次回から無印に入れる……長かったここまで。
無印に入ると東方キャラとかかわりがほとんどなくなりますけど、そこはすみません。どうしてもね……
約一週間後の朝、次第に三代目博麗の巫女の力が封印によって弱くなっていることから、ついに八雲紫と高町なのはの能力で外界へと行けるほどにはなった。
紫が前日に、本当に外界行けるかどうかを確認して、本日なのはが外界へと帰ることとなった。
「そっか……なのはは外の世界に帰っちゃうのか」
博麗神社にて、なのはを送ろうとして白玉楼と紫の家に暮らしている八雲藍と橙以外のなのはの知り合いが集まっていた。白玉楼と紫の式神が居ないのは紫の考えで、ややこしくなりそうだからという事からだった。
そのため、魂魄妖夢や師匠である魂魄妖忌。白玉楼の主である西行寺幽々子にはすでに前日にお別れを伝えてあった。妖忌には外界に行っても剣術を怠らないようにと言われ、どうすればいいのかと思うが、紫から方法があると言われたため、それを期待することにした。
博麗神社で仲良くなった次代の博麗の巫女である博麗霊夢と、現在の博麗の巫女である博麗御零。そして――
「まぁ、いつかは戻ってくるんだろ?」
「うん。たまにこっちには戻ってくるつもりだよ」
「そっか。けど、戻ってこれるならまた遊べるんだな」
幻想郷に来て、霊夢の知り合いがきっかけで知り合った魔女のような服を着ている霧雨魔理沙も、なのはを送るために来てくれた。簡単に言えば、博麗神社に暮らしている二人と霊夢となのはの友達が来てくれただけである。
なのはと魔理沙が知り合ったきっかけは、異変の最中に博麗神社で居候としていた時、魔理沙が霊夢のところへ遊びに来たことが最初だった。魔理沙は最初、なのはが居ることが気になり、どうして博麗神社に居るのかということを聞き、異変のせいで居候していると分かり、そのまま霊夢と含め、なのはは魔理沙と遊ぶことになった。それから魔理沙が良く博麗神社に遊びに来て、三人で遊んだり息抜きしたりするのに使っていた。
「……そういえばさ。魔理沙って今どこまで進んだの?」
「どこまでって何のこと?」
「魔法のことだよ。最近魔法についてそんなに聞いていないから」
魔理沙はなのはと同い年ぐらいの年齢でいながら、魔法について独学で習っている。独学というのもすごいことだが、どうしてそこまで魔理沙が魔法に拘るのかは霊夢もなのはも知らないでいた。
詳しく聞こうとするつもりもないし、そもそもなのはたちの年代でなんでか聞くなんて言うことすらしないだろう。たとえ聞いたとしても、それこそ子供の無邪気な興味というくらいで、詳しくは聞いてこないだろう。
「魔法についてはまぁまぁだぜ。かなり大変だけどな」
「魔法もそう簡単に覚えるわけじゃないか」
「そりゃそうだぜ。そういうなのははどうなんだ?」
「もう毎日が大変なの。剣術はすでに死が身近に感じられて、その緊張感とか。霊夢ちゃんは?」
「こっちもよ……後継者だからって毎日が博麗の巫女として、異変解決するためのこととかかなり大変よ」
「二人とも大変なんだな……」
それぞれ大変だと思ったなのは達三人はため息を吐いて、そしてそれぞれ大変なんだなと三人とも思うのだった。
そこに、御零が三人に近付き、なのはを呼びに来た。
「なのは、そろそろ行くらしい。二人に別れを良いな」
「分かった。それじゃあ、またね。霊夢ちゃんに魔理沙ちゃん」
「おう。またな、なのは」
「たまには会いに来なさいよ!!」
なのはは博麗神社の外廊下に置いてあったなのはの刀を持って、御零と共に紫のところへと向かった。
霊夢と魔理沙がここまでなのは、紫の姿を見せないためだった。そのため、霊夢と魔理沙には現在いる神社の中で話しており、神社の外を御零が言うまで見ないように伝えてあった。
そしてなのはと御零は紫が待っているだろうと思われる神社の鳥居まで着くと、紫の姿はなかったが、すぐに紫が能力を使って現れた。
「来たわね。それじゃあ行きましょうか」
「その前に一つ確認していいか?」
「なにかしら?」
なのはを連れて外界に行こうとしたときに、突然と御零に話しかけられたために、紫は聞き返していた。
「紫は、今の御神家……なのはの家族に会いに行くのだろう?」
「えぇ、その通りよ」
「単純な疑問なんだが、御神家は幻想郷の存在を覚えているのだろうか? 博麗大結界の頃が最後なんだろうから、八雲紫や幻想郷の事を覚えていないという可能性も……」
「その時はその時よ。さすがに幻想郷に関わった本までは残っていると思うから、それを読んでもらうしかないわ」
「そうか。ならいいんだが……」
御零はそれで納得してくれるのかと少し疑問ではあったが、実際紫の存在を見れば大丈夫だろうと不安ながらも思った。
不安そうにしている御零に紫はどうしてなのかと思ったけども、とりあえずそろそろなのはを連れて外界へと思い、紫の空間の入り口を広げてなのはを中に入れた。
「それじゃあ、今度こそ行ってくるわね。行くわよなのは」
「はい。御零さん、いろいろとありがとうございました」
「あぁ、なのはも大事にな」
そして、紫はなのはを連れて空間ごと消え、御零は霊夢たちに神社の外へと出て良いようにと伝えに神社の仲へと戻るのだった――
--------------------------------------------
「……ここね」
「はい」
「まぁ、さすが御神家という感じね。武家屋敷みたいな広さを持ってるわね……」
「とにかく、中に入りますよ」
「……もう少し感心しててもいいじゃない」
紫はなのはの家が今も尚広く、庭もあるような感じが外からでも分かったため、少し感心していた。
なのははとにかく家族に会いたいという気持ちがあったため、紫の感心を無視して家の門扉を開けて中へと入っていき、紫も渋々ながらもその後に続いて入って行った。
時刻は幻想郷に居た時間が朝だから、こちらでも時刻は朝であり、今日は日曜日だから誰かいるだろうと紫は思った。
そして、紫はインターホンを押し、誰かが出てくることを待った。
「はーい。今行きます」
「……この声はお姉ちゃんかな?」
なのはのインターホンは最新のではなくて、誰かが来たのかを音を鳴らすだけの仕組みのものだ。そのため、誰が来たのかというのは玄関を開けるまではなのはが帰ってきたことは分からなかった。
なのはは声からして自分の姉――高町美由希が玄関に向かっているだろうとなのはは思い、美由希が玄関を開けるのを待った。
「はい、どちらさま……?」
そして、美由希が玄関の扉を開き、最初は高さ的に紫の姿が見えるが、すぐに下を向いてなのはの姿を見ることとなる。なのはの姿を見た時にあまりにも驚き、思わず声を出してなのはを抱きしめていた。
「……な、なのはっ!!!!」
美由希の突然の抱きしめに対してなのはは驚くが、四ヶ月近くも行方不明だったのだからかなり心配していたのだろうとすぐに理解した。
完全に紫がいることを関係なくなのはを抱きしめているため、紫はその様子を見て苦笑いをしていた。
「美由希? 一体誰が来たん……なのは?」
何を言っていたのか分からなかったが、突然美由希の声が家の中まで聞こえてきたため、なのはの兄である高町恭也は玄関の方へと近づいた。玄関に近付いてみると、お客様が来ているというのにそっちのけで美由希が誰かに抱きしめている姿が見え、誰を抱きしめているのかと確認し、なのはの姿が見えたことに思わず驚いていた。
その後もなのはの父親である高町士郎や母親である高町桃子がやってきて、それぞれなのはが帰ってきたことに驚いていた。桃子は美由希と同様になのはに抱きしめ、なのはは美由希と桃子の二人に挟まれるような形になっていた。そして士郎はなのはと一緒に来た紫の方へと顔を向け、紫にまず感謝した。
「なのはを見つけていただき、ありがとうございます」
「別に感謝されることじゃないわよ。今まで、ここへ帰らせることができませんでしたから」
「……? それはどういう?」
士郎は紫の言っている意味が理解できず、言いぐさからして今までずっとなのはと一緒に居たことくらいは把握することができた。
紫もあえて勿体ぶるような言い方をしたため、とりあえず先に自分の名前だけでも名乗っておこうと思った。
「先に名前だけでも教えておきましょうか。私の名前は八雲紫。もしかしたら、聞き覚えがあったかもしれませんが」
「聞き覚え……っ!? その名前という事はまさかなのはは今までっ!!!?」
「詳しくは家の中で話させていいでしょうか? 玄関の前で立ち話でも私は構わないのですけど……」
「あ、あぁ。確かにそうだな。とにかく中へとどうぞ。桃子たちも、あとは中でやってくれないか?」
士郎は紫を家の中へと入れ、その後に恭也が続き、それからなのはを抱きしめていた美由希と桃子、開放されたなのはが家へと入って行った。
そして、リビングにて紫は幻想郷について高町家全員に伝えた。士郎の言い草からして、幻想郷の存在はまた伝えられているという事は分かり、紫もそのおかげで幻想郷について話すことは説明しやすかった。
「まさか、世界から隔離された閉鎖空間が存在するなんて」
「それに関わったのがあなたたちの先祖よ。とにかく、こちらの異変でなのはが巻き込まれてしまい、昨日までこちらに戻ることができなかったのよ」
「幻想郷に、なのはが巻き込まれていたとは……」
「なのはが刀を持っているのはそれが理由よ。向こうで剣術を習っていたから」
「剣術って……まさか半人半霊の魂魄家か?」
「あら、知り合いでしたっけ? 確かにそうですけど……」
「そうだったらしい。先祖の事はさすがに分からんが……」
御神家と魂魄家は博麗大結界を起こす以前から知り合いだった、半人半霊でありながら剣術に長けており、博麗大結界が出きてからは一度も会っていなかったが御神家の書物にはしっかりと残されていた。
ほかにも、八雲紫、博麗の巫女、博麗大結界、幻想郷、そして魂魄家などについては書物に残されていた。書物に残されていた理由として、もし何かが起こった時の為に、たとえ外界に残っていようと残しておくようにしていたからだった。
話すことも終えたことだと思い、紫は席を立ちあがり、幻想郷へと帰ることにした。
「さて、私はそろそろ帰りますわ。長居するわけにもいかないだろうし、いろいろと向こうでやらなくてはいけないことがあるから」
「分かった。とにかく、なのはが無事に帰ってきたことは感謝するよ」
「本来ならば幻想郷に来た時に帰したかったのですけどね。それではまた」
能力についても紫は説明してあるため、紫は玄関にある自分の靴を能力で自分の手に持たせ、そのまま幻想郷へと帰って行くのだった――
そしてその二年後、なのははある一件に関わることとなり、そこからなのはの物語が始まることを、なのははまだ知らなかった――