ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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本当は今日で1.5部完結するつもりだったのに…何故こうなってしまったんだ(ウルトラマン感

まあそれはそうとして…ニューダンのPV第一弾来ましたね!楓ちゃんがさばさばした今時女子系、天海君が恒例の記憶喪失枠でチャラ男っぽい、王馬君が嘘とハッタリで虚勢張ってるけど実は良い子っぽい感じでしたね。…そして美兎ちゃん良いキャラしてましたわ…!普段は言子の如く下ネタ交じりで押せ押せ系なのに、押されるとコロッと貧弱貧弱ゥッ!…になるとか薄い本ネタまっしぐらじゃあないですか。これは夏コミが燃えるでぇ…!
…どうしてエンジニア系の超高校級は揃いも揃って頼りないんだろうね?パワーバランスの為だろうけどね。実際不二咲とか左右田がもっと前に出ていたら案外一矢報いてたかもしれないしね…


交錯編:暗躍する者達

 宗方から逃げ延びた戦刃たちは、モニタールームからかなり距離をとった後人気のない廊下で一旦苗木を降ろして休ませていた。

 

「……」

『苗木君は大丈夫なんでちゅか?』

「…正直分からない。普通こんな状態なら死んでて当然だから、今誠君がどんな状態なのか見当もつかない…」

 戦刃に支えられながらなんとか座ってはいるものの、頸動脈の切断により血は止めどなく流れ、首の骨も切断されているので抑えていないと首がいつもげてもおかしくない状態、それが今の苗木であった。それでもちゃんと意識はあるのだが、前例がない以上戦刃にも処置のしようが無かった。

 

『そういえばさっき『血が足りない』って言ってまちたけど、血をあげれば治るんでちゅか?』

「…多分。そうしたいのは山々だけど、私にはできないの…」

『え?』

「私のNG行動は『血を流す』こと…。誠君が自力で血を吸えない以上飲ませてあげるしかないんだけど、そうなると私は『私自身』を傷つけないといけない…。誠君の血を飲めば一度は毒を防げるけど…誠君がそんなことを望んでない…」

 戦刃としては苗木の為なら迷いなくやれるのだが、肝心の苗木の目がその選択肢を断固拒否していた。

 

『ならここの『医務室』に行けばいいでちゅ!ここの医療設備は本土の病院と比べても遜色ないでちゅから、きっと『輸血用の血液』がある筈でちゅ!』

「…!そ、そっか。いつも私の血を飲んでもらってるから忘れてた…」

『…よく貧血にならなかったでちゅね』

「いつも血を吸った後は傷口治すときに一緒に血液も補充してもらってたから…。それに、なんでか分からないけど『私たち(妻)』の血を吸うときは他の人よりずっと少ない量で済むみたい…」

『ふーん…。不思議でちゅね、『愛の力』ってやつなんでしょうかね?』

「そ、そんな…」

 

「…アンタ達、ここにいたの…?」

「『ッ!?』」

 ハッとなって声の方を向くと、廊下の角に忌村が立っていた。

 

「忌村さん…その姿は?」

「え?…ああ、ちょっと薬を飲んだだけ…。それより、苗木の様子が変だったから気になって来てみたんだけど…それ、生きてんの?」

『一応、なんとか…でちゅけど』

 薬の効果でドーピングが効いたままであったが忌村自体は落ち着いており、苗木の傍でしゃがみこむとその凄惨な状態に思わず顔を顰める。

 

「…酷いもんだね。アタシも未来機関の『医療担当』でいろんな怪我人見てきたけど、これで生きてる奴なんて初めて見たよ」

「…宗方、アイツにやられた…!抵抗できないのを良いことにあいつは…ッ!」

「…ッ!」

「え?…あ、ご…ごめん」

「…どしたの?」

「…その、多分だけど…宗方…さんを、余り責めないでくれって」

「…お人よしにも程があんでしょアンタ。…けど、そういうところを村雨も気に入ったんでしょうね」

「……」

「…戦刃、これ苗木の傷口にかけといて」

 忌村は懐からなにかの『薬品』を戦刃に渡す。

 

「これは…?」

「『細胞活性薬』…まあ『傷薬』みたいなもの。服用すると多少の傷ならすぐに治るよ。…ただ痛み止めの為にモルヒネみたいな『鎮静剤』も入ってるから効きすぎることもあるけど…そもそも人間用の薬だし苗木なら大丈夫だと思うよ」

「…ありがとう」

 薬を受け取ると戦刃はすぐさま苗木の首にそれをかける。すると、赤黒く変色していた傷口が見る間に生気を取り戻し、あっという間に首筋は元の綺麗な状態に戻った。

 

「すごい…!」

『ふわわッ!まさに回復魔法…』

「…けど、塞がったのは表面だけみたいね。中はまだぐちゃぐちゃだろうからあんまり無理させない方が良いよ。…それとアンタ達、安藤と十六夜を見なかった?」

「安藤と十六夜…?」

『…そういえばさっき向こうの『トレーニングルーム』の方に誰かが走っていったでちゅよ』

「…!そう、ありがと…」

「……」

「…なによ苗木?」

「……!」

「え、えっと…」

 必死に忌村に何かを伝えようとする苗木を、戦刃が代弁しようと四苦八苦するが、当の忌村は悟ったかのようにため息を吐く。

 

「…ま、言いたいことは分かるけどね。けど、アイツらがそう簡単に話聞く訳ないでしょ?だから…もう徹底的にやるしかないのよ。後戻りできなくてもね…」

「……ッ!」

「…そんな顔しないでよ。…少しは頭冷えたからさ。じゃ…」

 物言いたげな苗木の視線を背に、忌村はその場を立ち去って行った。

 

『なにかあったんでちょうか、あの3人…?』

「さあ…?誠君は学園に居た頃に村雨会長のお使いで面識があったらしいけど…そもそもあの人たちは私たちが入学する前から『無期停学』だったらしいから」

「……」

「…でも、今はそれどころじゃないよ。面倒な奴が来る前にここを離れないと…」

 

 

 

 

 

 

「…それは俺みたいな奴の事か?」

「ッ!」

『はわわッ!?この声は…』

 今一番聞きたくない声に振り返ると、忌村が去っていった反対の廊下の角から逆蔵が現れる。

 

「逆蔵…ッ!」

「『さん』をつけろよ絶望女が。…手間が省けたぜ。テメエをおびき出す為にテメエの女どもをぶっ潰す予定だったが、まさかテメエ自身がノコノコ出てくるとはな。しかも手負いと来た…宗方がやったみてえだな」

「こんなときに…ッ」

『ど、どうしまちょう…?』

 どこかで拾ったのであろう鉄骨を片手に悠然と向かってくる逆蔵と苗木をそれぞれ一瞥し、戦刃は決心して苗木を月光ヶ原のマシンに乗せる。

 

『い、戦刃さん!?』

「…月光ヶ原さん。ここは私がアイツの相手をする。月光ヶ原さんは誠君を医務室に連れて行ってあげて。血液さえ飲ませれば、その傷もすぐによくなるはずだから…!」

『でも、危ないでちゅよ?』

「…アイツぐらいならどうとでもなる。それより、誠君をお願い。…例えあなたが『何者であろうと』、今はあなたを信用する」

『…分かりまちた!苗木君は任せてくだちゃい!』

「…お願い」

 

ギュィィィインッ!

 マシンの後方に座らされた苗木をロボットアームで括り付け、月光ヶ原は翻ってその場を逃げ出した。

 

『レッツゴーでちゅ!』

「ッ!待てッ…」

「行かさないッ!」

 

ガキンッ!

 ナイフを手に斬りかかった戦刃を逆蔵は手にした鉄骨で受け止める。

 

「ぐッ…!テメエ…ッ!」

「お前なんかが誠君に触れていいはずが無い…ッ!お前をこの先へは行かさない!」

「…フン。軍人だかなんだか知らねえが、こっちもありがたいぜ。…テメエ相手ならなんの気兼ねなくぶっ殺せるからな!『元絶望』さんよぉッ!」

「…許されるとは思ってない。けど、そんな考えのままでいる限り、お前たちは一生誠君には追いつけない。お前も…宗方もッ!」

「…ッ!ぬかせクソアマッ!」

「ハァッ!」

 

 

 

 

 

 

ガキィンッ!

「ハァッ!」

「ぬうんッ!」

 一方、モニタールームで始まった宗方と天願の戦いはモニタールームを飛び出し、吹き抜けの立体交差まで闘いながら移動していた。

 

「…若者は、何事も『急進的』であれば現実に立ち向かえると思っておる。だが、ワシに言わせれば、それこそ甘いッ!大切なのは、現実を『理解』し、恐怖を受け入れそれを克服することじゃ。目の前の『絶望』をただただ排除するだけでは、『イタチごっこ』に過ぎん。その蛮勇こそが、『犠牲』を生むのだッ!」

「どれほど犠牲が生じようとも、それは絶望を根絶やしにするのに必要なものだ!」

「成程。…では苗木君はどうかね?彼は犠牲を出したことはあっても、犠牲を『強いた』ことも、犠牲を必要とする『選択』もしたことは無かったぞ。…だが彼はここまで来た。かつての自分の組織という下地があったとはいえ、この短期間に我々と同等…いや、それ以上の活躍で世界を取り戻した。この現実を見ても尚、犠牲がどうしても必要と言い張れるかね?」

「…ッ!あの化け物と人間を同列に見るとは、貴方はやはり耄碌している…!人間には人間の『やり方』がある!化け物の常識を、人間に当てはめるな!」

 吐き捨てるようにそう言い放つ宗方に、天願は納得したように頷く。

 

「…やはりそうじゃったか」

「何…?」

「宗方君…君は苗木君に『嫉妬』しておるんじゃよ」

「ッ!?」

「まあ、当然の事じゃろうな。君は希望ヶ峰学園を卒業後、学園を『自分の力』で変革しようと逆蔵君、雪染君の協力を得て水面下で動き出した。…じゃが、その翌年に苗木君が入学してきた。あの若造…霧切学園長の期待を背負った彼は、それに応えるように凄まじい行動力と力で学園の『膿』と向き合い、それを正そうとした。…それは、君が学園に居る時にやりたかったこと『そのもの』だったのではないか?」

「…黙れ…」

「江ノ島盾子も、カムクライズルも、彼らが見ていたのは苗木誠だけだった。希望ヶ峰学園に居た時も、人類史上最大最悪の絶望的事件の時も、あのコロシアイ学園生活の時も…『絶望』の敵は常に苗木君じゃった。現在進行形で戦っているのは、自分達だというのに…な」

「黙れ…ッ!」

「何故彼だけが『江ノ島盾子の敵』になりえる?何故彼だけがあのような理不尽なまでの『力』を手にしている?何故彼にはただそこにいるだけで『命を賭けてくれる仲間』が集まる?…何故彼は何も『犠牲』にしようとしない?自分は『愛する者』を犠牲にしたというに…」

「黙れぇぇぇぇぇぇッ!!」

 怒りのままに切りかかる宗方に、天願は波紋の呼吸を整える。

 

「コォォォォォ…ッ!むんッ!」

 

パシィンッ!

 波紋によって極限まで研ぎ澄まされた天願の動体視力と反応速度が、宗方の振り下ろした刀を『白羽取り』する。

 

「ぐうッ…!?」

「…怒りは呼吸を乱す。そんなものでは、ワシは殺せんぞ!」

「俺は…間違ってなどいないッ!!」

「…馬鹿者が」

 

 

 

 

 

 

 

 

 その頃、霧切たちは目的の部屋…ゴズの遺体がある倉庫へとやって来ていた。

 

「…ここね、葵さん?」

「うん。…この部屋で、ゴズさんは…」

「しっかしよぉ、君らが隠れてた時この部屋は内側から『バリケード』がしてあったんだろ?しかもゴズ君が殺された時には壊された形跡は無かった…。襲撃者とやらはどうやったんだろうねえ?」

「それを調べるためにここに来たのよ。…じゃあ、入るわよ」

 霧切の問いに皆が頷き、霧切は扉を開ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ッ!?」

「…え!?」

 しかし、その先に在ったのは思いもよらぬ光景であった。

 

「う、嘘…なんで…!?」

「おいおい…俺は夢でも見てたってのか?」

「あ、朝日奈さん…。本当に、この部屋で『合ってる』んだよね?」

「う、うん…!間違いないもん!」

「じゃあ、これは…一体…?」

 彼らが見たものは…

 

 

 

 

「…どうして、ゴズさんの死体が『無くなっている』の?」

 血で濡れたナイフと血痕のみが残った、ゴズの死体が『存在しない』もぬけの殻の倉庫であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

キュラキュラキュラ…

『…着きまちたよ苗木君!』

「……」

 苗木を連れた月光ヶ原はようやく医務室へとやって来た。

 

ドサ…

『そこで待っててくだちゃいねー!すぐに血液パックをとってくるでちゅから!』

「……」

 苗木を適当なベッドに寝かせると、月光ヶ原はロボットアームを器用に操作してあちこちの棚や冷蔵庫を探し始める。

 

ガチャガチャ…

『えーと…苗木君は確かAB型でちたね?AB型の血液パックは…と』

「……」

 

『…あ、でも別に輸血するわけじゃないから血液型は関係ないんでちゅかね?』

「……」

 

『じゃあ好き嫌いとかありまちゅか?A型は好きとかB型は嫌いーとか…って、喋れないんでちたね』

「……」

 

『…ふわッ!?なにコレ!?…『血塗れの布きれ』?なんでこんなものが医務室にあるんでちゅか?…だ、だれかここに来てたんでしょうかね?』

「……」

 

 

 

 

 

 

 

『……ねえ、どうして『黙ってた』の?』

「……」

 突然、月光ヶ原の口調が変化する。

 

『気づいてたんでしょ?あの時…貴方があの会議室に入った時に、あの部屋にあった生命エネルギーの数が、貴方とあの死んじゃったお姉ちゃんを除いても『14人』しかいなかったってことにさ』

「……」

『私を庇ったワケじゃあないんでしょ?…だってお兄さんには私を『生かす理由』はあっても、『見逃す理由』は無いんだからさ』

 月光ヶ原は反転すると、苗木の傍まで寄ってくる。

 

『…それにしても、貴方も本当に馬鹿だよね。動けないからってあんなのにそんなにされてさ。本気出しちゃえば一捻りでしょ?…そんなに他の連中のことが大事なの?』

「…!」

『おー、怖い怖い!…そんなに怖い顔しないでよ~。私は今回あなたの『敵になるつもりはない』んだからさ』

 モニター映るウサギを介さずに発せられるその声。それはそれまでの合成音声とも無表情を通り越して『無機質』にすら感じる月光ヶ原にとっても、異常なまでにミスマッチな『幼い声』だった。

 

 

『まあ『ジュンコお姉ちゃん』にも頼まれちゃったし?このままあの副会長さんにデカい顔させとくともムカつくしさ~…』

 …そんな声を、本部から遠く離れた『アジト』にて直接吹き込みながら…

 

 

「…手を貸してあげるよ、マコトお兄ちゃん♡」

 『塔和モナカ』は画面の向こうの苗木ににっこりと微笑んだのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…同時刻、本土にある未来機関杜王支部では…

 

「…じゃあ、今本部の中とは連絡がつかないんだね?」

『そうだべ!あれから苗木っちも音沙汰ねえしよ…こっちはもうお手上げだべ!』

 葉隠は苗木の頼み通り、通信機を使って杜王支部へと連絡を取っていた。葉隠からの通信を受けているのは、支部長である康一と仗助、億泰、承太郎、そして怪我の治療の為に逗留していた十神である。

 

「襲撃を受けた上に『隔離状態』とはな…。ロクでもない『デジャヴ』しか憶えんぞ…!」

『…やっぱ、十神っちもそう思うけ?』

「だったら早く行って助けねえと…!」

「けどよぉ~、中には苗木だけじゃなく霧切たちも居んだろ?中からなんとかするんじゃあねえか~?」

「…『ただの監禁』ならそうだろう。だが、もしこれが『計画』されたものなら、犯人は恐らく彼女や苗木君を『無力化』する策を持っていてもおかしくない」

「策…ッスか?」

「ああ。例えば…力尽くで脱出しようとしたりスタンド能力を使おうとしたら、中に居る他の連中が代わりに死ぬ…とかな」

「そ、そんな…ッ!?」

 承太郎の予想に、康一たちも戦慄を覚える。いくら苗木でも…いや、苗木『だからこそ』、そういう手が何より有効だということを知っているからだ。

 

「…空条、貴様の『スタープラチナ』はまだ使えんのか?」

「…済まない。まだ調子が戻っていない…止められないことは無いが、今じゃあ精々『0.5秒』止められればマシ…ってとこだろうな」

「チッ…流石に苗木でも利用できるほどの時間ではないか…。なら、やはり俺達がなんとかするしかないか」

『おお!早く来てくれ~!』

「任せとけ!」

 仗助が力強くそう返答し、葉隠との通信が終了した。

 

「よぉっし!おい康一、早いとこヘリを用意して…」

「慌てるな虹村。…その前にやることがある」

「やることぉ?」

 十神の言葉に仗助と億泰が首を傾げる。

 

「…今回の事件の『黒幕』…。俺はそいつに『心当たり』がある」

「何…!?」

「だ、誰だよ!?」

「…塔和モナカ。先日の塔和シティの一件を引き起こした張本人だ」

「塔和モナカって…おい!そいつはこの間苗木と苗木の妹がぶっ倒しただろうが!」

「塔和モナカ本人はまだ健在だ。今はガキ共が見張っているらしいが…あの江ノ島から『絶望の英才教育』を受けたような奴だ。あんな奴らを出し抜くなど容易だろう。…それに、前々から気になっていたこともある」

「気になっていたこと…?」

「奴は他のガキ共に比べてかなりこちらの事情に精通していた。…おそらく、塔和シティの暴動を起こす以前からこちらの内情を探っていた可能性がある。…もし奴がそれに紛れて、あの本部の中に苗木達と共に閉じ込められているとすれば…」

「…ッ!?あの中に、塔和モナカの『スパイ』が居るってことかよ!?」

「あるいは『本人』か…まあ、どの道今回の件に一枚噛んでいる可能性が高い。まずは奴の動きを封じるべきだろう。…広瀬、ヘリの用意をしておけ。俺はその前に塔和シティの苗木こまると腐川にこのことを伝える。用意ができ次第、俺も向こうに向かう」

「わ、分かったよ…」

「つーかお前、もう支部長じゃあねーんだから敬語使えよな!」

「ふん、知るか。…俺はもう行く。時間が惜しいからな…!」

 不遜な態度をとりつつも、一刻も早く事態を解決するために十神は足早に去っていった。

 

「…フ。彼も変わったな。他人を頼る様になってきた…彼にとってはいい傾向だ」

「まだまだ生意気っすけどねぇ~…」

「アハハ…じゃあ、皆も準備をしておいてよ。僕はその前にちょっとやることがあるからさ」

「おう、なるべく早く頼むぜ」

 助太刀に張り切る仗助たちにそう言い残し、康一もその場を去ってどこかへと歩いて行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…コンコン

「…やあ、入るよ」

 やがて支部の外れにある部屋までやって来ると、康一はドアをノックし『部屋の中の人物』に断りを入れ中に入る。

 

「……」

「…話は聞いてたね。苗木君の危惧していた通りの事態になってしまった…。もう一刻の猶予も無い…ようやく、『君の出番』という訳だよ」

 

スクッ…

「……」(コク…)

 康一の言葉に、部屋の主は立ち上がるとしっかりと頷き返した。

 




今回は伏線回みたいな感じです
消えたゴズの死体…、やっぱりモナカだった月光ヶ原、そして杜王支部の謎の人物…一体誰なんだ(棒

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