ダンガンロンパ~黄金の言霊~   作:マイン

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いよいよ第一部完結です。この終わり方に疑問を覚える方もいるかもしれませんけど、これはすべて続章への布石なのでご了承ください
では、どうぞご覧ください


エピローグ2 再生-rebuild-

「…………え?」

 唐突に告げられた苗木の別離の宣言。それに真っ先に反応したのは、無論彼を愛する少女たちであった。

 

「ど…どういうことですかぁ苗木君ッ!!?」

「イタリアに行くって…それって、私たちと別れるってこと!?」

「…え、え…え?」

「…説明してもらえるかしら苗木君?」

 鬼気迫る様子で詰め寄ってきた彼女たちに、苗木は決まりが悪そうに事情を説明する。

 

「…正直、僕は康一さんたちから未来機関のことを聞いた時、あまり期待はしていなかった。世界を復興させようとしていることは頼もしいけど、彼らはプッチの…というよりスタンド能力の危険性に関して余りにも無頓着すぎる。そしてさっきの会合と、むくろに対する処断でもう決めたんだ。プッチを一刻も早く倒すためも、イタリアに戻ってパッショーネを再興し、もう一つの勢力として独自に動く必要があるとね」

「け、けどよぉ…戻るっつったって、どうやってイタリアに行くんだよ?」

「その辺はもうジョセフさんにお願いしてある」

「何…?」

「…さっき苗木君から頼まれてのう、SPW財団が保有していた小型ジェットを一機チャーターするよう指示しておいた。明後日には出立の準備ができるじゃろう。…最も、燃料は片道分しか用意できんかったがのう」

「それで充分です。どの道向こうが落ち着かないことにはこっちに戻れませんから」

「…けどよぉ、なんで戦刃だけなんだよ?嬢ちゃんたちみんな連れてってやりゃあ良いじゃあねえか?」

「そ、そうですよ!私たちも一緒に行きます!もう足手まといにはなりませんよ!」

 しかし、苗木はそれに対して首を振る。

 

「…駄目だ。皆には未来機関に残って欲しいんだ」

「え!?」

「…何故だ?」

「無論僕としても皆の力は当てにしたい。けど、今までの『絶望』との闘いでこの場の皆もかなり疲弊している。ようやく形になって来た『希望』の拠点を潰さないためにも、皆にはここを守り、この拠点を広げるための力になって欲しいんだ」

「…気持ちは嬉しいけどよ、だからって戦刃一人ってのは無えだろう?せめてあと一人か二人連れてってやってもいいんじゃあねーか?」

「…むくろだけを連れて行くのには、理由があるんだ」

「…理由?」

「皆も薄々感じてるかもしれないけど、この未来機関はむくろの様に一時『絶望』側になってしまった人間に対しかなり対応が厳しい。…きっと『絶望』との抗争の時も敵に対して生死を問わないような指示をしてきたんじゃあないかな?」

「…そうだね。相手が過激だからということもあったけど、基本的には捕縛よりも抹殺が基本になっていたよ」

「…確かに気持ちは分からないでもない。でも、敵だから殺すなんて単純な考えで闘っていたんじゃあ結局何も変わらない。『絶望』側は同胞の死にさらに『絶望』し、『希望』側の人間もむやみやたらに殺すという現実に疲れ、いつかこの状況に『絶望』してしまうかもしれない。…僕は、『絶望』してしまった人の中にも、まだ『希望』を失っていない人がいると信じている。だからこそ、僕はそんな人たちの為の『受け皿』を創ってあげたいんだ。…どの道むくろはここには居られないし、元『超高校級の絶望』であるむくろが居れば、そんな人たちも多少は投降することに躊躇いを失くしてくれるかもしれない。その為にも、僕はむくろだけを連れて行こうと思っているんだ」

「…確かに、それができりゃあいいことかもしれねえけど、よぉ…」

 苗木の言葉に皆難しそうな表情で考え込む。

 

 

「…フン、そういうことか」

 と、そこで十神が何か悟ったように呟く。

 

「んあ?白夜様なんか分かったの?」

「ああ。…苗木よ、随分と立派な御託を並べるのはいいが、この際ハッキリ言ってしまったらどうだ?」

「…」

「…何の事?」

「言いづらいのなら俺が言ってやる。…苗木、お前は『77期生』の連中を守ろうとしているのだろう?」

「ッ!?77期生って…日向さんたちのことですか!?」

「で、でも…希望ヶ峰学園の生徒はほぼ全員死亡したって…」

「…いや、僕は憶えている。あの人たちはまだ生きている。…『絶望』の一員となってね」

「え!?」

「…学園が『絶望』の襲撃を受けるしばらく前から、日向君を始めとした77期生の人たちと連絡がつかなくなっていた。その時僕は別件で動いていたから詳しく確かめなかったんだけど、思えばあの時既に彼らはなんらかの影響で『絶望』して学園の外に逃げ出していたのかもしれない…。実際、学園で死亡した人たちの中に77期生の皆の名前はなかったしね」

「…うん、その通りだよ。盾子ちゃんはあの時、苗木君の注意があの事件に向いていたのを利用して、77期生の皆を『絶望』させるための手を打っていたんだ。…七海さんだけは、カムクライズルの方に向かわせていたけどね」

「…あのゴタゴタの間にそれが全部重なっていたのか。本当に無駄が無い…」

「あの…なんの話ですか?」

「ああ悪い、ちょっと脱線しちゃったね。…ともかく、77期生の皆がまだ生きている以上、僕としてはなんとかして彼らを保護して元に戻したい。けど、未来機関ではそれが許されないだろう。だから僕は、彼らを守るためにも未来機関の目が届かない『環境』を用意してあげたいんだ」

「……」

「…それに何より、僕はパッショーネの『ボス』だ。仲間を、部下を放っておくことはできない。まだミスタやフーゴ、トリッシュ達が向こうで闘っているかもしれない以上、僕は戻らなければならない。ブチャラティ達との、『約束』を果たすためにも…!」

 苗木の言葉には、迷いが無かった。彼らはそれで確信する、『もう止めても無駄だろう』と…

 

 

「…やれやれだわ。まったく苗木君は言い出したら聞かないんだから…」

「…ゴメン」

「でも、それが苗木君なんですよね。自分が正しいと信じた道を、どんなことがあっても突き進む…」

「そんな苗木だから、私たちは好きになったんだよね!」

「…皆、ごめん。私のせいで…」

「気にすんなってむくろちゃん!どーせ俺たちゃアンタを放っておくつもりは無かったんだからよ!」

「フン…、精々向こうでしっかりやることだな。後で未来機関を乗っ取った俺に恥ずかしくないようにな…」

「おお、ビッグマウス」

「イイねェ~!それでこそ白夜様ッ!!」

「…けどよ、そうなっちまうともう当分苗木っちとは音沙汰無くなっちまうんだよな」

「…ああ、それに関してはなんとかなると思うよ」

「え?」

「だよね?音石さん、アルターエゴ?」

 苗木に促され、音石と舞園の電子生徒手帳の中にいるアルターエゴが前に出る。

 

「実はよ、お前らがお偉いさんと会ってる間に俺の『レッド・ホット・チリ・ペッパー』がそこの電子の妖精さん連れて、例の通信衛星の所まで連れてってやったんだ」

「通信衛星って…学園の中の様子を中継していたアレか?」

『うん!一通り調べてみたんだけど、あの衛星だけはこの状況でもまだ通信機能が生きていたんだ!だからプログラムにハッキングをかけて、完全なプライベート通信ができるように設定を書き換えてきたんだ!』

「ってことは…それを使えば苗木君と通信できるということですか!?」

『うん!多分大丈夫だと思う』

「つーことはとりあえず連絡はつくってことかい。けど大将、流石に嬢ちゃんと二人っつーのは無理があるんじゃあないかい?いくら向こうに仲間がいるかもしれないって言っても、ちょいとキツいんじゃあないかい?」

「それについても手は打ってあるよ」

「何?」

「…やっと僕の出番のようだね」

 そう言って前に出たのは、一枚の紙とGペンを持った岸部露伴だ。

 

「露伴先生?」

「確かにいくらなんでも僕とむくろだけでは少し無理がある。だから僕は、この杜王町にいる人たちから僕と一緒に行ってくれる人を募ろうと思っている」

「え?ここからか?」

「ジョセフさん、この杜王町には日本からの避難民だけじゃなく、他国から避難してきている人もいるんですよね?」

「…ああ、そうじゃ。SPW財団の本社から撤退する際、可能な限りの輸送手段を用いてアメリカから大勢の避難民をこの日本に連れ帰って来ておる。もしかしたらその中には、スタンド使いも紛れ込んでおるかもしれん…」

「加えて、未来機関みてえな堅物組織とは相容れねえ性格の奴もごまんといるだろう。そいつらから戦力になりそうな奴を見繕おうってハラかい…」

「そこで僕の出番って訳さ。僕の『ヘブンズ・ドアー』で苗木君とそりが合いそうな奴の興味を引くようなポスターを作る。そのポスターを見て、ビビッときた奴は『素養がある』ってことになるのさ」

「…という訳で、露伴先生お願いします」

「任せておきたまえ」

 自信満々にそう応え、露伴は手にした紙にGペンを突き付けると、己のスタンドの名を呼びながら目にもとまらぬペン捌きを見せつけるのであった。

 

「『ヘブンズ・ドアー』ッ!!」

ドシュシュシュッ!!

 

 

 

 

 …その翌日、完成した岸部露伴謹製ポスターは避難所の一番人通りの多い通りに張り出された。事件以前から超一流漫画家として知られている露伴の絵ということで皆一度は目にしようと大勢集まったが、その余りにも無謀すぎる内容に絵だけを見て帰る人が殆どであった。

 

「…ったく、苛つくぜ未来機関の奴ら。折角手を貸してやろうと思ったのに子供だからって適当にあしらいやがって…」

「まあしょうがねえよ。アイツらはそのスタンド…?とか言うのが見えてねえんだし、そもそもお前みたいな子供を戦場に出す訳にゃあいかねえだろ」

「…というより、君はあの徐倫という少女が目当てなのではないか?」

「う、うるせーな!…確かにあの子とは仲良くなりてぇけど、それ以上にこんなせまっ苦しい所に押し込められてんのが我慢ならねえ。俺は闘えるのに、『元犯罪者』だからって連中は相手にもしやしねえ…!」

「…ま、そうだよな。実際アタシたちはここでも結構肩身狭いもんナァ…」

「だがそうそうそんな都合のいい環境など…」

 

 しかし、そこに描かれた露伴のスタンド能力が持つ『運命』は『素養』の在るものを確かに引き寄せる。

 

「…おい、有ったぞ。その都合のいい環境がな…」

「あ?」

「…なんだと?」

 

 『スタンド使い同士は引かれ合う』…その言葉の通りに。

 

 

 

 

 

 

 

 話し合いの翌日、苗木は戦刃を伴い翌日にイタリアへ向かう旨を未来機関に通告した。当初戦刃を脱走させたことに渋い顔をしていたが、将来の癌細胞となりえる戦刃と自分たちに非協力的な苗木をまとめて辺境に追いやれることを知り、何の問題もなく出国を許したのであった。

 

 そして出国の準備が進む中、苗木はポスターを見て自分についてきてもいいという人間が現れたことを聞いてさっそく面談していた。

 

「…では、君たちは僕に協力してくれるということでいいんだね?」

「ああ。…ただしその代わり条件がある」

「条件?」

「アンタ…、空条徐倫って女の子を知ってるか?」

「徐倫ちゃん?そりゃ知り合いだけど…彼女がなにか?」

「ほう、知り合いなら話が早い。…俺の要求はたった一つ、俺を将来彼女と『結婚』させて欲しい」

「……はい?」

「俺は彼女に心底惚れている。だが、今の俺に彼女と釣り合うだけの価値は無い。だからアンタの下で働いてやる代わりに、俺自身が納得できる存在になった時に彼女と結婚させるんだ。『祝福』しろ、結婚にはそれが必要だ…」

「話をややこしくしてんじゃあねーよッ!Oh my God!」

「…要するに、こいつは以前彼女に助けられたことがあってな、その時に一目ぼれしたらしい…」

「…僕の一存で決められることじゃあないね。少なくともまずは彼女の父親の承太郎さんが目覚めないことにはどうにもならない。でも…その時に、口添えぐらいはしてやってもいいよ。僕が納得する仕事ぶりをしてくれればね」

「OK、交渉成立だ」

「で、そっちの二人は何故?」

「あ~…、アタシはさ、なんていうか未来機関って奴が性に合わないんだよね。アタシ一応脛に傷持ちだし、どーにも居心地悪いからさ…アンタみたいなちょいとクレイジーなところで好き勝手やる方が面白そうなんでよ」

「…俺には、過去の記憶が無い。だから俺は自分に関するルーツを探している。そんな時…、あのポスターを見て俺は『運命』のような物を感じた。アンタと一緒に居れば、俺は自分を思い出すことができるかもしれない。そう思っただけだ…」

「…分かった。君たちを歓迎しよう」

「うっし!」

「感謝する。…あと、この子もいいだろうか?」

「…そういえば気になってたんだけど、その子は君の子かい?」

「いや、この子は刑務所にいた頃に囚人の女が産んだ子でな、今まで俺が面倒を見てきただけさ」

「成程、…無論構わないよ。それじゃ、君たちの名前を教えて貰ってもいいかな?」

 

 

 

 

「『ナルシソ・アナスイ』だ。よく覚えておけよ」

「アタシは『エルメェス・コステロ』。よろしくなボス!」

「『ウェザー・リポート』…。こっちの子は『エンポリオ』という。以後よろしく頼む…」

 

 

 

 

 新たな仲間を加え、いよいよ出立を明日に控えた日の晩。苗木は当てられた部屋にて荷造りを済ませ明日からの日々に向けて想いを馳せていた。

 

「…もう明日にはしばらく日本ともお別れか。名残惜しいけど、ミスタ達を放っておくわけにもいかないし切り替えなきゃな…」

 

ピンポーン

「…来たかな」

 来客を告げる部屋のインターホンが鳴り、来客の正体に見当のついている苗木が扉を開けると

 

「こんばんは苗木君」

「…お邪魔します」

「やっほー苗木!」

「…夜分遅くにごめんね」

 そこには舞園、戦刃、朝日奈、霧切の4人が立っていた。

 

「…ちょっといいかしら?」

「そろそろ来るころだと思ってたよ。…どうぞ皆」

 来訪を予感していた苗木は戸惑うことなく4人を部屋へと招き入れる。

 

「…御見通しだったなんて、苗木君の癖に生意気ね」

「まあ、そこは男の甲斐性ってことで勘弁してよ」

「そうですよ!霧切さんだって嬉しいくせに…」

「な・に・か・い・った?」(ギリギリ…)

「ひゃふぅ…にゃ、にゃんでもありましぇん!」

「アハハハ!」

「フフ…」

 男の部屋に年頃の女子が4人も押しかけているというのに、皆自然体でいられるのは4人が心底苗木の事を信頼しているからであり、また苗木も彼女たちに心を完全に開いている証明でもあった。

 

「さて…、いよいよ明日ね」

「そうだね…。戦刃ちゃん、苗木の事お願いね」

「うん、任せて…。といっても、私の方が苗木君のお世話になっちゃうかもしれないけど…」

「そんなことないですよ!ね、苗木君?」

「ああ、頼りにしてるよむくろ」

「…うん」

「こっちのことは任せて頂戴。今日説明を受けたのだけど、私たちは明日から未来機関の第14支部に配属されることになるの。ただ、ジョースターさんの計らいでSPW財団の仮職員も兼業することになるから待遇は良いって話よ」

「十神君なんかジョセフさんの補佐官に抜擢されたって言ってましたよ!」

「…なのにアイツ『その内CEOの座をいただく』とか言っちゃって、ホントどこまでも上から目線なんだから…。ジョセフさんもそんなこと言われてニコニコしてるだけだし…」

「…むしろ最初からそのつもりだったんじゃあないかな?」

「へ?」

「本来ならジョセフさんの後任は息子の仗助さんか孫の承太郎さんが継ぐのが最もだ。…でも、承太郎さんは昏睡状態、仗助さんは言っちゃあ悪いけど会社員って柄じゃあない。けれど十神君には経営者としての確かな才能がある。今の状況を打破するためには、優れた経営者に後を任せるのは正しい判断だと思うよ」

「…そういえば、十神君を選んだとき『ジョセフ・ジョースターの最後の大仕事じゃ』って言ってたけど、そういう意味だったのね」

「けれど、十神かぁ~。まあ、間違ってはないだろうけどなぁ~…」

「…あ、でも!十神君がCEO…?ってのになったら、腐川ちゃんは社長夫人ですよね!玉の輿ですよ玉の輿!」

「…それは元から変わってないと思う」

「…呑気な物ね」

 ガールズトークに花を咲かせる4人に、苗木はしばしタイミングをまった後話を切り出した。

 

「…で、日本に残る皆になんだけど、お願いしたい事が有るんだ」

「…お願い、ですか?」

「うん。…皆、江ノ島さんに見せられた最初の『動機』のDVDを憶えてる?」

「ッ!…はい」

「あの時は僕も動揺していたからそこまで考えられなかったんだけど、…よくよく考えたら少し『変』だと思ったんだ」

「変…?」

「あのDVDには、皆の『大切な人』の安否を心配させるような内容が入っていた…皆もそうだったよね?」

「うん…。私は家族…っていうか弟だったよ」

「私は御爺様ね。…最も、あの人がこんなことで死ぬとは思えなかったけど」

「それなんだけど…、僕にはその人たちが本当に死んだとは思えないんだ」

「…根拠はあるの?」

「うん。江ノ島さんが用意した以上、あの映像自体は合成でもない本物だと思う。…けど、江ノ島さんともあろう人が『自分が敗北する結末』を想定していないとは僕には思えないんだ」

「そういえば…最後の学級裁判でも『苗木君が勝つ』っていう結果を消せなかったって言ってましたよね」

「もし仮に江ノ島さんが敗北することを想定していたとなると、僕らの身内や知り合いが一切合財死に絶えているというのは『絶望』にとって都合が悪いと思うんだ」

「?なんで?」

「僕らはあのコロシアイ学園生活の中で、意図的にしろ偶然にしろ皆スタンド能力を手に入れている。そんな僕らが外に出るということは、一騎当千の戦闘能力を持った敵を少なからず増やすことになる。この杜王町にいるスタンド使い達だけでもこれだけの防衛ができているのに、これ以上戦力が増えることは『絶望』にとって決して望ましいことではない。…最も、江ノ島さんが外にいる連中のことまで気にしていたのかは分からないけど、どっちにしろ僕らが外に出た時に、その行動を制約するための『枷』となるものを用意していても不思議じゃあない」

「その『枷』があの映像に映っていた人物…つまり、『人質』ということかしら?」

「そ、それじゃあ…!」

「ああ。もしその通りなら、きっと彼らはまだ生きている。どこかに…未来機関の目の届かない場所に捕まっている可能性が高い」

「…貴方の頼みとは、その『人質』の救出ということかしら?」

「そうだ。国外なら僕の方で手の打ちようがあるけど、流石にあの短期間でそれだけの準備ができるとは思えない。きっと『人類史上最大最悪の絶望的事件』の前から、なんらかの下準備をしていたに違いない。となると、国内…それも簡単に目の届かない『離島』のような場所にそれがあると思う。未来機関と協力して、その場所の調査と人質の救出をして欲しいんだ。場所さえ分かれば、向こうが落ち着き次第僕も協力する。…頼む」

「もちろんです!」

「うん!皆が生きているんだったら、私たちが助けないと!」

「ありがとう。…で、もう一つ。ある人物について調べて欲しいんだ」

「ある人物?」

「…モナカという少女だ」

「…ッ!!」

「モナカって…あのモノクマの操縦室にあった名前の?苗木知ってるの?」

「…ああ。僕は事件が起こる以前に、江ノ島さんに連れられて彼女に会った事が有る」

「…何者なの?」

「それは…」

 

「…『希望ヶ峰学園初等部』の子、だよね?」

「!?」

「むくろちゃん…知ってるんですか!?」

「うん。前に盾子ちゃんと遊んでいるのを見かけて、事情を聞いた事が有るの」

「希望ヶ峰学園初等部って…そんなのがあるの?」

「うん。…僕らと同じように、『超高校級』…いや、この場合は『超小学生級』が。そういった才能の片鱗を持つ子供たちを集めて教育し、未来の『希望ヶ峰学園高等部』の生徒として育てるのが目的らしい。…僕も詳しいことは知らないんだけどね」

「…けど、何故その子の事を?」

「今朝日奈さんが言ったとおり、その子の名前が希望ヶ峰学園の情報処理室の奥…モノクマの操縦室の操縦席の下に残されていた。つまり、そのモナカという子はモノクマの製造になんらかの形で関与している可能性が高い…。そうでなくとも、江ノ島さんの関係者であった以上そうそう放っておく訳にもいかない。それに…」

「それに?」

「…以前会った時、一見天然そうなあの子の瞳の中に、江ノ島さんと同じものを感じた。もし僕の予感が外れていなければ、…あの子はいずれ『第2の江ノ島盾子』となりえる可能性が高い…!」

「…ッ!あの子が…」

「…成程、それは捨て置けないわね。分かったわ、多少強引でもその2つのことは未来機関に実行させるよう取り計らってみせるわ」

「ありがとう。…十神君の方にはもう話を通しておいて、SPW財団の支援を受けられるように手回ししておいたから、多分問題ないと思う」

「…なんだか十神君びいきしてるように思えるのは気のせいですか?」

「まあさ、アイツが一番変わったのは分かるけどさ!…ちょっとさみしいな~、って思うよ?」

「ご、ごめんごめん。そんなつもりじゃあ無かったんだけど…。実際十神君を通したほうが偉い人と話がつけ易いから、少しね…」

「…その辺は、流石十神財閥の御曹司ということかしらね。…少し鼻につくけど」

 

 そんな話をしている間に、苗木がふと時計を見ると時刻は既に0時を回っていた。

 

「…っと、もうこんな時間か。皆も明日から任務なんだし、そろそろ部屋に…」

 

 

 

 

 

ガシッ(霧切と戦刃に肩を掴まれる)

「ん?」

ドスンッ(そのままベッドに押し倒される)

「へ?」

バッ(舞園と朝日奈に胸板を抑えられる)

「ふぁっ!?」

 彼女たちを部屋に帰そうとした苗木であったが、合図も無しに行われた一連の連携によってベッドに押さえつけられることとなってしまった。

 

「ちょ、なんなのこれ!?」

「これは何かって?…ふぅ~ん、苗木君、そんなことを言っちゃうのね…」

 やけに艶めかしい声音でそう返す霧切は苗木の唇に指を宛がい口を塞ぐ。

 

「自分が傷物にした女の子を1年も放っておいて、それでなにもしないでまた長い間放っておくと、そう言っているのね苗木君?」

「うっ…!」

「あ、あのさ!苗木…。私たちも、寂しかったの…。苗木との大切な思い出を忘れさせられて、やっと全部思い出してもまた苗木はすぐに遠くに行っちゃうなんて…そんなの、寂しいよ…!」

「身勝手かもしれませんけど、私たちは今感じたいんです。苗木君との『繋がり』を、苗木君の『愛』を…」

「…だからその、迷惑かもしれないけど、私たちを…」

 恥じらいを隠せずとも、真剣な眼差しで言葉を紡ぐ彼女たち。

 

「…やれやれだね。僕としたことが、女の子を不安にさせたんじゃあご先祖様に叱られちゃうや」

 その言葉を聞いて、苗木は自嘲するかのようにそう呟くと

 

ガバッ!

「きゃ!?」

 彼女たちの押さえつけを振り切ってそのまま彼女たちを抱きかかえる。

 

「…悪いけど、吸血鬼化したせいか前より加減ができそうにない。少し無理させるかもね…」

「…構わないわ」

「で、できるだけ優しくお願いしますね?」

「ひゃあ…」

「…」(無言で頬が紅潮する)

「…愛してるよ、皆」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『コノ後滅茶苦茶セ○クスシタ』

「…急に何言ってんだべオメエ」

『イヤ…ナンカイワナキャナンネーキガシテヨ』

「なんのこっちゃ…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …翌日、S空港跡地に用意されたジェット機の搭乗口前にて、戦刃と新たに加えたアナスイ、エルメェス、ウェザー、エンポリオという仲間を引き連れた苗木と居残り組の皆が最後の別れの時を過ごしていた。

 

「既に飛行機の準備はできておる。いつでも飛び立てるのじゃが…」

「……」

「…大丈夫かの?えらくやつれとるが…」

「…なんとか。分かりました…」

「…随分とお楽しみだったようだな」

「下品よ十神君」

「あ、アンタ達何やってたのよ!?うらやま…じゃない、フケツよフケツッ!!」

「い、いいじゃないですかッ!もうしばらく会えないんですから!」

「…う~」

「……なんか、この感じ久しぶり…」

「…なあ、ボスっていつもこうなのか?」

「ん?ああ~…、平和だったころは大体こんな感じだったべな。懐かしいべ」

「へイッ!可愛い顔してとんだプレイボーイじゃあねーかよ!」

「ボス、その…なんだ。俺はあまり女性経験というものが無いから偉そうなことは言えんが…尻に敷かれっぱなしというのはどうかと思うぞ」

「…それができれば苦労はないよ」

 

 

ピピピピッ!

 和気あいあいとした雰囲気の中、いきなり苗木の電子生徒手帳が鳴りだす。

 

「おい苗木、鳴ってるぜ?」

「…ホントだ、なんだろう?」

 音に気付いた苗木が電子生徒手帳を起動させると、画面にアルターエゴが映される。

 

『良かった!間にあったみたいだね』

「アルターエゴ?どうしたんだ?」

『あのね!やっと向こうのパッショーネの人たちとの通信が繋がったんだ!だから苗木君にも一度話をして貰おうと思って…』

「…ッ!本当か!?皆は、無事なのか!?」

『うん!今繋げるね!』

 アルターエゴが画面から消えた後、しばしノイズが流れ、やがて苗木には聴き慣れた声が聞こえてくる。

 

『…お~い、妖精さんよ。コレホントに苗木んトコ繋がってんだろォ~なぁ~?』

『つーかボスが生きてたとかホントかよ?私には信じらんねーぜ』

『F・F、君は苗木の事をまだよく知らないからそういう風に思えるんだろう。だが僕らにしてみれば、苗木が生きていることなんて不思議でもなんでもないさ』

『そーそー!アイツのしぶとさは筋金入りだからな!下手すりゃゴキブリ並なんじゃあねーの?ケケケ!』

 

 

 

「……聞こえてるぞミスタ」

『!?うえぇッ!?な、苗木ッ!』

『ほ、ホントにボスの声だ!マジで生きてやがった!』

『だから言ったでしょう、生きてるって!…苗木、無事なの!?』

「ああトリッシュ、僕は問題ないよ。大丈夫。…F・Fも無事で何よりだ」

『ああ苗木、生きていてくれて良かったよ』

「心配かけて済まないな、フーゴ。…そちらの状況を教えてくれ」

『…だいぶ構成員に犠牲は出たが、どうにか組織自体は存続している。だが、状況は決して良くはない…!』

『こっちで無事なのは本邸のあるネアポリスの中心部だけだ。ローマもシチリアも『絶望』の暴徒共に占拠されちまった。ヴェネツィアの波紋戦士の連中やヴァチカンのカトリック共までこっちに避難してきている有様だ。…正直、俺達だけじゃあもう一月持たねーかもな』

「そうか…。分かった、こっちはもうジョセフさんに手はずを整えて貰って、今からそっちに戻る予定だ」

『!も、戻ってくんのか!?』

「ああ。与力としてむくろと、あとこっちで拾った新入りを3人ほど連れて帰る」

『新入り?大丈夫なのかよ?』

「心配するな。…内二人は既にスタンド持ちだし、もう一人も昨日の内に『矢』の試練を乗り越えてスタンド使いになっている。実力としては問題ない」

「…当然だ」

「へっ!」

「…ふっ」

『…すると、残りの皆さんは未来機関とやらに所属するのですか?』

「おや、未来機関の事を知っているのか?」

『ええ、先ほど現れたアルターエゴなる少女からある程度の事情は聞いています。それに、叩きのめした『絶望』の奴らもそんな組織の存在をほのめかしてましたからね』

「そうか。…そうなる予定だ。未来機関を内側から見張る存在は必要だからね。皆にならそれを任せられる。そう判断しただけさ」

『…オーケーボス、そんじゃあお前が帰るまでもうひと踏ん張り頑張っとくぜ!落ち着いたらたっぷり手当よこせよな!』

「もちろんだ」

 と、ここで苗木は思い出したかのように切り出す。

 

「…そうそう、それとこれから僕ことを『ボス』って呼ぶのやめるから」

「…え?」

『…え?な、なんでだよ?』

「もうディアボロとの因縁は終わった。いつまでも『ボス』呼ばわりってのはアイツと混同されて嫌になるからね。それに、『絶望』連中に僕の事を印象付けさせるためにも、新しい呼び名が有った方がいいと思ってね」

(…それだけではあるまい)

(もし苗木君の名前が世界規模で広がってしまえば、どこかにいるであろう苗木君の親族にも危険が及ぶ。それを避けるためでもあるのね…)

『ふ~ん。…で、これからなんて呼びゃあいいんだよ?』

「実はもう考えてあるんだ。…姓は『ジョースター』の名をもらおうと思っている」

「ジョースター…って、ジョセフさんと同じ?」

「ほっほ、苗木君は血縁上はワシよりジョースターの血が濃いからのう。ジョースターを名乗るのになんの問題も無いわい」

「そして名前は…、パッショーネのシンボル、テントウムシが示す『太陽』からとって、…『ジョルノ(日)』。『ジョルノ・ジョースター』、略して…『ジョジョ』だ」

「ジョジョ…、その名は…!」

『…なんか意味ありげな名前じゃあねーか?』

「まあね。…いつかこの呼び名が、『希望』を意味する言葉になるように。そんな願いを込めてつけただけさ」

『…分かりました、我らが『ジョジョ』。お早いお帰り、お待ちしています』

「うん。じゃあ…また後で」

 その言葉を最後に、通信は終わる。

 

「…随分洒落た名前を考えたものじゃあないか、ジョジョ?」

「ふ、ふんッ!厨二臭いネーミングね…」

「ジョルノ・ジョースターでジョジョ、か。…なんだか感慨深いのう。ワシも、承太郎も、仗助も、ジョナサンの爺さんもその名で呼ばれておった。その名を苗木君も継ぐことになると思うと、嬉しいわい…」

「アタシも、いつかそういう風に呼ばれたいな…」

「あ、そうか。徐倫も『空条』と『徐倫』で『ジョジョ』になんのか」

「おお可愛い徐倫、君が望むならいつでも俺がそう呼んで…」

「アナスイ煩い」

「…済まない。徐倫」

「ハハ。…そういう訳だから、皆も未来機関として僕の事を呼ぶときはジョジョって呼んでくれ。あ、でもプライベートではちゃんと本名で呼んで欲しいな」

「…当たり前でしょう。私たちの旦那は、苗木誠以外にいないんだから」

「そうですよ!」

「うんうん!」

「…当然」

「…フッ、ありがとう」

 

 

 

 

 

「…苗木様、いやジョジョ様。そろそろ出発のお時間です」

「…そうか、分かった」

 同行するSPW財団の職員の来訪が、その時を告げる。

 

「…いよいよですね」

「これでしばらく、お別れなんだよね」

「なに、苗木っちならすぐにあっちも片付けて戻ってくるべ!それまでの辛抱だべよ!」

「当然だ。いつまでもグダグダやっているなど、この俺が許さんからな」

「…『半年』だ」

「え?」

「『半年以内』にイタリアを『絶望』から奪還する。基盤さえできればこっちに戻るための手段も確立できるはずだ。それまで、待っていてほしい」

「…そう、分かったわ。だったら私たちもそれまでに人質の人たちの居場所を特定して見せる。約束するわ」

「ああ、約束だ…!」

 

 別れを告げ、苗木達は搭乗ゲートへと向かう。それを見送っていると、ふと苗木が振り返って皆に叫ぶ。

 

 

「…これから僕たちは、『別の道』を歩むことになる!けれど、僕らの向かう先は『同じ』だ!いつか、『希望の未来』に共に辿りつくまで、…それまで、アリーヴェ・デルチ!」

「…アリーヴェ・デルチ!」

「お、遅れるんじゃあないわよッ!」

「さよなら!絶対帰ってきてくださいね!」

「ずっとずっと、待ってるから!」

「俺の事忘れんじゃあねーべよ!」

「…皆も、元気で」

「苗木ィ!さっさと片付けて戻ってこいよぉ~!」

「君の進む道に、『黄金の精神』が共にあらん事を…!」

 

「…さようなら。でも、これは『別れ』じゃあないわ。未来に続く『始まり』の一歩、だからこう言わせてもらうわ。…『いってらっしゃい』、誠君!」

「…ああ、『いってきます』!」

 

 

 

 共に背を向けあい、苗木達はイタリアに、霧切たちは未来機関へと向かっていく。だが、例え進む道は分かれても、彼らのゴールは変わらない。

 

黄金の明日が待つ『未来』へ。

 

彼らの『奇妙な冒険』は、始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カツ…カツ…カツ…

 もはや生きている存在はいなくなり、無人の要塞と化した希望ヶ峰学園。その地下深く…苗木達の最後の学級裁判が行われたその場所に、立ち入る者がいた。

 

 

「…所詮、『絶望』もこんなものであった。という訳か」

 裁判場の中央に打ち棄てられたモノクマを見下ろしながら、その男…『エンリコ・プッチ』は嘲笑うかのように言う。

 

「例え世界を破滅させようとも、どれほどの人間を『絶望』させようとも、『絶望』は決して『希望』には勝てない。『希望』を信じるという強い『覚悟』は、時としてはるかに強大な『絶望』すらも吹き飛ばす『可能性』があるからだ。貴様はそれが分かっていながら、敢えて苗木誠に勝負を挑んだ。その結果がこれだ…」

 モノクマを足蹴にし踏みにじりながらプッチは一人語り続ける。

 

「だから私は『絶望』などしないッ!私がやろうとしている事。それが『正義』であり『希望』なのだ!それを阻むというのであれば、それこそが『悪』であり『絶望』なのだ!故に私は躊躇わない。私の行動の結果に犠牲が生じるというのであれば、それは『当然』のことであり『運命』なのだ!人は、『運命』を変えることも、逆らうこともできはしないッ!…ただ一人、私の尊敬するDIOと、その血を引く苗木誠を除いてはな」

 

 モノクマをその場に残し、プッチは踵を返してその場を辞そうとする。

 

「もうこんな墓標に用はない。苗木誠を倒し、我が『運命』を狂わせる要素を全て排除した後に、DIOの望んだ『天国』を完成させる!…貴様は地獄の底でそれを見届けるがいい、江ノ島盾子」

 そのままエレベーターに乗り、本来の『目的地』へと向かおうとした、その時

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ふ~ん、成程ね。その『天国』とやらが空条承太郎から手に入れたDIOの『遺産』って訳かい?」

「ッ!!?」

 聞こえる筈のない声に驚愕を隠し切れずに振り返ると、たった今自分が踏みにじっていたモノが、ゆっくりと動き出す。

 

「あ~あ、僕のキュートなシンメトリカルボディに汚い靴跡つけてくれちゃって。クリーニング代請求するからね!」

「…貴様、何故…?死んだのではなかったのか?」

「死んだ?僕が死んだだって?うぷぷ、ぶひゃひゃひゃ!…確かに、『本物の』僕は死んじゃったかもね。でもさ、自分が負ける可能性を捨てきれなかった僕が、なんの準備もしていないと思っていたの?」

「…そういうことか。しぶとい奴だ」

「うぷぷ、お誉め頂きどうも。…けどまあ、今のままじゃあどうにもならないんだよね。今の僕は『3分の1』なんだからね」

「どういうことだ?」

「僕は『3つ』揃って初めて完成するものなんだよ。だから、僕が復活するためには残り『2つ』の僕を集めなきゃならないんだ。まるで7つ揃うと願いがかなう玉みたいにね!」

「…それを手伝え、と?」

「まあついででいいんだよ、ついでで!どうせ残り2つの僕も僕の存在に気づいて1つに戻ろうと手を打つ筈だしね。君にはそこに行ったときにその手伝いをして欲しいんだ」

「…いいだろう。だが、私の目的を最優先にさせてもらうぞ」

「それは別にいいよ。…ところで、その腕の怪我はどうしたの?」

「…これか。空条承太郎からDIOの遺産を取り戻す際に東方仗助の奴に邪魔されてな。肝心なものは返してもらったがその代償にやられてしまっただけだ」

 右腕にはめられたギプスを掲げてプッチは腹立たしそうにそう言う。

 

「うぷぷ!流石『クレイジー・ダイヤモンド』、いくら君と言えどそう簡単には振り切れないか」

「…だが、今となってはそれも些細なことだ。既に目的は達した、あとは『彼』の意志の思うがままにさせておけば、いずれ『天国』は完成するだろう。私はその時に、『彼』を迎えに行くだけでいい…」

「ふ~ん。…で、その場所ってどこなのさ?」

 一見意味不明なプッチの言葉を聞きながら、『ソレ』はプッチからその場所を聞くと…やがてニヤリと、嗤った。

 

 

 

 

「『彼』の意志は今、あの街に在る。『希望』と『絶望』が入り交りし街、『塔和シティ』にな…」

 

 

 

 

 

 

 

ダンガンロンパ~黄金の言霊~ 第一部 希望の風 Fin

 




第一部、いかがだったでしょうか?ジョジョの後付けがやや強引なのは許してくださいな。
F・Fがいつパッショーネ入りしたのだとか、苗木がいつモナカと会っていたのかなどの説明は全部番外編に投げることになりますが、できるだけ早く書く予定なので気長にお待ちください。

さて、次回からですが…皆さんのご要望にお応えし、まずは1.5部…そして番外編の両立更新を目指していこうかと思います。
可能なら1.5部と番外編を交互に更新していく予定です。そんで1.5部が終わって、番外編もゼロ編の手前になったら第2部を始めようと思います。
…それで、これから書き溜めの為にしばらく更新が無いかもしれません。できるだけ早めに再会しますのでこれからも皆さん、温かい目で見守って下さると光栄です。では皆さん、しばしアリーヴェ・デルチ!

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