魔法少女リリカルなのは東方参異伝   作:アリヤ

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第二十四話

「これ以上増えそうにないな。それにしても助かった。例を言うよ、久遠とアルフ」

「私はなのはが手伝っているようだから、手伝っただけだよ」

「私もフェイトを助けるために動いただけよ。感謝される理由はないよ」

 

 久遠とアルフがクロノたち管理局員を助けてくれたおかげで、管理局員の戦力がそこまで減らずに済んでいた。クロノは優勢な状況を作ってくれた久遠とアルフに感謝したが、二人はそれを自分がしたいからという理由で拒否していた。

 余談だが、先ほどまでいたユーノがこの場に居ないのは別行動を取っているからで、クロノはユーノにあることを任せているからである。

 

「それでもだ。助かったことには変わりがないから、感謝させてくれ」

「……気持ちだけ受け取っておくよ」

「久遠と同じくだね。それよりも、まだ全部片づいてないのだから、さっさと始末するよ!!」

「あぁ、そうだな。久遠とアルフ、済まないがこのまま手伝ってくれるか?」

「もちろん」

「もちろんそのつもりさ!!」

 

 クロノ、久遠、アルフの三人は現在管理局員だけで対処している傀儡兵を片づけるために、それぞれ一斉に動き出した。

 残りの傀儡兵は四体――三人はそれぞれ分散し一体ずつ傀儡兵を倒していくことにした――

 

 

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「今この場に居る管理局員に告げる!! あの傀儡兵をおびき寄せてくれ!!」

 

 まずクロノだが、その場にいた管理局員に囮になるように命令し、管理局員はそれぞれクロノが襲われないように行動を取り始めた。

 管理局員はそこまで威力がないスフィア弾で傀儡兵を攻撃するようしていると、傀儡兵はクロノや管理局員の思うとおり、囮である管理局員の方向に集中させることができた。

 

「よし、今だっ!!」

 

 自分の存在に気づいていないと思ったクロノは、距離を傀儡兵へ一気に近づいていった。傀儡兵もクロノが取った行動にすぐに気づいて反撃をしようとするが既に遅く、クロノの方が早かった――

 

「ブレイクインパルスっ!!」

 

 クロノは持っていた杖を傀儡兵に接触させると、突然傀儡兵が粉々になるように崩れ去っていった。その光景を見ていた管理局員が思わず歓声に似たものが湧き上がり、クロノに対して拍手してしまうほどに、クロノの攻撃は綺麗に見えたようだ。

 

「拍手している場合ではない!! まだ残っているのだから、せめて全てが終えてからにしろ!!」

 

 しかしクロノは照れることもせず、歓声や拍手をしていた管理局員に対して怒った。その言葉に管理局員たちは即座に空気を入れ替えていた――

 

 

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「あなたたち、私の攻撃に巻き込まれたくなかったら、私と傀儡兵から離れなさい!!」

 

 クロノとアルフの二人と別れた久遠は、目の前にいる傀儡兵の所へ来ると、先に周りにいた管理局員をこの場から離させるように伝えた。

 管理局員でない久遠に従わないと、久遠は考えていたが、管理局員は先ほど久遠とアルフに助けられているし、久遠とアルフは一時的な仲間だと思っていたので、久遠の言葉に従って、久遠と久遠の目の前に居る傀儡兵から距離を離れることにした。その行動に対して、久遠は従わないと思っていたので少し驚いたが、とにかくこれで気にせずに本気出せると思った。

 

「私を舐めないでよ。これでも私は巫女をやっているのでね!!」

 

 久遠が言った直後、久遠から大量の電気が溢れ出し、隠し持っていたお祓い棒を取り出し、傀儡兵に近づいていった――

 

「私みたいに妖怪ではないけど、霊力を雷に変換することだって可能。更に、元々持ってる妖力の雷を合わせれば、どうなるかな?」

 

 刹那、久遠の周囲や地面、そして傀儡兵にも久遠から溢れ出ていた雷を浴びることになり、傀儡兵は痺れて身動きがとれなくなっていた。

 そして久遠は傀儡兵に触れ一言言い放った――

 

「私の最大雷を受けて、動けると思うなよ」

 

 その刹那、久遠は傀儡兵に最大出力の雷を浴びさせ、一瞬にして傀儡兵が崩れ去っていった。

 それを見届けた久遠は残ってる傀儡兵を倒すために、すぐさま移動するのだった――

 

 

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「私を只の使い魔だと思うんじゃないよ!!」

 

 クロノと久遠の二人から別れたアルフは、傀儡兵からの攻撃を何度も避けながらも、確実に攻撃を与えるように行動していた。

 しかし、単にやられているだけの傀儡兵ではなかった。アルフからの攻撃を受けたが、すぐに反撃するために衝撃に備えていた。そしてアルフが地面に着く前に、アルフへ殴り掛かろうとしていた。

 

「なっ、しまっ――がっ!?」

 

 アルフは空中に浮くことは出来なくないが、地面に着いてそのまま追撃をしようとしていたので、空中に浮くという行動に切り替える必要があった。しかしそんな時間があるわけでもなく、浮こうとしていなければ避ける事すら不可能だったので、傀儡兵からの直撃を受ける羽目になった。

 しかし、たった一発の攻撃で倒れるようなアルフではない。攻撃を受けてしまったが、すぐに態勢を戻して、そのまま傀儡兵へと突っ込んでいった――

 

「このまま時間を掛けるわけにはいかない!! 次の一発で終わらせてやる!!」

 

 自分の魔力を右手に込め、一気に詰め寄っていった。

 傀儡兵もアルフの行動を阻止しようと即座に攻撃を仕掛けるが、アルフは簡単に攻撃を避け、そして渾身の一撃を傀儡兵にぶち込んだ!!

 

「これで、壊れろっ!!!!!!」

 

 アルフが放った一発は、傀儡兵の中心に直撃し、その受けた場所から傀儡兵は崩れていった。

 

「よし!! 残りはあいつだけかっ!!」

 

 アルフは残り一体となった傀儡兵を見て、すぐに向かっていった――

 

 

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「ん? 二人も終わったのか?」

「まぁ、すぐに終わらせたからちょっと本気出しただけだけど」

「私も本気出してすぐに終わらせただけだね。というかお前、まだ力残しているのかよ……」

「まぁね」

 

 クロノ、久遠、アルフの三人はほぼ同時に倒し終えていたので、一旦合流していた。

 この時アルフは、久遠の言葉を聴いて、久遠がまだ本気を出していないということに驚いていたが、今は詳しく聴いている場合ではないと考え、一言言うだけだった。

 

「とにかく、今は残り一体を倒そうか」

「……その方が良さそうだね。管理局員が今にも危なさそうだから」

「……いや、二人ともちょっと待って」

 

 クロノとアルフが動こうとしていた時、久遠が二人を止めに入った。危ない状況だというのに、久遠が止めようとした理由がクロノとアルフには解らなかった。

 

「どういうつもりだ、今すぐ行かないと危ないのだぞ!!」

「それは解ってるよ。仲間が心配なのは解るけど、なんか私たち以外に別の気配が感じたから」

「それってどういう――っ!?」

 

 アルフが久遠に詳しく聴こうとした刹那、残り一体になった傀儡兵が突然何者かに切り刻まれ、崩れていった。

 突然の出来事にクロノとアルフは思わず驚いたが、すぐに誰か解らない何者かが居ると思い、何時でも攻撃出来るように構えた。残り一体の傀儡兵と戦っていた管理局員も突然のことで理解できず、その場で立ち止まっていたが、何か起こるかもしれないと感じて、すぐに構えた。

 

「ひっどいわね。せっかく手助けしてあげたというのに、警戒されるなんてさ」

 

 その直後、先ほど崩れた残り一体だった傀儡兵の上に何者かが乗っていた。

 金髪でゴシック衣装を着ていて、見た目の年齢敵にはなのはやフェイトと変わらないような少女だった。

 その少女が金髪やゴシック衣装を着ているからかなり目立っているような容姿だが、それよりも気になったのは、彼女の目と彼女の背中に付いている蝙蝠のような翼だった――

 

「ふむ、やはり私の姿を見て驚いているようね……いや、正確にら一人――いや妖狐を除いてね」

「……なぜお前のような妖怪が此処にいるの? 吸血鬼、それも真祖ときた」

 

 彼女――吸血鬼の彼女の姿を見て、唯一驚いていなかった人間――いや妖狐である久遠は雷を漏らしながら、吸血鬼の彼女を睨み続けていた。

 そんな久遠に対して吸血鬼の彼女は、何を言っているのだろうかこの狐は――と言いたげな表情をしながら返した。

 

「それを言ったら、貴様こそ妖怪でしょう。しかも、格好からして巫女ときたわ」

「私はなのはに頼まれて召還に応じただけだよ。なのはの使い魔ではないけどね」

「巫女でありながら、誰かに仕えているの。それもあの隙間妖怪の弟子に? これで式神と言われたら笑うくらいだわ!!」

 

 吸血鬼の彼女は笑うことはしなかったが、思わず笑みがこぼれてしまっていた。久遠は吸血鬼の彼女に多少の怒りを覚えるが、それよりも西洋の妖怪が知らないような内容を知っていることが気になり、怒りを静めて吸血鬼の彼女に問いかけた。

 

「……なぜ、吸血鬼であるお前が隙間妖怪やなのはが隙間妖怪の弟子だと知ってる?」

「やはりそこが気になるのね。簡単に言ってしまえば、ある用件があって五年以上は日本――しかも海鳴市に住んでいるのよ。隙間妖怪については西洋でも有名な大妖怪だし、それがなんども海鳴市に現れているのだから気づかないはずがないわよ。まぁ、私は吸血鬼としては二十年くらいしか生きてないけども……」

「……一つだけ気になったところがあったけど、今は関係ないから聴かないでおく。それで、ここに居る理由は何?」

「それは言えないわ。海鳴市に居るのは依頼されたから居るようなものだけど、今時の庭園に居るのは個人的な用事なのでね」

「っ!? なぜ名前を言っていないはずなのに、ここが時の庭園だと知ってるっ!?」

 

 先ほどまで久遠と吸血鬼の彼女が話す内容に理解できていなかったクロノやアルフ、管理局員だったが、時の庭園という名前を知っていたことに、アルフが思わず吸血鬼の彼女に言っていた。吸血鬼の彼女は笑みを浮かべながら、アルフの問いに答えた。

 

「言ったでしょう。個人的な用事だって。まぁ、個人的な用事と言っても、さっきから向こうで落ち込んでいる金髪の子が必要だけども」

「っ!? フェイトに何をするつもりだ!!」

「フェイトに危害を加えるつめりはないわよ。必要だから借りるだけで……いえ、お喋りが長すぎたわね。そろそろ行動しないと、あの隙間妖怪の弟子が……プレシアに何かしそうな気がするわね」

 

 プレシアの名前を言う際に何故か一度言葉が詰まったかのようになったが、吸血鬼の彼女は特に気にせずに、そのまま自身の羽を使って飛び上がった。

 

「なっ、どこに行くつもりだ!!」

「プレシアの所よ。それでは、フェイトは少し借りていくね」

「逃がさないよ!!」

 

 吸血鬼の彼女が飛んでいこうとしているのを見て、久遠は吸血鬼の彼女に雷を放つが、簡単に避けられてしまった。それから吸血鬼の彼女は未だに落ち込んでいるフェイトを簡単に抱えて、時の庭園の中へ入っていった。

 

「くそっ、逃げられた!!」

「フェイト!!」

 

 クロノは悔しそうな顔をしていて、アルフは悲しそうな顔をしていたが、久遠に至っては冷静な顔をしていた。

 

「あの吸血鬼はプレシアが居るところに向かった筈です!! 多分なのはも居ると思うけど、急ぎましょう」

「っ!? そうだったな。他の管理局員はこの場で待機していてくれ!!」

「……必ずフェイトを連れ戻す!!」

 

 久遠に言われてクロノとアルフは吸血鬼の彼女が言っていたことを思い出し、すぐにプレシアが居る場所へ三人で向かうのだった――

 




当初、無印で登場する予定や、今後も出す予定なんてなかった吸血鬼のオリキャラ。
原作東方の設定による原因で、出さなければならなくなった苦肉の策という……

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