ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

2 / 220
25,26とちょっと大阪のジョジョ展に行ってくるのでその間執筆ができませんので、おまけで平和な世界軸での小話をちょっと。
一応、別枠でやってるオーブ外伝に直結する話ではありますがあくまで外伝ですのでそこんとこヨロシク

小高さんたちが立ち上げた新会社「Tookyo games」の新作の「デスマーチクラブ」。……登場人物の年齢と設定ちょこっといじっただけで殆どダンガンロンパじゃあねーかッ!!いつかやってくれるとは期待してたけど初っ端からセルフオマージュ作品で来るとは…スゴい度胸だ。きっと作品内で盛大に自虐ネタぶっ込んでくるんだろうな…
しかし、発売が2020年ってことは1年以上先になるんですよね。…多分その間にまたもの凄いキャストをそろえて来るんだろうな。しかし、ダンロンは登場人物が「高校生」だから大御所声優さんが出てきても違和感なかったけど、デスマーチクラブは「小学生」だからなぁ…どういうキャスティングで来るのか、ゆっくり楽しみに待つとしましょう

では、本編に先駆けて最原君たちの活躍をどうぞ…導入編だから出番殆ど無いけどね


バオー外伝:新しい朝が来た

コポ…コポコポ…

 

 …生まれつき感性の強い人には、自分がお母さんのお腹の中…羊水に浮かんでいるときのことを憶えているって人が居るけど、僕が憶えている限り最初の記憶は…自分が『培養液』のような液体の中に浮かんでいるときの記憶だった。

 

『…私たちは、親として許されないことをしたんだろうな。我が子に、こんな過酷な運命を背負わせて産み落としたのだから』

『仕方が無いわ、私たちは…の一員なのだから。上からの命令に逆らえば、この子の命が保証される可能性は低い…。この子を生かすためには、仕方の無い決断だったのよ』

 

 …そんな自分の眼前で、二人の男女が何かを話していたような気がする。まだ言葉も覚えていないどころか産声を上げたかどうかすらあやふやな時だったから何を言っていたのかは分からなかったけど、僕に対して何かを言っていたというのだけは理解できた。

 

『…確かに、そうだ。だが、だからといってもうこれ以上俺はこの子に…の『罪』背負わせるようなことはしたくない。幸い、もうこの子は普通の人間として生きることが出来る。なんとか組織の目の届かないところに隠すことが出来れば、きっとまともな人生を歩むことが出来るだろう。…少なくとも、こんなところに居るよりはな』

『そうね…きっとそれが、この子の為の筈よ。…日本で探偵をやってる私の弟がいるわ。私のことは慕ってくれてたし腕は確かだから、事情を伏せていてもきっと力になってくれるはずよ』

『そうか。…その頃には、俺達はきっと命令違反で処刑されるだろうな。俺の我が儘に付き合わせて、済まないな…』

『何言ってるのよ。…この子を宿したその日から、覚悟は出来ているわ。この子のためなら、命なんか惜しくないわ。…組織の罪を生み出すだけの、こんな命なんかね』

『…済まん』

 二人は話し合った後、何かを覚悟したような強い目で僕を見つめ、僕が浮かんだ培養液を満たすガラスに手を当てる。

 

『…そういえば、この子の名前は決まったの?』

『ああ。組織の連中は名前など下らないと番号で呼んでいたが、それでもこの子は俺達の息子だ。だから考えて考えて…ようやく決まったよ』

 

 

『君の名前は…『終一』。終わりから始まりに向かって…何度でも立ち上がる強い意志を持つ子になってくれ。…さよならだ終一。私たちの、かけがえのない希望…!』

 

 それが僕が…『最原終一』が生まれた瞬間だった。

 

 

 

「…なんだ、今の夢…?」

 『まったく身に覚えの無い』夢から覚めると共に、最原は目を覚ました。

 

「なんだったんだあの光景は…あんな記憶、僕には……妄想?でもそれにしては嫌に鮮明だったような…」

 不思議とハッキリと憶えている夢の内容に首を傾げつつ、最原は支度を調える。今までは朝の弱い叔父の代わりに家事をこなすために必然的に早起きを強いられていたが、今日からはその必要がなくなったために妙に肩透かしを食らったような気分であった。…また独りになってしまった叔父への不安は心残りではあるが。

 

「…ああ、そうだ。しゃきっとしないと…今日から僕は、『希望ヶ峰学園の生徒』なんだから…!」

 そう自分に言い聞かせ、寄宿舎を出た最原は…『希望ヶ峰学園79期生 超高校級の探偵 最原終一』は新たな学び舎である希望ヶ峰学園へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 春。町のあちこちで桜並木が花びらを散らし、新学生や新社会人たちを歓迎する始まりの季節。それは年頭に学園開校以来最大最悪の事件を引き起こした『希望ヶ峰学園』にとっても例外では無く、事件によって半壊した旧校舎ともはや無用の長物となった『カムクラプロジェクト』に関する各施設の解体、並びに新たな設備の建設と平行して『第79期生』となる新入生達の入学を迎えていた。

 

「…つったって、俺達にはあんまり関係ないんだけどなぁ」

「そうですなぁ…」

「大和田は工事の方の手伝いに行ってるし、苗木は学園長とかと事後処理関係で出てるけど、俺達ができることなんて無いしな」

 しかし、忙しいのは事件の事後処理に当たっている教職員や卒業した前生徒会長の村雨の後任として『生徒会長代理』に就任『させられた』苗木ぐらいであり、自主的に工事を手伝っている大和田などを除けば在校生の77,78期生はとくにやることも無く暇を持て余していた。

 

「ホント暇だよね~。…もし今アタシがまたやらかしたら、止めれる奴なんて誰も居ないよねぇ…?」

「え、江ノ島君!物騒なことを言うのは止めたまえッ!?」

「…冗談にしてはタチが悪いわよ江ノ島さん。誠君に誓った以上、本気じゃ無かったとしてもそう言った態度は許さないわよ…!」

「分かってるって~!ホントに冗談だって冗談、まったく…クールでミステリアスが売りだった霧切が、なんだってこうもデレデレになっちゃってるのかねぇ~?」

「…止めて頂戴、そういう言い方は」

「あ、自覚はあったんですね」

「ある意味で、苗木君が今までやらかした事の中で一番の『奇跡』かもしれませんね」

 そんな中で、江ノ島に対する反応だけが今までより顕著なものとなっていた。苗木との死闘の末『苗木に自分が絶望するまで』という条件付きで改心こそしたものの、つい先日学園を半壊させる程の騒動となった『希望ヶ峰学園史上最大最悪の事件』の元凶の一人であり、未然に防がれたものの世界中を巻き込んだテロ行為を計画していたという事実が、今まで江ノ島の過激な発言や行動の数々を『個性の一つ』としてしか見ていなかったクラスメイト達に、それが彼女の『本性』であることをまざまざと知らしめたのである。

 苗木が仲裁に入ったことでこうして普段通りに接することこそ出来るが、いつ彼女が再びとんでもないことを画策するのか分からないため、内心戦々恐々としているのが本音であった。

 

「…あ、だったらさ!ちょっと皆で今年入った『新入生』の子達に会いに行ってみない?入学式の時はあんまりお話しできなかったし」

「お、いいな!折角だし77期の奴らも誘って行こうぜ!」

「ふん…下らんな。その野次馬根性はどこから来るのやら」

「んだよ十神、だったらお前は来なきゃ良いだろ?」

「…まあ、暇つぶし程度にはなるだろう。面倒だが、付き合ってやろう」

「来なきゃいいって言ってんのによ…」

「お、お黙りッ!白夜様の発言は絶対なのよ!!」

「…貴様は黙っていろ」

「くひぃッ!?」

 無意識に場の空気を変えようとした朝日奈の提案により、皆は新入生のいるクラスへと挨拶に行くこととなった。

 

 

 しかしこのとき、皆は今の状況を甘く考えていた。先の事件の影響で、学園は学校として機能こそしているものの、工事などで人の出入りが激しくなった分セキュリティに関しては普段より緩くなっていた。また、今まで警備部で主任を務めていた逆蔵が宗方の『希望ヶ峰学園海外分校』の校長就任に伴い、警備員を辞めてボクシング界への『現役復帰』を表明してしまったため、警備の目も今までに比べて甘くなってしまった。

 もし苗木が学園に残っていれば、その『勘の良さ』と『人の本質を見抜く力』により怪しい者がいれば即座に気づいて対応できるだろう。しかし、苗木は今学園を留守にしている。

 

 故に…

 

 

「…済みません。私、SPW財団の者なのですが…今後のスポンサー契約についてお話に参りました」

「あ、そうですか。…あれ、でも学園長はまだ戻られていませんが…」

「いえ、実は先ほど連絡がありまして。もうすぐお戻りになるそうなので、先に行って待っていて欲しいと言われまして」

「あ、そうでしたか。それは失礼…っと、一応規則なので『身分証』を提示して貰えますか?」

「…ええ、どうぞ」

「……はい、結構です。どうぞ」

 

「どうも…間抜けな警備、ご苦労様…」

 

 

 『SPW財団の服装と身分証を持った』というだけで、『面識の無い人物』を学園内に入れてしまったことは仕方の無いことであったかもしれない。

 

「くくく…まさかこんな所に転がり込んでいたとはな。どうやって今まで隠し通して来たのかは知らんが、もはや逃げ場は無い…!我ら『ドレス』が生んだ『最高傑作にして失敗作』よ、貴様という存在の罪…その命を持って償わせてやろうッ!!」

 

 希望ヶ峰学園にまた、波乱の嵐が巻き起ころうとしていた。

 




今回ここまで、続きは気が向いたら

同時更新のオーブ外伝の方もよろしく!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。