妖忌がいつ居なくなったのかというのは明記されていなかったため、まだこの時には妖忌が居ることにしました。
というか、前回妖夢と幽々子だすとか言ってましたが、結局名前だけになりましたよはいw
次回も……でるかな…… 先に御零と紫の会話が先になりそうですし。
それではどうぞ!!
四ヶ月後、紫は冬眠から目を覚まし、すぐに空の天気を見上げた。
冬眠前は異変によって季節外れの天気が何度も続き、大幅に気温の変化に人間はもちろん、妖怪も狂わせられていた。
しかし今は四月――天気は晴れで春の暖かさがあるような天気になっており、桜も咲いていた。それをみた紫は御零が異変を解決してくれたのだろうと思い、安堵していた。けど正確な情報がわからないため、あとで博麗神社へと向かおうかと考えた。
そこまで思って、紫はふとなのはの事を思い出す。異変が解決したこともあるし、なのはの能力で自分の世界へと帰ったのではないかということに気付いた。能力については御零が多分見てくれていただろうと思うし、帰っていたとしても大丈夫だろうと紫は思った。
「あ、紫さん。目が覚めたのですね」
と、そんなことを考えていたら、襖が開き誰かが入ってきた。そこにいたのは先ほど紫が考えていたなのはであり、どうやらなのははまだ幻想郷に居ることがなのはが居ることでわかるが、どうしてまだなのはが幻想郷に居るのかということは疑問に思った。
考えられるとしてすぐに二つが思い浮かんだ。そのうちの一つは御零に言われて紫が目を覚ますまで帰させないようにしたのかもしれないという事。これはなのはの能力が紫と似た能力であるがために、かなり慎重になってなるべく使わせないようにしたのかもしれない。
そしてもう一つは、実は異変がまだ解決していないという事。しかしこれは、桜が咲いている点から天候の異変については解決しているような気がしたため、それを考えると、まだなのはが居た外界に移動することができないという事だろう。
しかし、なのはがどうして幻想郷にまだいるのかという事はなのは自身に聞けばいいため、紫はなのはにそのことについて本人に聞くことにした――
「……なのは、どうしてまだ幻想郷に居るのかしら? 空を見た限り異変は解決したように思えるのだけど」
「えっと……大雨が降ったり真夏になったりするようなことは無くなったのですけど、元の世界へはまだ帰れなくて」
「まだ帰れない?」
「うん。御零さんが言うにはまだ異変は終わっていないらしく……」
なのはに聞いて、異変の状況についてはなんとなく理解できた。完全に異変が解決したわけではなく、一応現在も異変は続いているというような感じではあるようだ。試しに紫も外界へ行けるかどうか能力で試してみるが、未だに行けなかった。
とにかく、異変が現在どのようになっているのかについては御零から聞くしかないため、あとで博麗神社へと行かなければならないということは変わりがなかった。
それから紫は現在の時刻を確認し、丁度昼食頃であったためにとりあえず布団から立ち上がり、なのはに話しかける。
「それじゃあ、昼食を食べたら博麗神社へと行きましょうか。なのはも一緒にくる?」
「え!? えっとその……今日はちょっと……」
なのはは歯切れの悪いように答え、それを聞いていた一体どうしたのだろうかと紫は思った。というかそれ以前に、冬眠前よりもなのはの口調などがほんの少しだけ大人しいような喋り方になっていたため、最初は幻想郷に慣れてきたからそうなったのかと思ったけども、それだけでは理由にはならなかった。
となれば、半年の間になのはの中で何かがあった。そう考えるのが一番納得ができ、なのはがそのようになった理由について探ってみることにした。
「ん? もしかして、今日はなにかあったのかしら」
「……うん。紫さんは知らないと思いますが、この四ヶ月間の間に博麗神社で能力特訓以外にも
「白玉楼ですって!?」
まさかなのはから白玉楼という言葉を聞くとは思わず、つい紫は驚いてしまった。
白玉楼――冥界にある広大な日本屋敷であり、紫がそこの主人に会いに行くためによく行くところでもあった。
その主人――
「え、えっと……なにか悪いところでもありました?」
「違うわよ。なのはから白玉楼なんていう言葉を聞くと思ってなくて……そういえば、どうやって冥界へ?」
「最初な御零さんの異変解決の時に、紫さんが冬眠に入ってしまったから私の能力で行くことになったのです」
「なるほどね……その時に白玉楼に寄ることになったのね」
剣術を習ってみないかと誘ったのは多分御零だろう。なのはは御神家の子孫であろうし、剣術を鍛えればかなり強い人間になれるかもしれないと御零は思い、もし自分の身に何かがあったとしても自分で守れるようにはさせておく必要があったのだろうと紫は思った。幻想郷に居る限り、妖怪に襲われる可能性は考えられるし、紫自身が冬眠に入って自分で自分の身を守らなければならないという事もある。そう考えると、御零がなのはに剣術を勧めたことは大いに賛成だった。
となれば、なのはとは別行動がいいのだろう――そう思った紫は一度頷き、なのはと共に博麗神社へと向かうことは諦めることにした。
「分かった。私一人で博麗神社へ行くことにするわね。なのはは一人で冥界へは行けるの?」
「うん。最近は一人で行くようになりましたから――」
一人で冥界まで行けるという事は最低限度能力の使い方についてはなのはも理解したのだろう。そう思った紫はなのは一人で冥界へと行かせることを承諾することにした。
また、なのはを一人にして行動させているということは、紫が冬眠する以前よりも、三代目博麗の巫女の異変を起こしている力が弱まっているのだろうとも考え、ほとんど異変が終わったに近いのかもしれないとも紫は思うのだった――
「さて、それじゃあ藍に頼んで昼食にでもしましょうか」
「はいっ!!」
それから紫は藍を呼び、昼食を作るようにと言って、なのはは皿や箸などの準備をするのだった――
そして、料理を作り終えると、テーブルに料理を並べ、紫、なのは、藍、橙の家族全員で昼食を食べ始めた――