ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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今回はかーなーり短いです
あとこの作品でどうして七海がいるのかということにツッコミが多々ありましたが、それに対する答えとしては…

 逆に考えるんだ。七海がメインヒロインしたっていいじゃないか。
としかお答えできません(笑)自分としてはこういうアドリブが効くところも二次創作の素晴らしさだと思っているので、その辺はご了承ください。


二つの希望

「きゃああああああッ!!?」

「な、七海ッ!」

「う、嘘だ…。嘘だ嘘だ嘘だ嘘だァッ!!!」

 眼前で爆発した七海に、クラスメートたちが悲鳴を上げる。

 

「え…?なな、み…先輩…?私の…せいで…?そ、そんな…!」

 舞園もまた、目の前で起きた惨劇を信じられないかのように恐怖の余り腰を抜かしてへたり込む。

 

「そうだね、君のせいといえば嘘ではないね」

 そんな舞園に、狛枝が微笑みながらゆっくりと近づく。

 

「誰も君が来ることなんて予想していなかった、七海さんも僕もね。けど、僕はきっとこの時が来るだろうと期待していた。自分の才能を生かすのが希望ヶ峰学園の生徒としての在り方なんだから、当然のことだよね。そして期待通り君がやって来た。結果的にとはいえ、君が七海さんを殺したんだよ」

「私が…七海先輩を…?」

「て、テメエ狛枝ァ!何ふざけたことぬかしてやがるッ!七海殺したのはテメエだろうがッ!!」

「確かに実行犯は僕だけど、あのままじゃ僕は七海さんには勝てなかったからね。舞園さんが来てくれたおかげで勝てたんだから、責任の一端が舞園さんにはあると思うんだけどなぁ?」

「狛枝…貴様、何を考えている!?」

田中の言及に、狛枝はフッと笑うと微笑みを狂気の笑みに変えて話し出す。

 

「…君たちも知ってるだろうけど、僕は『希望』というものを信じている。いや、いっそ信仰していると言っても過言じゃあないかな?そして『希望』が『絶望』なんかに決して負けないということもね。…けどね、光が強ければ闇もまた強くなる。この学園に集う『希望』が大きくなれば大きくなるほど、『絶望』もまた強くなる。そんなイタチごっこはもううんざりなんだよ。だから考えたんだ、…圧倒的な『絶望』が存在すれば、それに対抗するために絶対的な『希望』が生まれるんじゃあないかって。だから僕は決めたんだ、絶対的な『希望』を生み出すために、僕自身がそれの踏み台となる『絶望』になろうって…!」

「まさか…そんなことの為に小泉を傷つけ七海を殺したとでもいうのかッ!?」

「二人には悪いと思っているよ。彼女たちもまた『絶望』に対抗するための『希望』の一部なんだからね。けれど、彼女たちの犠牲があってこそ、絶対的な『希望』は輝くと思うんだ。二人の遺志を受け継いで『絶望』と闘う『希望』を想像したりするとね…なんていうか…その、下品な言い方で悪いけれど、フフ…『勃起』しちゃってね…興奮して夜も眠れないぐらいなんだよ…」

「へ、変態だーッ!?」

「や、ヤバい!?今日の凪斗ちゃん最高にクレイジーだ!控えめに言ってもイカレてるッ!!」

「意味一緒じゃねえか!」

 余りの事にドン引きしている77期生に背を向け、狛枝は未だに動けない舞園ににじり寄る。

 

「『超高校級のアイドル』の舞園さやかさん。多くの人たちの生きる希望となっている君は、どんな絶望をみせてくれるのかな?そしてその絶望の果てに、どんな希望が待っているのか、すごく楽しみだよ…!」

「あ…、い…やぁ…」

 限りなくにこやかに、しかし異常なまでの狂気を発しながら、狛枝は『キラークイーン』の手を恐怖の余り顔面蒼白の舞園の首にかける。そしてその首を簡単にへし折らぬようゆっくり力を込めていこうとしたその時

 

ドドドドッ!!

「ッ!?『キラークイーン』ッ!!」

 

パンパァンッ!!

 背後から放たれた何かを『キラークイーン』が叩き落とす。少しばかり手を引き裂かれながら、狛枝が発射源に視線を向けると

 

「…まだ、終わってないよ…!」

『彼女には…手を出させん!』

「ッ!七海さんッ!!」

「生きとったんかワレェッ!!」

 全身を焦げ付かせ倒れながらも、狛枝に『エメラルド・スプラッシュ』を放った七海の姿に、クラスメートたちは歓喜する。火傷によりかなりのダメージこそ負っているものの、狛枝を見るその瞳に諦めの色は無い。

 

「…へえ。爆発の瞬間にスタンドを盾に…いや、スタンドの方から盾になったのか!持ち主想いのいいスタンドで良かったね七海さん!」

「大きなお世話…」

(…だが大丈夫か七海?私は元々スタンドである以上君が死なない限り大丈夫だが…)

(…正直、足の火傷は少しまずいかな。立つのはちょっと無理そう)

 ちらりと視線を下半身に向けた七海の足はかなり焼け爛れており、もともとインドア派である七海にとっては行動不能になるほどの痛手ではあった。

 

「な、七海先輩…」

「大丈夫だよ…舞園ちゃん。苗木君たちが来るまで…私が守るから…!」

「…なんで、なんでそこまでしてくれるんですか!?私がここに来なければ、七海さんは怪我なんかしなかったのに…どうしてッ…!」

「…約束、したから」

「へ…?」

「日向君と、約束したから。『絶対に生きることを諦めるな。たとえどんな窮地でも、俺に妙な期待はするな。けれど自分が信じたことを守っていれば、きっと俺が助けてやる』って…日向君からのLesson1…それを私は守りたい。だから、私の命も、あなたの命も見捨てない…ッ!」

「七海さん…」

 どこまでも強い七海の意志。それは舞園の瞳から怯えを消し、決して挫けない不屈の色を取り戻すのに十分なものであった。

 

「…やっぱり日向君は面白いね。決して天才ではないのに、僕らの心を揺さぶる『何か』を持っている。苗木君も同じものを持っているのかな…?…どちらにしろ、彼らが『絶望』することになればきっと素晴らしい『希望』の礎になってくれるだろうね!その為には、やっぱり君たちには死んでもらうしかないみたいだね」

「…狛枝ァッ!」

「させるかッ!」

「おっと、動いたらそこの机を起爆させちゃうよ?君たちはともかく、動けない小泉さんはただでは済まないだろうねえ…分かったら、もう少しおとなしくししてよ」

「ぐっ…貴様ァ!」

飛び掛かろうとする生徒たちを制し、狛枝は『キラークイーン』を構えた。

 

「『キラークイーン』フルパワーの爆発だッ!君たち二人をまとめて、木っ端みじんに吹き飛ばすッ!!」

 右手を爛々と輝かせ、スタンドパワーを溜め込む『キラークイーン』。動けない二人は、その一撃が自分たちを確実に殺すだろうと覚悟していながらも狛枝を睨み続ける。

 

「これで…終わりだッ!!」

 『キラークイーン』の右手が七海に、左手から放たれた『シアーハートアタック』が舞園へと迫る。襲いくる死の恐怖に、二人は思わず目をつむり、その刹那に祈った。

 

 

 

「「助けて、苗木(日向)君…ッ!!」」

 

 

 

 

 

ズドォッ!!

 舞園へと迫る『シアーハートアタック』がぶつかるその瞬間、廊下の先から物凄いスピードで飛んできた何かが『シアーハートアタック』にテニスボール大程の穴を開けて突き抜けていき、風穴を開けられた『シアーハートアタック』はその場で崩れ落ちた。左手の分身である『シアーハートアタック』が壊れたことで狛枝の左手にも風穴が開けられる。

 

「何ッ!?」

 予想外の事態に驚く狛枝に、同じ方向から声が届く。

 

「『鉄球』に伝われ、俺の『波紋』ッ!そして描けッ!『黄金の回転』をッ!!届けッ!『回転鉄球の波紋疾走(メタルシルバー・オーバードライブ・オブ・スピニング』ッ!!」

 再びやって来たそれはやはりテニスボールほどの鉄球であった。しかし、それは淡い銀色の光を放ちながら不可思議な回転を描いて飛んできており、ただの投擲ではないことは理解できた。

 

「ッ!『キラークイーン』ッ!」

 その『鉄球』の正体を知る狛枝は、七海へと向けられた『キラークイーン』の手を『鉄球』へと向け両手でそれをガードする。命中すると同時に回転速度を上げた鉄球は光を高めながら『キラークイーン』のガードをぐいぐいと押し狛枝へと迫る。

 

「う…おおおおっ!!」

 間一髪のところでどうにか押し返したが、跳ね返った鉄球は回転を維持したまま勢いを留め、たった今教室に入ってきた男の手に収まった。

 

「ぎりぎり…間に合ったみたいだね」

「そうだな…っていうかお前俺の『鉄球』あんな雑な使い方するんじゃあねーよ!あれただの『鉄球』じゃねーんだぞ!壊れたらお前弁償しろよ!」

「まあまあ…」

「お、お前ら早すぎだっつの…こちとらバリバリのインドアボーイなんだぞコラ…」

「なっさけねえなぁ~左右田!」

 やって来た人物の声と顔で、七海と舞園の顔がパッと明るくなる。自分たちの死の刹那に願った人が来てくれた、助けてくれた。彼女たちには、ただその事実だけで十分だった。しかし、喜んでいるのは彼女たちだけではない。クラスの皆も待ちわびたとばかりに喜びの表情を見せ、…そして狛枝もまた待ちかねたかのように笑みを濃くする。

 

「…クッ、クッハッハッハッハッ!待ってたよ二人とも、さあ!僕に君たちの『希望』を見せてくれ!僕という『絶望』をいかにして打ち倒すのか見せてくれッ!!苗木誠君、日向・Z・創君!」

「…狛枝、お前には聞きたいことが山ほどあるが、とりあえず今俺たちがお前にすることは一つだ」

「舞園さんを、七海さんを、小泉さんを…皆を傷つけた落とし前、きっちりつけさせてもらいますよ…!」

 

「「覚悟はいいか?俺(僕)はできているッ!!」」

苗木誠と日向・Z・創。ジョースターとツェペリ。かつて共に邪悪と闘った二つの血統が、今またここに揃い踏みするのであった。

 

 




今回出てきたオリジナル波紋

・『回転鉄球の波紋疾走(メタルシルバー・オーバードライブ・オブ・スピニング』
…日向が波紋と鉄球の技術を組み合わせて生み出した日向オリジナルの必殺技。『黄金の回転』とは言っているが実際はまだ不完全なものであるためジャイロやウェカピポのような不思議なパワーを発揮することは無い。
しかし、無骨ながらも黄金長方形を描いた回転は鉄球に込められた波紋のエネルギーを高め、日向の遠投力にもよるが離れていれば離れているほど波紋のパワーを増すことができる。また、回転により対象に命中したのちは手元に戻ってくるというおまけ効果もある。

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