ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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非リア充の皆さんブォナ・セーラ(こんばんわ)!クリスマスの暇つぶしをお届けするぜ!…安心してください、僕もその一人だ!

ニューダンガンロンパの体験版やったぜ!各キャラみんな個性が立ってて期待が持てる感じでしたね。やってて目立ったのは、最原の頼りなさ、天海の不気味さ、転子ちゃんの顔芸、秘密子ちゃんのUMR感でしたね(笑)
意外だったのは葉隠枠だと思ってた百田が思ったよりもイイやつな感じだったですね。葉隠とも、桑田とも、左右田とも違うキャラだったのでどういう風に伸びていくのか楽しみでした。
楓ちゃんもシステムの都合とはいえあの面々を前に堂々と嘘をつこうと思う辺り、かなり肝が据わってますよね。それが吉と出るか凶と出るか…いやあ、発売日が楽しみですね。

ジョジョ4部もついに終わっちゃいましたね…。尺の都合上小ネタをカットせざるを得なかったのは仕方がないですが、モナ・リザのくだりやアニオリでの各キャラのその後の演出など最高の最終回だったと思います。
露伴がやってた体操はODAの布石でしょうが、…富豪村かぁ~。個人的には密漁海岸か懺悔室が見たかったような…懺悔室なら5部勢がちょろっと出てくるかもしれませんし

5部のアニメ化を期待しつつ、この作品も盛り上がるよう頑張ります!


交錯編 : 悲劇

タッタッタッタ…!

 人気の全くない未来機関本部の薄暗い廊下を、『彼女』はひたすらに疾走していた。『目的』の場所がどこなのかは彼女にも見当がついていない。けれど、走らずにはいられなかった。…つい先ほど聞いてしまった、『恐ろしい結末』を阻止するために。

 

『急げ…ッ!急ぐのだ…!誰でもいい、早く伝えなければ…私が『私である内に』ッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、ゴズの遺体捜索をしようとしていた霧切たちは、モナカよりもたらされた『霧切のNG行動』の内容に動揺していた。

 

「誠に触れるか、誠の10m以内でタイムリミットを迎える…それが、響子ちゃんのNG行動!?」

「そいつは…なんとも、面倒くせぇモンを押し付けられちまったなあ…」

「……」

「…あ、あれ?でもさっき霧切さん苗木君の髪の毛を…」

「…ああ、そりゃ響子ちゃんは常時『手袋』してるからな。NG行動は『直接触れる』だろ?手袋越しならセーフってワケだ」

「な、成程…」

『まー実際アレだよね。これ実質的に『パパに近づくな』って言ってるようなもんだからね。どうやら黒幕さんは、パパだけじゃなくあなたの事も相当に警戒してるみたいだね~。まあ、『元超高校級の探偵』なら当然っちゃ当然かもねー』

「…け、けど…。それなら、苗木君の近くに行かなければ大丈夫ってことだよね?幸い…ていったら悪いけど、苗木君は今自由に動けないんだし、彼の居場所さえ分かっていればそんなに厳しいことじゃあ…」

『まあ『普通』はねー。…けど、そういう訳にもいかないんだよね。根暗そうなお兄さん』

「え?…ぼ、僕の事?そういう訳にもいかないって…なんでだよ?」

『だって、今のところ『真相』を知ってるのは『パパだけ』なんだもん』

「…ッ!?」

 モナカが何でもない風に口にした言葉に、皆が目を見開く。

 

「え…!?」

「真相って…苗木君には、もう『黒幕の正体』が分かってるって言うのか!?」

『さあ?…でも少なくとも、『襲撃者のスタンド能力』に関しては見当がついてるみたいだよ』

「襲撃者の…って、襲撃者は『スタンド使い』なの!?」

『うん、モナカも見たし。襲撃者が『牛のおじさん』を殺すところ』

「えッ!?…あ、そうか…。月光ヶ原ちゃんはロボットなんだから、薬で眠らないんだよね……って、ちょっと!だったらなんでゴズさんを助けてくれなかったのさ!?」

『ええ~?仕方ないじゃ~ん!この月光ヶ原ロボのことはできるだけ隠しておきたかったし、そもそもロボット越しじゃスタンド能力も使えないんだからどうしようもないって~』

「だからって…ッ!」

「…葵さん、今は我慢して。今更彼女をせめてもどうしようもないことだし、過ぎたことで時間を浪費している暇もないわ」

「響子ちゃん……うん、そうだよね…」

「…塔和モナカ。今貴女の事について言及するのは後にするわ。ひとまず、貴女は私たちの『味方』ということでいいのかしら?」

『ん~…まあそんな感じかな。正確には、あくまで『パパの味方』だけどね』

「…それなら、ゴズさんが殺された時の事を教えて頂戴。あなたは全て見ていたのでしょう?」

『うん、いいよー。…えっとね~、タイムリミットが来て皆が寝ちゃった後なんだけど。急のあの牛のおじさんだけがなんか叫びながら飛び起きたんだよね…』

 

 

「…な、なんだ貴様はッ!?く、来るな…近寄るな化け物ッ!」

 

 

『…で、ちょうどその時部屋のモニター…あれの後ろからそこに落ちてる『ナイフ』が落ちてきてね。牛のおじさん、それを拾ったら急にパパを滅多刺しにし始めたんだよね』

 

「うおおおッ!?来るな…俺に近づくんじゃあねェーッ!!」

ザクッ!ザクッ!ザクッ!

「ッあ…ッ!?」

 

 

「…じゃあ、誠を刺したのは襲撃者じゃなくてゴズさんだったって言うの!?」

『うん。…けど、パパを狙って刺しているっていうよりは、『他の何か』を攻撃しようとしてパパを刺した…というより、そうするように『誘導された』感じかな~?…で、ひとしきりパパを攻撃したら、とたんに暴れ出してそこの天井から電線引っ張り出して自分から絡まりに行って、もがいてたら急に胸からドバって血が噴き出て…それでおしまいってワケ』

「…なにがなんだかさっぱり分からんぜ。響子ちゃん、どうよ?」

「…そうね。可能性として考えられるのは、おそらく襲撃者のスタンドは直接相手を攻撃するのではなく、相手の『精神的な部分』に干渉する能力なのかもしれないわ」

「精神的…?」

「例を挙げるなら、ジョセフさんの『隠者の紫』の念写、露伴先生の『ヘブンズ・ドアー』、小林さんの『錠前』のような、肉体ではなく精神…今回の場合はおそらく、『夢』のようなものに干渉して、相手の行動を操ることができる能力…それならば、眠っていたゴズさんが豹変したことにも説明がつくわ」

「『夢』って…まさか、そんな馬鹿な…ありえないよ」

「…御手洗さん、あまりスタンド能力を軽んじない方が良いわ。スタンド能力は『精神力』そのもの…自分の得意な『領域』に相手の精神を引き摺りこむことだって不可能じゃあないわ。…以前にも、『ダービー兄弟』や『大柳賢』のような『魂』に干渉するスタンド能力の事例もあるし、『夢』を利用するスタンド能力があっても、私は不思議には思わないわ」

「う…」

「しっかし…『夢』と来たかぁ。『今の状況』にとっちゃあ最悪って言っても良いぐらいの能力だなそりゃ…」

「ええ…。誠君を除いた私たち全員は、タイムリミットが来た時点で強制的に眠らされる。それはつまり、私たちは襲撃者の犯行に対して『対策』をとることができないということよ」

「そ、そんな…!?そんなのどうやって止めるって言うのさ!」

「…方法は『一つ』よ。起きているうちに襲撃者か黒幕…そのどちらかの『正体』を暴くしかないわ。…その為にも、襲撃者のスタンド能力の正体を知る誠君したかったのだけれど…今から向かっても間に合いそうにないわね」

「そうだね…。誠なら、いろんなスタンド能力の事を知ってるから、なにか分かっているのかもしれなかったけど…」

「響子ちゃんのNG行動が厄介だってのはこういうことかい…やれやれ、黒幕さんも用意周到なこった…」

 こちらの打つ手の一手先を阻む黒幕の架したNG行動に、霧切たちは下手に動くことができず歯噛みする他なかった。

 

『…けどさー、ホントに黒幕って誰なんだろうね?この未来機関の本部にハッキングできたってことは、犯人は間違いなく『未来機関内部の人間』なのは確かだけど、あのモノクマの『AI』を持ってるってことはプッチと繋がりがあるってことだし…そんな奴いるの?』

「…へ?AI!?あのモノクマAIなの!?ていうかプッチって…どういうこと!」

「…そういえば、気になってたんですけど…『十三支部』の支部長さんってどうしたんですか?今回の召集にも来てませんでしたけど…」

 ふと思い出したように疑問を口にした御手洗に、黄桜が答える。

 

「ああ…今回は十三支部は『欠席』なんだと。なんでも支部長からちさちゃんに十三支部の周辺で暴動が起きてて会合には間に合わないって連絡が入ったらしくてな、会議が始まる前に宗方君がそう言ってたよ」

「そ、そうなんですか…」

「…まあそう気を落とすなよ。御手洗君が怪しいって思うのも仕方ねえからな。ちょっと推理が外れたからって落ち込むなよ」

「そ、そういう訳じゃないんですけど…」

「…待って、黄桜さん。十三支部の支部長は雪染さんに連絡を入れたのね?…会長である天願さんにではなく、雪染さんに…」

「ん?ああ。…確かに組織のルールとしてはアレだが、俺は別に変とは思わないぜ。十三支部の支部長は宗方君達の『一個下の後輩』だからよ、宗方君やちさちゃんとは個人的な繋がりもあるんだわ。多分そういう誼でちさちゃんのほうに連絡を入れたんじゃあねえの?」

「…そう」

 黄桜からの返答を聞いた霧切は、いつになく神妙な面持ちで考え込む。

 

「…なにか、気になることが有るの?」

「…もし、もしもだけれど…もしその連絡が『嘘』だったのだとしたら…」

 

 その時であった

 

ピンポンパンポーン!

『ッ!!』

 

 

 

 

 

 

 

 一方、諍いの最中にあった安藤、十六夜、忌村の間に舞園が割って入っていた。

 

「忌村さん…大丈夫ですか!?」

「舞園…アンタなんで…?」

「たまたま通りがかったら目に入っちゃって…そしたら、放っておけないじゃあないですか!」

「…チェッ、舞園さやかか…。面倒なのが来ちゃったな~…」

「…どうする、流流歌?こいつも倒すか?」

「…そうだね。どうせ流流歌たちの味方になるわけないし…二人まとめてやっちゃえ!」

「了解した…!」

 疲労困憊の忌村はいつでも仕留められると判断したのか、十六夜は舞園へと標的を変える。

 

「…安藤さんッ、十六夜さん…。もうやめてください…!こんなことをして何になるって言うんですか?あなた達は一体『何がしたい』って言うんですか?」

「…あん?何よその小声?それが人に聞く態度?」

「……」

「…ふん!そんなの決まってるじゃん。この中にいる誰かが『裏切り者』なんでしょ?だったら、流流歌たち以外の全員が死ねば、裏切り者も死ぬんだから。それでハッピーエンドでしょ?」

「…お前たちは信用できない。流流歌の敵に成りえる以上、お前たちを見逃す理由は無い…!」

「…どうして、どうしてそこまで他人を『信じない』んですか?あなた達だって、未来機関の支部長でしょう…!他の人を信じなければ、この状況を乗り越えられないことぐらい分かっているはずです。それなのに、どうして…」

 

「…ッ!うるせぇッ!!」

 安藤の頑ななまでの態度の理由を問う舞園を、ガラスを振るわせるほどの怒声で安藤は叫び飛ばして拒絶する。

 

「他人なんか…他の奴なんか、信じられるか…!どいつもこいつも、皆いつかは流流歌のことを裏切るんだ…。だったら私には、そんなもの必要ないッ!ヨイちゃんさえ…流流歌と流流歌の『お菓子』を愛してくれる人さえいれば、他の連中なんか知ったことじゃあない!…お前らみたいな、敵だった奴らを平気で仲間にするようなドチャグソ気持ち悪い奴らが、目障りなんだよッ!」

「安藤、さん…」

「流流歌…アンタ…?」

「…そうだ。流流歌、俺はお前を『愛している』。お前と、お前の作るおいちいお菓子のある世界を守れるのなら、俺はなんでもしよう。流流歌が拒むものを、俺が全て排除してやる…!」

「……」

 安藤と十六夜の主張を黙って聴いていた舞園であったが、やがてゆっくりと口を開く。

 

「…あなた達に何があったのか、何があなた達にそこまで『不信感』を植え付けることになったのか、それは私には分かりません。ですから、私にはあなた達の主張を真っ向から否定する権利はないですし、そんなつもりもありません。…でも」

 舞園はそこで息を吐き、そして語気を強めてできる限りの大声で叫ぶ。

 

「…でもッ、これだけは言えます…ッ!安藤さん、あなたは『可哀想な人』です。裏切られることを恐れて他人を信用しない癖に、他の誰かが傍に居ないと不安で仕方がない…貴女は十六夜さんの『好意』に甘えて『共依存』しているだけの、可哀想な人です…!」

「な…ッ!?」

「…そして十六夜さん。あなたも間違っています…!あなたの安藤さんに対するその『愛情』が、安藤さんを余計に駄目にしているんです…!」

「なんだと…!?」

「『愛』は、ただ愛する人を無条件で守るということだけじゃあないんです。愛する人が道を違えた時、大切な人とすれ違いそうになった時に、例え自分や愛する人を傷つけてでもその人が『正しい道』を歩んでくれるようにする…それが本当の『愛』なんです!愛することに『理由』は無くても、『意味』は必要なんです。…貴方が安藤さんを愛するその気持ちに偽りはないでしょうし、それがどれだけ深いものかということも分かります。でも、安藤さんの言うがままになっていたら、いつかあなたは安藤さんの『物』になってしまいます。あなたはそれでいいんですか…?」

「…ッ!」

「舞園…」

「…忌村さん、貴女と安藤さん達に何があったのかは知りません。でも、あなた達が争うことを、きっと誠君は望んでいません。…ですから、力を貸してくれませんか?貴女がやろうとしたことを、無駄にさせない為にも…」

「……」

 

 

 

「…よくも、よくもそんな偉そうなことが言えるなッ!あの『コロシアイ学園生活』で、真っ先に他の奴らを、苗木誠を裏切って殺人に走った癖によぉッ!!」

「…ッ!」

 怒りの表情でかつての舞園の『罪』を弾劾する安藤に、舞園は苦々しく表情を歪める。

 

「所詮アンタも、同じ穴の貉なんだよ!アンタだって他の奴らを信用できなかったから、あの桑田とかいうのをぶっ殺して外に出ようとしてたんじゃないの?…ハン!とんだお笑い草だよね!『裏切り者』の代名詞みたいな女がアタシに『信じろ』なんて説教、説得力があるとでも思ってんの?天願の爺さんとか黄桜みたいなのは違うみたいだけど、アタシも、宗方も、未来機関の誰も、お前の事なんか信用してないんだよッ!」

「…確かに、その通りです。私がしたことは、誠君を…皆を『裏切った』ことに間違いはありません。いつか私の罪も、裁かれる時が来ると覚悟しています。…でも、誠君はこんな私に言ってくれました、『私の力が必要だ』と。ブチャラティさんは言っていました、『誠君の希望に応えてくれ』と、…そして、花音ちゃんは言ってくれました。『後悔する暇が有ったら、桑田君を死なせたことを無駄にするな』って…。だから私は生きます…!こんな私を信じてくれる人を、二度と裏切らない為に。だから私は戦います…!例え許されなくても、死んでしまった皆の代わりに、生き残った私が『未来』に繋ぐために…ッ!」

 袖からトンファーを抜き、舞園は十六夜を正眼に構える。

 

「誠君が私を救ってくれたように、今度は私があなた達を止めて見せます。それが、あなた達を『信じている』人たちの為、そしてあなた達を信じようとしている誠君の為になるのなら…ッ!」

「…!」

「減らず口を…ッ!?ヨイちゃん、そいつがッ!」

「むッ!?」

 舞園の気迫に圧された隙をついて、忌村は十六夜から離れ、舞園の傍にやってくる。

 

「忌村さん…!」

「…全く、アンタ達はなんでそう揃っておせっかいばっかりするのよ?私達のことなんか放っておけばいいのにさ…?」

「そういう訳にはいきません。…誠君は、こんな訳の分からないことで誰かが傷つくことを望んでいません。もちろん、私たちだってそうです。ですからこれは、私たちの『我儘』なんですよ。…皆さんにどんな因縁があるのかは知りませんけど、私たちはそう簡単には諦めませんよ。もう二度と、『絶望』に屈したりなんかしませんから…!」

「…ホント、余計なお世話だよ。けど今は、それに甘えさせてもらおうかな…」

 忌村は懐から薬瓶を取り出すと、その中身を一気に煽る。

 

「…フッ!」

 飲み切った後忌村が一息力むと、ドーピングが切れて弱り切っていた忌村の体に生気が戻る。

 

「チッ、回復しやがった…!」

「まだそんなものを隠し持っていたのか…」

「…生憎、これで品切れだけどね。さて舞園、そっちから首を突っ込んで来たんだ、ちょっとは手伝ってもらうよ…!」

「はい、分かってます…!」

「…あ、それと私のNG行動は『影を踏まれる』だからさ、その辺だけ気をつけてね」

「わ、分かりました。…あ、私のNG行動は『大声を出す』なので、私もあんまりこっちからの注意とかはできないので…」

「ああ、だからそんな小声なのね…分かったわ、うっかり大声出さないように気をつけなよ」

「はい…!」

 回復した忌村と舞園が、十六夜と戦いを始めようとした、その時…

 

 

 

「…ッ!?きゃあッ!」

「!?流流歌…ッ!」

「…双方そこまでじゃ!戦うでないッ!」

「ッ!?天願会長…!」

「さやかさん!」

「む、むくろちゃん…」

 観覧席に居た安藤を後方から現れた天願と戦刃が取り押さえたのと同時に

 

 

 

ピンポンパンポーン!

『ッ!?』

 タイムリミットを告げるサイレンが無慈悲に鳴り響いた。

 

「な…ッ!?タイムリミット…!?」

「く…、ぬかったわ…!」

「こんな、時に…」

「クソッ…!流流、歌…」

「ぐッ…!」

「この…」

 戦いの最中であっても睡眠薬には打ち勝てず、皆はその場に倒れ伏す様に眠りに就いてしまった。

 

 

 

 

 

『…あ~あ、こんな時に時間切れかぁ~。これでしばらく私だけ待ちぼうけじゃん』

 一方霧切たちもまたタイムリミットにより眠りに就いており、一人月光ヶ原…もといモナカだけが眠ることなく起きていた。

 

『せっかく霧切響子さんがなにか思いついたところだったのにさ。…まあいいか。ここに居てもしょうがないし、パパの様子でも見てこようかな~?…ついでに動いてる奴でもいたら、そいつが襲撃者ってことで、殺っちゃえばいいよね~?』

 部屋に居る全員の眠りを見届けたことで、この中に襲撃者は『いない』と判断し、モナカは苗木の下へ戻るべく部屋を出た。

 

 

 

「………」

 

 

 

キュラキュラキュラ…

 

コツ…コツ…

 

キュラキュラキュラ…

 

コツ…コツ…

 

 

 

『…ん?後ろに『熱源』…』

「…ッ!!」

『は?おま…』

 

 

シュパァン…ッ!

 

 

 

 

 

「……う…」

 トレーニングルームで眠らされていた皆の中で一番に目を覚ましたのは、舞園であった。

 

「私…ッ、そうだ、タイムリミット…!他の人たちは…」

 寝ぼけ眼を擦って辺りを見渡し、隣の忌村と、向かいに居る十六夜の無事を確認する。

 

「良かった、皆無事…」

 そのことに安堵しながら、次いで観覧席へと視線を向け…

 

 

 

 

 

 

 

 

「………え?」

 舞園は思わず、目を疑った。

 

 

 

 

 

ポタ…ポタ…

 

 観覧席には、取り押さえられたままで寝苦しそうな安藤とそれを取り押さえたまま眠る天願。…そこまでは良かった。しかし、そんなことは舞園にはどうでもよかった。何故なら、舞園にとって『最もそこに居なくてはいけない人物』がそこに『いなかった』のだから。

 

「え…あ…?う、そ…?」

 その人物は、『宙に浮かんでいた』…否、『ガラス窓に貼り付けられていた』。半ば突き破るほどに『彼女』の背後のガラスに走る罅が、それが『叩きつけられた』ものであることを示していた。

 

「あ、あ…ああ…ッ!」

 その罅を伝って滴るのは、彼女の『切り裂かれた首と胸』から滴る鮮血。そしてその左腕は、彼女の『NG行動違反』により背中越しの舞園から見ても分かるほどに毒々しく変色していた。

 

「………む」

 その事実を目の当たりにした瞬間、舞園は自分のNG行動すらも忘れ、その名を叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「むくろちゃぁぁぁぁぁぁぁあんッ!!!!」

 

 

 

 第3の悲劇、その犠牲者の名は、戦刃むくろであった。

 




キャラを愛するが故に、時には作品の為にそのキャラを犠牲にしなくてはならない時がある。

例え原作で死ぬことになっていたキャラが生き延びたとしても、死ぬときには死ぬのだ

そういう作風だからこそ、ダンガンロンパは面白いのだ

読者よ、これが絶望(ダンガンロンパ)だ

ターンエンド…


…心が痛いか?僕もですよ…




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