ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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この話自分では全然納得いく出来じゃないんですよね…。でも、いくら粘ってもどうにも変わりそうにないのでとりあえず上げてみます。
なので皆さん気に入らないようでしたらどしどし批判ください。ご意見を基に自分でいろいろ考えなおして再投稿することも視野に入れてますので…
皆さんの批評が自分のアイデアでもあります。どうかよろしく…


山田一二三は動かない(物理的に) part1

「ちぃーっす…ん?」

 とある日の朝。教室へとやって来た大和田は珍しい組み合わせに出くわした。

 

「…で、これが最近の流行の画風という訳ですぞ」

「なんと…!これほどまでに微細な絵を本当に週一で連載しているというのか!?」

「極まった人などもっとすごいですぞ。サラリーマン並みの執筆時間で仕上げる先生もおりますし、拙者の尊敬してやまない『岸部露伴』先生ともなれば『4日』で仕上げるとの噂もありますし…」

「ううむ…だが、確かに画力に関しては感嘆する他ないのだが、些か内容が過激すぎではないのか?」

「うぐっ…!そ、それを言われてしまえば立つ瀬は無いのですが…しかぁしッ!それでもあえて僕は言わせてもらうッ!!『表現の限界』ギリギリに挑む『勇気』失くして、日本の『サブカルチャー文化』の発展など無ぁい!!」

 

「…何やってんだあの二人…?あの石丸がよりによって山田と漫画について話してやがるぞ?」

「さあ?なんか石丸の方から話振ったらしいよ?」

「…今朝のニュースで『漫画の過激表現』に関する報道をしていた。大方その関係であろう…」

「けどよ、いくらニュースになったからっていきなりそんな『調査』みてーなことしなくたっていいんじゃあねえか?」

「何を言っているのだッ!正しい『風紀』は、正しい『認識』の上で初めて成り立つものなのだ!頭ごなしに否定することなど誰でもできるが、それはそのことを『職』にしている人たちに対する『偏見』に他ならないッ!それを回避するためにも、僕は今のマンガ業界に対する『正しい認識』を得る必要があるのだッ!!」

「まったくその通りですな!その為にも拙者が協力させて貰っているという訳です!」

「わあ…!石丸君ってすごいね!」

「フン、下らん…」

「ま、漫画なんて等しくアタシにとっては『無価値』だからどうでもいいわ…」

 

「しかし…山田君は一体どういう『ジャンル』の同人誌とやらを描いているのだ?ここにあるマンガはどれも全く毛色が違うものばかりだが…」

「まあ拙者は基本的に『萌え』を前面に押し出した作品を手掛けているのですが、『将来』のことを考えてこうして様々なジャンルの勉強をしている訳なのです」

「将来?」

「フッフッフ…」

「な、なんだよ急に…?」

「あまり言いふらすつもりはないのですが…こう見えて拙者、『週刊少年誌』を目指しているので…」

「週刊少年誌って…ジャ○プとか○ンデーとかか?それだったらもっと『スポ根』とか『SF』みてーな奴の方がウケるんじゃねえか?」

「おっと桑田怜恩殿…それはあくまで『一般認識』ですぞ。今に見ていてくだされ、どんな『ド素人』や『なんちゃって評論家』どもを黙らせる大作を完成させてみせますとも!数年後を楽しみにしていてくだされ。フッフッフ…」

「言ってることは立派なんですけど…」

「な~んか応援しづらいような…」

 

「そんなことより豚、さっさと朝のミルクティーを淹れなさい」

「え?ちょ…御待ちをセレス殿。折角の拙者の見せ場ですのでもうちょっと…」

「却下ですわ」

「ぎゃいん!?」

「…そういや、苗木どこ行った?さっきまで居たよな?」

「彼ならさっき電子生徒手帳を見てどこかへ行ったみたいだけど…」

 

 

 

 

 

「来ちゃったよ♪」

「お帰り下さい」

 突然、『友人』が訪ねてきたと呼び出されて学園の受付まできた苗木がその『自称友人』…岸部露伴に向かって放った言葉がそれであった。

 

「おいおいおいおいおいおいおいおいおいおい!はるばる『杜王町』からやって来た僕に向かって言うことがそれかい?こっちはキャラ変えてまでフレンドリーに挨拶してるんだから、もう少しサービスよく出迎えてくれても良かったんじゃあないか?」

「友人騙って来るような人を歓迎するほど僕は能天気じゃないです。…っていうか、ホントに来たんですね、『取材』に…」

「そりゃそうさ。前々から気になってたんだが、どうにもここだけはアポが取れなくてね。そんな時に、『偶然』この学園との『コネ』ができたんだ。使わない手は無いよ」

「…一応、学園長と掛け合って見ますけど、無理だったら諦めてくださいね」

「OKOK、分かってるよ」(ニヤニヤ)

「…なんでそんなニヤニヤしてるんですか?」

「別にぃ~?…ただ僕は、君の『良心』に期待しているだけさ」

「そうですか…ハァ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 結局、突然の事で困惑していた学園長に苗木が頼み込んで、露伴は堂々と取材の許可を得たのだった。

 

「いやいや苗木君、本当に済まないねェ~」

「本当にしょうがないですね…とりあえず、どこから見ます?」

「そうだな…折角だから、君のクラスメイトに挨拶させてもらおうか」

「え?いいですけど…」

「ついでに、以前君が言っていた山田とかいう『同人作家』君にも会ってみようか。ほんの少しだけ『興味』があるからね」

「それはいいですね。山田君もきっと喜びますよ」

 

 

 

ガラッ

「ん?…おお!苗木っち戻って来たんけ」

「うん」

「何か用事みたいでしたけど…なんだったんですか?」

「ちょっとお客さんが来てね…それで、皆にも挨拶したいって言うんだけどいいかな?」

「僕は構わないが…どなたかね?」

「うん、今紹介するね…露伴先生、いいですよ」

「…露伴?」

 

 

「やあやあやあ、希望ヶ峰学園78期生の皆さん初めまして」

「…誰だコイツ?」

「さあ?」

 教室へと入った露伴に、皆思い思いの反応を見せるが、その中でも霧切、舞園…そして山田の反応は顕著なものであった。

 

 

「あ、露伴先生!」

「おや舞園さんに霧切さん、お久しぶりだね」

「ご無沙汰してます…まさか本当にいらっしゃるとは思わなかったわ」

「ハハハ…苗木君にもおなじこと言われたよ」

「あら、お二人の知り合いですの?」

「はい、この人は……山田君?」

 皆が山田に視線を向けると、山田はその場で立ち上がったまま小刻みに震えていた。

 

「ど、どうしたのぉ…?」

「…き」

「き?」

 

 

 

「…岸部露伴大先生ィィィィ~ッ!!?」

「うお、なんだぁ!?」

「や、山田君…もしや、彼が先ほど君が言っていた…」

「そぉうですッ!!この方こそ僕が尊敬して止まぬマンガ業界の『異端児』岸部露伴先生!数年前に週刊少年ジャ○プで『ピンクダークの少年』を連載開始して以来、未だに衰え知らずの人気を誇るマンガ業界の『至宝』と言っても過言ではない御方なのですぞッ!!」

「や、山田が燃えてる…」

「憧れの存在を前にすればそうもなろう…我にも覚えがある」

 

「…彼が山田君かい?」

「ええ、まあ…」

「ふうん…ま、漫画に対する『熱意』は『次第点』と言った所かな。僕のファンだというところにはそこそこ好感は持てるとしよう」

「それより露伴先生、きちんと自己紹介しときましょうよ」

「ム、そうだね…そこのエッ○マンみたいな彼が大体説明してくれたけど、漫画家の岸部露伴だ。今日はこの希望ヶ峰学園の取材に来させてもらった。しばらくの間だが、よろしく頼むよ」

「取材ぃ?」

「おお…!岸部露伴殿は週の3日は取材に費やすとの噂であったが、まさかその瞬間に立ち会えるとは…この山田一二三、感無量ですッ!!」

「…取材は構わんが、邪魔だけはしてくれるなよ」

「ちょっと十神、失礼でしょ!」

「おおっ!いいねいいね、お手本のような『お坊ちゃん』スタイル!やはり名門校と言うからにはこういうのが無いとなぁ~!」

「…微塵にも感じてないわね」

「というか逆に喜んでます…」

「…あ、そこの君。悪いがその不愉快極まりない頭を僕の視界に入れないでくれ」

「あぁんッ!?誰の頭が不愉快だコラァッ!!」

 

 

 

 その後、露伴は場所、人を問わず学園のあらゆる存在にズケズケと上り込んでは取材を重ねていった。最低限の礼儀こそあるが、歯に衣着せぬ物言いの露伴に苛立つ人も多く、案内役兼お目付け役の苗木はフォローに徹し切りであった。

 

「いやいや、流石は日本の国家機密の一つなだけはある。以前康一くんたちが通っていた学校にもお邪魔させてもらったことがあるが、まるで別物だよ!この場所だけ技術が2~30年先取りされてると言っても過言ではないねぇ~!」

「あんまり詳しくネタにはしないでくださいね。外に漏れるとマズイものもありますし…」(本気でマズイものは流石に見せてないけど)

「分かってるよ、僕だってこれでも社会人だ。その辺はわきまえてるさ。…以前ローマやロシアとかに取材に行ってエライ目にあったこともあるしね」

「そうですか…ハァ。……ん?」

 露伴と話しながら廊下を歩いていると、前にガチガチに緊張して立ち尽くす山田が現れた。

 

「あれ、どうしたの?」

「あ、ああ…どうも。じ、実はその…不躾なお願いだとは重々承知しているのですが…、その、岸部露伴先生に、僕のマンガを見ていただけないかと思いまして…」

「…ほう。いい度胸じゃないか、アマチュア風情が僕に漫画を見せに来るなんて…」

「だ、駄目でしょうか?」

「駄目だね。僕は忙しいんだ」

「そ、そうですか…」

「…露伴先生」

「…と、言いたいところなんだが、君のその無謀ともいえる『向上心』に免じて見てあげようじゃないか。それに、僕も『超高校級の同人作家』とやらの実力に興味がある」

「ほ、本当ですかッ!?ありがとうございまする!!」

 傾倒しながら差し出された山田の原稿を手に取ると、露伴はそれを凄まじいスピードで捲りながら読み続ける。

 

シャシャシャシャ…

「……」

「うわ、凄い速読…。露伴先生描くだけじゃなくて読むのも早いんだ」

「お、おお…拙者の原稿を、あの露伴先生が読んでくださっている…!一二三、感激ッ!!」

「…まだ早いよ山田君。露伴先生の感想を聞いてから言おうよ」

「そ、そうでありますな…」

 

 数十秒後、全てのページを読み切った露伴は、どこか神妙そうな面持ちで原稿を山田へと差し出す。

 

「ど、どうでしょうか…?」

「…率直な感想を言うなら、確かに『面白かった』よ」

「…!」

「山田君…!」

「画風や台詞なんかは正直僕の好みじゃあなかったけど、コマ割りやトーンやベタの使い方、ストーリーなんかは確かに中々の物だ。『超高級の同人作家』の名が伊達じゃあないってことはよく分かったよ」

「あ、ありがとうございますッ!!」

 憧れの漫画家からの賞賛の言葉に、感無量といった様子で喜ぶ山田。…しかし

 

 

「…だが、山田君…といったかな?それはあくまで『同人誌』としての評価だ。『漫画』としてはこれは『欠陥品』だよ」

「…え?」

 直後の辛辣な言葉に表情が凍りつく。

 

「あ、あの…『欠陥品』とは、どういう…?」

「生憎だが僕はその答えを言う気は無い。どういうことかは、君自身が考えることだ」

「そ、そんな…」

「…山田君、君は結局『何が描きたい』んだい?」

「へ…?」

「君が描きたいのは、『同人誌』か、『漫画』か、どちらなのかと聞いているのだよ」

「そ、それは…」

「ここまで言っておいてなんだが、僕は君の事をそれなりに高く評価しているつもりだ。実際技量『だけ』なら、その辺の漫画家よりははるかに上だろう。…だが、君がもし、『同人作家』を続けるのではなく『漫画家』を目指すのだとしたら、君には『決定的に欠けている物』がある」

「か、欠けているもの…でありますか?」

「そうだ、それを見つけない限り、君がどれほど優れていようと君は『同人作家』止まりだ。そこのところ、よく覚えておくといい」

 そう言い残し、露伴は山田に背を向けると去っていった。

 

「ちょ…露伴先生!…あーもう、ホントに勝手なんだから。山田君、大丈夫?」

「え、ええ…心配召されるな苗木誠殿…」

「そうは見えないんだけど…。顔色悪いし」

「い、いやその…作品を見て貰えた上に助言まで頂いて嬉しいことこの上ないのは確かなのですけど、…やっぱりああもハッキリ言われてしまうと僕のチキンハートでは耐久不足でした…」

「…『決定的に欠けているもの』か。素人の僕にはあんまり分からないんだけど、山田君には心当たりとかあったりする?」

「…正直、思うところが無いわけではありまぬが、それをどう表現していいものか…」

「そっか…」

「ともかく、少し自分の作品を『見直す』必要があるようです…。次のコミケまでには『答え』を見つけられるようにせねば…」

「…頑張ってね。僕にできる事が有ったら、なんでも協力するからさ」

「ありがとうございます苗木誠殿…では、拙者はこれで…」

 明らかに消沈した様子のまま、山田はがっくりと肩を落として部屋へと戻っていった。

 

「…『漫画』か。正直僕もそこまで詳しい訳じゃないからな…なんとか力になってあげたいけど。…とりあえず、まずは露伴先生捕まえるか」

 そんな山田を見送った後、苗木は露伴を追いかけに向かった。

 

 

 

 

 その日の夜

 

トゥルルルル…ピッ

『…もしもし?』

「あ…姉上でありますか?」

『なんだ一二三か…どしたの急に?今忙しいのはアンタも知ってるでしょ?』

「いや、その…ちょっとお聞きしたいことがありまして」

『…なんかアンタ妙に暗いわね。で、何よ?』

「その…姉上は『将来』についてどうお考えでありますか?」

『…ハァ?何かと思えば進路相談?アンタホントにどうしたの?』

「実は…今日さる漫画家の方とお話しする機会がありまして。その時僕の原稿を読んでもらったのですが…、その時にこう言われたんですよ。『君が描きたいのは同人誌か漫画かどちらなのか』…と」

『ふぅん…。で、同人作家として先輩のアタシの意見を聞きたいと』

「ええまあ…」

『そんなこと聞かれてもねえ…。要するに、『鰯の頭』で満足するか『鯛の尻尾』でも挑戦するかって話でしょ?アタシは見ての通りの『貴腐人』だから、この生き方しか知らないし変わるつもりも毛頭ないんだけど…』

(…改めて姉上はつくづく『末期』でありますな)

『まあ、アンタがその漫画家さんの言葉になんか思うところがあるんなら、とりあえず納得いくまで描いてみたら?アンタやアタシの頭じゃ考えたところでたかが知れてるんだしさ』

「…結局、それしかございませんか。分かりました、やれるだけやってみまする」

『頑張るのはいいけど、夏コミ遅れんじゃあないわよー。じゃあね~』

「は、ではまた…」

 

ピッ…

「…拙者は、『答え』に至れるのでしょうか…?とにかく、即売会までなんでもやってみるしかありませんな。よぉ~し、やるぞぉ~ッ!!」

 心の中の不安を揉み消すように、山田は机に向かうと一心不乱にペンを走らせ始めるのであった。

 

 




今回のテーマとしては「プロとアマチュアの違い」と、「一般人に対する考え方」などを考えています。あくまで僕個人の認識ですので、読者の中に漫画家志望の方や同人誌を描いている人たちには少々鼻につくかもしれませんがご了承ください
冒頭でも言いましたが、おかしいと思ったら是非批評をいただきたいのでお願いします。割と、マジで…

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