「…なんだったの?今の…」
テレビの画面が写らなくなった後、こまるは一人そう呟いた。
「あの子たちが、この事件の犯人…?あんな小さいのに…!…でも、モノクマのご主人様ってことはそういうこと…?それに、『大人』は要らないって…」
放送の中であの少女が口にした余りにも恐ろしい言葉の数々。その意味を理解すること自体はこまるにもできた。…だが、それが意味するものを考えた時、こまるの脳裏におぞましい光景が思い浮かぶ。
「あの子たち…一体何を…」
「…うう」
「!」
後方より聞こえてきた呻き声に思わず振り返る。すると、ファミレスの勝手口付近に倒れていたスーツの男が怪我をした体を引きずりながらどうにか起き上がろうとしていた。
「だ、大丈夫ですかッ!?」
「ぐっ…あ、ああ。どうにかな…」
ようやく見つかった生存者に、こまるは大急ぎで駆け寄る。と、起き上がったその男の服装…黒のスーツにサングラスという出で立ちに見覚えのあったこまるはこの男の正体に気が付いた。
「あの…もしかして、未来機関の方ですか?」
「そ、そうだが…君は?」
「あ、あのッ…私、苗木こまるっていいます!さっき十神さんに会ってここに来れば未来機関の人と会えるって聞いたんですけど…」
「苗木…!?…そうか、君が『ジョジョ』の…」
「…ジョジョ?」
「…そうだ。支部長が言っていたのは私の事だろう。私はここで君たち『要救助民』と合流するよう待機していたのだが…ぐうっ!」
「!し、しっかりしてください!?」
「…どうやら、私はその任務を全うすることはできそうにない」
男が手で抑えていた脇腹からどくどくと血が止めどなく流れる。男は既に自分が助からないことを察していた。
「だがせめて…君だけは、ここから逃げるんだッ!そこの裏口からしばらく行った所にある公園に、未来機関のヘリが待っている…。それに乗って早くこの街から脱出するんだ!」
「は、はい!じゃああなたも…」
「私はいい…。どうせこの傷では永く持たん…」
「そ、そんな…!」
「いいから行くんだッ!君さえ生き残れば、『ジョジョ』に…『ジョルノ・ジョースター』に助けを求めることができる!もうこの街は我々の手には負えない…。君は一刻も早く14支部に向かって、『ジョジョ』と連絡を取るんだ!」
「…そ、その『ジョジョ』って誰なんですか!?私と関係がある人なんですか!?」
「…そうか、君は知らないのか。『ジョジョ』というのは君の…」
ガシャァァァンッ!!
「ッ!」
「な、何ッ!?」
突如窓ガラスをぶち破って店内に入って来たのは、先ほどやって来たものとはまた別のモノクマであった。
「ま、また!?」
「くっ…!君は早く行くんだッ!ここは俺が食い止める!」
「で、でも…」
「いいから行けぇ!『希望』の為にッ!」
「………はい…ッ!」
男の剣幕に押され、こまるは後ろ髪を引かれつつも裏口から脱出する。
「…支部長、すんません。折角の昇格の話もおじゃんみたいです。…さあこい化け物ども!俺が相手だ!」
扉の向こうから聞こえてくる男の声に何度も足を止めるこまる。しかし、引き返せば彼の思いを無駄にすることになる。
「…ごめんなさいッ!」
壁の向こうの男にこまるはそう呟いて、裏口の廊下を駆け抜け店外へと飛び出した。
「公園…、公園…!……あ、あった!」
店を飛び出してすぐ、通りの向こうに公園らしき場所を見つけ一目散に駆け出した。
「ぎゃあああ…ッ!」
「た、助けてぇッ!」
『うぷぷぷぷ…』
「…ッ!!」
走り抜ける道中であっても聞こえてくる、人々の阿鼻叫喚の叫びとモノクマの不気味な笑い声。しかし、今のこまるにその声に足を止めることは許されない。あの男の思いを無駄にするわけにはいかないのもあったが、ようやく見えた脱出の糸口を前にもうこまるに他人に構っている余裕は残されてなかったのである。
(お父さん、お母さん、お兄ちゃん…ごめんなさいッ…!でも、わたしもう無理だよ…。早く、こんなところから逃げ出したい…皆に会いたいよ…ッ!)
全てから目を背ける自分のことを心の中で家族に謝りながら、こまるはようやく公園へと駆け込んだ。
「ヘリ…って、あれだ!」
こまるの視線の先には、公園のど真ん中に着陸するヘリコプターと、その周囲でなにやら話し合う黒スーツの男女数人の姿があった。
「す、すみませーん!」
「…!あなたは…?」
「ハァ…ハァ…。み、未来機関の人たちですよね?」
「そうだけど…」
「わ、私…十神さんにここに行くよう言われて…。ここに来れば助かるって…」
「…もしかしてあなた、『要救助民』の人かしら?」
「は、はい!そうです!」
「…良かった。どうやらあの情報はガセじゃなかったみたいね」
「…だが、この状況からするに支部長の不安も当たっちまったらしいな」
「あ、あの!」
「ん?」
「そ、それより…ここの場所を教えてくれた未来機関の人が、向こうのファミレスで危ないんです!誰か助けに行ってあげてください!」
「…!分かったわ。直ぐに救出班を編成!B地区の偵察に向かっているホル・ホースと葉隠隊にも応援を要請して!」
「了解!」
どうやらこの女性がこの中のリーダーらしく、てきぱきとした指示で周りの黒服に命令を下す。
「安心して、すぐに助けに向かわせるから。…それで、支部長…十神くんはどうしたの?」
「十神さんは…その、他の人を助けるからってマンションに残って…」
「…そう。まあ彼なら心配はいらないでしょう。実戦経験もあるし、なによりスタンド使いなんだしね」
「はあ…。そうなんですか…」
どうやらかなり信頼されているらしい十神への反応に、思ったより凄い人だったのかもしれないと埒のあかないことを考えていたこまるは、この際だから聞いてしまおうと今まで気になっていたことについて問いかける。
「あ、あの…これって、一体何が起こっているんですか?『暴動』とか『要救助民』とか、それに『未来機関』とか『モノクマ』とか、私全然分からなくて…」
「…そうね。あまり時間はないけど、とりあえず端的に今の状況を説明しておきましょう」
「まず、私たちの事について教えてあげるわ。私たちは『未来機関』という組織に所属する隊員なの」
「…その、『未来機関』ってなんなんですか?十神さんは私たちを閉じこめた人たちの敵だって言ってましたけど…」
「概ねその通りだ。我々は『人類史上最大最悪の絶望的事件』によって引き起こされたこの絶望的な状況を打破するために活動している」
「『人類史上最大最悪の絶望的事件』…!」
その言葉自体に聞き覚えは無かったが、こまるはそれが何を意味しているのかは分かった。
「…君にも覚えがある筈だ。今から1年半前、全世界で同時多発的に起こった数々の人為的事件…殺人からテロまで考えられる限りのあらゆる事件が世界中のあちこちで発生したことで、世界は混乱の渦中に叩きこまれた」
「…はい。私の周りでも、その事件の影響かもしれない原因でクラスメイトが亡くなったってことがありました。最も1年半も前の事ですけど…」
「我々はそんな世界を一刻も早く復興すべく、日夜『絶望』の残党どもと闘う組織の一員という訳だ。そして君が出会った十神君は、その未来機関の14支部の支部長…我々の上司に当たる人物なのだよ。…そしてこの街だが、ここは『塔和シティ』と呼ばれるところだ」
「『塔和シティ』…?」
今度は全く聞き覚えのない言葉に、こまるは首を傾げる。
「『人類史上最大最悪の絶望的事件』が起こった際、世界中が謎のウィルス兵器によって汚染されたんだ。致死性は低いものの体の抗体をじわじわと弱め真綿で首を絞めるかのように人々を苦しめる…まさに『絶望ウィルス』といっても過言ではないものであった。だが汚染からしばらくして、『塔和グループ』という企業から高性能の『空気清浄器』が開発されたんだ」
「塔和グループ?」
「お嬢ちゃんは知らなくても当然か。…塔和グループは事件以前はそう規模の大きくない機械工学の企業だったんだが、この『空気清浄器』の開発により世界中から注文を受けて瞬く間に急成長を遂げてね、この『塔和シティ』もそんな塔和グループの御膝元ということでこれほどの都市に急成長を遂げたんだ。」
「しかも驚くのは塔和グループの手際の良さよ。なんと塔和グループは汚染からたったの1月でその『空気清浄器』の開発に成功したの!おかげで世界中の人たちが塔和の『空気清浄器』の恩恵を受けて被害を最小限に留めることができたわ。無論、未来機関も含めてね」
「へえ…!凄いんですね!」
こまるは塔和グループの活躍に思わず感心する。
「最も、うちの支部長はあんまり塔和に対していい顔をしないんだけどね」
「え?なんでですか?」
「うちの支部長は元『十神財閥』の御曹司だからなあ。今まで歯牙にもかけなかった他企業の功績を聞いて、嫉妬したんじゃあないかって皆噂してるけどね」
「…そうなんですか」
「まあうちの支部長はともかく、未来機関としてもその塔和グループのある『塔和シティ』は重要な場所だったの。塔和の御膝元ということで『人類史上最大最悪の絶望的事件』の影響も殆ど受けなかったらしいからね。…だからあなた達がこの街に居るという情報が入った時、正直半信半疑だったんだけど…実際に来てみたらこんなことになっていたって訳なの」
「…未来機関でも、暴動の原因は分かってないんですか?」
「ああ…。だが君も見たろう?さっきの子供たちの放送を…!もしアレが本当だとするなら、今回の暴動の首謀者はあの子供たちということになる。だとするなら、一刻も早くあの子たちを捕えてあの『モノクマ』の動きを止める必要がある…!」
「…とはいえ現状、今この街にいる戦力だけでの制圧は難しいわ。だからまずは本部に連絡して、応援を呼ぶ必要があるわ。機関所属のスタンド使いを総動員すれば短期間での制圧も可能でしょうし、『パッショーネ』の協力を得ることができればまず負けはしないわ」
「『パッショーネ』…?」
「ええ。組織自体は事件以前から存在していたんだけど、半年ほど前に『ジョルノ・ジョースター』と呼ばれる人物を中心としてイタリアを拠点に再興したギャング組織よ。ボスである『ジョルノ・ジョースター』を始めとして幹部クラス全員が凄腕のスタンド使いで、さらにその指導力と組織力により瞬く間に力をつけ、再興してわずか半年でイタリア全土を『絶望』から奪還するほどの成果を上げている、未来機関に並ぶ強大な組織よ。…ただ、未来機関とは折り合いが悪くてなかなか共闘することはないんだけど、こうなった以上彼らの力を借りるしか…」
「…!そ、その『ジョルノ・ジョースター』って誰なんですか!?」
「え?…ごめんなさい、『ジョルノ・ジョースター』…『ジョジョ』の正体は未来機関でも最高機密なの。知っているのは未来機関の最高指導部の人たちと、本部のスタンド使いの人たち、そして彼の学生時代からの友人だという支部長を始めとした14支部の一部の人たちだけなの。だから私には分からないんだけど…それがどうかしたの?」
「あの…その『ジョジョ』って人が私と…」
「…!…!」
「…!?待て、何か聞こえないか?」
そこまで言いかけたところで突如未来機関の一人が声を上げる。
「…本当だ、人の声がする…!」
「これは…歌声?」
「さあ楽しく殺しましょ♪オトナなんていーらない♪死体、百人!作れるかな?皆で競争~♪」
明るい声でそんなおぞましい歌を歌いながら公園にある大きな滑り台の向こうから現れたのは、モノクマの仮面を被った子供たち。そして彼らの足元には、通常より遥かに凶暴そうな4つ脚歩行のモノクマ。
「モノクマがいれば僕らは無敵♪モノクマと遊ぼう、いつまでも♪」
「シギャアアアッ!!」
そのモノクマは機関員を視界に捉えるや否やケダモノのような叫びを上げて喰らい付いた。
「うぎゃああああッ!!?」
「い、嫌ぁぁぁッ!!?」
「て、敵襲だーッ!囲まれているぞーッ!」
ふと周りを見渡せば、周りには子供たちが集まっており、モノクマもまた彼らの取り巻きの様にして公園一帯を取り囲んでいる。
「そ、そんな…!」
「くっ…!もう嗅ぎつけられたのか。…君、早くヘリに乗り込むんだ!」
「え!?で、でも皆さんは…」
「私たちは少しでも時間を稼ぐ!君だけでもここから逃げるんだ!」
「ええッ!?」
「一般人の君を戦わせるわけにはいかない!とにかくここから逃げろ!そして、未来機関に向かうんだ!」
「は、はい…!」
「…各員に告ぐ!誰でもいい、ヘリに一人乗り込んで本部へと撤退しろ!残りの者はヘリが飛び立つまで時間を稼ぐんだ!」
「り、了解!」
女性機関員の指示の下、未来機関の機関員はモノクマを食い止めるべく動き出す。またしても何もできない自分に歯噛みしながら、こまるは言われたとおりヘリへと乗り込む。そして扉を閉めようとした時、
ガアンッ!
「ひっ!?」
突如飛び掛かって来たモノクマが閉まる扉に腕を突っ込み、そのままこじ開けようとする。
「この…ッ!離れろ化けもの!」
「嫌ぁッ!あっち行け、あっち行ってってばあッ!!」
無論それをみすみす許す筈もなく、外から未来機関員が引きはがそうとし、内側からこまるも手に蹴りをいれてどうにか扉を閉める。
「はぁ…はぁ…ッ!」
バラバラバラバラ…!
そしてホッとしたのも束の間、ヘリのプロペラが回り飛び立とうとする。
「あ…!間に合ったんですね!良かった…、これで…!」
どうにか運転席まで辿りつけたであろう機関員に安全を確認するべく、こまるが運転席を覗き込むと。
『ヤッホー!』
「………え?」
そこに座って操縦かんを握っていたのは未来機関の人間ではなく、モノクマであった。
「な、なんで…!?」
そのことをこまるが理解するよりも早く、モノクマは操縦かんを引く。当然、例え誰が操縦しようがヘリコプターは等しく動くため…
「ちょ、ちょっと待ってぇーッ!!?」
哀れ、こまるはモノクマと共に大空へと飛び立っていった。
こまるとモノクマを乗せたヘリは塔和シティ上空を飛び回っていた。こまるとしてはどうにかしてモノクマからヘリのコントロールを取り返す必要があったが、目まぐるしく変化する現状に混乱し、その考えに至れなかった。
「どうしよう…!?このままじゃ、このままじゃあ…!」
…と、焦るこまるの耳に異音が入る。
バジ…バジバジッ…!
「…?何の音…」
こまるが音の方向を見ると、そこには操縦かんを子供の様にしっちゃかめっちゃかに動かすモノクマ。…どうやらこいつは理解してヘリを動かしていた訳ではないらしい。当然、そんな奴が力任せに操縦かんを動かせば…
…バキッ
「…あ」
へし折れた操縦かんは、モノクマがヘリのコントロールを失ったことを意味する。だがしかし、それは取り返したわけではなく誰も操縦できなくなったという訳であって、その結果どうなるかはこまるにも容易に予想がついた。
ヒュゥゥゥーッ!!
「い…、嫌ァァァァァッ!!?」
泣き叫ぶこまるを乗せたまま、ヘリは真下へと落下していく。当然、そのままコンクリートの地面に叩きつけられればヘリはこまるとモノクマもろとも木っ端微塵になるのは目に見えている。
(こんな…こんなことで死ぬのッ!?い、嫌ッ!絶対に嫌だ!お父さんに、お母さんに、…お兄ちゃんに会うまでは…死にたくないッ!!)
迫りくる死に対して、こまるはどうにもできないことを分かっていながらもそう強く想った。
…そんな彼女の『意志』に、『力』は応えた。
(…ッ!!?)
突如感じた、奇妙な感覚。
(何…?これ…?体が、勝手に…)
その感覚に反応し、こまるの体は意志に関係なく動き出す。腰の『ハッキング銃』を手に取り、迫りくる地面に向けて銃口を向け、ダイヤルを合わせることなく、引き金を引いて…『叫んだ』。
「…『ぼよーん』ッ!!」
放たれた銃弾に記されていたのは、こまるの叫んだ通りの『ぼよーん』という文字。それはヘリのガラスを通り抜け、ヘリよりも一瞬早く地面に着弾する。そしてそれに続くようにヘリが地面に衝突する…その時
ぼよよ~ん!
そんな擬音が聞こえてきそうな感じで、ヘリは地面に衝突すると同時にまるでトランポリンのように『跳ね返った』。
「…え?」
その現象に驚くこまるは、跳ね返った勢いで開いた扉からそのまま外に投げ出されてしまった。
「ひゃあああッ!?」
空中を舞うこまるはそのまま道路に落ち、お尻を強かに打ちつける。やや遅れてその後方にヘリが頭から落っこちて、今度は跳ねることなく潰れ、爆発を起こす。
「きゃああッ!!?」
爆風から身を守りながら、こまるはとにかく逃げるべくズリズリと這って動く。
「逃げなきゃ…逃げな…きゃ?」
と、そんなこまるの前に覆いかぶさるように影が現れる。ふと顔を上げると
そこには『絶望』が…モノクマが無表情にこちらを見つめていた。
「ッ!?ひ…」
思わず声を上げようとしたこまる。だが、その声は『より悪い』事態によってかき消される。
「…ッ!!?」
ハッとなって見上げてみれば、モノクマは目の前の一体だけでなく、こまるの周囲をぐるりと取り囲んでいた。しかもそれだけではなく、周囲のビルの屋上やこまるのいる道路の下からも、モノクマが際限なく落ちてきたり登ってきたりする。いつしかこまるの視界360度は、白と黒のツートンカラーに埋め尽くされていた。
「……あ」
その余りにも絶望的な状況に、こまるの精神はついに限界を迎え…
バタッ!
崩れ落ちるように、その場に倒れ伏せてしまった。
所変わって、ここはどこかにある石造りのまるで中世のお城を思わせるような広間。その中央にて、車椅子の少女が虚空を見つめてぼんやりとしていた。
とそこに、遠くからどたどたと走る音が近づいてきて、やがて扉を開け放って入って来たのは、活発そうな印象を持つ赤毛の少年。
「おーいモナカちゃん!言われてた『オトナ』を皆捕まえてきたぜー!」
少年は車椅子の少女に嬉しそうにそう叫ぶ。それを聞いて、モナカと呼ばれた少女は振り返って嬉しそうに応える。
「わー!ありがとー大門君!…じゃあ、『召使い』さんに『例のリング』をつけて起きるまで閉じ込めとくようお願いしてもらえる?」
「え?別にいいけど…殺さないの?『オトナ』なのに…」
「いーのいーの!…殺すよりもっと楽しいことになるからさー!私を信じて?大門君」
「…お、おう!まっかせとけ!『魔法使い』のモナカちゃんの頼みとあればこの『勇者』大門大様がなんでも叶えてあげるぜ!」
照れるようにそう言って少年…大門は走り去っていった。それを見送った後、モナカは再び虚空を見上げて今度は嗤い始める。
「うぷぷ…うぷぷぷぷ…!さあ、いよいよ始まるよ…。『希望』を『絶望』に変える、最高の舞台が始めるんだよ…!見守っててね、『盾子お姉ちゃん』…。うぷぷぷぷぷ…!」
少女の嘲笑は、誰の耳にも入ることなく闇に溶けていった。
今回ここまで
こまるのスタンドはなんなんでしょうねえ(棒)