魔法少女リリカルなのは東方参異伝   作:アリヤ

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……前回伏線、まさかここで回収すると思わんかったよw

というかこの伏線のせいで、完全に予告編とセリフが変わってますね。

入れたかったのですけど、使い道がなくなってしまいましたし。


第四話

「紫さん、一つ聞いていいかな?」

「何かしら?」

 

 なのはが霊夢と初めて会ったその日の夜、紫の家に帰り夕食を食べた後になのはは紫に聞きたいことを聞くために話しかけた。

 すでに寝る準備をしており、なのはの姿は寝間着姿でツインテールにしていた髪も解いていた。

 

「霊夢ちゃんも、空を飛べる程度の能力を持っていたということは、霊夢ちゃんや紫さんみたいに私にもなにか能力を覚えるのかな?」

「……分からないわ。芽生えるかもしれないし、芽生えないかもしれない」

「そっか。もし、私が能力を覚えるとしたら、一体なんなのかな?」

 

 霊夢や紫のように自分も能力が芽生えると思うと、なのはは楽しみでいられなかった。

 そんななのはを見て紫は微笑んでいたが、なぜかなのはが能力を覚えることに不安になった。どうしてこんな不安になったのかというのは紫自身分かっておらず、何事も起こらないことを内心祈っていた。

 だがその数週間後、紫が思っていたことは見事に崩れ去れ、なのははとんでもない能力を覚えるということを、この時は知らなかった――

 

 

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 なのはが幻想郷に来てから数週間後、異変は相も変わらず解決できておらず、雪になったり真夏になったりなどと季節外れの天気が尚も続いていた。

 そんなある日の事だった。なのはは初めて霊夢と会ってから良く博麗神社へと一人で行くことが多くなり、その度に紫はなのはを能力を使って博麗神社まで行かせていたのだけども、帰りは基本的歩きで帰っていた。最初のころは妖怪に襲われないように藍が迎えに行っていたが、藍が何度も迎えに行っていることから、八雲紫の家に居候しているものと妖怪たちに知らされ、襲うことなんてしたら大変な目に合うと思ったのか、なのはが一人でも襲うことは誰もしなくなった。

 そのため、途中からなのは一人で帰ってくるようにと自然となっており、今日もなのは一人で帰ってくるはずだったのだが、その帰り方がいつもと違っていた。突然紫の家の前に変な空間が現れ、その空間からなのはと博麗の巫女である博麗御零が姿を現したのだ。

 なのはと御零をを丁度見ていた藍はまるで紫のように現れたことについ驚き、洗濯して干そうと持っていた服をつい手から放していた。そしてすぐに状況を把握し、紫を呼ぶように家へと駆けあがった。

 

「大変です紫様!! 今すぐ来てください!!」

「いきなり慌ててどうしたのよ……」

「そ、そそそれが、な、なななのはさんが!!」

「とりあえず貴方が落ち着きなさい。それで、なのはがどうしたの?」

「いや、それは私が説明する」

 

 と、紫が藍に落ち着かせて話を聞こうとしたが、その前に御零の言葉が聞こえてきて紫は御零の方へと向いた。御零の近くにはなのはもいて、何が何だかわかっていないような感じだった。

 御零が紫の家に来るということなんて珍しいことであり、わざわざ来たということはかなり重要な話なんだろうと思った。しかも先ほどの藍の慌てながらも発した言葉からして、なのはに関することなんだろうと推測して御零から何があったのかという説明を待った。

 

「簡潔に言えば、なのはが能力に目覚めた」

「まぁ、そんなところだろうと思ったわ。それで、なんの能力が目覚めたというの?」

「正確には分からないが、とりあえずわかる事だけを述べると……紫、お前に居た能力だということだ」

「…………」

 

 それはあまりにも予想外だった。なのはに能力が目覚めたとしても、ごく一般的な能力なのだろうと思っていた紫としては、まさか自分と似たような能力をもつとは思ってもいなかった。

 自分と似た能力であったために、御零はわざわざこちらに来たのだろう。藍があんなにも慌てた理由がようやく理解でき、紫は一度ため息を吐いた。

 

「……そろそろ冬眠するというのに、なんでこうも立て続けに面倒なことが来るのかしらね」

「まぁ、そう言うなよ。とにかく、私がこっちに来た理由は紫と二人で話がしたかったからだ」

「そんなことだろうと思ったわ。藍、そろそろ落ち着いたと思うからなのはを連れて部屋から出なさい」

「は、はい。分かりました。それではなのはさん、ちょっと部屋から出ましょうか」

 

 ようやく冷静となった藍は、なのはを連れて部屋から出て行った。この部屋には紫と御零の二人だけとなり、誰もいないことを念のため確認すると御零は紫に向けて話し始めた。

 

「三代目博麗の巫女がどこに居るのかわからないが、この異変を起こした理由についてはようやく分かった」

「……どうしてわかったのかしら」

「まず私が思ったのは、なのはが幻想郷に来てしまったということだ。あれ以降、他に現代から幻想郷に来たものはいない。まず私はそこで疑問に思えた」

「どうしてなのはだけが、幻想郷に来てしまったのかと」

「そう――これは前々から思っていたことだったが、確証を持てるようになったのはなのはのあの能力だ。なのはに能力が目覚めたおかげで、今までなのはを見て懐かしく思えたのも何となく分かったよ」

「……まさかあの子、もしかして――」

 

 紫も、御零が何を言いたいのかようやく理解できた。もうかなりの昔の事であり、紫の記憶からもすっかり忘れていたこと。もうすでに関わりが全く持って皆無になってしまったことに等しく、御零に言われるまで思い出せなかった。

 この幻想郷を作るときに、博麗の巫女以外にも幻想郷の手伝いをしていた一族(・・)が居た。結局その一族は現代に残ると決め、最初のころはよく会いに行っていたのだけども、いつの間にか会うことをやめていた。そのため現在ではもはや関係があまりなく、もはや会いに行ってすらいなかった。

 そして、その一族が共通して持っていた能力が紫と似たような能力だったという点だ。そしてなのはも紫と似た能力であり、それが意味を指しているのはどういうことか理解できた。

 

「多分だが、なのはは御神家の子孫だろう。名字が違うが、能力からして多分そうなんだろう」

「……そう。それで、その御神家とこの異変がどう関わってるというの?」

「それはもう、紫でもわかってるんじゃないの? なのはの能力を奪うことが三代目博麗の巫女の目的だって」

 

 やはりそういうことなのかと紫は思った。彼女が殺すきっかけとなった理由――三代目博麗の巫女は紫を殺して紫の能力を得ようとしていた。三代目博麗の巫女はすべての世界を自分の物にしようとし、そのためには紫の能力が必要だった。

 三代目博麗の巫女は『天候を操る程度の能力』以外にも一つ持っており、『殺したものの能力を奪う程度の能力』だった。そのため、三代目博麗の巫女は自分が殺した妖怪や人間の能力を奪い、脅威とされていた。

 博麗の巫女を務めていたこともあり、御神家の能力について知っていたのだろう。そしてなのはだけを幻想郷になんとか連れてきて、能力が身に付いたときに殺そうという目的だったのだろうと紫は御零から離されてすぐに思った。

 

「そうとなれば、なのはを一人にさせるのは危険と言うことになるわね。だけど私も冬眠に入るから、冬眠の間に襲撃される可能性も考えられるし……」

「……仕方ない。異変が解決するまでは私が預かろう。居候させるつもりはなかったが、こうとなってしまったら仕方がない。異変が終えたらすぐに返すが」

「相変わらずそのあたりは細かいわね……」

「こっちだって霊夢の事で元々精一杯なんだよ。それに、これ以上金銭的な問題できついことを考えてくれ」

「分かっているわ。それでも、ここよりは安心だと思って頼んでいるのよ」

「とにかく、異変が解決するまでは預かる。なるべく博麗神社以外には出さないようにするから」

「そう――よろしく頼むわね」

「それじゃあ、なのはを連れて行くな。紫が冬眠から戻った時には異変が解決することを祈っておいてくれ」

 

 御零はそのまま部屋を出ていき、その後なのはを連れて博麗神社へと帰って行った。

 なのはと御零が居なくなったあと、紫は独り言を言い始めた――

 

「異変が解決しても、なのはの能力で後々大変なことになるわね……今のうちにいろいろと考えておかないと」

 

 紫はまたしてもため息を吐いていた。なのはの能力は紫が似たような能力を使っているため、使い方を間違えると大変なこととなる。その辺に付いて冬眠から目覚めたら教えておかないといけないと考えると、ついため息を吐きたくなったわけだ。

 異変が解決しても問題は山ほどある――その対策のために、紫は冬眠する前に考えることにするのだった――




次回、多少異変には触れるかもしれないが、多分かなり飛んで異変解決してるかと思われ。

基本的序章は紫視点な感じで書いているのでね。

その代りなんですが、次回もしかしたら妖夢でるかも……あと幽々子も

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