問題は、手に持っている人骨……しゃれこうべのほうだ。
黄色されているだけなら、かなり昔に死んだの人骨を掘り当てただけかと思えるだろう。しかし、そのしゃれこうべは、ケタケタと、まるで生きているかのようにカタカタと顎の骨を動かし笑っているのだ。
「人間超えてんぜ……」
信じられない――言葉にすれば何とか簡単なものか、しかし、自分にかかる疑問は、もう言葉に表せないほどに重くのしかかっているのだ。
「信じた?」
彼女がそう言う。
――やっぱり、まだ信じられるわけがない。しかし……トリックだけの話は、とっくに終わっている。それを提示するのが“鎌”そのもの……。だから……、信じなきゃいけない……事実だって……言うの、かよ……
「どんな意見でも、死神の……ワタシ達は、あなたの意見を尊重する。でも、事実を変えることはいくらあなたが意見を述べたとしても、もう二度と変えられることのできない道を、あなたは通ってしまっているの」
「だから、強制的に事実をわかれって……いうのかよ……。それこそ、めちゃくちゃふざけてるだろ……! でも……――」
認めなきゃいけない。そう、彼女が――死神であるあぎり、自分の人生が終わったことを知らしめるには十分すぎるのだ。
だから、俺は思ったのだ。
(自分の人生って、こんなものだったのか……。こんな、わけのわからないところで終わったのか……)
――終われるわけねえだろッ!
自分の中にある何かが爆発し、何かかはじけた。
俺は少女に詰め寄る。
「どこでだ、どこで俺は死んだ!? 俺はどうしたらいい!?」
それは、もう自分の
少女が持っていた鎌、しゃれこうべはいつの間にかどこかに消えていた。
しかし、少女の手は、死というものを震える自分の手をやさしく包んだ。
「……しにがみ、は……人の魂をとるって聞いたことがある……。お前は、俺の魂をとりに着たのか?」
「……ワタシは、あなた強く願った最後の願いに従い、あなたの魂を救いきただけ。死神を悪者扱いしている時点で、あなたの知っていること、全部、違う」