魔法少女リリカルなのは東方参異伝   作:アリヤ

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かなり遅くなってすみませんでした。


第十四話

 アリサの家での一件が終わってから数日後に、なのははアリサとすずかの家族やメイドとともに旅行しに行くことになったのだが、その日の夜に近くでジュエルシードの反応があり、現場に向かうとすでにフェイトが封印を終えていたところだった。

 その後、フェイトは使い魔であるアルフとともになのはに勝負を挑もうとしたが、なのははそれを拒否する。その反応に驚いたフェイトではあったが、なのはから――

 

『結局、ジュエルシードを全部集め終えた後で、すべてを掛けて勝負するんでしょ? 私たちはジュエルシード全部集めないといけないし、フェイトちゃんもそうではないのかな? だったら、ここで戦っても無駄なだけだよね』

 

 そのように伝えた後、信用できないとの理由でもちろん拒否されたが、なのはだって拒否されることは理解できていたし、だからこそ私たちの目的をすべて話すことにした。

 放すと言っても、ユーノの素性について話したようなもので、ジュエルシードを発掘した張本人だという事を伝え、その証拠を見せた程度だ。証拠と言ってもデータ形式でフェイトちゃんの目の前に画面を表示させて見せただけで、それを見て信じてもらうしかなかった。

 その後、ユーノの本来の姿を見せたこともあって、ようやく信用してもらうことができ、もしなのはが逃げたとしても追いかけないといけないことには変わりがなかったこともあって、戦う事もなくフェイト達はこの場を去って行き、旅行近くで発生したジュエルシードの一件は終わる。

 

 余談だが、機械の形がないのにもかかわらず、目の前に画面が現れた光景をこの時初めて見たなのはは、目をキラキラさせてユーノがいる世界にものすごく興味を持っていたという。

 また、ユーノ達が暮らす世界をなのはが興味を持ったきっかけが原因で、数年後の幻想郷にて、なのはととあるかっぱがとんでもないことをしでかすのは、別の話である。

 

 その旅行の一件が終えたさらに数日後、相変わらず暇な時間を作ってよとアリサとすずかに言われたりしていたなのはではあるが、ジュエルシードを探していたある日の夜の出来事だった――

 

《……なかなか見つからないね》

《ジュエルシードが発動しないと反応しないというのも、どうにかならないかな……》

 

 夜の海鳴市を歩いていたなのはとフェレット姿のユーノだが、旅行の一件から一度もジュエルシードが見つかっていなかった。

 見つからない場合は自分たちで歩きながら探さないといけないこともあってか、正直かなりの時間の無駄ではあるとなのはは思っているが、他に選択肢がないために仕方なく探していた。

 ちなみに念話で会話している理由は、ユーノがフェレット姿であることもあって、自然と会話しているとまるでペットに何度も話しかけていると奇妙な視線を受けだろうと思い、不審に思われないための対策だった。

 

《なのは、とりあえずあと少し探して見つからなかったら帰ろうか》

《そうだね。このまま探しても意味もなさそう――っ!?》

《ジュエルシードの反応!? しかもこれは――っ!?》

 

 いつも通りジュエルシードの探し方をしているなのはとユーノで、何事もなかったら帰ろうと考えていた矢先、突如ジュエルシードの反応になのはとユーノの二人は気付いた。

 しかし、いつものジュエルシードの反応とは違う。というより、なのはとユーノの視線には青白い柱が空を突き進んでいくかのように伸び、普通のジュエルシードの反応とすぐに違うことが解っていた。

 そしてユーノは、この反応がどのようにして起こされたものなのかすぐに把握し、なのはをすぐにその青白い柱の所へと向かうように伝える――

 

《なのは!! 今すぐジュエルシードの反応があったところに!!》

《突然どうしたのユーノ君!? そんなにあわてて》

《あのフェイトっていう子。ジュエルシードが見つからないからという理由で強制的にジュエルシードを発動させたんだ!! このままだと住民に危険な身にあってしまうから、すぐに僕が結界を展開するから!!》

 

 その言葉を言った直後に、ユーノはジュエルシードの存在が一般人に知られないように、結界を展開する。

 とりあえず前回のジュエルシードによる街中に巨大な植物が現れるような事態を防ぐことには成功したが、なのははユーノに言われたにもかかわらずその場から動こうとしなかった。

 

「なのはっ!? どうして動こうとしないの!?」

「……ねぇユーノ君。確認だけど、ジュエルシードの反応はあの青白い柱の辺りで問題ないよね?」

「う、うん。確かにそうだけど……」

「それだけ解れば大丈夫。ちょっとだけ意識を集中させるから話しかけないでね」

 

 最後にその一言を伝えると、なのはは突如目を瞑り、なのはの周りにユーノが知らない魔法陣が展開される。いったいなのはは何をしようと考えているのかとユーノは思うが、数分もせずに青白い柱を中心として結界みたいなものが柱を囲むかのように展開された。

 その後、結界はどんどんと縮小されていくかのように小さくなっていき、結界が目視で確認出来なくなった直後くらいに青白い柱も見えなくなっていた。それから数秒後、なのはの地面に現れた魔法陣が消え、目を瞑っていたなのはも目を開いた。

 その光景に驚いたのはユーノで、なのはが何をしていたのか理解できていない模様だった。その様子を見ていたなのはは、簡単に説明を始める。

 

「……封印したわけではないけど、とりあえず封印するまで被害が出ないようにしたから。今までは魔物になったりして、動き回ったりしていたから使うタイミングがなかったけど、動かない者であればこの魔法を使えば問題ないわけ」

「……すごい。距離も正確でなかった筈なのに、結界で暴走を抑え込むなんて……」

「別にすごくないよ。だってこれ、多少は自分のアレンジも含まれてるけど、ある親友の結界を参考にして作った魔法だから――」

 

 なのはが言ったその親友というのは、幼いころから博麗の巫女になるために現在努力中である博麗霊夢が霊力によって作成した結界のことだ。なのはと霊夢、そしてもう一人の親友である霧雨魔理沙の三人で、お互いにいい点を取り入れようと三人で決め、この結界も霊夢の技を参考にしてみたものだ。

 とはいえ、ここで霊力なんていう力の説明をしたところで理解できないだろうし、説明したらしたでややこしくなってしまう事もあってか、どのような力なのかという事は伏せて説明した。

 ユーノはそれ以上の事は何も言わず、それ以前になのはが元にしただろう力が魔法によるものだろうと勘違いしているようだった。なのはもその参考にした力について聴いて来なかったものだから少し不思議に思ったが、とにかく今は結界に閉じ込めたジュエルシードの回収を優先するべきだと、変身して飛んで行った。

 その向っている最中、ユーノは先ほどの結界の効果について聴いていなかったこともあり、一つ気になったことがあったのでなのはに確認した。

 

「……そういえば、結界に閉じ込めたけど、あのフェイトっていう子に先に封印される心配はないのかな?」

「それは大丈夫。さっき使った結界はすべての攻撃に対して反射するから。たとえ内側の力でも……」

「な、なのは? 一体どうし――」

「や、やっちゃったのおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 突然移動をやめて叫びだしたなのはは、結界を張ってしまったことによる失敗を今更ながら思いだし、とんでもないことをしてしまったと気付いた。

 いきなり叫びだしたことに驚いて、思わず耳を塞いでいたユーノは、いきなりどうしたのかと思い、なのはの叫び声が収まったあたりで何をそんなに焦りだしたのか聴いてみる。

 

「い、いきなりどうしたの?」

「……ユーノ君。一つ確認するけど……」

「確認? 一体なんのこと?」

「ジュエルシードって、発動すると膨大なエネルギーが発生するんだよね? たとえ結界で閉じ込めていようとも」

「なのはが使った結界がどういうものなのかは詳しく解らないけど、基本的にはそうなるのではないかな? ってなのは!? 急にしゃがんでどうしたの!?」

 

 ユーノに確認した直後、なのははしゃがんで落ち込んでしまった。何という事を自分はやってしまったのだろうかと気付いてしまい、ジュエルシードを封印するどころの問題ではなかった。

 未だに状況が理解できていないユーノは、一体なのはが結界を使用して何をやらかしてしまったのかと聴いてみようとするが、その前になのはが自分が何をしてしまったのか話し始めた。

 

「……あの結界ね、さっきも言った通りエネルギーを反射するんだ。エネルギーを吸収するわけではなくて、反射を」

「それはさっきも聞いたから解るけど……」

「じゃあさ、その反射したエネルギーって、どこに逃げるんだろうね?」

「……あっ」

 

 そこまで話して、ようやくユーノはなのはが言いたいことを理解した。

 あの結界内では、ジュエルシードから出たエネルギーの逃げ道がなく、結界内で溜まって一方だ。気づくのが早ければすぐに対処できたが、すでに数分以上は経過している。今結界を開放すると、ユーノの結界のおかげで問題ないかもしれないが、自分たちの身が危険になる可能性が考えられた。

 しかし、このまま結界の中に閉じ込めておくという手段を使うわけにはいかない。それを行えばエネルギーは結界の中に溜まっていく一方で、今以上に危険な状態になってしまうからだ。

 

「なのは、とりあえずここで止まっていても仕方がないから、ジュエルシードの所に行こうか」

「……そうだね。うじうじしてても仕方ないからね……」

「……そ、そうだ。ジュエルシードのエネルギーで、ジュエルシードが壊れるという事は考えられるの?」

 

 なのはを慰めようとユーノは少し考えたが、すぐに思いついたのがジュエルシードを止められるかという確認だった。咄嗟に出てきたものが慰めるような言葉でもないことに自分が嫌になるが、その質問になのはは落ち込みを取り戻しつつも答え、移動を再開した。

 

「……確かにその方法でも問題はないかもしれないけど、それがいつになるか解らないし、それまで監視していないといけないから難しいかも」

「そっか……」

「でも、一応最終手段があるから、最悪それを行おうとは思ってるよ。正直一番乗り気がしない方法だし……あとで絶対に怒られるし」

 

 最後の方はなのはが小声で何かを呟いていたが、ユーノには聴こえていなかった。

 そんな会話を繰り返していると、結界に閉じ込められているジュエルシードの姿が見え、その結界を壊そうとしているフェイト・テスタロッサの姿が見えた――




東方キャラはやはり無印の間に登場させるのは難しいな……出したいんだけどね

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