取りあえず7話まで読んでくれたら嬉しいです。
そこまでで1話なので
黒木智子、現在29才。
いま痛ましいものを想像したやつ、ちょっと後で屋上な。
しかし中学高校と......とにかく、私の過去を知っている人がいたら、先頭の文面にはかとない絶望を感じるのは致し方ないのかもしれない。
まことに遺憾ではあるが、だ。
そんな風に思えてしまうほど私の中学、高校......つまるところ私の青春時代はそれはそれは悲惨なものであった。
たちが悪いのは、別に最近更に深刻化しているいじめの問題が介入していたとか、家庭に不和があったとかではないこと。
幸いにも私の周りの人たちは皆、それこそ驚くほどにいい人に溢れていたのだ。
お父さんやお母さんは勿論、弟にも今思えば死にたくなるほどの迷惑をかけた。アイツにはいまだに頭が上がらない。
親友のゆうちゃんは、なんというか、正直女神である。
彼女がいなければ私はほんとにもっとどうしようも無いことになっていたのではなかろうか。神の采配に感謝である。
まぁそれ以外にもクラスメートであったり、先生にしても、それこそ近くのコンビニの店員さんに至るまで、私の周りには理不尽な悪人というのはほとんどいなかったのだ。
正直、今になって思うが、当時私が明確ないじめにあってなかったのは奇跡的であった。
思い返せばあのころの私はいろいろなことを周りのせいにして、差し伸べられていたたくさんの手に気づいてはいなかった。
え?
偉そうにいってるけど今のお前はどうなんだって?
いや、まぁ正直胸張って昔の自分を説教できるような立場ではないと思っている。
一時期引きこもりみたいになって家族には迷惑かけたしニート一直線で家族崩壊しそう......ってこのあたりのことはいいか。
とにかく、凄まじいまでの迷惑を両親にや周りの人にかけながらも、今は高校の教師をやってる。
ははっ。
いや、過去の私を知る人たちはみんなそんな反応をするんだ。正直私自身が信じられん。
これでも教師4年目で、そろそろ新米というレッテルが取れそうになってるところだ。
ちょいちょい事件もあったが、幸いにもほかの教師人生にないような障害にぶつからずにすんでる。
お前にモノが教えられるのかって?
いや、そう思われるのも致し方ないかもしれないがこれでも勉強だけは人並み少し上ぐらいにやってたんだ。
もう普通に人と会話もできるしって当たり前か。とにかく、教え子たちにも勘違いでなければそこそこ慕われてる、はず。
授業は下手ではないが、特別分かりやすいわけでもないということで今後要勉強であるが。
そんなわけであんな私でも、今は何とか人並みに生きている。
あ、ちなみに今でも乙女ゲー信者ではあるし、たまにイベントにも......まぁ、そんな感じ。
私は日々、周りの人への感謝を忘れないようにして生きてる。
すごいカッコいい事いってるように聞こえるけど、そうしないといけないほど本当にいろんな人に迷惑かけて、支えてもらって、ここにいるのだから。
もし私が両親ならこんな子供のことをかわいがってやれたとは思えない。
もし私が親友だったなら......ってそもそも友人にすらならなかっただろう。
そういうことなんだ。
つまるところ今の生活に私は大満足なわけだが、それでもふと後悔してしまうことがある。
あの青春時代。
まさしく灰色の青春時代。
いや、こんな言い方はずるいな。
私が灰色にしてしまったあの青春時代を。
ほんの少しでも私が周りの好意(日常的なね)に気づいていたらなら、それだけでぜんぜん違った道を歩くことができたんじゃないか。
あと少し勇気を持って人と接していれば、友達もできたのではないだろうか。もっとも一番の親友の座はもはや固定席ではあるんだけど。
学校の教師として、今も生徒たちを見ているからか余計にそう思うのだろう。
付け加えるならば、清潔さや容姿にももっと気を使うべきだった。
この年になってクマはもうとっくに無いが(仕事で徹夜ときは別だが)、それ以外のハリやら何やらも......って何を言ってるんだろう。
あぁそれにあの人にお礼をいえなかったとか、謝りたいとか。そんな細かいものまでいい始めるととにかく後悔せずにはいられない。
そんなもろもろが心にふと浮かんでくる。
何度もいうように私は現状に何の不満もないし(向上心は失わないでいたいが)、その現状が自分の力だけで到底得られたものでないことを知ってる。
それでも頭を掠める。
朝ごはんのパンを齧ったとき。
休み時間に生徒と話したとき。
教頭の悪口を同僚と面白おかしく話したとき。
夜寝るとき。
あぁ、もう一度あの頃をやり直せたらな......なんて。
誰だこいつ