ジョジョの奇妙な冒険、第?部『マジカル・オーシャン』   作:piguzam]

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お、遅くなった理由、ですか?……い、いや。全然問題無いっすよ?

別にGTA5にハマってて遅くなったとかそういうんじゃ無……。


よろしかったら……アタシ達とお昼、ご一緒しま(ry

「はぁ……お茶会、ねぇ……」

 

『何よ、その気の無い返事は?まさかとは思うけど嫌なワケ無いでしょうね?』

 

少し呆けた声音で受話器に話し返すと、噛みつく様に反応して聞き返してくるアリサ。

いや、そんな不機嫌そうな声出さなくても良いじゃねーか。

 

「別に嫌ってワケじゃねぇよ……ただ、あんま洒落た空気は好きじゃねぇだけだ」

 

『安心しなさい。別に礼儀作法にうるさいお茶会じゃ無いから。ただ皆で集まって話をしましょうってだけよ』

 

「寧ろ、お前かすずかの家でやるってだけで充分洒落てると思うんだが?」

 

『ええい、男がグチグチとうるさいわねッ!!アンタは拒否権無しなんだからッ!!アンタもお茶会に参加よッ!!良いわねッ!!』

 

「あ~、分かった。分かったから、俺もちゃんと行くから怒鳴るなって……しかし、なのはが最近疲れを見せてるのは分かったけど、それって何かしてるからじゃないのか?」

 

色々とアリサの話に意見を返していたら遂に怒鳴られてしまった、っていうか拒否権ぐらい付けてくれよ。

こーゆう時に更に煽ったら面倒くせー事になるのは判りきってるので、俺は直ぐに了承する。

あの不快を通り越してゴミ屑な自称オリ主君に、町の清掃活動という名のボランティアをさせてあげた日から3日経った今日の事。

何時も通り学校に行って、何時もの様に友達と交友を深め、何時もと同じ様にリサリサと帰ってきた今日であるが、家に帰った俺を待っていたのはアリサからの電話だった。

最初母ちゃんからアリサからだと聞いた時は、また遊びのお誘いかなとか思っていたんだが、今回はちょっと毛色が違うご様子。

どういう事かと言えば、アリサは最近元気の無いなのはの事を心配してるのだが、どうしたものかと悩んでいるらしい。

元気が無いってのは確かな事なのか聞き返せば、アリサが言うには確実に疲れてる様にしか見えないんだと。

最近は放課後も一緒に帰らず何処かへ行ってしまうとかで、少し不安なのだとか。

まぁ俺はなのはが忙しい理由……ジュエルシード探索ってのは知ってるんだけど、さすがにアリサ達に話すワケにいかねぇ。

だから、アリサ達を騙す様で悪いけど、こうやって知らない振りをして話を合わせている。

 

『まぁ、アタシもすずかも何してるのかはハッキリ聞いて無いけどね……それでも、友達がここのトコずっと疲れてるなんて心配するじゃない?だから少しでもリラックスしてくれればなっていうのが今回のお茶会の目的ね』

 

電話の向こうから聞こえるアリサの声は、本当に心配そうな声だ。

まぁアリサの言ってる事は分かるし、俺もすずかの家で猫達と戯れてのんびりしたいかな。

 

「まぁ兎に角、時間は来週の日曜、昼から。場所はすずかの家で間違い無いんだな?」

 

『えぇ。誘っておいて悪いけど、アタシもすずかもその日は迎えを出してあげられないから、定明はバスで着てちょうだい。リサリサにも伝えておくわ』

 

「りょーかいだ……しっかし、最近の休みはお前等に会いに行ってばっかだな。こないだもすずかに誘われて乗馬に行ったし『ちょっと待ちなさい?』ん?何だよ?」

 

最近の外出の多さを思い返して、前にすずかに誘われて行った乗馬体験の事を思い返していたら、何故かストップを掛けられた。

何だろうと思って問い返してみると、何故か受話器の向こうのアリサの声は少し震えている。

 

『おかしいわね?アタシの聞き違いかしら?すずかと乗馬に行ったって聞こえたんだけど……』

 

「あぁ。行ってきたぜ?それがどうかし『どういう事よッ!?』ッ!?急にデカイ声出すなよ。耳が痛えじゃねぇか」

 

普通にこの前遊びに行った話をしただけなのに、アリサは何故かキレだしたではないか。

しかもかなりデカイ声だった所為で、俺の鼓膜にダメージがきてるんだけど?

 

『アンタの耳の事は良いから話しなさいよッ!!何でアンタとすずかが2人で出掛けてるワケッ!?そ、それって完全にデ、デデデ……』

 

「大王?」

 

『Shut Up!!そうじゃなくて、完全なデートじゃないッ!!このバカチンッ!!!』

 

バカチンておま……最近俺への罵倒が容赦なさ過ぎるだろ。

それと俺の鼓膜の心配ぐらいしろっての……ったく。

もはやヒートアップしたアリサに何言っても無駄だと感じ、俺はササッと事の顛末を話す事にした。

 

「デートじゃねぇし、2人でもねぇぞ?ファリンさんも運転手兼保護者として来てたからな」

 

『そんなもんノーカンでしょうがッ!!っていうか何でアタシに一言も話さずに2人だけで遊んでるのよッ!!』

 

いやいや、そこは普通にカウントしてあげろよ?

ヤギ達にスカート捲られそうになってたのに、居なかった事にされたらファリンさん可哀想じゃねぇか。

あの人の方が農園での目立ち度は俺とすずかより上だったんだぞ……野郎共からは。

って……ん?おかしいな?『一言も話さずに』?

アリサの言い様に少しばかり違和感を感じて、俺は受話器に向かってすぐさま口を開く。

 

「いや、俺はすずかから偶々その農園の1日フリーパスが二枚手に入ったからどうだ?って聞かれただけだし、アリサは塾で忙しいって聞いたと言ってたぞ?」

 

『……やられた……確かにあの日は塾が……ッ!!やるじゃない、すずか(ぼそっ)』

 

「あぁ?……おいアリサ、どうかしたのか?」

 

何やら電話の向こうでブツブツ言ってるアリサに声を掛けるも、軽く「何でも無い」と返され、またアリサが静かに呟き始めた。

微妙に聞こえづらい音量で喋っているので、少し耳を澄ましてみるがそれでも聞き取れるのは細々した断片だけだ。

やれ『私も――何か――かしら?』とか、何故か鮫島さんの声で『お嬢様――等、如何でしょうか?』なんて質問の声も入ってる。

何だ?アリサの奴電話ほったらかしで何か話し合ってんのか?

もう少し頑張って耳を澄ましてみると……。

 

『それよッ!!PERFECTだわ、鮫島ッ!!!』

 

デッケエ音量が俺の鼓膜を直撃してきやがりました。

そろそろ俺の鼓膜が破られそうなんですけど?

 

『ホッホッホ。アリサお嬢様のお役に立てたのならばこの鮫島、感謝の極みにございます』

 

『やっぱりこういう時は亀の甲より年の功って事ね……もしもし定明ッ!!再来週の休みはアタシに付き合いなさいッ!!』

 

「話の流れを組んで説明してくれねぇか?いきなり言われても分かんねぇよ」

 

もうね、話の流れとか完全ブッチぎりなワケで、アリサの要求が何なのかすら把握出来ません。

そう思って若干呆れ気味に返事を返すと、受話器越しに聞こえてくるアリサの声が何やら慌てたモノに変化した。

 

『だ、だからその……ち、ちょうど私の手元にも、この前開店した屋内プールの無料券が2枚だけあるのッ!!それに付き合いなさいって事ッ!!』

 

「屋内プール?……そういえば、結構デカイ市民向けのプールが出来てたっけか」

 

俺はタウンマップガイドで見た海鳴の娯楽スポットの特集を思い出しながら、アリサに言葉を返す。

確か海鳴の中でもかなり大きなプールで、スライダーとか飛び込み台とか、アトラクション形式のプールだったな。

海鳴の娯楽施設の中でもかなり人気が高くて、季節問わずに遊べるって触れ込みが売りだとか。

 

『そうよ。そこのプールはパパの会社も建設に関わってるから、その関係で偶々、そう偶々ッ!!フリーパスが2枚だけ手に入ったのッ!!連れてってあげるから光栄に思いなさいよッ!!』

 

「光栄って……まぁ、確かに嬉しいけどな」

 

最近あんまり身体を動かしてねぇし、泳ぐってのも久々だからなぁ……うん、マジで行きたい。

 

「分かった。俺で良けりゃ付き合うよ……一応聞くけど、すずか達は良いのか?」

 

『(来たわねッ!!)その事なら心配無いわ。すずかは来週ヴァイオリンの稽古があるし、リサリサも塾に行くって聞いてるから。それと、なのはは……言わなくても判るでしょ?』

 

俺の質問にも淀みなく答えるアリサだが、なのはの扱いはすずかと同じであまり変わってねぇ様だ。

っていうか、ここまで親友達に運動する事に対して心配される奴も普通は居ないだろ?

寧ろそこまで運動神経が擦り切れてる奴なんて、逆に見てみてぇぜ。

まぁそんな感じで俺は既に再来週まで休みの予定が埋まってしまったんだが……最近こんなのばっかじゃね?

どうにも振り回されてる感じが否めないが、一度約束しちまったからには守らねーと、後でとんでもないしっぺ返しを喰らいそうだから文句は言わない。

その後は来週の休みに会う約束を確認して、俺は電話を切って眠りに就いた。

さあて……来週は何が起こるのやら。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「よ、ようこそお越し下さいました。クソガ……き、城戸……様(ピクピク)」

 

本日は約束していた日曜日の真昼間。

俺は指定された時間の30分前ぐらいにすずかの家に到着し、玄関で見た事のある人物に出迎えられていた。

右側の髪だけ長く、左側はショートという少し変わったヘアスタイルの美人さん。

何処か言葉の端々がおかしく、口元も微妙にヒクヒクしてる……ふむ。

 

「すずかー、チェンジ頼むー。出来ればファリンさん所望ー」

 

「ブッ殺すぞクソガキッ!!アタシが態々出迎えてやってんのに全無視にチェンジ希望とか、良い度胸じゃないかッ!!」

 

「いやいや、口元ヒクつかせてる上に言葉遣いおかしすぎんだろ。っていうか客人に向かってクソガキ言うな。これでチェンジ所望せず何を所望しろってんだよ?」

 

俺の言葉に瞬間で反応、爆発した赤いヘアバンドを着けた金髪のメイドさんに向かって、俺は溜息を吐きながらそう愚痴る。

何でこんな物騒なヤツを迎えに寄越しやがるかね、すずかは?

出迎えに来たのがコイツって、俺からしたら「帰れ」って言われてる様なモンだっての。

家に入る初っ端から面倒くせーヤツに会った所為でテンションダダ下がりな俺だが、メイドはそんな俺を見て不機嫌MAXって感じだ。

 

「フン、アタシだってお前の出迎えなんかしたく無かったさ……でも、忍の命令じゃ聞かない訳にはいかないから、こうして態々お前を出迎えてんだ。少しは感謝しな」

 

「ここまで尊大な態度取るメイドなんざ、世界中探したってココだけだろーな。そういう意味じゃ俺はラッキーなんだろうけど……ってか、何メイドの真似事なんかしてんだよ――『イレイン』?」

 

かなり上から目線で物事を語ってくるメイド――『イレイン』に対して、俺は呆れた様に物申す。

そう、俺を出向かえたのは、俺がブッ壊した後で修理を依頼され、治したら治したで襲いかかってきた自動人形のイレインだ。

まぁ治したからには動いていても不思議じゃねぇんだけど……何故にメイドやってんの?

あの時の服装とは違い、ノエルさんやファリンさんと同じ薄紫色のメイド服に身を包んだイレインは、俺の質問を聞いて鼻を不機嫌そうに鳴らす。

 

「真似事じゃねぇ、ちゃんとした仕事だ。ここで仕事をしながらこの世界で生きるための常識とかを学んでるんだよ……アタシは稼動時間が短いから外の世界の事を良く知らないし、覚えておいて損は無いって思ったんだ」

 

「へぇ?俺が治してやった直後は、もう何もかもが気に入らねえってあんなに暴れてたってのに、随分と殊勝じゃねぇか」

 

からかう様に笑いながら言うと、イレインは何故か恥ずかしそうにそっぽを向いた。

 

「……忍が、アタシがちゃんとした常識を身に付けたら、ココに残っても、自由に好きな所へ行っても良いって言ってくれたからな……せめて、ちょっとだけでも恩を返せたらと思って、この仕事やってんだよ」

 

イレインは恥ずかしそうにそう言うと、頬を少し赤く染めて頬を指で掻く。

完全に自分の言った事に対して照れてんだろう。

初めて会った時は完全に裏表の激しい二重人格のデンジャラス女だと思ってたが、案外良い奴じゃん。

その後は特に会話らしい会話もせず、俺達は無言で屋敷の中を歩いた。

無言つっても重苦しい雰囲気じゃなくて、心地良い無言の空気だったけどな。

そのまま歩を進めていき、また何時も通りのガラス展望室の扉を開けて、中へ進んでいく。

中では既にアリサとすずか、そして忍さん達が座っていた。

傍にはノエルさんとファリンさんも控えている。

 

「いらっしゃい、定明君。お久しぶりねー♪」

 

「Hi定明、ちゃんと時間通りに来たわね」

 

「こんにちは、定明君」

 

俺の姿を確認した忍さん達は、それぞれ挨拶を飛ばしてくる。

ファリンさんとノエルさんも挨拶をくれたので、俺は片手を挙げながらテーブルへと近づいていく。

 

「ういーっす。なのは達はまだ来てねーんだな」

 

「うん。なのはちゃんと相馬君は、恭也さんと一緒にもう少し後で来るんだ」

 

「まぁ後20分くらいで来る筈よ。気長に待ちましょ……でも、今回はリサリサが来れないのよね」

 

「あぁ。この前家の用事で塾を休んじまったから、今日はその穴埋めらしいぜ?」

 

金曜日に学校で残念そうに語っていたリサリサの事を思い出しながら、アリサに返事を返す。

残念ながら今回、リサリサは休んでいた塾の遅れを取り戻すために欠席だ。

まぁ来れないモンは仕方ねぇと割り切りつつ席に付く俺だが、何故か忍さんが俺にニコニコ笑いながら視線を向けてくる。

 

「……何スか、忍さん?」

 

「ふふふ♪すこーし定明君に聞きたいんだけど、イレインはどうだった?ちゃんとメイドさんが出来てたかな?」

 

「ちょ、ちょっと忍ッ!?」

 

俺に向けてくる視線の意味が判らず声に出して聞けば、忍さんはそんな事を言ってきた。

それを聞いて、今まで俺の後ろに居たイレインはこれ以上無いってぐらいに狼狽する。

あぁなるほど?イレインの仕事っぷりが気になるって事か。

っていうか絶対に面白がってイレインに俺を迎えに行かせただろこの人……悪戯好きなのか?

まぁイレインの奴がちゃんと仕事出来てたかって聞かれたらアウトだけど……。

 

「そうッスねぇ……まぁ、世界中何処探したってオンリーワンってぐらい、個性に満ち溢れたメイドやってましたよ」

 

何か率直に言ったらイレインがまたアレコレうるせぇだろうから、適当な言い回しで誤魔化しておく。

うん、間違っちゃいねぇよ、絶対にあんな横暴なメイド居ねぇと思う。

 

「そうなんだ、ありがとう♪良かったじゃないイレイン。定明君からも褒められるメイドになれて♪」

 

「なっ……ッ!?こ、こんな奴に褒められても嬉しかねぇよッ!!」

 

「イレイン、お客様に失礼な物言いをしてはいけません」

 

「良いんだよノエルッ!!アタシは一度コイツにブッ壊されてんだからッ!!」

 

「でもでも、イレインはその後で定明君に治してもらったですよね?」

 

「ええいッ!!ファリンも一々余計な事を言うなってッ!!」

 

俺の政治家的なお茶を濁す発言を聞いて察してくれたのか、忍さんは笑いながらイレインに声を掛ける。

俺の後ろに居たイレインは忍さんに直ぐ言葉を返すが、何故かその頬は真っ赤に染まっているではないか。

そこから更にノエルさんとファリンさんの姉妹口撃を受けるも、頑張って反撃するイレイン。

っていうか人が何とかフォローしてやったのにこんな奴はねぇだろ。

まぁ、人前で褒められて恥ずかしいって気持ちがあるからかもしれねぇけど。

 

「……そういえば、定明。アタシ達、アンタに聞きたい事があるんだけど」

 

「ん?何だよ?」

 

そんな感じで楽しくイレインをイジりながら時間を過ごしていると、アリサが唐突に話しを切り替えてきた。

アリサの隣りに座っているすずかも、何か聞きたそうな顔をしている。

 

「あのね……実はちょっと前に、あの人が入院したの……誰かに襲われたらしくて」

 

「あの人?誰だよ?」

 

すずかの確かめる様な話し方に違和感を感じつつも、俺はすずかの言う人物が誰か分からず聞き返す。

 

「アイツよ、あの馬鹿。神無月」

 

ヤベエ、誰かと思えば聞き覚えのありすぎる奴じゃねぇッスか。

っていうか今更その話をしてくるとか……まさか、俺がやったのバレてるのか?

内心冷や汗が流れそうな心境の俺だが、アリサは俺の様子に気付いているのかいないのか、そのまま話を続けた。

 

「骨が数十箇所折れてた上に、歯も殆どが圧し折られた状態で発見されたらしいんだけど、噂じゃ指も切り落とされてたとか……誰の仕業かしら……ねぇ、すずか?」

 

「そうだね……そういえば、その日は私達と帰らずに『1人でやらなきゃいけない野暮用がある』って人が居なかったっけ、アリサちゃん?」

 

「お前等なぁ……判ってて言ってんだろ?」

 

訂正、どうやら俺の見通しが甘かった様だ。

コイツ等普通にオリ主をブチのめしたのが俺の仕業だって判ってるし。

オマケにワザとらしい言い方してるけど、顔メチャクチャにやけてやがる。

 

「まぁ、アタシだってあの馬鹿には今までこれでもかって付き纏われてたからスカッとしたけど、何でアンタがアイツをボコボコにしたワケ?しかもスタンドを使ってまで、さ」

 

直接面識無いでしょう?と俺に視線を送りながら質問を続けてくるアリサ。

隣に居るすずかも、その事には興味津々な様でジーッと俺に視線を向けて黙っていた。

そんな視線を2人、いやこの部屋に居る全員から受けている俺としちゃ、かなり居心地が悪い。

しっかし、いやマジでどう語ったモノか……さすがに転生者うんぬんは話せないし、あのオリ主が異能を持ってる事も言えねぇしな。

そもそも魔法の存在自体、今なのは達が必死こいて黙ってるんだし。

 

『……実はよ、あの日、俺はDQNネーム君にこっちに来られちゃ面倒だなと思ってハイウェイ・スターで奴が来るかどうか見張ってたんだ……そしたらあの野郎が公園で子猫を苛めて笑ってる場面を見ちまってよぉ……そのままハイウェイ・スターでヤっちまっても良かったんだが、直接ぶん殴らなけりゃ気が済まないぐらいにムカついたもんでね……俺が直々に出向いてブチのめしてやったのさ』

 

仕方なく、俺は在り得そうな話を適当に捏造する事にした。

まぁこれでアイツがコイツ等に悪印象持たれようとも俺には関係ねぇし、寧ろあんな屑の事なんざどーだって良い。

そして俺のでっち上げたエピソードはすずか達に多大な怒りを呼び起こさせ、オリ主の退院後の再入院が決定してしまう。

 

「最低……子猫を虐めるなんて、人としてやっちゃいけない事だよ……」

 

「あいつは何処までも屑ね……」

 

「許さねぇ……忍、今すぐあたしの静かなる蛇を返せ。ソイツを縛り上げてから、じっくりとローストしてやる」

 

「落ち着きなさいよイレイン。私だって頭にキてるけど、殺しちゃダメでしょうが」

 

特にブチ切れてたのは意外にもイレインであり、その怒り様ときたら俺とやりあった時の数倍はあるって勢いだ。

まぁアリサやすずかの怒りようも半端じゃねぇけど……もしやイレインの奴、猫が好きなのか?

兎に角、俺がそれを見てプッツンしたからアイツを病院送りにした事を理解してもらう事は出来た。

更に俺がヘブンズ・ドアーを使って、あの屑にアリサやなのは達から5メートル以内には近づけないという命令を書き込んだ事は大いに感謝された。

なんせ近づけないは話せないは、向こうがアリサ達に頭きても攻撃も出来ないってのが嬉しくて仕方ねぇとよ。

もう2人して手を取り合ってメチャクチャはしゃいでたのは笑ったぜ。

主にオリ主の嫌われ具合に。

その後は皆で談笑してたんだが、少ししてから来客を知らせるベルの音が鳴り響き、ノエルさんが対応に出向いて行った。

どうやら、お待ちかねの客人達が来たみてーだ。

そう思っていると部屋のドアが開いて、私服のなのはと相馬、そして……。

 

「あれ?恭也さん?」

 

「やぁ定明君、久しぶりだな」

 

同じく私服姿の恭也さんが入室してきた。

ってそうか、そういや忍さんと恋仲なんだよな、すっかり忘れてた。

 

「ふぇ?さ、定明君、お兄ちゃんの事知ってるの?」

 

「ん?あぁ。すずかの家に初めて来た時に、恭也さんが忍さんに会いにきてたからな。なのはと会う前に自己紹介はしてたぞ」

 

と、恭也さんがココに来た理由に納得してた時に、なのはが驚いた顔で俺に質問してきた。

まぁなのははあの誘拐事件に関わってねぇから、そう驚いても仕方ねぇか。

恭也さんも俺がそういう事情を考えて嘘吐いたのを理解してくれてか、見上げてくるなのはに頷いて肯定してくれた。

 

「そ、そうだったんだ?あっ、それとこんにちは、すずかちゃん、アリサちゃん、定明君……って、あれ?リサリサちゃんは?」

 

「こんにちは、皆。そういえばリサリサさんの姿が見えないな?」

 

「いらっしゃい、なのはちゃん、相馬君。リサリサちゃんは、今日は塾があるから来れないんだって」

 

改めて挨拶してくるなのはに、俺達はそれぞれ挨拶を返し、すずかがなのはの疑問に答える。

その答えを聞いて残念そうな顔をするなのはだったが、家の用事では仕方ないと思ったんだろう。

直ぐに気を取り直して笑顔を見せるも、今度はイレインを見て相馬と一緒に首を傾げる。

 

「あれ?すずかちゃん、その人は……?」

 

「あっ、ごめんね、紹介が遅れちゃって。この人はイレイン。ウチの新しいメイドさんだよ」

 

なのはに問い掛けられたすずかはなのはの質問に淀みなく答えてからイレインに視線を送る。

その視線を受けたイレインは小さく頷くと、さっきまでとは別人じゃねぇのか?って疑いたくなる笑顔を見せた。

 

「お初にお目に掛かります。私はこの度月村家の皆様のお世話をさせて頂く事になりました、イレインと申します。すずかお嬢様から北宮様と高町様のお話しは窺っておりますので、どうぞこれからよろしくお願いします」

 

「は、はい。よろしくお願いします、イレインさん」

 

「北宮相馬です。コチラこそよろしくお願いします」

 

Holy shit。口調すらまるで別人じゃねぇか……しかも俺を出迎えた時とは違って完璧な丁寧語だし。

スカートの端を摘んで優雅にお辞儀とか、対応まで雲泥の差がある。

唖然とした表情でイレインを見てると、目が合った時に微笑んできやがった。

ニャロウ、「アタシだってこれぐらいできるのさ、フフン♪」って目で語ってやがる。

いや、まぁ別に?別に俺だけ対応がおざなりだった事には……まぁ、そこそこ不満はあるが、良しとしとこう。

そう思っていたら、忍さんはノエルさんにお茶を持ってきて欲しいと頼みつつ、恭也さんと一緒に部屋を移動した。

まぁ小学生ばっかりの所に何時までも居るってのも不自然だもんな。

俺達のお茶の世話はファリンさんがしてくれるらしく、彼女も意気揚々と部屋を後にした。

その様子に若干、一抹の不安がよぎる俺だったが、一応ファリンさんを信じて待つ事にする。

チラッと視線を向ければすずかも少し不安そうな表情だったよ。

イレインはこれから夕食材料の買出しに行くらしく、俺達に挨拶をしながら部屋から出て行く。

だが、その途中で俺の耳元に屈みこんで、ボソボソと喋ってきた。

 

「あ、アンタのお陰で、アタシはスクラップにならずに済んだ……その事は本当に感謝してるからな……ありがとうございます……定明様」

 

彼女は一方的にそう告げると、足早に部屋を抜け出す。

振り返ってイレインの後姿に目を向けると、彼女の耳は真っ赤に染まっているのが見えた。

全く……最後の最後で、ちゃんとした対応してきやがって。

 

「?定明君、イレインは何て言ってたの?」

 

「ん?別に……まぁ、ちょっとした事だ」

 

俺が話しかけられてた内容が気になったのか、すずかがそう質問してきたが、俺はそれを受け流す。

態々小声で、俺にしか聞こえない様に話してきた事をバラすのもどうかと思うしな。

そして、なのは達が空いてる席に座ると、なのはのリュックからユーノが顔をだして、床に降り立つ。

何故か俺を見た瞬間ブルルと怯えだすではないか、失礼なフェレットだな。

 

「あ、あはは……定明君がユーノ君を非常食だなんて言うから、ユーノ君怯えちゃってるんだよ?」

 

「はぁ?それってつまり、ユーノは人の言葉をしっかりと理解してるって事かよ?幾ら賢いっつっても有り得なくね?」

 

なのはの苦笑交じりの言い分を聞いて、俺は眉をしかめてしまう。

やっぱコイツって普通の動物じゃねぇって事だよな?

なのはも俺の言葉を聞いて、自分が何を言ったのか思い至ったんだろう。

ヤバそうな顔で視線をキョロキョロさせてやがる。

オマケにユーノまで、何かビクビクしてるし。

 

「まぁあまり気にするな定明。世の中は広い、ユーノみたいに賢いフェレットだって居るって事さ。な?なのは?」

 

「そ、そうだねッ!!うん、私が言いたかったのはそういう事だよ、定明君ッ!!」

 

「なのはちゃん。何だか凄い慌ててるけど、大丈夫?」

 

「ノ、ノープロブレムだよ、すずかちゃんッ!!今日もなのはは絶好調なのッ!!」

 

と、なのはの失言に対して追求しようと思った俺だが、その追及の手は相馬に止められてしまう。

しかもなのは達には見えない様に、俺に向かってシーッと指を口に添えたポーズを見せる。

……どうにも、前に思った通り、あのフェレットにも何か秘密があるらしいな。

しかも相馬の話で聞いてたユーノって奴と同じ名前……間違いなく原作に関わる人物だろうな。

何かこのまま突っ込んだらなし崩し的に原作へ巻き込まれちまいそうだし、コレ以上の追求は止めておくか。

今の俺にピッタリな諺、『触らぬ神に祟り無し』に従い、俺はそれ以上このフェレットに対して追求はしなかった。

まぁそのお陰か、なのはもフェレットもそれ以上焦る事は無くなり、何時もの調子で皆で談笑を始める。

 

 

 

さあて、今日も面倒事が起きねー様なハヴァナイスデーな一日を送りた――。

 

 

 

「お待たせしまし(ニャニャーッ♪)(キュ、キューッ!?)あ、あわわわぁ~~ッ!!?」

 

「「「「ファリン(さん)ッ!!?」」」」

 

 

 

……無理っぽいな……ハァ。




はい、前書きの通りGTA5やってて投稿遅れました。

誠に申し訳ご「オラオラオラオラオラオラオラオラオラァッ!!」ぎゃぴーッ!?

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