真・恋姫†無双 ご都合主義で萌将伝!   作:AUOジョンソン

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「後宮があるってことはさ、ギルはこれからも側室みたいな感じで増やしていくのか?」「・・・まぁ、機会があれば。俺としても、嬉しいことだからな」「西の方へも行くのか?」「西って・・・ああ、西洋のほう? ・・・まぁ、興味が無いといえば嘘になるよね。アーサー王かぁ・・・」「・・・貴様、男色の気が・・・!?」「え、ギル、マジで男とかも大丈夫だったの!?」「日本人として理解はあるつもりですが・・・」「え? え? ・・・あ、そうか、お前らの中ではアーサー王って男だったな・・・」「むしろ男じゃないギルのほうが異端じゃないか!?」「こいつ、『沖田総司は実は女』とか、『織田信長は実は女』とか言い出しそうだな」「・・・まぁ、三国志の武将が女性になってるんだ。なってても不思議じゃないだろ」

それでは、どうぞ。


第七十話 後宮へお出かけに

「あっ、詠ちゃん。来てくれたんだっ」

 

「久しぶり。・・・随分大きくなったわねぇ」

 

手を取り合って喜ぶ月と詠。

月は当然笑みを浮かべているが、珍しいことに詠も柔らかく笑みを浮かべている。

二人とも、相当嬉しいのだろう。・・・まぁ、都合三ヶ月くらい会ってないはずだしな。親友の二人は、今までそんなに長いこと離れることは無かったのだろう。

 

「でも、侍女長代理のお仕事が忙しいって聞いてたけど・・・ギルさんが何とかしてくれたの?」

 

こちらをちらり、と見てからそう聞く月。

まぁね、と詠は苦笑いをして顛末を話す。

 

「副長さんが・・・えと、大丈夫なんですか?」

 

話を一通り聞いた月が、首をかしげて苦笑いする。

信頼されてねえなぁ、副長。まぁ、取り合えずポカやらかすイメージしかないよな、あいつ。

 

「はは、それ、詠にも言われたよ。だけどまぁ、今日の晩飯が掛かってるから大丈夫だろ」

 

「ふふ。あんまり、副長さんに無理言っちゃダメですよ?」

 

「もちろん。副長に無理なんて言わないって」

 

無茶はさせるけどな、という言葉は飲み込んでおく。

 

「あ、そういえば詠ちゃん、これ、使って?」

 

「? 何これ」

 

「ええと、確か・・・まふら?」

 

「マフラー、な。自動人形から教わったのか?」

 

「はいっ。編み物の本とかを用意してくれて・・・」

 

初めての経験でしたけど、頑張ってみました、と経験談を語る月の後ろで、自動人形が編み針と編み方の本を持ちながらドヤ顔(目は閉じている)をしていた。

何故お前がそんなに誇らしげにドヤってるんだ。

 

「まふらーは詠ちゃんに、えっと、この手袋は・・・ギルさんに、です」

 

「おぉ、俺にも編んでくれたのか」

 

「はい。ギルさんには必要ないかもって思ったんですけど・・・」

 

「いやいや、嬉しいよ。ありがたく使わせてもらうな」

 

受け取った手袋は、初心者が作ったとは思えない出来であった。

店で売っているものだといわれても信じられるであろうクオリティだ。

詠も、月にマフラーを巻いてもらって嬉しそうに微笑んでいる。・・・流石ツン子。月にはデレデレである。

まぁ、最近では俺にもデレてくれるので、そこが可愛いといえば可愛いのだが。

 

「それで・・・詠ちゃん、今日はどれくらいいられるの?」

 

「ん? ・・・副長の頑張り次第かしらね。どうなのよ、ギル」

 

「まぁ、明日の始業時間前に戻れば何とか持つだろ。あいつもあれで姫だし、それなりに統制は取れると思うぞ」

 

「なら・・・まぁ、安心なのかしらね」

 

「でも、あんまり副長さんにご迷惑掛けるのもなんですし、今日の終業前に戻ってあげた方がいいんじゃないでしょうか」

 

優しい月は、副長にあまり負担を掛けるのが嫌なのだろう。

まぁ、確かに遊撃隊の仕事もあるし、少し余裕を持って休ませたほうがいいだろうな。

 

「そうね。・・・まぁ、夕食は一緒に取れそうだし、ボクとしてはそれで満足だけど」

 

「・・・ふふ。「どっちと」一緒に取れるのが嬉しいのかなー?」

 

「? 月、何か言った?」

 

「ううん。何も言ってないよ、詠ちゃん」

 

「そ、そう?」

 

・・・今、なんだか可愛らしいやり取りが会ったような気がするが、月から目配せを貰ったので忘れておこう。

半分くらい黒い月が見えたしな。

こと『詠を弄る』ことに関しては月も結構えげつないからな。親友だからこそ弄るというか、まぁ、詠は身近な人間からこそ弄られるよなぁ。

そういう天命なのだと諦めてもらおう。ツン子というあだ名を付けられた時点でお察しということだ。

 

「まぁいいわ。取り合えず、夕食までは時間あるわね。近況報告でもしたほうがいいかしら?」

 

「んー・・・。そうだね、侍女の皆に何か変わったことが無いかとか、知りたいかな」

 

「いいわよ。ええと、何から話そうかしら。――麗羽が侍女隊に入ったって話したっけ?」

 

「えっ」

 

「うん」

 

「・・・なにそれこわい」

 

あまりのショックに、月の口調がおかしくなってしまったようだ。

助けを求めるようにこちらに視線を向けてきたので、眼を閉じて頭を振った。

それを見て、月はぷるぷると震えながらいやいやをするように首を振る。・・・いや、気持ちは分からんでもないけど、麗羽も真面目にやってるんだぞ?

 

「まぁ、今のところうまくやれてるみたいだけどね。天職なんじゃない?」

 

「・・・ギルさん、つかぬことをお伺いしますが・・・令呪の転移って過去にも可能なんですか?」

 

「? いや、どうだろう。瞬間移動とかなら可能だろうけど、過去に飛ぶって言うのは・・・」

 

無理じゃないかなぁ、と言外に伝える。

そうですか、と呟いた月は、諦めたようにため息を吐いた。

 

「一画で過去に飛んで、もう一画で乖離剣ぶっぱしたら『無かったこと』になるかなぁって思ったんですけど」

 

「・・・ぎ、ギル!? 月が怖いわ!?」

 

「ああ、うん、黒月かなー」

 

一応仲直りしたとはいえ、麗羽は月が洛陽を追われる原因となった人物だ。

月は心の芯から優しい女の子なので、麗羽のことも「許す」とは言っているものの、まだ苦手意識は持っているようだ。

その麗羽が侍女隊に入ったというのだから、月が混乱するのも無理は無い。

年越し祭りのときに麗羽にノウハウを叩き込んだのは月だが、まさかそのときには本当に侍女の道を歩くとは思っていなかったのだろう。

 

「・・・取り乱しました。へぅ、ごめんね、詠ちゃん」

 

「い、いいのよ。・・・怒らせないようにしないと」

 

頬に手を当てて恥ずかしそうに詠に謝る月と、目を逸らしつつ何事かを呟く詠。

・・・後宮の一室を、奇妙な静けさが支配した。

 

・・・

 

「あ、詠ちゃん、そっちのお鍋ちょうだい?」

 

「うん、いいわよ。はい」

 

ようやく落ち着いた月が、詠と一緒に料理を楽しんでいる。

最初は自動人形も手伝おうとしていたのだが、月がやんわりと断っていた。

今は俺の後ろではべりつつ、しょんぼりとした空気を纏っている。

こいつでも、へこむことはあるんだな・・・。

 

「・・・よしよし」

 

「・・・?」

 

屈ませて頭をなでると、屈んだ体制のままで器用に小首を傾げる自動人形。

こいつらにも名前をつけてやりたいけど、全員同じ容姿だからどうにも見分けがつかないんだよなぁ・・・。

これならまだ、三年連続六つ子で年子の十八人姉妹のほうがキャラで見分けつくからまだ楽かもしれない。

 

「・・・」

 

何故撫でられたのかは理解していないだろうが、撫でられたこと自体は嬉しいのだろう。

笑顔を浮かべ、一度頷いてから再び俺の後ろに戻る。背後の気配が明るくなったので、機嫌は直ったのだろう。

まぁ、月も久しぶりに親友の詠と二人で料理をしたかったのだろうし、お前が嫌われているわけではないよ、と思念で伝えておく。

さらに背後からの気配が明るくなったので、おそらく喜んでいるのだと思う。

意外と子供っぽいのだな、なんて思っていると、二人の料理が出来たようだ。きゃっきゃとはしゃぎながら盛り付けをしている。

 

「ギルさんっ、出来ましたっ」

 

「結構自信作よ。月と一緒に作ったしね」

 

上機嫌な二人が食器を卓に並べていく。

ホカホカと温かそうな湯気を立てている料理たちは、匂いを嗅ぐだけですでに美味しいと確信できる。

 

「久しぶりだったから、沢山作っちゃいました」

 

「あんたも食べれるんなら食べるの手伝いなさいよ?」

 

月の言葉に、詠が付け足して自動人形に声を掛ける。

話しかけられるとは思っていなかったのか、驚いたような空気を感じる。

 

「食べられますよね? 自動人形さん、私のお菓子の味見、沢山しましたもんね?」

 

「・・・」

 

こくん、と月の言葉に答える自動人形。

何かしらの絆のようなものが出来たのか、喋らない自動人形とも意思疎通が出来ているらしい。

 

「ですよねっ。じゃあ、皆で食べましょうか」

 

嬉しそうに手を組んだ月がそう言って、四人が席に着く。

月たちももちろんそうだが、自動人形は本当に姿勢がいい。もう、本当に『人形』のように微動だにしない。

 

「それじゃあ、いただきましょう」

 

いただきます、と自動人形以外の三人が唱和し、自動人形が手を合わせて俺達に合わせる。

 

「ここ、凄いわね。多分、城にあるどの厨房より、ここの厨房が一番使いやすいわよ」

 

「だろうな。甲賀にも手伝ってもらって作成したキッチン周りは、多分数千年分くらいの技術になるとは思うよ」

 

なんてったって俺のいた現代のキッチンに似せた後宮の厨房は、押せば着火して、火力の上下が可能なコンロ、スイッチ一つで動き出す換気扇、捻れば出てくる蛇口などなど、見た目はともかく、中身は現代のものと遜色ない。

使いやすさとしては抜群だろう。ちなみに、これについては緘口令をしき、記録を残すことは禁止している。

まぁ、自動人形か侍女隊くらいしかここには入れない男子禁制の大奥みたいになっているし、そのどちらも俺の命令を無視するような人間じゃない。

後は後宮に入った子たちくらいだが・・・まぁ、そちらも言いふらすような軽い口は持っていないだろう。そっちも口止めはしてるしな。今は月だけだけど。

 

「数千年・・・あんたたちが来たって時代よね」

 

「まぁ、そうだな。天の国って呼ばれてるところだな」

 

確か月や詠には俺や一刀、甲賀が来た時代をざっとだが説明していたはず。

まぁ、あまりにも乖離しすぎていて理解は出来ても納得は出来ていないみたいだけど。

・・・俺が一度死んでいる一般人だというのは、いまだナイショだけどな。

 

「不思議な感覚よね。あんたがいた頃は、ボクたちは過去の人間だったわけでしょ?」

 

「・・・まぁ、全員男だったけどな」

 

「そこも不思議よね。あんたたちが見ていた『教科書』って言うのを一度見てみたいものね」

 

料理を口に運びながら、詠がそう一人ごちる。

 

「私たちからしたら、未来の出来事が書かれた本になりますね」

 

少し怖いです、と月の眉尻が下がる。

確かに、未来に何が起こるのか分かるというのは、恐ろしいものだろう。

・・・というか、俺は転生したから教科書とか持ってないし、一刀も着の身着のままこっちに来たから荷物は無し。

甲賀も気付いたらこちらにいたっていう感じだから、誰も教科書は持っていないのだ。

そう考えると、タイムスリップというのは上手く出来ているのかも知れんな。・・・まぁ、俺が体験したのはタイムスリップとパラレルワールド含む感じだろうけど。

 

「ま、そんな事気にしてたらキリが無いわよね。別の世界の出来事だと思って気にしないのが一番よ」

 

どうしようも無いことだし、と言ったような態度で、詠は再び料理を食べ進める。

まぁ、確かになぁ。・・・フィクションの世界だということは、多分一生伝えることは無いだろうな。墓まで・・・いや、座まで持っていくことにしよう。

 

「ごちそうさまでした。・・・お茶入れてくるわ」

 

「ん、おう、頼んだ。すまんな」

 

詠はすたすたと空いた食器をもって厨房へと片付けに向かう。

俺も食べ終わり、少ししてから月も食べ終わったので、二人分の食器を持って俺も厨房へ入る。

月が申し訳なさそうに自分でやると言っていたが、妊婦にそんなことさせるわけにもいかんだろう、と押し切った。

 

「あら、持ってきてくれたの? ・・・ありがと。そこ置いといて」

 

「洗うくらいは俺がやるさ。詠はお茶をいれて月に持っていってやってくれ」

 

「ん。分かったわ」

 

にこり、と笑い、詠は用意していたお茶のセットを持って厨房を出て行く。

・・・うむ、今日の料理のお返しとはいえないだろうが・・・まぁ、ゆっくりとした時間を過ごして欲しいと思う。

 

・・・

 

「た、隊長っ。不肖迦具夜、頑張ってノーミスでお仕事を終えましたよ!」

 

月に別れを告げ、後宮を後にした俺と詠は、副長のもとへ向かった。

侍女長室で他の侍女達に指示を出していた副長は、俺達を見ると半泣きになりながら俺に抱きついてそう言ってきた。

 

「ほんとにノーミスか?」

 

「ほんとですよぅ! 侍女の人に聞いてもらっても問題ないです!」

 

ちらり、と侍女達に視線を送ると、うなずきを返される。

おお、ホントだったのか。

 

「じゃあ、今日の晩飯は凪と同じ辛さだな」

 

「なにゆえっ!?」

 

「副長がノーミスで仕事終わらせるとか、その時点でミスだろ」

 

「じゃ、じゃあ、ミスしてたら何も無しだったんですか?」

 

「は? ミスしたらミスしたでその分罰ゲームだろ」

 

「なんで!? っていうかそれ私に罰ゲームさせたいだけじゃないですか!」

 

「お、よく気付いたな」

 

偉い偉い、と頭を撫でると、ぷく、と頬を膨らませる副長。

 

「からいのやなのにぃ・・・」

 

本気で泣きそうなのか、副長の言葉が若干幼児退行し始める。

 

「おいおい、泣くなよ。流石に冗談だって」

 

「ふぇ? ・・・うそ?」

 

「ウソウソ。流石にノーミスで仕事終わらせたのに罰を受けさせたりしないって」

 

「・・・でも、壱与さんはそういうときでも罰を受けてますよ?」

 

「いや、あれは罰じゃなくてご褒美だから」

 

「・・・鞭で打った痕に塩を塗りこむのが?」

 

「鞭で打った痕に塩を塗りこむのが」

 

「マジでご褒美なんですか?」

 

「マジでご褒美なんだよ。恐ろしいことに」

 

ひえぇ、と副長が戦き、詠がため息をつき、侍女たちがドン引く。

壱与に罰というのはほぼ存在しないからな。詠と二人っきりで密室に閉じ込めて、壱与が身動きできない状況で説教してもらうくらいだ。

ちなみにそのときの詠はとてもイキイキしているので、詠にとってはご褒美かもしれない。ストレス解消的な意味で。

 

「私の知らない世界って奴ですねぇ。月にもそんな人はいませんでしたよ」

 

「地球でも中々いないだろ、あれだけの奴は」

 

あれに勝てるといえば・・・そうだな、例えば地球を使って自慰するような女性くらいじゃないだろうか。

ははは、そんなのいるわけ無いけどな。

 

「ま、なんにせよお疲れさん。特別手当ってことで、給料は少し色を付けておこう」

 

「本当ですかっ!? どもですっ」

 

わーい、と先ほどまでの泣きそうな表情を一変させて喜ぶ副長に、普通の手当てより大目に付けておこうと決める。

まぁ、活躍に対して給料が少ないようなイメージもあるので、ちょっと給料の底上げもしてやろう。俺の無茶振りに応えてもらってるって事もあるしな。

 

「ま、何はともあれお疲れ様。久しぶりに月と話せたし、助かったわ」

 

「あ、いえいえ。こういうのは助け合いですから」

 

気にしないでください、と副長は手を振る。

副長も成長したなぁ。そんなことが言える様になったとは。

 

「ふぁ・・・それじゃあ、私、ちょっと寝てきますね。だいぶ疲れちゃいました」

 

「おう。ありがとな。助かったよ」

 

「えへへ。また何かあったら、声を掛けてください。私、頑張っちゃいますから!」

 

・・・本当に成長したなぁ。こんなに真面目になっちゃって・・・。

後で七乃の所に行くとしよう。不真面目成分が足りない。

 

「ボクも仕事に戻るわ。・・・って言っても、ほとんど後片付けくらいだけど」

 

「だな。じゃあ、政務室に顔出してくるよ」

 

「ええ。頑張ってきなさい」

 

「了解」

 

小さく手を振る詠に手を振り返しながら、政務室へと向かう。

・・・さて、今日の桃香は半泣きだろうか。号泣してるんだろうか。

 

・・・

 

「あ、お兄さんだー。お疲れ様ー」

 

「・・・あれ? 桃香一人? 何で泣いてないの?」

 

「何で泣いてると思ったのかな・・・?」

 

困ったように笑う桃香に、冗談冗談と返しながら机の上を見る。

・・・ああ、今日は少なめなのか。だから愛紗も監視してないし、朱里たちも手伝いに来ていないのだろう。

桃香がニコニコと政務をこなせている理由の一つだろう。

 

「一人で黙々とやってて寂しかったからお兄さんが来て嬉しいよー」

 

「あー、確かに一人で作業してると飽きっぽくなるよなー」

 

話し相手が一人いるだけでも違うものだ。

 

「愛紗ちゃんも訓練でいなくなっちゃったし、そろそろ休憩にしよっかなーって思ってたの」

 

「おっとそうだったか。茶菓子があるぞ。ちょっとお茶を淹れてこよう」

 

「私もやるよっ。お兄さんにばっかりお仕事させられないからねっ」

 

「そうか? じゃあ、湯のみと茶葉用意してくれるか。お湯沸かすから」

 

はーい、と元気に返事をする桃香の隣で、魔術を使い火を熾す。

あれだな。火を熾すとか聞くと、何故か王の仕事だと思ってしまうな。何故だろうか。

 

「よし、沸いたぞー」

 

「え、はや、ちょ、まだ用意してないよっ!?」

 

「ゆっくりやっていいから。意外と桃香って焦ったりするよな」

 

落ち着け落ち着け、と頭を撫でてやる。

まったりとお茶を用意すると、二人で卓に戻って休憩する。

 

「・・・なんか、いつもどおりだねぇ」

 

「ん?」

 

「んーん。ほっとするなぁって」

 

両手で上品に湯飲みを持って微笑む桃香。属性的には幼馴染である。

ほわわんとしたところとか。うむ、とても良い。

取り合えず朝馬乗りになって起こすところから始めていただきたい。

ちなみに俺は猫を飼ったらススムと名付けることにしている。・・・今のところ、野良猫すら風が名付けているので、その機会にはいまだ恵まれていない。

 

「そうだな。お茶が美味しい季節だなぁ」

 

ほう、とため息をつく桃香に釣られて、俺も一つため息。

うむ、この和む感じは桃香ならではの空間だろう。

何も話さなくても気まずくならない子が多いのが蜀だ。取り合えず蜀の政務室に行けば大体和めるしな。

・・・たまに愛紗がぴりぴりしていることもあるが、まぁそれでも和むことに変わりは無い。

 

「・・・えへへ。隣、行っても良い?」

 

「ん? ああ、どうぞ。ちょっと狭いかもな」

 

「それがいーんだよっ」

 

俺の座っている椅子は横に長いとは言え一人用のものだ。

ちょっと詰めれば二人は座れるだろうが、まぁそれでも密着してしまうくらいには狭い。

・・・個人的には密着できることに異議は無いので、どんどん来ていただきたい。むしろ乗ってもいいのよ。

 

「お邪魔します・・・っと」

 

「はは、やっぱりちょっと狭いかな」

 

「・・・むぅ。私が太ってるって言いたいの? お兄さん」

 

「いやいや、椅子が一人用だからな。仕方ないさ」

 

ぷく、と可愛らしくむくれる桃香の頬を押して空気を抜きながら、湯のみに口を付ける。

肩に暖かい重みが掛かったのでそちらに視線を向けると、予想通り桃香が俺の方に頭を乗せていた。

 

「寝るなら寝ていいぞ。そのくらいの余裕はあるだろ」

 

「んー・・・でも、迷惑じゃない?」

 

「全然。なんなら子守唄も歌っても良い」

 

「あはは。そこまではいいよー。じゃあ、ちょっとだけ寝るね。・・・あ、いたずら禁止! だからね?」

 

びし、と指を突きつけて、桃香はゆっくりと目を瞑る。

・・・少しして、すぅすぅと小さな寝息。やっぱり疲れてたか。

一人で色々とやるには、桃香は慣れてないからな。変に疲れたんだろう。

 

「・・・ん?」

 

お茶を飲みながら、しばらく本に没頭していると、歩いてくる気配を感じた。

・・・これは・・・侍女隊の誰かかな? 衣擦れの音が、メイド服のものだな。

ならば特に気にすることも無いか、と再び本に視線を戻すと、少ししてノックの音。

 

「む、空いているぞー」

 

「失礼いたしますわ」

 

そう言って入ってきたのは、メイド服に身を包んだ麗羽だった。

以前のクルクル金髪ドリルは纏め上げられ、ボリュームの多いポニーテールクルクル金髪ドリルになっていた。・・・進化している!?

 

「あら、ギルさんではありませんの。・・・桃香さんは眠ってらっしゃるようですわね」

 

「ああ。・・・何か用か? 代わりに俺が受けるぞ」

 

「用といえば用ですが、お仕事をしに来たのですわ。お茶休憩の時間だとお聞きしたので」

 

そう言って、手に持つ盆を胸の高さまであげる麗羽。

ああ、なるほど。いつも月がやってる奴か。

麗羽も、俺専用の待機組から普通に侍女隊の仕事に加わるまでになったか。

 

「なるほど。・・・桃香は寝ちゃってるけど、丁度おかわりが欲しかったところだ。淹れてくれないか?」

 

「ええ、もちろん。これでも練習しましたので、満足させるものが出せると思いますわ」

 

そう言って、厨房へと消えていく麗羽。

・・・成長したなぁ。

俺専用待機組は入ったばかりの新人も多く、練習のために取り合えずこの組に入れられるのが侍女隊の通過儀礼なんだそうだ。

前も説明したが、俺は大体自分のことは自分でやるし、自分でやらないことも侍女隊にはあまり振らない。

なので、専用待機組は実質『休み、もしくは休憩』扱いされている。・・・熱心な侍女は、それでもやることを探しに俺の部屋に忍び込んだりしているが。

まぁ、そんな事情もあり、時間が多く空く専用待機組では、先輩や班長が新人に仕事や作法を教えたりする時間に中てていたりするのだ。

そして、俺の元に向かわせ、実践させたりする。

そうさせているのは俺と月の指示によってのものだ。俺だったら失敗されてもあんまり怒らないから、ある程度は失敗できる。そう詠に進言された月は、俺に許可を取りに来た。

「ああ、全然問題ないよ」と答えた俺は、「失礼じゃないですか? 大丈夫ですか?」と何度も確認してくる月を苦笑して撫で回しながら、もう一度「問題ないよ」と答えたのだ。

 

「頑張ったんだろうなぁ」

 

・・・ちなみに、専用待機組で学んだ新人は、何故かそれぞれシーツを渡されるらしいのだが。なんでなんだろ。

あれかな、自分でベッドメイキングして、練習を絶やさないように、という心遣いなのかな。

 

「ふぅむ。深いなぁ」

 

一人で感心していると、厨房から麗羽が優雅な足取りで出てきた。

・・・流石、自他共に認める高貴な生まれ。所作に滲んでるな。

 

「お茶がはいりましたわ。どうぞ」

 

「ありがとう。・・・様になってるな。流石麗羽。気位が仕事に現れてるよ」

 

「当たり前ですわ。ギルさんに思い出させていただいた、高貴なる者の役目ですもの」

 

ほほ、と上品に笑う麗羽は、俺の湯飲みに淹れ立てのお茶を注いでいく。

一気に熱を取り戻した湯飲みを持って口に運ぶと、人の温かみを感じられる熱が喉を通っていく。

・・・うん、美味しい。

 

「い、いかがでしょう? 思えばギルさんにお茶を淹れるのは二度目ですわね。以前のものよりは美味しく出来たと思ったのですが・・・」

 

「ああ、確かに侍女になってからすぐに淹れてもらったな。あはは、あそこまで渋いお茶は初めてだったよ」

 

そのときのことは、今でも回想できる。

あのぬるさ、あの渋み。お茶で出来る全ての失敗を網羅したといっても過言ではない味だった。

 

「・・・それは言わない約束ですわ。意地悪なお人ですのね」

 

つい、と視線を逸らして頬を膨らませる麗羽。・・・今までの高飛車なだけの態度と違って、動作一つ一つが愛らしくなっている。

人はここまで変わるものなのだなぁ、と感心しつつもう一口。

 

「・・・うん、美味しい。美味しいよ、麗羽」

 

はっきりとそう伝えると、つんとそっぽを向いていた麗羽も、そうでしょう、と笑顔を浮かべた。

 

「ここに至るまで、練習に練習を重ねたのですから!」

 

どや、と練習の大変さだとか、そのときに芽生えた侍女班長との友情秘話なんかを聞かされる。

・・・半分くらいスルーしたのだが、麗羽が「ですので、侍女隊はしぃつを支給されるのですわ!」という俺の知りたい情報も喋っていたことに後で気付いた。

ちっ。謎のシーツ支給の謎が解けると思ったんだが・・・。

 

「・・・それにしても、桃香さんは起きませんわね。これほどまでに騒いで起きないとは・・・相当お疲れのようですわね」

 

「だなぁ。ま、そろそろ休憩も終わるし、起こさないと」

 

ゆさゆさと桃香の体を揺らす。

 

「んぅ・・・もぉ食べられないよぉ・・・」

 

「なんてベタな台詞を・・・」

 

「んふんっ。・・・変なことを真顔で言わないでくださいます?」

 

俺の言葉を聞いた麗羽が、妙な声を上げて噴き出した。

咳き込んだフリをして誤魔化しているが、その一瞬を俺は見逃さなかったぞ。

 

「・・・ふぁあ・・・あ、おはよ、お兄さん」

 

「おはよう。お茶飲むか? 目が覚めるぞ」

 

「ん~。貰おうかなぁ・・・」

 

ちらり、と麗羽に目線を向ける。

視線の意図を感じ取ってくれたのか、こぽこぽと桃香の湯飲みにお茶が注がれる。

 

「ふぇ? ・・・あっ、麗羽さんだっ」

 

「こんにちわ、桃香さん。ぐっすりとお休みのようでしたわね。・・・よだれ、ついてますわ」

 

「ほ、ほんとっ!? わ、わ、んしょ」

 

ごしごし、と袖で自身の口を拭う桃香。

 

「お兄さん、肩とか大丈夫? よだれ、垂れてない?」

 

「ん? うん、大丈夫みたいだな」

 

肩に触れてみるが、特に湿っているようには感じない。

 

「よかったぁ・・・」

 

「そういえばギルさん?」

 

「ん?」

 

「猪々子さんと斗詩さんは貴方の部隊にお世話になっているとお聞きしましたが・・・ご迷惑をお掛けしてはいませんか?」

 

「んふ。・・・あ、ううん。なんでもないよ」

 

何が面白かったのか、真顔で少しだけふきだすように笑う桃香。

・・・確かに常識的なことを言う麗羽って違和感バリバリだけどさ。

湯飲みで口元を隠していたからか、麗羽本人には気付かれてはいないようだ。

 

「全然問題ないな。むしろ色々と助かってるくらいだから」

 

「それは良かった。猪々子さんも斗詩さんも少し抜けているところがありますから」

 

「んふ・・・。ああ、いや、何でも無いとも」

 

いかんいかん。俺も笑ってしまった。

なんていうか、笑っちゃいけないと思うと笑っちゃうよね。

そういえば笑ってはいけないをやる予定だったな。もう新年だけど。・・・思い出すのが遅かったか。

 

「さて、そろそろ時間も時間ですし、わたくしはこれで失礼いたしますわ」

 

空になった湯のみを回収して、麗羽が退室していく。

 

「ほえー・・・麗羽さん、大人になったねー」

 

「お前、ホント失礼だよな、たまに」

 

退室していった麗羽を見送った桃香が、ふっとそう呟いた。

自分を差し置いた評価をちょいちょいするからな、この娘。

 

「さ、お仕事お仕事! もうちょっとで終わるし、終わったら晩ご飯! ね?」

 

「仕方ないな。副長のために用意した特別な晩御飯が余ってるから、桃香に食べさせてあげよう」

 

「何それ何それ! 特別って良い言葉・・・ちょっとまってお兄さん。前にも『特別なお風呂』って言われたけど熱湯風呂だったよね?」

 

「・・・ちっ」

 

「舌打ちしたー! 危ない! 危ないよおにいさん! 私は壱与ちゃんや副長さんと違ってオチ担当じゃないんだからね!」

 

「・・・え?」

 

「首を傾げちゃダメ! もー、私はいじめられて喜ぶような性癖は持ってないんだからね!」

 

めっ、とこちらに指を突きつける桃香。

ぷんすかと怒る桃香は全く怖くないが、これ以上からかうと機嫌を直すのに時間が掛かる。

それはそれで可愛いし楽しいのだが、そればかりというのも芸がないだろう。

 

「はは、冗談冗談。普通に用意するって」

 

「お兄さんが作ってくれるの?」

 

「おう」

 

「・・・今日は、私が頑張るよ! 愛紗ちゃんも最近実力をつけてきてるし・・・置いていかれるわけにはいかないもん!」

 

ぐ、と握りこぶしを作る桃香。・・・しばらく食べてないから、覚悟しておかないとなぁ。

 

「ん、なら頑張ってもらおうかな。食材は俺の宝物庫から出すから、調理はしやすいと思うぞ」

 

「ありがとー! えへへ、頑張るよぉー!」

 

握った拳を高々とあげる桃香。・・・さて、桃香の料理は久しぶりだなぁ。

 

「・・・よし、終わりっ」

 

「お、早いな。うん、問題は無いな」

 

桃香が終わらせた書類を確認し、判を押す。

・・・この判があれば、後で朱里たちが確認するときにもう一度中身を確認しなくて良いので、彼女達の手間が省ける。

まぁ、若干桃香への信用が不確かなのは、今までの行いを思えば仕方の無いことだろう。

最近は中々ましになってきたけどなぁ。愛紗辺りが信用してくれないからなぁ。

 

「じゃ、厨房行くか」

 

「はーいっ。もう、腕を振るいに振るうよー!」

 

「ああ、期待してるよ」

 

テクテクと日が沈んだ城内を二人で歩く。

 

「ご飯食べたら、お風呂はいろーね。お背中ながすよー! ガンガン流すよー!」

 

「ガンガン流すもんじゃないだろ。俺の背中削り取る気かよ・・・」

 

「えー? なんか変なこと言った?」

 

きょとん、という効果音がつきそうな様子で首を傾げる桃香。

天然発言かよ・・・末恐ろしい娘である。

 

「ま、まぁ、そこまで言うなら頼もうかな」

 

「うんっ。任されるよー」

 

笑顔を浮かべる桃香は、そう言って俺の腕に抱きついてくる。

・・・入浴が食欲より優先されそうになるので、足の動きを意識してすたすた歩く。

 

「じゃあ、お兄さんは座っててね! お料理してくる!」

 

「ん、分かった。食材は出してあるから、好きに使って欲しい」

 

「はーいっ。腕によりを掛けるからねー!」

 

そう言って、厨房へと消えていく桃香を見送り、食堂の椅子に腰掛ける。

さて、何が出てくるかなぁ。

 

・・・

 

「はい、お待たせっ」

 

「お、出来たか」

 

目の前に置かれた皿には、綺麗に盛り付けられたチャーハン。・・・に、見える。

ふむ、桃香がまともなものを出してくるとは思えないが、上達したのだろうか。練習する時間があったとは思えないのだが。

そんな失礼なことを思いながらレンゲを手に取る。

 

「自信作だよっ。ちゃんと味見して、食べれるものだって確認してるからねっ」

 

ふんす、と自身ありげに鼻を鳴らす桃香に急かされ、チャーハンカッコカリを一口。

・・・ふむ。

 

「うん、中々」

 

「美味しいっ!?」

 

「ん、まぁ、卵の殻とかちょっとべた付くご飯を無視するなら、美味しいんじゃないかな」

 

「・・・と、取れてなかった?」

 

「取ってこれか」

 

「・・・卵、丸々一つ落としちゃって。そのときに殻が散らばっちゃったんだけど・・・」

 

「なるほど」

 

そのときの残りを食べてしまったらしい。

 

「ご飯もべっちゃり?」

 

「うん。・・・でも、俺が細かいだけかもな。ほら、あーん」

 

「あ、えと、あーん・・・はむっ」

 

もむもむ、と咀嚼して、飲み込む桃香。

 

「あー・・・どうだろ。私はこういうのもありかなって」

 

「ああ、やっぱり。俺がこだわり過ぎてるだけだな」

 

「お兄さんは舌が肥えてるもんねー」

 

「嬉しいことにな。流流とか華琳とかの料理を食べてれば、そりゃ舌も肥えるよ」

 

これは相当な上達具合だろう。少なくとも、愛紗は超えていることになる。

 

「えっへん。何を隠そう、流流ちゃんと華琳さんに協力してもらったんだー! 国主の伝手って凄いよね!」

 

「ああ、まぁ、そうだろうなぁ」

 

国内でも、華琳と流流に料理を師事できるのは桃香か蓮華くらいのものだろう。

 

「愛紗も誘ってやればよかったのに」

 

「え? ・・・なんでわざわざ敵を増やさなきゃならないの?」

 

俺の言葉に反応して、急に目からハイライトが消えた桃香は静かにそう呟いた。

 

「えっ」

 

「・・・なーんて、嘘だよー。ふふ。信じたー? 愛紗ちゃんももちろん誘ったんだけどね。時間が合わなくて」

 

あまりの変わり身に驚いていると、にぱっと笑った桃香が笑顔でそう言った。

・・・びっくりした。けど、本当に嘘か? なんというか、滲み出る感情が冗談に感じなかったんだが。

 

「取り合えず、殻は取りながら食べてね。ごめんね」

 

「いや、構わんよ。うん、中々」

 

はぐ、ともう一口。

うん、慣れると食べられるな。

 

「私も、いただきまーす」

 

しばらく、俺と桃香の会話と、食器の音だけが食堂に響いた。

 

・・・

 

「お背中流しまーす」

 

「ん、お願いしようかな」

 

食事も終わり、食器も洗い終わった後で、桃香と二人、浴場へときていた。

俺の背後にしゃがみこんだ桃香が、可愛らしい掛け声と共に俺の背中を洗ってくれている。

 

「えへへ。なんか楽しいな。ごしごし」

 

「上機嫌だな。まぁ、そっちのほうが精神衛生的にも良いけど」

 

「んふー。あ、そうそう、こういうのも試してみようかなっ。むぎゅー」

 

むにゅん、と背中に柔らかい感触が。

・・・ふむ、これはあれか。胸をタオル代わりにするというあの全男子憧れのシチュエーションか。

これはそうだな、しばらく楽しむとしよう。

 

「んっ、よいしょ、んしょ、ど、どうかなっ? き、気持ち良い?」

 

「とっても。しばらくやってもらおうかな」

 

「う、うんっ。あ、これは外して・・・直で行くねっ」

 

ふに、という感触が少し変化する。なにやら少しだけ硬いものがこりこりと。

 

「よしっ」

 

「え? え? 何の掛け声?」

 

疑問に首を傾げつつ、体を動かすのをやめない桃香。

その健気なところはお兄さん評価するよ。

 

「・・・ん、ふぅっ。・・・ね、お兄さん。その・・・えへへ、お兄さんが欲しくなっちゃったなぁ、なんて・・・」

 

微弱な刺激を感じすぎて我慢が聞かなくなったのか、桃香が背後から腕を回してくる。

潰れるほどに押し付けられた桃香の凶悪な二つの武器の感触に、俺もそろそろと思っていた頃だ。

渡りに船とばかりに、後ろの桃香を抱き寄せる。

 

「ひゃっ。・・・あ、えと、今日こそ、お兄さんとの子供、宿せるといいねっ」

 

俺にゆっくりと押し倒されながら、そう桃香は微笑んだ。

 

・・・




「ええと、久しぶりの面接だなー。なになに? ジャック・ザ・リッパーさんと、フランケンシュタインさん?」「・・・」「・・・」「え、アサシンとバーサーカー? っていうか無口すぎません? 話しても良いんですよ?」「・・・あなたは、お母さん?」「ヤァァ・・・」「支離滅裂!? 私に出産経験は無いですよっ。・・・あの人手出してくれないし・・・って、なんですそのナイフ・・・宝具っ!? っていうか内臓引きずり出すとかなんて壊れせいの・・・うおおっ、フランケンシュタインさんっ、頭掴むのはやめてっ!」「お母さんじゃないなら、いらないよ・・・?」「ウィィィ・・・」「もーやだっ! 決定! 貴方達もあの人に召喚されなさいっ! 多分矯正してくれるはず! ・・・これが丸投げかー。・・・えへへ、なんか快感かもっ」「あの人・・・? その人は、お母さん・・・?」「ヤァァ・・・」


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