なので、今後投稿する際は気を付けてもらうことになります……基本的に無印メインですけど、すみません。
本当であればSTSを先に書く予定はなかったんですけど、あまりにも東方キャラが出ないのがやはり気になりましてw(今回紫さん出てますが……)
それなら東方の異変を先に書けばよかったのかもしれないですが、ネタバレ要素が多いからです……大体パチュリーのせいだw
なので、渋々東方キャラがメインで登場するSTSを書くことに……数人程度ですけど。
後はSTSの方で詳しく書きます。読みたくない人もいるだろうしね。
「……あれからというもの、ジュエルシードの反応すらないね」
「でも、なのはは頑張っていると思うよ。フェイトという子が封印したものの数も含めたらすでに9個。三週間くらいでこれなら順調だ」
いつも通り学校が終えてジュエルシードの捜索をしているなのはとユーノだが、なかなか見つけられずにいた。ジュエルシードが発動しない限り見つけることは難しく、フェイトがしたように強制発動などをしなければ見つけられないだろう。しかし、街を巻き込んでまで強制発動させるつもりは絶対になく、そうなると適当に歩きながら探し続けていくしか方法がなかった。
しかし、たった三週間くらいで9個も見つけていることにはユーノの方が驚いていた。自然にジュエルシードが発動して手に入れたものばかりではあるが、ユーノの中ではなかなか見つからないと思っていたから、順調にジュエルシードの回収が進んでいると思っていた。
「まぁ、ユーノ君がそういうのであれば大丈夫だろうけど、このペースだと5月下旬まで続きそうだなって」
「それは仕方ないと僕は思っていたよ。そもそも、なのはが手伝ってくれなければどうなっていたことやら……」
なのはがジュエルシードの回収を手伝っていなければ、ユーノ一人ではなかなか回収できず、見つけたとしてもフェイトにとられてしまうだろうと容易に想像が出来た。結果的にフェイトにすべてのジュエルシードを取られていた可能性だって考えられるし、もしフェイトが来なかったとしても、一体何年掛かるのだろうかと考えるだけで恐ろしかった。
ジュエルシードのことについて話していると、空は夕焼けに染めており、太陽を見るとすでに沈み始めている時間帯になっていた。
「さて、そろそろ日が沈みかけていることだから、あと十分くらいしたら私の家に帰ろうか」
「そうだね。今日は見つからなかったけど、地道に頑張っていこう」
「それじゃあ、残りのじゅっぷ…ん……」
「……なのは? どうかしたの?」
突然なのはの声のトーンが下がり、ついには歩くことまでやめてその場で立ち止まってしまった。ユーノはなのはが足を止めたことに気になって尋ねたが、ユーノの言葉になのはは返答せず、前をまっすぐ見つめている状態だった。一体なにを見たのだろうかとなのはが視線を指している方向へ見てみると、あまりにも場違いな中華風の衣装を着て、ナイトキャップを被っている金髪の女性が立っていた。コスプレみたいなものなのかとユーノは思うが、なのはが足を止めてしまった理由が解らない。しかし、その事以前になのはが冷や汗を掻いていることからして、あの女性と知り合いなのかとユーノは思っていた。
「な……にゃんでゆ、紫さんがここに」
「あら、私がここにいてはいけないのかしら? それに、私がここにいる理由が解らないと、なのはは言わないわよね?」
「にゃ、にゃははははは……」
会話からして、なのはとなのはが紫と言っていた女性は知り合いなんだろうとユーノは把握でき、なのはが紫を怒らせるようなことをしたのだろうという事までは解った。そしてまた、なのはが冷や汗を掻いていることからして、なぜ紫がなのはに会いに来たのかという事をなのはは理解しているのだろうとユーノは思った。
とりあえずなのはと紫の会話には参加せず、二人の様子を見ておくしかないと思ったユーノは、たとえなのはが助けを求めたとしても静観し続けようと考えた。
「……境界の中でのエネルギー結晶体を放り込み、世界を揺るがすような地震をお起こし、おかげで外の世界と幻想郷の境が危うくなり、終息した今でも境界の歪みがあちこちで起きている状態――言い逃れできると思っているのかしら?」
「ご、ごめんなさいっ!!!!」
路上だというのにもかかわらず、なのはは他人の視線なんて気にしないかのように土下座をした。
あんなことをして怒られないと、なのはは考えていなかったし、元を辿ればなのはがミスをしてしまったからこそ起きた問題であり、反論するつもりなんてあるわけがない。最初から最後まで全てなのはが悪いのだから――
ユーノは紫から言われたことを聴いていて、なんのことかすぐに理解できた。エネルギー結晶体というのがジュエルシードのことを指しており、境界や幻想郷などというものがなんのことか解らないが、紫という人物――いや、そもそも紫は人間と言っていいのだろうか解らないが、とにかくなのはが怒られると言っていたのはこの事だろうと把握した。ユーノの世界で言えば、次元震で一つの世界を滅ぼすようなもので、実際その次元震でこの世界が危険になったこともあり、怒るのは当然だった。
ちなみに、ユーノが紫に対して人間と思えないと思ったのは、先ほどから感じる空気は人間とは思えないように感じてきたからだ。
そしてまた、まるで名を残すような者に会っているかのように感じた。例えるのであれば、ユーノがいた世界で有名な歴史の人物――オリヴィエ・ゼーゲブレヒドに会っているかのような感じを覚えた。歴史の人物が現代にいるということではなく、オリヴィエ・ゼーゲブレヒド並の実力を持った相手と会話しているかのような感じということだ。実際、紫の実力として考えたらユーノが思った通りなため、あながち間違ってはいなかった。
「……まぁ、今回のことは不問としましょう。あのやり方でしか対処出来なかったのでしょうから。どうせ、その原因もなのはのうっかり何でしょうけど……」
「うっ、な、何で解ったのですか?」
「どこか抜けているところは妖夢と似ているから」
どこか抜けている点については妖夢よりましだと思っているなのはにとって、心外なことではあった。とはいえ、どこか抜けているところを見て面白がっているのが目の前にいる八雲紫と妖夢がいる白玉楼の主である西行寺幽々子で、なのはとしては弄られないようにしたいとは思っていた。
「とにかく、なのはが何しているかということは聴くつもりはありませんから、今後はこのようなことがないようにお願いしますね――そこのフェレットもどきさん」
「っ!?」
まさか、気づかれているとは考えてもいなかったユーノは思わず驚いた。そしてまた、紫に対して恐怖を覚え、敵に回したくない相手だと思い、そんな紫と知り合いであるなのはは何者だろうかと思っていた。なのはも最初に会った時、ユーノ達が使う魔法とは別の魔法を使いこなしていた。この世界に来てから数日経つが、なのはみたいに何かしらの魔法を使っているところは、ユーノが見た限りなく、なのはが特殊だったと最近解ったことだ。
そのことからして、紫もなのはのように特殊な部類にはいるのだろう。ユーノが紫のことを人間に思えないと思えた時点で、ただ者ではないということは想像ついていた。
「さて、私は帰りましょうか。今回のことは異変として広まっていますから、後処理は大変でしてよ」
「異変……ということは、解決するのは――」
「博麗の巫女……ですけど、霊夢は別の異変を解決途中ですから、私が後処理をしているのよ。それに、異変の元凶は外の世界の人間ですから、博麗の巫女でも不可能でしょうし……」
「地味に攻撃してこないでほしいの……」
「あら、私は胡散臭いで歴代の博麗の巫女からずっと言われていたくらい有名ですわよ。今更過ぎますわ」
「自分で言っちゃうの!!!?」
「うふふ、このままなのはを弄り続けるのも面白そうだけど、まだやらなければならないことがたくさんありますのでこの辺にしましょうか。それではごきげんよう」
紫が持っていたセンスをなのはの目の前で上から下に静かに振り下ろし、振り下ろしたところから空間に亀裂が入り、その亀裂から大量の目がある空間が現れた。あまりの出来事にユーノは驚いていたが、そんなこと気にせずに紫はその空間に入り、紫が入った直後にその空間は何もなかったかのように無くなった。
紫が居なくなったのを確認したなのはは、とりあえず境界の一件は紫がなんとか誤魔化してくれるだろうと考え、変に疲れたのでそろそろジュエルシードの探索をやめて帰ろうかなと考えていた。
しかし、紫と話していたこともあって、ユーノのことを忘れていた。足をそのまま自宅がある方向へ進めようとしていたところ、ユーノからなのはに話しかけられた。
「な、なのは……さっきの紫っていう人、何者なの?」
「……あ、ユーノ君のこと忘れていた」
さらっと酷いことを言ったなのはだが、ユーノは特に気にせずになのはからの説明を待った。ユーノが紫の雰囲気から感じた限り、ユーノがいた世界に悪影響を及ぼしかねないと思い、紫について詳しく知っているなのはから聴き出したかった。
一方のなのはも、紫について誤魔化せるような説明は難しく、自分の能力についても説明しないと納得してくれないだろうと思い、ユーノには正直に話すことにした。
「ユーノ君、これから言うことは他言無用で。私の友達にも言ってないことだから――」
「……わかった」
他言無用にする程の話となると、やはりなのはが特殊な部類であったのだろうとユーノは思いつつ、なのはの説明を待った。
「まず一つ聴いておきたいのだけど、紫さんをみてどう思った?」
「……ただ者ではないと思った。あれは敵に回したくないような感じが」
「あながち間違ってないね。私だって紫さんは敵に回したくないから――」
ジュエルシードで紫さんを敵に回すようなことしたけどね――と、苦笑しながらなのはは続けて言うが、そのまま話を続けた。
「あの人の名前は八雲紫――人って言って良いものかは解らないけど、私の師匠兼第二の母親みたいな感じかな」
「あんなのが、なのはの師匠って……」
ユーノはとんでもない世界に来てしまったのではないかと、思わず立ち眩みするような感覚になった。目の前で話しているなのはですら、二種類の魔法を使用し、その上紫みたいな師匠がいるっていうだけで、頭が痛くなりそうだった。
「それで、ユーノ君には伝えてなかったけど、私には魔法以外にも使えるものがあるの。紫さんが師匠であるのは主にこれが理由かな」
「まさか、なのはが前回のジュエルシードで封印した方法って……」
先程の紫の能力からして、ユーノは嫌な予感がした。先程のなのはと紫の会話に、境界やらの言葉が出てきたことからして、なのはが持つ能力が想像出来てしまったからだ。そして、ユーノの想像していた通りの答えが、なのはの口から放たれた――
「簡単に言えば、私は紫さんみたいな能力を使えるの。その能力を使って、先程話に出ていた境界にジュエルシードを移動させて封印したの」
「やっぱり……」
「とはいえ、私は自分の能力について詳しく知らないし、紫さんはなんか知っているようだけど、教えてくれないけどね。今の私が出来ることは紫さんの能力に似たことしか出来ないから――」
「い、いやいやいや。それってなのはの能力は本来ならもっと凄い能力だということだよねっ!?」
なのはと会ってから驚いてばかりのような気がするユーノだが、そもそも魔法が使える世界にいるユーノ達だって魔法を知らない世界からしてみれば、驚くことだろう。世界によって常識というものは違い、自分が知る常識が通じる訳ではない。しかしなのはは、二つの世界について知っていることもあり、自分の持つ力が今暮らしている世界の常識ではないことは理解している。別の常識があることを知っているからこそ、なのははユーノ達の魔法についても驚くことよりも理解することの方が多かった。
まぁ、そんな自分の常識は他人の非常識みたいなことをユーノに説明したところで、なのはの持つ能力からして説得力がないため、ユーノの驚きに苦笑いでしか返せないでいたが。
「さて、後の詳しいことは家で話すから。流石にこのまま会話していると、路上で腹話術しているように見えていそうで……」
「……普通に念話すれば良いだけのような」
「あ、その手があったの!!」
……紫が言っていたように、なのははどこか抜けているところがあるなと、ユーノは苦笑いしつつ、念話に切り替えてなのはから説明を求めるのだった――