はぐれ悪魔 イッセー   作:夜の魔王

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第二章 交錯のヘブンリィドラゴン
Welsh×Vanishing


 さて、ここで昔から伝わる二匹のドラゴンの話をしよう。

 

 二匹のドラゴンは並大抵の神を凌ぐほどの力を持っており、赤と白――二匹合わせて二天龍と呼ばれていた。

 

 二天龍はとても仲が悪かった。お互いの存在が相反するものであるためか、それとも理由が他にあるのか。それを知るものは今となっては当龍・も含めていないが、とにかくよく喧嘩をしていた。

 

 喧嘩といえども、それは神ほどの力を持ったドラゴンの喧嘩だ。山は砕け、川は吹き飛び、大地には大穴が空くといった、地形を変えるほどの大喧嘩だった。

 

 そしてある時、いつもの様に喧嘩をしていた二匹はそれを第三者――神と天使・堕天使・悪魔――によって止められることになる。

 

 その理由というのが実に迷惑な話で、先に挙げた三大勢力が戦争をしている最中、その戦場で喧嘩をし始めたのだ。

 

 その何とも傍迷惑な行為に抗議したところ、貴様ら程度が俺たちの喧嘩を邪魔するなという、何とも傲慢な回答をしたのだが、それが三大勢力の怒りを買ってしまう。これが好き勝手にしていた彼らの落日を決めることになった。

 

 その言葉に腹を立てた三大勢力はなんと驚くべきことに、さっきまで戦争をしていたのにも拘らず協力し合い、戦いに横やりを入れた二天龍を打ち倒し、その魂を神の作った神器セイクリッド・ギアに封印した。

 

 

 だがしかし、これにて一件落着と落ち着いたわけではなかった。

 

 彼らの魂が封印された神器セイクリッド・ギアは人間を宿主にする。そして二天龍は神器セイクリッド・ギアを通じて彼彼女らと会話をすることが出来たのだ。

 

 ここからが問題。一番迷惑な話。

 

 なんと、二天龍は神器セイクリッド・ギアに封印されてもなお、宿主の人間同士が代行するという形で戦いを始めたのだ。

 

 しかもそれもまた周囲に盛大な被害を出して、宿主も早晩没するというのだから誰にとっても救いのない話だ。

 

 だが、その戦いは二天龍が出会うと必ず起こる。

 

 なんで神器セイクリッド・ギアに宿る魂の存在に引きずられてそんな事するんだと周囲は常々思っていたが、それの理由は実際のところ誰にもわからないというのだから本格的にどうしようもない事だ。

 

 

 そして、現在も二天龍――赤龍帝と白龍皇は新たな宿主を得た。

 

 赤龍帝ドライグは日本に住む普通の少年、兵藤一誠に。

 

 白龍皇アルビオンは魔王ルシファーの末裔、ヴァーリ・ルシファーに。

 

 方や最弱の赤龍帝。方や最強の白龍皇。

 

 二人の出会いは今まで通りの騒乱を生むのか、それともまた違った結末を迎えるのか。

 

 どちらにせよ、巻き込まれた者は堪ったものではないだろう。

 

 強大な力を持つドラゴンと関わって、無事でいられた者など数えられるほどしかいないのだから――

 


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