キーボは…なんというか、まさしく「ポンコツ」というか…。アトムみてーな設定してる癖にちっとも有能スメルがしないですね。どっちかっていうとマスコットに近いのかも…
ゴン太君は狼に育てられた性なのか、やたら「紳士」にこだわってましたね。…早死にしそう。昆虫学者って肩書も生かしどころが難しそうだし…。でもいい子だよね(確信)
そしてつむぎちゃん…。ハルマキちゃんが危ない!一見小泉みたいに自分のポリシーを大事にするタイプと見せかけて、黒髪赤目至上主義の欲望に打ち勝てずハルマキちゃんを強制的にコスプレショー…フィーヒヒヒヒヒ!あると思います!
ついでにモノスケ…濃い。以上
そしてジョジョ4部もいよいよ佳境。いよいよエンドレスなモーニングが始まる予感…。ここから隼人がかっこいいので、サトリナさんの演技に期待したいですね。森川さんは言うまでもないですけどね!今回の吉良スゲーよかった…。まさしくサイコパスって感じが出てましたね。
…ポケモンとデュエルリンクスで時間がゴリゴリ消えていく…。ソシャゲなんかするんじゃあなかったかな…?
「オーッホッホッホ!待っていたわよ、ジョースター共!」
階段の上から聞こえてきた高笑いに苗木達が見上げると、何時の間に居たのか2階の廊下に褐色肌の美女が立っていた。
「…誰だ、テメエは?」
「ああ、そういえば貴方と会うのは初めてだったわね、空条承太郎。…私の名は『マライア』。『エジプト9栄神』の一柱、『バステト女神』のスタンド使いよ」
「エジプト9栄神…!?ンドゥールの仲間か…!」
「…そういえば聞いたことがあります。承太郎さん達がエジプトを旅していた時、承太郎さん達が『セト神』のスタンド使いと戦っている裏で、ジョセフさんとアヴドゥルさんが戦っていたというのが、『バステト女神』のスタンド使い…!」
「ということは…『敵』ってことでいいんですね?」
「おや、思ったより博識のようね。流石は『あのお方』のご子息なだけはあるみたいね」
「あ、あのご婦人は…?」
「気をつけてくだせえジョースターさん!奴はきっと『異変』の元凶が送り込んだ『刺客』だぜッ!」
警戒する苗木達を見下ろしながら、マライアは余裕たっぷりに階段を降りてくる。
「うふふ…!さっきの戦いは観させてもらったわ。噂に違わぬ強さというべきかしら?…でも、残念ね。あなた達の旅はここで終わりになるのだから!」
「…お言葉を返すようですが、あなたの方こそ『残念』なんじゃあないんですか?」
「はぁ?」
余裕の笑みを浮かべる苗木の言葉に、マライアは眉を顰める。
「貴女の『スタンド能力』は既に『把握済み』です。タネが分かっている以上、あなたのスタンドはなんの脅威にもなりませんよ!」
「…ッ!」
「苗木、彼女の能力を知っているのですか?」
「うん。…彼女のスタンド、『バステト女神』の能力は『自身に触れたものに磁力を与える』というものです。スタンド自体は『コンセントプラグ』のような見た目をしていて、敢えて不自然な場所にそれを置くことで相手に触らせるのが彼女の手口だそうです。…なので、スタンドに触れさえしなければ能力にかかることはありません」
「コンセント…?」
「…まあそもそも、『この時代』にはそんなものはありませんから、それさえ分かっていれば問題ないんですけどね」
「成程な…。つまり、コイツが余計な事をする前にブチのめせばいいってことだな?」
「…その通りです承太郎さん、シンプルで実にいい」
承太郎、苗木、ジョルノはマライアへと向き直る。スタンド能力の仕組みが分かった以上、マライア以外に注意を向ける必要はない。ただひたすらに、正面の敵を叩きのめす。それだけのことであった。
「…うふふ。成程、『あのお方』が気に掛けるだけの事はあるようね。恐ろしく合理的で用意周到…敵に回したくないタイプね」
しかし、そんな状況にあってもマライアは余裕を崩さなかった。
「…まあ男としては、『身長』以外は合格点ってとこかしら?」
「…ぶっ殺す」
「苗木、落ち着いてください」
「…分かってます、ええ分かってますよ…!そりゃ見れば分かりますからね、人の欠点貶すなんて基本ですから、この程度の嫌味ぐらいなんともないですとも…!」
「…どうやらコンプレックスだったようですね」
幼いころからの自分の『悩み』を堂々と貶され、流石の苗木もカチンときてしまう。…最近あまり言われなくなったとはいえ、身体測定のたびにがっかりしてきた過去はそう簡単には振り切れなかったのである。
「あら、気にしてたのかしら?それはごめんなさい。…フフ、けれどね…私も何も『準備』をしていなかった訳じゃあないのよ」
「何…?」
「あなた達ジョースターの一族の『弱点』は、既に把握しているのよ…!」
「弱点だと?」
「…ジョジョッ!」
「「ッ!?」」
マライアの後ろから聞こえてきた声に、ジョナサンとスピードワゴンが驚愕に目を見開く。
「そ、その声は…ッ!」
「ま、まさか…まさかそんな…ッ!?」
信じられないという気持ちの二人を嘲笑うかのように、その声の主は姿を現した。
「ジョジョ…!お前がこれほど愚かだったとは思わなかったぞ!」
「つ…ツェペリさん!」
怒りの表情でジョナサンを睨みつけるのは、ジョナサンの波紋の師であり行方不明になっていた筈の『ウィル・A・ツェペリ』であった。
「つ、ツェペリのおっさんッ!なんでアンタがここに…」
「だまらっしゃいッ!…ジョジョ、私は失望したぞ。私が教えた波紋の力で、よりにもよって『あのお方』の邪魔立てを企てるとは…。私はお前に波紋を教えたことをこれほど後悔したことはないッ!」
「何を…何を言っているのです、ツェペリさん!」
「…誰だ、アイツは?」
「おそらく、ウィル・A・ツェペリ氏です。ジョナサンさんの波紋の師であり、日向君のご先祖様に当たる人物です。…ジョナサンさん、なにを言っても無駄ですよ」
「苗木…!?」
「おそらく、あの人もフーゴのように何者かに操られているのだと思います。…ああなってしまった以上、会話による説得は不可能でしょう…」
苗木の言葉を肯定するように、ツェペリの体から『黒いオーラ』が噴き上がる。
「うふふ…。お前たちジョースターの連中は『仲間』を見捨てられない…。それがお前たちの『弱点』なのよ!さあ…お前たちはその手で仲間を傷つけることができるかしら?」
「ジョジョ…せめてもの情けだ。お前のその愚かな選択を、この私の手で終わらせてやろう!」
「チッ…やるしかねえみてえだな」
「ま、待ってくれッ!ツェペリのおっさんは操られているだけなんだ!だから…」
「しかし、やらなければやられます。…どうやらスタンド使いではないようですが、躊躇する訳にはいきません」
「クッ…!」
恩師から向けられる殺気に本気であることを理解しつつも、ツェペリと戦うことにジョナサンやスピードワゴンはどうしても躊躇いを憶えてしまう。
『…だったらさー、アタシに任せときな』
「「「「「ッ!?」」」」」
ドヒュン!
突如割って入った声とともに、亀の中から江ノ島が飛び出してきた。
「あー…むさ苦しかった!ヤローばっかで全然華がねーんだからよこの亀の中!」
「え、江ノ島さん!?」
「お、おい嬢ちゃん!何の真似だ!?」
「だからさー、アンタらがやり辛いってんならアタシがやってやるって言ってんのよ。…ったく、わざわざ日向押しのけて出てきてやってるんだから察しろっての」
「…なんだってわざわざオメーが出張って来た?その意味が分からねえ」
「まーまー。…要するに、ちょうどいい具合にボコボコで済ませりゃいいんでしょ?だったらアタシの『得意分野』だって。苗木なら分かるっしょ?」
「…そうだね。…で、本音は?」
「いい加減ROM專飽きた」
「だろうね…じゃあ、任せるよ」
「おっけー!」
「し、しかし…ッ」
「大丈夫ですよジョナサンさん。…こういう時の江ノ島さんは、信用できます。彼女は、こんな程度の『絶望』なんかじゃ満足しませんから」
「『絶望』…?」
首を傾げる一同を尻目に、江ノ島は自信満々で一人でマライアとツェペリの前に立ちはだかる。
「…なんのつもりかしら?」
「察しが悪いなーオバサン。アンタら如きアタシ一人で充分だって言ってんのよ」
「オバッ…このクソガキッ!」
「…御嬢さん。冗談は程々にしておいてほうがいいぞ。私もできる限り女性には手を上げたくはないが、そいつらの味方をするというのでれば容赦はせんぞ…!」
「ん~…ぶっちゃけ、アタシは『どっち』でも良かったんだけどねー」
「はぁ…?」
「ちょっと前のアタシならー、むしろアンタらの言う『あのお方』とやらの方についてちょっかいかけてたかもしれないけどさー。…一応『惚れた弱み』ってのがあるしさ、精々調子乗ってるアンタらをコケにしてその『絶望面』拝むぐらいで勘弁してやろーかなー?…ってね」
「…好き勝手言ってんじゃあないわよビチグソがぁッ!いいでしょう…身の程というものを徹底的に教えてあげようじゃあないの!」
「気は進まんが…『あのお方』の障害と成るのならば誰であろうと排除させてもらう!」
大口をたたく江ノ島に頭にきたマライアとツェペリが迫る。それを前に、江ノ島は緊張した様子もなく不遜に胸を張る。
「えー、大変長らくお待たせしました!これより私による私の私の為だけの『ワンマンショー』を開始いたします!お相手を仕られるのは『行き遅れ』のケバババアとイイ年こいてフェミニスト気取りのちょび髭オッサンになりま~す!」
「…コロス!」
「ちょび髭…」
「お…おい苗木!あのお嬢ちゃん大丈夫かよ!?あんな挑発しちまってよ…」
「大丈夫ですよ。…それより、ジョルノ君」
「?」
「あらかじめ言っておくけど…彼女の『スタンド』を見ても殴り掛かったりしないでね」
「え?」
「…そして主役は勿論この私!表の顔は世界中のティーンズの憧れ『超高校級のギャル』、…しかしてその実態はかつて世界を『絶望のどん底』に叩き落そうとした『超高校級の絶望』、その名は…江ノ島盾子ちゃーん!そしてこれが私のスタンド…」
ドギュゥンッ!
「ッ!?な…ッ」
「『キ~ング…クリムゾォーン』ッ!!」
江ノ島の背後に現れたスタンド、かつて自分がディアボロと共に葬り去った筈の『キング・クリムゾン』の存在に、ジョルノは思わず絶句する。
「あれアイツのスタンドか…」
「ば…馬鹿なッ!あれは…間違いなく『キング・クリムゾン』ッ!だが、アレはボスと共に…」
「あ、やっぱりそういう反応なんだ…」
『この時代』では名前も知らない承太郎とは対照的に、普段の冷静さをかなぐり捨てて動揺するジョルノを尻目に、江ノ島は悠然と二人を迎え撃つ。
「さあいらっしゃい…!この私様が直々に遊んでやろう!」
「ザケてんじゃあ…ないわよッ!これでも喰らいなッ!」
「波紋カッター!」
マライアが懐から『釘』を一掴み抜出しそれを投擲し、ツェペリは得意技の『波紋カッター』を放つ。
「…『墓銘碑(エピタフ)』ッ!」
…それが実行されるよりも前に、その光景が江ノ島の翻った『ツインテールの髪』に浮かび上がっていた。
「ザケてんじゃあ…ないわよッ!これでも喰らいなッ!」
「波紋カッター!」
そして一瞬遅れて、二人がその攻撃を放つと同時に
「キンクリ!」
ガガガガッ!
『キング・クリムゾン』の拳がその軌道を正確になぞる様に弾き返した。
「な…ッ!?」
「馬鹿な…なんという反応だ…!」
「ふむふむ…成程ね~。こいつらは『そういう』攻撃をしてくるってワケね」
驚く二人に対し、江ノ島は攻撃などまるで眼中にないかのように二人と自分の髪に映った『エピタフ』の光景をじっと『観察』する。
「こいつ…よそ見してんじゃあないわよッ!」
余裕綽々と言った様子の江ノ島に、マライアは悪態を吐きながら手近にあった花瓶を投げつける。
「…ふぅん、そういうことなら…ッ!」
江ノ島はそれをちらりと見ると、その花瓶を『キング・クリムゾン』で躊躇いなく叩き壊す。
「…ふ、アハハハハハ!」
その瞬間、マライアが突如高笑いをする。まるで『予想通り』に事が進んだかのように。
「…な~にが可笑しいのかなー?」
「うふふ…小娘、ちょっとばかり強いスタンドを持っているからって調子に乗ったみたいね。…今貴女が壊した花瓶には既にッ!私の『バステト女神』が取りついていた!」
「!」
壊した花瓶を見ると、花瓶の底に不自然にも『コンセントのプラグ』のようなものがついていた。
「分かる?貴女は既に私の術中に嵌ったのよ!」
ググ…グ…ギュン!
マライアの言葉を証明するように、江ノ島めがけ先ほど弾き返した釘が引き寄せられる。
「…ふん!」
キィンキィン!
すぐさま『キング・クリムゾン』が弾き返すが、地面に落ちた釘はなおも江ノ島へと引き寄せられようとする。
「ウフフ…無駄よ。そんなことをしても無駄な抵抗でしかないわ。一度でも『バステト女神』に触れてしまえば、貴女はもう逃れることは出来ない。『磁力』はどんどん強くなる…。直にこの場の全ての『金属』が貴女に襲い掛かることになるわ!」
「…勝負あったな」
完全に勝ち誇った笑みを浮かべるマライアに対し、江ノ島は無表情に自分の体を見つめる。
「や、やべぇんじゃあねえかお嬢ちゃん!?敵のスタンドの攻撃を受けちまったんだろ!?」
「チッ…しょうがねえ」
「…待ってください承太郎さん。加勢は必要ありません」
見かねた承太郎が割って入ろうとするのを苗木が制する。
「し、しかし…キミの友人のピンチなんだぞ!」
「問題ありません。…すでに、江ノ島さんの『分析』は終了しています」
「分析…?」
皆が首を傾げる苗木の言葉に呼応するように
ニヤァ…!
江ノ島の口元が、不気味に弧を描いた。
「へぇ~…で、この後アタシは『どうなる』っていうの?」
(…な、なによこのクソガキ…!?なんでここまで追い詰められてるってのに嗤ってんのよ…?)
既に『まな板の上の鯉』状態だというのになおも余裕を崩さない江ノ島に、マライアは若干の恐怖を覚えるが、自分の圧倒的優位な状況を思いだしそれを鼻で嗤う。
「…ハッ!そんなの…言われるまでもないでしょう?貴女はこれから『この館に殺される』のよ!」
「ふぅ~ん……ねえ、それって…」
江ノ島がほんの一歩、横に動いた瞬間
ドスッ!
「…え?」
「こんな感じに?」
マライアの『背後』から飛んできた『剣』が、マライアの腹を貫いた。
「あ…がぁ…ッ!?」
「何ッ!?」
「うぷぷぷ…まんまと引っかかってくれたね、マヌケなオバサン。アンタはアタシよりスタンド使いとしての年季って奴があるみたいだけど、『スタンド能力の使い方』に関してはアタシの方が一歩上だったみたいだねぇ~?」
「な…ど、どうなってやがる!?なんで攻撃を受けてんのはあの嬢ちゃんなのに、やられてんのがあの女なんだよ!?」
「…スピードワゴンさん、マライアの後ろを見てください」
「後ろ?」
苗木が示した先にあったのは、手が不自然な方向に曲がった『甲冑の置物』。見ると、向かい側にも同じようなものが置かれており、その手にはマライアの腹に刺さっているものと同じ『剣』が握られていた。
「ま、まさかあの剣は…!?」
「そうです。今マライアの腹に刺さっているのは、あの甲冑が持っていた剣です。江ノ島さんは、あの剣が『自分に向かって』飛んでくることを予測して、自分の立ち位置をずらして射線軸上にマライアが来るように仕組んだんです」
「…だが、なんであの女は『あの剣』が来るって『分かってた』んだ?他にも金属の類ならいくらでも傍にあるだろうが」
「…それが、『キング・クリムゾン』の能力なんです…!」
「何…!?」
江ノ島の確信の理由が分からない承太郎たちに、ジョルノは複雑な表情でその理由…『キング・クリムゾン』の能力の正体を語る。
「『キング・クリムゾン』の能力…それは、『未来を予知し、その時間を消し飛ばす』ことができるというものです…!」
「なんだと…!?」
「な、なんじゃあそりゃあ!?」
「そのままの意味です。あのスタンドは数秒先の『未来』をあらかじめ予知し、その時間の中で自分に『不都合な時間』を消し飛ばして『無かったこと』にできる、恐ろしい能力を持っているんです…!おそらく彼女は、あの剣が自分に向かってくる未来をあらかじめ予知していた、だから確信を持って行動できたんです!」
「な、なんという…!これがスタンド能力なのか…ッ!?」
「…しかし苗木、何故彼女が『キング・クリムゾン』を持っているのです?アレはディアボロと共に葬り去った筈ではないんですか?」
「あー…実はその辺こっちではかなり面倒なことになってね…。まあ詳しいことは後で話すよ。とりあえず、『今は』あの『キング・クリムゾン』は僕たちの味方だ。…最も、江ノ島さんのゴキゲン次第だけどね…」
ジョルノの世界軸とはどうやら大きく異なってしまった自分の世界のことに複雑な心境の苗木のことなど知る由もなく、江ノ島は予想外の事態に混乱するマライアとツェペリを挑発する。
「うぷぷ、NDK?NDK?自分の策に嵌めたと思ったら逆に嵌められてた気持ちはどう?ねえ、どんな気持ち?うぷぷぷぷ!」
「こ、この…ビチ、グソがぁ…ッ!」
「ぬうう…やってくれたなお嬢ちゃん!ならば今度は私が相手だ!」
重傷を負って動けないマライアに代わって、今度はツェペリが江ノ島に躍り掛かる。
「うぷぷぷ…本当に『予想通り』に動いてくれるね。さあ、カモ~ンオジサマ~♡」
「…嘗めるなよ小娘!『波紋乱渦疾走(トルネーディオーバードライブ)』ーッ!」
スピンしながらの波紋を帯びた跳び蹴りに対し、江ノ島は全く身構えることなく…
「……」
「…何ッ!?」
逆に、『目を瞑った』。
「何を考えている…血迷ったかーッ!?」
もちろんツェペリがそんなことで攻撃を緩める筈もなく、跳び蹴りは江ノ島へと振り下ろされ
ドォォォーンッ!
バゴォッ!
「何ッ!?」
次の瞬間、ツェペリの一撃は江ノ島を捉えることなく、『その背後の床』に突き刺さった。
「な…ッ!?あの距離で躱したのか!?だ、だが…まったく動きが見えなかったッ!」
「ジョルノ、苗木…。まさか今のが…」
「ええ。…あれが、『キング・クリムゾン』の、『時を飛ばす能力』!『蹴りが当たる瞬間』を消し飛ばして、『蹴りが通り過ぎた』という『結果』だけを残したッ!」
「しかも目を閉じて…見もせずにそれをやるとは…!彼女は、既にディアボロ並に『キング・クリムゾン』を使いこなしている!」
「江ノ島さんの『超分析力』があってこその芸当ですけどね…」
「超分析力?」
「はい。…彼女は、自分が観察したものを徹底的に分析、理解することで相手の行動や思考、果ては技術や精神までをも完璧に『予測』し、自分のものにすることができるんです。要するに、彼女はスタンド能力なしでも条件付ですが『未来予知』に近いことができるんです」
「な…なんだそりゃあ!?あり得ねーだろ!」
「それがあり得るのが、それが許されるのが彼女…『江ノ島盾子』なんです…!」
江ノ島の超人的な能力に愕然とする一同の眼前で、江ノ島は目を閉じたままツェペリの攻撃を鼻歌交じりに躱す。
「ほれほれどうしたのオジサマ~?私様はここにいるよ~?」
「ク…波紋カッターッ!」
パパゥパウパウッ!
「…『キング・クリムゾン』♪」
ドゥオンッ…!
「!?ま、また消えた…」
「こっちこっち~!」
「クッ…!?」
ツェペリとて、百戦錬磨の波紋の達人である。例えスタンドが視えなくとも、『本来』の彼であればその『勇気』を持って突破口を開くこともできたかもしれない。…しかし、操られていることで『殺意』の感情だけを抱くようになってしまった上、何より相手が悪すぎた。ツェペリは、そしてこの場の苗木以外の全員は知らない。今階段に腰掛けケラケラと嗤うこの少女が、世界を滅亡させかねなかったという事実を。
「さーて…そろそろ飽きてきたし、トドメといこっかな~」
「ムッ…!」
「ぐ…この…ッ!ふざけんじゃあないわよッ!」
江ノ島の動きを妨害するように、マライアは江ノ島にかけた『バステト女神』の磁力を引き上げる。
ガシャガシャ…ギュォォォォッ!!
その瞬間、あちこちにある金属類の全てが江ノ島へと殺到する。
「テメーがぶっ潰れろォーッ!糞ガキィィィーッ!!」
「『キング・クリムゾン』…」
「…『アナザーワン・ディスペアー』ッ!!」
「ッ!?」
ドォォォーンッ!
ガガガガッ!!
「…え?」
そんな声を漏らしたのは、スピードワゴンであった。ジョナサンも、承太郎も、目の前の光景を理解できなかった。
「今、のは…?」
「…相変わらず、恐ろしい能力だよ」
それは、『レクイエム』の力でその『過程』を見ることができたジョルノであっても同じであった。唯一平然としているのは、あらかじめその能力のことを知っていた苗木だけだ。
「ば、バカな…ッ!?」
まして、その惨劇を間近に居ながら察知できなかったツェペリは、驚愕と理解できない恐怖に思わずたじろいでいた。
「な、苗木…今、何が起こった…?」
「…あれが、『江ノ島さんのキング・クリムゾン』の能力。ディアボロから江ノ島さんへと担い手を変えたことで『進化』した、『キング・クリムゾン』の新たな能力…『アナザーワン・ディスペアー』…!」
「アナザーワン…!?」
「その能力は、消し飛ばした時間の中でさらに『未来』に自分自身を飛ばす…いわば、『時間跳躍』に等しい能力です…!」
「じ、時間…跳躍!?」
「『キング・クリムゾン』は、消し飛んだ時間の中で『自分だけ』が動くことで『結果』のみを相手に与える。故に、例え時間を消し飛ばしても行動できなければ意味は無い。だからポルナレフさんも奴の能力をある程度『対策』できた。…しかし、あの『アナザーワン』は、その『過程』を完全に省略できる…!たとえ四肢を雁字搦めにされていたとしても、江ノ島さんは時を飛ばした『先』の時間に現れる…。彼女があの能力を使った時点で、その『結果』は確定される…!誰にも、江ノ島さんの邪魔をすることはできない。今の彼女は…『世界』をも欺く…ッ!」
愕然とする皆の視線を一身に受けながら…
「…ふぃ~にっしゅ!ブイッ!」
『キング・クリムゾン』の腕に貫かれたマライアを高々と掲げ、江ノ島は笑顔で勝利宣言をするのであった。
マライア…死亡。再起不能
今回は妹様のワンマンショーでした。
今回「ディスペアー」の能力が分かりづらかった人に説明すると、簡単に言えば某青タイツの槍兵さんのアレと同じです。
能力が発動した瞬間数秒先の未来に「実行される予定の結果」を先に残し、江ノ島自身が過程をすっ飛ばしてその「結果」の時間まで瞬間移動することで、従来のキンクリのように消し飛んだ時間の中を動く必要がなくなるという訳です。なので仮に動けない状況であったとしても、必ず「結果」に到達できるという訳です。その際、跳躍した先の時間からさらに移動すると、その場所に自分の「形ある幻覚」を残すこともできます。それが本編でディアボロが苗木に使ったアレということです