ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

97 / 220
今回は原作に舞台要素を突っ込んでアレンジしてみました
そしていよいよ、彼が全てを取り戻します…


絆と記憶、取り戻す瞬間

「…ハァ。霧切さん、あのタイミングでアレは無いよ…」

「御免なさい。ちょっと…苗木君を独り占めしたくなって…」

「…そう言われると男としては言い返す言葉がないんだけど…」

『つくづく恐ろしい女だ…』

 バーサーカーと化した舞園をどうにか鎮圧し、宥めすかして和解させた後(その際何やら女子同士でよからぬことを企んでいそうではあったがスルーした)、苗木と霧切は寄宿舎二階を調査すべく再び戻ってきていた。

 

「…そういえば、霧切さんももう二階は見てるんだよね?だったらなんでここに…?」

「あなたにも見て欲しいのよ。この先の光景を。そして、その上であなたの見解を聞いてみたいの…」

「僕で良かったらそりゃいいけど…」

 舞園と同じような思わせぶりな態度の霧切に首を傾げながら、苗木は二階へと足を踏み入れた。

 

 

 

 

 

「…!?なんだ…これは…?」

 二階に上がってすぐ苗木の眼に入って来たのは、もはや廃墟と化した二階の様子であった。

 

「…私が来たときには既にこの状態だったわ。おそらく、舞園さんも同じものを見ていた筈よ」

「この惨状…自然に風化しただけじゃあない。人為的に破壊された物…まるで暴動でもあったみたいだ…」

「…希望ヶ峰学園の閉鎖と関係があるとしか考えられないわね」

「ああ…。だが一体、何があったっていうんだ…?」

 瓦礫の転がる道を進みながら、二人はやがてある一室へと辿りつく。

 

「ここは…?」

「…どうやら、学園長の自室みたいね」

「ここが…!?」

 突き当りにあった、妙にこぎれいなままのその部屋は、電子生徒手帳によれば学園長の個室らしい。何かしらの手がかりが無いかと部屋を見渡すと、デスクの上に置かれたノートパソコンが目についた。

 

「これ…、パスワードの入力画面になってるけど…?」

「ええ。何かの手がかりになると思っているのだけど…残念ながら、私には思い当たる物が無かったわ。最も、あまり知りたくもないのだけれど……苗木君?」

 嘆息しながら霧切が愚痴っていると、苗木がふらふらとした足取りでパソコンへと近寄り、ゆっくりとキーと叩き、パスワードを打ち込む。

 

 

…『KYOKO』と。

 

カチッ

ピーッ!ガコッ…

「ッ!?」

 エンターキーを押すと同時にパスワードが解除され、傍の壁が音を立ててずれ、その先に部屋らしき空間が現れる。

 

「あなた…一体どうして…!?」

「そ、それが僕にもよく…ただ、何となく押してみたら偶然開いたっていうか、…これだったらいいな…って思って入力したら合ってたっていうか…」

「…どういうこと?一体、なんでこれが…?」

 呆然とする霧切であったが、部屋の事を放っておく訳にもいかず考えるのは後にして二人はその部屋に侵入する。

 

「これは…本当に隠し部屋って感じだね」

「…あの男らしいわ。なんでも形から入ろうとする…御爺様の言っていた通り子供みたいな男よ」

「ハハハ…ん?これは…」

 と、苗木の眼に入って来たのは机の上にぽつんと置かれた綺麗に包装された箱であった。

 

「…なんだこれ?えらく場違いな…」

「…中を見るつもりなら覚悟しておいた方が良いわよ。あまり見て楽しい物じゃあないはずだから…」

「……」

 霧切の言葉に表情を厳しくしながら、苗木はゆっくりと箱のラッピングを外し、箱を開け中を覗きこむ。そこにあったのは…

 

「…ッ!!人間の…骸骨ッ!?」

 箱の中に押し込められていたのは、生物室の模型なんかではない、本物の人骨であった。

 

「…私の父よ。恐らくね…」

「ッ!?霧切さんの…ってことは、この人が、学園長…!」

「モノクマが言っていたでしょう?『生きてこの学園に入って来たのは16人の高校生だけ』…生きて、ということは、つまりこの学園に私の父がいるとするなら、既に死んでいると考えたほうが自然と見るべきでしょう…」

「……霧切さん」

 冷たい物言いではあったが、憎んでいるとはいえ実の父親の死骸を見せられて平気でいられるわけがない。その証拠に、背を向ける霧切の手はギリギリと手袋が擦れる音が聞こえるほどに握りしめられていた。

 そんな彼女を見て、苗木はせめてもと学園長の躯に手を合わせてその冥福を祈る。…と、そこで骨に混ざってなにやら金属らしきものが入っていることに気が付く。

 

「これは…電子生徒手帳?けれど、なんでこんなものが…」

 躯を傷つけぬよう、丁重にそれを引っ張り出すと、それは苗木達の持っている電子生徒手帳と同じものであることが分かった。しかし、それが普通のものではないことは、電源を入れてみて初めて分かった。

 

「…『学園長専用』?もしかして…霧切さんのマスターキーと一緒で、学園の電子ロックに全て対応しているんじゃあ…!霧切さ…霧切さん?」

 思いがけない学園長の遺産に苗木が霧切を呼ぼうとして、…傍の棚の前で佇む彼女に怪訝な声を上げる。

 

「本当に…どこまでも最低な男…。何もかもを断ち切ろうとした私から、その権利すらも奪おうとするだなんて…本当に、最低…!」

 苗木が覗き込んだ先にあったのは、…幼少期の霧切であろう少女を楽しそうに抱っこする一人の男性が写った一枚の写真であった。彼女がそう言ったのは、この写真を学園長が飾っていたことであろうか、それとも…写真の中で、心の底から嬉しそうに笑う、自分自身のことであろうか。…どちらにせよ、目を逸らす様に写真を伏せてしまった彼女に、その答えを話すつもりはないであろう。

 

「………?」

 そんな彼女を目で追ってどう声を掛けたものかと思案していた苗木は、ふと写真立ての裏に張り付けられたチップのような物に気が付いた。

 

「これは…SDカード?」

「え…?」

 

 

 

 

「…情けないわ。いくら動揺していたからとはいえ私がこんな大事なものを見落とすなんて…」

「まあ仕方ないよ。…さて、何が入っているのやら」

 二人は表に会ったノートパソコンでSDカードの内容を確認する。

 

「…どうやら動画ファイルのようね」

「みたいだね。題名は…『78期生』?これって…僕らの事?」

 首を傾げながらも、苗木はマウスを操作し動画ファイルを再生する。やがて読み込みが終わり、映像が映し出されると

 

ビュンッ…!

『…』

『…』

「ッ!?舞園さん!?それに、この人は…!」

「学園長ッ…!」

 画面に映っていたのは何やら応接室らしき部屋で向かい合う舞園と写真に写っていた男性、学園長であった。

 

『…では改めて確認させてもらう。君には、この学園で一生を過ごしてもらうかもしれない。…それを了承してもらえるかい?』

『…はい』

「ッ!?な、なんだってッ!?」

「どういうこと…?」

『済まない…。私が力不足であったが故に、彼にばかり負担を強いることになってしまい…結局彼を…君の大切な人を傷つけたままこんな状況になってしまった。』

『…気にしないでください。きっとあの人も、貴方がいつまでも落ち込んでいるのを望んではいないでしょうから。だから私はここで待ちます。あの人が戻って来てくれるのを。『希望』が『絶望』を打ち払う時を…』

 …そこで映像は一旦終了し、一瞬画面が暗くなると再び映像が映し出される。

 

ブンッ…!

『…』

『…』

「今度は十神君…!?」

「…どうやらこの様子だと、私たち全員分の映像がありそうね」

 霧切の言ったとおり、十神の映像が終わると次は大和田、腐川、石丸、山田…と、78期生の生徒たちが学園長と対談する映像が次々と再生される。その内容は一貫して、『この学園で一生を過ごす覚悟があるか』というものである。その問いに対して、皆の答えは一様に『Yes』。そして、もう一つ共通しているのが…

 

『アイツに借りを作ったまま、この十神白夜が泣き寝入りなどできるものか…!』

『ここでケツまくって怯えてたんじゃあ、兄貴にも仗助さんにもアイツにも笑われちまうからな…』

『…確かに同門の皆やケンイチロウ殿のことは気がかりではある。だが、ここにあ奴を置いて行ったままではとても皆に顔向けなどできはしない』

 皆がおそらく同一人物であろう、一人の人物の事を気にかけているというものであった。意図的に隠しているのか名前は出てこないが、言動や態度からどうやら負傷して動けないようであり、また皆からかなり信頼されている人物であることを察することができた。

 

「…一体どうなってるんだ?なんで皆してこの学園に留まることを容認しているんだ?」

「それに、会話の端々に出てきた謎の人物…。彼が理由の一つになっているのも気になるわね…」

 映像を流し見ながら、霧切とそんなことを話していると

 

パッ…!

「あ…!今度は霧切さんだ」

「…!」

 やがて霧切の順番がやってきた。

 

『…確認しておくよ。君は…』

『その必要はないわ。私が彼を置いたままここから出るなんて選択肢はあり得ないわ』

『…その言葉、学園長としては嬉しいけれど、…父親としては複雑だな』

『何を今更…。彼に聞いたわよ。元々彼に私のとの仲裁に入ってもらうよう頼んだのは貴方じゃないの』

『そ、それはその…。やっぱり、君と向き合うのが怖くてね…』

『…まあそんなことはどうでもいいわ。…それより、例の下手人の手がかりは分かったの?』

『…済まない。やはりスタンド能力が噛んでいるとSPW財団の協力なしでは限界があってね。なんとか彼が目覚めるまでにできる限りのことはしておきたいんだが…』

『…そうね。これ以上彼に甘えたままでいる訳にはいかない。彼の残した『希望』の火種を、私たちは守らなければいけないのだから…』

『そうだな…』

 

「…なんか思ったより普通の会話してたね」

「見るんじゃなかったわ。今更こんなもの見て…、どうしろっていうのよ…」

「…それにしても、まさかスタンドの事が話題に出てくるとは思わなかったな」

「…そうね。私はスタンドの事は苗木君に教えてもらうまで知らなかった。けれど、この会話を聞く限り私とあの男はスタンドの事を理解したうえで話し合っているように見えるわ」

「以前からスタンドの事を知っていたのか…?だとしたら、どうしてこの学園で皆いきなりスタンドが覚醒したんだろう?………まさか、ね」

 そんなことを呟いていると、霧切の映像は終わり再び画面が暗くなる

 

「えーと…これで13人か」

「あと3人ね。…一人は苗木君、一人は江ノ島さんとして…最後の一人が戦刃むくろかしら」

「だろうね…」

 やがて画面が暗転し、次なる者の顔が映される。

 

パッ

「…あれ?」

 とその時

 

ブツンッ!

 突如パソコンの画面が消える。

 

「あっ!」

「!?」

 いきなりの事に二人が驚いていると

 

「故障です!故障です!」

 ノートパソコンの端子が刺さっているプラグ付近でモノクマが今しがた引っこ抜いたであろうコンセントを振り回していた。

 

「お前ッ!」

「どんな機械にも、いつどんなタイミングであろうとも故障はやって来るのです!何故なら、それが故障だから!」

「ぬけぬけと…!だが、今のではっきりしたぞ!お前としてはこれ以上あの映像を見られると困るんだろう!だから電源を無理やり消して…」

「アー!アー!キコエナイ、キコエナイ!音声さ~ん!」

「あ、待てこら!」

 耳を塞いで脱兎の如く逃げ出すモノクマ。苗木は追いかけようとしたがデータの方が気になったのでイライラを抑えながらもPCを復旧する。

 

「…駄目だ。データが完全に破損している。アルターエゴなら治せそうだけど、学級裁判には到底間に合わないだろうな」

「………」

「けれど、今の反応からして黒幕もこいつの存在は知らなかったみたいだね。だとしたらやっぱり、学園長はいざというときに僕らの力になれるようにこれを……霧切さん?」

「…苗木君、ごめんなさい。少し、一人にしてくれる…?」

 そう問う霧切の表情は、様々な感情が入り混じりつつもどうにかポーカーフェイスを保とうとするあまりより複雑なものになっており、言葉以上に混乱していることが見て取れた。

 

「…分かったよ。今は落ち着いて考えればいい。後の事は良いから、今は…お父さんとしっかり向き合ってね」

「…うん」

 そう声をかけ、苗木は一人部屋を出ていった。

 

 

 

 

 

 

 

 苗木が出て言った後、霧切は父親の遺骸の前に立ち、物言わぬ父に語りかける。

 

「…随分な姿になってしまったわね。一体あなたに、何がったのかしらね……と言っても、答えなんか返ってくるはずが無いわね」

 嘲笑するかの如くそう言葉を投げかけるが、その言葉に応えなどある筈が無い。それに感化されてか、霧切の語調もどんどんと暗く、弱弱しいものとなっていく。

 

「…私は貴方に、一度だって幸せを願ったことなんかないわ。お母様が亡くなって、御爺様と喧嘩して…私を、置いて行ったあなたに、恨みこそあれ恩を感じたことなんて一度もなかった。この学園に来たのだって、貴方を立ち直れないぐらいに罵って、縁を切る為に来たって言うのに………どうして、どうしてあなたは私を愛していたのよッ!?愛していたなら、どうして私を置いて行ったのよッ!?お母様との思い出も、私との時間も何もかも置いて行っておきながら…どうしてあなたは私の事を忘れていなかったのよッ…!そんなの…ズルいじゃないッ…!私がッ…どれだけ、我慢して…費やしてきたのかも知らずにッ…。……お父さんッ…!」

 膝から崩れ落ち、遺骸に縋りついて泣き崩れる霧切。そんな彼女の心の叫びに応える者など無く、部屋には霧切のむせび泣きだけが木霊する。

 

…とその時

 

 

「…霧切さん」

「ッ!?舞園…さん?」

 隠し部屋の入り口に立っていたのは、舞園であった。

 

「…趣味が悪いわね。何もこんな時に来なくてもいいじゃない…」

「ごめんなさい。…でも、アルターエゴちゃんが霧切さんに言いたい事が有るって…」

「…アルターエゴが?」

 なんとか気丈に振る舞おうとするも嗚咽を抑えきれない霧切に、舞園はアルターエゴがインプットされた電子生徒手帳を差し出す。

 

『…こんな時にごめんね霧切さん。でも、どうしても見せたいものがあるんだ』

「…何?」

『さっき苗木君とすれ違った時に、そこのSDカードの事を頼まれて、ついさっきまで修復作業中だったんだけど、…その時に、もう一つ動画ファイルを見つけたんだ!それで、その題名が…『響子へ』って書いてあったんだ!』

「私に…!?」

『今再生するから、パソコンの前に来て!』

 アルターエゴに言われ、二人はパソコンの画面の前に立つ。やがて画面が切り替わり、若干の砂嵐の後に学園長が映し出された。

 

「…お父さん…!」

『…響子。君がこの映像を見ているということは…残念ながら私は既にこの世になく、『絶望』によって世界が破壊されたとみるべきだろう』

「世界が…?」

「何を…言っているの?」

『だが響子、決して『希望』を捨ててはいけない。前に苗木君が言っていたよ。…『希望と絶望は表裏一体。絶望があることで、人は初めて希望の存在を感じることができ、また希望を信じることで、闘うべき絶望を知ることができる。『絶望』に屈しない限り、『希望』もまた消えることは無い』と…。今君たちがどれほどの『絶望』と相対しているのか、私には知る由はない。だがこれだけは言える。君たちは、この世界の『希望』そのものなんだ。だからこそ、君たちが『絶望』さえしなければ、どんな困難だろうと必ず乗り越えられるッ!私はそれを、苗木君を通して改めて実感できた。だから今度は私が君たちにこの言葉を贈らせてもらう。…『希望』は、前に進むんだッ!!…響子、君は私の…最後の『希望』だ。父親として満足なことは出来なかったが、…どうか、幸せに…』

 

 

『…映像は、これで終わりだよ』

 アルターエゴの言葉にも、霧切は何の反応も示さない。

 

「…あの、霧切さ…」

「…勝手な男よね。勝手に居なくなって、勝手に死んで…それで人の気も知らずにこんなものを遺して…何故あんな男から私が生まれてきたのか、見当もつかないわ…」

「……」

「…でも、少し分かった気がするわ。どうしてお母様が、お父さんを好きになったのかが…」

「…!」

「少し釈然としないところはあるけれど…今はあの人を…父の言葉を信じるわ。あの人が私を『希望』と呼ぶのは勝手だけど、…私は私の『希望』の為に、生きて、闘うだけよ…!」

「霧切さん!」

「…気を遣わせたわね、舞園さん、アルターエゴ。礼を言わせてもらうわ」

『ううん!僕は霧切さんの役に立てただけで嬉しいよ!』

「ええ。今あなたが闘う意志さえ捨てていなければ、私はそれで充分です。…一緒に生き残りましょう!苗木君と…みんなで!」

「ええ…!」

「…あ、でも苗木君はあげませんからね!」

「フフ…それはどうかしら?」

 父の言葉を胸に秘め、霧切は再び立ち上がる。今は亡き父の無念を晴らすために、父の『希望』を絶やさぬために。

 

 

 

 

 

「…うぷぷ、良いこと聞いちゃった!これで霧切さんはどうにかなるかもね!うぷぷぷ~!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、苗木は二階のまだ出入りできそうなところを手当り次第に探っていた。

 

「…予想は出来たけどホント崩壊が酷すぎて何も分からないや。けど見たところどうやらここは教職員用の生活区域も兼ねてたみたいだな。…残るはあの部屋か」

 特別収穫もなく、苗木は最後の場所となる部屋へと立ち入った。

 

「ここは…ロッカールームかな?誰のかは知らないけど…」

 その部屋は特別何の変哲もない、ただロッカーが置かれているだけの部屋であった。…しかし、部屋には異常はなくともそのロッカーは普通ではなかった。

 

「なんだこれ…?ところどころ鉄板が打ち付けられてる…これじゃあ開けられないのに…?」

 そう、ロッカーのいくつかには、教室の窓のものと同じような鉄板が打ち付けられており、外からでは開けられない様になっていた。

 

「…しょうがない、無事なところから調べるか。ロッカーの主には悪いけど…。えーと、これは電子ロックかな?とするとどこかに鍵が…あ、待てよ?」

 と、苗木はふとポケットから電子生徒手帳…先ほど見つけた学園長仕様の物を取り出してロックにかざす。すると、ピーッ、という電子音と共にロックが解除される。

 

「やっぱりこれはここにも有効だったみたいだ。…じゃあ、申し訳ないけど中を拝見…」

 やや控えめに苗木がロッカーを開ける。すると…

 

「うわ汚ッ!」

 中はまさにゴチャゴチャという言葉がぴったりな程に物が溢れており、本から衣類から用途すら不明なものまで物で溢れかえっていた。

 

「なんだこのロッカー…まるで片付けようという気概が感じられないぞ。よっぽどいい加減な人の……え?」

 と、苗木の眼がロッカーの隅にあった一冊のノートの表紙に釘付けになる。

 

「これ、は…?」

 そのノートの表紙には、とてもこんなロッカーの主とは思えないほどのきれいな字で名が書かれていた。

 

 

…葉隠康比呂、と。

 

「葉隠君…?ってことは…!」

 思わずロッカーの中を念入りに見渡してみると、中の物にはある特徴が見て取れた。…中央にでんとおかれた水晶玉、占い関連のグッズや本、オカルト雑誌の数々、そのどれもが、葉隠が好みそうなものばかりであった。

 

「これは…葉隠君のロッカーなのか!?でも、なんでこんなに物が…?ここが解放されたのはついさっきなのに…」

 信じられないといった様子で苗木は葉隠のノートらしきそれを開き、中を流し見する。ところどころ落書きが有ったり、空白が多い部分もあったが、見る限りどうやら授業の内容を書き取ったものらしい。しかも、内容からして、中学レベルのものとは思えない。

 

「…これが葉隠君自身が書いたものだとするなら…、僕らは既に…。…と、とにかく他のロッカーも見てみよう!」

 以前から考えていた余りにも荒唐無稽な推理がだんだんと現実味を帯びてきたことに冷や汗を掻きながらも、苗木は確証を得るために次なるロッカーを開ける。

 

「…今度は逆に殆どものが無いな。使った痕跡すらない、よっぽど無頓着な人のロッカーなのかな…」

 次に開けたロッカーは先程と対照的に殆ど何も物が入っていなかった。しかも、全部片付けたという風でもなく新品同然な内装なところから殆ど使われなかったとみていいだろう。そんなロッカーに唯一入っていたのが…

 

「…これは、手帳…かな?名前は書いてないな…」

 どこか古めかしい表紙の手帳だけであった。ビジネスマンが使うのとはまた違い、まるでドラマの中で探偵が使うような革張りの立派な手帳であった。

 

「さて、中身は…と」

 先の事もあってか、持ち主の手がかりを知る為に中を開く。しかし、中のページは殆ど真っ新なままであり何も書かれていないようで……と、手帳のちょうど中間のページにぽつんと書かれていた文字が苗木の眼に留める。

 

「…どういうことだ?」

 そこに書かれていたのは、こんな内容であった。

 

 

『希望ヶ峰学園シェルター化計画。学園をシェルター化し、生徒を隔離させそこで共同生活を送らせる計画』

 

『絶望は、二人いた。私たちの中に、紛れ込んでいた。その二人こそが、全ての元凶。『超高校級の絶望』と、『もう一人』。守らなければ、彼を。私たちの、人類の『希望』を…』

 

「…『希望ヶ峰学園シェルター化』に、『超高校級の絶望』、だって?そいつが、この事件の元凶、黒幕…!でも、『二人』って、どういうことだ…?ディアボロの二重人格のことを指しているのか?けどそれにしてはニュアンスが…最初から、黒幕は『二人』だったのか?もしかしたら大神さん…?けれど、大神さんが黒幕の手先になったのは殺し合いが始まってから、この文が示している人物とは考えにくい。とはいえ皆の中にもう黒幕とつながっている人なんて……途中で切り捨てた?だとすれば、もう一人は死んだ誰か…?……ああッ!訳が分からなくなってきたッ!」

 謎が謎を呼び、様々な憶測が交差し合って苗木の脳の処理限界をどんどん圧迫する。

 

「と、ともかく…これで分かったことは3つ。この学園は何者か…おそらく学園長によってシェルター化される予定だった。そして黒幕は最初から『二人』いた。それがディアボロの事を示しているのか他の誰かかは分からないけど、とにかくもう一人『共犯者』がいたんだ。その二人がこの計画を利用し、この環境を創り上げた。そしてもう一つ、その内一人の異名は『超高校級の絶望』…つまり、希望ヶ峰学園の生徒かもしれないということだ!」

 自分に言い聞かせるようにそう言って、苗木はそこで考えるのを止めた。

 

「さて、次のロッカー…といっても、もう塞がれてないのはこれだけか」

 次のロッカーを開けようと見渡すが、もう残りのロッカーは鉄板によって塞がれてる状況であった。もうこれでは手の出しようが無かっただろう。…以前の苗木であれば。

 

「仕方ない、ちょっと荒っぽいけど…」

 そうぼやくように言って、苗木は手近なロッカーに歩み寄り、扉を塞ぐ鉄板に手を掛けると、

 

「…WRYYYYYYYAAAッ!!!」

 気合一喝、雄叫びと共に力を込めて鉄板を引っ張る。今の苗木指圧力破壊度数は推定235㎏/㎠、コンクリート程度であれば握り潰せるほどの力である。頑強に打ち付けられた鉄板であったが、流石にこれほどのパワーは想定していなかったのか、ギギギという鈍い音と共に鉄板が引きはがされた。

 

「ハァッ…ハァッ…。ど、どうだ…やってやったぞ、ハハハ…。…何言ってんだろ僕は。さて、調査調査…」

 高揚したせいからしくないことを言ったことに恥ずかしくなりながら、苗木はロッカーを開けて中を調べていくのであった。

 

 

 

 …それからしばらく経って、

 

「…さて、あらかた中を調べたけど…これは本当に洒落じゃ済まなくなってきたな」

 苗木はあれ以降も鉄板を力づくで引きはがし、ロッカーの中身を点検していった。そして出てきたのは、どれも誰かを連想させるものばかりであった。

 

「…帝王学の本、文学小説、バイクのカタログ、政治の本、漫画の器材、電子工学系の本、ファンレターらしき手紙、トランプにチェス、秘伝書って書いてある巻物、ドーナツショップの優待チケット、グローブとボールにバット、山積みのレーション、モノクマ柄のヘアゴム…後半二つはともかく、残りはどう考えても皆の私物としか思えないよ…」

 次々出てくる信じがたい物ばかりに混乱しつつも、苗木はいよいよ最後のロッカーに手を掛ける。

 

「…この様子だとこのロッカーの持ち主は多分…とりあえず、開けてみるかッ…あああッとッ!!」

 最後のロッカーを塞いでいた鉄板を引きはがし、苗木は鍵を開けて中を見る。そこにあったのは

 

「ッ!?…コートと、ボストンバッグ?」

 少し埃を被っているものの、綺麗に手入れされた黒いロングコートとボストンバッグが鎮座されていた。

 

「ただの私服…?けど、なんだ…?これを見た時に感じた、どこか懐かしいような感じは…」

 首のところにパーカーのようなフードの付いたそのコートを手に取った苗木は、ふとコートの背中に何かが描かれていることに気が付いた。

 

「…これは」

 そこに描かれていたのは、矢じりの模様を持ったテントウムシ。それがあたかも太陽が昇るかのように地平から顔を出している。そんな絵柄と…

 

ズキンッ!

「あ゛ッ…!」

ズキンッ…!ズキンッ…!ズキンッ…!」

「この、痛みは…!」

 これまでにない頭痛に顔を歪めながら、苗木はその絵の下に書かれた文字に目をやる。そこに書かれていたのはイタリア語であったが、苗木にはその言葉を理解することができた。その言葉は…

 

 

 

 

 

 

「…Passione、パッショーネ…」

 

 

 

 

キィィィィィンッ!!!!

「ッ!!?あああああああああああああッ!!?」

 突如として今までとは異なる頭痛に見舞われ、苗木は思わず膝を着いて悲鳴を上げる。

 

「ああッ!あ…ああああああああッ!!?」

 先ほどまでの鈍痛とか異なる、頭の中がかき回されるような痛み。それと同時に、苗木の脳裏に次々とビジョンが流れ込んでくる。

 

 

『ブチャラティ、僕はあなたをボスにする。今のボスを倒し、あなたを新たなボスにする』

『…賭けよう、お前の気高き覚悟と、その黄金のような希望に…』

 

(なんだ…これッ!?僕は、こんな記憶、知らな…)

 

『ブチャラティッ…!僕は、アンタに、何も…ッ!』

『気にするな、苗木…。そうなるべきだったところに…戻るだけなんだ。元に戻るだけ、ただ元に…』

 

(…違う。僕は知っていたんだ。この記憶を…これが、僕が失くしていた…記憶)

 

『…なんつーか、うまく言えねーけどよ。…お前のこと、ダチって呼んで…いいかな?』

(…桑田君)

 

『兄貴に会う前に越えなきゃなんねー壁が増えちまったな。テメエっていう、でっけえ壁がよ…』

(…大和田君)

 

『僕は体は弱いけど…心だけでも、強くあれるよう頑張るよ!大和田君みたいに、…君みたいに!』

(…不二咲君)

 

『僕が表を、君が裏を、それぞれより良い方向に導いて行けば、きっと未来は明るいさ!共に明るい未来を築いて行こうじゃあないかッ!』

(…石丸君)

 

『いつの日かきっと、あなたの心を堕としてみせますわ。それが安広多恵子の、一世一代のギャンブルですわ』

(…セレスさん)

 

『僕は宣言するッ!いつの日か必ず、君を題材にした漫画を描いてみせるッ!その時に僕はこう書くんだ、…これは、僕の大切な友人の青春を綴ったものだとね!』

(…山田君)

 

『我がケンイチロウ殿と出会わなければ…きっとお主に心惹かれていただろうな。もっとも、ケンイチロウ殿がいたから、お主と出会うことができたのだろうがな』

(…大神さん)

 

『苗木っちと俺は一心同体だべ!苗木っちの未来は絶対に正しい!この占いは100パー当たる!…てなわけで苗木っち、俺の借金返すの手伝ってくれ~!』

(…葉隠…君)

 

『あ、アンタがいないと白夜様が人生に張り合いが無くなるっていうのよ…。だから、死んでも白夜様の…私の前からいなくなるんじゃないわよ』

(…腐川さん)

 

『いいかよく聞け苗木!貴様がナンバー2、俺がナンバー1だ!それこそが世界の在るべき形なのだッ!だから苗木、お前はこの世界に必要な人間だ!この十神白夜が保証してやるッ!』

(…十神君)

 

『私ね、苗木とだったら…もっともっと楽しい気持ちでいられるっていうか…いつまでも、お婆ちゃんになってもずっと一緒に居たいっていうか…どんな形でもいい、私、苗木と一緒に生きたいなって…そう思うんだ』

(朝日奈さ…葵)

 

『例えどんな事が有っても、誰が反対しようとも、私はこの気持ちを偽るつもりはありません。…舞園さやかは、苗木誠を愛しています』

(舞園…さやか)

 

『…あなたがいるから、私がいる。きっと私の今までの人生は、あなたと出会うためにあった。そう思う…そう思いたいの。だから誠君、いつまでも、隣に居て頂戴…』

(響子…)

 

『…苗木君のいない世界なんて、きっと私には耐えらえない。だから苗木君、あなたがいる世界だけが、私の居場所なんだよ』

『私とアンタは黒と白、決して混ざり合うことのないオセロのリバーシブルみたいなものなんだよ!…だから、相容れないけど離れもしない。そーいうことだから、私様から逃げられると思わないことだね!ヒャーヒャッヒャ!』

(むくろ、江ノ島さん…そうだ、彼女たちがいたから…全てが始まり…全てが終わったんだ)

 

次々と浮かんでくる友との思い出、愛した人への想い。そして…最後に浮かんできたのは、あの最後の闘い。

 

『何故だ…何故君がここにいるッ!?』

『無論、知るためです。『希望』と『絶望』、この世界の本当の在るべき姿がどちらかなのかということをね』

 

『無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!!』

『オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!』

 

『油断…大敵…ですよ。苗木、誠…くん』

 

『みん、な…ご…め、ん…』

 

 

 

 

 

 

 

 

キーンコーンカーンコーン…

 

『…物事には、始まりがあって、終わりがある。そんなことは誰でも分かっているのです。けれど、君の思っている終わりは、本当に全ての終わりなのかな?ひょっとしたら、それは読点どころか句点程度の終わりでしかなくて、その先に君の知らない続きが広がっているのかもしれない。そう思うと、すっごく損した気分になるよね?…だったらさ、終わりなんて最初から無い方が良いんじゃあないかな?終わりが無いのが、終わり…そんな世界があったらいいな…。では皆さん、何時ものエレベーター前にお集まりください。いよいよ始めましょう、本当に最後の、学級裁判を!うーっぷっぷっぷ!』

 

 …どれほど時間が経ったであろう。モノクマの捜査時間の終わりを告げるアナウンスが、蹲っていた苗木を再び揺り動かす。

 

「…そうか、そうだったんだ。山田君は正しかったんだ。僕らは、ここで出会う以前から出会っていたんだね…。…ああ、もう迷いはないさ。終わらせよう、この悲劇の全てを…!」

 ボロボロのシャツとズボンを脱ぎ捨て、苗木はバッグの中の衣服を身に纏う。ところどころにテントウムシの意匠を施した黒の上下を着こなし、彼の今の自信を表現するかのように上着の胸元を晒し、掛けてあったロングコートを羽織う。

 

「…よし、行こう!」

 そう力強く宣言し、苗木は裁判場へと向かう。すべてに決着をつけるために。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一方、裁判場へと向かうエレベーター内には既に苗木を除いた面々が揃っていたが、その空気はどうにも異常であった。

 

「……」

「……」

「……」

「……」

「…え、と…?」

「どうしたのかしら、皆…?」

「ね、ねえ皆?なんでそんな怖い顔してるの…?」

 異常な雰囲気に戸惑う舞園、霧切、江ノ島の眼前では、葉隠、朝日奈、腐川、十神がどこか疑心暗鬼めいた眼差しで他の人間をちらちらと見渡していた。

 

「…いつまで待たせるつもりだ、さっさと向かえばいいものを…!」

「ま、まだ苗木っちが来てねえべ…」

「…苗木、嘘、だったの…?なにもかも、皆…そんなのッ…」

「…あ、アイツまさか逃げたんじゃあ…」

 

「…誰が逃げたって?」

「…!遅いぞなえ…」

 と、そこまで言いかけて十神の口が止まる。いや十神だけではない。その場の全員が、ポカンとした表情で遅れてきた人物を見やる。

 

「…?どうしたの皆?そんな変な顔して?」

 やって来た苗木の様子は、先ほどまでとは全く異なる風貌であった。血とごみ溜めの汚物で汚れたシャツとズボンはどこへやら、黒のパンツとシャツジャケットに身を包み、その上から見慣れないロングコートを羽織って登場した苗木は、一切の迷いのない顔つきでどこか輝いてすら見える…そんな様子であった。

 

「えっと…苗木っち、だよな?」

「そうだけど…今更どうしたのさ葉隠君?」

「でも、その服…」

「ああ、コレ?ロッカールームで見つけたんだ。あのままじゃあ恰好がつかないし、…なによりこれは僕の服だからね。僕が着ていることになんの問題もないよ」

「…お前のだと?」

「…苗木君、あなた…一体?」

「…大丈夫だよ、きょ…いや、霧切さん。もう大丈夫だから…」

「…?」

『おい、苗木…本当にどうしたんだ?』

 舞園の後ろから怪訝そうにそう声をかける『S・フィンガーズ』に、苗木は懐かしそうな視線を向け、穏やかにこう言う。

 

「…心配はいらないよ、『ブチャラティ』。僕は、大事なものを、取り戻しただけだから…」

『ッ!!?おい、今お前…!』

『俺のことを、ブチャラティと…』

『ってことは…思い出したのかよぉーッ!?苗木ィーッ!』

「ああ、そうだよ『アバッキオ』、『ナランチャ』。思い出したよ、なにもかもを、ね…」

 苗木の言葉に歓喜するスタンド達に皆が呆気にとられていると、ふとその事実に気づいた霧切が声をかける。

 

「思い出したって…苗木君、もしかして記憶を…!?」

「ああ…。思い出したよ、失っていたものを、そしてこの世界の事も…」

「世界だと…?おい苗木、それはどういう…」

「…悪いけど、話は下に行ってからだ。彼女も交えて、全てをはっきりさせる必要があるからね…」

「彼女…?」

 釈然としない皆を余所に、苗木が乗ったことでエレベーターはようやく動き出す。静かに下降していくエレベーターの中では、先ほどまでの悪い雰囲気の余韻が残ってはいるものの、変貌した苗木の事の方が気になるあまり皆互いに疑いの目を向けあうほどの余裕はない様子であった。

 

 

 そして、いつもよりやや長い移動時間の末、エレベーターが止まりドアが開かれる。

 

 その先にあったのは、何時のも裁判場とはやや様子の違う、地下空間に無理やり誂えたかのような簡素な造りの裁判場が存在していた。

 

「やあやあ皆いらっしゃい!今回は最後の学級裁判ということで、特別にこんな趣向を…あら?」

 待ち構えていたモノクマが皆に声を掛けるが、先ほどと様子の違う苗木に思わずきょとんとする。

 

「…苗木君、そのイカすファッションどうしたの?君そんな着替えなんか持ってなかったよね?」

「…何を言ってるんだ?」

「はあ?」

「どうしたも何も、これは僕の服じゃあないか。元からあったものだよ、…そう、ずっと前からね」

「…!」

 その言葉から何かを察したのか、モノクマはしばし無機質な瞳で苗木を見つめ、…やがていつもと同じようで、どこか愉悦を孕んだ笑い声を上げる。

 

「…うぷぷ。そうか、やっと全部思い出したんだね?…いいよいいよ、最後はやっぱりそう来なくっちゃね!これでやっと『フェア』な勝負ができるというものだよ!うぷぷぷぷ!」

「言ってろ…。終わらせるぞ、全てを…!」

「さあ?終わるのはどっちかな?うぷぷぷぷ!」

 互いに意味深な会話をする苗木とモノクマに若干置いてけぼりを喰らいながら、皆はそれぞれの席に着く。

 

「…では、いよいよ始めましょうか!本当に最後の、学級裁判!『絶望』と『希望』の未来を決める、大一番の始まり始まり~ッ!!」

 

 

 

 そしていよいよ幕が開ける。

 

 

 

 

 

 コロシアイ学園生活の、最後の闘いの幕が。

 




最初に言っておく!
最後の学級裁判、原作の面影が残っていないッ!…というかほとんど推理していないッ!
それでもよろしい方は次回をお楽しみください

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。