ガチャリとドアが開き、さっき見た少年と青い髪の少女が入ってきた。
「じゃあ二人とも、天馬のことよろしくな。俺はこれから職員会議があるから。」
んじゃ、と言って円堂は部屋を出て行った。
「松風、今日はとりあえず見学をして、明日から正式にここに通うということでいいか?」
「はい。」
元気よく答える天馬に神童は笑顔を見せる。
「さっき会ったが一応自己紹介しないとな。俺は二年の神童拓人。こいつはお前と同じ一年の空野葵。」
「よろしく松風君!この学校では中学生はみんな同じクラスで勉強するんだよ。」
「そうなんだ…。」
一体どんな感じなんだろう、と天馬は思う。
「うん。私と神童先輩が学級委員なの。後三人いるけどね。じゃあついて来て。」
「うん!」
中等部教室
「はよー。…あれ?」
教室に入ってきたさくらは人数が足りないのに気付いた。
「神童さんと葵ちゃんは?」
「転入生の案内。」
茜がカメラをいじりながらそっけなく呟いた。
「転入生?」
「僕の計算では入学届を出したのが三日前。だとするとこんなに早く来るというのは可笑しいと思いますが。」
真名部がメガネをいじりながら言うと、隣の席の皆帆が言った。
「いや、この学園に憧れを抱いているものは少なくない…。アリスが何かわからなくとも行ってみたいというのが人間の本音なんじゃないかな?」
「その本音のせいで6年間学園から出られてないのはどこのどいつだよ。」
鉄角が毒づく。
「6年じゃないよ。5年と半年くらい。父の墓参りくらいは行きたかったんだけどね。」
皆帆は少し得意げにフフッと笑った。
「剣城君は…またサボりみたいね。」
さくらがもう一度周りを見回す。
「ちゅーか霧野はちゃんと来るのに剣城は何やってんだろなー。」
浜野はそういいながら掌に水の玉を作りだし、それを魚の形にし始めた。
「ちゅーか釣り行きてぇー…。」
ぐてーっと机に突っ伏す浜野を横目に、速水と倉間はため息をついた。
「そういえば…。」
「どうしたの?」
「二人のアリスって何なんですか?」
「私たちのアリス?」
「うん。校長先生に言われてちょっと気になって…。」
「…松風、お前は自分のアリスが何かわかっているのか?」
「……すみません。まだ何も…。」
天馬は苦笑いながら頭を掻いた。葵はその様子にフフッと笑った。
「まあしょうがないか!私も最初は知らなかったんだし。私は『治癒のアリス』。傷とかを治したりする能力だよ。怪我したときはいつでも言ってね!」
「俺は『音のアリス』だ。音を発生させて色々な物を操ったりする。こんな感じで。」
そういうと神童は指を鳴らした。すると天馬と神童の間を風が吹き抜けた。
神童がもう一度指を鳴らすと風はぴたりとやんだ。
「おお…!」
「まあこんな感じだな。お前もゆっくり自分のアリスを探すと良い。」
「はい!!」
なんだろう、剣城出したいのに出ない←
おまけキャラ紹介
空野葵
中等部一年生。学級委員。誰にでも優しい性格で人気者。実は天馬と同じく沖縄出身。潜在能力系。アリスは治癒のアリス。星階級はダブル。