ジョジョの奇妙な冒険、第?部『マジカル・オーシャン』   作:piguzam]

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ネタが纏まらない……そして投票とプッチ神父のお告げの結果……。


フェイトそんはヒロイン枠から外しました。

あれだけ多くの希望者が居たにも関わらず、反対派もそれを上回るレベルで居た。

m(_ _)m、謝りますから……。

アリサ達3人を出来るだけ可愛く書きますからオラオラは勘弁して下さいぃぃ!?




本物の長方形はこれで良(ry

「さぁ皆さん。今日は4年生の皆さんと一緒に、自然の風景を書いて見ましょう。準備はちゃんとしてきましたかー?」

 

『『はーい!!』』

 

先生の号令に従って、俺達は元気良く返事を返す。

ただまぁ、俺は元が中学生って事もあって少し恥ずかしいが我慢する。

1人だけノリが悪いとか言われんのもヤダしなぁ。

 

「はい。それじゃあ皆さん。風景を書ける場所は学校の裏側にある斜面の場所ですので、そこからは出ない様にして下さいねー。先生達もちゃんと見回りますから、他の場所へ行かないように」

 

昇降口の前で画板と鉛筆、そして絵の具セットを持って整列してる俺達に、先生達は注意事項を話していく。

ウチのクラスは腕白が多いけど、先生の言う事はキチンと守るので、特に問題はねぇだろ。

あの金髪腹ペコ魔導師とその使い魔の腹ペコ狼に出会ってから早3日。

いま俺は学校の美術、というか図画工作の授業で3、4年生合同で行われる写生授業の真っ最中だ。

実はウチの学校(海鳴第一)と第二小学校には一学年全部でクラスが3クラス程しかない。

都会ほど多くなく、田舎より少なくないって程度だ。

その所為なのかは知らないが、他の学校でやる様な写生大会というモノは無い。

授業の日程に盛り込まれていて、1、2年、3、4年、そして5、6年という変則的な合同授業でそれを消化する。

何故学年別じゃ無いのかと言えば、下級生は上級生の絵の書き方を見て学び。

上級生は下級生の柔軟な発想力から何かを得られる様にという配慮らしい。

後は他学年同士の交流を深めて、1つ学年が上だからという理由での壁や遠慮を出来るだけ無くすのも目的だそうだ。

ちなみに何で俺がそんな難しい事を知ってるかというと……。

 

「ジョジョ。私はあそこのオオアラセイトウが咲いてる場所にしたいんだけど?」

 

「俺は別に何処でも構わねぇぞ?特に拘りはねぇし、先輩に任せるさ」

 

「……貴方にそう呼ばれるのは好きじゃないわ。まるで壁があるように感じるもの」

 

「悪い悪い。そんじゃアリサ。そこへ行こうぜ」

 

この学校一、いや下手したら聖祥でもNO,1になれるであろう天才少女のアリサ・ローウェル、通称リサリサが教えてくれたからだ。

俺はアリサの呼びかけに適当に返事しつつ、先輩呼びで機嫌が悪くなったアリサに謝罪する。

ちゃんと謝罪するとそこまで怒ってなかったのか、アリサはすんなりと俺を許してくれた。

 

「えぇ。先輩なんて他人行儀じゃなくて、是非そう呼んでちょうだい。若しくはリサリサってね♪……それじゃあ行きましょうか、ジョジョ♪」

 

改めて愛称を呼んだ事でリサリサは笑顔を俺に向けて軽い足取りで歩き出す。

向かう先はリサリサのリクエストした日陰のある書きやすそうな場所だ。

 

「……それにしても、今日は良い天気ね。絶好の写生日和だわ」

 

「確かに天気は良いけどよぉ……ふぁ……こうもポカポカしてちゃ、眠くて仕方ねぇや」

 

「ふふ。お昼ご飯を食べた後だから尚更ね」

 

俺が欠伸しながら愚痴を零すと、アリサは可笑しそうに笑いながら相槌を入れてくれる。

今日はこの写生の授業が最後の日程なワケだが、空は雲が少しあるだけで、柔らかな日差しが眠気を誘う。

染み込む様なこの眠気に最後まで耐え切れるかって聞かれると、正直俺は自信が無い。

とはいえ、寝ていて書けませんでしたじゃまた別の日に居残り喰らう羽目になるから頑張るしかねぇ。

それに、今回の写生授業で俺にはもう一つ別に目的があるからな。

その目的を達成するには、この授業を受けるのが必須なんだ。

 

「さて、じゃあこの辺りにしましょうか。日の光もそんなにキツくないし」

 

「ん?そうだな……じゃあココに座るとすっか」

 

と、考え事をしてる間に目的の場所に到着し、俺とアリサは被写体の目の前に陣取る。

ここらは特に他の生徒も居ないし、集中してやるにはもってこいだな。

俺等は先生に事前に持ってくる様に言われてた敷物をしいてその上に腰を下ろす。

さぁいよいよ下書きに入ろうと思い、俺達は画板に挟んだ画用紙に下書きを始める。

被写体は花と、その横に生えている樹木。

その被写体の状態を目測で確認しながら、俺は鉛筆をサラサラっと走らせていく。

 

「……へぇ。余りこういった事には興味が無さそうに見えたけど、貴方普通に上手いじゃない?」

 

俺の下書きを見ながら、横からアリサが顔を覗かせてきた。

彼女の表情は純粋に俺の絵を褒めてくれてるのか、楽しそうな笑顔になっている。

俺もそんな風に言われて嬉しい気持ちを持ちながら、彼女の絵に目を向けた。

アリサの画用紙にはまだ余り鉛筆の跡が奔っていないが、それでも普通に上手いと思う。

 

「アリサの方こそ上手いじゃねぇか?凄く繊細って感じがするぞ」

 

「そう?私はそんなに絵を書いた事が無いから、上手いかどうかなんて考えた事も無かったわ」

 

「あんまり書いた事がねぇのにその画力ってのはトンデモねぇと思うが?俺はこれでも結構絵の練習したからな」

 

主に岸辺露伴に追い着きたいっていう野心の元に。

今はまだまだでも、いずれはベタ塗りをインクを飛ばす技のみで出来る様になりてぇな。

アリサに言葉を返しながらも手は止めず、俺は風景を書きながら自然の中に存在する『定規(スケール)』を探していく。

そう、今回の写生授業での俺の目的は、『黄金長方形』を自分の目で感じ取る事だ。

 

 

 

――『黄金長方形』

 

 

 

それは凡そ9対16の比になっている長方形の事を指す。

正確には1:1,618の黄金率の事を言う。

その長方形の中に更に正方形を作ると残った長方形もまた、凡そ9対16の黄金長方形となる。

更に、その中に正方形を作れば、残りも黄金長方形。

それを繰り返して更に更にと作り続ける。

その正方形の中心点を線で結べば、それは無限に続く『渦巻き』が描かれる。

その渦巻きこそ、ジャイロ・ツェペリの先祖が伝えてきた『黄金の回転』の軌跡。

この通りに鉄球やジョニィ・ジョースターのスタンドである『(タスク)』の爪を回転させると、そこには無限に続く力が生まれる。

そしてこの黄金長方形とは、ツェペリ一族や芸術家達が自然物の中に内包されている事を発見した定義。

深い観察から、芸術家やツェペリ一族が学んだモノと同じスケール。

それに気づかない限り、俺はタスクをACT1から成長させる事が出来ない。

同じ様に、俺はまだ鉄球を黄金長方形の軌跡で回転される事は無理だ。

だから俺は今まで何度も黄金長方形のスケールを探すために、暇があれば自然に目を向けている。

しかし暇だからと目を向けたぐらいでは、自然は答えてくれなかった。

だから今回こそはと、俺は写生に真剣に取り組む事で黄金長方形を発見しようとしてる。

 

「LESSON4『敬意を払え』、か……しっかり見とかねぇと駄目ってワケだ」

 

「え?……LESSON4があるの?私やすずか達はLESSON3で終わりじゃ……」

 

「ん?……あぁいや、お前等はちゃんとLESSONを終えてる。コレは俺だけのLESSONなんだよ」

 

俺の言葉に反応したアリサにそう返しつつ、俺は深く集中して自然に目を向ける。

集中……集中だ……一つ一つの絵を書く為に、目の前を深く観察しろ。

 

「そうなの……何か私に手伝える事はある?」

 

「あ~……悪いが、コレは俺が自分で見つけねぇと駄目なんだ」

 

「見つける?何かを探してるって事?」

 

「あぁ……まぁ、自然が持つスケールってトコだな」

 

俺がそう言うと、アリサは何かを考える様に静かに唸り始めた。

まぁ俺の探してる物の事なんて分かんねえよな。

 

「スケール……自然……もしかして、黄金比の事を言ってるのかしら?極稀に自然界に存在すると言われてる、天然の定規(スケール)?」

 

「アリサお前マジでどんだけ頭良いんだよ?」

 

予想外過ぎる答えに俺は思わず画板から目を離してアリサを凝視してしまう。

何で判るの?俺、黄金長方形のおの字すら言ってないんですけど?

たった2つのキーワードでそこまで辿り着けるとかおかしいだろ。IQ200マジパネェ。

マジにビビりながらアリサを見つめれば、彼女は肩を竦めて苦笑していた。

 

「私からすれば、その年で黄金比を自然から探そうとする貴方の方が凄いと思うけど?しかも学校の授業で……あら?」

 

俺に言葉を返していたアリサが途中何かに気付いたかの如く声を挙げる。

そのままアリサは俺より少し上に視線を巡らせ始めた。

何だ?もしかして誰か居るのか?

そう思って後ろを振り向いても、俺の後ろには誰も居なかった。

 

「フフッ。ジョジョ?お客さんはココよ」

 

「え?」

 

何やら楽しそうなアリサの声に釣られて振り向けば――。

 

「花の香りにでも釣られて来たのかしら……この風景にピッタリね」

 

そこには、ヒラヒラと舞う蝶を指先に停めて微笑むアリサの姿があった。

見た目はそっくりでも、快活なアリサとは真逆のクールな印象を持つリサリサ。

そんな彼女が芝生に腰掛けながら、指先に蝶を乗せて薄っすらと微笑む姿は……一枚の絵画そのものだ。

まるで一つの芸術の様な風景の中に居るアリサ……これなら誰が書いても黄金比の絵になるんじゃ……え?

 

「モンシロチョウって、この斑点がチャームポイントなのかしら?貴方はどう思う、ジョ……どうしたの?」

 

「……は、はは……マジかよ」

 

ふわりと指先で羽を休める蝶を観察しながら問いかけてくるアリサが、俺の様子を見て首を傾げる。

一方で、俺は目の前の光景が信じられなかった。

呆然とした様子で乾いた笑い声を出しながら、俺はアリサの指先に止まる蝶から視線を外せないでいる。

いや……正確には、蝶の羽根を囲う様に浮かぶ『金色の長方形』から、目を離せない。

もしかして、コレが……コレなのか?

心に浮かんだもしやという思いに動かされ、俺はゆっくりと自分の人差し指を見つめる。

 

「……?……一体どうしたのよ、ジョジョ(ヒラヒラ)あっ……」

 

俺の様子がおかしいと感じたのか、アリサは立ち上がって俺の側に近寄ろうとし、指先の蝶がそれに驚いて逃げた。

フワフワと風に舞うかの様に飛ぶ蝶だが、ソイツの向かった先には蜘蛛の巣が張ってある。

このまま行けば、あの蝶は蜘蛛の餌食になってその生涯を終えるだろう。

 

「……タスク」

 

俺は再び蝶に視線を向けつつ、ぼそっと小さく呟いてタスクを使うつもりで声を出す。

今までならタスクを使おうとすると、足のない赤子のような姿のスタンドが現れていた。

更に、ACT1なら爪が指の上でプロペラの様に回転していたが――。

 

ドルルルルルルルッ!!!

 

「えッ!?……ジ、ジョジョ?爪が……」

 

「あぁ……指を軸に、ドリルみてーに回ってやがる……それに……」

 

出て来たスタンドのヴィジョンは、『足の無いロボット人形』の様な像だった。

しかも爪の回転の向きが……パワーが完全に変わってる。

俺はその指を少し見つめてから、何時の間にか蜘蛛の巣に捕まってしまっていた蝶に視線を向ける。

 

「……コレは、俺なりの礼だ……ありがとよ」

 

ドバッ!!

 

ひょんな事から俺にスケールを見せてくれた蝶に礼をする為に、俺は指先を蜘蛛の巣に引っ掛かった蝶に向けて、爪を発射した。

指先から発射された爪弾は真っ直ぐに飛んで蜘蛛の巣に引っかかっていた蝶の羽根に撃ち込まれた。

 

ギュルルルルルッ!!

 

だが、蝶の羽根に開いた筈の『穴』が『動き』、移動した穴は蝶を食べようとしていた蜘蛛に重なる。

穴が重なった蜘蛛は別に気にせず蝶に向かって歩を進め……。

 

バァンッ!!

 

まるで風船が破裂した様な音と共に、穴が弾けた。

当然、穴が重なっている蜘蛛も同じ様に抉り取られ、絶命する。

衝撃が強かったのか、蝶を巻き込んでいた蜘蛛の巣もバラバラに弾け、囚われの身の者が開放された。

自由になった蝶は再び空へと舞い上がって何処かに消えていく。

遂に……タスクをACT2に進化させられたな……後はACT3と4だけだが……ACT3は直ぐとして、ACT4はまた考えよう。

今の俺なら、樹木や花から黄金のスケールを見れる様になったし、鉄球の練習もしなくちゃな。

俺はタスクを戻してから、もう一人の協力者であるアリサに笑顔を向ける。

 

「ありがとな……アリサのお陰で、自然の中から黄金長方形を見る事が出来たぜ」

 

「わ、私の?蝶のお陰じゃ無いの?」

 

「確かにスケールを取れたのは蝶のお陰だけどよ。その蝶を止めてくれたのは、他ならぬアリサだ……だからアリサのお陰だと、俺は思ってる」

 

「そ、そう……ジョジョの役に立てたなら、それで良いの」

 

俺のお礼を聞いたアリサはちょっとだけ恥ずかしそうにしながらも、笑顔で感謝を受け入れてくれた。

良いぞ……良し……これで俺のスタンドは、更に成長する。

身体に感じる確かな感覚に歓喜を覚えつつ、俺は再びアリサと共に写生を続けるのだった。

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

『そうか……ジュエルシードは持っていかれたか……』

 

「あぁ。俺の目の前で金髪の女の子が掻っ攫っちまったよ。何かオレンジっぽい髪のお姉さんと一緒にな」

 

そして、俺は家に帰ってから又もや相馬と電話をしていた。

理由は言わずもなが、俺を襲ってきたの腹ペコ主従の存在を教えておく為だ。

まぁジュエルシードの事は少し、少~しだけ脚色してるけど。

いや、寧ろ襲ってきて最終的には持って帰ったんだから嘘では無い筈だ……多分。

 

「まぁ何にしても、俺はその2人に感謝してるぜ。俺の町からササッと危険なブツを持ってどっかに行ってくれたんだからな」

 

『定明からすればそうかも知れないが……最初に会った時の俺の話を覚えてるか?』

 

「ん?あのPT事件とかいうヤツか?地球が滅ぶ可能性があるって…………オイ、まさか?」

 

相馬の確かめる様な問に軽く言葉を返してた俺だが、ちょいと前に聞いたある情報の事を思い出して何か引っ掛かった。

待て待て待て、もしかしてPT事件ってのは、ジュエルシードを巡って起きる事件って事じゃねぇだろうな?

たった一つで災害規模の事態を引き起こす宝石。

しかも地球のモノではなく、異世界から落ちてきたとんでもねぇ代物……ヤバイ、充分に納得できる。

 

『お前の考えてる通りだ……お前が見たっていうその金髪の女の子の……フェイト・テスタロッサの母親のプレシア・テスタロッサが引き起こす事件、それがジュエルシードを使って地球滅亡の危機を呼び起こすP・T(プレシア・テスタロッサ)事件だ』

 

「……Hory Shit(なんてこった)

 

余りにもバカ過ぎるミスに、俺は天を仰いで悪態を吐く。

まさかテスタロッサの母親が相馬の言ってた事件の黒幕だなんて……俺、マジに選択ミスったか?

やっぱあの時ジュエルシードを完璧に消し去っておけば良かったって事かよ。

俺の選択ミスで地球がパーとか洒落になんねえって。

 

『まぁ、落ち込む気持ちは判るが、そんなに焦らなくて良いと思うぞ?俺となのはとユーノもジュエルシードを5個は集めたし、この先絶対にブツかりあうのは目に見えてる。いずれその時にでもジュエルシードを取り返してみせるさ』

 

イケメンな事言ってくれてるトコ悪いけど、俺が落ち込んでるのは取り逃がした事じゃねぇのよ。

寧ろアイツ等信じてホイホイと危険物預けて気球崩壊に一歩近づけちまった自分のバカさ加減なんだからな。

受話器の向こうで快活に笑ってるであろう相馬に、俺は違う意味で申し訳ないって感情が生まれていた。

 

「ちきしょう、終わっちまった事は仕方ねぇとして……なぁ相馬?」

 

『うん?何だ?』

 

「いや、そのフェイトって子の母親がクレイジーにブッ飛んでるとして、ソイツは何でジュエルシードを欲しがってんだ?原作じゃその辺の話は無かったのか?」

 

『……あるにはある。だけど、俺達の所為で歴史がどう作用してるかまでは判らないぞ?』

 

そう前置きする相馬の声音は、さっきまでとは違って物凄く真剣だった。

まさかとんでもなくヘビーな理由なのか?

いや、考えてみりゃそれも有り得ない話じゃねぇ……一個だけで災害級の力を持つマジックアイテム。

管理局にバレれば指名手配とかだってあるだろう代物を求める理由……軽い筈は無いよな。

 

「それでも良いから、とりあえず原作での話を聞かせてくれ……そのプレシア・テスタロッサってのが、俺らの住む地球の命を脅かしてまで何を成そうとしてるのかを」

 

さすがに相手が悪の女王的なノリでやってんだったら、俺も表舞台に上がるよ?

なに人様の住んでる星ではっちゃけようとしてんの?

この城戸定明の暗黒空間にバラ撒いちゃうよ?プッッツンしちまうぞコラ?

 

『……分かった。只、かなり長い話になるから……そうだな。明後日の放課後、時間取れるか?直接会って話がしたい』

 

俺は相馬の提案を聞きながらカレンダーを確認するが、明後日は特に用事は無い。

 

「あぁ、俺は大丈夫だ。何処で落ち合う?」

 

『いや、お前の家の住所を教えてくれれば、ソコに俺が転移魔法で飛んで行くよ』

 

そんな事も出来るのかよ?魔法って結構便利だな……っていうか相馬の転生特典はヤッパリ魔法か。

元の場所に帰るだけじゃなくて新しく行く場所にすら行けるとはな。

俺は魔法の便利さに感心しつつ、相馬に自宅の住所を伝える。

兎に角色々と話しを聞かせてもらうとすっか……そうすりゃ、もう二度とドジは踏まねぇだろ。

そして最後に俺達は時間を確認しあって、通話を切った。

どうにも俺はトラブルの渦中に放り込まれやすいっていうか……どうなってんだろーなホント。

 

とぉるるるるるん。

 

「ん?電話か……」

 

と、俺が自分の部屋に戻ろうとした所で、家の電話が再び鳴り出した。

現在家には俺しか居ないので、俺は仕方無く受話器を取る。

 

「(ガチャッ)はいもしもし、城戸ですけど?」

 

『さ、定明君?私、すずかだけど……』

 

何と電話の主はすずかだった。

こりゃもしかしてグッドタイミングってヤツなのか?

相馬と電話を切って直ぐに掛かってくるとはな。

 

「おーすずかか。どうしたんだ?オメーが俺の家に電話かけてくるのは初めてじゃねぇか?」

 

『う、うん。ち、ちょっとその……遊びのお誘いなんだけど、大丈夫かな?』

 

「遊び?まさか今からか?」

 

もう夕方だし、今からじゃあんまり遊べないと思うんだが。

 

『ち、違うの。今日じゃなくて、次の土日のお誘いなんだけど……』

 

俺の質問に慌てて言葉を返してくるすずかだが……最近土日はあの2人に固められてる気がするのは気の所為か?

まぁ特に予定もあるワケじゃねぇから良いけどさ。

最近はクラスの奴等も家族で出かけたりしてて遊べねぇもんなぁ。

 

「まぁ、次の土日は特に何もねぇから行けるぜ」

 

『ホ、ホントッ!?そ、それじゃあ土曜日に……わ、私と一緒に来て欲しい場所があるの』

 

「ん?来て欲しい場所?何処だ?」

 

すずかの家に呼ばれてるってワケじゃねぇのか。

 

「えっと……じ、実はね?お姉ちゃんから2人分のチケットを貰って……3つ離れた町で出来る○○の一日フリーパスなんだけど……」

 

「え?○○?マジかよそれ?」

 

『う、うん……も、もし、定明君が良かったら……私と一緒にい、行きませんかッ!?』

 

いや、どんだけ腹に力篭めて声出してんだよ?

受話器に当てた耳がキーンとしたじゃねぇか……しかし、まさか○○とはなぁ……タイミング良いとかの話じゃねぇぞ?

俺はすずかから提案されたある場所へのお誘いに驚いてしまう。

何故ならその場所は俺が近々行きたいと思ってた場所だからだ。

ただ、入場料が少し割高でどうしたモンかとずっと悩んでいたんだ。

そこにすずかからのフリーパスチケットのお誘いがくるモンだからかなり驚いた。

しかしこれは所謂渡りに船ってヤツだな。

 

「俺も一度で良いからソコに行ってみたかったんだよ」

 

『ッ!?そ、それじゃあッ!?』

 

「あぁ。そんなお誘いなら俺から是非ともお願いしてぇんだけど……」

 

『うんッ!!ぜ、絶対一緒に行こうねッ!!約束だよッ!?言質取ったからねッ!!』

 

俺のYESという返答を聞いたすずかはとても嬉しそうな声で念を押してくる。

つうか、言質取ったって、お前は何処の借金取りだ。

 

「分かってるっての。それより、日曜日の方は何だ?そっちもお出かけの誘いか?」

 

若干何時もよりはしゃいでるすずかを諌めつつ、もう一つの誘いについても質問を飛ばした。

 

『あっ。ご、ごめんね?えっと、日曜日はちょっと違って、今度なのはちゃんのお父さんがコーチをしてるサッカーチームの試合があるんだけど、定明君も見に来てくれないかなって』

 

「サッカーか。見に行くのは別に良いけどよ、他の奴は誰が来るんだ?」

 

『えっと、私とアリサちゃんとなのはちゃん、それから相馬君だね。後でリサリサちゃんにも電話で聞いてみるつもりだけど』

 

ふむ、所謂いつメンってヤツか……まさかとは思うが、DQN君来ないよね?

絶対にアリサと瓜二つのリサリサと会ったら面倒くせえ事になると思うんだが……。

そんな不安を心の片隅に持ちつつも、俺はすずかに了承して、リサリサには俺から話しておくと伝える。

明日も学校だし、俺から伝えておけば良い事だからな。

そこまでは普通だったんだけど、土曜日の約束の件についてすずかからしつこく念を押された。

ちゃんと行くつったんだからそれで納得して欲しかったぜ。

かと言って無碍に扱うのも気が引けるし、すずかの声が何か必死なモンだから少し大変だった。

俺ってそんなに信用ねぇのか?

 

 

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 

 

 

「えぇ。私もなのはって子と相馬って人に会ってみたいし、是非行くわ」

 

明けて次の日の学校の昼休み。

俺は昨日すずかから打診された日曜日のお誘いについてアリサに話していた。

まぁ一言目には直ぐにOKが出たけどな。

 

「ん。分かった。そんじゃ今日家に帰ったらすずかに俺から伝えておく」

 

「よろしくね、ジョジョ……それにしても、すずか達に会うのは良いとして……すずか達の話していた相手には会いたくないものね」

 

快諾して笑顔を見せていたアリサだが、何かを思い出したように呟くと、表情を苦くしてしまう。

 

「アリサの言ってる相手ってまさか……」

 

「貴方で言う所の、DQNネーム君、だったかしら?世間で言う勘違い君」

 

「何気にドギツイ事言うなアリサ」

 

まるで家の中でゴキブリに遭ってしまった様な顔でオリ主君の事を語るアリサに、俺は表情が引き攣ってしまう。

まだ会った事すら無い相手に対して勘違い君とか……オリ主の嫌われようスゲエな。

そう考えていると、目の前のアリサは腰に手を当ててヤレヤレと首を横に振る。

 

「アリサやすずかの愚痴を聞いてるだけで、同じ女性としてはこうも言いたくなるわ。好きでもない男に『俺の女』呼ばわりされるなんて、女性としては耐え難い苦痛よ」

 

「まぁ、言ってる事は判るけどな……」

 

「それに2人の話しだと、その勘違い君が好きな他の女の子達に、結構嫌味言われてるらしいの。2人、いやそのなのはという子も合わせたら3人だけど……聞いてるだけで可哀想になってくるもの」

 

「本人たちにその気は無いのに言われる嫌味、か……確かに鬱陶しいにも程があるわな」

 

心底同情を篭めた声音で話すアリサに、俺もウンウンと頷いて同意する。

好きでもない男の事で他の奴等から嫌味を言われるだなんて、堪ったモンじゃねぇだろう。

しかも自分達はその男の事が嫌いで仕方ねぇってのにな。

それもオリ主君の評価が落ちていく原因の一つになっていくってワケだ。

まぁ昨日すずかに聞いた限りじゃ、直接的な被害は大分減らせてる様だがな。

具体的にはスカートめくろうとした瞬間、スパイス・ガールで足を踏みつけてやるとか……痛そ。

アリサなんか、なのは達と帰る時に追いかけようとしてきたオリ主君の足を糸で引っ掛けて地面と熱いキスをさせたらしい。

お陰で最近オリ主君の鼻が曲がり気味になってきて、女の子達も少しづつ離れてるって話だ。

 

「私もあんまりしつこく迫られたら、鼻にシールでも貼ってあげようかしら?」

 

「何てエゲツねぇ事考えてやがんだよ」

 

すずか達がやらかした報復を黙って聞いていたアリサがぼそりと呟いた一言に突っ込む。

鼻にシールって……剥がしたら裂傷+血まみれですよ?

俺の戦慄した声にアリサは目を逸らして明後日の方向へと視線を向けた。

 

「…………冗談よ?」

 

「オイ何だ今の間は?何で疑問形だ?俺は果てしなく不安になってきたぞ?」

 

そんなに嫌いなんですか……マジでアリサを連れてって良いのか不安になってきた。

俺としては俺に関わらないならどうにでも勝手にやってろって感じなんだがなぁ。

でもコイツ等は本気で嫌がってるし……もう少し上手い事人付き合いしろやオリ主ェ……。

来週の事を考えて溜息を吐きたくなったが、そのまえに視線を戻してきたアリサが口を開いた。

 

「さすがに何もされなかったら放っておくけど、もし私やアリサ達にちょっかい出してきたら『それなりの対応』はするつもり……女を甘く見たらどうなるかってね♪」

 

やべえ。つもりじゃなくてそれじゃほぼ確定事項だ。

あの『皆俺の嫁だから俺に何されても喜ぶ』って思考パターンのオリ主君がアリサを放っておく筈が無え。

特に容姿はアリサと同じで可愛い部類に入るからなぁ……鮮血の惨劇になる、間違いなく。

かと言って、それを止めようとしたらオリ主君の味方する事になるし、アリサも怒る。

俺が取れる選択肢は、当日何事も無い様にと祈る事のみだが……絶対無理だよなぁ。

……日曜日になる前にオリ主君から養分吸い取っておくか?先手必勝っていうし。

良し、さっそく明日聖祥にハイウェイ・スターを潜り込ませよう。

 

 

 

 




後2話ぐらいでオリ主VSジョジョやろうと考えてます。

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