ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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今回ちょっと短いです

今回だいぶ雪染を胸糞扱いしていますが、別に僕は雪染が嫌いなわけではありません。ただ好きだからこそ、雪染の行動を突き詰めていった結果がこうなったという訳で…雪染ファンの人はごめんね

あと今回十三支部の支部長が名前と設定だけでてきますが、完全オリジナルなのでご理解ください


ジョジョ実写もうすぐですね。実は小説版でストーリーだけは把握しているのですが、ネタバレになるので詳しくは言いませんが…まあこの展開カットはしゃあないかなとも思います。「これ」までやってたら3部作じゃ完結できませんし。少なくともちゃちな内容でなければ多少のアレは許容しましょう。
「銀魂」と違ってコケたら叩かれまくられる作品ですし、後に続く「ワンピース」の為にも出来を期待したいですね。

…ジョジョ展行こうかな~。けどS市まで行くのはお金が…


交錯編:雪染の『切り札』

「…ッ!?待っ…」

 苗木の無慈悲な宣告に宗方が反論する間もなく、苗木は雪染へと跳びかかった。

 

「WRYYYYッ!!」

「ハァッ!!」

 突き出された苗木の掌底に対し、雪染は輝彩滑刀の刃を振り上げる。単純に考えれば、いくら吸血鬼の身体と言えど輝彩滑刀の前では豆腐の如く切り裂かれるだろう。しかし

 

ピタッ…!

「ッ!」

「悪いですけど…もう貴女に『反撃』を許すつもりはありません!」

 刃が当たる寸前、突如振り上げた雪染の腕がピタリと動かなくなる。当然雪染が止めた訳ではなく、苗木の腕に先んじて突き出された『G・E・R』の腕が刃を掴みすさまじい膂力で強引に動きを止め、引っ込めることすら許さない。刃のエッジは高速稼働しているため普通なら掴むだけでもただでは済まないが、『スタンドはスタンドでしか傷つけられない』…どれほど切れる刃であろうと、実体である以上スタンドには無力であった。

 

バキィッ!

「あぐッ…!」

 隙だらけになった雪染の腕に掌底が叩き込まれ、その細腕はあっけなくへし折れる。

 

「まだだッ!」

『無駄ァッ!』

 怯んだところに苗木は『G・E・R』による追撃をかけ、輝彩滑刀を防ぐためにへし折った腕を更に切断しようと手刀を振り下ろす。

 

 

 …だが

 

「…なんのッ!」

 

バキィンッ!

 雪染は足の甲から刃を伸ばすと脚を高く振り上げ、掴まれたままの腕の刃を半ば相撃ちの形で自ら切断し、その反動で身を捩りかろうじて手刀の軌道から身を躱す。

 

「…何?」

 その一連の行為に、苗木は更なる追撃の手を止めて眉を顰める。

 

「…どうしたんだ苗木のヤツ?」

「苗木君…?」

 様子のおかしい苗木に皆も怪訝そうな顔をしていると、苗木は折られた腕を無理やり矯正する雪染に問う。

 

「…雪染さん」

「んしょしょ…ん、なあに?」

 

 

 

 

「…『視えてますね』?」

「うん、『視えてるよ』。…あ、はまった」

「ッ!?」

 一見意味不明な苗木の問いに当たり前のように答える雪染。無論これだけ聞いても意味など分からない。しかし、先ほど御手洗と言う『前例』があったことで、皆はその質問の意図を理解できた。

 

「視えてる…って、まさか、『スタンド』を!?」

「今の動き…明らかに僕の狙いが分かった上で行動していた。普通なら折れた腕をあそこまで庇う理由は無い。しかも僕の攻撃の軌道から意図的に躱していた…視えていると考える方が妥当だろうね」

「雪染さんまでスタンド使いに…!?」

「あら、むしろ当然なんじゃないかしら?相手は最強のスタンド使い苗木誠なのよ?だったら当然スタンド能力を用意しておくのが当然…いえ、『必然』じゃないかしら。…いくら不死身の身体があったって、江ノ島さんみたいに『永遠に殺され続けられ』たんじゃあ元も子もないでしょ?」

「…プッチから渡されたのはコロシアイの小道具だけじゃなく、スタンド能力の『DISC』もだったということですか」

「そういうこと。…私のスタンドの名は『リンプ・ビズキット』。本当なら貴方みたいに格闘のできるスタンドが良かったんだけど…生憎私のスタンドはビジョンすらない『能力だけ』のスタンドなのよね…」

「…フン。随分思考が傲慢になったんじゃあないか雪染?そんなスタンド、苗木にとっては有ってないのと変わらん。不死身になって口が軽くなったんじゃあないのか?」

「君に傲慢とか言われたくはないんだけどな~十神君。…それに、苗木君はそうは思ってないみたいよ?」

「……」

 雪染からスタンドの情報を聞いても尚、…むしろ増々苗木は警戒を強める。正直なところ苗木としては『近接タイプ』のスタンドだと言われた方がまだ気が楽であった。近接タイプのスタンドは格闘能力こそ高いが、その反面能力は拳を介して発動するか自身の周辺数メートル程度の射程距離しか持たないものが殆どだ。『ザ・ワールド』や『ウェザー・リポート』のように『時間そのもの』に影響を及ぼしたり規格外の射程や変幻自在の能力を持つスタンドはごく僅かであり、苗木にとっても例えどんな能力だろうと対処する策はあった。

 しかし、今回のようにビジョンの無い、あるいは直接戦う力のないスタンドはその脆弱性を補って余りあるほどに厄介な能力を持つものが多い。かつて自身も『ノトーリアスB・I・G』や大和田の『マンダム』、山田の『トト神』などに苦戦を強いられ、モナカの『ジェイル・ハウス・ロック』もその能力でこまるや腐川を苦しめた。それ故に、苗木は自分だけでなく後方に居る皆にも被害が及ぶほどの能力なのか、それを見極めようとしていた。

 

「それで、私の『リンプ・ビズキット』の能力なんだけど…口で説明するより、『体験してみた方』が早いかな?」

「何…?」

 

 

「…ッ!」

 無意識の内に、苗木は右腕を全力で振るっていた。明確な目的があった訳ではない。ただ、『そうしなければマズイ』と自分の本能的な何かが警告を発すると同時に、ほぼ反射的に行動に移していた。

 

 

グシャァッ!!

「ッ!?」

 そしてそれは、自身の腕に伝わる『何かを砕いた感触』を以て正解だったと証明される。

 

「な…なんだ!?今の感触…確かに何かに触れた…いや、今の感覚は…まさか、『人間』ッ!?」

「…驚いた。絶対気づかれないと思ってたのに、本当に君は勘がいいね」

「ッ!今のが貴女の能力…!?だとすると、貴女のスタンドの能力は『透明化』…?でも、今のは…」

 

 

「う…うわああああッ!!?」

「ッ!?」

 後方から聞こえた悲鳴に振り返ると、戦いを見守っていた皆の身体が『独りでに傷ついて』いき、パニック状態になっていた。

 

「なんなんだこれはッ!?ぐおッ…身体が、勝手に…」

「い、痛ぇーッ!?お、俺の肩が抉れたーッ!!」

「こんのぉッ…『オアシス』ッ!」

「『クレイジー・ダイヤモンド』ッ!」

「『エコーズAct3』!!」

 

ドゴゴゴゴッ!!

「や、やった…あうッ!?」

「どうなってやがんだ…?『何か』をぶん殴ったのは間違いねーのに、全然止まらねーぞ!?」

「重くしているはずなのに…どうして…?」

 仗助らもとりあえず手当り次第に反撃を試みるが、手ごたえはあってもこの正体不明の『攻撃』は一切やむ気配が無かった。

 

「『ザ・ハンド』ォッ!」

 

ガオンッ!

「うぎッ…畜生、キリが…うん?」

「どうした億泰?」

「いや、なんか『クセェ』ような…つーかこの臭い、さっきの『船』の中でも嗅いだような…?」

「臭い…?」

 億泰の言葉に霧切は『ムーディ・ブルース』で身を守りつつ周囲の臭いに集中する。

 

「…ッ!この臭い、だとすればこの攻撃はまさか…」

 喧騒に紛れて臭って来たそれに『憶え』があった霧切は、自身の推理を確かめるべく敢えて『ムーディ・ブルース』を消し、頭だけは守るべく腕で覆う。

 

「響子さん…!?」

「響子ちゃんなにやってるの!?それじゃ防御が…」

 朝日奈の警告が言い切る間もなく

 

ボシュボシュボシュッ!

「…ッ!!」

 スタンドのガードが無くなった霧切の二の腕や太ももが抉り取られ、血が噴き出す。

 

「響子ッ!」

「響子ちゃんッ!?」

「…大丈夫…ッ!それに、これで『分かった』わ…!」

 ダメージに顔を顰めつつも、受けた傷の『傷痕』を見て霧切は確信する。

 

「この傷痕…抉られたというより、まるで『人の歯型』…!つまり、この攻撃は『誰かに噛み千切られている』ということ。そして『見えない敵』、誠君が『勘』でしか反応できなかったこと…ここから導き出される『答え』は、これしか考えられないッ…!」

 己の推理を確信した霧切は、苗木にその答えを叫ぶ。

 

「誠君ッ!!雪染さんの『リンプ・ビズキット』の能力は、『死体を透明化させて操る』能力…!それがこの攻撃の正体よッ!!」

「ッ!?死体…だと!?」

「…そういうことか」

 霧切の推理に皆は驚き、苗木は得心が入ったように頷き、雪染は少し目を見開き片眉を上げる。

 

「死体を操る…!?しかも透明化って…」

「…死体を操ること自体は不思議じゃあねえ。以前に『エンヤ』という女のスタンド…『霧状』になって死体を操る『ジャスティス』という事例があるからな。だが、それに加えて『透明化』とはな…時を止めても、見えないのでは対処にも限度がある…!」

「誠君が察知できなかったのも、相手が死体では『体温』も『呼吸』も無いから…しかも戦闘の最中では動く『音』を聞き取るのも困難だからよ…!」

「だ、だが…これはどういうことじゃ!?ここは最近になってようやく完成した施設…死体どころか生きた人間すら数える程度しか居ないというのに、この数は…10や20どころではないぞ!?」

 この場所の事をよく知るが故に思った天願の疑問に、雪染は当然のように答える。

 

 

 

「当たり前じゃあない。…『第十三支部』と『第五支部』に何人所属してたと思うの?」

 

「…え?」

「な、ん…だと…?」

 軽い調子で口にした雪染の言葉を意味を、皆は最初理解できなかった。

 

「…おい、雪染…。そりゃ、どういう意味だ…?」

「どういうって…言葉通りだけど?」

「…まさか、今私たちを襲っている死体は…全て…!?」

「…そう!ぜ~んぶ…私がここに来る前に『殺してきた』未来機関第十三支部と第五支部の人たちの…成れの果てだよ」

「なッ…!?」

 皆は愕然とする。雪染がやったこともだが、この場には十三支部を除く未来機関の支部長が勢ぞろいしている。そしていくら支部長と言えど、宗方のように几帳面な性格でもない限り自分の支部にどれほどの人員がいるかなど憶えていられない。それほど多くの人間が未来機関には居るのだ。…そして雪染の言葉が本当だとすれば、今この場には未来機関の『2支部分の死体』がいるということになる。おまけに十三支部は『物資運送』などが主な役割の為他の支部より人数が多い。それがどれほどの数かは、容易に想像できるものではない…それ故の戦慄である。

 

「じ、じゃあ…あの船は、まさか…ッ!?」

「うん。十三支部から死体を運ぶために用意させたの。私の『リンプ・ビズキット』はそこそこ射程は広いんだけど、流石に海を越えて死体を操るのはできないからさ。…あらかじめ十三支部の『支部長』にこの島までの『自動運転』の設定をさせておいて、あとはこの時に間に合うように出航させたってワケ」

「…お前が、殺したのか…?自分の部下を、十三支部の部下たちを…『猫神』をッ!!」

 

 『猫神飛脚』…希望ヶ峰学園75期生、『元超高校級のロードレーサー』であり、未来機関第十三支部の支部長を務めている男だ。日本有数の運送会社である『シロネコムサシ』の跡取り息子であり、家業の手伝いとしてやっていた自転車便によって鍛えられ、高校最速のロードレーサーとして有名になり、希望ヶ峰学園にスカウトされた。

 性格は人懐っこくお調子者、目上の人には決して逆らわないことを信条としており、当時生徒会長だった宗方や逆蔵、雪染の半ば『舎弟』となってのらりくらりと学園では過ごしていた。

 学園を卒業後は家業を継いだが宗方のサポートの名目で細々と連絡を続けており、それが幸いして『人類史上最大最悪の絶望的事件』にて身寄りを失くし、宛てもなく彷徨っていたところをいち早く保護され、十三支部の支部長に任命された。宗方にとっては、逆蔵や雪染を除けば最も思い入れのある部下だったと言える。…それを、自分の恋人が殺したなど、宗方は信じたくなかった。

 

 しかし、現実は非情であった。

 

「そうだよ。猫神君ったら私がサプライズで十三支部に来たら跳んで喜んでね、色々歓迎してくれて、私の事を欠片も疑いもしなかったのよ。…だから、皆に話があるって支部の人たちを集めさせて、そこで纏めて殺したの。…いきなり切り裂かれた時の彼の顔、ああいうのを…『絶望』って言うんだろうね」

「…ッ!雪染…お前はッ…!」

 余りにも非道な雪染の行いにさしもの宗方の顔にも遂に怒りの色が浮かび、それを見て取った雪染はほんの一瞬悲しげに顔を歪め…しかし直ぐにそれを正して苗木に向き直る。

 

「…さて苗木君。貴方はどうするのかしら?私が生み出したゾンビはどうやら人の『脳ミソ』が大好物みたいなんだけど…モタモタしてると君はともかく他の皆が食べられちゃうよ?」

「…ご高説どうも。ですが、十神君の言うとおり慢心が過ぎましたね」

「ん?」

「それだけ分かれば…『対処法』はあるッ!!」

 

ブシュゥゥゥッ!!

 突如、苗木の全身から『霧状の赤い何か』が噴き出す。

 

「な、なんだッ!?」

「誠!?」

 苗木の異変に戸惑う皆の周囲を、苗木から噴き出した赤い霧が覆い出す。すると…

 

ズズズ…

「…ッ!これは…」

 霧の中から『赤い液体』によって人型に縁どられた何かが次々と浮かび上がってくる。

 

「これは…まさか、この『霧』は…」

「僕の『血』ですよ。…僕は今全身の汗腺や毛穴から血液を霧状にして噴出しています。確かに貴女のゾンビは見えないし察知するのも困難だ。…でも、『そこにいる』のは間違いない。ならその体表に霧状になった血液が付着すれば、見えない敵も『見える』ようになる…と言う訳です」

「な、なんという荒業を…」

「……」

「…あ、言い忘れてました。皆さん、今着ている服は申し訳ないですけど『諦めてください』」

「は?何言って…」

 いきなり言われたことに怪訝そうにした安藤が自分の服に目を落とし…絶叫する。

 

「…ッ!?は…ちょ、なにコレ!?私の服『真っ赤』なんだけど!?」

「生憎この技はコントロール不能でして…範囲内に居る皆さんも必然的に僕の血を被ることになるので。…ああ、血液細胞自体は死滅しているので誤って飲んでも大丈夫ですよ」

「そう言う問題じゃないんだけど!?どうしてくれんのよ~!この服お気に入りだったのに~…」

「ガタガタぬかすなッ!命があるだけマシと思え馬鹿がッ!」

「ドラァッ!…けど確かに、こんだけ見えてりゃなんとかなりそうだぜ!」

「チッ…テメエら、仮にも未来機関員だったんなら死んでまで宗方に迷惑かけてんじゃあねえッ!!」

『オラオラオラオラオラーッ!!』

 見えるようになったことで『標的』がハッキリとした戦闘組は、血の霧で全身を真っ赤にしながら鬱憤を晴らすかの如くゾンビ軍団を蹴散らしていく。

 

(…向こうはこれでなんとかなりそうだな。けど、あまり悠長にもしてられない。この技は体内の血液を大量に消耗するから、常に『ゴールド・E』で血液を補充し続けなければならない。だから今は『生命を生み出す能力』は使えない。それを悟られれば、スペックの差でゴリ押しされる…その前に決着をつける!)

 自身に群がるゾンビを蹴散らしつつ短期決戦に持ち込むべく苗木は雪染に仕掛けようとする。

 

 

「…う、ぷぷぷぷ…!」

 その時、突然雪染が怪しく笑い出した。

 

「…?何がおかしい?」

「うぷぷ…いやあ、まさかこんな手で私の『リンプ・ビズキット』を攻略するとは思わなかったよ。それに関しては流石と言うべきかな。…でも、君にとってはこれは『悪手』だったかもねぇ…」

「何だって…?」

「だって…見えてさえいなければ、『それ』に気づかないで済んだかもしれないのにね…」

 

 妖しく口元を歪めた雪染が指差した先を苗木は目で追う。無論、不意打ちには最大限警戒していたが…その余裕はすぐに失われる。その先にあった、雪染の『切り札』を目にしたことで。

 

 

 

 

 

 

 

ザッ…ザッ…

 雪染が指差したのは、輸送船のある港の方向。そこからは船に積み込まれていた死体がゾンビとなってこちらへと向かって来ており、苗木の張った『血の霧』に触れると同時にその姿が明らかになっていく。

 それだけであれば、苗木が驚くには値しない。確かに数は多いが、所詮ただの死体である。透明なままならともかく姿かたちがハッキリ分かる以上蹴散らすのは容易い。…その光景を見た苗木はそう思い、雪染の意図を探るべく目を切ろうとし…

 

 

「…ッ!!?」

 そこで、見てしまった。血で赤く染め上げられた有象無象のゾンビの中に…『余りにも見覚えのある顔』を。

 

「あ…あ、ああ…!?」

 その顔は血でおぼろげに輪郭をなぞらえているだけで、おまけに死体なので顔にハリも無くとても自分の記憶にある顔とは程遠い。しかしそれでも、苗木はそれが誰なのかがハッキリと分かっていた。…霧切たちを除けば自分にとって『最も大切な人物』の顔を、苗木が見間違えるハズがないのだから。

 

「…ど、どうしたんだ苗木のヤツ…?」

「ゾンビを見て凄く驚いているけど…まさか、『知り合い』でもいたのかな?」

「誠君!どうしたんですか、何があったんですか!?」

 苗木の動揺は霧切たちの目から見ても顕著であり、舞園が声を張り上げ理由を尋ねるが苗木は未だ放心したように愕然としたままだ。

 

 

「…な、ぜ…?何故、なんだ…どうして、そんな…ッ」

 やがて掠れる様な声で苗木がそう呟き、こちらに向かってくる『それ』に手を伸ばす。…まるで、『大切にしていたもの』が目の前で壊れてしまい、それを理解できずにいる子供の様に。

 

 

 

「なんでッ…そこに、いるんだよ…ッ!?」

 そして苗木は口にする。今そこにいる…そこにいて欲しくなかった、その人たちの『名』を。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…『父さん』、『母さん』…ッ!!」

 

 もう決して会うことが叶わないと思っていた『父母』との最悪の再会。ありったけの嘆きが籠められた苗木の叫びは、その現実を否定するように強く、そして悲しいものであった。

 




というわけで、雪染のスタンドは「リンプ・ビズキット」でした。
なので今作でDIOの骨に意志を与えたのは雪染だったという訳ですね

苗木の透明ゾンビ対策はドラゴンボールのVS透明人間戦を参考にしました。血液を圧縮できるのなら拡散もできるだろうと思っただけですけど…

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