ジョジョの奇妙な冒険、第?部『マジカル・オーシャン』   作:piguzam]

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ファイヤーーー\(^o^)/


シブイねェ…まったくおたくシブ(ry

「君がアリサちゃん達が話してた定明君だよね?私は高町なのは。アリサちゃんとすずかちゃんのお友達なのッ!!私の事はなのはって呼んでねッ!!」

 

「とりあえず俺に謝罪しろ。七回生まれ変わって出直してきたら許す事を考えてやらんでもない」

 

「にゃあッ!?な、七回生まれ変わっても考えてくれるだけなのッ!?」

 

「確率は8割程度だが?」

 

「それはドッチの確率なのッ!?聞きたいようで聞きたくないような……っというか七回も生まれ変わるなんて絶対に無理だと思うんだけどッ!?」

 

「何なら生まれ変わらせてやろうか?今ならもれなく超特急の便があるけど?」

 

「怖いよッ!?何する気なのッ!?っていうか何に乗せる気なのかなぁッ!?」

 

メイド・イン・ヘヴンがありますが何か?時を加速させて七巡させてやろーか?

席に座ってオレンジジュースを飲んでいた俺にいきなり自己紹介をし始めた少女に対して、俺は軽く冗談を返しながら対応する。

現在、俺はアリサとすずかに今日の予定をブチ壊されて、2人の友達であるなのはという女の子、そしてこの前会った恭也さんの実家が経営してる喫茶店、翠屋にお邪魔いていたりする。

というか、俺が承知していない賭けが勝手に成立してたのは納得いかねぇ。

 

「う~……私、嫌われてるのかなぁ」

 

「アハハッ。大丈夫だよなのはちゃん、定明君はからかってるだけだから」

 

「え?そうなの?」

 

「ちょっと定明。アンタあんまりなのはをからかってやるんじゃないわよ」

 

俺がここに来る原因の一端担ってる少女に少しばかり悪戯して遊んでいたら、俺の向かい側の席に座ってお茶してるすずかとアリサから咎められてしまった。

見ればなのはって子は少し目尻を下げた目線で俺に「からかってる?」という疑問と若干の怯えを含んだ視線を送ってきている。

……まぁ、そろそろ止めるか。幾ら何でもこの子に当たるのは筋違いだしな。

 

「悪い悪い。アリサの話してた通りの性格なら俺の台詞に素晴らしいリアクションを返してくれるんじゃないかと思ってたんだが、結果は想像以上だったぜ」

 

「にゃあッ!?ア、アリサちゃん定明君に何を言ったのッ!?」

 

「えッ!?い、いや別に、ってコラァ定明ッ!!アンタ何言ってんのよッ!?」

 

「何って、お前が話してくれた通りなら、この子はおっちょこちょいな所があって、何も無い所で直ぐに転んで怪我するし、体育は言うまでもなくテンで駄目。現国とかの文系も壊滅的って感じなんだろ?」

 

「ふにゃぁああッ!?アリサちゃん酷いよぉおおッ!!しょ、初対面の男の子にそんな事言うなんてぇええッ!!私そんなにおっちょこちょいじゃないもんッ!!」

 

「ちょ、ちょっと待ちなさいってなのはッ!?そんなに揺すられたら目が回っ」

 

俺がアリサから聞いたこの子の評価をそのまま伝えてやると、彼女はアリサに掴みかかってグワングワンとアリサの肩を揺らし始めたではないか。

すずかは2人の騒ぐ様子を見て慌てふためいている。

全く……まだ話は全部終わった訳じゃねぇんだがな……。

目の前で始まったコント劇を視線に収めつつ、俺は少し笑みを零して口を開いた。

 

「でもまぁ……」

 

俺が3人にハッキリと聞こえる声量で声を出すと、3人は騒ぎを一旦納めて俺に視線を全て向けてくる。

全員の視線が集め終わった中で、俺はアリサの言葉の続きを思い出しながらゆっくりと言葉を選んで話し始めた。

 

「そんだけおっちょこちょいでも人を思いやる気持ちは人一倍強いし、心はとっても真っ直ぐで、凄く良い子……だからこそ、アタシとすずかはあの子の親友なんだけど……だったっけ?アリサ?」

 

「ちょッ!?ア、アンタ何で今その事を言うのよッ!?」

 

「ア、アリサちゃん……私の事、そんな風に思ってくれてたの?……エヘヘ」

 

俺が聞いたアリサ主観の言葉を伝えてやると、なのはって子は本当に嬉しそうな笑顔を浮かべて笑っていた。

一方で自分の思ってた事をバラされたアリサは顔を真っ赤にして口をパクパクと開閉しながらどもっている。

まぁこれぐらいの仕返しは許されるだろう。

俺は手に持っていたコップをテーブルに置いてから、なのはって子に笑顔で手を差し出した。

それを見たなのはは少し顔をキョトンとさせるので、俺は苦笑してしまう。

 

「さっきは悪かったな。改めて自己紹介すっけど、俺の名前は城戸定明。海小の3年生で、親しいヤツは俺の事をジョジョって呼んでる。よろしく、なのは」

 

俺の自己紹介で、今俺が差し出してる手が握手だって気付いたんだろう。

なのははパァッと顔を輝かせて俺の手を取ってくれた。

 

「うんッ!!よろしくお願いしますなのッ!!定明君ッ!!」

 

「おう……でもよ、なのは?あんまし簡単に相手に名前預けちゃ駄目だぜ?俺もアリサ達から聞いたけど、もし俺がDQNネーム君みたいなヤツだったらどーすんだ?」

 

ちょっと人が良すぎる感じがしたのでそう注意してやると、なのははニッカリとした清々しい笑顔を浮かべるではないか。

 

「大丈夫だよ。定明君は神無月君みたいな変な人じゃないって判るもん」

 

「オイオイ……今日会ったばっかりの人に何でそんな事が言えるんだよ?」

 

俺の聞き返しに対しても、なのははニコニコとした笑顔を変えずに俺を見ていた。

 

「だって、本当にそんな人ならそんな事聞いたりしないでしょ?それって、定明君が本当に私の事心配してくれてるって事だと思うの」

 

そりゃまぁ……何ともしっかりした奴じゃねぇの。

少なくともただぽややんとしてるだけって子じゃなさそうだな。

別段悪い奴って感じはしねぇし……さすがアリサとすずかの親友なだけはあるな。

そんな事を考えながら、俺は肩を竦めて話を誤魔化し、再びテーブルのコップを取ろうと……。

 

ガシィッ。

 

「ングングング……プハァッ!!…… ご 馳 走 様 ッ ! ! 」

 

した所で、顔を真っ赤にして俺を睨みつけてくるアリサに一気飲みされた。

その所為で行き場を失った俺の手が宙を彷徨ったまま静止してしまう。

しかし文句を言おうにも、アリサは俺を真っ赤な顔で睨みつけてくるもんだから何とも言えねえ。

何だ?俺が勝手になのはにアリサの胸の内をバラした仕返しか?

……ならば俺も……やったろうじゃねぇか。

取り敢えず伸ばしたままだった手を更に奥に伸ばして、俺はアリサの飲みかけのアイスティーを引っ手繰る。

その際アリサが「あっ!?」とか言って驚いてたが無視。

 

「ングングング……フゥ~……ご 馳 走 様 ? 」

 

「ア、アンタねぇ~……ッ!?」

 

「悪いなぁアリサ……俺はコケにされると結構ネにもつタイプでなぁ」

 

怒りでプルプル震えてるアリサに笑顔でそう答えて、俺はオレンジジュースと一緒に頼んでいたシュークリームをひとかじりする。

柔らかいのにサクッという歯ごたえを保つ衣。

その上に掛けられた白糖の素朴で深い甘みがアクセントとなって、中に詰められたカスタードクリームの甘さを上品に引き立てる。

つまり何が言いたいのかっていうと……。

 

「うん、美味え……すずかの言った通り、こりゃ確かに一度は来る価値があるな」

 

昨日のディナーもかなり美味かったが、このシュークリームの美味さは昨日とはまた趣向が違う。

あっちが選ばれた者の為の食事なら、こっちは皆に親しまれる味って奴だ。

 

「そうでしょ?翠屋さんのシュークリームは絶品なんだ」

 

「ありがとうなの、定明君。お母さんも喜ぶよ」

 

「ちょっと定明ッ!!アタシもここはオススメだって言ったでしょッ!!っていうか人の飲み物飲んでおいてスルーするなぁッ!?」

 

「人のモン飲んだのはオメーもだろうに」

 

取り敢えずゆったりとこのデザートを食べたかったのに、食い付いてくるアリサが意外と執念深かったので、俺は仕方無くその相手を務める。

さすがに何時までも拗らせておく訳にゃいかねぇからな。

 

「なんかなぁ……定明君って、アリサちゃんと仲良すぎないかな?」

 

「ん?」

 

そんな事を考えてアリサの相手をしていると、アリサの横に座っていたすずかが少し頬を膨らましてそんな事を言ってきた。

何時の間にか俺の隣に座ってるなのはも「あっ、確かに」とか呟いてる。

 

「な、何言ってんのよすずかッ!?ア、アア、アタシは別に……ゴニョゴニョ」

 

「むぅ……」

 

そんな事を指摘されたアリサは真っ赤な顔で慌てふためきながら俯いてしまい、すずかはその様子を見て更に頬を膨らませる。

 

「俺は別に、アリサとすずかとは平等に接してるつもりなんだがな……何か俺の態度が気に障るところがあったのか?」

 

「別にそういう訳じゃないんだけど……あっ」

 

何やら自分の言葉に自信無さ気な声を出して若干俯いたすずかは、自分の手元にあるチョコケーキを見て小さく声を挙げた。

その声にどうしたんだと思いながら視線を向けると、すずかは俺のシュークリームと自分のチョコケーキを見比べ始め、その後オレの顔を見て頬を赤く染めだした。

その様子が良く判らず隣に座ってるなのはに視線を送ると、なのはも「?」って顔ですずかを見た後、俺に首を振ってくる。

どうやらなのはにも思い当たる節が無え様だ。

 

「あ、あのね、定明君?」

 

「ん?何だすずか?」

 

とりあえず、すずかは何やら俺とアリサの間に壁みてーなモンを感じてるっぽい。

だから成る可くすずかの不安を取り除いてやろうと考えた俺は普段より幾分か柔らかい声ですずかに答える。

俺が入った所為でコイツ等の仲が崩れるとか後味悪いなんてレベルじゃねぇよ。

そう考えながらすずかに言葉を返すと、すずかは少し恥ずかしそうな表情で俺の顔色を伺ってきた。

 

「も、もし良かったら、ね?わ、私のチョコケーキと、定明君のシュークリームを食べ比べしてみないかな?」

 

「は?食べ比べ?」

 

すずかの言ってきた言葉が良く判らなかった俺はオウム返しに聞き返してしまう。

さっきの話と全然関係ねぇよな?

そんな俺に対して、すずかは首をコクコクと縦に振ってくる。

 

「み、翠屋さんって、シュークリーム以外のデザートも絶品なんだ。だから定明君にも、その美味しさを知って欲しいと思って……ね、ね?なのはちゃん?」

 

「え?う、うん。確かにウチのデザートはどれも美味しいけど……」

 

すずかの妙に必死な様子に、なのはは少し驚きつつもすずかの言葉を肯定する。

まぁ、確かに美味しいって言われりゃ気にはなるけど……。

 

「でもよ?それなら別に注文すりゃ……」

 

「に、二個も食べたら太っちゃうよ?それにお金が勿体無いし……だ、だからお互いのデザートを一口ずつ交換したいなぁって思ったんだけど……駄目かな?」

 

「いや、別に駄目って事はねぇが……分かった、確かにそこまでススメられちゃ気になるし、一口だけ貰うぜ?」

 

すずかの言い分にも納得できるモノがあったので、俺はすずかの皿からチョコケーキを一口分だけとろうとフォークを手にし……。

 

シュバッ!!

 

「は、はい……どうぞ?」

 

何時の間にか俺の目の前にフォークで突き刺した一口分のチョコケーキを向けてるすずかを見て動きが止まってしまった。

っていうかすずかの腕にうっすらと見えるショッキングピンクの腕……。

こいつスパイス・ガール使いやがった。

しかも今のすずかの動きが見えなかったのか、なのはは首を傾げて「あれッ!?」と言って驚きを顕にしている。

っていうか何時の間にスタンドの腕だけ呼び出すなんて高等技術マスターしたんだよお前は?

安易にスタンドを一般人の前で使った事に文句を言いたかったが、すずかは腕を伸ばしてるのが段々と辛くなってきたのかプルプルと震えている。

コレってアレだよな?ア~ンってヤツだよな?

え?俺ってこんな衆人環視のド真ん中でコレ食わなきゃなんねぇの?

アリサは今、何かゴニョゴニョ言いながらコップの縁を指で弄ってる。

どうにも俺達の行動が意識から飛んでるみてーで、俺の視線にも反応しない。

チラリと横に座ってるなのはに助けを求めれば、何故かGOODサインを返された。

しかも満面の笑みで、だ。

妙にイラッときたのでその親指を逆向きに力加えてやったがな。

「にゃーーッ!?」とか叫んでたが知らね。

そんで痛みに悶えるなのはを放置してすずかに視線を戻すが、それでも目の前で起きてる事実は変わっていない……しゃーねぇ。

 

「……あむっ」

 

「ッ!?(た、食べてくれた……やったッ!!!勝ったよッ!!!)」

 

観念してすずかの差し出してたフォークに刺さってるチョコケーキをササッと口の中に納め、ソレをムグムグと咀嚼していく。

おぉ……絶妙なビターの苦味とチョコクリームの程良い甘みのデュエット……この味わい深さは間違いなく――。

 

ディ・モールト・ベネ(非常に良し)だな……美味かったぜ。ありがとうよ」

 

「エ、エヘヘ……ど、どう致しまして……じ、じゃあ次は……」

 

俺の感謝の言葉にとても嬉しそうな顔をしたすずかは、自分のフォークを置いて俺に向かって身を乗り出し、口を小さく開けて目を瞑る。

 

「わ、私にも、シュークリームを一口……下さい……あ、あ~ん」

 

何故か自分のフォークを使わず俺に食わせろと命令してくるすずか。

いやいやちょっと待て?

 

「別に自分のフォークで取ってくれりゃあ良いぞ?」

 

っていうか自分のフォーク使えるなら使ったら良いだろうに。

そう思って俺は自分の目の前に置かれてるシュークリームの皿をすずかの前に押し出そうとするが、それはすずか自身の手で止められてしまう。

 

「で、でもね?私のフォークってケーキのクリームが付いちゃってるから、私ので食べると味が混ざっちゃうと思うんだ?だ、だだ……だから、定明君ので食べさせて欲しいんだけど……」

 

なら俺のフォークを使えば良いだろうと思ったものの、俺の手を抑えて動きを止めてるすずかは泣く一歩手前って顔をしていた。

これって俺がやらなきゃすずかが泣いて俺が悪者ってパターンか。

何故か指の痛みから復活したなのはがワクワクした表情で俺を見てくる。

って、よく見たらカウンターに居る若い二人の男女もじゃねぇか。

二人して若いなぁって目で見るのやめんかい。

 

「お、お願い、定明君……私の我侭……叶えて?」

 

……改めて確認してーんだけど、本当に俺の事好きじゃねぇんだよな?

そうは思いつつもコレ以上は埒は開かないと判断し、俺はやれやれって頭を振りつつすずかの手をどかしてフォークを手に取る。

俺の行動が何を意味するのかを理解したすずかは瞳を期待する様なモノに変えた。

そうして、俺は自分のシュークリームを一切れ、フォークに取る。

前を見れば、すずかは両手を胸の前で組んで俺を今か今かと待っていた。

……仕方ねぇ、もう自棄だ。

心の中で覚悟を決めてすずかが目を瞑って口を開いてる中にフォークを――。

 

カランカラーン。

 

「あっ、いらっしゃいませー。って相馬君。いらっしゃい」

 

「こんにちは、美由希さん。席開いてますか?」

 

「ふぇっ!?そ、相馬君ッ!?」

 

入れようとした瞬間、入り口に新たな客が現れ、俺達の席に集中してた視線が入り口の方へと流れていく。

 

 

 

――――あっ、そうだ。『スッ飛ばしゃいい』だけじゃねぇか?

 

 

 

って事で……。

 

「キング・クリムゾン」

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「そうか、アリサとすずかの……初めまして、北宮相馬だ。城戸君、で良いか?」

 

新たに現れたお客は今俺達の席に座っていて、俺ににこやかな笑みを浮かべて手を差し伸ばしてくる。

周りの雰囲気とは一線も二線も違う静かさがあり、少し茶髪混じりの整えられた髪型が雰囲気とマッチしてて、大人って感じを醸し出してる。

どうやらこの男がなのはの想い人の相馬ってヤツらしい。

俺は彼の差し出した手を取って、ニヤリとした笑みを送る。

 

「おう。城戸定明だ。気の合った奴等は俺の事をジョジョって呼んでる。そっちの事は相馬って呼んでも?」

 

「あぁ、そう呼んでくれて良い。俺も定明と呼ばせてもらう。よろしく頼む」

 

「GOOD。これからよろしくな?」

 

二人でしっかりと握手しながら、俺達は笑顔を見せる。

今話しただけでも、この相馬って兄ちゃんはあのオリ主君とは違うってのが良く分かった……目も、俺を見下してる感じは一切無えしな。

そんな事を考えながら相馬の目をしっかりと見てると、相馬は何故か苦笑いする。

 

「やっぱり気になるか?この目の色……」

 

相馬はそう言って少し表情に影を落とす。

彼の言う目の色とは、恐らく自分の目の色のことだろう。

相馬の瞳の色は、珍しい色というか、まるで晴れた空の様な水色だ。

影を落とすって事は自分で気にしてるんだろうか?

 

「気になるってよりは、綺麗な色してんなーとは思ったぜ?」

 

俺が素直な意見を言うと、相馬は何故かキョトンとした表情を見せてくる。

何だ?変なこと言ったか俺?

そう考えていれば、やがて相馬はクスリと上品に笑い出す。

 

「いや、悪い悪い。この目の色見て気味悪がらないでいてくれたのはなのは達以外だとあんまり多くなくてな。まさか初対面でそう言われるとは思ってなかったんだ」

 

成る程……まぁ子供ってそういうのをイジメの槍玉に当てるからな。

 

「瞳の色ぐらい何でもねーだろ?アリサ達から話は聞いたが、聖祥には銀髪で赤と縁のオッドアイなんて痛々しいヤツが居るらしいじゃねぇか?ソイツに比べたら全然まともだろ?」

 

「ちょっと定明君ッ!!相馬君を神無月君なんかと比べないで欲しいのッ!!幾ら何でも相馬君に失礼だよッ!!」

 

いやいやなのはよ?オメェの方が大分失礼な事言ってっかんな?

そこんとこしっかり理解してんのか?頭悪いのか、コイツ?

相馬も考えてる事は一緒なのか、俺と同じで苦笑しながら頬を膨らませて怒ってますという表情を浮かべるなのはを見つめている。

しかし、なのはの隣に座っているアリサは、なんというか不機嫌な顔をしてた。

 

「……アンタ、あたし達の事は初対面で名前呼びしなかった癖に、何で相馬は最初から名前呼びな訳?」

 

「いっぺんお前等とダチになった以上、なのはと相馬だけ苗字で、なんて差別する訳にゃいかんだろーが?」

 

「そりゃそうだけど……何か納得いかないのよ」

 

知らねぇよンな事。

 

「…………」

 

「……そんですずか、もういい加減機嫌直せっての」

 

「別に、怒ってないもん」

 

ほっぺたをコレでもかと膨らまして睨んでくるのは怒ってないと言えるのか?

さっきの一件でヘソ曲げちまったすずかに対して、俺は溜息を吐く。

相馬が店に入ってきた時にキング・クリムゾンを使ってすずかにシュークリームを食べさせるっていう過程を飛ばして結果だけを残した訳だが、すずかには俺がスタンドを使って何かをしたのがバレちまったらしく、それ以来ずっとこの調子だ。

 

「まぁまぁすずか、何があったのかは知らないが、少し機嫌を直しなよ」

 

そんでもって相馬もソレに気付いててからは一緒にすずかにとりなしてくれてんだが、結果はあんまり芳しくねぇ。

そこから大体30分ぐらいジーッと責めるような目で見られて、結局もう一回するはめになっちまったがな。

とりあえずそれですずかの機嫌が治ってくれたのでまぁ良しとしとく。

そのまま俺達は夕方過ぎまで楽しくお喋りに興じ、そろそろ時間も良い頃だから解散しようという流れになった。

俺は帰りにまた鮫島さんに送ってもらう事になり、今はアリサ達がお喋りしてるのを相馬と離れた場所で眺めている。

3人とも飽きもせずに楽しそうに喋ってるが、俺達はそれとは少しだけ違う雰囲気を漂わせて互いに一歩置いた距離に立っている。

 

「……なぁ、定明」

 

「何だ、相馬?」

 

夕暮れがアスファルトを赤く染める中、俺達は互いに言葉少なく語り始めた。

 

「お前、転生者なんだろ?」

 

そう言って俺に視線を送ってくる相馬の目は何かを推し量ろうとしていた。

っていうか随分と簡潔に切り込んできたもんだな。

 

「そう言うって事は、やっぱお前もか」

 

すずか達に聞いてた相馬の雰囲気の違い。

そんで今日話した感触を考えれば一目瞭然って話だがな。

 

「あぁ。原作ではアリサ達に特定の男友達は居なかったし、お前のジョジョってアダ名を聞いたら判ったよ……お前は、やっぱ神無月の様にハーレム狙いか?」

 

「アホ抜かせ。俺は別にンなもん興味ねーよ……まぁ、今はまだ女に興味の無い時期だからな」

 

思春期を迎えたらアイツ等をそういう目で見る可能性もあるだろうけど、今はまだ何とも言えねえ。

俺はもう前世を受け継いだ転生者ってだけでなく、この世界の人間として生まれ落ちた『城戸定明』って1人の人間だからな。

俺の言葉を聞いた相馬は「そうか」と呟いてなのは達に視線を戻す。

 

「そーいうお前はどうなんだよ?なのはが随分と惚れてるらしいじゃねぇか?」

 

「なのはが?俺に?何言ってんだよ?有り得ないだろ」

 

俺からしたらお前が何言ってんだよなんですけど?

そんな清々しい笑顔で「冗談はやめろよな」みたいな目で見られるのは心外だぜ。

今日のお茶会でのなのはを見てりゃ誰でも判る事だぞ?

何かカウンターの若い男の人血涙流してたからな。

 

「というか、定明はここが何処の世界か知ってるのか?」

 

「いや、原作に絡む気は無かったから神様には知らない世界にしてくれって頼んだけど?」

 

先の展開を知ってる原作の世界に言っても、その通りに生活してて事件に巻き込まれるって展開も考えられる。

だから敢えて知らない世界に転生するほうが安心だと思ってたんだが、もう後の祭りってヤツだろう。

俺の言葉を聞いた相馬は「成る程」って合点のいった顔をする。

 

「なら教えといてやるよ。ここは『魔法少女リリカルなのは』の世界だ」

 

「なにその痛々しさ抜群の名前は?っつうかあそこの1人主人公確定じゃねぇか」

 

え?あの子魔法少女やってんの?まさかソレがこの話の流れなのか?

なのはを中心に回る話……なるべくなのはに巻き込まれないようにしとこ。

 

「聞いたこと無いのか?まぁ良いけど、神無月には注意しておいた方が良いぞ?」

 

「あ?そんなヤバイ特典持ってんのか?」

 

「いや、特典自体はそうでも無いんだが、アイツは思想がヤバイ。なのはやアリサ達に近づく男子は殴る蹴るで学校に来させなくするのは日常茶飯事だし、ニコポとナデポを使って女子生徒、女教師を半ば洗脳してるからな」

 

やってる事は清々しいぐらいオリ主君だなアイツ。

そう考えていると、相馬は肩を竦めて薄く笑顔を見せてきた。

 

「まっ、何でかは知らないが、昨日アイツは謎の栄養失調で病院に運ばれた」

 

それ俺の仕業です。ハイウェイ・スターで吸い取りました。

 

「だから暫くはアリサ達と行動してても問題無いだろうが、兎に角気を付けろ?俺はアイツに転生者だとバレて殺されかけたからな」

 

「マジか?殺人も厭わないってのかよ?」

 

「あぁ。アイツは本気でこの世界が自分の物だと疑ってない。この世界で自分の思い通りにならない事なんか何一つ無いと本気でそう思ってる」

 

「典型的な天上天下唯我独尊……いや自分本位なヤツって訳だ」

 

「だから気を付けろ。今日会った友人が次には葬式で会う、なんていうのは止めてくれよ」

 

俺だってそんなのはご勘弁願いたいっての……しかし、何とも良いヤツじゃん。

コイツは本気でハーレムなんて狙ってねぇけど、アリサ達を心配してるのは間違いねぇ。

まっ、忠告は有り難く受け取っておくとして……。

 

「お前はどうなんだよ相馬?お前は神様に力貰って何しようと考えてるんだ?」

 

コイツの腹のウチってヤツをもう少し聞かせて貰おうかな。

俺の言葉を聞いた相馬は少し考えるような顔を見せ……。

 

「……俺がこの世界に来たかったのは、原作で報われなかった奴等が余りにも多く居たからだ」

 

やがて、静かに決意を宿した表情で語り始めた。

 

「原作を見て、ソイツ等の生き様を見て……否定する様だけど、もう少し良い終わらせ方、やり方があったんじゃないかって考えてた……フィクションの話なのにな」

 

そう自嘲するかの様な表情を一瞬だけ見せ、次の瞬間には真っ直ぐな瞳で夕焼けの空に視線を移す。

 

「でも、死んで神様に会って、この世界に生まれ落ちて……この世界は、もう俺にとってのノンフィクションになったんだ……初めてなのはに会った時にそう実感したよ」

 

空からなのはへと視線を移す相馬の横顔には、どんな試練も乗り越えていけるだろう強い輝きと決意に満ち溢れていた。

その瞳の向く先に居るなのはは、アリサ達と笑顔を浮かべて話をしている。

……あんな子が、そんな辛い未来を歩むってか。

その事実に思わず顔が歪む俺だが、俺は再び相馬に意識を戻す。

俺はまだ相馬の胸の内を聞いてる途中だからだ。

 

「だから、俺はこの世界で、アイツ等と一緒に戦う道を選びたい……アイツ等の笑顔を、少しでも多く守りたい……そう思ってる」

 

「……そうか」

 

ひたむきっていうか……シブイねぇ。

原作を見ていた視点じゃなく、敢えて同じ舞台に立とうってか……スゲエ奴だな。

俺とはまた目指してるモンが根本的に違うんだな、相馬は。

そう考えていると、相馬はなのは達から今度は俺に視線を移して俺を見てくる。

 

「お前はどうなんだ定明?お前は無関係で居たいから、この先の戦いに興味は無いって感じなのか?」

 

「あぁ。俺自身は戦いなんぞに興味はねぇ……けどまぁ」

 

俺も相馬に倣ってアイツ等の方へと視線を移し、笑顔でお喋りしてるアリサとすずかを視線に収め、ニヤリと笑った。

 

「ダチが危険な目にあったら助けるぐらいの気概はあるし……アリサ達は守るぐらいの力はある」

 

そうじゃなきゃ、立ち向かうもの(スタンド)なんて言えねぇしな。

少なくとも、降り懸かる火の粉は払ってお返しに炎を浴びせてやれる力はある。

俺から積極的に戦いに参入するつもりは更々無えが、向かってくりゃ叩き潰す。

 

「俺だって、むざむざ死ぬつもりは欠片も無え。来るなら二度と逆らえなくして自分と周りの平和ってヤツぐらいは守ってみせるさ」

 

「……そうか……なら、もう一つ忠告しとくよ」

 

俺の返事に何か感じるモノがあったのか、相馬は真剣な表情を浮かべたまま俺に顔を近づけてくる。

どうやら耳を貸せって事らしいな。

相馬の意図に気付いて耳を近寄らせ、俺は相馬の忠告に耳を傾ける。

 

「時期的には、もうすぐ原作が始まる……最初の事件は、地球滅亡の危機を孕んだP・T事件っていうのが起こるんだ」

 

最初(のっけ)っからクライマックスじゃねぇか」

 

ヤバイ、早くも意志が薄れそうなんだけど?

視界の端に走って俺達に近づいてくるアリサんトコのリムジンを見ながら、俺は最近ほぼ癖になりつつある深い深い溜息を零すのだった。

 

 

 

 

 





やばい、寝落ちして投稿遅れた。


誰かバイツァ・ダスト起動してーーーー(´Д⊂グスン

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