真・恋姫†無双 ご都合主義で萌将伝!   作:AUOジョンソン

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「そういえば昔、幼馴染と喧嘩したときに『君には人の気持ちに立って考えるということが抜けている』って言われてショックだったなぁ」「・・・まぁ、今は人の気持ちを考えた結果、恋人二十人超えたけどな」「こいつ、天然の女たらしか。しっしっ。あっちいけ。うつる」「何が!? なぁ何がうつるんだ!?」「ギル様、あっち行ってください。うつります」「ランサーまで!?」

それでは、どうぞ。


第七十一話 彼女の気持ちに

肩に、重み。

宝具を肩に乗せながら、目の前の副長の動きに気を配る。

最近はどうにも油断ならなくなってきた遊撃隊の副長と対峙しながら、ある意味無防備ともいえる構えは変えない。

 

「行きますっ!」

 

「っ!」

 

駆け出した副長が、目の前に盾を構えながら姿勢を低くして飛び込んでくる。

背後に伸ばされた手には、そのまま後ろに切っ先が向くように剣が握られている。

盾を矢じりに、放たれた一本の矢のように突っ込んでくる副長は、おそらく盾を目隠しにして剣を振るう方向を見せないようにしているのだろう、と判断する。

 

「・・・甘い」

 

だけど、それは盾で『防げたら』の話。

彼女は体重が軽いので、このまま武器を振るって当てれば面白いように姿勢を崩すだろう。

・・・けど、それは副長も承知しているはず。

となると、これは釣り。そう判断して、こちらもいつでも迎撃できるような態勢を取る。

 

「足元っ! 刈りますっ!」

 

「ふっ・・・!」

 

いちいち自分の行動を言うのは副長の癖だろうな、と足を振り上げながら思う。

そのまま剣を踏むように足を振り下ろすと、予想通り剣を踏んで止め・・・られてはいなかった。

 

「釣られましたねっ」

 

地面を踏み抜いた感覚で、やられたと思った。

いっつも踏んで止めていたからか、対策を取られていた様だ。・・・それも当たり前か。

何度も何度も同じ手を使って、それで対策を採らないのはバカのやることだ。

ちょっと副長の事を舐めていたかな、と反省。最近はどうにも相手する人が一定になってきたので、少し慢心もあったと思う。

 

「・・・けど・・・まだ・・・!」

 

一度引いた剣を振りかぶり、袈裟切りに降ろしてくる副長。

その一瞬がゆっくりと引き伸ばされたような感覚になっていく。

慌てず、振り下ろされる剣ではなく、その剣を握る手首をどん、と弾く。

 

「うひゃ、あ・・・!?」

 

その勢いで、副長は無防備な腹を晒す。

驚愕の表情を浮かべる副長のその腹部に、自身の武器を思い切り刺し貫く――。

 

「はい、そこまでー!」

 

前に、ギルからの声が入る。

・・・ぴたりととめられた武器を、自身の肩の上にまた戻す。

 

「こ、こえぇ・・・止めなかったら恋さんマジで私の腹貫いてましたよね!?」

 

「・・・? 戦いだから。試合で、ギルに言われたから止めた」

 

「こっわぁ・・・」

 

「戦いは、死ぬ気でやらないと意味無い」

 

「そ、そりゃそうですけど・・・」

 

「それで死んだら、副長が弱かっただけ」

 

「・・・隊長だったらどうしてました?」

 

「? ギルは強いから死なない。だから安心」

 

どんなに全力を出しても、ギルなら大丈夫。

ほかのさーばんとって言うのよりも強いから、借りてる宝具を全力で振るっても良い。

恋の好きになった人だから、当然だけど。

 

「・・・この人って、無口な壱与さんだよなぁ」

 

「? ふくちょ、何時も通り変」

 

「うぅ・・・変な人に変って言われた・・・」

 

何故か肩を落としている副長を、撫でる。

ギルにこうされると恋も嬉しいから、きっと副長も嬉しいはず。

 

「変な人に慰められてる・・・」

 

・・・泣いてしまった。

どうしよう、とギルに視線を向ける。

ギルは恋の言いたい事に気づいたのか、何度か頷く。

これで安心。ギルはちゃんと慰めてくれ――

 

「安心しろ、副長も変だ!」

 

「うわぁん!」

 

「・・・とどめ」

 

――流石ギル。油断も容赦も無い。

 

・・・

 

「うぅ、恋さんも酷いけど、隊長も十分酷い・・・」

 

隊長からの『変人認定』を貰って、感情のままに泣いた後。

ちょっと恥ずかしくなって逃げちゃったけど、これをネタに隊長に慰めてもらおうと私は隊長の私室に向かっていた。

 

「・・・恋さんとしっぽりやってる頃かなぁ。気まずいよなぁ」

 

前に七乃さんとの行為をバッチリ目撃しちゃって、まぁ、その・・・昂ったことあるけど。

でも、あんなに恥ずかしいことはもう二度と御免です! だから、私室に着いたらまず・・・。

 

「番をしている兵士さんも侍女さんもいない・・・?」

 

隊長の部屋の前をチェック。大体誰か立ってるんだけど、今日はいないみたい。

じゃあ、政務室かな、と思いつつも扉の近くで耳をそばだてる。

 

「・・・む?」

 

なんか聞こえる・・・?

 

「ギル様――壱与――お願――」

 

「ん? ――ああ――それなら――」

 

むぅ、途切れ途切れにしか聞こえないなぁ。

でも、壱与さんがいるのは分かったから、突撃は待ったほうがいいかな。

扉に完全に耳をつけて、もっと聞き取ろうとしてみる。

 

「ああぁぁんっ!?」

 

「ふぇっ!?」

 

何!? 何今の嬌声!

ちょっと出ちゃいけない声出てるよ壱与さん!

 

「おい壱与、あんまり大声出すなよ。人払いしたとはいえ、通りがかる人が居ないとは限らないんだから」

 

まさに今! 私通りがかってますよ!

っていうか、まさか本当にやってる!? いや、ヤってる!?

 

「だ、だぁってぇ・・・ギル様の、奥までコリコリくるからぁ・・・」

 

壱与さん何その甘ったるい声!? いつも興奮しててもそんな口調になりませんよね!?

ふ、二人っきりのときってそんな口調なんだぁ。ふ、ふぅん・・・?

聞き逃すまいと身体全体を扉にへばりつかせて神経を耳に集中させる。ほっぺたが扉に押し付けられてむにゅ、と潰れるくらいに扉に密着する。

 

「ほら、もっと良く見せろって。最近は見てやれなかったからな」

 

「はぁいっ。あ、これどうしましょう?」

 

「ん? もちろん脱げよ。引っかかると痛いだろ」

 

ぬ、脱ぐっ!? ひ、引っかかる!? 何が!? な、ナニが!?

うっひゃあ、隊長、なんか、強引なカンジ?

 

「ほら、髪も解けって」

 

「はいっ。んしょ・・・えへへ、しっかり洗ってきましたから、良い匂いしますよ? 嗅ぎます?」

 

「後でな。先にやることあるだろ」

 

「・・・そ、それじゃ、失礼いたしますね」

 

先にヤること・・・も、もう完全にアレじゃない!

うぅ、気まずいなぁ。立ち去ったほうが良いよなぁ。

・・・そうは思っても、何故か体はピクリとも動かない。

なるほど、最後まで聞けと。私の本能は理性を凌駕したようだ。

 

「ほら、いれるぞ」

 

「ゆ、ゆっくりお願いいたしますっ」

 

「はは、大丈夫大丈夫。これでも慣れてるんだ」

 

「・・・壱与的には、慣れてらっしゃらない方が良かったんですけどぉ」

 

そうですよねぇ。やっぱり自分だけを見ていてくれたほうが・・・。

 

「んあぁぁっ!」

 

「っ!?」

 

も、もうっ! びっくりするから考え事してるときは喘がないでくださいよっ。

で、でも、しょっぱなからいれちゃって大丈夫なのかな。ほら、潤滑油的な意味で・・・。

 

「だから壱与、あんまり大きな声は・・・後動くな。抜けたじゃないか」

 

「も、申し訳ありません・・・。その、敏感なもので・・・」

 

「だろうなぁ。はは、でもアレだな、やっぱり濡れてるな」

 

ぬっ、濡れてるっ。そっか、そういえば壱与さんって想像だけでいける人だったな。

ならいきなりでも問題ないのかなぁ。

 

「うぅ、お恥ずかしいです・・・ひあっ!? あ、ぎ、ギル様、そんな、押さえつけて・・・」

 

「じゃないといつまで経っても終わらないだろ? ・・・ん、と、ほら行くぞ?」

 

「は、はひっ。どうぞっ・・・んあっ、ぅあ・・・」

 

「よしよし、偉い偉い。お、奥のほうが・・・」

 

「んふぁ・・・ひぇ・・・」

 

な、なんだろう。いつものテンション高い壱与さんじゃないから、変なカンジするけど・・・。

き、気持ちいいんだろうな。きっと。

 

「あ、ギル様、あんまりじっくり見られると・・・! い、壱与の汚いところですからぁ・・・」

 

「おいおい、そういうところを見られて興奮するのがお前だろ?」

 

「・・・壱与にだって、恥じらいという感情くらいあるんですよっ」

 

「おや、それは初耳だ。・・・ただの変態王女じゃなかったのか」

 

そこは全面的に隊長に同意です。恥じらいなんて感情あったんですね、あのキリングマシーンに独占欲と性欲だけ付与したような王女様に。

 

「ほら、こっちはもういいだろ。もう片方見せてみ」

 

ん? ・・・モウカタホウ?

えっ、そ、そっち!? そっちでも経験有り!?

・・・そういえばしばらく前、急に月さんがお腹壊してたけど・・・。まさかね。

 

「んー? こっちはやっぱり綺麗だな」

 

「そっ、それはもうっ。見せられるくらいにはしてきましたのでっ」

 

洗浄!? 洗浄してきたの!?

ふわぁぁあぁ・・・み、未知の領域っ。

これは後学のためにもしっかりと聞いておかないと・・・!

 

「なんだよー、つまらんな。全く・・・」

 

ふぇっ!? つ、つまらない? ・・・え? まさかそういう!? スカ・・・げふんげふん。あっぶね。姫として言ってはいけないワードトップ5に入る言葉言いそうになった。

えー? で、でも隊長って結構潔癖っぽいでしょ? そういう趣味無いと思ってたんだけど・・・。

私といるときもそんな素振り見せなかったし・・・。

 

「それとも、壱与さんとだけなのかな・・・」

 

仄暗い感情が首をもたげて来る。

・・・やっぱり、壱与さんのこと、好きになれませんね。

嫌いでも、無いんですけど。そこは乙女の複雑な感情ということで。

 

「あっづぁっ!?」

 

「ん!? っと、すまん! 大丈夫か!?」

 

「は、はい、大丈夫ですっ」

 

「すまんすまん。奥の膜のところに引っかかったかな」

 

「大丈夫です! 気持ちいいですっ!」

 

「・・・そ、そうか」

 

ま、膜!? まだあるの!? え? え?

頭が混乱する。膜があって、もう一つの方でいつもしてて・・・?

そっちなの!? そっち専用なのっ!?

 

「・・・なにしてんの、あんた」

 

「ふぁいっ!?」

 

頭の中がグルグルと混乱していたとき、背後から声を掛けられて思いっきり動揺してしまった。

 

「ひ、卑弥呼さん?」

 

「それ以外の誰に見えんのよ。で? 何してんのよ。入らないの?」

 

「・・・壱与さんと隊長が中にいて」

 

「? だからなんなの?」

 

「えと、ですから、膜がまだあって、後ろの穴が常習犯で・・・」

 

「・・・落ち着きなさい。 ゆっくり呼吸して・・・深呼吸よ? はい、ひっひっふー」

 

「ひっひっふー・・・ひっひっふー・・・」

 

卑弥呼さんに言われたとおり、深呼吸。

取り合えず落ち着いてきたので、かくかくしかじか、と事の顛末を説明して、扉に耳を当ててみてください、と伝える。

 

「扉ね? ・・・ふん、ふん・・・」

 

しばらく耳を当てていた卑弥呼さんは、扉から体を離して私に向かってニッコリと微笑む。

 

「ギルー! 入るわよー!」

 

「わ、わわわっ! ちょ、ちょっと卑弥呼さんっ!」

 

笑顔で扉を開けた(吹っ飛ばしたように見えたけど)卑弥呼さんに続いて部屋に入ると――。

 

「ん? 卑弥呼か。副長まで。どうしたんだ、こんな時間に」

 

「んふ。あのね、ギルちょっと聞いてよ。すっごい面白い話あんのよ」

 

「ふぇ・・・? あれ? 壱与さん?」

 

「・・・なんのようです、副長さん。壱与、さっきまで幸せの絶頂だったのに・・・一気に不機嫌になりましたっ」

 

「はれ?」

 

そこにいたのは、想像とは全く違って、寝台に座る隊長と、その膝に頭を乗せた壱与さんの姿だった。

混乱して頭の上にハテナ、と疑問符を浮かべる私を他所に、卑弥呼さんがにやにやと話し始める。

 

「んふっ、この子、さっきから扉の前で聞き耳立ててたっぽいんだけどさ」

 

「? おう」

 

「あんた達が、変なこと、あは、してるって、勘違い・・・んふっ・・・してたのよ。・・・あははっ! も、もーダメ! おっかしいの!」

 

あっはっは、とお腹を抱えて笑い出した卑弥呼さん。

私と同じように疑問符を浮かべていた隊長は、卑弥呼さんの話と、自分達の状況を鑑みて察したのか、段々と顔に笑みが浮かんできていた。

 

「あ、そういう・・・んふ。ちょっと待てよ、あはは、壱与、ダメだ俺、あっはっは!」

 

「ふぇ? ひ、卑弥呼様もギル様も、何がおかしくてそんな・・・」

 

「あっはっはっは! だ、だから、壱与、耳貸しなさい・・・あは、んふふ・・・ごにょごにょ」

 

「? ・・・はい、は、はぁ・・・? ・・・! ああ、そういう! ・・・あははっ! バッカみたい!」

 

ここまでされれば、流石の私も気付く。・・・ただの耳かきを、アレと勘違いしてしまったのだと。

一瞬で顔が真っ赤になる。恥ずかしいなんてものじゃない。穴があったらそれごと地球を爆発させたいくらいだ。

 

「ち、ちが、そんなんじゃ・・・!」

 

「な、ふふ、何が違うのよっ。あっはっは、えっちぃのね、副長はっ」

 

「い、壱与、同情いたしますよ? ん、ふふ、そ、想像力が、豊かなことで・・・ぷふっ」

 

「壱与さんにだけは想像力がどうとか言われたくないですっ!」

 

何とか搾り出してはみたけど、ダメだこれ。完全に負け戦です。

 

「そっかそっか、副長も中身は年頃の女の子ってことか」

 

「はうっ」

 

ずきゅん、と胸を貫かれる。

まさか、思春期の小娘と同じに思われるなんて・・・。

 

「・・・まぁ、くくっ、壱与の耳かきも終わりかけてたところだ。おいで副長。耳かきしてやるよ」

 

「ふぇっ!? い、いえっ、私は遠慮・・・あれ!? 何で私羽交い絞めにされて・・・」

 

「ギルが折角やってくれるって言うのよ。遠慮しちゃダメじゃないの」

 

「耳かきついでに淫らな言葉しか拾わないその鼓膜、破ってもらったらどうでしょう? 耳の処女も捨てられますよ?」

 

「さらっと怖いこと言わないでください! なんですか耳の処女って!?」

 

初耳ですよそんな特殊な卒業は!

 

「まぁまぁ。奥までコリコリされなさいよ」

 

「そうだぞ。俺がどっちの穴も綺麗にしてやるからさ」

 

「お、押さえつけられて、無理矢理されると良いんですよ、ふふっ」

 

「あ、や、ダメ、そんなところ見ちゃ、汚いからぁ・・・っ!」

 

「だから綺麗にするんだろ。ほら、暴れない暴れない。誤って耳の処女卒業することになるぞ」

 

ニッコリと笑う、三人の悪魔に囲まれ、私は完全に諦めました。

・・・うぅ、どうか鼓膜が無事生還しますように・・・。

 

・・・

 

・・・悪魔三人と戦い、何とか耳の処女は守りぬいた次の日。

耳かき自体は心地よく、隊長の気が向けばまたやってくれるということなので、私はお風呂上りにこうして隊長の部屋の前までやってきていた。

軽く鼻歌なんて歌いながら、取り合えず扉に耳をぴたり。

 

「ギル様っ、もっと奥、あぁっ! そこぉっ!」

 

「っと、おいおい、壱与、だから声を出すな・・・って、言っただろっ」

 

「ご、ごめんなさ・・・! お仕置き、してくださいっ・・・!」

 

・・・またやってる。

もうっ、ただの耳かきがどうしてこんなことになるのかなぁ。

 

「ま、いいや。壱与さんがやってもらってるってことは、私もしてくれそうだし」

 

「・・・あんた、また盗み聞きしてんの?」

 

「あ、卑弥呼さん」

 

扉の前でよし、と一人気分を固めていると、また昨日のように卑弥呼さんに声を掛けられる。

 

「盗み聞きとは人聞き悪いですね。また壱与さんが耳かきしてもらっているようなので、私も混ぜてもらおうと」

 

「ふうん。じゃあ、わらわもしてもらおうかしら」

 

そう呟く卑弥呼さんを先導するように、扉に手を掛ける。

 

「・・・ん? あ、ちょっと待ちなさい副長、これ今日は――」

 

「たーいちょー! 私も混ぜ・・・」

 

「ダメッ、ギル様、壱与、壱与・・・んんぅっ――!」

 

「・・・て?」

 

「あーあ・・・わらわ、しーらないっと」

 

顔に掛かるちょっと特殊な匂いの液体。

目の前には、想像とは全く違い、寝台の上でこちらに向かって大開脚してる壱与さん。

・・・まさか、これは――!?

 

「・・・は、は・・・はれ? あなた・・・副長・・・さん・・・?」

 

呼吸荒くこちらを確認した壱与さんが段々と目に光を取り戻していく。

同時につり上がる眉尻。・・・やっべ、アレのときに突入した・・・!

 

「あなた・・・ギル様に耳かきをしていただいた昨日に飽き足らず、寵愛を受けていた今日まで邪魔を? しかも、『混ぜて』って・・・殺す」

 

「ちょっ、は、話し合いましょう! それに、あなたたちは無事絶頂したじゃないですか! ノーカウント! ノーカウントなんです!」

 

「・・・凄いですねアナタ。大物です。感動しました。・・・ですが無意味です」

 

「逃げれるはずのヘタレフラグ折られた!?」

 

だけど、鏡を取り出そうとして、壱与さんは今の自分の状況に気付いたらしい。 

・・・繋がったままじゃ無理じゃないです?

 

「まぁまぁ、壱与。副長もただ混ざりたかっただけなんだから。可愛がってやろうじゃないか」

 

「ギル様ぁ・・・お優しすぎますよぉ・・・。うぅ、そういうことなら仕方ないわね。来なさいまな板。不本意だけど、一時的にこの座を譲ってあげるわ」

 

カミソリのように鋭い視線で、私に場所を譲る壱与さん。

本当に名残惜しそうにしていたので、言葉に偽りは無いのだろう。・・・どうしよう。完全に背後から攻められそうなんだけど・・・。

 

「い、いえー、わ、私今日は遠慮しようかなぁ、なんて・・・無理ですよねー!?」

 

そう言いながら交代すると、にこりと笑った隊長の背後から鎖が伸びて、私の腕を捕らえる。

じりじりと引き寄せられて、その手を壱与さんに掴まれる。

 

「つーかまーえたー。・・・壱与、一回副長さんのこと廃人にしてみたかったんです」

 

「廃人!? え、私何され・・・卑弥呼さんっ! 見てないで助け・・・」

 

「壱与ー、わらわも副長いじめに参戦するわー」

 

「大歓迎ですっ!」

 

扉の影から見ていた卑弥呼さんに応援を頼もうとするも、一瞬で壱与さん側へ。

 

「さぁ、今日も悪魔三人にいじめられようか、副長」

 

「大丈夫。一週間もすれば、正気を取り戻せますわ。・・・きっと」

 

「本当に危なそうだったらわらわが止めてやるわよ。・・・たぶん」

 

「ふ、不安すぎるっ! 隊長は兎も角他のお二人が・・・ちょ、や、やめ、脱がさないで・・・い、いや、あ、いやぁぁぁぁぁぁぁっ!」

 

・・・

 

「・・・どうしたんだよ、副長」

 

なんとなく気分が向いたので、ギルの部屋へと酒とつまみ(星から貰ってきた)を手にやってきたのだが・・・。

部屋にいたのは、ぐったりとした副長だけだった。

取り合えず声を掛けてみるが、なんというか、死んだ魚の目というか、光の無い濁った目をこちらに向けるだけである。

 

「・・・ふぇ? ひぇひぇひぇ、ぱいれんさんだぁ・・・」

 

「いや、笑い方・・・なんだ、ギルにいじめられたか?」

 

「たいちょー・・・? そうなんれすよぉ、たいちょーに、お腹たぷたぷにされちゃいましたぁ。フヘヘ」

 

「うわぁ。で、ギル本人は?」

 

「ここだ」

 

背後から急に声を掛けられて、うおわ、と驚いて声を上げる。

 

「いきなり声を掛けるなよー。びっくりするだろ? ・・・って、風呂にでも行ってきたのか?」

 

髪が少し濡れているし、なんだか良い匂いもする。

風呂上りのギルはなんだか妙に色っぽいのだと侍女からかなり熱弁されたことがあるが・・・確かに、と頷いてしまうな。

 

「珍しいな、白蓮がここに来るなんて」

 

「・・・お前、私がお前の部屋に来るたびにそれ言うよな。全く珍しくないだろ。ちょいちょい来てるんだし」

 

「はは、いや、何、お約束のようなものだ。気にするな」

 

そう言って、ギルは私の頭をくしゃくしゃと撫でる。

・・・子ども扱いはやめろと何度言ってもやめないので、もうこれについては諦めている。

ま、私はこいつより背が低いし、撫でやすいというのもあるんだろう。・・・癖になってるのかもな、もしかしたら。

 

「ほら、満足したら飲もうぜ。麗羽の話、少し聞きたいしな」

 

「おう。ほら、副長、部屋に戻るか隣の寝室で寝て来いって」

 

「うあー、わたしものむー。のんではくー」

 

「それが迷惑だから戻るか寝ろって言ってるのに・・・白蓮、少し待ってろ」

 

「ん? おう。じゃあ、準備しておくな」

 

「頼んだ。・・・よっと」

 

副長を持って、隣の寝室に消えるギル。

 

「よっと。・・・星のうるさい薀蓄に耐えて貰ったものだからなぁ。ギルを満足させる味であってくれよー」

 

ことん、と小さい壷を卓の上に置く。

 

「ふぇっ、あっ、た、たいちょ、何でそんなところに・・・あ、む、無理ですって! そこにそれははいらな・・・ひぎぃっ!」

 

「お、副長起きたのかー」

 

元気そうだなー、と思いつつ、酒も用意。

副長が起きたって事は、三つ用意しておいたほうがいいかなー。

 

「よし、まぁこんなもんだろ」

 

「はっ、はっ、はっ・・・! た、隊長っ、め、目は覚めましたのでっ、これでお暇したく・・・ひぃっ!? に、二本目っ!? 二本目は流石に・・・! いや、『一本入っただろ』って、そりゃそうですけどぉぉっ!?」

 

「ん? 何だ、副長は帰るのか」

 

お暇するとか何とか聞こえたな。

じゃあ、一つは片してっと。

それにしても何してるんだ? 隣の部屋、やけにばたばたしてるけど。

 

「よっと。待たせたな、白蓮」

 

「ん、いや、全然」

 

ぱたん、と寝室の扉を閉めて、ギルが戻ってくる。

 

「あれ、副長は寝ちゃったのか?」

 

「ああ。ま、起こさないでやってくれ。死ぬほど疲れてるらしい」

 

「そりゃもちろん。ほら、注いでやるよ」

 

「お、さんきゅ」

 

とくとく、と酒を注ぐ音が静かな室内でやけにはっきり聞こえる。

そういえば、今の『さんきゅ』という言葉は、『ありがとう』という意味らしい。

天の国の言葉の一つで、ギルは結構この言葉を多用する。

 

「ほら、乾杯」

 

「ん。今日も一日お疲れさん」

 

ちん、と澄んだ音が響く。

それから、お互いにくいっと一杯。

ん・・・これは結構強めだなぁ。

 

「美味しいな。何処の酒だ?」

 

「ん? ああ、北郷の奴に貰ってさ。何でも、今試作中のものらしいぞ」

 

「となると、日本酒系か・・・」

 

どんどん進んでるなぁ、とギルは呟き、飲み干した杯を卓に置いた。

自分も飲み干したので、ほら、とギルの杯にもう一度注ぎなおす。

自分のにも注いで、次はメンマを摘んで一口。うんうん、やっぱり肴があると違うよなぁ。

 

「お、美味い。こっちは星かな?」

 

「正解。・・・まぁ、選択肢無いようなものだもんなぁ」

 

むぐ、ともう一口。これだよなぁ。

・・・食べ過ぎなければ、美味いんだけどなぁ。

星はなんていうか、勧めすぎなんだよ。

 

「あ、そういえば。麗羽はどうだ? ・・・迷惑掛けてないか?」

 

「はは、前も言ったけど、かなり頑張ってるみたいだよ」

 

「ん、さんきゅ」

 

ギルから報告書を渡される。

・・・私も、結構自然に天の言葉を使えるようになったなぁ、と一人ごちる。

 

「なるほど」

 

以前見たときとは違う、一ヶ月とちょっとの分厚い報告書。

業務の内容やら、新人の教育状態なんかも載っていたりする。

その中身を見るに、どうやら麗羽は『新人』から脱却できたらしい。

 

「結構評価高いじゃないか。・・・ほんとに天職だったんだな」

 

しみじみと呟く。

あの麗羽がなぁ・・・。

 

「なんだ、白蓮。寂しそうな顔してるじゃないか」

 

「んあ!? ・・・そ、そんな顔してるか?」

 

ぺたぺた、と自分の顔を触ってみる・・・が、もちろんそんなことは分からない。

手元に鏡でもあれば確認できただろうが・・・んまぁ、もちろんそんなものは無い。

 

「・・・そういえば、白蓮」

 

「ん? むぐ。・・・どうした?」

 

「いや、麗羽のお守りとかなくなってさ、ある程度手が空いてるだろ? ・・・うちの副長とかやらないか?」

 

「・・・は?」

 

一瞬、何を言っているのか分からなかった。

間抜けな声を出してたっぷり数十秒。

 

「・・・い、いやいやいや! 無理無理無理!」

 

「いやー、出来るだろ」

 

「お前酔ってるだろ! 絶対素面のときに後悔するぞそれ!」

 

「酔ってないって。そろそろ副長・・・ああ、ややこしいな。迦具夜を隊長にしてさ。そのときの副長どうしよっかなーって思ってたんだよ」

 

「七乃がいるだろ」

 

「あー、七乃は副官だろ。まぁ、副官というよりは軍師か。実動できて、ある程度色んなことに造詣が深くて、いざというときは迦具夜を殴ってとめられるって言ったら、白蓮しかいないだろ」

 

「殴って・・・」

 

まぁ、流石にやらないが。確かにそう考えると、七乃だとそこまで荒い事は出来ないだろうし、猪々子や斗詩でも無理そうだ。

華雄は・・・ああ、考えないほうがいいな。むむ、反論が出来なくなってきた。

 

「給金は多いぞ。俺が色つけるからな」

 

「・・・むぅ」

 

段々と外堀を埋められている気がする。

 

「今は時間も空いてるだろ? 仮ってことでやってみないか? 迦具夜にも隊長業になれてもらわないとだしな」

 

「・・・まだ副長には言ってないのか?」

 

「もちろん。こういうことをいきなり無茶振りしたときのあの顔が可愛いんだよ」

 

「悪魔め・・・」

 

くつくつといかにも悪者の笑みを浮かべるギル。

まぁ、なんだかんだ言ってギルは優しいから、本当に難しいのであれば先延ばしにはなるだろう。

・・・優しいのと同時に頑固でもあるので、一度決めた私が副長というのは、多分覆されないんだろうけど。

 

「全く・・・まぁいいや。今うだうだ言っても仕方ないもんな。ある程度は頑張ってみるさ」

 

「よく言った。・・・ちなみに白蓮用の『副長専用装備』は開発がすでに開始されてるから、断っても無駄だと思うけどね」

 

「は? なんだよその不穏な装備は。・・・副長みたいに海に突き落とされたりはしないよな?」

 

「ははっ」

 

「・・・おい、断言しろよ。『そんなの無い』ってさぁ!」

 

乾いた笑いを浮かべるギルに、だんだんと卓を叩いて訴えてみるが、まぁ無駄だろう。

 

「・・・くぁ」

 

「ん? 眠いのか?」

 

酒を飲んだ上に動いたからか、酔いが回ってきたようだ。

寝落ちする前にお暇するかなー。

たまにこいつの部屋で寝かせてもらったりもしてるけど、今日は副長いるみたいだし。

 

「あー、みたいだな。今日はお暇するよ」

 

「ん? こっちで寝ていけばいいじゃないか。副長を抱き枕にするとあったかいぞ」

 

「・・・んー・・・うーん・・・」

 

少し悩む。

 

「まぁ、なんにしてもそんなフラフラした娘を外に出すわけにもな。ほら、おいで」

 

そう言って、ギルは私の手を引く。

・・・こういうところで女扱いされるのは、まぁ、なんというか・・・悪くは無いけど。

今までもこういうことがあって、でも手を出されないのは・・・私に魅力が無いからかなぁ、なんて思ったこともある。

 

「ほら、副長、大丈夫かー?」

 

「んぅ・・・すー・・・ふみゅ・・・」

 

「寝てやがる・・・二本挿したままで眠れるものなのか・・・」

 

何かに驚いているギルの横顔を見ていると、なんだか変な気分になってくる・・・。

――って、いかんいかん! 酒と空気で酔ってるな・・・!?

流石にこんな、勢いだけでなんてのは・・・。

 

「? どうした、白蓮。そんなに見つめて」

 

「おおっ? な、なんでもない。なんでもないんだ、うん」

 

「そうか?」

 

瞬間、ギルに手を引かれ、顔が至近距離に近づく。

 

「ふぇ、え、ええ?」

 

「・・・何か嘘をついてるな。ある程度なら、目を見ると分かるんだ。これも訓練の賜物かな」

 

意地の悪い笑みを浮かべて、ギルはそう呟く。

普通の人間とは違う、赤く、鋭い瞳。

じっと見つめ続けると、なんだか、心が軽くなる、ような。

 

「・・・かも、な。嘘、ついてる、かも」

 

「んん? ・・・あれ? 催眠掛かった? ちょ、起きろ起きろっ」

 

「ふぁい? なんれふか、たいひょー?」

 

「副長は寝てろ!」

 

「あぁ・・・うん・・・」

 

「ぱっ、白蓮は起きてくれ! ・・・ああもう、何なんだこの混沌とした状況は!」

 

お前が作り出したんじゃ・・・という突っ込みは心にしまっておく。

半分力の抜けている私を、ギルはぎゅっと抱き締める。

 

「・・・ギル。あの、私を、抱いてくれないか・・・?」

 

「待て待て! 催眠って言ったらそのパターンは予想できたけど! それはちょっと性急すぎやしないか!?」

 

「はは、何言ってるんだ、ギルは。・・・変な奴」

 

完全に力を抜いて、寝台に倒れこむ。

私を抱えていてくれたギルは、私を庇うように、一緒に倒れこんでくれた。

・・・こういう時、頭を守ってくれたりって言うのを意識すると、なんと言うか・・・下腹部辺りが反応してしまう。

 

「私は、そういう風に見れないか? ・・・お前の部隊の副長にしてくれるって言うなら、私のことも・・・」

 

「あー・・・まぁ、考えるのは明日にしよう。責任は取るからな、白蓮」

 

「うん。・・・えっと、優しく、だぞ」

 

髪を解きながら、自分の体を弄る手を受け入れる。

・・・酔いとは違う心地よさが、体を走っていく。

 

・・・

 

「・・・朝?」

 

眩しさで目を覚まし、ふぁ、と欠伸をしながら体を起こす。

・・・なんだか、今日は枕がいつもと違うような、と思い至って背後・・・枕があるであろう方向に視線を向けると、そこにはお腹を出した副長が。

位置的に、あの出ているお腹の部分を枕にしていたのだろう。良く寝られるな、この状況で。

 

「あれ、髪留めが無い。寝る前ほどいたっけ」

 

肩にかかる髪の感触に、ふと昨日の出来事を振り返る。

えーっと、確かギルと一緒に飲んでて、遊撃隊の副長やらないかって誘われて・・・。

 

「? その後どうしたんだったかなー」

 

少し痛む頭を抱えつつ、記憶を辿る。

無駄に豪華な化粧台があるこの寝室は、間違いなくギルの寝室だろう。

酔い潰れて寝ることはちょくちょくあるので、それは不思議じゃないんだけど・・・。

 

「ま、兎に角水でも飲もうかな」

 

廊下を歩いていれば記憶も辿れるだろう。

そう思って寝台から降りようとして、ひんやりとした空気が肌を撫でていくのを感じる。

・・・あれ? 服、着てない? っていうか下着も!? 全裸!? 何で!?

 

「わ、わわ私の服っ!? ・・・あ、落ちてる。あー、たたんでないから皺に・・・って、そうじゃなくて・・・」

 

下に落ちている服を慌てて拾い、下着を着けようとして、違和感に気付く。

・・・なんで血がついてるんだろう。っていうか、この内股に伝うものは・・・。

 

「――っ!」

 

そこまで気付いて、ようやく寝台の上に再び意識が向いた。

私が寝ていたその隣、見覚えのある金色の髪が・・・。

 

「そ、そうだっ、思い出したっ。わ、私、ギルと・・・あわわわ・・・!」

 

顔が熱くなるのを感じる。そりゃ当然だ。あんなこと初めてだったんだから。

っていうか、全部思い出したぞ! 私、酔いと勢いに任せてなんてことを・・・!

 

「・・・でも、責任、取ってくれるって言ったよな」

 

寝台に戻り、寝ているギルの頬を撫でる。

・・・珍しく、ぐっすり寝ているようだ。いつもなら、私がこれだけ騒げば起きるだろうし。

ま、まぁ、記憶を辿れば、結構ギルは昨日頑張ってくれたみたいだし・・・その、体力を使ったのかもしれない。

 

「・・・風呂、行っておくか」

 

流石にこの状態で一日は過ごせない。それなりに怪しい匂いもするし。

最低限のものだけ身に着けて、寝室から出る。

風呂の道具は途中で自室に寄って取ってくればいいか、とそのまま居間を抜けようとすると、扉の横に一人、侍女服を着た女性が立っていた。

 

「あれ? 侍女隊? ・・・じゃないな。ギルの出した、自動人形か?」

 

確か、宝物庫の中にはそんなのがいたという話を聞いていた私は、すぐに侍女隊と目の前の女性が違うものだと気付いた。

そんな彼女は私の言葉に頷くと、手に持った包みを渡してくれた。

 

「? ・・・これ、風呂道具? おいおい、着替えまで・・・用意してくれたのか?」

 

「・・・」

 

こくり、と頷く自動人形。

おそらく、昨日寝る前にギルが言いつけておいてくれたのだろう。

こういう気遣いが出来るからあいつは・・・全く、後で礼を言っておかないとな。

 

「ええっと、取り合えず風呂に入ってくるよ。ギルが起きたら、そう伝えておいてくれないか?」

 

「・・・」

 

再び、首肯。全く喋らないんだな。そういえば、ギルとすら喋っているところを見たことが無い。

まぁ、どうにかして意思疎通はしているんだろう、と判断して、そのまま部屋を出る。

 

「さむっ。・・・一枚羽織ればよかったかな」

 

朝と昼の丁度中間当たり。なんとも中途半端な時間だが、まだまだ寒さは残っているようだ。

少し身震いしつつも、早足で風呂場へ向かう。そっちのほうが部屋に外套を取りに行くよりは早く暖まれるだろうと思ってだ。

 

「それにしても・・・ふふっ。私も、か。そっかぁ・・・っくしゅっ!」

 

・・・ちなみに、自動人形が用意してくれた包みの中に外套があったのを知るのは、風呂から上がって着替えるときだった。

 

・・・




「さてと、次の人は・・・ええと、エンキドゥさん? ・・・あれ? エンキドゥさーん? ・・・あら、置手紙。なになに? 『急用が出来ました。後にしてください』? ・・・あの人、結構神様嫌いっぽいしなー。私も嫌われてるのかなー? ・・・まぁいいや。じゃあ予定を繰り上げて次の人・・・んーと、エリザベート? エリザベート・バートリーさん?」「呼んだかしらっ!? ・・・あら、何よアナタ。こっちはかなり忙しいの。ステージに立つために爪や尻尾を磨かないといけないし、歌のリハーサルもあるんだから! それとも何? 私のお風呂になりたいの?」「・・・何この危険人物。・・・あれ? 混沌・悪? うわ、最悪じゃないですか。連続殺人鬼? ・・・あれー? 何でこの人ここに来れるの?」「・・・それで? 何の用なのよ。いい加減答えなさい、子リス」「・・・てめ、この、下手に出てりゃ調子に乗って・・・!」「はぁ? 意味わかんない。勝手に呼んで勝手にキレてるのはアナタじゃない。・・・いいわ、調教してあげる・・・!」

「・・・はい? なんですか、一体。は、髪の毛が乱れてる? べっつにー。ちょっとキャットファイトしただけですしおすし。・・・ふぇあっ!? ど、どうも。手櫛なんてされたの初めてかも・・・あ、いえいえ何でもありませんのでそのままどうぞ。・・・ふぇぇ・・・役得役得。あ、そのまま撫でてください。これから愚痴るので」


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