ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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ドラクエビルダーズめっちゃ面白いです
マイクラってめんどくさそうなイメージがあったんですけどやってみるとすっごいイイですね…。自分凝り性なんでつい街を要塞化しようとしてクリアに時間がかかってしまう…



…はい、ごめんなさい。そのせいで続きが書けません


触れ合えぬ再会

チーン…!ガガガ…

 蛇太郎を倒した後、再びエレベーターに乗り込んだこまるたちはようやく目的地である『最上階』へとやって来た。

 

「ここで…いいんだよね?じゃあ腐川さん、お願いしていい?」

「…し、仕方ないわね…」

 こまるに促され、腐川は渋々『無線機』を手近な机の上に置くと、周波数を『未来機関』のものにセッティングする。

 

「はい…これでいいわよ」

「うん。…あの!聞こえますか?誰かそっちにいませんか!?」

 

『ガガ…ガ…』

 こまるは無線の向こうに呼びかけるが、ここでも若干ジャミングが効いているのか画面は砂嵐のままで、雑音だけが聴こえてくるのみであった。

 

「私たちは、『塔和シティ』から通信しています!お願いします、返事をしてください!…お願いだから、応えてよぉッ!」

 

『ガガ…ガ…』

「……」

「…し、しょうがないじゃない。アイツ等のジャミングが予想以上だったってことよ。いつまでもここにいてもしょうがないんだから、追手が来る前に早く…」

 

 

 

 

 

『…ガ、ガ…きこ…え、て…ます…』

「ッ!!」

「うぇッ!?」

 雑音に交じって聞こえてきた声に、二人はハッとする。

 

「あの!もしもし、聞こえますか!?」

『聞こえて…います…。こちらは…未来機関第14支部、『支部長代理』…』

「え…?」

 そして砂嵐のままであったモニターに映し出された『顔』は…

 

 

 

 

 

『…霧切、響子よ』

 自分の兄の『恋人』であった、最後に会ったときよりも若干大人びた『霧切響子』であった。

 

 

 

「…きょ…」

『…?あの、あなたは…』

「響子お義姉ちゃんッ!!」

『ッ!!?その声…まさか、こまるちゃん!?』

「そうだよ…!こまるだよ、お義姉ちゃん!」

『えッ!?こまるちゃんなんですかッ!?』

『ほ、ホントに!?ホントにこまるちゃんなの?生きていてくれたの!?』

『…ええ、そうみたいよ。自分で見て御覧なさい』

 霧切が一歩下がると同時に割り込むように画面に映り込んだのは、髪をサイドポニーにした『舞園さやか』と見た目はあまり変わっていない『朝日奈葵』…会いたかった『義姉』たちであった。

 

「さやかお義姉ちゃん!葵お義姉ちゃん!」

『本当に、本当にこまるちゃんなんですね!ああ…良かった…!』

『怪我は無い?元気にしてる?』

「うん…!私は無事だよ。葵お義姉ちゃんの弟の悠太君も、さやかお義姉ちゃんの友達の羽山さんも、皆生きてるよ…!」

『悠太が…!?そっか、悠太も生きてたんだ…!』

『あやかも…無事で良かった…。ありがとうこまるちゃん、皆の無事を教えてくれて、生きててくれて…!』

「ううん…!私もありがとう…。信じてたよ…、きっと応えてくれるって…!」

 久しぶりの再会に、共に涙ぐみながら喜ぶこまると舞園、朝日奈。やがてひとしきり落ち着くと、後ろにいた霧切が話しかける。

 

『こまるちゃん、再会を喜ぶのはちゃんと会ってからにしましょう。…それより、ちょっといいかしら?』

「え?な、何?」

『私の予想が当たっていれば…今あなたの傍に十神君か腐川さんが居ると思うんだけど、代わってもらえるかしら?』

「ギクッ…」

「あ…よく分かったね。流石響子お義姉ちゃん!…腐川さん、呼んでるよ?」

「わ、分かってるわよ…」

 非常に重い足取りで腐川はこまるから譲られたモニターの前へと立つ。

 

「…何よ、なんか文句あるの?」

『…やっぱり十神君について行っていたのね』

「予想通りって訳…?ホントに無駄に勘が良いんだから…」

『『職業柄』当然でしょう?…とりあえず、こまるちゃんを守ってくれたことには感謝するわ』

「…フン。置いて行くのも寝覚めが悪かっただけよ。ホル・ホースの奴が居なきゃその辺に放り出してたわよ」

『ホル・ホースさんも一緒なんですか?あれ…?その割には見えませんけど…』

「あ、ホル・ホースさんは今怪我人を『避難所』に連れて行ってて…」

『避難所?』

『…腐川さん、悪いけど状況を端的に説明してもらってもいいかしら?こちらとしても情報が欲しいの』

「…しょうがないわね」

 

 

説明中…

 

 

 

『…成程ね。どうやら事態は予想以上に悪い方向に向かってるみたいね』

『まさか、またモノクマが現れるなんて…。しかもそんなにいっぱい…』

「しかもそれだけじゃないわよ…。首謀者の『希望の戦士』とかいうガキ共の中に…例の『モナカ』ってのが居たわよ」

『ッ!!?それって、誠君が言ってた…!』

「ついでにもう一つ、最悪のニュースを教えてあげましょうか…?さっき闘ったガキ共の内の一人がこう言ってたのよ。…『盾子お姉ちゃん』ってね」

『なッ…!!?』

「…盾子、お姉ちゃん?どこかで聞いたような…?」

『そんな…あり得ませんッ!!』

『だ、だって…、江ノ島ちゃ…盾子は…』

『…ええ。彼女は未だに誠君の『レクイエム』に囚われたままの筈よ。現に機関員から何度か『死んだのを目撃した』という報告を受けているわ。とすれば、やはり彼女は『あの事件』以前からなんらかの手を打っていたと見るべきね…』

「…腐川さんにお義姉ちゃんたち、その『江ノ島盾子』って人の事を知ってるの?私もなんか聞いたことがあるような気がするんだけど…」

「…ま、そうでしょうね。アンタは憶えてないかもしれないわね」

『…江ノ島盾子は、むくろさんの『妹』よ』

「え?むくろお義姉ちゃんの…って、あーッ!思い出した!どこかで聞いたと思ったら、よくファッション雑誌とかに乗ってる人気モデルの人だ!『ギャル系ファッション』がかっこいい人!」

「そっちで思い出すのね…」

「いやあ、むくろお義姉ちゃんがよく自慢してたから…」

『…それだけじゃないわ。彼女は私たちと同じ、『希望ヶ峰学園第78期生』の一員。そして…『人類史上最大最悪の絶望的事件』、この荒廃した世界を創り出した『張本人』の一人なのよ』

「…え?ええええええッ!!?」

 

 

 

 

 状況が飲み込めないこまるに、霧切は自分たちが体験した『コロシアイ学園生活』の全貌、そしてその中で聞いた『人類史上最大最悪の絶望的事件』の始まりを要約して説明した。

 

「つまり…その『江ノ島盾子』って人が、『人類史上最大悪の絶望的事件』も、お兄ちゃんたちが希望ヶ峰学園に閉じ込められたのも、今この街で起きていることも、全部の『元凶』ってこと…!?」

『最後に関してはまだ確信はないけど、前者2つに関しては間違いないわ』

「で、でも!その人ってお兄ちゃんがやっつけたんだよね?なのになんでまだ…?」

「…こまる、『絶望』ってのはそんな簡単なもんじゃないのよ」

「え?」

『彼女がこの世界に遺した『絶望』は、もう元凶を取り除いたところでどうこうできるレベルじゃなくなってるのよ。まるで刈り取った植物の地中に残った『根』がまた新たに生え出す様に、絶望の『根』は予想以上に深くまで根付いているのよ。こまるちゃん、それは今あなたも感じている筈よ…』

「そ、そんなに…?」

『今は私たち『未来機関』と、まこ…ジョジョの『パッショーネ』で少しずつ『絶望』に支配された場所を奪い返してますけど、それでもまだ向こうの方が優勢で…』

「…そういえば気になってたんだけど、その『ジョジョ』って誰なの?『パッショーネ』って確かお兄ちゃんの…」

『!ちょ…!こまるちゃんタンマ!』

「え?」

 モニターの向こうで3人は急に焦ったように周りを見渡すと、画面に顔を近づけてこまると腐川を近くに手招きし、先ほどよりやや抑えた声で話し出す。

 

『腐川ちゃん…!なんでこまるちゃんに説明してないの…?』

「し、仕方ないじゃない。説明する機会が無かったんだから…」

「あの…どうしたの?」

『…あのですねこまるちゃん、その『ジョジョ』っていうのは、誠君のことなんですよ』

「え!?そうなんだ…!…でも、なんで『ジョジョ』って呼ぶの?」

『今、誠君は未来機関とは『別の組織』として活動しているの。それにちょっと理由もあって、私たちが未来機関として活動するときは誠君の事を『ジョルノ・ジョースター』…『ジョジョ』って呼ぶようにしてるのよ』

「へえ……あれ?ってことは、お兄ちゃんって今『イタリア』に居るんですか!?」

『うん、そうなんだ…。むくろちゃんも一緒だけどね』

「そんなあ…。じゃあ、せめて連絡だけでも…」

『それも駄目なのよ…。誠君との連絡に使っていた『通信衛星』が先日何者かによって『破壊』されたみたいなの。今の未来機関にイタリアに向かう用事は無いでしょうし、まして宇宙まで人を飛ばす技術も余裕もないでしょうから、誠君との連絡は絶望的と言って良いわね。…頼みの綱は、誠君が『何時』この異変に気づいてくれるかどうかよ…』

「そ、そんな…」

 

 

『…とはいえ、こちらとしても手をこまねいていられる状況ではないようね』

「!そ、そうだよ…、お義姉ちゃん達、お願い…助けに来て!私、その為にここまで来たの!でも…もう限界だよ。これ以上、耐えられないよ…だからッ…」

『こまるちゃん…』

 

 

 

 

 

「…『駄目』よ」

「…え?」

 こまるの願いを無情にも否定したのは、霧切たちではなく腐川であった。

 

「アンタ達、絶対にこの街に来るんじゃあないわよ…ッ!これは『命令』よ、反論は許さないわ…ッ!」

「ふ、腐川…さん?何、言ってるの…?」

「…こまる、アンタには悪いけど今『未来機関』にこの街に来られちゃ困るのよ…」

「な、なんで…?」

『…やっぱり、既に十神君は敵に捕らわれてるみたいね』

「えッ!?」

『十神君からの定期報告が途絶えたから、まさかとは思っていたんだけれど…』

「…チッ、流石にごまかせないみたいね…」

『十神君が…!?』

『まさか…!?いくら数が多いからって、アイツがそんな簡単に捕まるなんて…』

「白夜様がモノクマ如きに捕まるわけがないでしょッ!…白夜様が捕まったのは、『アイツ』の仕業よ…!」

『アイツ?』

「紛れ込んでいたのよ…ガキ共の中に。『キラークイーン』の、『狛枝凪斗』がッ…!!」

『ええッ!?』

『狛枝…凪斗ですって!?』

『こ、狛枝さんが敵に!?なんで!?』

「んなもんアタシが知るわけないでしょッ!あんな『変態』のことなんか知りたくもないわよッ!!」

「狛枝…?」

「…アンタが言ってた、『召使い』って奴の名前よ。希望ヶ峰学園の『77期生』…アタシらの『一個上』の先輩にあたるわ」

「腐川さんたちの先輩…!?そんな人がなんであの子たちの召使いになってるの!?」

「だから、知るわけないでしょそんなことッ!…苗木辺りなら分かるでしょうけど、アイツの行動は私らには『理解不能』のレベルよ。何を考えてるもんだか知れたもんじゃないわ…」

『…けれど、狛枝さんが敵に回ったとなれば今回のことも納得がいくわ。おそらく未来機関に届いた『情報』の発信源も、きっと狛枝さんの仕業でしょうね…』

『行動もですけど…狛枝さんの『キラークイーン』と『幸運』も厄介極まりないですよ…』

「え…?じゃあやっぱり、召使いさんもスタンド使いだったんですか?」

『うん。…狛枝さんのスタンドの名前は『キラークイーン』。能力は『触ったものを爆弾に変える』ことができるの。殺傷力ならとびきり強力なスタンドだよ。左手には『シアーハートアタック』っていう爆弾があって、一度放つとどこまでも追いかけてくるんだよ』

「ば、爆弾!?…あれ、でもあの人の『左手』は…」

『それだけじゃないの。狛枝さんの一番怖いのは、そのあり得ないほどの『幸運』なんだよ』

「幸運…?もしかしてその狛枝さんも、お兄ちゃんと同じ『超高校級の幸運』なんですか?」

『ええ、その通りよ。…けれど、彼の幸運は誠君の『それ』とは全く別の物よ。誠君にとっての幸運は『向こうからやって来る』ものだけど、彼にとっての幸運は『自分の力で惹き寄せる』というものよ。』

「…??」

「…つまり、『自分が不幸な目にあった後』とか『自分を極限まで追い詰めた時』に初めてアイツの『幸運』は真価を発揮するのよ。しかも、より不幸であればあるほど、より追い詰めれば追い詰めるほどその『幸運』もとんでもないレベルになっていく…。それこそ、『常識では考えられないレベル』になる時もあるわ。云わばアイツは、『自分の命』を幸運を得るための『賭けの対価』にしてんのよ…!」

「ま、まさかそんな…」

『腐川さんの言っていることは誇張でもなんでもないわ。かつて希望ヶ峰学園も、彼の才能に関しては太鼓判を押していたみたいよ…』

「…この街に降りてすぐ、アイツはアタシの元に来たわ、そしてこう言ったのよ…『十神君を預かった。無事を保証して欲しいなら未来機関をこの街に近づけるな』…ってね」

「そ、そんな…!?」

『…腐川さん、狛枝さんは本当に『それだけ』を言ったのね?』

『え?』

「…悪いけど、もうアンタ達に話すことは無いわ。だからこの場で『宣言』しておくわ!もしアンタ達が『命令』を無視して未来機関をこの街に寄越したら…アタシは、迷うことなくこいつを『殺す』わッ!!」

「ッ!!?」

 刺すような視線をこまるに向け、腐川はモニターの霧切たちにそう言い放つ。

 

「こ、殺すって…そんな、冗談…だよね?腐川さん…?」

「…アタシが、『意味のない冗談』を言うと思ってんの?」

「え…?え…?」

 

『………分かった、わ』

「ッ!?響子…お義姉ちゃん…!?」

『きょ、響子ちゃん何を言ってるんですかッ!?』

『こまるちゃんが危ないのに、見殺しにするつもりなのッ!』

『応援を送れば、十神君もこまるちゃんも死ぬわ。十神君の身の安全がかかった状況で、腐川さんが躊躇すると思うかしら?』

『うッ…!?』

「そんな…響子お義姉ちゃん、私を…見捨てるの?」

『落ち着いてこまるちゃん。私は絶対にあなたを見捨てたりはしないわ。応援を送るのは無理でも、絶対にあなたを助けて見せる。お願い、信じて頂戴…』

「…本当に?本当に見捨てたりしないの?」

『当然よ。あなたは…私の、『私たちの』かけがえのない『妹』なんだから。…腐川さん、あなたの要求は呑んであげるわ。その代り、こちらからの『命令』にも従いなさい』

「な、何よ…?」

『あなたが何を考えているのかは知らないけど、これだけは絶対に守りなさい。…こまるちゃんと要救助民の皆さんがその街を『無事』に脱出するまで、あなたが命を賭けて皆を、こまるちゃんを守りなさい。もしそれができなかったら……私があなたを『殺す』わ』

「…え?」

 信頼する『義姉』の口から出た言葉に、こまるの思考は再びフリーズする。

 

「…大きく出たじゃない。アンタ如きがアタシを殺せると思ってんの?」

『今の私は代理とはいえ未来機関の支部長よ。候補生でしかないあなたを肉体的にも、社会的にも抹殺するぐらいのことは造作もないわ』

「…チッ」

「お、お義姉ちゃんも…腐川さんを殺すとか、冗談だよね?」

『…冗談のつもりはないわ。私は…いえ、私たちはあなたの為ならば、『人殺し』だってする『覚悟』があるわ。』

『…はい。こまるちゃんが戻って来てくれるなら、私はなんだってやります』

『うん。もう、そういうことから目を背けていられないから…』

「お、お義姉ちゃんたち…」

 

 

 

 

ガガ…ガガ…!

「ッ!?」

 突如無線機から異音が発せられたかと思うと、モニターの画面が歪み始める。

 

『なッ…!?これ、は…通信…が…』

「お義姉ちゃん!?」

『クッ…!こま…ちゃん!絶対……を捨て…で!きっ……まこ…が…たす…に…!』

 

ブツンッ!

 そして向こうからの言葉も満足に伝わらぬまま、画面は消えてしまった。

 

「お義姉ちゃん!?返事して、お義姉ちゃんッ!!」

「故障じゃあないみたいね。となると…まさか、感づかれた?」

 

 

 

 

 

 

ガションガションガション!

「!?」

「な、何!?」

 突如シャッターが降りて全ての窓が塞がれたかと思うと

 

パッ!

「わッ!?で、電気が…」

 照明も消え辺りが完全な暗闇に閉ざされる。

 

「ひ、ひぃぃぃぃッ!?」

「腐川さん!?」

「く、暗いわッ!ひ、光を…もっと光をぉぉぉッ!!」

「落ち着いて腐川さん!世紀末に出てきそうな小物みたいなこと言ってるよ!」

「…アンタはなんでいちいちチョイスが親父臭いのよ…?そ、そんなことよりッ!早く明かりを…明かりをォォォ!」

「そんなこと言っても…」

「いいからなんとかしなさいッ!アタシはド近眼だから夜目が効かないのよ…。アンタ若いんだからやれるでしょ…」

「わ、分かったよ…」

 喚く腐川に言われ、こまるは暗がりの中を渋々照明のスイッチを探しに向かう。

 

「もう、まったく勝手なんだから…。……本気、じゃないよね?私を殺すとか、嘘に決まってるよね…?」

 一人になったことで、先ほどのことを思い出してしまい歩きながら思案に耽るこまる。

 

「響子お義姉ちゃん…さやかお義姉ちゃん…葵お義姉ちゃん…。助けに来てくれるよね…大丈夫だよね…?」

 自分を励ます様にそう呟きながら歩いていると

 

ドンッ!

「うわッ!?」

 角らしきところを曲がったところで『何か』にぶつかった。

 

「あたた…な、何?誰…?」

「……」

「…人?」

 真っ暗なため輪郭ぐらいしか分からないが、こまるの前で無言のまま尻餅をついているのは、どうやら『人間』のようであることが分かる。

 

「あ、あの…大丈夫ですか?」

「…どうでもいい」

「え?」

「どうでもいいんですよ…僕の事なんか。今の僕には、他人から『心配』されるような『価値』なんてないんですから…」

「あ、あの…?」

 ゆっくりと立ち上がったその背丈と声から、どうやら相手は『身長180㎝ほどの男』であるようだ。

 

「僕の事なんてどうでもいいんです…。それで、あなたは何故こんな場所にいるんですか?」

「え…?あの…明かりが消えちゃったから、電気をつけ直そうと思って…」

 

 

 

 

『イエーイ!』

「ッ!?」

 とその時、暗闇に赤い光が灯ったかと思うと、聴き慣れてしまった奇声と共にモノクマが現れる。

 

「も、モノクマッ!?こんな時に…そこの人!早く逃げて!」

『オマエ、おしおきだぞ~?』

「……」

 こまるの警告もまるで聞いていないかのように、『男』は自分に走り寄るモノクマの方へゆっくりと振り返り…

 

「…『Act1』」

ズパッ…!

『…あれあれ?』

「え…!?」 

 モノクマの左目の光に照らされた『黒髪の長髪』が翻ったかと思うと、モノクマの首と胴が切り離された。

 

『そ、そんな…』

「…所詮、『あの女』が制御していないモノクマなどこの程度ですか…」

「す、すごい…!もしかして、あなた…」

 呆然とするこまるに、男は切り落とされたモノクマの首を引っ掴むとそれをこまるに投げ渡す。

 

「へ?…う、うわッ!?」

「…回路を傷つけずに切ってあります。頭のバッテリーだけでもあと数分はランプは消えない筈です。…何もないよりはマシだと思いますよ」

「あ、ありがとうございます…」

「…照明ですが、この階層にはスイッチはありませんよ。そこの廊下のから外の作業用通路に出れます。そこから梯子で降りて行けばある程度下まで降りれますよ…」

「ど、どうも…」

「では…」

「あ、あの…あなたはどうするんですか?」

「…僕の事は気にしなくても結構です」

「で、でもここは危険ですよ…!?」

「僕がその通路を知っているということは、僕はその通路を使ってここに来たということです。…何故わざわざ元来た道を戻る必要があるんですか?」

「で、でも…」

「もう僕には構わないでください…。『才能』を失い、『価値』を失い、『生まれてきた意味』すらなくなった僕には、もう『向かうべき場所』なんてないんですから…」

「あ…」

 引き留めようとするこまるに見向きすらせず、男は暗闇の中に消えていった。

 




苗木君の出番はもっと先だよ!
…出番がある時がストーリーの終わりみたいなものだからね!


そういや思い出したけど今日って苗木君の誕生日でしたよね。なんか番外編で誕生日ネタでも考えとこうかな…

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