……まさか、保存していたと思っていたデータすら存在していなくて、完全にデータが無くなってしまったという状態になりかねました。
そのせいで、まさかすべてデータが消えてしまっていたという事態になってしまいましたが、何とか復元できました。
とりあえず、間違えて投稿してすみませんでした。
ちなみに、復元方法は一度書いた小説をWordで確認しているんですね。
順序で言いますと
スマホのメモ帳→ハーメルンの執筆中小説→Word→txtファイルで保存という順序で保存しています。
どうしてこういう経緯をしているのかというのはおいといて、
Wordを使っていたおかげで、保存していないデータだろうと復元できるのですよ。
正直これに助けられましたね。Wordに残っていなかったら完全に書き直しでしたし。
以後は投稿が終えてから、スマホのメモ帳は削除するようにします。
今回、投稿する前に削除してしまったものでして。
とにかく、本当にすみませんでした!!
「……それで、私に何を求めているのかしら?」
プレシアは首筋に刃を向けられているというのに、冷静な表情でなのはに視線を向けていた。
「質問する前に、名前を聴いていいかな?」
「……プレシア・テスタロッサよ」
「プレシアね。名前も解ったことだし、質問するね」
ここに来るまでに、なのははプレシアに聴きたいことが幾つかあった。フェイトが敵としてジュエルシードを集めさせた理由や目的などについて、確認しなければならなかった。場合によっては、プレシアの願いは絶対に叶えられないから――
「まず、フェイトちゃんについて」
「……あの出来損ないがどうかしたというの?」
「……フェイトちゃんを出来損ないと言うことについて気にくわないけど、気にしないでおく。それで、フェイトちゃんに対するプレシアの反応からして、普通に生まれた人間ではないのでしょう?」
ジュエルシードを集めた目的について一番に聴きたいことだったが、話の順序からしてフェイトのことについて先に質問するべきとなのはは思った。フェイトはどうみてもプレシアの娘に見えるし、それなのにプレシアが娘として見ていないのは、何かしらの理由があると思ったからだ。
「……よく解ったわね。あの出来損ないは、アリシアのDNAを元に作ったクローンよ」
「フェイトちゃんに対してもそんなことを言っていたけど、そういうことか……」
「プロジェクトF.A.T.E――それがクローン技術の名前よ」
F.A.T.E――という言葉に、なのははすぐにフェイトがそこから取られた名前だと理解した。安直であるような気がするが、プレシアがフェイトを娘と思っていないことからして、名前も適当に取っただけなのだと思った。fateという単語で並べれば運命という意味になるから、何かしらの意味があるとなのは思っていた。けど蓋を開けてみればあまりにも適当に付けられた名前だったと知って、なのはは考えていた自分が少し馬鹿らしく思えてしまった。
そしてまた、クローンでアリシアを生み出したいと思ったということからして、フェイトを出来損ないと言っている理由をなのはは理解していた。プレシアがプロジェクトF.A.T.Eで生み出したかったものは、アリシアと同じ性格を持ったクローンだったと――
「要するに、アリシアと似た容姿をしているのに、性格が違っていた――そういうことですね。だからフェイトちゃんを出来損ないと、言っているのね」
「察しがいいわね。てっきり、怒るものだと思っていたけど」
「一々怒っていたら霧がないから、怒る気にもならないだけ。とにかく、フェイトちゃんの経緯は解ったから次の質問」
なのははフェイトの経緯がある程度解ったところで、次の質問をしようと思った。
ジュエルシードを集めた理由についてで、先ほど聴いたフェイトの生まれた経緯からして、ある程度予想できるようになった。しかしそれでもプレシアから直接聴かなければ当たっているか解らなかったので、なのははプレシアに質問した――
「……ジュエルシードを集めている理由。フェイトちゃんの話を先に聴いたから予想はつくけど、アリシアを蘇らせるためで合っているかな?」
「……その通りよ。ジュエルシードを集め、アルハザードに行けばアリシアを蘇らせることが出来ると思ってね」
――アルハザード。それは管理局に協力してから、クロノから聴かされた名前だった。なんでも、管理局よりも科学技術が優れているらしく、夢のような次元世界だと――
しかし、アルハザードという世界がどこにあるか解ってなく、そもそも存在しているか怪しいということも聴かされた。アルハザードという名前を聴いたとき、なのははどの世界よりも科学技術が優れていると聴いて、思わず目を輝かせていたこともあったが、存在しているか怪しいと聴いて絶望した記憶は、なのはにとってつい最近の出来事だった。
確かにアルハザードという世界に行けば、アリシアを蘇らせることが出来るかもしれない。しかし共に生活できるかと言えば、絶対に無理だとなのはは断言できた。幻想郷に居たからこそなのはは知っていたことで、蘇らせたところですぐに殺されてしまうことを、知っていた――
「……ある程度経緯は解った。それを踏まえて残酷なことを言ってあげる」
「なにかしら、アルハザードがないとでも言うのかしら?」
「いえ、もっと残酷なことだよ。たとえアルハザードという場所があったとしても、アリシアは一日も経たず、絶対に殺されます」
「……どういうこと」
プレシアはなのはと話してから、初めて表情が変化し、明らかに動揺していた。それに、なのはが言った意味が理解できなかった。蘇らないと言われたならばまだ解らなくないが、絶対に殺されるという意味が解らなかったからだ。
なのははプレシアの首に向けていた小太刀を仕舞った。なのはからアリシアが蘇ったとしても殺されると聴けば、攻撃してくると思わなかったからだ。
「話しますけど、その前に他の次元世界について一つだけ聴きたいことが」
「それは先ほどの件と関係あるのかしら?」
「関係あるかと言えばないけど、説明するにあたって、単語や意味として存在するのか確認したかったから。説明して理解できなかったら意味がないので」
「そういうことね。それで、聴きたいことというのは?」
なのはが言いたいことは何となく理解できた。要するに、別の世界ということは、世界によって単語や意味として存在しないものもある。だからなのはは、その辺りまで説明する必要があるかによって、説明の仕方が変わるから確認したかったのだと、プレシアは把握した。
「ジュエルシードなどのロストロギア以外による科学的な化け物を除いて、化け物などの伝承などは存在する?」
「えぇ、存在するわ。使い魔というのも、人型の化け物を参考にしたという噂もあるくらいよ」
「なら話が早くて済みそうかな。実は言うと、化け物という存在があり、昔の人間は恐れられていた。化け物というのは人間が忘れられていったら消えてしまうというのがあるけどね。ちなみに、私がここに連れてきた狐型の使い魔っぽいのは、私の使い魔ではなくて化け物だから」
「……それがどう関係するのよ」
「まぁ、化け物については頭の隅で覚えていればいいよ。それよりも、化け物という定義とは少し外れるのだけど、この世界には死神という神の存在があるの」
「死神……それがあなたの話したいことね。それで、その死神がどう関係するの?」
さすがに別の次元世界では死神という存在がないかとなのはは思ったが、次元世界によっては存在する可能性があるかもしれないと思いつつも、話を続けた。
「伝承によって違うけど、死神の仕事は死んだ魂を輪廻転生させること。本当はもっと細々として違うけど、今は気にすることではないから。そこでようやく本題だけど、蘇って魂が戻ったとしたら、死神は何をするも思う?」
「……何もしないのではないの?」
「それはないよ。答えを言うと、蘇らせるという行為は死神からすると違法とされているの。ここまで言えば何となく解るのではないかな?」
「……まさか」
なのはが言いたいことをプレシアは理解した。なのはが殺されると言った意味の理由がどういうことかということを――
「……死神は、蘇った人間を絶対に殺しに来る。抗ったとしたら、抗った人間ごと殺すでしょうね」
未だに信じられなかった。死神というものが存在すると、プレシアは思いもしなかった。しかしなのはから聴かされた内容は冗談のように思えず、本当だと思わせるような雰囲気だった。
「死神は存在する。化け物は人間がわすれられた場合は消えるけども、死神は違う。たとえどの世界だろうと存在するでしょうね。まぁ、プロジェクトF.A.T.Eの場合は魂が違うから例外何でしょうけど」
もしプロジェクトF.A.T.Eでアリシアの性格を持ったクローンが生まれたとしていたら、問題はなかっただろう。結果としてプロジェクトF.A.T.Eは失敗に終えたようだが、その結果プレシアが自殺するような行為をしようとしていた結末になりそうだったのだから――
「……別に私の言葉を信じなくてもいいよ。そのかわり、アルハザードに行くというのなら、死ぬ覚悟で行かないと行けないけどね」
「……それでも構わないわ。アリシアを蘇らせる方法が無くなったわけでないのだから」
「そう言うと――っ!?」
なのはは苦笑しようとしていたが、突然感じた殺気にプレシアを守る形で防御魔法をサークル状に展開した。明らかになのはを狙った攻撃で、殺そうとしていたことに即座に気づいた。
そしてなのはがプレシアの奥を見ると、蝙蝠のような翼を生やしている金髪でゴシックな衣装を着ていた少女が現れた――その肩にはフェイトを持ちながら――
「ようやく見つけたよ。隙間妖怪の弟子――なのは」
彼女は、悪そうな笑みを浮かべながら、なのはへ向けて言い放った。
隙間妖怪の弟子と言われたなのは、即座に警戒した。自分の生きた過程を知られ、またフェイトを捕まえており、さらには彼女の姿を見て警戒しない筈がなかった。
「……どうして私が紫さんの弟子と知っているのかな? 真祖の吸血鬼さん」
「あはははは!!!! やっぱりなのはは覚えてなかったのね。私、悲しいわ」
「嘘泣きはやめないかな? それよりも、フェイトちゃんを連れてどういうつもりなのかな?」
突然現れた吸血鬼に、なのははいつでも動けるように構えていた。しかしそんななのはを見ていた吸血鬼の彼女は、何がおかしいのか笑っていた。
「別にフェイトを連れてきたのは人質みたいなものよ。私の用事があるのはなのはとプレシアだからね」
「……私もですって」
プレシアは吸血鬼という存在が理解できずに、先ほどからなのはと吸血鬼の彼女の様子を見ていただけだが、自分の名前を呼ばれたときに思わず聞き返していた。吸血鬼という存在が、先ほどなのはから話された化け物の種類なのだろうとプレシアは思うが、本当にそんな化け物が存在することに少し驚いていた。
「そう。というか、今回はなのはを私の物にするためにわざわざ時の庭園に来たわけでないし、どちらかと言えばなのははおまけなの。今回私は過去を精算するためにきたかのだから。だから言ってしまえば、フェイトを連れて行く必要はなかったのだけど」
「……それで、私に何の用なの?」
「用って言っても、伝えたいことが一つあるだけ――」
刹那、吸血鬼の彼女はフェイトをその場に降ろしてからプレシアに一瞬の速さで近づき、なのはに聞こえないように何かを告げた。
「――――」
「っ!? それはどういうっ!?」
吸血鬼の彼女から言われた内容に、プレシアは驚愕していた。何が話されたのかなのはは解らないが、聴かされなかったことからして自分に関係ない内容だと思いつつも、目の前で密かに話されたから気になっていた。
吸血鬼の彼女はプレシアから離れると、フェイトを置いた場所まで戻っていった。
「これでプレシアに伝えておくことは終えたね。あとはなのはのみだけど……」
「……なんでまだフェイトちゃんを人質にしているの? プレシアへの話は終えた筈だよ」
「……何言っているの? フェイトを人質にしているのはプレシアだからではなくて、なのはに対してよ。私の物にするためにね」
吸血鬼の彼女は笑みを浮かべながら言ったが、なのはは尚更吸血鬼の彼女がしている行動に理解できなかった。
なぜ私のためにフェイトを人質にするのか。確かに協力してジュエルシードを集めたりもしたり、フェイトのためにキレるようなことはしたが、基本的に敵対していた関係の筈なのだ。そのことを見られていたということに驚きではあるが、様子を見ただけでフェイトを大切にしてあげたいと思っていることが、解るようなものなのかと思った。
また、なのはを今まで見てきたとしたら、なのはの能力からしてフェイトを人質にする意味が全くない筈だ。簡単に人質を救うことがなのはは可能で、それを知っている吸血鬼の彼女がフェイトを人質にする意味が解らなかった。
というか、吸血鬼の彼女が自分に固執していることすら、なのはは解らなかった。
「……あなたは、一体誰なの? それに、吸血鬼の真祖にしてはカリスマが感じられないのだけど」
「……やっぱり私のことは解らないか。とりあえず前者の質問は教えない。後に解るという
「じ、十五年くらい前ですって!?」
ここ最近生まれたということに、なのはは驚いた。それもその筈で、先ほどプレシアに話したように、吸血鬼のような化け物は存在しないと人間が認識し始めているのに、ここ最近生まれた存在ということが有り得ないことだったからだ。吸血鬼の眷属だということならまだ理解できるが、今の地球で生まれて間もないというのは不思議なほどだった。
「だから、カリスマとか私にはないのよ。まぁ、吸血鬼の友達からカリスマについて教鞭を受けたことならあるけど」
「……それで、私を捕らえるの?」
「ん? あ、それは冗談だよ。クリスマスまではなのはを私の物にするつもりないから。というか、私の物にしたら地球が滅ぶ
「……滅ぶ運命って、どういうこと」
突然話題がとんでもない話になって、なのはは理解できなかった。クリスマスまでということはクリスマスに何か起こるということまでは解るが、なぜ目の前の吸血鬼の彼女が知っているのか理解できなかった。
「正確には、ここでなのはを私の物にしなかった運命が、地球が滅びないということ。ここで私がなのはを私の物にしたら、運命が変わる可能性があるとレミリア――あっ、さっき言った吸血鬼の友達から言われているからさ。それまでは、私は何もしないよ」
「……どちらにしても、冬に私が関わるような事件が起こるということね」
「信じるか信じないかは、なのはに任せるよ。さて、結構長居してしまったから、私はこれで失礼するね。なのはの仲間がそろそろ来る頃――」
「ようやく追いついたぞ!!」
吸血鬼の彼女が話している時に、久遠が現れて吸血鬼の彼女に右手で攻撃を仕掛けていたが、吸血鬼の彼女は気配に気づいて避けていた。それからなのはと久遠のちょうど中間近くに移動し、そこでフェイトをまたしても降ろした。
「あら、危ないじゃない。フェイトに当たるところだったよ」
「フェイトを人質にしておいてよく言うね」
吸血鬼の彼女が言った内容に言い返したのは久遠ではなく、少し遅れてきたアルフだった。アルフと共にクロノも来ていて、吸血鬼の彼女は正面はなのは、背後は久遠、アルフ、クロノに挟まれていることに気づいた。
「あらら、挟まれちゃった」
「……挟まれているのに、その笑みはなんだい?」
「別に挟まれたところで逃げられるからよ。フェイトの使い魔さん」
「けっ、気にくわないな。とにかく、フェイトは返してもらうよ!!」
「別にいいわよ。というか、別に人質にする必要なんてなかったけどね。ってなわけではいどうぞ」
吸血鬼の彼女はフェイトをお姫様抱っこの形で持ち上げると、そのままアルフ達がいる方へ投げた。アルフは咄嗟にフェイトの落下地点に移動し、地面に落ちないようにフェイトを掴んだ。その一方で久遠とクロノは逃げるために、吸血鬼の彼女が突っ込んで来ると予想して構えたが、吸血鬼の彼女は久遠やクロノたちがいる反対方向――要するになのはとプレシアが居る方へ突っ込んできた。
逃げるかと思っていたなのははなにも構えてなく、このままでは吸血鬼の彼女からの攻撃が来ると危惧した。しかし吸血鬼の彼女が取った行動は、なのはに攻撃するわけでもなく、なのはを押し倒して馬乗りになることだった――
「えっ、一体何――んんっ!!?」
吸血鬼の彼女が取った行動に、なのはは理解できなくて、思考が停止していた。それはなのはだけでなく、プレシアと未だに現実逃避をしていたフェイトを除いたこの場にいた全員が、何が起こっているのか理解できていなかった。
しかし、吸血鬼の彼女は周りの様子を気にせずに、なのはの口を無理やり開かせて、舌を口の中に入れ始めた。
「んっ……ひちゅ……れろ……じゅる……」
「っ!!!!!???」
流石になのはも、吸血鬼の彼女に何をされていたのか理解した。吸血鬼の彼女から、突然なのはにキスをされていると――
すぐさま引き離そうと、なのはは吸血鬼の彼女を突き放そうとするが、その前に吸血鬼の彼女がなのはの顔から離れていき、舌からは糸が引いていた。
「ふぅ、なのはのファーストキス、奪ってあげたわ」
「にゃ、にゃにゃにゃ、にゃにしてくれるのっ!?」
なのはは動揺し、顔を真っ赤に染めながらも、説得力ががなさそうな怒り方をしていた。初対面の人間――いや吸血鬼にいきなりキスされたら、なのはでなくても動揺するだろう。それも、ファーストキスを奪われたのだから、たとえなのはが幼くてもなんてことをしてくれたのかと思ってしまった。
「動揺しているなのはも可愛いね。それじゃあ、私はこれで行くね」
なのはを馬乗りにしていた吸血鬼の彼女はなのはの上から退いて、一瞬にしてその場から姿を消した。残されたのは顔を真っ赤にしているなのはと、未だに放心状態になっている久遠、アルフ、クロノの三人と、なのはのキスを気にせずに吸血鬼の彼女から言われた内容に驚き続けているプレシアと、ようやく現実逃避から戻ってきたフェイトだった――
「……あ、あれ? ここは……って母さん!?」
何故自分が勝手に移動しているのか理解できなかったフェイトだが、近くにプレシアが居ることに思わず驚いた。
「……はっ!? しまった、簡単に逃がしてしまった!!」
フェイトの言葉で最初に復活したのはクロノで、吸血鬼の彼女を逃がしたことに今更ながら気づいた。しかし、本来の任務は終えてないので、クロノはすぐに本来の仕事をしようと、プレシアに近づいた。
「プレシア・テスタロッサ、時空管理局法違反及び管理局管制の攻撃で貴女を逮捕する!!」
「……えぇ、構わないわ。もう、やる意味も無くなったからね」
その後、プレシアは何事もなくクロノの指示に従って逮捕されたのだった――
それから、ユーノが時の庭園を動かしていたロウトロギアの情報が入ってきたが、とりあえず時の庭園を他の管理局員に任せて、なのは、フェイト、久遠、アルフ、クロノはアースラへ帰還するのだった――