いつか見た理想郷へ(改訂版)   作:道道中道

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主観的輪郭

 その情景は懐かしさを抱かせながら、同時に、苦い思い出を想起させるものだった。

 

 西の空は夕焼け。波打つ稲穂のような色と雲をした空が、その日のアカデミーを終えて帰路を辿る二人の男の子の影を細く長くしている。

 歩いているのは、幼い頃のイタチとシスイだった。この頃には既にフウコは卒業している。アカデミーからの帰り道は大抵、二人だけになってしまっていた。

 

 イタチが、シスイの少し前を歩いている。それは二人の心的な距離を示すかのようで、いつもならば、帰り道はずっとアカデミーの出来事を面白おかしく語るシスイが、今の情景の中では、両手を頭の後ろに組む姿勢を取ったまま何も話していない。彼と一緒に、うちはの町に帰る時に静かだったことは数える程しかなく、どれも印象深く残っている。

 

 特に、フウコが卒業してからというのは、この一度しかなかった。

 

「なあイタチ。あれは流石にやり過ぎなんじゃねえか? イロミの奴、頑張ってたのによ」

 

 ようやく言葉を発したシスイの声は、イタチを刺激しないよう親しみを込めながらも、どこか納得のいかない、小さな硬さを宿していた。

 

『この日のこと、覚えてるか?』

 

 と、別のシスイの声。

 今の情景を見せてくれている、おそらくは妄想であろう彼の声である。こちらは子供を諭すような柔らかい口調だった。

 

『お前の事を好きだった女の子たちがイロミに難癖付けてから、まあ、何日か経った日の帰り道だ。お前が一人で勝手に全部終わりにした日の、アカデミーの帰り道だ』

 

 イタチは黙ったまま、その情景を眺めていると、幼い自分は振り向きもせず淡々と返事をした。

 

「イロミちゃんが頑張っているからこそ、俺はこうするしかないと思った」

 

 尤もらしい理屈を並べて、背伸びをした大人のような事を語っている。シスイは口元を微かに、気に食わなそうに歪めた。

 

「お前の気持ちは分かるけどよ……。あいつらは、イロミともう話したくないって感じだったし、イロミがどんなに話しかけても避けてたしな」

「どうしようもない状況だった。これ以上、イロミちゃんが頑張っても進展する事はない。ただ傷つくだけだ。なら、原因の俺が責任を取らないといけないだろ」

「だからって、お前が全部解決してもしょうがねえだろ。あいつだって頑張ってたんだぞ? 今でも他の奴と会話するだけでもオドオドするあいつが、しかもイジメてきた奴らに話しかけて、勘違いを直してもらおうとしてたんだ」

「ああ、分かってる」

「本当か?」

「イロミちゃんがフウコに近付こうと、色んな事に頑張ってるのは、分かってる。だけど、頑張っても解決できない事があったら……」

 

 そこでイタチは言葉を切った。

 頑張っている彼女の姿が、やがて一人で蹲り静かに泣いているものに変わりそうで、言葉にはしたくなかった。シスイも察してくれたのか、言葉を呑み込んだ。

 

「……俺は全て、今回みたいに、口出しをするつもりはない。ただ、俺にも非があった上に、彼女一人じゃどうにもできなかった。これからは……なるべく、気を付ける」

 

『先に卒業したフウコに近付くんだって言って、頑張ってたあいつは、あまり俺たちに相談しなくなったよな。宿題も、忍術の授業で出来なかったことも、それ以外も。だから俺たちは、あいつの頑張りを邪魔しないようにしようぜって決めたの、覚えてるよな?』

『……ああ』

『だけどお前は、この後もイロミの手助けをした。特に、イロミの事を良く思っていない奴らに対して』

 

 イロミをイジメた女の子たちのように、似たような考えを持っていたような子は当然いた。直接イジメる事は無くとも、視線や表情で遠回しに、そして言い訳の余地を挟み込めるようにして、イロミを除外する者はちらほらといた。シスイはイロミに「あんなの気にするなよ。気にしてると馬鹿になる」と伝えていたが、彼女は辛さを隠す笑顔を浮かべるばかりだった。

 

 イタチは思い当る子たちに声を掛け、説得していった。

 

 静かに、緩やかに。イタチはイロミの邪魔をする子たちを抑えていった。

 

 

 

 帰り道の場面は移り変わって、アカデミーの廊下になる。

 

 

 

 窓から入り込む夕焼けの光が廊下の明暗をおぼろげにする中、生徒の誰もいない静かなそこで、イロミは壁に背中を預けて無言に足元を見つめていた。彼女は下唇を小さく震わせてから呟いた。

 

「……あ、あのさ…………シスイくん…………」

「おう、どうした? お前から呼んでくるなんて珍しいな。宿題で分からない所でもあったか?」

「ち、違うよ……っ。分からないところは……うん、ある……けど…………。そういうことじゃなくて……」

 

 唇を尖らせて抗議するが、すぐに彼女の表情は曇った。そこに映るイロミの表情は、フウコが卒業した後のアカデミーの頃には見た事が無かった。

 辛い事や苦しい事に我慢している表情でも、努力して頑張っている表情でも無い。雨の中を道に迷う子犬のような、ぐったりとした顔。

 

「もしかして……なんだけど…………何か、してる………?」

 

 ふざけた調子の笑みを、シスイは静かに仕舞い込んだ。一度、唾を呑み込んでイロミは尋ねる。

 

「……最近ね………周りの子たちが……その、変なんだ……………。私を見る時って、いつも……嫌な目を向けてきたりしてたのに………。時々、笑い声とかもね……聞こえてたんだ」

 

 だけど、

 

「今は、目を向けてもくれない……。それで……ちょっと…………気になって……。シスイくんなら、何か……知ってるんじゃないかなって、思ったんだ」

「イタチには訊いたのか?」

 

 イロミは小さく頭を横に振った。

 

「どうして、あいつに訊かなかったんだ?」

「シスイくんの方が、詳しく知ってるんじゃないかなって……」

「お前の事を嫌な目で見てたのって、大抵は女の子のはずだぞ。それは、俺もイタチも、フウコも知ってる。悔しいけどよ、イタチの方が女の子たちと仲が良いんだよなあ。お前だって知ってるだろ?」

 

 バツが悪そうに、イロミは唇を尖らせて小さく俯くと「きっと、イタチくんは」と消え入りそうに言う。

 

「私には………本当のこと……言ってくれないと思うから……」

「嘘でもつかれたのか?」

 

 小さく、頷いた。

 

「この前……私が、その………女の子たちに、髪の毛引っ張られてた事が、あったでしょ?」

 

 肯定も否定もしないシスイに、イロミは静かに、自分がしてきた事と、イタチがしでかしたことを語った。

 イタチへの好意を邪魔している、という勘違いを直してあげたかった。あまり、上手くできてなかったけど、頑張ってみようと思ってた。自分のせいで、起きた事だから。今までずっと、フウコやイタチやシスイに頼ってばかりで、自分一人でどうにかできた事なんて殆どなかったから。少しでも、一人で解決できることがあるなら、やってみたかった。

 

 だけど。

 

 イタチが一人で、瞬く間に終わらせてしまった。

 

 次の日にイタチに訊いてみたと、イロミは言った。遠回しに、尋ねたのだという。

 

 昨日、イタチくんどこにいたの? 宿題の事で訊きたいことがあったんだけど、と。

 

 すると彼は笑って言ったのだ。

 

「すぐに家に帰ったんだ」

 

 嘘を、言われたのだ。

 

「イタチくんは友達だけど………、今は、信じられなくて……。シスイくんに……」

「心配してたんだって。分かるだろ。あいつは優しい奴だからな、嘘を言ったのだって、別に悪気がある訳じゃ―――」

「悪気が無かったら……何をしてもいいの?」

 

 情景の中にいるシスイも、外にいるイタチも、息を止めた。逸ったイロミの声には、微かながらも、普段の彼女からは一切に感じ取る事のない苛立ちが染み込んでいたのだ。肩も震えている。小さな両手は怒りと怯えを混ぜ合わせてしまったのか、ズボンの裾を強く握っているのが見えた。

 

 イロミは震えた声で続けた。

 

「優しくしてくれるのは………嬉しいけど……。私は……一人で頑張らないと、いけないの……。イタチくんも、シスイくんも、きっと、フウコちゃんみたいにすぐ卒業しちゃう。そうなったら私は……本当に一人で頑張らないといけないの。その時になってから、頑張っても、意味ないんだ……。今のうち、だけなの……。強くなれるのは」

 

 前髪が揺れ、その隙間からは、涙を溜めて充血した瞳がシスイを見据えていた。

 

「それにこれからだって…………、そうなの……。私が下忍になっても、皆は中忍になってる。中忍になっても、上忍になってる……。私が上忍になるのは、いつ頃になれると思う? ううん……今のままで、私……上忍になれるの?」

 

 誰もが抱く不安だった。

 

 努力で成長する事は出来ても、夢を叶える事は出来るのか。もしも夢が叶わなかったら、費やしてきた時間は最初から最後まで無駄になってしまう。組み立てた積木が土台から崩れ落ちて、理想とした形とはかけ離れた、単なるブロックになる様に。全ての価値が無くなってしまう。

 

 今まで素直なまま―――あるいは、無思慮に―――日々を過ごしてきたイロミにとって、フウコが突然として卒業したのは、危機感という感覚を植え付けていた。

 

 子供ながらも。あるいは、子供だからこそ。イロミは怯えながら、努力している。才能が無い、努力で夢を叶える事が出来るのか分からない。恐怖が彼女の背中を押し続けていたのだ。

 

 たとえ勘違いによってイジメられても、助けてくれたイタチとシスイを前に笑顔を浮かべた。一人でも頑張れるように。いつか二人が卒業して、一人になってから頑張れるように。自分をイジメてきた子と仲直り出来るくらい、立派に。

 

「イタチくんが心配してくれてるのは……本当に、嬉しいんだ…………。でも……お願い……。頑張ってる時は、邪魔……しないで…………。どうしようもできない時………困った時は、二人を呼ぶから……」

「本当か?」

「うん。本当」

「……分かった、信じるよ」

 

 大きな嘆息をして、シスイは唇を大きく尖らせた。

 

「ブンシの言う通り、お前って変な所で根性があるよなあ。普通、辛い時とか苦しい時は、友達に頼るんだけどな」

「ご、ごめん……」

「責めてる訳じゃねえって。むしろ、すげえって思うよ。俺なんて、ジイちゃんと喧嘩して勝てないって思ったら、すぐ逃げてイタチとかフウコに匿って貰おうとするんだけどな」

 

 本音か冗談か分からないシスイの言葉は、涙を浮かべていたイロミの口元に笑みを戻させた。それを見てシスイも柔らかく笑った。

 

「お前がどんなつもりで頑張ってるかってのは、よく分かったよ。邪魔はしない。だけど、本当に、無茶だけはするなよな? 身体壊したりでもしたら、俺とイタチがフウコに怒られる。いいか? 約束だぞ?」

「うん……」

「イタチの奴にも言っておくよ。そうすりゃあ、あいつも―――」

 

 あ、とイロミは声を漏らした。

 

「イタチくんには、その……このこと、言わないでほしいんだ……」

「はあ? なんでだよ」

 

 だって……と、イロミは両手の人差し指を突き合わせ、モジモジと自信なく言う。

 

「イタチくん、優しいから、どうせ言っても……今度こそ私にバレないように、やろうとすると思うし」

「いや、しないだろ、流石に」

「それに今回のことだって、イタチくんは私に嘘を付いたから……その……」

「お前がイタチの嘘に気付いてる事がバレたら、気まずくなるって?」

 

 イロミの小さな頭が上下すると、シスイは頭を軽く抱えた。

 

「つまりアレか? イタチにはこのこと言わないで、もし次イタチがお前の努力の邪魔をしようとしたら、俺がそれとなーくイタチの邪魔をしろっていう事か?」

 

 さらにまた、頭が上下した。落差で言えば、先ほどよりも大きい。昼休みの時に話しがあると呼び出してきた本当のお願いというのは、きっとこちらの方だったのだろう。

 

 何とも難しいお願いをされたものである。

 

 イロミはイタチとの仲が悪くなるのは嫌で、しかも御節介をされたくはない。イタチはイタチで、イロミの事が心配で御節介を焼きたがってしまう。噛み合わない岩石のような二人の間に上手く滑り込め、という事だ。

 

 今度こそ大きく頭を抱えたシスイは、あまりの難題に膝を曲げて悩み始めた。

 

『この時は正直、迷ったよ』

 

 と、シスイは言った。

 

『お前も頑固だが、イロミも頑固だ。俺が断れば、いずれお前たち二人がぶつかり合うんじゃないかって思った。だけど、お前にバレないように邪魔するのはかなり難しいとも思ってな。下手したら、俺とお前とイロミの大喧嘩が始まるんじゃねえかって、思った。子供だよな。こんなこと、普通に話し合えば、それで済む話だったのによ。ガキの頃の俺は、あの頃が楽しかったからな。仲が悪くなるのだけは、嫌だったんだ。それは、お前もイロミも、同じだろ? だけど、お前もイロミも本心を相手に話さない。俺だって本当は、イロミの奴に本心を話さなかった』

 ……何を、話さなかったんだ?

『お前がそんな事で嫌な気分にならないってことをだ。だけど、結局俺はそれを言えなかった。イロミが泣き出して、仲が悪くなるんじゃねえかって思ったんだよ』

 

 情景の中のシスイはようやく立ち上がり、両手を軽く広げて見せた。

 

「分かったよ。やってやろうじゃねえか」

「……自分でお願いしておいて、あれなんだけど…………大丈夫?」

「大丈夫だ。何て言ったって、俺は将来、神になる男だからな」

「……ゴメン、やっぱりさっきのお願いは…………」

「引くなよ! 流れ星の時のお願いを冗談で言っただけだって! 心配するな! 絶対、上手くやってみせるからッ!」

 

『お前さ、俺がお前の邪魔を密かにやってたこと、分かってたか?』

 ……いや。普段のお前の悪ふざけだと思っていた。

『それはそれで嫌だな』

 

 

 

 情景は白の中へと溶けていき、場面はまた変わる。

 その光景は―――今度は、イタチも知っているものだった。

 

 

 

「……殺されっかもしんねんだぞ」

 

 ブンシの声が病室に響き渡る。

 

「今度こそ、死ぬかもしんねんだぞ?」

「…………それでも……、私は……、今まで培ってきた……記憶も…………努力も…感情も……ッ! 無駄には、したくありませんッ! 無駄にしたら、恩を仇で返すことになります…………、私の記憶に……私に色んなことを教えてくれた…………全部に……」

 

 そして時間が途切れるように進み、

 

「…………ブンシ先生が……っ、言った通り…………、どんなに……がんばっても…………ッ! フウコちゃんには……、きっと勝てない…………ッ! 話をする前に、もしかしたら、ころされるがも、じれない! だっでふうごぢゃんは……天才で…………わだじなんがより……どりょぐずるがら…………ッ! だがら……、もじ、ふうごぢゃんに会っても……、また……まげぢゃうんじゃないがっで…………今度こそ………死んじゃうんじゃないかって………ごわがっだ…………」

「大丈夫だ。今度は、俺も手を貸す。二人なら、フウコに追い付ける。だから―――」

 

『イロミの奴が、お前に助けを求めて、お前はそれに、応えたよな? だけどお前は、嘘を付いた』

 

 また時間は進み、しかし場所は再び病室だった。

 部下が丁度、部屋を出て行ったところだった。ベッドで上体だけ起こすイロミが尋ねる。

 

「今のは……?」

「暗部内で急用が入ったんだ」

 

 情景の中の自分は、あまりにも自然に、嘘を言ってみせた。

 

「大蛇丸に関係していること、なの?」

「いや、どうやら違うようだ。中忍選抜試験の最終試験に来る大名たちの警護について、大名が訊きたい事があるらしい。部隊長の俺が、その説明をしろ、ということだ」

 

 イロミを危険から遠ざける為に嘘を付いた。

 しかし、今思い返してみれば、その嘘が、イロミをフウコから遠ざけた事になってしまった。

 

 ……彼女が言った、俺の嘘というのは―――。

『これも、あるんだろうけどな』

 

 含みを持たせた言葉だった。

 

 ……俺は他に、嘘を付いたのか?

『ああ、言ったな。フウコが俺を殺した疑いで捕まった後の事だ。イロミがお前に問い詰めただろ? うちは一族で何があった? ってよ。それでお前は、何も無いって言ったんだ。覚えてるだろ?』

 ……本当に俺は、覚えていないんだ。

『そこじゃない。お前は覚えていないかもしれないが、疑問に思わなかったのか?』

 ……何をだ?

『どうしてお前はすぐに、何も無いって断言できたんだ?』

 ………………。

『フウコがいきなり捕まったんだ。なら少しは、うちはの町に何かがあったんじゃないかって、ある程度は考えるだろ? おかしいとは思わなかったか?』

 ………分からない。

『まあ、仕方のない事なんだけどな。それでも、イロミの目には、お前がどう映ったと思う?』

 ………………。

『あいつ、我慢してたんだろうな。お前が何も言わなかった事について。お前もフウコに傷付けられたからな。我慢して、それで、一緒にフウコを追いかけようと言ってくれたお前に対して、もう一度だけ、信頼を寄せたんだよ。友達だからな。だけど、お前はまた、イロミを突き放した。大蛇丸に近付けない為に』

 ……俺は、これ以上、彼女に傷付いてほしくなかった。彼女の実力は、まだ……。

『だったら素直にそう言えば良かっただろ?』

 ……言える訳ないだろ。

『それが、あいつにとって一番苦しい事だったんだよ。努力を否定されるくらいなら、あいつはムキになって頑張る。だけど、努力の邪魔をされるのは嫌なんだ。フウコの為に頑張っているのを、お前は邪魔をした。遠ざけた。あいつの努力を、帳消しにしたんだよ。そりゃあ、怒るだろ』

 ……イロミちゃんは、何を知っているんだ?

『分からねえよ。大蛇丸の呪印がどんなものか、俺は知らない。けど、全部知ってるんじゃねえかな。だから木ノ葉を憎んでる。そして、お前の事を何よりも憎んでる。努力を邪魔したお前を。フウコを里の外に追いやった、俺たちを』

 ……どういうことだ?

『なにがだ?』

 ……イロミちゃんも言っていた。俺がフウコを奪ったと。俺たちは、何をしたんだ?

『それは言えないな、悪いけど。恥ずかしいじゃねえか』

 ……おい、シスイ。

『お前が怒るなよ。どんなに頑張っても、それは教えられねえんだ。これだけ言えば、分かるだろ? お前の中に、俺がいるのもな』

 

 情景はそこで終わりを迎えた。

 

『少し短いが、元々時間は足りないしな。これで終わりだ。気分はどうだ?イロミの努力を無視した御節介を、ずっと続けていた気分は』

 

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 

「俺たちは、誰かに頼るべきだったんだ」

 

 情景は消え失せ、残った真っ白な世界で、彼は言った。

 幼い頃からイロミが思っていたこと。

 頑張ってきていたこと。

 それを見せられたイタチは、ただただ、閉口する事しか出来なかった。

 

「これは自分たちの問題なんだって、蓋をして、誰にも迷惑を掛けたくないなんて大人染みた言葉を並べて……結局、俺たちは負けた。勝手に頑張って、勝手に自滅して。俺たちは友達だったはずなのに、最後は全員で嘘を付き合っちまった」

 

 後悔するように語る彼の言葉が何を示しているのかは知らないはずなのに、イタチの眼から薄く、透明な水が零れ落ちていく。

 

「どこかで、頼っていれば、きっと、お前やイロミに苦しい思いはさせなかっただろうし、フウコも里から出る事は無かったんだと思う」

「シスイ……お前も、死ななかったか?」

 

 さあな、とシスイは自嘲気味に笑って見せた。

 

「少なくとも、イロミの奴には全てを話しても良かったんだ。うちは一族とは関係ないからって理由で遠ざけちまったけど、あいつにとってはそんなこと、関係なかったんだな。あいつにとって俺たちの問題は、うちはの問題じゃなく……友達の問題だったんだよ。俺と、お前と……大好きなフウコとのな」

 

 それが、

 

「気が付いたら俺は死んでて、お前は大怪我をしてて、フウコは犯罪者になって里の外に出て行っちまってる。そりゃあ、流石のあいつだって怒るよな。ふざけるなって、どうして仲間外れにしたんだ……ってな。折角努力してきたのに、意味が無かったって思ってるかもしれない。おまけに、お前は下手な嘘まで付いて……ああ、いや、あれは不可抗力か」

 

 苦笑いを浮かべながら、「とにかくさ」と続けた。

 

「俺たちは、アカデミーの時にあいつをイジメてた奴等と、やったことは変わってねえし、きっと、うちはの大人たちとも変わってない。あいつを遠ざけて、うちはの問題だって言った。それであいつ、泣いてるんだろうな」

「……泣いてる?」

「??? 分からないか? あいつ、ずっと泣いてただろ?」

 

 泣いて、いたのだろうか。

 シスイが馬鹿にするように、笑ってきた。

 

「そうだろ? あいつが痛かったり驚いたとき以外で大声出すのは、大抵泣いてる時か、泣きそうで強がってるときだったろ」

 

 そうだ。

 彼女の泣き方は、声が大きい。

 忘れ物をした時も。

 財布を無くした時も。

 フウコが卒業して見送った時も。

 その後すぐにブンシに注意された時も。

 ブンシに忍を止めないと言った時も。

 

 イロミがあまり泣かないように努力し続けた日のスタートが、幼い頃だったから、忘れてしまっていたのかもしれない。昔の自分だったら、彼女の姿を見て、どう思っただろうか?

 

 シスイと同じように、彼女が泣いていると思えただろうか。

 

 子供の頃に持っていた感性は、思い出せない。大人になるにつれて、錆びていく。感動や感激が鈍くなっていくと共に、情動が重くなっていくと共に、だからこそ大人は思考を巡らせる運動量を増やしていく。思考を鋭利にしなければ、重くなっていく感情に与える新たな発見という刺激が手に入らないから。

 

 新しいものを手に入れては、古いものを捨てる。その工程が成長というのだろう。

 

 自分はどれほどのものを捨ててきたのか。

 気付かないまま、捨てるばかりだったのか。

 

「まあ……今回の事は、あれだ。お前だけのせいじゃねえ」

 

 心を見透かしたように―――いや、きっと見えているんだろう。シスイは申し訳なさそうに小さい笑みを浮かべて、頭を掻いた。

 

「お前とイロミを置いて行って死んだ俺も、我儘突き通して里から出て行ったフウコも、悪いんだ。もっと……あの時に、誰かを頼ってれば………。もしかしたら、イロミを含めて四人で知恵を出し合えば……結果は変わってたかもしれない………。俺たち全員が、間違えていたんだ」

 

 直感だったが、シスイが語っている【間違った時間】は、イロミが知り、自分が知りたい真実の時間なのだ。言葉の端々に見え隠れする片鱗たち。それらをヒントに頭の中で当て嵌めようとしても、どれ一つ、引っ掛かりすら感じ取れない。

 

「ああ、今は無理だ」

 

 またシスイはイタチの考えを掬い取って話を進めた。

 

「何回も言うが、分かるだろ?」

 

 頷き応える事はしなかったが、はっきりと分かる。

 フウコが里を出て行った経緯をまるで覚えていないこと、覚えていない事に違和感を抱けなかったこと。そして、目の前のシスイの存在。

 それらは全て、忍術による影響なのだと、イタチは行き着いた。

 記憶を改竄している、というレベルの術ではない。覚えていない事を、覚えていない。人間の無意識に干渉し、完璧にとっかかりを消し去る幻術など、聞いた事も無い。いや……それすらも、幻術の影響なのだろうか。

 

「誰が、俺に術を掛けた」

「それは―――」

 

 真っ白い世界の外側から、絶叫が振動を伝えてくる。

 イロミの声だ。

 

『ぁあぁあああああああぁあぁぁぁぁぁぁぁああああッ!』

 

 喉が裂け、肺が潰れ、舌が渇いてしまっているような、絶叫。

 イタチは息を呑む。

 今になって、ようやく。

 その声が、イロミの泣き声なのだと感じ取れた。

 失くしたものが見つからなくて、グーにした両手で目元を拭っている。

 そして一瞬だけ、光景が見えた。

 シスイが見せた情景ではない、本当に自分の記憶から蘇った記憶だ。

 そこには四人がいる。自分と、シスイと、イロミと、フウコが。 

 

「時間切れか」

 

 と、シスイは白い空を見上げると、背を向け、ゆっくりと歩き始めた。

 

「俺とフウコの頼みだ。代わりに謝っといてくれ。仲間外れにして悪かったって。そうすれば仲直りできるだろ。ああ、あと、邪魔して悪かったとも言えよ。それはお前が謝るべき事だからな。大丈夫だろ? 女の子の告白をフっといて、友達のままでいられたんだから」

「待ってくれ、シス―――」

 

 立ち上がって遠ざかるシスイを追おうとするが、どういう訳か、両足が白い地面から離れない。困惑しながらも、何も語らぬままのシスイにイタチは声を掛ける。

 

「シスイッ!」

「なんだ」

「一つだけ、応えてくれ」

「言っておくが、お前に術を掛けた奴の事も言えねえぞ」

「違う」

「じゃあ、なんだ?」

「……俺たちがしていた事は…………、正しい事だったのか……?」

 

 フウコを里の外に追いやってしまったこと。

 封じられた記憶。【間違った時間】で行おうとしていたことは、正しい事だったのか。シスイが命を落とし、フウコが里の外に行ってしまうほど、重要な事だったのか。

 それだけが、知りたかった。

 勇気が欲しかったのだ。

 正しい事をしていたのだと。

 そうすれば胸を張って、彼女の前に―――。

 

「正しい事だったよ。フウコも、俺も、お前も……イロミの奴みたいに、楽しい時間を求めて頑張ったんだ。アカデミーの頃みたいに、四人楽しく過ごせる時間を」

 

 そうか、とイタチは微笑みながら涙を流した。

 シスイは白い世界に溶けるように消えていく。彼は背を向けながら軽く手を振った。

 

「次はしっかりしろよな。本当なら、お前をぶん殴るつもりだったんだからな。イロミの奴にも言ったんだ。俺の友達を馬鹿にする奴は、たとえ俺の友達でも許さないって」

「だったら、殴ってくれ」

「言っただろ。今回は、俺たち全員が悪いんだ。だからチャラにしてやる」

 

 意識が浮上していくのが分かる。

 イロミの泣き声が耳に届き始める。そこを中心に、身体の感覚が纏わりついてきた。

 

「だけど、他にもイロミを泣かせてる奴がいるだろ? 本当ならお前とイロミだけの喧嘩を、横から囃し立てて木ノ葉を巻き込んでる奴が。イロミに正しい言葉を使わせない奴が。そいつは、お前がどうにかしてやれ。もう俺はいないけど……言う事は、分かってるだろ。ガキの頃からずっと続けてきた事だ」

 

 ああ、分かってる。

 任せてくれ。

 

「じゃあな、親友。イロミと仲直りしたら、あの日の俺たちを見つけてくれよな」

 

 チャクラが奔流する。

 イタチの身体から放出される大量のチャクラの色は、青から輝ける黄金色に。黄金は質量を持って、やがて、人の形を模り始める。最初は禍々しい髑髏に。徐々に肉を付け、衣を纏う。上半身のみだが、それは巨人―――須佐能乎だ。

 

「あああぁぁぁぁぁああああああああッ! ああッ! あぁぁぁあああッ!」

 

 須佐能乎の片腕に握られ、身動きが取れないイロミは、獣のような呻き声だけを喉から鳴らし、唾と赤い涙を撒き散らしていた。立ち上がり、須佐能乎を発動させたイタチの姿に怒りをぶつけているようにも、喜んでいるようにも、見えなくもなかった。

 

「部分……影、分身の術……」

 

 両手で印を結ぶと、腹に空いた傷が塞がれる。影分身を応用した忍術だった。身体の一部をチャクラによって再構成した術は、少なくとも、断絶された血管の間を零れ落ちているはずだった大量の血液を循環させる役割を果たしていた。

 

 ―――これなら……まだ、死にはしない…………。

 

 医療忍術の知識は深くないが、内臓の機能不全によってすぐに死ぬ事は無いだろう。微かに神経が鈍くなっているのか損傷してしまっているのか、下半身に力が入り辛くなってしまっているが、須佐能乎があれば問題は無い。幸いにも……この里には、綱手がいる。彼女ならば、治療してくれるだろう。

 

 勿論、確実ではないが。それくらいの賭けはしてもいいだろう。今までの行いを考えれば、それぐらいの賭けが相場だ。

 

 助けているつもりだった。

 

 守ってあげられているつもりだった。

 

 頑張る事しか出来ない彼女には、それらが必要なのだと。

 だけれど、違った。それらが全て、彼女には毒だった。

 もう泣かないと、彼女は決意した。悲しいという感情を表には出さないという決意の裏に隠れた、成長していくという力を持つようになったのだ。それを、ずっと、邪魔してきた。

 

 一人で立ち上がろうとする赤子を、危険だからと椅子に縛り付けるように。

 遠くの景色を見たい子に、危険だからと写真だけを見せて家に閉じ込めるように。

 

 それと同じだ。為にならない、御節介ばかり。イロミは、その御節介が、努力しようとする自分には毒なのだと、分かっていたのだ。遥か遠くにいる大好きな友達に近付こうとしていた彼女には、猛毒に。

 

「……イロミちゃん。今から俺は、君を徹底的に叩きのめす」

 

 呪印に縛られながらも、彼女が言った言葉はどれも、本心の一つのはずだ。

 勝ちたい。才能を乗り越えたい。

 努力し続けていた彼女はきっと、心のどこかに、そんな欲求があったのだろう。

 ならば、真正面から応えてやる。

 万華鏡写輪眼という才能と、今まで自分が積み重ねてきた努力、全てをぶつける。

 それで負けても、彼女は、努力を止めないだろう。

 負けた事を反省して、次の努力を続けるはずだ。ならば、全力で、叩きのめす。自分と相手の距離を正確に測れるように。

 

 そこで、ああ、とイタチは小さく思う。

 

 ―――サスケにも、少し、過保護過ぎたな……。

 

 ずっと修行を付けてやれていない。サスケもイロミと同じような事を、想っているのだろうか。

 

「それで、全部終わったら、また喧嘩をしよう」

 

 互いに持っている考えをぶつけて、理解して、正しい努力の仕方を学んで。

 

「そして最後に、謝るよ。今までのこと、嘘を付いたこと。全部知ってから」

 

 仲直りをして。

 真実を知って。

 強くなって、フウコの元へ。

 その為には……邪魔者を排除しなければ。

 

『しっかりやれよ?』

 

 親友の声が、頭の中から。

 

「ああ、分かってる」

『行くぞ』

 

 昔のシスイのようにイタチは胸を張った。走り出す事は出来ないが、真っ直ぐ、前を向いて。

 里を守る為に。

 真実を知る為に。

 妹に会う為に。

 そして何よりも、友達と喧嘩をして、謝って、理解する為に。

 迷いを無くしてイタチは言った。

 

「敵討ちだ」

 

 

 

 ☆ ☆ ☆

 

 

 

「本当に良かったのか? イタチに、何か言わなくて」

 ……何を、言えば良かったの?

「頑張れとか、仲直りしろとか、ゴメンとか」

 ……私にそれを言う資格は、無いよ。

「兄妹以上の資格なんて、そうそうないだろ?」

 ……だって、私………二人を、傷付けた。イタチの眼を使って、イロリちゃんに―――天照をっ。

「あの時は仕方なかっただろ。お前があの時ああしなかったら、イタチは間違いなく死んでたぞ。イロミの奴も、イタチを殺してた」

 ……でも………ッ、だけど………ッ。

「泣くなよ。お前は何も、間違った事なんてしてないって」

 

 目の前で蹲って涙を流すフウコの頭を、シスイは優しく撫でた。

 

 天岩戸。

 

 自身の魂を相手に埋め込み、操る万華鏡写輪眼の力。そのフウコは、あの日―――獄に倒れたイタチに埋め込まれた本体の断片だった。

 

 ダンゾウに渡った別天神をイタチに掛けさせる為に埋め込んだ魂。しかし、本当の目的は、自分が里の外へと行ってしまった後、イタチの為を思って術を使用したのだ。

 

 もしもイタチが危険に晒された時。彼の身体を強制的に操り、助ける為に。イタチの思考速度を置き去りにして発動した天照は、フウコが発動させていた。

 

 イタチを助ける為とは言え、焼き殺してしまうかもしれない絶大な術を、友達に向かって。

 

 助けてあげたい。二人に真実を話して、争いを止めてもらいたい。引き裂かれる思いは、二人が戦い始めてから、ずっとあったはずだ。

 

 だが、それは出来ない。

 

 原因はシスイだ。彼がイタチの中にいる以上、うちは一族抹殺事件の真実を、内側から伝える事は出来ないのだ。

 

「全く……俺たちって、なんか、噛み合わないよな」

 

 嘆息交じりに、本音を零してしまう。

 

 イロミはみんなに追いつこうと努力し続けて、みんなの足を引っ張らないように頑張っても。

 

 イタチは優しすぎて、それを止めようとしてしまう。嘘を付いて、友達を守ろうとしてしまう。

 

 フウコはそんな二人が大切だからこそ、一人で全てを背負って、里の外に出て行ってしまって。

 

「俺は俺で……お前らの事を大好きなのに、負担だけ残して、死んでしまって。死んでからも、お前たちが仲直りするのを邪魔しちまって」

 

 どうしてだろう。

 

 友達なのは、間違いないのに。

 皆が、全員を大切に想ってるのに。

 もどかしさが、悲しさばかりを生んでしまう。

 

「だけど……今度こそ、あいつらは大丈夫だ。仲直り、してくれる」

 ……シスイっ、やだよ……。私、もう……チャクラが残ってない……。

「ああ、安心しろ。俺が最後まで、あの二人を見届けておく」

 ……離れたくない。イタチとも、イロリちゃんとも、シスイとも。ごめんね……、シスイ……あの時、私が油断したから……シスイを……。

「気にしてねえよ」

 

 フウコの身体が端から砂のように分離し始めた。二回の天照の発動。その内の一回が完全に発動しなかったとはいえ、身体の持ち主であるイタチの意識を飛び越えてまでの強引な肉体とチャクラの操作は、分け与えられたフウコの魂のチャクラを殆ど消費させてしまっていた。

 

 互いに本体から分離した魂。しかし、別れる悲しさは、本体と遜色のないものだ。

 

 大粒の涙を零すフウコの顔を無理やり上に向かせて、シスイは笑う。

 

「俺もすぐに、そっちに行く。仲直りしたあいつらなら、すぐに、俺たちを見つけてくれる。そうなったら、アレだな……遊ぶか。あの世の宝物でも探しに行こうぜ」

 ……私……本体の、十分の一くらいだけど……。

「相変わらずお前は、面白いこと言うよな」

 ……シスイ、さようなら。

「ああ。またな」

 ……そうだね……。またね。

 

 白い塵となって、フウコは世界から姿を消した。フワフワとした塵を、シスイは掌の中で握ったり離したりして、名残惜しそうに、空の彼方へと消えていく塵の軌跡を目で追った。

 

 世話が焼けるな、と小さく笑う。

 

「あいつら、俺が先頭に立たねえと、動かないんだよなあ」

 

 イロミがイジメを受けた時、真っ先に先頭に立つのはいつも自分の役目だった。イタチはイロミの為に事を荒立てまいと考えてしまい、フウコは泣き続けるイロミを宥めるので精一杯。だから、三人を引っ張り、道を示すのは、自分なのである。

 

 まさか死んでからも、そんな役をさせられるとは思っていなかった。死者が生者に御告げをするなんて。いやもしかしたら、子供の頃に願った、神にしてほしいという願いが叶ったのかもしれない。神となった自分が、友人たちに御告げをして、背中を押してやる。なかなかどうして、やりがいのある役目だろうか。

 

 でも、その役目は今回で最後だろう。

 

 別天神が解かれれば、自分は消える。そして二度と、どこかに姿を現す事は無いだろう。自分はおそらく、イタチが生み出した幻想だ。写輪眼に残ったチャクラが、別天神によってイタチの内部に侵入し、彼の記憶や感情がチャクラと混ざり合って生まれた、幻想でしかない。故に解かれれば、跡形もなく消える。

 

 名残惜しい。今後も、彼の中で、彼がどんな道を歩んでいくのか見守ってやりたい。イロミの努力の行く末も。

 

「……頑張れよ、親友」

 

 白い世界に腰を落ち着かせ、最大限の冷やかしと尊敬を、シスイは一人呟いた。

 

「お前は天才なんだ。簡単に、諦めるんじゃねえぞ」

 






 次話は、できれば今月中に投稿したいと考えておりますが、最悪でも3月上旬に投稿いたします。

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