魔法少女リリカルなのは~黒衣の騎士物語~   作:将軍

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投稿します。
短いです。

楽しんで頂けると幸いです。
では、どうぞ。


現状説明

 フェイト達と無事に再会を果たした祐一は、そのままフェイト達のマンションを訪れていた。

 また、祐一との一年ぶりの再会で感極まっていたフェイトも幾分か落ち着きを取り戻し、今はテーブルを挟み祐一と向き合う形で座っている。その隣にはアルフの姿もあった。

 

「落ち着いたか、フェイト?」

 

「うん。ご、ごめんね、祐一。迷惑掛けちゃって……」

 

 フェイトは頬を赤く染めながら祐一を見つめる。

 祐一と再会した後、フェイトは祐一へと飛びつくように抱きつき、泣きながら祐一の名前を何度も呼んでいた。

 それからフェイトが落ち着くまで待ち、今に至る。

 自分がしたことを思い出したのか、フェイトはさらに頬を赤く染めた。

 そんなフェイトを見つめながら、祐一は苦笑を浮かべる。

 

「気にするな。俺も、フェイトに久しぶりに会えて嬉しいよ」

 

「うん。――わたしも、祐一に久しぶりに会えて嬉しい」

 

 祐一の言葉にフェイトは頬を染めながら笑顔で答える。

 

「……あ~二人の雰囲気を壊して悪いんだけど、あたしもいること忘れてないかい?」

 

 アルフが半眼になりながら話すと、フェイトが慌てながら声を上げる。

 

「あ、あのね、アルフ? わ、わたしは別にアルフのこと忘れてたわけじゃないし、べ、別に祐一と良い雰囲気になりたいとか思ってたわけじゃないんだからねっ!」

 

 ほんとだよっ! っと話すフェイトにアルフは苦笑を返し、すぐに意地の悪い笑みを浮かべる。

 

「ふふ~ん。フェイト、完全に本音が口から漏れてるよ? なんだい、水臭い。言ってくれれば、少しぐらい二人きりにしてあげたのにさぁ~」

 

「~~っ!? だ、だから違うって――」

 

 祐一は一年ぶりのこのやり取りを静かに、そして、いつもの苦笑した表情で見つめていた。

 

 ――ただ、その表情は喜びと、僅かな罪悪感が浮かんでいることに二人は気付かなかった。

 

 

 

 しばらくアルフがフェイトをからかっていたが、今はそれも落ち着いていた。

 祐一はそれを確認すると、静かに話を始める。 

 

「実はな。俺はフェイト達が今やっていることのサポートをするために来たんだ」

 

 フェイトとアルフはその言葉を聞き、僅かに驚きの表情を浮かべる。

 

「そうなんだ。でも、何でわたし達がここにいるって知ってたの?」

 

「プレシアさんに聞いたんだ。そもそも、フェイト達のサポートをするように頼んできたのは、プレシアさんだからな」

 

「母さんが……?」

 

 プレシアの名前が出ると、フェイトは僅かに表情を強張らせた。

 フェイトがそのような反応をするのは、祐一がいなくなってからの一年間というもの、禄に話もしてくれず、自分に厳しい言葉を浴びせてきたという恐怖心があったからだ。

 だが、それでもなおフェイトは自分を強く戒め、ただ母親であるプレシアのために、全力を注いできた。

 そんなフェイトの表情を見つめながら、祐一はさらに話をする。

 

「だが、あくまでサポートだ。今回の一件は、フェイト達の力を伸ばすということも含められているからな。よほどのことが無い限り、手を出さないつもりだ」

 

「それじゃあ、全然楽できないじゃん!」

 

「こら、アルフ、そんなこと言わないの。それに、祐一がサポートしてくれるだけでも気持ちは全然楽になるんだから」

 

「そうだけどさぁ~」

 

 そう言いながら頬を膨らませるアルフをフェイトが苦笑しながら宥める。

 アルフがそう言うのも無理はないなと思いながら、祐一は話題を変える。

 

「そういえば、今日、フェイトが戦っているところを見ていたんだが」

 

「えっ? そうだったんだ。全然気が付かなかった……」

 

 祐一が自分の戦闘を見ているとは思ってもいなかったフェイトは驚いた表情となる。

 

「それで、フェイトと戦っていた魔導師の女の子がいただろう?」

 

「うん」

 

 それがどうしたと言うように小首を傾げる。

 

「戦ってみてどうだった?」

 

「戦い方はただの素人だったかな」

 

「ふむ」

 

 でも、とフェイトは言葉を続ける。

 

「――魔力量は並の魔導師のそれじゃないし、砲撃魔法に関しては、あたればただではすまないぐらいの攻撃力だと思う。――きっと、強くなると思うよ」

 

「そうか」

 

 フェイトの言葉に祐一は頷く。

 すると、フェイトが小首を傾げながら祐一へと質問する。

 

「でも、何でそんなこと聞いてきたの?」

 

 祐一は少しだけ考える仕草をした後、フェイトの質問に答えた。

 

「実はな。……あの子は俺の知り合いなんだ」

 

「えっ!? ……そうだったんだ」

 

 フェイトは祐一の言葉を聞くと、驚いた表情をした後、少しだけ悲しそうな表情となった。

 

(フェイトは優しい子だからな。俺の知り合いであるなのはと戦うことになるのが心苦しいのだろう。だが、なのはもジュエル・シードを集めている以上、どうやっても戦いを避けることは出来ないだろう)

 

 ままならないな、と祐一は静かに呟く。

 フェイトはそんな祐一を見つめながら小首を傾げる。

 

「戦うな。――本当ならこう言いたいところなんだがな。だが、プレシアさんの依頼を引き受けている以上、俺はそれを言える立場ではないからな。フェイトの思うようにやってくれて構わんよ」

 

 祐一の言葉にフェイトは悲しそうにしていた表情を引き締める。

 

「うん。わたしもジュエル・シードを集めて、母さんに届けないといけない。――だから、邪魔をするなら、誰であろうと容赦しないよ」

 

 そう決意に満ちた表情で話すフェイトを、アルフは複雑な表情で見つめていた。

 そう話をするフェイトに、祐一も静かに頷いただけであった。

 

 

 

 その後、祐一とフェイト達は別れてからの一年間をどのように過ごしていたかを話していた。

 フェイト達は、プレシアの命令で研究に必要な資料や材料の調達などを行っていた。また、たまに行った世界で魔物などと戦うこともあったと話をしていた。

 だが、アルフ曰く、

 

「フェイトには並の魔物や魔導師では歯が立たないから楽勝だったね! それにフェイトの使い魔である、あたしもいるしさ!」

 

 惜し気もなく、自慢げに話をしていた。それを聞きながら、フェイトは少し恥ずかしそうに笑い、祐一も同じく笑っていた。

 すると、フェイトが祐一へと質問してきた。

 

「わたしが戦った女の子の話なんだけど、祐一は知り合いって言ってたけど。……どんな関係なの?」

 

 祐一はフェイトの質問に少し考える仕草をし、話を始めた。

 

「俺が地球に来てから間もない頃に出会ったんだが、少しいろいろあって、話をしたのが切っ掛けで知り合いになったんだ。どんな関係と言われても困るが――少し手の掛かる妹、みたいなものか?」

 

「そう、なんだ……」

 

 祐一の言葉にフェイトは微妙な表情で返事をする。

 そんなフェイトの表情に祐一は気付いていなかったが、アルフは何か気付いたようで、少しにやにやしていた。

 

「フェイトはさ。祐一が取られたみたいに感じてるんだよ」

 

「あ、アルフっ!? な、なに言ってるのっ!?」

 

 アルフの言葉にフェイトはまるで茹で上がったタコのように、頬を赤く染めながら両手を振っていた。

 

「べ、別に祐一を取られたとか感じたわけじゃなくて……っ!?」

 

 言い訳をしているようで、本音が漏れているフェイトをアルフは相も変わらず、その表情に笑みを称えながらいじっている。

 祐一はそんなやり取りに見かねたのか、フェイトへと声を掛けた。

 

「心配するな、フェイト。お前も、俺にとっては大事な妹みたいなものだからな」

 

 そう言いつつ、フェイトの頭を祐一は優しく撫でる。

 変わらずフェイトは頬を赤く染めていたが、祐一の言葉が嬉しかったのか、笑顔であった。

 

「――うん。ありがと、祐一」

 

 そう頷くフェイトを祐一は笑顔で見つめる。

 だが、祐一はフェイトの表情が僅かに複雑な感情が混ざっていることに気付けなかった。

 

 

 

 その後、流石に夜も遅くなってきたので、祐一は家へと帰ることにしたのだが、

 

「――祐一、帰っちゃうの……?」

 

 そう悲しい表情をしながらを上目遣いで言っているフェイトに、祐一は苦笑しながら答える。

 

「別に以前のように長く会えなくなるわけではないだろう? だから、そんな顔をするな」

 

 そう言いつつ、祐一はフェイトの頭を軽く叩く。

 フェイトはそれでも納得いっていないような表情であったが、小さく頷いた。

 

「そうだね。別に会えなくなるわけじゃないし……」

 

「ああ。何かあったら呼んでくれ。すぐに駆けつけよう」

 

「うん、ありがと」

 

「ではな。これからジュエル・シードを探すときは連絡してくれ」

 

「わかったよ」

 

「ああ。おやすみ、フェイト、アルフ」

 

「うん、おやすみ、祐一」

 

「またね、祐一」

 

 祐一はフェイト達と別れの挨拶を済まし、自宅へと帰っていった。

 

 

 

 祐一が自宅へと帰って、しばらくすると、携帯電話のコールが鳴り響いた。

 こんな時間に誰だと思いながら、携帯へと手を伸ばすと、

 

「……なのはじゃないか」

 

 祐一は僅かに小首を傾げながら、電話に出た。

 

「もしもし」

 

『あ、祐一お兄さん。ごめんね、こんな夜遅くに……』

 

 電話越しに、なのはが申し訳なさそうに話す。

 

「いや、別に構わない。……で、どうしたんだ? 何か用事か?」

 

『そうそう、それなんだけど――』

 

 なのはがそこで一呼吸し、

 

『今度、ちょっとした旅行で土日に皆で温泉に行くんだけど、祐一お兄さんも一緒に行かない?』

 

「……は? ……温泉、だと……?」

 

 祐一の波乱だらけの日常はまだまだ続く。

 

 




最後まで読んで頂き、誠にありがとうございます。
誤字脱字などありましたら、指摘をよろしくお願いします。

最近、仕事の忙しさが半端ではないので、更新が遅くなる可能性大です。
待っている方がいるとはあまり思っていませんが、更新はしますので、気長にお待ちください。

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